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zoom RSS John Hawks「いまも続く進化」

<<   作成日時 : 2014/11/20 00:00   >>

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 『日経サイエンス』2014年12月号の特集「人類進化 今も続くドラマ」(関連記事)第3部「我々はどこへ行くのか」に掲載された解説です。技術的革新・価値観の変容などによる衛生環境・食料事情などの改善により、人類は自然選択を免れることができたので、人類の進化は事実上終わった、との見解は、一部?の科学者の間でも主張されているようです。これにたいしてこの解説は、人類の進化は今も続いていると強調し、そのさまざまな具体例を提示しています。

 人間の生存の基本となる食関係では、アミラーゼや乳糖耐性がその具体例となります。デンプンの分解に必要なアミラーゼは、採集狩猟民と比較して農耕民の子孫(現代人の大半)の方が多く作りだす傾向にあります。これは、アミラーゼをコードするAMY1遺伝子のコピーを農耕民の子孫が数個持っているのにたいして、採集狩猟民の方はそれよりも少ないからです。これは、農耕開始後に農耕民に有利な変異が生じて定着したためと思われます。

 乳糖耐性も有名な事例です。現代人はほぼ全員、乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼという酵素を作ることができます。しかし、現代人の多くは、この能力を成人になるまでに失います。しかし、成人後もラクターゼを作れるような遺伝的変異が、この1万年間に少なくとも5回起きています。そのうちの3回はサハラ砂漠以南のアフリカで起きており、それぞれ牛を飼っていた長い歴史があります。別の2回のうちの1回はアラビア半島で見られるもので、ラクダ・ヤギを飼っていた人々の間で生じたようです。もう1回はアイルランドからインドまで広範に見られるもので、7500年前頃に生じたようです。この変異は、5500年前頃の有名な「アイスマン」にはなく、5000年以上前のヨーロッパの複数の農耕民にも見られませんでした。その後、この変異がヨーロッパで広まったようです。おそらく、乳糖耐性をもたらすような遺伝的変異は人類史上何度も起きていたものの、牧畜の開始まではとくに有利というわけでもなかったので、集団に定着しなかったのでしょう。

 目につきやすい人体の特徴では、東アジアでよく見られる黒くて太い直毛(私もそうです)が、3万年前以降に出現したものです。ヨーロッパ人に赤毛や薄い肌の色や青い瞳をもたらす遺伝的変異も、それぞれ3万年前以降に生じたようです。マラリアへの耐性をもたらす複数の遺伝的変異も、やや詳しく取り上げられています。このように人類は今も進化を続けていますが、一方で古い「祖先型」の遺伝子のほとんどが残っていることも、この解説では指摘されています。将来の人類は、混合した一様なクローン集団ではなく、さまざまな特徴を持つ人々の存在するモザイク状の集団となるだろう、というのがこの解説の見通しです。


参考文献:
Hawks J. (2014)、『日経サイエンス』編集部訳「いまも続く進化」『日経サイエンス』2014年12月号P104-110

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