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zoom RSS 後期更新世の北西ヨーロッパのネアンデルタール人の食性

<<   作成日時 : 2016/03/16 00:21   >>

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 後期更新世の北西ヨーロッパのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の食性に関する研究(Wißing et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、マース川沿いにあるベルギー南部のゴイエット(Goyet)の「第三洞窟(Troisième caverne)」遺跡で発見されたさまざまな動物の骨のコラーゲンの安定同位体(炭素13および窒素15)を分析し、その食性を推定しています。

 「第三洞窟」は後期更新世の遺跡で、マンモス・ケブカサイ・野生ウマ・トナカイ・ヨーロッパバイソン・ホラアナハイエナ・クマ・ライオン・オオカミなどの骨とともに、ネアンデルタール人の骨も発見されています。この研究は、ネアンデルタール人の食性と、ネアンデルタール人以外の捕食動物の食性とを比較しています。これまで、ネアンデルタール人の食性は同じ地域で競合する他の捕食動物とあまり変わらないのではないか、と考えられていました。

 しかしこの研究は、安定同位体分析の結果、ネアンデルタール人以外の捕食動物がトナカイ・野生ウマなどといった自身より小さな獲物を好んでいた一方で、ネアンデルタール人の狩猟対象はマンモスやケブカサイのような自身より大型の草食動物に特化していたことを明らかにしました。さらにこの研究は、ネアンデルタール人が食資源を肉のみに依存していたのではなく、およそ20%は植物性資源に依存していたことも明らかにしました。

 ネアンデルタール人が植物を食べていたことは以前から指摘されていましたが、この研究でその割合が具体的に提示されたことは意義深いと言えるでしょう。ただ、これは後期更新世の北西ヨーロッパの一部地域におけるネアンデルタール人の事例であり、年代・地域ともに広範に存在したネアンデルタール人全般にこの傾向が当てはまるのかというと、今後の検証が必要になるでしょう。ネアンデルタール人は長期間広範な地域で生存し続けた系統であり、おそらくは食性に関してもかなり柔軟だったのではないか、と思います。


参考文献:
Wißing C. et al.(2016): Isotopic evidence for dietary ecology of late Neandertals in North-Western Europe. Quaternary International, 411, Part A, 327–345.
http://dx.doi.org/10.1016/j.quaint.2015.09.091

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