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zoom RSS ヒトノックアウトプロジェクトの第一歩

<<   作成日時 : 2017/06/15 00:00   >>

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 ヒトノックアウトプロジェクトに関する研究(Saleheen et al., 2017)が公表されました。遺伝子の機能を解明するための研究はこれまで、モデル動物の重要な遺伝子をノックアウトし、その後の変化を調べるという方法で行なわれていましたが、この研究は逆の手法を採用しました。それは、パキスタン在住の10503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される49138ヶ所の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液試料で測定される201形質のどれと関連しているかどうかを判定する、という手法です。その後、この原理を証明する研究が行なわれ、特定の遺伝的変異を持つ患者が呼び出されて追加検査が行われ、その遺伝的変異により食事中の脂肪分を循環血から除去する能力が高まることが明らかになりました。

 この研究ではこうしたリバースジェネティクスの方法の可能性が実証され、ヒトゲノム全体における遺伝子の機能喪失変異の臨床表現型(疾患など)だけではなく、これまでより多くの生化学的表現型の評価を「ヒトノックアウトプロジェクト」の一部として行うための基礎固めになった、と評価されています。また、今回行なわれた初期研究は、独特な被験者選定に助けられています。パキスタン人は近親婚の比率が高いため、特定の遺伝子を2コピーとも機能喪失している可能性が高く、それを検出できるからです。人類進化の研究にも大いに役立ちそうなので、この分野の今後の研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用(引用1および引用2)です。


【遺伝】「ヒトノックアウトプロジェクト」に向けた地固め

 「リバースジェネティクス」の手法を用いて遺伝子の機能を解明する研究が新たに行われ、ヒトにおける機能喪失変異の表現型の評価が行われた。今回の研究は、ヒトの遺伝子の機能を調べる大型研究の基礎固めとなった。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

 遺伝子の機能を解明するための研究は、これまでモデル動物の重要な遺伝子をノックアウトして、その後の変化を調べるという方法で行われていた。今回、Sekar Kathiresanたちの研究グループは、逆のアプローチで研究を行った。つまり、パキスタン在住の10,503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1,317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される約50,000の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液サンプルの検査で明らかになった200種ほどの形質のどれと関連しているかどうかを判定した。その後、この原理を証明する研究が行われ、特定の遺伝的変異を持つ患者が呼び出されて追加検査が行われ、その遺伝的変異によって食事中の脂肪分が循環血から除去される能力が高まることが明らかになった。

 今回の研究では、このリバースジェネティクスの方法の可能性が実証され、ヒトゲノム全体で遺伝子の機能喪失変異の臨床表現型(疾患など)だけでなく、これまでより多くの生化学的表現型の評価を「ヒトノックアウトプロジェクト」の一部として行うための基礎固めになった。また、今回行われた初期研究は、独特な被験者選定に助けられている。パキスタン人は、近親婚の比率が高いため、特定の遺伝子が2コピーとも機能喪失している可能性が高く、それを検出できるからだ。


遺伝学:近親婚が高率で行われるコホートにおけるヒトのノックアウト個体と表現型解析

遺伝学:ヒトの遺伝子ノックアウト研究

 あらゆるヒト遺伝子の機能を理解することは生物医学の重要な目標の1つであり、特定の1遺伝子の機能喪失変異を持つ人の表現型を解析することは、遺伝子の機能についての手掛かりを得る方法の1つである。S Kathiresanたちは今回、塩基配列解読データから機能喪失と予測される変異を体系的に調べ、その表現型との関連から遺伝子機能との関係を調べる予備的な取り組みを行っている。著者たちは、パキスタン在住のPROMIS研究参加者1万503人のエキソームの塩基配列解読を行った。彼らは機能喪失と予測される4万9138個の希少な変異を明らかにし、これらを血液試料で測定される201形質からなるパネルとの関連を調べた。これらの変異は1317の遺伝子をノックアウトしており、各遺伝子は少なくとも1人の参加者でノックアウトされていると推定された。著者たちは、遺伝型別に参加者を募集することなど、逆遺伝学的手法の有用性を示し、またヒトノックアウトプロジェクトのための枠組みについて議論している。



参考文献:
Saleheen D et al.(2017): Human knockouts and phenotypic analysis in a cohort with a high rate of consanguinity. Nature, 544, 7649, 235–239.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22034

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