雑記帳

アクセスカウンタ

zoom RSS 諏訪元、山極寿一「プレ・ヒューマンへの想像力は何をもたらすか」

<<   作成日時 : 2016/06/25 00:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 これは6月25日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号では「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」と題する特集が組まれています。読みごたえのある論文・対談が掲載されているので、今後このブログで面白いと思ったものを掲載していくことにします。今回は取り上げるのは表題の対談で、対談だけに体系的に整理された解説という観点ではやや雑多なところもあるものの、碩学二人の対談だけに、多岐にわたって興味深い論点が提示されており、たいへん読みごたえがあると思います。それだけに、的確に整理することは難しいのですが、とりあえず、興味深いと思った指摘を取り上げていくことにします。

 この対談の基調として、人類も含めて霊長類の進化に関する固定的観念の見直しがあるように思います。現生種で人類に最も近縁なのはチンパンジーとボノボで、次がゴリラ、その次がオランウータンとなります。そのため、最初期の人類のモデルとしてチンパンジーが想定されることが多いのですが、この対談では、精巣の大きさや発情の可視化の比較などから、チンパンジーやボノボが特殊化しており、人類の進化のモデルとしてはゴリラの方が参考になることが多いかもしれない、ということが指摘されています。

 人類、とくに現代人がある側面でかなり特殊化していることは否定できないでしょうが、だからといって、人類が特殊化していった一方で、その近縁の類人猿は「原初」の姿をよく留めている、とは限りません。現生の人類やゴリラのほうが比較的「原初」のす姿に近い一方で、チンパンジーやボノボが特殊化していった、というような形質も中にはあり得るでしょう。人類の暴力性に関しても、チンパンジーの暴力性と結びつける議論が多いものの、チンパンジーと人類の両系統で比較的最近になって出現したものかもしれない、と指摘されています。人類と比較すると進化の止まった霊長類といった認識は俗流進化論では今でも根強いのかもしれませんが、妥当性に欠けると思います。

 また、人類もそうですが、ゴリラ属やチンパンジー属(チンパンジーとボノボが含まれます)にも多様な形質・生態が見られ、固定観念的に把握することの危険性がよく分かります。人類は様々な能力を使い切っているのではない、という観点から、生態により遺伝子の有利・不利も変わってくる、という指摘も重要だと思います。生態が選択圧となるわけで、その方向を選択できる人間が、競争原理に偏った選択を行なっているように思われる現状への懸念が表明されています。ひじょうに奥深い対談になっているので、今後読み返していくと、色々と新たに気づかせられる論点もありそうです。


参考文献:
諏訪元、山極寿一(2016)「プレ・ヒューマンへの想像力は何をもたらすか」『現代思想』第44巻10号P34-56(青土社)

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
諏訪元、山極寿一「プレ・ヒューマンへの想像力は何をもたらすか」 雑記帳/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる