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現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人由来の遺伝子の影響

2017/02/28 00:00
 これは2月28日分の記事として掲載しておきます。現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)由来の遺伝子の影響に関する研究(McCoy et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人と出アフリカ現生人類(Homo sapiens)集団とが交雑し、非アフリカ系現代人のゲノムにわずかながらネアンデルタール人由来の領域が存在することは、今では広く認められている、と言ってよいでしょう。そうした領域のなかには、たとえば脂質代謝に関わる遺伝子(関連記事)や免疫に関連する遺伝子(関連記事)などがある、と報告されています。しかし、ネアンデルタール人のRNAは回収されていないため、遺伝子発現に影響を及ぼす調節多様性については、よく分かっていませんでした。

 この研究は、RNA配列データセットにおける対立遺伝子に特有の発現を定量化し、ネアンデルタール人由来の遺伝子と現生人類型の遺伝子とが52の異なる組織においてどのように発現しているのか、検証しました。その結果、現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人由来の遺伝子の効果は、身長や統合失調症または狼瘡への感染のしやすさなどといった特徴と関わっていることが明らかになっています。この研究でとくに注目されているのは、脳と精巣に関わる遺伝子に関しては、ネアンデルタール人由来の対立遺伝子の顕著な下方制御が見られる、ということです。ネアンデルタール人由来の変異が存在すると、細胞はメッセンジャーRNA(mRNA)の部分を除去するわけです。

 これについては、脳と精巣においてネアンデルタール人系統の遺伝子が現生人類系統にとって有害なため、排除されるようになった可能性が提示されています。ネアンデルタール人の系統と現生人類の系統とが70万年前頃に分岐した後、脳と精巣においてとくに急速な進化があったかもしれず、それが両系統の最大の違いではないか、というわけです。脳は認知能力、精巣は繁殖能力と直結するわけで、脳と精巣に関連する遺伝子に大きな選択圧が作用した可能性は高いと言えるでしょう。今後の研究課題として、種区分未定のデニソワ人(Denisovan)由来の遺伝子でも現代人の遺伝子の発現に影響があるのか否か、ということが挙げられており、研究の進展が期待されます。


参考文献:
McCoy RC, Wakefield J, and Akey JM.(2017): Impacts of Neanderthal-Introgressed Sequences on the Landscape of Human Gene Expression. Cell, 168, 5, 916–927.
http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2017.01.038
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第8回「赤ちゃんはまだか」

2017/02/27 00:00
 これは2月27日分の記事として掲載しておきます。直親(亀之丞)と「しの」が結婚して4年経過しましたが、「しの」はまだ懐妊せず、気に病んでいました。その様子を見ていた次郎法師(直虎)は、妊娠の妙薬とされる麝香を買い求めるよう、小野政次(鶴丸)に依頼します。政次は駿府で麝香を買い、次郎法師に渡します。次郎法師は母親に「しの」へ渡すよう頼みますが、直接「しの」に渡すよう、母から諭されます。しかし、次郎法師が「しの」に麝香を渡そうとすると、「しの」は日頃の鬱屈した気持ちから次郎法師に暴言を吐きます。直親も側室を迎え入れる決意を固め、「しの」は追い詰められて自害しようとしますが、次郎法師は「しの」の自分にたいする鬱屈した気持ちを理解したうえで、「しの」に自害を断念させます。

 駿府では、今川義元が息子の氏真に家督を譲り、尾張攻略の準備を進めていました。直親は尾張の織田との戦いで初陣を飾りたい、と次郎法師の父である直盛に申し出ますが、留守居を命じられます。今回は、「しの」と次郎法師との関係が軸になっていました。夫のかつての婚約者だった次郎法師を「しの」が強く意識するのはありがちな話で、正直なところ、陳腐な感は否めませんでした。ただでさえ視聴率が低迷しているのに、この内容では、ますます視聴者が逃げていきそうです。まあ、相変わらず地味な感は否めませんが、次回描かれる桶狭間の戦いの後は見どころが増えてくるでしょうし、松平元康(徳川家康)の人物像も次第に明かされてきましたから、期待しつつ視聴を続けることにします。
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小山聡子『浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜』

2017/02/26 00:00
 これは2月26日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年1月に刊行されました。本書は、親鸞の生涯と浄土真宗教団の成立過程を、その思想の変遷をたどりつつ解説しています。親鸞やその後継者たちの思想の背景として、浄土教をはじめとする平安時代以来の伝統的な信仰があり、親鸞やその後継者たちが自力に完全に徹していたわけではないことが解説されています。

 本書のこうした指摘の背景として、近代以降に研究者を中心として浄土真宗に「近代性」を見出す志向が強くあり、親鸞やその後継者たちの言説からそうした志向に合致するものを継ぎはぎ的に取捨選択してきた結果、浄土真宗が理想化されてしまっているのではないか、との問題意識があるようです。本書は、親鸞の誕生から蓮如の代になって強大な教団が成立するまでだけではなく、平安時代の浄土教信仰や法然の信仰といった親鸞の登場背景と、近代以降の親鸞および浄土真宗の解釈についても解説しており、視野の広い一般向け書籍になっていると思います。

 浄土真宗をはじめとして、いわゆる鎌倉新仏教に、ヨーロッパにおける宗教改革との類似性と近代性の萌芽を認めるような見解は、近代以降の日本においてすっかり定着した、と言えそうです。そうした傾向のなかで、親鸞と浄土真宗に関しても、その合理性・近代性が主張されてきました。しかし本書は、親鸞とその後継者たちに関しても、平安時代以来の伝統的信仰の影響を強く受けており、呪術的行為を否定したわけではない、と指摘しています。

 たとえば親鸞は、呪術を完全否定したのではなく、呪術による極楽往生を否定したのでした。親鸞は、完全に他力の思想に徹することはできず、臨終時の奇瑞を称賛するようなところもあったとはいえ、晩年まで他力の思想に近づこうと努力していました。しかし、親鸞と身近に接していた妻や娘でさえ、伝統的な信仰のもと、臨終行儀などの自力に拘ったところがある、と本書は指摘します。本書は、親鸞も自分と妻や娘との思想の違いに気づいてはいたものの、絶縁するほどのことではなかったと考えていたのだろう、と推測しています。

 親鸞と家族との思想の違いが、親子関係の断絶を生じさせることもありました。親鸞の長男である善鸞は、父との関係が良好だったようです。しかし、親鸞が京都に戻り、善鸞が布教のために関東に向かうと、関東の門徒の一部と善鸞との間で諍いが生じ、親鸞はついに善鸞を義絶します。善鸞は、関東で他力の思想に徹したのではなく、伝統的な世界観にいる人々の要望にこたえて、呪術的要素も取り入れて布教を拡大していきます。それが親鸞門下の間での確執を生じさせ、ついには親鸞も善鸞を義絶するに至ったわけです。

 本書は、この義絶の背景として、親鸞自身にも他力と自力の間をはじめとして思想・論理の揺れがあり、弟子も親鸞の思想を理解しにくかったことが根本的要因としてあるのではないか、と指摘しています。偉大な宗教家・思想家の思想は奥が深く発展性に富んでいる、ということでしょうか。親子の仲は良好だったとはいえ、善鸞も親鸞の思想をよく理解できていなかったのではないか、というのが本書の見解です。本書では、このような親子関係の断絶はその後も親鸞の子孫においてたびたび繰り返された、と指摘されています。

 親鸞の教えは関東・北陸などで浸透していきますが、現代では浄土真宗の最大勢力となっている本願寺教団(江戸時代になって東西に分裂してますが)は、蓮如の頃までは親鸞の教えの門徒のなかでも最大勢力というわけではなく、そもそも親鸞の教え自体も、独立した宗派というより、天台宗の一流派のようなものでした。親鸞もその子孫も、多くが天台宗をはじめとして旧来からの顕密体制的な寺院で修行しており、朝廷・大寺社などの権門との関係を深める動きもありました。

 そうした背景のなかで、蓮如は他力を強く主張し、教勢を拡大して独立した教団を確立しますが、門徒だけではなく蓮如自身にも、他力に徹することはできず、自力的な要素が見られたことを、本書は指摘しています。浄土真宗と称するようになったのも蓮如の時で、親鸞の教えは当時、時宗や修験道的な信仰とともに一向宗と呼ばれていました。しかし、蓮如の意向にも関わらず、当時の人々は、親鸞の教えを一向宗と呼んでいたそうです。

 本書を読んだのは、仏教史についてあまりにも無知なので、多少なりとも知見を得たい、という動機もありますが、やはり、私自身が自覚的な浄土真宗の門徒であることが大きく、本書を読んで色々と考えさせられるところがありました。私は、信仰について尋ねられたら、浄土真宗だと即答するくらいには自覚的ですが、正直なところ、教義もその歴史もよく理解しているとはとても言えません。私も40代半ばとなり、そろそろ信仰についても真剣に考えていかねばならない、と考えています。その意味でも、本書は有益でした。もちろん、近世における浄土真宗についての解説が欠けているとはいえ、親鸞と浄土真宗の歴史的位置づけについての解説というでも、良書だと思います。
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加齢によるリスク選好の変化は脳構造の変化に起因する

2017/02/25 00:00
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。加齢によるリスク選好の変化に関する研究(Grubb et al., 2016)が公表されました。ヒトがリスク(予測できない結果)を伴う意思決定を行うさいには、右後部頭頂皮質という脳領域が活動しています。これまでの研究では、この領域の灰白質の量が若年成人のリスク選好と相関していることが明らかになっています。ヒトでは、昔から知っていて見慣れたものを選ぶ傾向は、年齢を重ねるにつれて顕著になります。ヒトは年をとるとリスクのある決定をあまりしなくなるわけですが、その原因が、年を重ねて得られた知恵なのか脳の構造なのかは、分かっていません。

 この研究は、52人の被験者(18〜88歳)による実験を行い、確実な選択肢と不確実な選択肢のいずれかを選ばせました。予想通り、高齢の被験者と若い被験者を比較すると、高齢の被験者の方が確実な選択肢を好み、確実な選択肢を好む傾向は年齢が高くなるほど顕著になりました。この研究は次に、得られたデータをモデルに組み込み、こうした好みの変化を予測する変数として最も適したものを判定しました。その結果、主因子は右後部頭頂皮質の灰白質の量である、と明らかになりました。この結果は、健康な加齢において生じる脳の変化が、これまで考えられていた以上に、ヒトの意思決定のパターンと選好に強い影響を与えていることを示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【神経科学】加齢によるリスク選好の変化は脳構造の変化によって説明できる

 昔から知っていて見慣れたものを選ぶ傾向は年齢を重ねるにつれて顕著になるが、この傾向は、加齢ではなく特定の脳領域の灰白質の変化によってうまく説明できることを明らかにした論文が掲載される。

 ヒトがリスク(別の言い方をすれば「予測できない結果」)を伴う意思決定を行う際には、右後部頭頂皮質という脳領域が活動している。これまでの研究では、この領域の灰白質の量が若年成人のリスク選好と相関していることが明らかになっている。ヒトは年をとるとリスクのある決定をあまりしなくなるが、その原因が、年を重ねて得られた知恵なのか脳の構造なのかは分かっていない。

 今回、Ifat Levyの研究チームは、52人の被験者(18〜88歳)による実験を行い、確実な選択肢(5ドルが得られる)と不確実な選択肢(5〜120ドルが得られるが、実際に得られる額はランダムな確率で決まる)のいずれかを選ばせた。予想通り、高齢の被験者と若い被験者を比較すると、高齢の被験者の方が確実な選択肢を好み、確実な選択肢を好む傾向は年齢が高くなるほど顕著になった。次にLevyたちは、このデータをモデルに組み込んで、こうした好みの変化を予測する変数として最も適したものを判定した。その結果、こうした好みをもたらす主たる因子が、加齢ではなく、右後部頭頂皮質の灰白質の量であることが判明した。この結果は、健康な加齢において生じる脳の変化が、これまで考えられていた以上にヒトの意思決定のパターンと選好に強い影響を与えていることを示唆している。



参考文献:
Grubb MA. et al.(2016): Neuroanatomy accounts for age-related changes in risk preferences. Nature Communications, 7, 13822.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms13822
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9世紀〜12世紀にかけての北アメリカ大陸における母系継承の支配層(追記有)

2017/02/24 00:00
 これは2月24日分の記事として掲載しておきます。9世紀〜12世紀の北アメリカ大陸の支配層と思われる人骨群のDNA解析に関する研究(Kennett et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州にある有名なプエブロボニート(Pueblo Bonito)遺跡の人骨群です。放射性炭素年代測定法により、プエブロボニート遺跡の年代は800〜1130年頃と推定されています。アメリカ合衆国南西部のチャコ渓谷(Chaco Canyon)には、2階以上の巨大な石造建造物(グレートハウス)が存在しています。その中で最大のグレートハウスはプエブロボニート遺跡にあり、約650の部屋が存在します。

 この約650の部屋のうち、33号室は精巧な地下埋葬場だと考えられており、当時のチャコ渓谷の社会が階層的だったことを示している、と考えられています。33号室の最初の埋葬者である40代の男性は、頭部に致命傷を負っていました。この男性の副葬品には、11000個のトルコ石のビーズ・3300個の貝のビーズや、プエブロボニート遺跡から遠くなれたカリフォルニア湾産出の貝なども含む人工物がありました。これは、支配層の存在を示している、と考えられます。ただ、当時のチャコ渓谷の社会は、平等主義的ではなく、複雑で階層的ではあるものの、国家とまで言えるのか断定はできない、と研究者たちは慎重な姿勢を示しています。

 この33号室の遺体のうち9人からDNAが採取されました。その解析の結果、埋葬されていた9人のミトコンドリアDNA(mtDNA)が一致しました。これは、チャコ渓谷の社会では300年以上にわたって支配層が母系で継承されたことを示す、と指摘されています。また、そのうち6人の高精度のmtDNAおよび核DNA解析と放射性炭素年代測定から、30〜40歳の女性である頭蓋8と30〜35歳の男性である頭蓋10が祖母と孫息子との関係に、35〜45歳の女性である頭蓋1と23〜27歳の女性である頭蓋7が母親と娘の関係にある、と推定されています。

 書記体系を有する古代社会にとって、権力の世襲は初期の政治的複雑性と統治の特徴の一つとされています。9世紀〜12世紀のチャコ渓谷の社会のように、書記体系のない複雑な社会では、権力の世襲とその起源についての解明が難しくなっています。そうしたなかで、DNA解析と放射性炭素年代測定により支配層の母系継承が証明されたことは、大いに注目されるべきだと思います。ただ、だからといって、元々人類の社会は母系継承だったのだ、と結論づけることはできないと思いますが(関連記事)。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【遺伝】母系世襲による権力継承が行われていた初期の複雑な社会

 先史時代に現在の米国ニューメキシコ州にあたる地域に存在していた複雑な社会に関するゲノム解析が行われ、エリートの地位が母系で継承されていたことが示唆されている。今回の研究では、DNAから古い時代の家族的階層関係が推定され、指導者の地位の世襲の文化的起源を解明する上で1つの手掛かりが得られた。この成果を報告する論文が、今週掲載される。

 北米における最初期の複雑な社会の1つである「チャコ」社会の人々は、米国南西部のチャコ渓谷にあった2階以上の巨大な石造建造物(「グレートハウス」)で暮らしていた。最大のグレートハウスはプエブロ・ボニートにあり、約650の部屋があった。今回、Douglas Kennettの研究チームは、このグレートハウスの33号室に埋葬されていた9人の遺骸からDNAを採取した。33号室は、チャコ社会で地位の高い者とその直系の子孫のための精巧な地下埋葬場だと考えられている。また、DNA解析の結果、埋葬されていた個体のミトコンドリアゲノムが同じであることが判明した。これは、埋葬者全員が同じ母方の家系に属することの徴候だ。これらの埋葬者は、数世代にわたっており、330年間に順番に埋葬されていた。以上の知見を総合すると、チャコ社会では、9世紀前半には高度の社会的分化と社会的複雑度が存在したことが示されている。また、チャコ社会では、1130年頃に社会が崩壊するまで指導者の地位が母系で継承されていた。

 権力の世襲は、書記体系をもつ古代社会(エジプト、古代マヤなど)における初期の政治的複雑性と統治の1つの特徴だが、その文化的起源については、チャコのような先史時代の複雑な社会に書記体系がなかったため、解明が難しくなっている。チャコ社会に権力の上下関係があったと考えられることは認められているが、この階層構造の性質については論争があり、今回の研究は、この論争に決着をつける上で役立つと考えられる。



参考文献:
Kennett DJ. et al.(2017): Archaeogenomic evidence reveals prehistoric matrilineal dynasty. Nature Communications, 8, 14115.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms14115


追記(2017年2月24日)
 ナショナルジオグラフィックでも報道されました。
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久々にIntelのCPUを脅かすかもしれないAMDの新CPU

2017/02/23 00:00
 これは2月23日分の記事として掲載しておきます。その昔、IntelとAMD がCPUで1 Ghz競争を繰り広げていた頃や、IntelがPentium 4で躓いていた?頃のAMDのCPUの競争力を考えると、Core2 Duo以降のCPU競争におけるAMDのIntelにたいする10年以上の劣勢は、かつて6年以上AMDのCPUを使っていた私(関連記事)にとって寂しいものでした。AMDは2011年に、新たなCPUアーキテクチャであるBulldozerを発表しましたが、公式発表前から残念な性能が漏れてきて(関連記事)、公式発表後のベンチマークの結果もやはり残念なものでした(関連記事)。

 しかし、もうすぐ公式発表となる、AMDの新たなCPUであるRyzen(Zenアーキテクチャ)は、これまでに漏れてきた価格と消費電力からすると、IntelのCPUを脅かす存在になり得そうです。もちろん、公式発表まで完全に信用することはできませんが、複数の情報源が似たような性能・価格を示しているようなので、Bulldozerアーキテクチャの時のことを考えると、とりあえず信用してもよいのではないか、と思います。これで残念な性能だったら、本当に失望しそうで怖いのですが・・・。

 デスクトップパソコンを購入してから5年以上経過し(関連記事)、そろそろ壊れても不思議ではなく、最近新たに導入したOffice 2016の動作がやや重いと感じることもありますので(関連記事)、そろそろデスクトップパソコンの買い替えも視野に入れよう、と考えています。これまでは、買い替えるさいにはIntelのCPUしか選択肢になかったのですが、AMDのZenアーキテクチャのコスト・ワットパフォーマンスが評判通り良好なのだとしたら、久々にAMDのCPUを搭載したデスクトップパソコンを購入するかもしれません。まあAMDにとっては、デスクトップパソコンよりも、サーバやノートパソコンでどれだけIntelの牙城に食い込めるか、ということが課題になりそうで、今後の展開が注目されます。
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ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』610話〜613話

2017/02/22 00:00
610話「38時間」10
 約半年振りの山さん単独主演作となります。少年が誘拐され、取引は一度だけだ、との連絡が犯人から家族に入ります。一係が密かに追跡するなか、犯人は身代金3000万円を受け取ることに成功しますが、大金を得て浮かれ、油断してダンプに衝突し、意識不明になります。犯人は意識を回復し、山さんたちは必死に少年の行方を聞き出そうとしますが、少年は月曜日8時に死ぬと言い残し、犯人は死亡します。山さんは、犯人が最も慕っていた男性を訪ねます。山さんは、今回の誘拐事件の手口と類似した過去の事件の犯人がこの男性であり、今回の誘拐事件でも少年は同じ場所に監禁されたのではないか、と推理します。山さんは、過去の事件で誘拐された少年を男性の店に連れていくなどして男性を挑発し、男性に自分を殴らせ、男性を逮捕します。男性はなかなか自白しませんが、ぎりぎりになって少年を救う決断をくだします。今回は山さん対決ものと言えるでしょうが、山さんと今は亡き高橋悦史氏が演じる男性との対決は見ごたえがあり、緊張感のある展開が続いて楽しめました。自分の家庭を守るために沈黙し、少年を見殺しにして耐えられるのか、と山さんが男性に問うと、男性は山さんに、少年を助けるために自白すれば、男性の家庭は崩壊するが、それに耐えられるのか、と問い返します。メインゲストの演技が作品の質を高めたと言えるでしょう。


611話「無口な男」7
 自動車教習所の教官が建設中のビルから転落して死亡します。その教官は、前日に道路の花束を見て動揺していた、と生徒が証言します。トシさんと共にその花束の置かれた現場にいたブルースは、男性が自分たちを見ているのに気づいて追いますが、見失ってしまいます。捜査が進むと、3年前にその現場で少女が轢き殺されたことと、教官の金遣いが荒いことが分かりますが、遺族が花束を置いていたわけではなさそうで、教官の金蔓も分かりません。ブルースは、自分たちを見ていた男性を捕まえて調べますが、その男性と事件との関係は分からないままです。しかし、一係の粘り強い捜査により、男性の元婚約者が殺された教官の元生徒であり、少女を轢き殺したために、教官から強請られていたのではないか、と分かってきます。さらにブルースは、元婚約者が教官を殺し、その現場を見ていた別の人物に脅迫されるようになったので、男性が元婚約者を守るために、新たな脅迫者である自動車教習所の教官を殺そうとしているのではないか、と推理します。男性は刺されつつも新たな脅迫者を殺し、自分が犯人だとブルースに言い残して死にます。ブルースは、男性の遺言に反して、男性の元婚約者を自白させます。男性の謎めいた行動と、男女の情念が描かれ、なかなか楽しめました。


612話「怒れる狙撃者」6
 暴力団幹部が愛人宅で殺害されます。犯人は二人の男性で、一係は暴力団の内部抗争だと推理します。暴力団の組長が病気のために引退しそうだということで、後継者争いではないか、というわけです。犯人は幹部殺害に使った拳銃を捨てますが、その様子を高齢者男性が見ていました。その後、暴力団とは関係なさそうな男性が、同じ拳銃で撃たれます。この男性は、ある高齢者男性と揉め事になり、その高齢者男性と親しかった高齢者女性が自首してきますが、証言は曖昧です。マミーは、その二人の高齢者と病院で親しくしていた高齢者男性が気にかかります。この高齢者男性こそ、拳銃が捨てられたところを見ていた人物でした。この老人は元職業軍人で、拳銃の扱いにも慣れていました。事件の背景には、老いていき居場所のない老人たちの悲哀と、恋愛関係がありました。高齢社会が進展するなかで、高齢者とどのような関係を築くべきか、問題提起した意欲作になっていると思います。まあ、話自体は盛り上がりに欠けた感もありますが。こうした社会派的な作品もあったことが、本作の長期にわたる放送の一因になっていたように思います。


613話「ヘッドハンター」7
 進入禁止の道路に自動車が入ってきて、少女が轢き殺されます。捜査の進むなか、トシさんはヘッドハンターから薬品会社の室長の秘書への転職を勧められます。収入は倍になるとはいっても、薬品のことは何も分からない自分をなぜ勧誘しようとするのか、トシさんは困惑します。捜査がなかなか進展しないなか、タレコミが入ります。トシさんは用心しつつ、少女を轢き殺した自動車がある、と教えられた場所に向かいます。トシさんはそこで自動車に轢き殺されそうになり、負傷して気絶します。トシさんは、自分を引き抜こうとした薬品会社の室長が犯人ではないか、と疑います。トシさんは執拗に薬品会社の室長に食い下がりますが、この男性は犯人ではなく、事件の真相は別にあるのではないか、と推理します。けっきょく、真犯人はヘッドハンターで、トシさんの執拗な捜査により逮捕されます。なかなかひねってきた話になっており、推理ものとして楽しめました。最後のアクションシーンでボンのテーマが流れた理由がよく分からないのですが、懐かしくも嬉しくもありました。
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第7回「検地がやってきた」

2017/02/21 00:00
 これは2月21日分の記事として掲載しておきます。次郎法師(直虎)は井伊家存続のため直親(亀之丞)との別れを選択します。直親が井伊谷に帰還したとはいっても、今川に許されたわけではありません。そこで小野政次(鶴丸)たちは駿府に赴き、直親の帰参と家督相続を今川に認めてもらおうとします。その条件として、今川家当主の義元は井伊谷での検地を提示します。次郎法師の曽祖父である直平は、自分の治める川名の隠し里も検地の対象になると警戒し、激怒します。

 今回も戦国時代の小領主の悲哀が描かれており、検地を題材にし、作中で上手く検地について解説していたところは、歴史ドラマとしてなかなかよかったのではないか、と思います。これまでのところ、本作は戦国時代の小領主としての視点から描かれており、有名な勢力に関しては今川くらいしか取り上げられておらず、地味な感は否めませんが、戦国時代を舞台とした歴史ドラマとして、私はわりと楽しんでいます。人間ドラマとしても、次郎法師・直親・政次の緊張感ある関係は興味深いものでした。今回も竹千代(徳川家康)が登場し、主人公側と間接的に関わってきました。おそらく創作なのでしょうが、後の家康と井伊との関係も考えると、悪くはない創作だったように思います。
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「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか

2017/02/20 00:00
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。表題の記事がナショナルジオグラフィックに掲載されました。正直なところ、表題を読んだ時には、男女には本質的な違いはないとか、性別を重視すること自体が社会的に構築されたものだとか、性別自体が生物学的に否定されているとかいった言説が展開されるのではないか、とかなり警戒したのですが、以前からの私の見解にひじょうに近いところがあり、かなり同意できる内容でした。もっとも、表題の記事で男女差の事例とされた課題実験も、社会的に構築された性差の構造に起因するものにすぎない、との反論もあるかもしれません。こうした問題に関しては、今後も検証が必要なのだと思います。認知能力と遺伝子との関連が今よりもはるかに解明されれば、もっとはっきりと分かってくることなのでしょう。

 現時点では、「能力」の性差に関して確実に判明していることはあまりにも少ないのかもしれませんが、『私、別に男女の脳に差がないとは全然思ってなくて、絶対あると思ってるんです』との発言には強く同意します。ただ、それは、表題の記事の指摘にあるように、『統計的にはめちゃめちゃ有意なんです。確実に男女差がある。でも、有意だというのと、大きな差があるかというのは別で、男女のヒストグラムがこれだけ重なって、男女の平均の差よりも、個人差の方が大きいよねってくらいのものです』ということでもあると思います。

 『すごく大事なのは、集団Aと集団Bの間に差があると分かった時、それが統計的に「有意」であったとしても、それだけで、集団Aの構成員はこうで、集団Bの構成員はこうだ、とは決めつけられないことだ。集団間にある分布の違いを明らかにすることと、構成員の個々の特性を明らかにすることは全く違うことなのに、しばしば混同される』との指摘は、本当に重要だと思います。これは、性別に限らず、たとえば民族・地域集団間の比較でも言えることでしょう。

 民族・地域集団(一般には、「人種」という用語が広く使われていますが)間で能力に差はない、とするのが現在では「政治的に正しい」こととされているように思います。しかし私は以前から、確証はきわめて困難だとしても、民族・地域集団で「能力」に優位な差のある事例が多いだろう、と考えてきました。ここで問題となるのは、「能力」の定義というか、「能力」の測定条件です。ある能力に関しても、条件(環境)が違えば、結果は変わってくるかもしれません。たとえば、温度・湿度といった気候条件や、生命の危険性の度合いといった条件などです。

 このように考えれば、「能力」は無数と言ってもよいくらいの種類があり、条件(環境)により「優劣」が変わってくる場合も少なくないだろう、と考えられます。生物の諸形質に関する「優秀・劣等」という二分論的な評価は多分に環境依存的であり、その環境とは自然的なものだけではなく人為的なものも含まれますから、環境が容易に変動することを考えると、特定の環境への過剰な適応を目的にしているとも言える優生学の危険性は明らかだと思います(関連記事)。また、表題の記事の指摘と関連しますが、多くの能力は、集団間の差よりも集団内の個人差の方がはるかに大きいものになるでしょう。その意味で、「**(たとえば黒人や女性や特定の民族集団)に(高等)教育は無駄だ」というような議論があるとすれば、それは根本的に間違っていると思います。

 ただ、個人単位ではなく社会的な単位での比較となると、やはり「能力差」が重要なのだ、との見解もあるかもしれません。たとえば「経済発展」などの社会的な事象に関しては、ある特定の「能力」の集団間のごく僅かな差が決定的な要因になり得ることもあるのだ、との見解も提示されるかもしれません。特定の条件(環境)では、あるいはそうした事例もあり得るのかもしれず、たとえば、それがネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」の要因になった可能性は、現時点では排除できないと思います。まあ、これは現生人類内部での比較と同列に扱うわけにはいきませんが。
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今井宏平『トルコ現代史 オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで』

2017/02/19 00:00
 これは2月19日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年1月に刊行されました。本書は、オスマン帝国の崩壊・トルコ共和国の成立から、昨年(2016年)までのトルコの動向を対象としています。本書は経済・社会構造・文芸なども取り上げていますが、ほぼ政治史になっており、政党政治の変遷や民族問題・外交が詳しく解説されています。トルコ現代史については本当に無知なので、教えられるところが多々あったというか、教えられるところばかりでした。

 トルコ共和国は世俗主義を根本的な理念としてきましたが、国民の多数を占める非エリート層において、イスラームの影響力はずっと根強く、政党側がそうした階層からの支持を得るために、すでに1950年代には世俗主義が揺らいでいきました。私はこうした基本的なことすら知らなかったわけで、本書の冒頭でも指摘されているように、おそらくは他の多くの日本人と同様に私も、アタテュルクと現在のエルドアン大統領(もしくは公正発展党政権以降)との間の知識が大きく欠落しています。

 これは、日本とトルコとの関係が、1980年代以降に大きく進展し始めたことが一因なのかもしれません。日本社会におけるトルコへの関心はずっとあまり高くなく、そうした社会で育つと、意識的にトルコについて勉強しようとしなければ、なかなか大まかな流れさえつかめないのだと思います。本書は読者の大半を日本人と想定しているだろうということもあってか、日本とトルコとの関係についても1章を割いており、とくにエルトゥールル号事件については詳しく解説しています。

 世俗主義などトルコ共和国の根本的な理念の揺らぎを抑える役割を果たしてきたのが軍部で、書簡による圧力なども含めて、たびたびクーデタを起こしてきました。本書は、政党政治の進展における軍部の影響について、詳しく解説しています。しかし、トルコ共和国において大きな影響力を有してきた軍部も、昨年7月のクーデタ未遂事件に見られるように、影響力が弱まり、現在では文民政府が軍部にたいして優位な立場を確固たるものにした、と本書は指摘します。

 本書は、このように現在までのトルコ史を解説し、クルド人との間の民族問題や難民問題やテロの頻発といった困難な状況に、現在トルコが置かれていることを指摘します。地域大国であろうとし、じっさいその影響力を軽視できないトルコの今後は、不安定な中東情勢の行く末にも大きな影響を及ぼすと思われます。一度読んだだけでは、本書で取り上げられた政治家・政党をすべて把握できそうにはないので、今後何度か本書を再読しよう、と考えています。
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ハインリッヒイベントの要因

2017/02/18 00:00
 ハインリッヒイベントの要因に関する研究(Bassis et al., 2017)が公表されました。ハインリッヒイベントは、ローレンタイド氷床などの氷床から北大西洋へ多数の氷山が流出する大規模な事象です。しかし、数十年にわたる研究で多数の見解が提示されているにも関わらず、ハインリッヒイベントを起こす機構に関してはまだ激しい議論が続いています。この研究は、新しいモデルによる証拠を提示し、ハインリッヒイベントが驚くほど単純な機構によって起こることを示しています。それは、暖かい海水の流入が氷床の分離面を不安定化し、氷山を突然流出させる、というものです。また、海底の地殻均衡の反動が舌状の隆起を生じさせ、海洋との界面の遮断を促進し、ハインリッヒイベントの特徴的な激しさを生み出していることが重要だ、とも指摘されています。ハインリッヒイベントは、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅とヨーロッパにおける現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」とも関わっているのではないか、とも指摘されているだけに(関連記事)、研究の進展が注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


気候科学:海洋強制によって起こり地殻均衡によって調節されるハインリッヒイベント

気候科学:氷床のハインリッヒイベントのモデル化

 ハインリッヒイベントは、ローレンタイド氷床などの氷床から北大西洋へ多数の氷山が流出する大規模な事象である。しかし、数十年にわたって研究され、多数の提案がされているにもかかわらず、ハインリッヒイベントを起こす機構は依然として激しい議論の的となっている。J Bassisたちは今回、新しいモデルによる証拠を提示し、ハインリッヒイベントが驚くほど単純な機構によって起こることを示している。すなわち、暖かい海水の流入が氷床の分離面を不安定化し、氷山を突然流出させるのである。重要なのは、海底の地殻均衡の反動が舌状の隆起を生じさせ、海洋との界面の遮断を促進して、ハインリッヒイベントの特徴的な激しさを生み出していることである。



参考文献:
Bassis JN. et al.(2017): Heinrich events triggered by ocean forcing and modulated by isostatic adjustment. Nature, 542, 7641, 332–334.
http://dx.doi.org/10.1038/nature21069
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ノートパソコンとOfficeの買い替え

2017/02/17 00:00
 ノートパソコンを購入してから8年近く経過し(関連記事)、搭載されているOSのWindows Vistaのサポートが再来月(2017年4月11日)に迫ってきたので、ノートパソコンを買い替えることにしました。現在おもに使用しているデスクトップパソコンも購入してから5年以上経過し(関連記事)、そろそろ壊れても不思議ではないので、その点からも買い替えることにしました。画面サイズは15.6インチ、OSはWindows 10 、CPUはCore i5-7200U、メモリは8GB(DDR4 2400MHz)、グラフィックスはAMD Radeon R7 M445、ディスクはSSD256GB、DVD ドライブ付です。

 できれば、画面サイズは17.3インチ、内蔵GPUだけでメモリは16GBがよかったのですが、その他の条件も考慮すると希望と合うモデルがありませんでした。デスクトップパソコンが急に故障しない限りは、ノートパソコンをメインで使う予定はないので、デスクトップパソコンのメモリ使用状況からも、メモリは8GBあればじゅうぶんかな、と判断しました。今後、メモリが足りなさそうだと感じたら、メモリを増設するつもりです。先代のノートパソコンはCPUが2コアで、やや非力だと感じていたので、4コア製品も選択肢に入れたのですが、Core2 DuoからCore i第7世代となるとかなり性能が向上しているだろうということと、先代のノートパソコンの遅さは、ハードディスクとメモリの不足(2GB)のためだと判断したことから、CPUは2コアで妥協しました。設定はやや面倒でしたが、デスクトップパソコンを買い替えた時ほどではありませんでした。

 現在使用しているOffice 2007のサポート期限も今年10月10日に迫っているので、Office 2016を新たに購入しました。格安の互換ソフトや無料のオープンオフィスも考慮に入れて、ダウンロードして試してみたのですが、格安の互換ソフトはこれまで作成してきたファイルとの互換性は高いものの、編集の速度がきょくたんに遅くてとても実用的ではなく、オープンオフィスの方は軽いものの互換性に難があったので、高い値段でも仕方なくOffice 2016を購入しました。Office 2016はノートパソコンが届く前に購入し、まずデスクトップパソコンにインストールしたのですが、Office 2007をアンインストールしないとインストールできなかったのは誤算でした。もっとも、これは私の無知による可能性もあり、あるいは、Office 2007をアンインストールしなくても、Office 2016をインストールできたかもしれません。

 Office 2016はさすがにOffice 2007との互換性は高いのですが、ワードはやや重くなってしまいました。エクセルの方はそんなことはないのですが。ワードに関しては、Office XPの頃に作成した雛型をずっと使い続けているためなのかな、と考えて、体験版のOffice 2013をダウンロードした時に新たに作成した雛型を用いると、同じ文章量でも保存の時間は短縮されました。ただ、時々編集の動作が重くなることがあります。再起動すると解消されるのですが。デスクトップパソコンのCPUは定格3.4GHzですが、基本的には1.6 GHzに周波数を落として使用しているので、定格に戻すか、電圧を変更せずに安定して動作する4.4GHzまでオーバークロックする方がよいのかもしれません。

 ただ、4.4GHzまでオーバークロックしても、動作は確かにやや軽くなるものの、1.6 GHzでOffice 2007を使用していた頃と比較すると、編集時の反応がやや悪いことには変わりありません。これならば、互換性は低くても、軽いオープンオフィスを遣うべきだったかな、とやや後悔しています。まあ、現在使用しているデスクトップパソコンも、購入してから5年以上経過したので、そろそろ買い替えを視野に入れるべきなのかもしれません。とはいえ、Office 2016を購入したばかりなので、少なくとも今後2年は使い続けたいところではあります。

 ノートパソコンの方では、Office 2016の動作はデスクトップパソコンと比較して、ほかには、PDFファイルやフル4k動画の閲覧など、とくに重いと感じることはなく、なかなか快適に使えそうです。やはり、SSDとメモリ8GBとグラフィックボード4 GBの効果が大きいのでしょうか。これならば、メモリを16GBに増設しても体感速度はほとんど変わらないのではないか、とも思います。とりあえず、当分はメモリ8GBのままでよさそうです。ただ、起動時にパスワード入力画面まではたいへん速いものの、そこからシステム安定まではデスクトップパソコンと比較して遅く、これはメモリではなくCPUの違いでしょうか。やはり、Core iシリーズで5世代違うとはいっても、2コアと4コアでは決定的な違いがある、ということなのでしょうか。それなりの値段で購入したので、何とか5年程度はこのノートパソコンを使いたいものです。
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不正を続けると不正への脳の感受性が低下する

2017/02/16 00:00
 不正直な行動と脳の感受性に関する研究(Garrett et al., 2016)が公表されました。この研究は、18〜65歳の80人に参加してもらい、第1被験者に1ペンス銅貨入りのガラス瓶の画像を見せて銅貨の数を見積もらせ、その数を第2被験者に伝えさせる、という実験を行ないました。この研究は、(1)第2被験者が不利益を受けて第1被験者が利益を得る、(2)第1被験者も第2被験者も利益を得る、(3)第1被験者が不利益を受けて第2被験者が利益を得る、(4)第1被験者だけが利益を得て、第2被験者は影響を受けない、(5)第2被験者だけが利益を得て、第1被験者は影響を受けないというように、ガラス瓶の中身に関して不正直になることが誰の利益になるのかという観点から条件を変えていきました。

 その結果、検査を数回続けると、第1被験者が利益を得る条件(第2被験者が不利益を受ける場合と第2被験者も利益を得る場合)では、第1被験者が不利益を受けて第2被験者が利益を得る場合と比較して、第1被験者の不正直が増大していました。さらに、不正直の測定レベルと不正直の測定レベルの増大幅は、第1被験者だけが利益を受ける場合の方が第2被験者だけが利益を受ける場合より大きくなっており、こうした結果が私利私欲によるものと示唆されています。

 この研究は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用い、一部の被験者が一つの条件による実験に参加した時の脳活動を測定しました。これらの被験者の場合、自分の利益になる不正直に対する脳の右半球と左半球の両方の扁桃体(感情を誘発する事象に対して感受性を持つ脳領域)の応答が時間の経過に伴って次第に低下していきましたが、自分が不利益を受ける不正直ではそのようなことがありませんでした。

 特定の検査において自分の利益になる不正直に対する被験者の扁桃体の応答が低下することは、その被験者について、その後の検査で自分の利益になる不正直が増大する量を予測する際に利用できる可能性がある、と指摘されています。この研究で得られた知見は、詐術のいろいろな側面と関連している他の脳領域が原因になっているとは考えられず、自分の利益になる不正直において扁桃体が特権的な役割を果たしていることが示唆されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


脳が不正直に適応して不正直の程度が次第に増していく

 自分の利益になる不正直な行動を繰り返すと不正直に対する脳の感受性が低下することを報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回、管理された実験条件下で不正直の増大を誘導して、測定する研究が行われ、正直からの少しの逸脱が繰り返されるうちに逸脱が雪だるま式に大きくなり、かなりの程度の不正直になってしまう“slippery slope(転落への坂道)”が生物学的に説明されている。

 今回、Neil Garrett、Tali Sharotの研究チームが行った実験には80人の成人(18〜65歳)が参加し、第1被験者に1ペンス銅貨入りのガラス瓶の画像を見せ、銅貨の数を見積もらせ、その数を第2被験者に伝えさせた。Garrettたちは、 (1)第2被験者が不利益を受けて第1被験者が利益を得る、(2) 第1被験者も第2被験者も利益を得る、(3) 第1被験者が不利益を受けて第2被験者が利益を得る、(4) 第1被験者だけが利益を得て、第2被験者は影響を受けない、(5) 第2被験者だけが利益を得て、第1被験者は影響を受けないというようにガラス瓶の中身に関して不正直になることが誰の利益になるのかという観点から条件を変えながら実験を行った。

 検査を数回続けると、第1被験者が利益を得る条件(第2被験者が不利益を受ける場合と第2被験者も利益を得る場合)では、第1被験者が不利益を受けて第2被験者が利益を得る場合と比べて第1被験者の不正直が増大していた。さらに不正直の測定レベルと不正直の測定レベルの増大幅は、第1被験者だけが利益を受ける場合の方が第2被験者だけが利益を受ける場合より大きくなっており、以上の結果が私利私欲によるものということが示唆されている。

 今回の研究では、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、一部の被験者が1つの条件による実験に参加した時に脳活動の測定が行われた。これらの被験者の場合、自分の利益になる不正直に対する脳の右半球と左半球の両方の扁桃体(感情を誘発する事象に対して感受性を持つ脳領域)の応答が時間の経過に伴って次第に低下していったが、自分が不利益を受ける不正直ではそのようなことがなかった。特定の検査において自分の利益になる不正直に対する被験者の扁桃体の応答が低下することは、その被験者について、その後の検査で自分の利益になる不正直が増大する量を予測する際に利用できる可能性がある。以上の知見は、詐術のいろいろな側面と関連している他の脳領域が原因になっているとは考えられず、自分の利益になる不正直において扁桃体が特権的な役割を果たしていることが示唆されている。



参考文献:
Garrett N. et al.(2016): The brain adapts to dishonesty. Nature Neuroscience, 19, 12, 1727–1732.
http://dx.doi.org/10.1038/nn.4426
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古生代の触手冠動物であるヒオリテス類

2017/02/15 00:00
 ヒオリテス類の分類に関する研究(Moysiuk et al., 2017)が公表されました。ヒオリテス類は、古生代を通して広く存在した、殻を持つ化石生物です。その姿は蓋付きの角杯のようで、杯を支えるようにカーブした2本の突起(「ヘレン」と呼ばれます)があり、三脚付きの角形の殻にも見えます。ヒオリテス類は、冠輪動物(環形動物・軟体動物・腕足動物などの触手冠を有する動物)と呼ばれる無脊椎動物の分類群に属すると考えられていますが、あまりに特異なため、その類縁関係を判断することは困難でした。

 この研究は、有名なカナダのカンブリア紀のバージェス頁岩に由来するヒオリテス類の保管標本について調べ、その一部に軟組織が極めて良好な状態で保存されていることを示し、この生物群が実際に触手冠動物であることを明らかにしています。ヒオリテス類はおそらく腕足動物に類縁で、古生物学者が「微小硬骨格化石群(small shelly fossils)」と呼ぶ、別の謎に満ちた絶滅分類群tommotiid類を含んでいる可能性も指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化学:ヒオリテス類は古生代の触手冠動物である

進化学:バージェス頁岩に由来する、殻を持ったヒオリテス類

 ヒオリテス類は、古生代を通して広く存在した、殻を持つ化石生物である。その姿はまるで蓋付きの角杯のようで、杯を支えるようにカーブした2本の突起(「ヘレン」と呼ばれる)まであり、三脚付きの角形の殻にも見える。ヒオリテス類は、冠輪動物(環形動物、軟体動物、および腕足動物などの触手冠を有する動物)と呼ばれる無脊椎動物の分類群に属すると考えられてはいるが、あまりに特異なため、その類縁関係を判断することは困難であった。J Moysiukたちは今回、有名なカナダのカンブリア紀のバージェス頁岩に由来するヒオリテス類の保管標本について調べ、その一部に軟組織が極めて良好な状態で保存されていることを示して、この生物群が実際に触手冠動物であることを明らかにしている。ヒオリテス類はおそらく腕足動物に類縁で、古生物学者が「微小硬骨格化石群(small shelly fossils)」と呼ぶ、また別の謎に満ちた絶滅分類群tommotiid類を含んでいる可能性もある。



参考文献:
Moysiuk J. et al.(2017): Hyoliths are Palaeozoic lophophorates. Nature, 541, 7637, 394–397.
http://dx.doi.org/10.1038/nature20804
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アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源

2017/02/14 00:00
 アイルランドの移動型民族集団であるアイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関する研究(Gilbert et al., 2017)が公表されました。アイルランド国内のトラヴェラー集団の人口は29000〜40000人と推定されており、アイルランドの総人口の約0.6%に相当します。アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関しては、1845〜1852年にかけてのアイルランドの大飢饉の時期に起源がある、との説も提示されていますが、文書証拠がないために論争が続いています。

 この研究は、アイリッシュ・トラヴェラー集団42人・ヨーロッパのロマ民族143人・アイルランド人定住民2232人・イギリス人2039人・ヨーロッパ人5964人・その他の民族931人の遺伝的データを比較し、アイリッシュ・トラヴェラー集団とその近隣に住む民族の関係を調べました。その結果、アイリッシュ・トラヴェラー集団の祖先は、他のアイルランド人とよく似た古い時代のアイルランド人であり、ヨーロッパのロマ民族とはとくに遺伝的結びつきがない、と明らかになりました。この研究は、アイリッシュ・トラヴェラー集団が他のアイルランド人から分岐したのは、少なくとも8世代前(1世代30年での計算)のことだと推定しています。これは、アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源がアイルランドの大飢饉の時期だとする仮説と矛盾します。

 またこの研究は、アイリッシュ・トラヴェラーの集団におけるホモ接合度(ゲノム全体において父母の双方から同じゲノム配列を受け継いだ状態が占める割合)に関する理解と遺伝的浮動による稀な遺伝子多様体の増加傾向に関する理解が進むことは、アイルランド国内の疾患マップの作成にとって重要な意味を持つ可能性がある、とも指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【遺伝】アイリッシュ・トラヴェラーの起源
 アイリッシュ・トラヴェラーという集団の起源を論じた研究論文が、今週掲載される。今回の研究では、アイリッシュ・トラヴェラーがその他のアイルランド人の集団から分岐したのが今から200〜420年前だったことが示唆されている。この新知見は、アイリッシュ・トラヴェラーの起源をアイルランドの大飢饉(1845〜1852年)の時期とした有力な仮説と矛盾している。

 アイルランド国内のトラヴェラーのコミュニティーは29,000〜40,000人からなり、アイルランドの総人口の約0.6%に当たる。アイリッシュ・トラヴェラーの起源については、この集団の歴史に関する文書証拠がないために論争が起こっており、広く受け入れられている学説による説明がなされていない。

 今回、Gianpiero Cavalleriの研究チームは、アイリッシュ・トラヴェラー42人、ヨーロッパのロマ民族143人、アイルランド人定住民2232人、英国人2039人、ヨーロッパ人5964人、その他の民族931人の遺伝的データを比較して、トラヴェラーとその近隣に住む民族の関係を調べた。その結果、アイリッシュ・トラヴェラーの祖先は、他のアイルランド人によく似た古い時代のアイルランド人であり、ヨーロッパのロマ民族とは特に遺伝的結びつきはないことが明らかになった。Cavalleriたちは、アイリッシュ・トラヴェラーが他のアイルランド人から分岐したのは、少なくとも8世代前(1世代30年で計算した)のことだと考えている。

 また、Cavalleriたちは、アイリッシュ・トラヴェラーの集団におけるホモ接合度(ゲノム全体において父母の双方から同じゲノム配列を受け継いだ状態が占める割合)に関する理解と遺伝的浮動による稀な遺伝子バリアントの増加傾向に関する理解が進むことは、アイルランド国内の疾患マップの作成にとって重要な意味を持つ可能性のある点も指摘している。



参考文献:
Gilbert E. et al.(2017): Genomic insights into the population structure and history of the Irish Travellers. Scientific Reports, 7, 42187.
http://dx.doi.org/10.1038/srep42187
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第6回「初恋の別れ道」

2017/02/13 00:00
 これは2月13日分の記事として掲載しておきます。井伊谷に帰還した亀之丞は、元服して直親と名を改めます。直親は次郎法師(直虎)を還俗させ、自分の妻に迎えたいと考えますが、小野政次(鶴丸)は、今川に直親の帰還を認めてもらうことが先決だ、と主張します。次郎法師の出家が、今川による井伊の本領安堵の条件になっていたからです。次郎法師は、直親の赦免だけではなく、自分の還俗も認めてもらうことは難しいのではないか、と考えますが、今川の尾張攻略が進み、軍役の要求が厳しくなってきたことから、直盛たちは、次郎法師の還俗は諦めるよう、直親を説得します。

 直親はそれでも次郎法師を妻に迎えようとして、死んだことにして身を隠すよう、次郎法師を説得します。次郎法師も覚悟を決め、水死と見せかけようとしますが、父母たちと会えなくなることを考えると、決心が鈍ります。次郎法師は熟考し、井伊家安泰のためには自分が死んだことにするわけにはいかない、と直親に決意を伝えます。今回は、次郎法師の決意と悲恋が描かれました。娯楽ドラマとして王道的な話ではありますが、やはり地味な感は否めません。まあでも、こうした話の方が一般受けはよいかもしれません。熱心な大河ドラマ視聴者層の一部?には評判が悪そうではありますが。

 次郎法師と結ばれないことを悟った直親は、井伊家重臣の奥山朝利の娘である「しの」を妻に迎えることにします。直親の正室となる「しの」は今回が初登場で、顔見世程度の出番だったので、どのような人物なのか、まだよく分かりません。小野政次の弟の玄蕃も今回が成人役の初登場となります。今回も瀬名(築山殿)と竹千代(徳川家康)が登場しました。竹千代の人となりは少し描かれましたが、後年の天下人の片鱗はまだ窺えません。今後、どのように成長していくのでしょうか。
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池田嘉郎『ロシア革命 破局の8か月』

2017/02/12 00:00
 これは2月12日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2017年1月に刊行されました。本書は2月革命の勃発から10月革命の勃発までの約8ヶ月のロシアの政治情勢を解説していますが、その前後の時代も多少取り上げられています。副題に「破局の8か月」とありますが、本書を読んで改めて、この時期のロシアが破局的な情勢だったことが了解されます。2月革命後に成立した臨時政府は、けっきょくこの混乱した破局的情勢を収拾できなかったわけですが、それは、臨時政府の要人に第一次世界大戦を終結させるか、あるいは民衆を暴力的に抑え込む覚悟がなかったからだ、と指摘されます。

 この臨時政府の選択、さらにはロシア革命の前提として、ロシアにおける社会上層と下層との乖離が本書では指摘されています。1917年を迎えた時点で、ロシアにとって第一次世界大戦の終結とは、実質的に単独講和以外の選択肢が残されていませんでした。しかし、社会上層に属し、自由主義的で「穏健な」臨時政府の要人は西欧諸国と深く結びついており、ドイツを中心とする同盟国と単独で講和する決断を下すのは容易ではありませんでした。また、西欧諸国の価値観を強く受けていた臨時政府要人が、民衆を暴力的に抑え込む決断を下すこともまた、容易ではありませんでした。一方、西欧諸国との直接的結びつきをほとんど持たず、その価値観に共鳴しているわけでもない民衆は、西欧諸国からすると、私有権の無視といった暴力的で無秩序な行為に突き進みます。

 これは、ボリシェヴィキが2月革命後の混乱を収拾し、ロマノフ朝時代の最大領域からは縮小したとはいえ、広大な領域の国家を成立させ、軌道に乗せることができた理由も説明します。ボリシェヴィキは、自分たちの主要な支持層であった都市部労働者や兵士にたいしても、過酷な弾圧を実行しました。確かに、10月革命後から内戦期にかけてのボリシェヴィキの弾圧は過酷であり、後にはスターリン体制下の大粛清もありましたから、ボリシェヴィキを批判する見解はもっともなところです。

 ただ、本書にて描写されているように、2月革命以降のロシアにおける秩序の崩壊は深刻であり、いずれかの政治勢力が非常な決断を下さねば、長期的にはボリシェヴィキの統治以上の悲惨な事態が招来した可能性もあるのではないか、とも思います。とはいえ、もちろんボリシェヴィキの選択・統治を称揚することはできず、本書も指摘するように、ロシア革命の現実の推移がロシアから多くの可能性を奪ったことも否定できないでしょう。それは、穏健な議会政治・民主主義や私的所有権や自由など、西欧諸国の基本的な価値観です。ロシア革命を経て成立したソ連が崩壊しても、ロシアではなお、こうした課題が残されている、とも言えるでしょう。

 本書は、2月革命後のロシアの混沌とした情勢について、皇帝を廃したことにより、社会の底が抜けてしまったことが要因としてあるのではないか、と指摘します。家父長的規範が切断されたことにより、社会の「底が抜けた」のではないか、というわけです。このロシア革命の教訓は、現在でも重いものだと思います。もちろん、臨時政府の要人もそれぞれに将来の展望を抱きつつ、現実の情勢に対応したわけですが、シリア情勢などを見ると、広範な社会的合意を得た現実的な構想なしに、安易に体制を暴力的・非合法的に打倒しようとするものではないな、と思います。

 かりに、そうして体制を暴力的・非合法的に打倒できたとしても、その後にずっと悲惨な事態が招来する可能性は、けっして低くないでしょう。日本もそうですが、現在のある程度以上の経済水準の国は、当時のロシアよりも民衆の教育水準はずっと高いでしょう。しかし、社会階層の分断は深まっているようにも見えますので(門外漢なので、的確な根拠を提示できるわけではありませんが)、現代社会にとって、ロシア革命は過去の他人事と無関心ではいられないように思います。
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現代アメリカ合衆国の人口構造

2017/02/11 00:00
 これは2月11日分の記事として掲載しておきます。現代アメリカ合衆国の人口構造に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。植民地時代以前の北アメリカ大陸の人々については、かなり詳細な研究が行われていますが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航しています。この研究は、アメリカ合衆国生まれの約77万人のDNA解析を行ない、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築しました。

 その結果、移住前の祖先の遺伝的特徴、たとえば過去150〜200年以内にアメリカ合衆国に移住した、中西部におけるスカンジナビア系とフィンランド系の人々のクラスターが見つかりました。また、これらのデータは、東西勾配と南北勾配に沿った移住と定住を示しており、アメリカ合衆国への移住後に地理的理由または文化的理由で孤立状態が続いた集団、たとえば、中西部各州とペンシルベニア州内で生活するアーミッシュ派の人々の存在を明らかにしています。

 この研究では、北アメリカ大陸でヨーロッパ系の人々が定住した後の人口構造の変化に関する人口統計学的知見が得られましたが、それに加えて、こうしたクラスターにおいて、さまざまな疾患に関連する遺伝子多様体のパターンも同定されました。しかし、北アメリカ大陸の人々における遺伝病の危険性の詳細なパターンに関する臨床的に重要な知見を得るには、疾患に関連する遺伝的多様性をもっと包括的に調べる必要がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【遺伝】DNAデータから明らかになった現代米国の人口構造

 70万人以上の米国人のDNA情報と家系情報をもとに独立後の米国における人々の移動と定住の細かいパターンが詳しく解明された。今回の解析では、さまざまなレベルの人口構造が判明し、それが数多くの地理的要因と文化的要因によって形作られていることが明らかになった。こうした人口構造の解明は、これまで難しかった。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

 植民地時代以前の北米の人々については、かなり詳細な研究が行われているが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航している。今回、Catherine Ballの研究チームは、米国生まれの約77万人のDNA解析を行い、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築した。その結果、移住前の祖先の遺伝的特徴、例えば中西部におけるスカンジナビア系とフィンランド系の人々(過去150〜200年以内に米国に移住した人々)のクラスターが見つかった。また、これらのデータは、東西勾配と南北勾配に沿った移住と定住を示しており、米国移住後に地理的理由または文化的理由で孤立状態が続いた集団、例えば、中西部各州とペンシルベニア州内で生活するアーミッシュ派の人々の存在を明らかにしている。

 今回の研究では、北米でヨーロッパ系の人々が定住した後の人口構造の変化に関する人口統計学的知見が得られたが、それに加えて、こうしたクラスターにおいて、さまざまな疾患に関連する遺伝子バリアントのパターンも同定された。しかし、北米の人々における遺伝病のリスクの詳細なパターンに関する臨床的に重要な知見を得るには、疾患に関連する遺伝的多様性をもっと包括的に調べる必要がある。



参考文献:
Han E. et al.(2017): Clustering of 770,000 genomes reveals post-colonial population structure of North America. Nature Communications, 8, 14238.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms14238
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女性性器切除の文化的進化

2017/02/10 00:00
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。アフリカの特定の民族集団における女性性器切除(FGC)の文化的進化に関する研究(Howard, and Gibson., 2017)が公表されました。女性性器切除の風習は、とくにアフリカおよび中東各地の多くの民族集団において確認されており、場合によっては、非医学的な理由から女性の性器に各種の有害な改変を加え、産科的・性的・心理的に重大な影響を生じることがあります。したがって、その撲滅は国際社会の優先課題とされています。しかし、この風習に対する組織的活動は成果が限定的な場合が多く、この風習が存続する行動的・進化的理由の理解をさらに深めることが、的を絞った的確な活動につながると考えられています。

 この研究は、アフリカ5ヶ国(ナイジェリア・セネガル・マリ・ブルキナファソ・コートジボワール)の47民族集団の6万1000人を超える女性から得た健康および人口統計のデータを利用して、女性性器切除の進化的基盤を調べました。その結果、全体として、ある民族集団内で女性性器切除の実施率が高いと、1人の女児に切除が施される可能性は、その母親に切除が行われていたかどうかの影響を受けることなく高くなることが明らかになりました。

 また、民族集団内で多数派に属している母親は、切除が行われているかどうかによらず、40歳時点での生存子数による評価で、少数派に対して生殖上有利であることも明らかになりました。この研究は、結婚可能性の高さと社会的ネットワークへの帰属が(資源や支援の利用機会によって)、この結果を説明する可能性を示唆しています。そのため、女性性器切除が高頻度で行われている集団では、切除が行われた女性に進化的適応度の利益がある、と指摘されています。

 なお、女性性器切除実施率の低い集団では、切除を受けた母親の娘が切除を受ける可能性が低くなりますが、その反対は必ずしも真ではない、と指摘されています。女性性器切除実施率の高い集団における非切除母の娘が切除を受ける可能性は、女性性器切除実施率同様に高くなるわけではありません。このことから、ある家族によってこの風習が一度取りやめられると、その復活には抵抗が働くのではないか、と示唆されています。

 この研究は、切除の頻度がほぼ50%である集団がほとんど存在しないことも明らかにしました。これは、現在のところ高実施率の集団で切除の頻度を50%未満に減らせれば、多数派であることの生殖的利益が非切除者へ切り替わり、この風習の撲滅をさらに進める助けになる可能性を示唆しています。個人レベルと集団レベルの女性性器切除実施の関係についてのそうした理解は、今後の介入の立案に利用することができるのではないか、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


女性性器切除の文化的進化

 アフリカの特定の民族集団における女性性器切除(FGC)の広がりは、(健康や幸福の指標ではなく、母親1人あたりの生存子数によって評価される)進化的適応度の観点から解釈することができる、という論文が、今週掲載される。この研究は、この風習について、FGCが高頻度で行われる集団に属する女性に生殖的利益を与えるが、この風習の頻度が低い集団では生殖的不利益になることを示唆している。研究チームは、この風習を撲滅するための組織的な運動には、FGCの存続する進化的理由を理解することが有益であろうと指摘している。

 FGCという風習は、特にアフリカおよび中東各地の多くの民族集団に認められる。場合によってそれは、非医学的な理由から女性の性器に各種の有害な改変を加え、それが産科的、性的、および心理的に重大な影響を生じることがある。従って、その撲滅は国際社会の優先課題である。しかし、この風習に対する組織的活動は成果が限定的な場合が多く、この風習が存続する行動的、進化的理由の理解をさらに深めることが、的を絞った的確な活動につながると考えられる。Janet HowardとMhairi Gibsonは、アフリカ5カ国(ナイジェリア、セネガル、マリ、ブルキナファソ、コートジボワール)の47民族集団の6万1000人を超える女性から得た健康および人口統計のデータを利用して、FGCの進化的基盤を調べた。その結果、全体として、ある民族集団内でFGCの実施率が高いと、1人の女児に切除が施される可能性は、その母親に切除が行われていたかどうかの影響を受けることなく高くなることが分かった。また、民族集団内で多数派に属している母親は、切除が行われているかどうかによらず、40歳時点での生存子数による評価で、少数派に対して生殖上有利であることも分かった。研究チームは、結婚可能性の高さと社会的ネットワークへの帰属が(資源や支援の利用機会によって)この結果を説明する可能性を示唆している。そのため、FGCが高頻度で行われている集団では、切除が行われた女性に進化的適応度の利益があることがわかった。

 注目すべきことに、FGC実施率の低い集団では、切除を受けた母親の娘が切除を受ける可能性が低くなるが、その反対は必ずしも真ではない。高FGC集団の非切除母の娘が切除を受ける可能性は、FGC実施率同様に高くなるわけではないのである。このことから、ある家族によってこの風習が一度取りやめられると、その復活には抵抗が働く、ということが期待される。研究チームは、切除の頻度がほぼ50%である集団がほとんど存在しないことも発見した。このことは、現在のところ高実施率の集団でこの風習を50%未満に減らすことができれば、多数派であることの生殖的利益が非切除者へ切り替わり、この風習の撲滅をさらに進める助けになるかもしれないことを示唆している。個人レベルと集団レベルのFGC実施の関係に関するそうした理解は、今後の介入の立案に利用することができる。

 関連するNews & Views記事では、Katherine Wanderが次のように述べている。「…介入は、コミュニティー内の切除女性と非切除女性との社会的なつながりを育むことを試みることによって、切除を受けずにいることの社会的コストを軽減し、切除女性有利であるコストと利益のバランスを変化させる可能性がある」。



参考文献:
Howard JA, and Gibson MA.(2017): Frequency-dependent female genital cutting behaviour confers evolutionary fitness benefits. Nature Ecology & Evolution, 1, 0049.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-016-0049
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脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構

2017/02/09 00:00
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構についての研究(Falco et al., 2016)が公表されました。この研究は、2つの対象物や2人の関連性の強さについて、1対の画像にたいするヒトの神経活動を測定することで、この関連性の程度を予測できることを明らかにしました。この研究は、癲癇治療のため電極を埋め込まれた49人の被験者のニューロンの発火パターンを測定する実験を行ないました。この実験では、被験者に一定数の画像が見せられ、個々のニューロンの発火パターンから2つの画像の関連性を予測できることが明らかになりました。たとえば、ヒラリー=クリントン氏の画像を見た時のニューロンの発火パターンは、ビル=クリントン氏の画像を見た時のそれと非常に似ているものの、スティービー=ワンダー氏の画像を見た時のそれとは似ていない、というわけです。

 この研究では、脳の内側側頭葉のニューロンの観察が行なわれました。このニューロンは、ヒト・場所・モノを関連づける学習において一定の役割を担っていることが長い間知られていました。しかし、内側側頭葉は、学習の過程で関連性を符号化するという一時的な役割を果たすだけで、関連性の固定は別の脳領域で行われるのか、初期学習の後もこの関連性の符号化が保持されるのかは、明らかになっていませんでした。この研究でもたらされた新知見は、内側側頭葉で関連性の長期符号化が行われ、これがヒトの記憶において重要な役割を果たすことを明らかにしている、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【神経科学】脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構

 2つの対象物や2人のヒトの長期関連性が、ヒトの脳内のニューロンの個別的な発火パターンによって予測できることを明らかにした研究論文が、今週掲載される。この新知見は、長期的に記憶された関連性がヒトの脳に保持される機構に関する手掛かりとなっている。

 インターネットで「ヒラリー・クリントン」を検索すると、検索結果の中に「ビル・クリントン」にも言及したものがどれだけ含まれるだろうか。こうした同時ヒットを計測することは、この2人の関連性の強さを解析する方法の1つであり、今回、Rodrigo Quian Quirogaの研究グループは、1対の画像に対するヒトの神経活動を測定することで、この関連性の程度を予測できることを発見した。Quirogaたちは、(てんかんの治療のために)電極を埋め込まれた49人の被験者のニューロンの発火パターンを測定する実験を行った。この実験では、被験者に一定数の画像を見せたが、Quirogaたちは、個々のニューロンの発火パターンから2つの画像の関連性を予測できることを発見した。これは、ヒラリー・クリントンの画像を見た時のニューロンの発火パターンがビル・クリントンの画像を見た時の発火パターンと非常に似ているが、スティービー・ワンダーの画像を見た時の発火パターンには似ていないことを意味している。

 今回の研究では、脳の内側側頭葉のニューロンの観察が行われた。このニューロンは、ヒト、場所、モノを関連づける学習において一定の役割を担っていることが長い間知られていた。しかし、内側側頭葉は、学習の過程で関連性を符号化するという一時的な役割を果たすだけで、関連性の固定は別の脳領域で行われるのか、初期学習の後もこの関連性の符号化が保持されるのかは明らかになっていなかった。今回の研究でもたらされた新知見は、内側側頭葉で関連性の長期符号化が行われ、これがヒトの記憶において重要な役割を果たすことを明らかにしている。



参考文献:
Falco E. et al.(2016): Long-term coding of personal and universal associations underlying the memory web in the human brain. Nature Communications, 7, 13408.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms13408
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社会規範の違反の程度と応答

2017/02/08 00:00
 これは2月8日分の記事として掲載しておきます。社会規範の違反の程度と応答に関する研究(Balafoutas et al., 2016)が公表されました。この研究は、ドイツの駅で軽微な違反行為(コーヒー用の紙コップのポイ捨て)と重大な違反行為(コーヒー用の紙コップと何かが入っている紙袋のポイ捨て)を演出し、800回以上の試行によって旅行者の反応を記録しました。これらの試行で、違反の大小はポイ捨てをした者が叱責される可能性や叱責の程度に影響を及ぼしませんでした。

 一方、同じ場所で独立して実施されたアンケート調査では、対照的な観察結果が得られました。こちらの調査では、重大な違反に対する回答者の否定的感情が強くなり、重大な違反の方がより厳しく叱責されるべきだと回答者が感じている、と明らかになりました。しかし、こうした反応を示した回答者は、現実の状況下でこの違反行為を罰することには消極的であることを認めており、その理由として、社会規範の違反の程度が大きくなるにつれて、違反者による報復のリスクが高くなると考えられることを挙げました。

 社会規範の違反があった場合、違反の程度の大小で人間の応答は変わらず、重大な違反行為に対する処罰を軽微な違法行為より厳しくすべきだという考えは、違反者による報復に対する恐怖が増すことで相殺されていたのではないか、というわけです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【人間行動】社会規範の強制がうまく行かない理由

 社会規範の違反があった場合に違反の程度(例えば、ゴミのポイ捨ての程度)が大きい場合と小さい場合で人間の応答が変わらないことを明らかにした論文が、今週掲載される。重大な違反行為に対する処罰を軽微な違法行為より厳しくすべきだという考えは、違反者による報復に対する恐怖が増すことで相殺されていたことが今回の研究で示唆されている。

 今回、Loukas Balafoutasたちは、ドイツの駅で軽微な違反行為(コーヒー用の紙コップのポイ捨て)と重大な違反行為(コーヒー用の紙コップと何かが入っている紙袋のポイ捨て)を演出し、800回以上の試行によって旅行者の反応を記録した。これらの試行で、違反の大小は、ポイ捨てをした者が叱責される可能性や叱責の程度に影響を及ぼさなかった。

 旅行者の行動の観察結果と対照的だったのが、同じ場所で独立して実施されたアンケート調査で、重大な違反に対する回答者の否定的感情が強くなり、重大な違反の方がより厳しく叱責すべきだと回答者は感じていることが判明した。ところが、こうした反応を示した回答者が、現実の状況下でこの違反行為を罰することには消極的であることを認め、その理由として、社会規範の違反の程度が大きくなるにつれて違反者による報復のリスクが高くなると考えられることを挙げた。



参考文献:
Balafoutas L, Nikiforakis N, and Rockenbach B.(2016): Altruistic punishment does not increase with the severity of norm violations in the field. Nature Communications, 7, 13327.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms13327
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ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』606話〜609話

2017/02/07 00:00
606話「マミーの挑戦」4
 マミーは雨の降るある晩、暴行されたと思われる若い女性と遭遇します。その女性から話を聞こうとしたマミーですが、女性は逃げ出します。翌朝、出勤途中のマミーは、その女性がビルの屋上に立っているのに気づきます。女性を救おうとしたマミーですが、女性はビルから飛び降ります。しかし、自動車のサーフボードにぶつかったことで、女性は助かります。その女性を、別の女性が病院に訪ねます。しかし、負傷した若い女性は、その女性のことは知らないと言い、不審に思ったマミーは、その女性と一緒に自動車に乗っていた男性を探ります。マミーとブルースは男性を雀荘に訪ね、逃げたその男性を連行します。すると、その男性と一緒に自動車にいた女性が現れ、二人は姉弟で、姉は弁護士だと分かります。姉は、不当な拘束だと言い、マミーとブルースを牽制します。弟は、逮捕されるような証拠はないのにわざと逃げて拘束され、それを姉が解放させることで弁護士として名声を上げる、という意図があったのでした。弁護士の女性は、他にも財閥の御曹司に取り入り、このようにして名声を上げてきたのでした。マミーが弟たちを無銭飲食で.逮捕した時も、姉の弁護士は強引に無実を主張します。マミーはなかなか決定打を見つけられませんが、弟を窃盗罪で逮捕し、弟は暴行した女性に告発され、マミーは弁護士を窮地に追い込みます。マミーの対決ものと言えるでしょうが、全体的に強引さが目立ち、話はいまいちでした。


607話「狼を追え!」7
 ドックが犯人を追いかけている途中、女子が自動車に撥ねられます。この女子は心臓に持病があり、事故のため病状が悪化します。この持病の手術自体はさほど難しくないものの、珍しい血液型のため、これまで手術ができなかったのでした。ドックは、この女子のために献血者を探そうとします。この珍しい血液型の人は、日本には4人いました。ドックはその珍しい血液型の人を必死に探します。そのうち、東京には2人いましたが、1人は献血に協力的だったものの、もう1人は拒否します。他府県の2人のうち1人は献血に協力したものの、もう1人は行方不明でした。その行方不明の1人を見つけたドックでしたが、借金取りから逃げ回っている前科のあるその男性は、献血を拒否します。ドックはしたたかな男性に振り回されながら、何とか献血させようと努力します。ドックと男性との駆け引きは喜劇調であり、なかなか楽しめました。行方不明の男性を演じたのは秋野太作氏で、好演が印象に残ります。本作での秋野氏は、殿下の妹の婚約者という印象が強いのですが、同一人物という設定ではありません。


608話「パリに消ゆ」・609話「モンブラン遥か」6
 基本的には一話完結の『太陽にほえろ!』には珍しく、608話・609話の2話で完結という構成になっています。この話も、この時期の他の多くの話と同じく、少なくとも一度は視聴しているはずなのに、ほとんど内容を覚えていませんでした。フランスが舞台となっており、普段とは異なる社会が取り上げられているだけに、やはり新鮮な感じを受けました。話の方は、ゲストに一癖のありそうな人物がそろい、なかなかひねった展開になっていたと思います。ただ、前編である程度真相が明かされたのはやや意外で、これは後編に引っ張ってもよかったかな、とは思います。パリロケということで、当時のパリの様子が見られ、この点はかなり興味深いものでした。演者が飛行機嫌いらしい山さんは、ボスとともに今回も海外には行きませんでした。
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第5回「亀之丞帰る」

2017/02/06 00:00
 これは2月6日分の記事として掲載しておきます。今回から、前半の中心人物であろう、次郎法師(直虎)・鶴丸(小野政次)・亀之丞(井伊直親)が成人役となります(次郎法師は前回最後の場面で成人役に交代となりましたが)。ここから物語が本格的に始まりそうなので、これまでかなり地味な話になっていただけに、何とか盛り上がってもらいたいものです。今回は、行方不明だった亀之丞(井伊直親)の帰還と、小野家の動向が中心になって描かれました。

 政次の父である政直は野心家で、政次と井伊家重臣である奥山朝利の娘とを結婚させ、その間に生まれる息子を井伊家の当主にしようと画策します。井伊家中の反対は強いのですが、政直はこの構想に自信を持っています。強大な今川家を背景に得意気な政直ですが、病に倒れます。次郎法師は政直を訪ね、その真意を問い質します。この場面は、次郎法師が寺で修行していたことを活かした話になっており、よかったのではないか、と思います。政直はこの後、間もなく亡くなります。亀之丞は今回後半に井伊谷に帰還し、出家した次郎法師の心は乱れます。病弱だった亀之丞は、立派な若者に成長していました。

 今回は駿府の動向も描かれ、今川氏真の妻の座を狙っていた瀬名(築山殿)は、その夢が破れて鬱屈しています。今回は、後に瀬名の夫となる竹千代(徳川家康)も顔見世程度に登場しました。どのような人物として描かれるのか、まだ不明ですが、現時点では今川家に従属する立場のためか、やや弱気なところのある人物のように見えました。今回も、全体的には連続ドラマとして悪くなかったように思いますが、地味な感じは否めません。感想記事の執筆には挫折するかもしれませんが、視聴は最終回まで続けられそうです。主演の柴咲コウ氏は、演技が上手いとは言い難いのですが、健闘しているとは思います。まあ、私好みの顔立ちなので、甘い見方になってしまっているかもしれませんが。
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換歯の起源

2017/02/05 00:00
 これは2月5日分の記事として掲載しておきます。換歯の起源に関する研究(Chen et al., 2016)が公表されました。人間の子供の乳歯が脱落するとき、抜け落ちるのは歯冠で、歯根は吸収されます。この研究は、4億2400万年前頃のステム群硬骨魚類アンドレオレピスの一種(Andreolepis hedei)の歯列について三次元構造を明らかにし、換歯に関する新たな情報を得ました。その結果、アンドレオレピスの歯の脱落は、基部組織の吸収によって起こっていたことが明らかになりました。これは換歯が確認された最古の例で、人間の遠い祖先である硬骨魚類の原始的な換歯様式の可能性がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化生物学:ステム群硬骨魚類アンドレオレピスおよび換歯の起源

進化生物学:古い生物の新しい歯

 子どもの乳歯が脱落するとき、抜け落ちるのは歯冠で、歯根は吸収される。こうした吸収型の歯の脱落は、我々の遠い祖先に当たる硬骨魚類の全てに見られる原始的なパターンであるらしいことが今回示された。P Ahlbergたちは、4億2400万年前のステム群硬骨魚類アンドレオレピスの一種Andreolepis hedeiの歯列について三次元構造を明らかにし、換歯に関する新たな情報を得た。その結果、アンドレオレピスの歯の脱落は、基部組織の吸収によって起こっていたことが分かった。これは、この現象が確認された最古の例で、硬骨魚類の原始的な換歯様式である可能性がある。



参考文献:
Chen D. et al.(2016): The stem osteichthyan Andreolepis and the origin of tooth replacement. Nature, 539, 7628, 237–241.
http://dx.doi.org/10.1038/nature19812
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吉田一彦『シリーズ<本と日本史>1 『日本書紀』の呪縛』

2017/02/04 00:00
 これは2月4日分の記事として掲載しておきます。集英社新書の一冊として、集英社より2016年11月に刊行されました。本シリーズは、本のあり方から一つの時代の文化や社会の姿を考え、その時代の考え方や世界観・価値観、さらには知の枠組みがどのようなものだったのか、考察する企画とのことです。本書は『日本書紀』を取り上げ、いかなる意図・構想なのか、後世にどのような影響を与えたのか、ということを考察しています。おもに奈良時代・平安時代における『日本書紀』の影響・受容の在り様が取り上げられていますが、中世・近世・近現代も対象となっており、射程が長い一冊になっています。

 本書は、『日本書紀』が国家公認の歴史書(国史)として後世に多大な影響を及ぼした、と強調しています。『日本書紀』は過去を定めるとともに、未来を規定した、というわけです。『日本書紀』の影響は大きく、各氏族の権益をめぐる争いの根拠としても、『日本書紀』は用いられました。『日本書紀』は天皇支配の正当性を説明する国家公認の歴史書として編纂され、編纂過程において各氏族・勢力が自分に有利な記述を掲載しようとしたため、長い利害調整の結果として異伝が多く掲載されたのではないか、と本書は推測しています。そのため本書は、『日本書紀』には潤色・創作も多く、歴史的事実を忠実に反映しているわけではない、と注意を喚起しています。

 各氏族・勢力が自己に有利な記述を掲載しようとして、異伝が多数採用されることになっても、全氏族・勢力が完全に満足することは当然ありません。そこで、各氏族は家伝のようなものを編纂し、自己の権益の保全・拡大に努めました。『藤氏家伝』はその代表とされ、『先代旧事本紀』や『古語拾遺』にもそうした性格が認められる、と指摘されています。また、寺院間でもそうした書物編纂の競争があり、聖徳太子をめぐって、法隆寺系や四天王寺系の書物が編纂されました。

 本書は、このような奈良時代〜平安時代前期にかけての自己主張を目的とした書物群を、大きく「反国史」と「加国史」に分類しています。「国史」たる『日本書紀』におおむね満足な勢力は、『日本書紀』を踏襲しつつ自己に有利なように加筆していき、『日本書紀』の記述に不満の多い勢力は、『日本書紀』の記述に反するような構想を多く取り入れて書物を編纂した、というわけです。たとえば、『日本書紀』に聖徳太子の創建と記述のある四天王寺が、『日本書紀』の記述を踏襲した書物『聖徳太子伝暦』を編纂したのにたいして、『日本書紀』に創建の経緯の記載のない法隆寺は、『日本書紀』の記述とは異なるところの多い『上宮聖徳法王帝説』を編纂しました。もっとも本書は、いずれにしても、『日本書紀』の枠組みが当時の支配層・知識層を強く規定したのであり、その枠組みで「書物の戦い」が行なわれた、と指摘しています。

 このように、『日本書紀』の強い枠組のもと、当時多くの勢力が自己に有利となるような書物を編纂していきました。本書は、こうした各勢力の思惑の違いとそれに伴う「書物の戦い」の妥協の産物として『新撰姓氏録』が編纂され、各勢力の利害調整が図られたのではないか、と指摘します。また本書は、『日本書紀』の強い枠組から外れた最初期の書物として『日本霊異記』の意義を強調し、それは宗教書だったから可能だったのであり、国際性・個人性という大きな特色のある『日本霊異記』は、『今昔物語』など後世の書物の先駆けになった、と指摘しています。
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7700年前頃の東アジア人のDNA

2017/02/03 00:00
 これは2月3日分の記事として掲載しておきます。7700年前頃の東アジア人のDNAに関する研究(Siska et al., 2017)が報道されました。これまで、西ユーラシアでは多くの旧石器時代・中石器時代・新石器時代・金属器時代以降の人類のDNAが解析されており、農耕の開始にともなう人類集団の遺伝的構成の変遷がしだいに明らかになりつつあります。そこで明らかになってきたのは、ヨーロッパでは旧石器時代から現代にいたるまで、西アジアやユーラシア内陸部から農耕や冶金技術を携えた集団の大規模な移動がたびたびあり、その遺伝的構成が大きく変わってきた、ということです(関連記事)。

 しかし、おそらく西アジアから数千年遅れて独自に農耕・家畜化の始まった東アジアに関しては、これらの時代の人類の古代DNAの解析例が少なく、新石器時代への移行に伴う人類集団の遺伝的構成の変遷について、よくわかっていませんでした。そうしたなかで、この研究は7700年前頃の東アジアの2人の女性のDNA解析に成功し、ゲノム規模のデータを得ることに成功しました。これはたいへん重要な成果だと言えるでしょう。

 この研究が取り上げたのは、1973年にソ連の研究団により発掘された「悪魔の門(Devil’s Gate)」遺跡です。悪魔の門遺跡は、朝鮮半島に近いロシアの沿岸地域に位置します。悪魔の門遺跡では、多くの石器や骨器・住居に用いられたであろう炭化した木材・織物に用いられたであろう植物などとともに、不完全な5体の人骨が発見されています。悪魔の門遺跡の推定年代は9400〜7200年前頃です。DNA解析に成功した人骨はいずれも女性の2体で、50代に近い方(悪魔の門1号)が、20代(悪魔の門2号)よりも精度の高いゲノムデータが得られたました。この2人の女性の年代は7700年前頃と推定されています。

 この悪魔の門遺跡の女性2人のゲノム規模のデータは、世界各地の現代人集団と比較されました。その結果、この2人の女性と現代人の各地域集団との遺伝的な類似性は、東アジアやシベリアとは高く、東南アジアやアメリカ大陸の先住民ともやや高いものの、南アジア・西アジア・ヨーロッパ・北アフリカとは高くないことが明らかになりました。東アジアの各現代人集団のなかでも、悪魔の門遺跡の女性2人と遺伝的に際立って類似していたのは、悪魔の門遺跡の比較的近くに居住するツングース系のウリチ(Ulchi)集団で、日本人や韓国人もかなり類似している方に入り、たとえばモンゴル人や華北の漢人よりもかなり類似しています。

 ウリチ集団における7700年前頃から現代にいたる高い遺伝的継続性は、ヨーロッパのそれとは対照的だ、と強調されています。その理由として、ウリチ集団は近年まで狩猟採集生活様式を長期間維持しており、その地形・気候などの理由で、他集団からの大きな遺伝的影響を受けてこなかったからではないか、と推測されています。東アジアでは、更新世から完新世にいたるまで、ヨーロッパよりも現生人類(Homo sapiens)の遺伝的継続性が高いのかもしれませんが、その証明のためには、まだ古代DNAの解析例が少ないことも否定できません。この研究では、悪魔の門遺跡1号の表現型に関しても報告されています。悪魔の門遺跡1号は、シャベル状切歯で、髪は太く直毛で、目は茶色で、乳糖耐性能力はなく、アルコール分解能力は低くなかったようです。

 悪魔の門遺跡1号のミトコンドリアDNA(mtDNA)のハプログループは東アジアでよく見られる(現代日本人では最多の割合)D4で、悪魔の門遺跡2号のmtDNAのハプログループは、下位グループにDを含むMと推定されています。この研究は現代日本人の起源論にも言及しており、在来の縄文人と弥生時代以降にユーラシア大陸東部から新たな農耕技術を携えて移住してきた集団との融合により現代日本人が成立した、とする二重構造モデルを支持しています。しかし、日本の農耕集団の起源の解明については、中国の新石器時代人の多くのDNAデータが必要だ、とも指摘されています。なお、縄文人のmtDNAのハプログループについては、D4も見られるものの、一般的なのはN9bとM7aだと指摘されています。また、縄文人は現代東ユーラシア人集団が多様化する前に分岐した、とも指摘されています(関連記事)。


参考文献:
Siska V. et al.(2016): Genome-wide data from two early Neolithic East Asian individuals dating to 7700 years ago. Science Advances, 3, 2, e1601877.
http://dx.doi.org/10.1126/sciadv.1601877
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20万年以上前までさかのぼる大量の黒曜石の長距離移動

2017/02/02 00:00
 これは2月2日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代のアフリカ東部における黒曜石の長距離移動に関する研究(Blegen., 2017)が公表されました。この研究は、一昨年(2015年)4月の古人類学協会の年次総会における報告(関連記事)が元になっています。この研究が分析したのは、ケニアのカプサリン(Kapthurin)層の中期石器時代初期のシビロ学校路遺跡(Sibilo School Road Site)の石器群です。この石器群にはルヴァロワ式尖頭器(Levallois points)など調整石核技法が見られ、典型的な中期石器時代の石器技術の特徴を示しています。

 シビロ学校路遺跡の石器群の43%は黒曜石製です。既知の中期更新世の中期石器時代の遺跡で見られる石器群にしめる黒曜石製の割合と比較すると、43%はかなり高いと言えるようです。黒曜石は化学分析により産地の推定が可能なので、黒曜石製石器の出土地点から産地までの距離を知ることができます。シビロ学校路遺跡の黒曜石は3ヶ所の異なる供給源に由来し、それぞれ遺跡から25km・140km・166kmの場所に位置しています。このうち、シビロ学校路遺跡の黒曜石の大部分は、遺跡から最も離れた供給源である、遺跡の南方166kmにあるオラギラシャ(Olagirasha)に由来します。凝灰岩のテフラ層序解析から、シビロ学校路遺跡の年代は新しくとも中期更新世の20万年前頃までさかのぼる、と推定されています。

 この研究は、大量の黒曜石が166kmも離れた場所から輸送されるような事象は中期更新世の既知の遺跡では見られず、これに匹敵する遺跡が見られるのは、「GvJm-16」遺跡(関連記事)といった後期更新世となる5万年前頃のアフリカ東部の中期石器時代にまでくだる、とその意義を強調しています。問題は、これが狩猟採集民の移動に伴うものなのか、それとも人類集団間の相互作用によるものなのか、ということです。この研究は、更新世の狩猟採集民の移動範囲は半径約40kmとされているものの、アフリカの赤道付近ではもっと狭くなるかもしれない、との指摘もあることなどから、シビロ学校路遺跡で見られる大量の黒曜石の移動は集団間の輸送によるものだろう、と推測しています。

 次に問題となるのは、中期更新世においてこのような大量の黒曜石の移動は例外的だったのか、一定以上の頻度で行なわれていたのか、ということです。現時点では、シビロ学校路遺跡の水準に匹敵するような事例は確認されていませんが、アフリカ東部の中期更新世の中期石器時代の遺跡の少なさや同時代の他の遺跡での黒曜石の使用例から、シビロ学校路遺跡の事例は一般的だったのではないか、との見解をこの研究は提示しています。

 この見解が妥当だとすると、人類集団間の長距離の物質輸送は、遅くとも20万年前までにはアフリカ東部で珍しくなかったことになります。こうした広範な社会的ネットワークは、「現代的行動」の一例とされています。この研究は、「現代的行動」のいくつかの側面が現生人類(Homo sapiens)の出現と同時期かそれ以前に始まった可能性を示唆しています。おそらく、現生人類の重要な特徴は短期間に一括して出現したのではないでしょうから、現代人的な認知能力(の一部)と解剖学的特徴の出現時期に違いがあっても不思議ではない、と思います。この研究は、現生人類や「現代的行動」の起源をめぐる議論でも注目されるべきだと思います。


参考文献:
Blegen N.(2017): The earliest long-distance obsidian transport: Evidence from the ∼200 ka Middle Stone Age Sibilo School Road Site, Baringo, Kenya. Journal of Human Evolution, 103, 1–19.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2016.11.002
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ギンザメ類の起源

2017/02/01 00:00
 ギンザメ類(全頭亜綱)の進化系統樹における位置づけについての研究(Coates et al., 2017)が公表されました。ギンザメ類は軟骨魚類の主要な分類群で、サメ類やエイ類と類縁とされています。しかし、ギンザメ類の外観はひじょうに特徴的で、進化的な状況における位置づけが困難なため、その類縁関係は不明瞭とされています。ギンザメ類の眼は眼窩が脳の形をゆがめてしまうほどに大きく、奇妙で特徴的な歯を有しています。

 この研究は、南アフリカで発見されたペルム紀の絶滅軟骨魚類(Dwykaselachus)の脳頭蓋を分析しました。その結果、この頭蓋の外側はシムモリウム目として知られる先史時代のサメ類に似ているものの、コンピューター断層撮影法による解析では、その脳頭蓋はギンザメ類に特徴的な形態である、と明らかになりました。これは、ギンザメ類がかつては一般的で、広範囲に生息していたシムモリウム目の内部に位置づけられ、デボン紀までさかのぼるシムモリウム目の長い進化期間の末期を代表する系統であることを意味しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化学:シムモリウム目軟骨魚類の脳頭蓋とギンザメ類の起源

進化学:ギンザメ類の位置付け

 ギンザメ類、すなわち全頭亜綱は、軟骨魚類の主要な分類群であり、サメ類やエイ類と類縁とされている。しかし、ギンザメ類の外観が非常に特徴的であり、進化的な状況における位置付けが困難なため、その類縁関係は不明瞭である。ギンザメ類の眼は、眼窩が脳の形をゆがめてしまうほどに大きく、奇妙で特徴的な歯を持つ。M Coatesたちは今回、南アフリカで発見されたペルム紀の絶滅軟骨魚類Dwykaselachusの脳頭蓋に関する研究結果を報告している。頭蓋の外側はシムモリウム目として知られる先史時代のサメ類に似ているが、コンピューター断層撮影法による解析の結果、その脳頭蓋はギンザメ類に特徴的な形態をしていることが明らかになった。これは、ギンザメ類が、かつては非常に一般的で、広範囲に生息していたシムモリウム目の内部に位置付けられ、デボン紀までさかのぼるシムモリウム目の長い進化期間の末期を代表するものであることを意味している。



参考文献:
Coates MI. et al.(2017): A symmoriiform chondrichthyan braincase and the origin of chimaeroid fishes. Nature, 541, 7636, 208–211.
http://dx.doi.org/10.1038/nature20806
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