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zoom RSS 「赤の女王」仮説の再検証

<<   作成日時 : 2018/02/23 23:52   >>

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 「赤の女王」仮説の再検証に関する研究(Žliobaitė et al., 2017)が公表されました。「赤の女王」仮説は、生物種間で継続的に起こっている進化的軍拡競争(捕食者は常に被食者より優位に立とうとし、対する被食者は捕食者から逃れようとする選択圧が作用します)を記述したもので、絶滅率一定の法則を説明するために提唱されました。「赤の女王」仮説が提唱された当時、種は勢いを失った時に絶滅すると考えられていましたが、「赤の女王」仮説では、絶滅はより確率的なものであり、分類群の古さと絶滅リスクとの間には相関がない、と主張されました。しかし、化石記録の大半は、分類群の個体数・多様性あるいは生息域の経時変化を示すグラフの形が帽子に似ており、出現当初は少なく、中間期にピークに達し、絶滅する頃に再び少なくなることを示しており、「赤の女王」仮説は、こうした化石記録と相いれません。

 この研究は、分類群の最終的な絶滅ではなく、その拡大のピーク期を考えれば、この矛盾を解消できる、と明らかにしました。この研究は、ピーク期に分類群の種を抑制する要因が競争と関係している可能性が高く、当初の多様化と最終的な絶滅を抑制する要因は確率論的な非生物的要因と関係している可能性が高い、という見解を示しています。したがって、生物種の絶滅可能性の有無と絶滅時期を明らかにするには、末期の個体数減少と絶滅ではなく、ピークを過ぎたばかりの時期を調べるべきだ、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用(引用1および引用2)です。


【進化学】「赤の女王」仮説を再び考察する

 分類群の進化について、そのさまざまな原因の相互作用を理解するには、進化の道筋の然るべき段階で調べることが必要だという考えを示した論文が、今週掲載される。このモデル研究では、誕生から長い年月を経た分類群の衰退が不可避だと考えられることと「赤の女王」仮説(ダーウィン以降の進化生物学において最も影響力のある考え方の1つ)によって暗示される絶滅のランダム性とが矛盾しているように見えることに対する説明が得られた。

 「赤の女王」仮説は、生物種間で継続的に起こっている進化的軍拡競争を記述したものであり、絶滅率一定の法則を説明するためにLeigh Van Valenによって提唱された。Van Valenは、ある1つの分類群が絶滅する確率がその分類群の存在期間と無関係なことを発見して、この法則を打ち立てた。化石記録の大半は、分類群の個体数、多様性又は生息域の経時変化を示すグラフの形が帽子に似ており、出現当初は少なく、中間期にピークに達し、絶滅する頃に再び少なくなることを示しているが、Van Valenの知見は、こうした化石記録と相いれない。

 今回、Indre Zliobaiteたちの研究グループは、分類群の最終的な絶滅ではなく、その拡大のピーク期を考えれば、このパラドックスを解消できることを明らかにした。Zliobaiteたちは、ピーク期に分類群の種を抑制する要因が競争と関係している可能性が高く、当初の多様化と最終的な絶滅を抑制する要因は確率論的な非生物的要因と関係している可能性が高いという考えを示している。従って生物種の絶滅可能性の有無と絶滅時期を明らかにするには、末期の個体数減少と絶滅ではなく、ピークを過ぎたばかりの時期を調べるべきだとされる。


古生物学:タクソンの衰退と赤の女王仮説の折り合いをつける

古生物学:「帽子」から絶滅リスクを予測する

 Leigh Van Valenの「赤の女王仮説」によれば、捕食者は常に被食者より優位に立とうとし、対する被食者は捕食者から逃れるために進化する。種は勢いを失った時に絶滅すると考えられていた当時、Van Valenは研究の末、絶滅はより確率的なものであり、タクソンの古さと絶滅リスクとの間には全く相関がないと提唱した。しかし大規模なサンプリングからは、タクソンの個体数の経時的変化が帽子状の分布を示す(最初と最後は少なく、中盤にピークが存在する)ことが明らかになっており、これが正しければ、Van Valenが否定した相関は存在すると推論される。今回I Žliobait ė たちは、資源に制約を課したランダムウォークモデルを用いて種分化と絶滅をモデル化し、そこに単峰形の「帽子」パターンを見いだしている。彼らは、種は拡大のピークでは競争による制限を受ける一方、出現直後の多様化および最終的な絶滅においてはランダムな環境的影響によって制限されると示唆している。従って、種の絶滅リスクを予測する研究では、その種がいつピークを過ぎたかに着目しなければならない。



参考文献:
Žliobaitė I, Fortelius M, and Stenseth NC.(2017): Reconciling taxon senescence with the Red Queen’s hypothesis. Nature, 552, 7683, 92–95.
http://dx.doi.org/10.1038/nature24656

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