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zoom RSS 更新世末期のヨーロッパの現生人類の人口史

<<   作成日時 : 2017/08/25 00:00   >>

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 これは8月25日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、更新世末期のヨーロッパの現生人類(Homo sapiens)の人口史に関する研究(Tallavaar et al., 2015)が公表されました。この研究は、古気候および民族誌のデータと、現在の気温・降水量などの気候パラメータおよび現在の種分布から現生種の分布面積を推定するモデル(climate envelope modeling approach)を用いて人口較正モデルを構築し、考古学的データと照合して、30000〜13000年前頃のヨーロッパの人口史を復元しました。

 その結果、人口較正モデルにより再現された人口規模・範囲は考古学的データとおおむね対応しており、気候変動が人口動態の要因である、と明らかになりました。30000〜13000年前頃のヨーロッパの推定人口の幅は41万人〜13万人です。具体的には、30000年前頃には推定人口は33万人だったのが、27000〜19000年前頃の最終最大氷期(LGM)中の23000年前頃には、13万人まで落ち込みました。最終最大氷期には、ヨーロッパのうち36%ほどが人間にとって居住可能だった、と推定されています。最終最大氷期が終わるとヨーロッパの推定人口は急増していき、13000年前頃には41万人となりました。

 ただ、人口較正モデルと考古学的データとが合致しない事例は二つあり、その一つの北部ロシアでは人口較正モデルよりも多くの人為的痕跡が推定されていますが、これは、この時期の遺跡のなかにネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)が担い手と示唆されているものもあるからです。しかし、この時期にネアンデルタール人がまだヨーロッパに存在していたのか、疑問が残り(関連記事)、今後も検証が必要となるでしょう。もう一つの例外は地中海地域で、人口モデルでは高密度の人口が推定されていますが、考古学的データの密度は低くなっています。これについては、非気候的要因による低い人口密度も考えられますが、気候・地形による人為的痕跡の消失および推定年代の曖昧さと、研究史的背景が要因かもしれません。

 この地中海地域の事例と深く関連していますが、この研究の推定人口は、たとえば最終最大氷期の推定人口を6000人未満とした考古学的データからの研究よりもかなり多くなっています。これは、上述した気候・地形による人為的痕跡の消失および推定年代の曖昧さや、研究史的背景のため、考古学的データのみでは推定人口の復元が粗くなってしまうことが原因かもしれません。更新世の人口の推定は証拠が限定されているのでたいへん難しいのですが、この研究のように、さまざまなデータやモデルを用いることで、より精密な結果を提示できるようになるのではないか、と期待されます。


参考文献:
Tallavaar M. et al.(2015): Human population dynamics in Europe over the Last Glacial Maximum. PNAS, 112, 27, 8232-8237.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1503784112

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