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zoom RSS 『人類の進化 大図鑑』

<<   作成日時 : 2014/01/14 00:00   >>

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 まだ日付は変わっていないのですが、1月14日分の記事として掲載しておきます。アリス=ロバーツ編、黒田眞智・森冨美子訳、馬場悠男監修で、河出書房新より2012年9月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。編者の著書は日本語に翻訳されており、以前このブログで取り上げたことがあります(関連記事)。本書は、霊長類の出現から紀元前の世界各地の「古代文明」まで広範な時代を扱っています。もっとも、表題にもあるように、おもに取り上げられているのは中新世〜更新世、とくに更新世における人類の進化です。

 本書は、豊富な図版を用いたカラーページにて、形質人類学・考古学・遺伝学・地質学・理化学的年代測定など幅広い観点から人類の進化を分かりやすく解説しています。そうした諸学問の基本的な解説もあって、非専門家にも分かりやすいような配慮がなされており、素晴らしい内容になっていると思います。原書の刊行は2011年なので、近年までの研究成果も反映されています。定価はかなり高いのですが、本文はオールカラーで二百数十ページあるのですから、それだけの価値はあると思います。ただ、用語解説と索引と図版の出展も掲載されているのは良心的だと思うのですが、参考文献が掲載されていないのは残念です。

 近年までの研究成果に基づく分かりやすい解説と豊富な図版も本書の魅力ですが、本書の最大の売りは、各系統の人類のたいへん丁寧な復元像(頭部)が掲載されていることでしょう。この復元像は、優れた作者が最新の研究成果に基づいて制作しており、一見の価値があります。頭骨に肉付けして植毛した復元像を見ると、意外と現代人に近いな、と思います。たとえば180万年前頃のドマニシ人(本書では、ホモ=ジョルジクスという種区分が採用されています)は、写真だけでぱっと見ると、一瞬現代人と間違えそうです。もっとも、じっさいに間近で見ると、ドマニシ人の頭部は現代人よりもかなり小さいので、違和感を覚えるでしょうが。

 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の復元像の場合、そうだと知らされなければ、間近で少し観察しても現代人と間違いそうで、鼻の大きい武骨な感じの人だな、と思うだけでしょう。現代人と古人類を比較する場合、肉付けされていない頭骨で見ることと、現代人と古人類とがいかに違うか、強調する見解に私は慣れすぎているのかもしれません。もちろん、本書の復元像がどこまで妥当なのかという問題は残ります。しかし、大きく間違っているとは思いませんし、今後の研究の進展により、さらに精度の高い復元像が製作されるだろう、と期待しています。

 本書の基本的で丁寧な解説は、たとえば現代人とチンパンジー・ゴリラ・オランウータンとのDNAの違いについての記述にも表れています。こうした場合、その意味についてよく解説されないままに、現代人とチンパンジーとのDNAの違いは*%といった数字が非専門家の間で独り歩きする傾向があるように思います。しかし本書は、両者の違いがノンコーディング領域では1.2%(一般に広く浸透しているのはこの数字のようです)で、コーディング領域では0.6%となり、ゲノム全体では5%になる、と簡潔ながら丁寧に解説しています。

 もう地球上に現生人類(ホモ=サピエンス)しか存在しなくなった後のことですが、本書の解説で興味深かったのは、カメルーンで紀元前500年頃のバナナの痕跡が発見された、ということです。東南アジア原産のバナナがどのようにして紀元前500年にカメルーンまで持ち込まれたのか、気になるところです。インド洋交易は古くからあったでしょうから、インド南部でも古くからバナナが栽培されており、それがアフリカ東部の低緯度地域からサハラ砂漠の南側を(散発的に栽培されつつ)経由してカメルーンにまで到達した、ということなのでしょうか。

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