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zoom RSS 中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の行動変化

<<   作成日時 : 2017/06/16 00:00   >>

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 これは6月16日分の記事として掲載しておきます。中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の人間の行動変化に関する研究(Nejman et al., 2017)が報道されました。この研究が調査対象としたのは、チェコ共和国東部のモラヴィア(Moravia)地方のポドフラデム洞窟(Pod Hradem Cave)遺跡です。ポドフラデム洞窟遺跡では1956〜1958年に発掘調査が行なわれ、石器や骨製ビーズや2万個以上の動物の骨などが発見されており、セレティアン(Szeletian)やオーリナシアン(Aurignacian)といった文化を含む、中部旧石器時代〜上部旧石器時代にかけての10層に及ぶ人類の痕跡が確認されています。しかし、この時の発掘技術の水準は高くなく、放射性炭素年代測定の結果が層位と一致しないことから、信頼性の高い年代は確立されなかった、と指摘されています。

 この研究は、2011〜2012年にかけてのポドフラデム洞窟遺跡における再発掘の成果を報告しています。この研究は、放射性炭素年代測定法でより信頼性の高い年代を提示するために、前処理として限外濾過法とABOx-SC法(酸-アルカリ-酸化処理とその後の段階加熱処理が行なわれます)を用いて、加速器質量分析法(AMS法)による年代測定を実施し、約2万年に及ぶ後期中部旧石器時代〜早期上部旧石器時代の人間の痕跡を明らかにしました。

 石器の原材料は、48000〜45000年前の間の早期となる第10層では近隣から持ち込まれていましたが、4万年前頃になると100〜200km離れた場所からも持ち込まれています。また4万年前頃には、ヨーロッパでは初期の事例となる動産芸術(骨製ビーズ)も出現し始めます。48000〜40000年前の間のある時点で、ポドフラデム洞窟遺跡の人類は遊動的になった、とこの研究は指摘しています。この頃に人類の行動に大きな変化があったと指摘するこの研究は、それが人類種の交替である可能性を示唆しています。

 確かに、この頃にヨーロッパの人類がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)へと置換されていった可能性は高く、この研究もその証拠を改めて提示した、と言えるかもしれません。ただ、ネアンデルタール人と現生人類との間に見られる(と解釈できる)行動の差に関しては、生得的な要因に大きく規定されているのか、それとも社会的な要因の方が大きいのか、という問題があり、今後も長く議論が続きそうです。


参考文献:
Nejman L. et al.(2017): Hominid visitation of the Moravian Karst during the Middle-Upper Paleolithic transition: New results from Pod Hradem Cave (Czech Republic). Journal of Human Evolution, 108, 131–146.
https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2017.03.015

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