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zoom RSS 長谷川眞理子編『ヒトの心はどこから生まれるのか 生物学からみる心の進化』第3刷

<<   作成日時 : 2016/03/24 00:00   >>

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 これは3月24日分の記事として掲載しておきます。 ウェッジ選書の一冊として、ウェッジより2010年1月に刊行されました。第1刷の刊行は2008年10月です。本書の基調は、二項対立的図式の見直しです。本書の議論では、「こころ」と「からだ」、「遺伝」と「環境」、「本能」と「理性」、「本能」と「学習」、「意識」と「無意識」、「動物」と「人間」といった二項対立的図式が対象となります。人間の性質・能力は遺伝と環境のどちらで決まるのか、といった通俗的な問題設定は、氏か育ちか、という言葉で一般でも語られているように思われます。

 本書は全体的に、こうした二項対立的図式に問題があることを強調し、人間の性質・能力は遺伝と環境の相互作用により決まることや、「本能」という概念にはあまり意味がなく、したがって「本能」と「理性」や「学習」を対立的に考える必要はないことや、人間も動物の一種であり、他の動物と同じく進化してきたということなどを指摘しています。今でも上述したような二項対立的図式による把握は一般層で根強く残っているでしょうから、本書の意義は小さくないと思います。

 ただ、そうした二項対立的図式への批判や、血縁選択による利他性の進化や、人間の双子の研究から明らかになってきた遺伝の影響など、全体的には興味深い解説になっているものの、「ヒトの心はどこから生まれるのか」という表題に関してはほとんど明らかにされておらず、羊頭狗肉の感は否めません。もちろん、一般向けの175ページの本で「ヒトの心はどこから生まれるのか」というような大きな問題を簡潔・的確・平易に解説することは無理だとは思いますが。日進月歩のこの分野ではやや古いと言えますし、表題には疑問が残りますが、一読の価値はあると思います。


参考文献:
長谷川眞理子編(2010)『ヒトの心はどこから生まれるのか 生物学からみる心の進化』第3刷(ウェッジ)

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