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zoom RSS 最初のリモートオセアニア人集団の遺伝的構成

<<   作成日時 : 2016/10/05 00:00   >>

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 最初のリモートオセアニア人集団の遺伝的構成に関する研究(Skoglund et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、3100〜2700年前頃のバヌアツ人3個体と、2700〜2300年前頃のトンガ人1個体のDNAを解析し、現在の東アジア人およびオセアニア人778個体のDNAとゲノム規模で比較しています。熱帯地域のゲノム規模のデータが得られたのはこの研究が初めてなので、その点でも意義深いのですが、その結論は意外なものであり、この点でも大いに注目すべきと言えるでしょう。

 リモートオセアニアは人類にとって最後の主要な未踏地域(一時的に滞在する研究者たちのみが居住する南極大陸を除けば)であり、そこへの拡散の様相の解明は大きな関心を集めてきました。リモートオセアニアへの人類最初の拡散の指標となるのが、3000年前頃のラピタ(Lapita)文化の出現です。リモートオセアニアの現代の住民は全員、パプア人系統の子孫でもあり、ゲノムに占めるパプア人系統由来の領域の割合は少なくとも25%程度になる、と推定されています。そのため、じゅうらいは、リモートオセアニアに最初に拡散した集団はすでにニューギニア島とその近隣地域でパプア人系統と交雑していた、と考えられていました。

 しかしこの研究は、古代のバヌアツ人とトンガ人には、4万年以上前にニューギニア島やその周辺地域に拡散してきたパプア人系統との交雑の痕跡がほとんどまったくないことを明らかにしています。リモートオセアニアの最初の移住者は、ニューギニア島やその周辺地域を迂回したか、パプア人系統と交雑せずに、リモートオセアニアへと拡散し、その後にリモートオセアニアへと拡散した集団が、拡散の前にパプア人と交雑しており、リモートオセアニア地域にパプア人系統のゲノム領域をもたらしたのではないか、というわけです。

 この研究は、ラピタ文化のバヌアツ人とトンガ人の系統は現代東アジア系に近く、ラピタ文化集団と近縁な系統と、パプア人系統との交雑により、現代のリモートオセアニア人集団が形成された、という仮説を提示しています。この研究は、現代のパプア人・オーストラリア先住民・トンガ人の形成について複数の仮説を提示していますが、いずれも共通しているのは、現代トンガ人のゲノム領域の割合は、パプア人とオーストラリア先住民を含む系統からの25%程度と、現代東アジア人系統と近縁な系統からの75%程度になる、ということです。古代DNAの研究の進展により、人類拡散の様相の解明が大きく進展しており、今後の研究も注目されます。


参考文献:
Skoglund P. et al.(2016): Genomic insights into the peopling of the Southwest Pacific. Nature, 538, 7626, 510–513.
http://dx.doi.org/10.1038/nature19844

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