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zoom RSS イベリア半島の初期農耕民のゲノム解析

<<   作成日時 : 2015/09/10 00:00   >>

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 イベリア半島の初期農耕民のゲノム解析に関する研究(Günther et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、イベリア半島北部のエルポータロン洞窟(the El Portalón cave)で発見された、5500〜3500年前(考古学的な時代区分では、金石併用時代〜青銅器時代)の初期農耕民である8人(遺伝的に男性4人・女性4人と推定されています)のゲノムを解析し、ヨーロッパの他地域の同時代や前後の時代の農耕民および狩猟採集民のゲノムと比較しています。

 エルポータロン洞窟の初期農耕民は、同じ祖先集団の子孫だと推定されています。また、このエルポータロン洞窟人は、他のヨーロッパ初期農耕民と同じく、狩猟採集民集団と交雑していました。エルポータロン洞窟人の場合、2000年かけて狩猟採集民集団由来の遺伝的構成が増加している、と指摘されています。エルポータロン洞窟人はイベリア半島の狩猟採集民集団と交雑を続けたようで、それがゲノムに反映されているようです。

 本論文で議論を呼びそうなのが、エルポータロン洞窟人と現代のイベリア半島の各集団との遺伝的比較において、最も類似しているのがバスク人である、との見解です。バスク人はヨーロッパでは独特の文化を有しており、言語もインドヨーロッパ語族に分類されていません。そのため、バスク人は旧石器時代や中石器時代からイベリア半島で継続してきた集団で、比較的孤立していたのではないか、と長い間考えられてきました。本論文の解析結果は、この有力な見解と整合的ではありません。

 本論文は、バスク人はイベリア半島において孤立して継続してきた中石器時代以来の集団である、というこれまでの有力説にたいして、新石器時代になってイベリア半島に進出してきた初期農耕民の子孫(上述したように、イベリア半島の狩猟採集民集団とも交雑した可能性が高いのですが)ではないか、との見解を提示しています。また本論文は、バスク人以外の現在のイベリア半島集団には、コーカサス・中央アジアおよび北部アフリカ集団との交雑の痕跡が見られることから、バスク人以外のイベリア半島集団が有史時代にローマ帝国やイスラーム勢力の拡大による交雑の影響を受けている一方で、バスク人は比較的孤立していたのではないか、とも指摘しています。


参考文献:
Günther T. et al.(2015): Ancient genomes link early farmers from Atapuerca in Spain to modern-day Basques. PNAS, 112, 38, 11917–11922.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1509851112

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