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zoom RSS 更科功 『化石の分子生物学』

<<   作成日時 : 2012/11/15 00:00   >>

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 まだ日付は変わっていないのですが、11月15日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社より2012年7月に刊行されました。本書では、分子生物学の具体的な解析について、一般書にしては詳しく述べられており、分子生物学史的な記述もあるので、分子生物学の入門書としての性格もあるように思います。本書は全体的に、分子生物学の有効性とともに限界性も強調した内容になっているので、その点で明快な説明を求めている人には物足りないところもあるかもしれませんが、それだけに良心的ではある、とも言えるかもしれません。本書の解説はなかなか丁寧なので、一般向け書籍としては良書の部類に入るのではないか、と思います。

 本書がおもに扱っているのは古生物のDNA解析で、それがいかに難しいことなのか、失敗例も詳しく紹介している本書を読むと、よく理解できるでしょう。その失敗の代表例として、一時成功したと主張された恐竜のDNA解析が失敗したことが、本書では取り上げられていますが、『ジュラシックパーク』が大きな反響を呼んだのは、恐竜のDNA解析が成功したと主張され、報道された時期と重なっていたからだ、と本書では指摘されています。また本書では、恐竜よりも新しいものの、1000万年以上前の植物のDNA解析について、やはり一時は成功したと主張されたものの、けっきょくは否定された事例が紹介されています。

 本書の冒頭では、古生物のDNA解析の一例としてネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)が取り上げられており、ネアンデルタール人と現生人類(ホモ=サピエンス)との間に交雑があったのか否か、という関心の高い問題について、DNA解析により問題が解決した(解決しそうだ)と指摘されています。ただ、本書で詳しく紹介されているのは、両者の交雑はあった可能性が高いと主張した2010年の研究のほうで、1997年に公表されたネアンデルタール人のミトコンドリアDNA解析および現代人のそれとの比較については、ほとんど触れられていません。学界でも一般でも1997年の研究のほうが衝撃的だったと思われるだけに、疑問の残るところですが、1997年の研究発表から2010年くらいまでは、ネアンデルタール人と現生人類との違いを強調し、両者の交雑はなかった、との見解が圧倒的に優勢だったので、その点にも触れるとなると、説明が長くなりそうだから、との配慮があったのでしょうか。

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