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zoom RSS ネアンデルタール人やチンパンジーよりも劣る現生人類の煙への耐性

<<   作成日時 : 2016/10/13 00:00   >>

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 これは10月13日分の記事として掲載しておきます。煙の有毒物質にたいする防御能力と関連する遺伝子についての研究(Aarts et al., 2016)が報道されました。火の使用は人類進化史において画期とされています。火の使用により、寒冷な地域で生活しやすくなりましたし、調理が可能となり、ずっと効率的に栄養を摂取することが可能となりました。また、当初は石器製作、後には金属の加工といったように、技術的にも火の使用は人類に大きな影響力を及ぼしてきました。

 しかし、火の使用は人類にとって有害な側面もあります。煙や加熱した食品には人体にとって有毒な物質も含まれているからです。そうした煙の有毒物質は、白内障・肺結核・心臓病・慢性肺疾患・肺炎といった疾患や、繁殖能力の低下をもたらします。習慣的なタバコ喫煙に関する疫学的研究では、煙の有毒物質にたいする抵抗と関連する遺伝子多様体が確認されています。この研究は、そうした遺伝子多様体に関して、現代人のみならず更新世の化石も含む現生人類と、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった現生人類と近縁な系統の人類、さらにはチンパンジー・ゴリラという、現代人と最も近縁な現生種と比較しています。

 その結果、煙の有毒物質にたいする抵抗を増大させるような効果的な多様体は、現生人類よりもネアンデルタール人やデニソワ人において多く見られることが示されました。さらに、ネアンデルタール人やデニソワ人のような多様体のパターンは、チンパンジーとゴリラにおいても見られることが明らかになりました。人類の火の使用の始まりについては議論が続いており、200万年前頃の初期ホモ属とする見解もありますが、管理された火の使用は35万年前頃以降とする見解もあります。

 しかし、煙の有毒物質にたいする抵抗と関連する遺伝子多様体における、チンパンジーおよびゴリラとネアンデルタール人およびデニソワ人との類似性から推測すると、火を(管理できて)使用する前となる、人類系統と大型類人猿との共通祖先の時点で、煙の有毒物質にたいする抵抗を増大させるような効果的な多様体が存在した、ということになりそうです。そのためこの研究は、煙の有毒物質にたいする抵抗を増大させるような効果的な多様体は、植物の有毒物質にたいする防御としての進化の遺産ではないか、と推測しています。

 煙の有毒物質にたいする抵抗と関連する遺伝子多様体において、現生人類がネアンデルタール人やデニソワ人のみならずチンパンジーやゴリラよりも効率的ではない多様体を有するようになった理由と経緯については、まだ不明です。しかし、シベリアのウスチイシム(Ust'-Ishim)で発見された45000年前頃の現生人類にも現代人と同様の多様体が確認されますし、現代において大きい地域的な違いがないことからも、新石器時代以降の行動・食性の大きな変化とは関連していないようです。この研究の結果はかなり意外であり、今後の研究の進展が期待されます。


参考文献:
Aarts JMMJG, Alink GM, Scherjon F, MacDonald K, Smith AC, Nijveen H, et al. (2016) Fire Usage and Ancient Hominin Detoxification Genes: Protective Ancestral Variants Dominate While Additional Derived Risk Variants Appear in Modern Humans. PLoS ONE 11(9): e0161102
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0161102

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