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zoom RSS 人間のアルコール分解能力の起源

<<   作成日時 : 2015/01/03 00:00   >>

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 人間のアルコール分解能力の起源に関する研究(Carrigan et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、霊長類のアルコール脱水素酵素4(ADH4)を分析し、人間にとって最も身近なアルコールであるエタノールの代謝能力を他の霊長類と比較することで、人間の系統でいつアルコール分解能力が高くなったのか、検証しました。

 人間とエタノールの摂取に関しては、二つの見解があります。一つは、旧石器時代の人類のエタノール摂取量は少なく、(おもに農耕開始以降に)酒造を始めてからエタノールを本格的に摂取するようになった、との見解です。この見解では、アルコール中毒は人間が最初にエタノールに遭遇してからそれに適応するまでの時間が充分ではなかったことが要因である、と説明されます。もう一つの見解は、霊長類は早ければ8000万年前頃に果物食を通じてエタノールを摂取していた、というものです。

 本論文は、霊長類のADH4の分析の結果、2100万〜1300万年前頃の人間・チンパンジー・ゴリラとオランウータンの最終共通祖先は効果的にエタノールを代謝できず、両者が分岐した後、1000万年前頃の人間・チンパンジー・ゴリラの共通祖先において、エタノールをずっと効率的に代謝できる変異が出現したのではないか、と推定しています。

 中新世中期以降の森林縮小により類人猿が衰退していくなかで、人間・チンパンジー・ゴリラの共通祖先は地上での活動を増やし適応していくことで生き延び、地上では樹上よりも発酵の進んでいる果物を見つける可能性が高いので、エタノール代謝能力を高めるような変異が生存に有利に働き、集団に定着していったのではないか、というわけです。つまり、人類の系統は1000万年前頃以降にある程度以上エタノールを摂取していたのではないか、というのが本論文の見解です。

 ただ上記報道でも指摘されているように、発酵の進んでいる果物のアルコール濃度は、一般的にビールよりも低いとされています。したがって、現代人はウイスキーのようなアルコール濃度の高い酒を飲むことには適応していません。これがアルコール中毒の要因になっています。酒が心底嫌いで飲みたいという欲望のまったくわかない私ですが、こうした研究はたいへん興味深いと思います。


参考文献:
Carrigan MA. et al.(2015): Hominids adapted to metabolize ethanol long before human-directed fermentation. PNAS, 112, 2, 366–371.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1404167111

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