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zoom RSS 現生人類の移住史におけるアラブ人の位置づけ

<<   作成日時 : 2016/02/28 00:00   >>

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 これは2月28日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の移住史におけるアラブ人の位置づけに関する研究(Rodriguez-Flores et al., 2016)が公表されました。今後もさらなる検証が必要でしょうが、なかなか興味深い研究だと思います。現在では、アフリカ起源の現生人類が世界各地へと拡散した、とする現生人類アフリカ単一起源説が広く認められています。もっとも、現生人類はアフリカから世界各地への拡散の過程で、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など現生人類ではない系統の人類と交雑し、わずかながらそうした人類からゲノム領域を継承していることも確認されています。

 この研究は、現生人類のアフリカからの拡散にさいして、現代の各地域集団のうちどれが最初に分岐した集団の祖先なのか、ゲノム解析から推定しています。現生人類のアフリカから世界各地への拡散に関しては、その回数・年代・経路などをめぐって議論が続いていますが(関連記事)、アラビア半島を経由して拡散した、とする見解は有力説の一つだと言えるでしょう。本論文は、この仮説を遺伝学的に検証するために、アラビア半島在来と考えられる人々の高精度なゲノム配列を確定し、世界各地の人々のゲノムデータと比較しています。

 アラビア半島在来と考えられる人々とは、具体的にはアラブの遊牧民とされるベドウィンです。本論文は、ゲノムデータの分析・比較の結果、ベドウィン集団が非アフリカ系現代人の各地域集団との比較において、最初に分岐した集団の直接的子孫である、との見解を提示しています。現生人類はアフリカからアラビア半島を経由して世界各地へと拡散し、ベドウィンの祖先集団は、他地域の集団と交雑しつつも、基本的にはアラビア半島に留まり続けたのではないか、というわけです。

 本論文は、ベドウィンが他の現代中東集団と同様に、ヨーロッパ人や中東以外のアジア人よりもネアンデルタール人由来のゲノム領域が少ないのは、ベドウィンの祖先集団はアラビア半島に留まり続けたので、ヨーロッパ人や中東以外のアジア人の祖先集団よりも、ネアンデルタール人との交雑の機会が少なかったからではないか、と想定しています。ヨーロッパ人や中東以外のアジア人の祖先集団は、ベドウィンの祖先集団の進出しなかった地域で、ネアンデルタール人と交雑したのではないか、というわけです。じっさい、非アフリカ系現生人類集団が、各地域集団へと分岐していった後に、たとえばヨーロッパ(関連記事)やアジア(関連記事)でネアンデルタール人と交雑していった可能性も指摘されています。


参考文献:
Rodriguez-Flores JL. et al.(2016): Indigenous Arabs are descendants of the earliest split from ancient Eurasian populations. Genome Research, 26, 2, 151–162.
http://dx.doi.org/10.1101/gr.191478.115

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