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zoom RSS 最終最大氷期におけるベーリンジアでの人類の痕跡

<<   作成日時 : 2017/01/18 00:00   >>

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 これは1月18日分の記事として掲載しておきます。最終最大氷期(LGM)におけるベーリンジア(ベーリング陸橋)での人類の痕跡に関する研究(Bourgeon et al., 2017)が報道されました。ベーリンジアは、カナダ北西のマッケンジー川からロシアのレナ川までにわたる広大な領域です。アメリカ大陸への最初の人類の進出には大きな関心が寄せられており、時として政治的問題も絡んできます(関連記事)。近年有力視されているベーリンジア潜伏モデルという見解では、人類はアメリカ大陸に進出する前に、最終最大氷期を含む寒冷期に、ベーリンジアに孤立した状態で1万年程度留まっていたのではないか、とされます(関連記事)。しかし、ほぼ異論のないベーリンジアにおける人類の痕跡はすべて、最終最大氷期以降のものとされていました。

 ただ、東ベーリンジアに関しては、1977〜1987年に発掘された、カナダのユーコン準州北部のブルーフィッシュ洞窟群(Bluefish Caves)遺跡の年代が、3万年前頃までさかのぼるのではないか、と指摘されています。しかし、ベーリンジアでは類似した年代の人為的痕跡が確認されていないので、ブルーフィッシュ洞窟群遺跡の3万年前頃という年代は議論になってきました。ブルーフィッシュ洞窟群遺跡では、彫器や細石刃などの石器群とともに、多数の動物の骨が発見されています。

 この研究は、ブルーフィッシュ洞窟群遺跡で発見された約36000点の動物の骨の断片を改めて調査しました。この包括的な分析により、石器による解体痕(cut marks)が明確に認められた動物の骨の断片は15点となり、その他にも、人為的痕跡があると考えられる動物の骨の断片が20点確認されました。ブルーフィッシュ洞窟群の動物の骨のうち、人為的痕跡があると確認されたものはごく稀ですが、この研究では、堆積過程の自然作用により人為的痕跡が失われたかもしれない、と指摘されています。

 人為的痕跡のある動物の骨の断片のうち最古のもの(ウマの下顎骨)は、放射性炭素年代測定により、非較正年代で19650±130年前(較正年代で24033〜23314年前)と推定されました。これは最終最大氷期の間のベーリンジアにおける人類の存在を確証するものであり、遺伝学で支持されているベーリンジア潜伏モデルが、考古学的にも支持されることになった、とこの研究では指摘されています。この研究により、ベーリンジア潜伏モデルは有力な仮説としての地位をさらに確たるものにした、と言えそうです。


参考文献:
Bourgeon L, Burke A, Higham T (2017) Earliest Human Presence in North America Dated to the Last Glacial Maximum: New Radiocarbon Dates from Bluefish Caves, Canada. PLoS ONE 12(1): e0169486.
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0169486

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