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zoom RSS 現代パナマ人に見られるヨーロッパ系の遺伝的痕跡

<<   作成日時 : 2016/02/25 00:00   >>

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 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。現代パナマ人のY染色体に関する研究(Grugni et al., 2015)が報道されました。15世紀末以降、アメリカ大陸にはヨーロッパから多数の人々が移住してきて、大きな影響を及ぼしました。これがかなりのところ侵略的であり、アメリカ大陸の先住民集団に大打撃を与えたことはよく知られています。パナマも含まれるラテンアメリカにおいては、ヨーロッパ系でもおもにスペイン系が移住してきました。こうしたスペインからの「征服者(コンキスタドール)」は単身の男性だとされています。またスペインの植民地も含めてアメリカ大陸には、サハラ砂漠以南のアフリカより多くの住人が奴隷として連行されてきました。

 この研究は、パナマの408人の成人男性のY染色体の多様性を調査しました。ミトコンドリアDNAの分析では、現代パナマ人の83%はアメリカ大陸先住民系との結果が得られています。しかし、Y染色体の分析では、ミトコンドリアDNAの場合とは大きく異なる結果が得られました。アメリカ大陸先住民系のY染色体を有する割合が50%を超えていたのはカリブ海地域の一部集団のみで(66%〜88%)、太平洋側を中心に西ユーラシア系のY染色体が優勢となっています(62%〜72%)。全体として、現代パナマ人のY染色体は、約60%が西ユーラシアおよび北アフリカ系、約22%がアメリカ大陸先住民系、約6%がサハラ砂漠以南のアフリカ系、約2%がおそらくは中国またはインドの南アジア系となります。

 このような調査結果は、上述したような、単身男性を中心としたスペイン勢力によるラテンアメリカの征服という歴史像と整合的です。現代パナマ人のY染色体において、太平洋側とカリブ海側とで多様性に差が見られるのは、「征服者」たるスペイン人がより乾燥していた太平洋側を好んだ結果ではないか、と指摘されています。サハラ砂漠以南のアフリカ系が奴隷としてアメリカ大陸に連行された遺伝的痕跡も改めて確認されましたが、植民地期に多くの逃亡奴隷の避難所となった現在のダリエン(Darien)州では、とくにサハラ砂漠以南のアフリカ系のY染色体の割合が高くなっています。


参考文献:
Grugni V, Battaglia V, Perego UA, Raveane A, Lancioni H, Olivieri A, et al. (2015) Exploring the Y Chromosomal Ancestry of Modern Panamanians. PLoS ONE 10(12): e0144223.
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0144223

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