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zoom RSS 更新世フローレス島の人類はダウン症ではない

<<   作成日時 : 2016/06/12 00:00   >>

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 これは6月12日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島の人類はダウン症である、とした見解を検証した研究(Baab et al., 2016)が報道されました。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解がおおむね受け入れられているように思われます。しかし今でも、フローレス島の更新世人類は病変の現生人類である、と主張する見解は少数ながら提示され続けています。ダウン症説もその一つで、この研究は、それが妥当なのか、検証しています。

 ダウン症の症状は認知能力において見られ、形態的には可変的です。ダウン症の症状とされる特徴はダウン症に限定されず、他の染色体疾患や「健康的な」集団にも見られるので、正確な診断は遺伝的分析によってのみ可能です。しかし、フローレス島の更新世人骨群からのDNAの解析は成功していないので、この研究はダウン症およびそうではない現代人と、ローレス島の更新世人骨群のうち、おもにフロレシエンシスの正基準標本であるLB1との形態的特徴を比較しています。

 LB1の形態におけるダウン症的特徴としては、広く短い頭蓋の形状・顎の形状・短い大腿骨などが指摘されていました。しかしこの研究では、さまざまな点でLB1の形態的特徴がダウン症の現代人にもそうではない現代人にも当てはまらないことを明らかにしました。まず、LB1の脳サイズはダウン症の現代人よりずっと小さいことが指摘されています。109cmというLB1の身長も、ダウン症の現代人の範囲から外れていました。LB1の大腿骨は、ダウン症かそうでないかに関わらず、全現代人と比較して、足や腕との比較で不釣り合いなほど短いことも明らかになりました。

 こうしたことからこの研究は、LB1はダウン症の現生人類ではなく、フローレス島の更新世人類は系統的に独特な存在であり、鮮新世〜更新世のホモ属に起源を有する独自の種である、との見解を提示しています。この研究により改めて、フローレス島の更新世人類が病変の現生人類ではないことが示された、と言えるでしょう。もはや、フローレス島の更新世人類が現生人類か否かという議論は大きな関心を集めず、今後は、フロレシエンシスがどの人類系統から進化したのか、という点が重要な論点となるでしょう。


参考文献:
Baab KL, Brown P, Falk D, Richtsmeier JT, Hildebolt CF, Smith K, et al. (2016) A Critical Evaluation of the Down Syndrome Diagnosis for LB1, Type Specimen of Homo floresiensis. PLoS ONE 11(6): e0155731.
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0155731

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