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zoom RSS ネアンデルタール人の雌とホモサピエンスの雄は生殖することがほとんどないか、全くない?

<<   作成日時 : 2018/06/23 07:29   >>

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 「人が動物とセックスすると何が起きるのか?」と題した記事がそこそこ話題になっており、以下のように述べられています。

一方で、比較的近い祖先を持っていれば、異種動物であってもつがいを持つことができます。私たちホモサピエンスはネアンデルタール人と子どもを持つことが可能。
ただし、これはホモサピエンスが雌で、ネアンデルタール人が雄の場合のみ。その逆の、ネアンデルタール人の雌とホモサピエンスの雄は生殖することがほとんどないか、全くないかです。


 本文中ではこの見解についてとくに根拠は提示されていません。現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の交雑の組合せについては最近言及しましたが(関連記事)、その主流の組合せが現生人類女性とネアンデルタール人男性だったのか、それともその逆だったのか、現時点では判断できるだけの根拠はないと思います。しかし、上記の記事のように、現生人類女性とネアンデルタール人男性の組合せだった、との見解は一般にもそれなりに根強く浸透しているように思います。

 これは、現代人のミトコンドリアDNA(mtDNA)にはネアンデルタール人由来のものはない、という事実(と言ってもよいと思います)がよく知られているからでしょう。mtDNAは基本的には母系のみで継承されます。しかし逆に、基本的には父系のみで継承されるY染色体DNA(厳密には、X染色体との間でわずかながら組み換えはありますが)も、現代人ではネアンデルタール人由来のものは見つかっていません(関連記事)。したがって、現代人の性染色体を根拠に、現生人類とネアンデルタール人の交雑の組合せが現生人類女性とネアンデルタール人男性だったのか、あるいはその逆だったのか、また両方あり得たのか、判断することはできません。

 現生人類とネアンデルタール人の交雑の組合せは現生人類女性とネアンデルタール人男性だった、という仮説の根拠となり得るのは、現代人の常染色体と性染色体とで、ネアンデルタール人の遺伝的影響が大きく異なることです。現代人のゲノムにおけるネアンデルタール人の遺伝的影響は、X染色体では常染色体の1/5程度です(関連記事)。現生人類女性とネアンデルタール人男性の組合せでは、その逆よりもネアンデルタール人のX染色体が交雑集団に伝わりにくい、というわけです。

 しかし、配偶行動の性的非対称だけで、現代人のX染色体と常染色体においてネアンデルタール人の遺伝的影響が大きく異なるとも考えにくく、適応度の低下も関わってくるのではないか、と思います。ネアンデルタール人のゲノムは領域単位で現代人に均等に継承されているのではなく、現代人において排除されていると思われる領域も存在します。ネアンデルタール人のX染色体上でも、繁殖に関連すると思われる遺伝子を含む領域の排除が指摘されています(関連記事)。また、Y染色体の遺伝子における現生人類とネアンデルタール人との違いから、遺伝的不適合が原因となって、ネアンデルタール人由来のY染色体が現代には継承されなかった可能性が高い、との見解も提示されています(関連記事)。

 ネアンデルタール人と現生人類との交雑において、ある程度は配偶行動の性的非対称があったかもしれません。しかしおそらくは、遺伝的不適合と偶発系統損失により、ネアンデルタール人のDNAはわずかながら現代人に継承されても、ネアンデルタール人のmtDNAもY染色体DNAも現代人には継承されなかったのではないか、と思います。mtDNAもY染色体DNAも基本的に母系・父系での単系統遺伝となるので、系統損失が生じやすくなります。

 たとえば、ネアンデルタール人の父親と現生人類の母親との間の子供で、現代にも子孫を残しているのが女性のみだった場合、もしくは男性の子供もいたものの、その男性の子供には女性しかいなかったような場合、ネアンデルタール人由来のDNAは現代人に伝わっても、ネアンデルタール人由来のmtDNAもY染色体DNAも現代人には伝わりません。現生人類の父親とネアンデルタール人の母親という逆の組み合わせでは、現代にも子孫を残しているのが男性のみだったか、女性の子供もいたものの、その女性の子供には男性しかいないと、やはりネアンデルタール人由来のmtDNAもY染色体DNAも現代人には伝わりません。

 現生人類がネアンデルタール人と接触して交雑した時、現生人類の人口がネアンデルタール人よりも多かった場合、配偶行動の組合せが男女もしくはその逆のいずか、あるいはその両方でも、ネアンデルタール人由来のmtDNAもY染色体DNAも失われやすくなるでしょう。現生人類とネアンデルタール人との交雑において、配偶行動の性的非対称があったと仮定するよりは、人口の多寡や遺伝的不適合の方が、現代人にはネアンデルタール人由来のDNAがわずかながら存在するものの、ネアンデルタール人由来のmtDNAもY染色体DNAも存在しない、という事実の説明としてはより節約的ではないか、と思います。

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