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zoom RSS 難聴のネアンデルタール人

<<   作成日時 : 2017/10/28 00:00   >>

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 これは10月28日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の難聴についての研究(Trinkaus, and Villotte., 2017)が報道されました。更新世人類の障害と社会的支援はこれまでにも注目されてきましたが、障害のなかでも感覚の損失についてはあまり検証されていませんでした。しかし、感覚損失は更新世の環境での生存に重大な脅威になったと考えられます。この研究は、イラクのクルディスタン地域にある有名なシャニダール洞窟(Shanidar Cave)遺跡で発見された、年代は5万年前頃で40〜50歳と推定されているネアンデルタール人男性であるシャニダール1(Shanidar 1)の障害を改めて検証しています。

 シャニダール1に関しては、これまで複数の障害が指摘されてきました。左眼窩の損傷は左側の目の視力の低下もしくは失明につながったと考えられていますし、右側の前腕と手が失われており、右脚の負傷は歩行の障害になったと推測されています。しかし、シャニダール1はこれらの障害を負った後も、ネアンデルタール人としては長命となる40〜50歳まで生きていたことから、集団内の仲間の手厚い社会的支援があったのではないか、と考えられています。

 この研究はシャニダール1の頭蓋を改めて検証し、じゅうらいの障害に加えて、耳道の骨の成長により深刻な難聴、少なくとも片側の耳の聴覚消失が引き起こされていたのではないか、と推測しています。更新世人類におけるこうした聴覚消失に関しては、スペイン北部の通称「骨の穴(Sima de los Huesos)洞窟」遺跡で発見された43万年前頃の人骨でも確認されている、と指摘されています。前腕の損失や右脚の負傷による歩行障害とともに、感覚損失も深刻だっただろうシャニダール1は、集団内でかなりの程度の社会的支援を受けていたのではないか、と推測されています。シャニダール1はネアンデルタール人としては長命であり、その知識・社会的経験から集団内で尊重されていたのかもしれません。


参考文献:
Trinkaus E, Villotte S (2017) External auditory exostoses and hearing loss in the Shanidar 1 Neandertal. PLoS ONE12(10): e0186684.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0186684

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