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zoom RSS 目の見えない洞窟魚の栄養欠乏環境での適応

<<   作成日時 : 2018/03/29 18:43   >>

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 目の見えない洞窟魚の栄養欠乏環境での適応に関する研究(Riddle et al., 2018)が公表されました。洞窟に生息する動物は、光合成をする植物と藻類がいないため、長期にわたる栄養欠乏に耐えなければなりません。メキシカンテトラ(Astyanax mexicanus)には、河川に生息する(表層)個体群と洞窟に生息する(洞窟)個体群がいますが、それぞれの栄養素の利用可能性は著しく異なっています。洞窟魚は飢餓に対する抵抗性を持っており、表層魚と比較して食料が欠乏した時の体重の減り方が少なくなっています。飢餓抵抗性に寄与する要因としては、代謝の概日リズムの低下・代謝速度の低下・体脂肪の増加など、いくつか同定されています。しかし、こうした適応の基盤となっている遺伝的変化については、ほとんど明らかになっていません。

 この研究は、メキシカンテトラの洞窟魚と実験室で飼育されたメキシカンテトラの表層魚の血糖値を比較し、摂食後の血糖値は洞窟魚の方が有意に高いことを明らかにしました。次にこの研究は、短期または長期絶食時の血糖恒常性のダイナミクスを調べました。当初、表層魚の血糖値がわずかに低下したのに対して、洞窟魚の血糖値は有意に上昇しましたが、21日後には、表層魚の血糖値の低下がわずかだったのに対して、洞窟魚の血糖値は著しく低下しました。これは、血糖恒常性の調節異常が洞窟魚の特徴の1つであることを示唆しています。

 また、この研究は、表層魚と洞窟魚のインスリン受容体遺伝子に違いがあることを明らかにしており、これは、ヒトであれば重度の2型糖尿病を引き起こすと思われる、インスリン抵抗性に関連する遺伝子変異の存在を示しています。しかし、その結果生じる高い血糖値は悪影響を全く生じさせていないようで、メキシカンテトラの洞窟魚は健康で寿命は正常です。メキシカンテトラは、脂肪を蓄積し、インスリン抵抗性と血糖恒常性の調節異常を進化させ、食料の少ない極限環境に適応したのではないか、というわけです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


【進化】盲目の洞窟魚はインスリン抵抗性を進化させて飢えから逃れている

 盲目の洞窟魚メキシカンテトラ(Astyanax mexicanus)は、脂肪を蓄積し、インスリン抵抗性と血糖恒常性の調節異常を進化させて、食料の少ない極限環境に適応したことを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、並外れた環境的負荷に対応するために極端な生理的手段の進化が起こったことを示唆している。

 洞窟に生息する動物は、光合成をする植物と藻類がいないため、長期にわたる栄養欠乏に耐えなければならない。メキシカンテトラには、河川に生息する(表層)個体群と洞窟に生息する(洞窟)個体群があるが、それぞれの栄養素の利用可能性は著しく異なっている。洞窟魚は、飢餓に対する抵抗性を持っており、表層魚と比べて、食料が欠乏した時の体重の減り方が少ない。飢餓抵抗性に寄与する要因としては、代謝の概日リズムの低下、代謝速度の低下、体脂肪の増加など、いくつか同定されている。ただし、こうした適応の基盤となっている遺伝的変化については、ほとんど分かっていない。

 今回、Nicholas Rohnerたちの研究グループは、メキシカンテトラの洞窟魚と実験室で飼育されたメキシカンテトラの表層魚の血糖値を比較し、摂食後の血糖値は洞窟魚の方が有意に高いことを明らかにした。次にRohnerたちは、短期または長期絶食時の血糖恒常性のダイナミクスを調べた。当初、表層魚の血糖値がわずかに低下したのに対して、洞窟魚の血糖値は有意に上昇したが、21日後には、表層魚の血糖値の低下がわずかだったのに対して、洞窟魚の血糖値が著しく低下した。このことは、血糖恒常性の調節異常が洞窟魚の特徴の1つであることを示唆している。また、Rohnerたちは、表層魚と洞窟魚のインスリン受容体遺伝子に違いがあること明らかにしており、このことは、インスリン抵抗性に関連する遺伝子変異の存在を示している。


代謝学:洞窟魚のインスリン抵抗性は栄養制限環境への適応である

Cover Story:生き抜く術:血糖値が高くても糖尿病にならずに成長するメキシコの洞窟魚

 メキシカンテトラ(Astyanax mexicanus)の盲目の洞窟型個体が生息する暗い洞窟は、食物の極めて少ない極端な環境である。今回N RohnerとC Tabinたちは、この魚は、食物量が大きく変動する生活をする中で、驚くべき方法でこの極端な環境に適応したことを明らかにしている。この洞窟魚は、ヒトであれば重度の2型糖尿病を引き起こすと思われるインスリン受容体変異を持っているが、その結果生じる高い血糖値は悪影響を全く生じさせていないようであり、この魚は健康で寿命は正常である。著者たちは、この魚は、血糖の調節における代償機構を進化させたことで、困難な環境を生き抜くことができるのではないかと推測している。



参考文献:
Riddle MR. et al.(2018): Insulin resistance in cavefish as an adaptation to a nutrient-limited environment. Nature, 555, 7698, 647–651.
http://dx.doi.org/10.1038/nature26136

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