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zoom RSS 45000年前頃に北極圏に進出していた人類

<<   作成日時 : 2016/01/16 00:00   >>

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 これは1月16日分の記事として掲載しておきます。人類が45000年前頃に北極圏に進出していたことを明らかにした研究(Pitulko et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は、2012年8月に北極圏シベリアで発見されたマンモスの遺骸について報告しています。このマンモスの眼窩・肋骨・顎には、槍による明らかな損傷が確認され、そうした損傷は生前および死後のものでした。こうした損傷パターンは他の遺跡でも確認されているので、人類がマンモスを殺害して解体した証拠だ、と指摘されています。

 このマンモスの遺骸は、その場所と年代の点で大いに注目されています。発見された場所は北緯72度で、北緯66度以上となる北極圏に属します。年代は、マンモスの体毛・筋肉組織・脛骨の放射性炭素年代測定により、45000年前と推定されました。堆積層の他の物質からの間接的な推定年代ではなく、直接的な年代測定という点で、より信頼性が高いと言えるでしょう。この年代は、マンモス遺骸の上層の堆積層の年代は4万年前頃より古そうだ、との年代測定とも整合的です。

 こうした年代測定結果が注目されるのは、北極圏に人類が広く進出したのは35000〜30000年前頃だ、とこれまで考えられてきたからです。人類はじゅうらいの推定よりも1万年以上早く、北極圏に進出していた、というわけです。ただ、この研究に関わっていない考古学者のケネット(Douglas Kennett)博士は、このマンモスは4万年前よりも古そうではあるものの、汚染除去のための方法を報告することと、他の研究所での年代測定を提案しています。それらにより、推定年代の信頼性が高まる、というわけです。

 マンモスの損傷の痕跡から、舌が切り取られ、牙が利用されたと考えられています。マンモスの用途は肉を食べるだけではなく、毛皮を衣服や住居などに、骨を住居や道具などに、牙を装飾品などに利用することができます。大型動物であるマンモスの効率的な狩猟には、高い認知能力が要求される共同作業と高度な技術が必要となります。この研究では、マンモス狩猟の発展により、人類は北極圏シベリアに広く拡散できたのではないか、と指摘しています。

 このマンモスの遺骸には人骨が共伴していないので、どの人類系統がマンモスを狩り解体したのか、不明です。ただ、高度な共同作業が必要だったと考えられることから、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)などではなく現生人類(Homo sapiens)だったのではないか、と上記解説記事では指摘されています。また、このようにシベリア北極圏に進出した人類は、26000年前頃にはアラスカにまで進出し、やがてアメリカ大陸へと進出したのではないか、とも推測されています。


参考文献:
Pitulko VV. et al.(2016): Early human presence in the Arctic: Evidence from 45,000-year-old mammoth remains. Science, 351, 6270, 260-263.
http://dx.doi.org/10.1126/science.aad0554

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