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zoom RSS 長谷川貴彦『イギリス現代史』

<<   作成日時 : 2017/11/26 00:00   >>

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 これは11月26日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店から2017年9月に刊行されました。本書は、第二次世界大戦から、昨年(2016年)の国民投票でのEU(ヨーロッパ連合)離脱の決定と、今年の総選挙までを取り上げています。まさに現代史といった感じで、手堅くまとめられており、私のような門外漢にとって手ごろな入門書になっているのではないか、と思います。

 本書は、1940年代・1950年代・1960年代・1970年代・1980〜1990年代・1990〜2000年代・2010年代に区分して、イギリス現代史を概観しています。イギリスでは第二次世界大戦が契機となり福祉国家が成立し、私企業と公共企業の混合経済・帝国からの撤退なども含めて「コンセンサス」が成立し、保守党と労働党の二大政党間で政権が交代しても、その枠組みは維持されました。

 この「コンセンサス」のもとでイギリスは豊かになっていき、個人主義的傾向が強くなっていくとともに、それまで社会の枠組みの大前提だった階級が人々の意識からは溶解していき、人種・民族・ジェンダー・宗教など、新たな枠組みが社会的に重視されていき、本書はこうした1960年代の変化を文化革命と定義します。この文化革命を経て社会は変化していきますが、そこには肯定的な印象も否定的な印象もありました。

 この文化革命を経て「英国病」と呼ばれる1970年代を迎えます。ここではイギリスの停滞と混乱が強調されましたが、本書は、それが政治論争のなかで増幅された印象であり、豊かさという観点からは停滞とも言い難く、可能性を秘めた時代でもあったことを指摘します。しかし、戦後成立した「コンセンサス」としての福祉国家が行き詰まっていた側面もあり、それへの対応策として、新自由主義的改革と社会主義的政策の強化という異なる方針が提示されるようになった、と本書は指摘します。

 この社会的混乱を収拾しようとしたのが保守党のサッチャー政権で、1980年代以降のイギリスでは、政府が強い反対を押し切り、新自由主義的政策が強く進められることになります。1990年代後半にはサッチャー・メイジャーと長く続いた保守党政権から労働党政権へと交代しますが、労働党は「第三の道」を主張し、1970年代のような社会主義的枠組みの強化を進めたわけではありませんでした。

 このように、1960年代の文化革命以降、個人主義的傾向は強くなり、それが新自由主義に取り込まれていくなど、古典的な枠組みである階級はすっかり衰退したように見えましたが、2008年のリーマンショック以降、拡大した格差への抵抗運動も盛り上がっていき、労働党は2015年以降、コービン党首のもとで「左傾化」していきます。あるいは、イギリスにおいて再び、階級が社会の重要な枠組みとして認識されるようになるのかもしれません。

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