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zoom RSS 中期更新世におけるカメの消費

<<   作成日時 : 2016/02/07 00:33   >>

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 中期更新世におけるカメの消費についての研究(Blasco et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。本論文が分析対象としているのは、イスラエルにあるケセム洞窟(Qesem Cave)遺跡です。ケセム洞窟はテルアビブから東方へ12kmの場所に位置しています。ケセム洞窟では、下部旧石器時代の人工物が発見されており、それらはすべてアシュールヤブルディアン文化複合(Acheulo-Yabrudian Cultural Complex)に区分されています。ケセム洞窟では、アムッディアン(Amudian)石刃が優越する石器群が広範に見られ、それほどの頻度ではないものの、掻器(Scraper)の優越する石器群も見られます。ケセム洞窟遺跡の年代は、ウラン-トリウム年代測定法により42万〜20万年前頃と推定されており、熱ルミネッセンス法や電子スピン共鳴法によっても、類似した推定年代結果が得られています。

 ケセム洞窟遺跡ではダマジカ・ウマ・ウシ・イノシシなどの遺骸が発見されており、当時の人類がこれらを消費していたことが窺えます。また、ケセム洞窟遺跡では鳥類も少数ながら発見されています。ケセム洞窟遺跡で発見された人類の歯の分析から、当時の人類は植物性の資源も食べていたことが明らかになっています。じゅうらい、ケセム洞窟遺跡の住人は、一度に多くの栄養の得られるダマジカなどのような中型〜大型の動物を狩るとともに、日常的には植物資源を利用することで、カロリー・栄養素を摂取していたのではないか、と考えられていました。

 しかし本論文は、ケセム洞窟遺跡で発見されたカメの遺骸を分析し、その解体痕(cut marks)や打撃痕(percussion marks)や焼けた痕跡のパターンから、ケセム洞窟の住人がカメを解体し、肉を取り、焼くなどして、カメも食べていたことを明らかにしています。カメはいわば補助食品として利用されていたのではないか、というわけです。これらのカメは、42万〜30万年前の層で発見されています。さらに研究チームは、中型〜大型の動物の狩猟に参加していなかっただろう、子供や年配者がカメを捕獲していたのではないか、と指摘し、中期更新世のケセム洞窟において年齢による分業が進展していた可能性を提示しています。カメは個体の比較ではダマジカなどの中型〜大型の動物よりも摂取カロリーはずっと低いのですが、動きが遅く容易に捕獲できるので、補助食品として消費されたのではないか、というわけです。人類はカメなどの水生動物を200万年前頃から消費しており(関連記事)、早くから食資源に関しては柔軟な対応を行なっていたのでしょう。それが、人類の繁栄の一因になっているのだと思います。


参考文献:
Blasco R. et al.(2016): Tortoises as a dietary supplement: A view from the Middle Pleistocene site of Qesem Cave, Israel. Quaternary Science Reviews, 133, 165–182.
http://dx.doi.org/10.1016/j.quascirev.2015.12.006

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