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zoom RSS 塩分が変動する水中環境で始まった初期四肢動物の進化

<<   作成日時 : 2018/06/07 17:06   >>

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 初期四肢動物が進化した環境に関する研究(Goedert et al., 2018)が公表されました。魚類から四肢類への移行とそれに続いて起きた陸生化は、脊椎動物の進化における重大な一歩で、その結果生じた単系統群は現在3万種を超すほど繁栄しています。初期の四肢類であるイクチオステガ(Ichthyostega)は、1929年にグリーンランド東部のデボン系旧赤色砂岩堆積層(推定年代は約3億6500万年前)で発見されました。それ以降、魚類から四肢類への移行に関する知見は、初期四肢類または進化的にそれに近縁な分類群を代表する新たなデボン紀分類群の発見により、大いに深まっています。

 しかし、イクチオステガやアカンソステガ(Acanthostega)など、最初期四肢類の中には、鰓や尾といった水中で生息していたことを示唆する適応を有するものもいたと知られているものの、生息していた水域の環境は現在でも明らかではなく、盛んに議論されています。当初、化石は砂岩の中から見つかったので、淡水中に堆積したものと考えられました。しかし、四肢動物の化石と足跡化石が汽水性水域および海水域に由来する堆積物から発見され、初期四肢動物がさまざまな塩分の水域で生息可能だったことが示唆されていました。

 本論文は、約3億6500万年前となる、中国北西部とグリーンランド東部のデボン紀の岩石から発見された51点の初期四肢動物の化石標本を、同時に発見された甲冑魚類と肉鰭魚類の化石と共に分析しました。本論文は、炭素と酸素だけではなく硫黄の同位体比も測定できる新たな方法を用いたことで、淡水動物と海洋動物を区別できました。その結果、初期四肢類を含む一部のデボン紀脊椎動物が広塩性であり、河口や三角州などの塩分が急激に大きく変化するような移行的水域環境に生息していた、と明らかになりました。そのため、初期の四肢類単系統群が、後期デボン紀の生物が直面した複数の危機を生き延び、その後陸域環境で繁栄を遂げることができたのは、幅広い塩分環境に対応できたからではないか、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


【古生物学】初期四肢動物の進化は塩分が変動する水中環境で始まった

 初期四肢動物(初めて陸上で真の歩行を行った脊椎動物)は、河口域のように塩分が変動する水域に生息していたことを報告する論文が、今週掲載される。

 四肢動物は、水中から陸上に進出した動物として有名だが、主に水中で生息し、水中を泳ぐための鰓と強力な尾を持っていた。しかし、どのような種類の水域に生息していたかについては激しく議論されてきた。最初の化石は砂岩の中から見つかり、当初は淡水中に堆積したものと考えられた。ところが、四肢動物の化石と足跡化石が汽水性(わずかな塩分)水域および海水域に由来する堆積物から発見され、初期四肢動物がさまざまな塩分の水域で生息可能だったことが示唆されていた。

 今回、Jean Goedertたちの研究グループは、中国北西部とグリーンランド東部のデボン紀(約3億6500万年前)の岩石から発見された51点の初期四肢動物の化石標本を、同時に発見された甲冑魚類と肉鰭魚類の化石と共に分析した。炭素と酸素だけでなく硫黄の同位体比も測定できる新たな方法を用いたことで、淡水動物と海洋動物を区別できた。

 Goedertたちは、この硫黄同位体測定法が現生脊椎動物(ワニ類やミシシッピアカミミガメ、さまざまな魚類など)に使用できることを実証した上で、今回の研究対象である化石の四肢動物とその他の脊椎動物が淡水と海水が混合した環境(例えば、河口域や三角州)に生息していたことを明らかにした。このことから、Goedertたちは、四肢動物がさまざまなレベルの汽水性に適応できたと結論付けている。こうした多能性は、デボン紀後期の絶滅を生き延び、その後陸上に定着する上で役立った可能性がある。


古生態学:安定同位体から明らかになった初期四肢類の広塩性の生態学

古生態学:塩水を好んでいた初期の四肢類

 イクチオステガ(Ichthyostega)やアカンソステガ(Acanthostega)など、最初期の四肢類(肢が4本の脊椎動物)の中には、機能性の鰓といった水中で生息していたことを示唆する適応を有するものもいた。それがどのような環境の水であったかはまだ明らかになっていないが、現生の両生類のほぼ全てがそうであるように、最初期の四肢類も淡水に生息していたとこれまで考えられていた。しかし、現在の状況が必ずしも過去へのカギになるとは限らないため、最初期の四肢類が海域や河口などの汽水域に生息していた可能性もある。今回J Goedertたちは、デボン紀には共に赤道付近の熱帯環境にあったグリーンランドおよび中国に由来する初期四肢類の化石標本に注目し、この課題に取り組んだ。彼らは、続成作用の影響の考慮を試みる新しい方法と、適切な対照群を用いることで、炭素と酸素と硫黄の同位体分別から、これらの2地域に由来する初期四肢類が汽水域に生息しており、幅広い塩分環境に対応できた可能性を明らかにしている。



参考文献:
Goedert J. et al.(2018): Euryhaline ecology of early tetrapods revealed by stable isotopes. Nature, 558, 7708, 68–72.
https://dx.doi.org/10.1038/s41586-018-0159-2

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