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zoom RSS 現生人類の出アフリカの経路(追記有)

<<   作成日時 : 2015/05/31 00:00   >>

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 現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの経路に関する研究(Pagani et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類の出アフリカに関しては、1回のみだったのか複数回だったのか、起点はアフリカ東部だとして、経路はアラビア半島南岸沿いの南回りだったのか、ナイル川沿いに北上してレヴァントへと進出する北回りだったのか、という点が議論の対象となっています(現生人類複数回出アフリカ説では、北回りも南回りも両立し得るわけですが)。

 本論文は、現代のアフリカ北東部の6集団225人(100人のエジプト人およびエチオピアの5集団各25人)の全ゲノム配列から、現生人類の出アフリカの経路を検証しています。現代人のゲノム配列を用いることで問題となるのは、現生人類の出アフリカよりもずっと後の、いわゆる有史時代になってからの移住も現代人のゲノムに反映されるので、現生人類の出アフリカの経路の推定が難しくなる、ということです。たとえば、7世紀以降のイスラーム勢力の拡大は、エジプトの人口構成に大きな影響を及ぼしたと考えられます。

 本論文は、現代エジプト人・エチオピア人の全ゲノム配列を用いて、そうした現生人類の出アフリカ後の影響をできるだけ除外することにより、現生人類の出アフリカの経路を検証しています。その結果、非アフリカ系集団との分岐年代は、エジプト集団が55000年前頃だったのにたいして、エチオピア集団は65000年前頃でした。本論文はこの結果から、エチオピア集団よりもエジプト集団の方が非アフリカ系集団に近く、現生人類の出アフリカの経路としては、エジプトとシナイ半島を経由した北回りが主流だったのではないか、との見解を提示しています。

 現生人類の出アフリカに関して、ここ十数年ほどは、1回のみで経路は南回りだった、とする見解が有力なように思います。しかし、決定的というほどではなく、本論文は、以前に有力だった北回り説の優位を主張しています。本論文はその傍証として、ちょうど現生人類の出アフリカの頃のレヴァントで、現生人類の存在が確認されていることを挙げています(関連記事)。北回り説が妥当だとすると、レヴァントはユーラシアにおける現生人類拡散の起点だった可能性があります。北回り説が復権しつつあると言えるかもしれませんが、まだ確定したとはとても言えそうになく、今後も長く議論が続いていきそうです。


参考文献:
Pagani L. et al.(2015): Tracing the Route of Modern Humans out of Africa by Using 225 Human Genome Sequences from Ethiopians and Egyptians. The American Journal of Human Genetics, 96, 6, 986–991.
http://dx.doi.org/10.1016/j.ajhg.2015.04.019


追記(2015年6月3日)
 この研究に関する専門家のコメントが公表されました。

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