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zoom RSS 山極寿一「移動の心理を霊長類に探る」『人類の移動誌』第1章「人類の移動を考える」第3節

<<   作成日時 : 2014/05/15 00:00   >>

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 印東道子編『人類の移動誌』初版第2刷(関連記事)所収の論文です。本論文は霊長類の進化のなかに人類の進化を位置づけ、人類の移動がいかなる進化的特徴に基づくものなのか、見解を提示しています。広い視野に基づく論文だと思います。現在、霊長類でもオナガザル科が繁栄し広範な地域に生息しているのにたいして、類人猿の生息域はアジアとアフリカの熱帯雨林およびその周辺に限られています。本論文はその要因として、類人猿の消化機能の弱さと、オナガザル科と比較して生活史がゆっくりとしていることを指摘しています。

 類人猿と近縁な人類にもそうした弱点はあるのですが、人類は長距離をゆっくりと歩くのに適している直立二足歩行を始め、手を自由に使えるようになりました。草原へ進出した人類は、食物をさがして仲間のもとへ持ち帰る旅を始めたのではないか、と本論文は推測しています。さらに、草原に進出して危険性の増した人類の出産間隔は、類人猿と比較して縮まり、離乳してもまだ乳歯のままの子供への特別な離乳食が必要になったので、さらに採食における分業が進展したのではないか、と本書は指摘します。

 人類の旅は採食だけではなく繁殖相手を探すものでもあった、と指摘する本論文は、他の類人猿と同じく人類の祖先も、男が生まれ育った集団を離れて別の集団に入り配偶者を見つけるのは難しかっただろうから、ゴリラのように男が旅先で配偶者を誘い出して新たな集団を作るか、チンパンジーのように旅をしてきた女を父系的つながりのある男たちが受け入れることから集団間の関係を作ったのではないか、と推測しています。さらに本論文は、人類は他の霊長類とは異なり、所属集団を変えても元の集団への帰属意識を持ち続け、そうした特徴が人類社会を重層的に組織化したのではないか、と推測しています。


参考文献:
山極寿一(2014)「移動の心理を霊長類に探る」印東道子編『人類の移動誌』初版第2刷(臨川書店)第1章「人類の移動を考える」第3節P38-47

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