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zoom RSS 最古の人為的な重金属汚染の証拠(追記有)

<<   作成日時 : 2015/09/23 00:00   >>

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 人為的な重金属汚染の証拠に関する研究(Monge et al., 2015)が報道されました。本論文は、イベリア半島の4ヶ所の洞窟遺跡において、人為的な重金属汚染の証拠を検証しています。検証対象となった4遺跡は、北部のグランドリナ(Gran Dolina)・南部のエルピルレホ(El Pirulejo)・ジブラルタルのヴァンガード洞窟(Vanguard Cave)およびゴーラム洞窟(Gorham's Cave)です。ゴーラム洞窟はネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)終焉の地だったのではないか、とも言われています(関連記事)。

 洞窟遺跡における重金属汚染としては、鳥の糞化石の堆積といった自然的な要因もあります。人為的な要因としては、本論文で対象とされている遺跡・時代では、燃焼に伴うものが代表的です。たとえば、ゴーラム洞窟やヴァンガード洞窟では、ネアンデルタール人の時代(正確には中部旧石器時代ということですが)の炉床で重金属汚染が確認されています。これは現時点では、人為的な重金属汚染の最古の証拠となるようです。今後、イベリア半島だけではなく他地域でも、同様の証拠が検出されていくことになりそうです。

 エルピルレホは検証対象となった4遺跡で特異な様相を示しており、鳥の糞化石の堆積や明確な炉床が確認されていません。エルピルレホでは上部旧石器時代のマグダレニアン(Magdalenian)の層で高濃度の鉛が確認されており、これは方鉛鉱に由来する、と考えられています。方鉛鉱は装飾品の製作や顔料に用いられます。ただ、エルピルレホ遺跡における上部旧石器時代層の高濃度の鉛は、上層の青銅器時代の埋葬に由来する可能性も指摘されています。グランドリナ遺跡では45万年前頃の重金属汚染が確認されましたが、人為的なものではなく、鳥の糞化石に由来します。

 ネアンデルタール人もその後にイベリア半島に進出してきた現生人類(Homo sapiens)も、火を頻繁に利用したようですから、洞窟の鳥の糞化石も合わせて、中部更新世以降の人類は洞窟に居住すると重金属汚染に長期間曝されていたようです。重金属汚染が生殖能力の低下をもたらし、人口に影響を与えた可能性も指摘されていますが、評価の難しいところです。また、人間が火を用いることなどで重金属汚染に長期間曝されることが、耐性の獲得に役割を果たした可能性も指摘されています。これと関連して取り上げられている興味深い見解は、喫煙習慣に影響を及ぼす対立遺伝子が、交雑によりネアンデルタール人から現生人類へと継承された可能性がある、というものです。


参考文献:
Monge G. et al.(2015): Earliest evidence of pollution by heavy metals in archaeological sites. Scientific Reports, 5, 14252.
http://dx.doi.org/10.1038/srep14252


追記(2015年11月30日)
 以下に『ネイチャー』の日本語サイトから引用します。



考古学遺跡で見つかった重金属汚染の最古の証拠

 ヒト属(Homo)の人類種は、洞窟に居住し始めたときに新しい生物地球化学的環境に曝された。今回私たちは、イベリア半島にある有名な4つの考古学遺跡の洞窟で重金属に関する地球化学的分析を行い、この数百万年にわたる人類進化の中で古代に重金属による汚染があったことを示す初めての証拠を得たので報告する。洞窟という制限された環境内で自然要因(グアノ堆積物)や人為的要因(燃焼など)があったため、重金属の含有量は高い値に達していた。この人為的起源の最古の汚染を示す証拠は、ゴーラム洞窟(ジブラルタル)で見つかったネアンデルタール人の炉跡と考えられ、いわゆる「人新世(Anthropocene)」における最初の画期的な出来事の1つとなる。これらの堆積物は、その重金属濃度に従うと、現代の「汚染された土壌」の基準に当てはまる。ゴーラム洞窟とともにジブラルタルのバンガード洞窟も、亜鉛や銅による汚染が高度に人為的なレベルで至る所に見られることから、これらの元素は人類活動の指標になると考えられる。また、エル・ピルレホ遺跡のマグダレニアン期や青銅器時代の層準の亜鉛濃度も同様に解釈できる。こうした高い汚染度にもかかわらず、汚染された土壌はヒト属人類集団に大きな脅威を与えなかった可能性がある。総合すると今回のデータは、ヒト属人類が、たき火や煙とそれらの灰を介して長期間これらの元素に曝されたことを示している。この種の曝露は、環境汚染への耐性に一定の役割を果たしてきたと考えられるが、こうした影響はこれまで見過ごされてきた。

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