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zoom RSS 捕食者─被食者間の軍拡競走の生体力学

<<   作成日時 : 2018/03/01 00:00   >>

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 これは3月1日分の記事として掲載しておきます。捕食者–被食者間の軍拡競走の生体力学に関する研究(Wilson et al., 2018)が公表されました。最も速く最も敏捷な陸生動物は、走る被食者を捕食者が追い掛けて捕らえるというサバンナ環境で見られます。狩りの結果および成功率は生存にきわめて重要なため、捕食者にも被食者にも、速さや敏捷性を向上させるような選択圧が作用します。この研究は、ライオンとシマウマ、およびチーターとインパラという、2組の捕食者と被食者の組み合わせにおける移動運動を、ボツワナにある自然のサバンナ生息地で調べました。この研究は、自由に生活する野生動物(チーター5頭・インパラ7頭・ライオン9頭・シマウマ7頭)に特製の首輪を付け、これらの動物がボツワナ北部で合計5000回以上の高速疾走を行ったさいの速度データと加速度データを収集しました。また、この研究は、チーター6頭・インパラ5頭・ライオン8頭・シマウマ8頭の後肢の大腿二頭筋の生体組織検査を実施して筋力を測定しました。

 その結果、速度と加速度および旋回能力から判断されたチーターとインパラの運動能力は全般的にライオンとシマウマより高かったものの、それぞれの捕食者と被食者の組み合わせにおいては、捕食者の方が被食者よりも筋繊維の力が20%、加速能力が37%、減速能力が72%高い、と判明しました。次にこの研究は、これらのデータを用いて狩猟行動のシミュレーションを行ない、被食者は低速状態で機動力を最大化して捕食者をかわし得る一方、捕食者は確実に生き延びられるだけの狩猟成功率を確保するために、被食者より優れた運動能力を備える必要がある、と明らかにしました。これらの新知見は、それぞれの捕食者が好む被食者と狩猟様式に関する手掛かりとなっています。この研究のモデルからは、たとえば、ライオンによるインパラ狩りの成功率が低いことが予測されており、ライオンは広々とした草原でインパラを追跡して捕獲しているのではなく、機を見て捕獲しているという観察結果の裏づけになっています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用(引用1および引用2)です。


【動物学】ライオンとチーターはどのように獲物を追い詰めるのか

 ライオンがシマウマを追い詰める過程とチーターがインパラ狩りをする過程を詳細に分析した結果を報告する論文が、今週掲載される。いずれの捕食者と被食者の組み合わせでも、筋力と加減速能力から判断される運動能力は捕食者の方が高いが、被食者は機動性が高くなる低速状態で捕食者から逃げ切れることが今回の研究で明らかになった。

 この研究で、Alan Wilsonたちは、2組の捕食者と被食者の組み合わせ(ライオンとシマウマ、チーターとインパラ)における移動運動をボツワナにある自然のサバンナ生息地で調べた。Wilsonたちは、自由に生活する野生動物(チーター5頭、インパラ7頭、ライオン9頭、シマウマ7頭)に特製の首輪を付け、これらの動物がボツワナ北部で合計5000回以上の高速疾走を行った際の速度データと加速度データを収集した。また、Wilsonたちは、チーター6頭、インパラ5頭、ライオン8頭、シマウマ8頭の後肢の大腿二頭筋の生体組織検査を行って筋力を測定した。

 その結果、速度と加速度、旋回能力から判断されたチーターとインパラの運動能力は全般的にライオンとシマウマより高かったが、それぞれの捕食者と被食者の組み合わせにおいては、捕食者の方が被食者よりも筋繊維の力が20%、加速能力が37%、減速能力が72%高いことが判明した。次にWilsonたちは、これらのデータを用いて狩猟行動のシミュレーションを行い、被食者は低速状態で機動力を最大化して捕食者をかわし得る一方、捕食者は確実に生き延びられるだけの狩猟成功率を確保するために被食者より優れた運動能力を備える必要があることを明らかにした。

 これらの新知見は、それぞれの捕食者が好む被食者と狩猟様式に関する手掛かりとなっている。Wilsonたちのモデルからは、例えば、ライオンによるインパラ狩りの成功率が低いことが予測されており、ライオンは広々とした草原でインパラを追跡して捕獲しているのではなく、機を見て捕獲しているという観察結果の裏付けになっている。


進化学:ライオンとシマウマ、チーターとインパラにおける捕食者–被食者間の軍拡競走の生体力学

進化学:動物の軍拡競走における強さと敏捷さ

 自然とは、歯と爪を血で染めるものかもしれないが、動物の軍拡競走では必ずしも力が強い者が勝つとは限らない。今回、ライオンがどのようにシマウマを追い掛け、チーターがどのようにインパラを追跡するのかを詳細に調べた研究で、それぞれの捕食者–被食者ペアにおいては、捕食者の方が被食者よりも筋力が著しく大きく、加速や減速の能力もはるかに高いが、より低い速度では、被食者の方がより敏捷に動くことができ、捕食者の追跡から逃れられることが明らかになった。いずれにしても、捕食者が自らの生存を可能とするような狩りの成功率を維持するためには、被食者を上回る運動能力を有する必要がある。



参考文献:
Wilson AM. et al.(2018): Biomechanics of predator–prey arms race in lion, zebra, cheetah and impala. Nature, 554, 7691, 183–188.
http://dx.doi.org/10.1038/nature25479

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