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Mark Adams『アトランティスへの旅 失われた大陸を求めて』

2017/07/16 00:00
 これは7月16日分の記事として掲載しておきます。マーク=アダムス(Mark Adams)著、森夏樹訳で、白水社より2015年12月に刊行されました。もう10年以上前にこのブログで述べましたが、欧米社会におけるアトランティスへの関心は今でも強いようで、さまざまな本が刊行されたり、新説が提示されたりしています。その記事にて、「アマチュアだけではなく、アカデミズムの側からの発言もあります」と述べましたが、アカデミズム側からの発言は基本的に冷ややかなもので、アトランティスの探索に熱心なのはアマチュア側のようです。

 確かに、アトランティスはオカルト的な関心で取り上げられることも多く、現代に匹敵するか現代を凌駕するような水準の技術を有していたとか、地球外知的生命体が関与していたとか、荒唐無稽な内容のものが少なくないので、アカデミズムの側がアトランティスの探索を警戒するのも無理のないことでしょう。本書はそうした荒唐無稽な見解とは距離を置き、アトランティス探索に熱心な人々(アトラントロジスト)を取材し、アトランティスの「真相」に迫ろうとします。

 著者はいくつかの有力なアトランティス候補地をじっさいに訪ね、現地で探索を続けるアトラントロジストたちと会って話を聞いています。本書を読むと、「正統派」からは胡散臭いと思われていることの多いアトランティス探索だけに、アトラントロジストには変人というか個性的な人が多いように思われます。しかし、それだけにアトランティス探索にかける情熱が本物であることも伝わってきて、その意味では感銘を受けました。

 本書はアトランティスの有力候補地を複数じっさいに訪れ、アトラントロジストを取材し、関連文献を再検証して、アトランティス探索の近年の「成果」を堅実にまとめている、と言えるでしょう。アトランティスについて興味のある人には一読の価値があると思います。本書を読んだのは、今でも『イリヤッド』の影響で、アトランティスへの関心が以前ほどではないにしても持続しているからなのですが、本書の結論は『イリヤッド』の結末と通ずるところがあります。本書を読んで、『イリヤッド』を最初から再読したくなりました。
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篠田謙一『ホモ・サピエンスの誕生と拡散』

2017/07/02 00:00
 これは7月2日分の記事として掲載しておきます。歴史新書の一冊として洋泉社より2017年6月に刊行されました。本書からは、一般向けであることを強く意識し、分かりやすい解説・構成にしようという意図が窺えます。じっさい、本書は目新しい情報を多く掲載しているわけではないものの、最新の研究成果に基づいて人類史を分かりやすく解説しており、なかなか読みやすく理解しやすいと思います。基礎的な解説もあるので、人類進化史に関心を持ち始めた人が読むのに適していると言えるでしょう。著者の専攻が反映され、DNA解析についての基礎的な解説に1章割かれていますが、過剰にDNA解析をありがたがる風潮に注意を喚起している点もよいと思います。

 本書は、序章がDNA解析と進化の基礎的な解説、第1章が現生人類(Homo sapiens)の出アフリカまでの人類史、第2章が現生人類の拡散、第3章が日本列島の人類史となっています。本書のような日本列島も主要な対象とした人類史の入門書では、おおむね弥生時代か古墳時代あたりまでが対象となっているように思われますが、江戸時代までを対象としているのが本書の注目すべき特徴となっています。江戸時代には、日本列島では現代人と変わらないような遺伝的構成が形成されていたと考えられる、と本書は述べています。

 上述したDNA解析への過度な信頼にたいする注意喚起など、本書は全体的に慎重な姿勢を示しており、良心的だと思います。たとえば、南アフリカ共和国で発見された新種ホモ属化石とされるナレディ(Homo naledi)に関しては、アウストラロピテクス属からホモ属への進化の過渡期に位置する種だ、との発掘チームの当初の見解を紹介しつつ、年代が不明なので、ホモ属の起源と言えるのか、現生人類にいたる系統から外れた種なのか、断定が避けられています。おそらくは本書執筆後に公表された研究(関連記事)により、後者である可能性が高くなりましたが、良心的な一般向け書籍は、このように安易に断定しないものだ、と改めて思ったものです。


参考文献:
篠田謙一(2017)『ホモ・サピエンスの誕生と拡散』(洋泉社)
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アリの拡散と人間の行動

2017/06/28 00:00
 これは6月28日分の記事として掲載しておきます。アリの拡散と人間の行動に関する研究(Bertelsmeier et al., 2017)が公表されました。人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こします。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続ける、と予測されています。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目していますが、外来種全般が類似の定着パターンに従うのかどうか、さらにそうしたパターンがどのように進行するのか、ほとんど知られていません。この研究は、本来の生息範囲の外へ導入されたことが知られている外来アリ241種を調べ、局地的・地域的・大陸横断的・全球的という4群に分類されることを明らかにしました。これら4群はそれぞれ、拡散を支配する動態が異なっています。

 さらにこの研究は、241種のうち36種に関して1750年以降の移動を調べた結果、その4群のアリ種が大陸および地域を横断した時期が、人類の移動とグローバル化および好景気に関する二つの大きな波と重なることを明らかにしました。第一の波は19世紀半ばに始まり、第一次世界大戦および1929年の世界大恐慌で終息したもので、第二の波は第二次世界大戦以降21世紀まで続きました。また、大きく全球化が進んだ侵略種は比較的小型であって、さまざまな場所に生息する能力を持つとみられることも明らかになりました。これは大陸横断の成功を説明すると考えられています。この研究は、アリの分布パターンに関する詳細を組み合わせて、さまざまな環境でのアリの生息を可能とする特性を理解することにより、生物の侵略を促進する過程に関する価値ある洞察をもたらし、将来的に侵略種となる可能性が極めて高い種の特定に寄与している、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


外来アリは人間が行く先々へついてくる

 最近の人類史上の大きな出来事がアリ侵略種の拡散の要因となっていることを示す論文が、このたび新たに掲載される。外来アリによる侵略の成立に関してその形質、動態、および促進要因を理解することは、他の侵略種の将来的な拡散を抑止するのに役立つ可能性がある。

 人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こす。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続けることが予測されている。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目しているが、外来種全般が類似の定着パターンに従うのかどうか、そしてそうしたパターンがどのように進行するのかはほとんど知られていない。

 本来の生息範囲の外へ導入されたことが知られている外来アリ241種を調べたCleo Bertelsmeierたちは、そのアリが4つのカテゴリーに分類されることを発見した。それは、分布が局地的、地域的、大陸横断的、および全球的なものの4つであり、それぞれの拡散を支配する動態は異なっている。続いて研究チームは、そのうち36種に関して1750年以降の移動を調べた結果、その4群のアリ種が大陸および地域を横断した時期が、人類の移動、グローバル化、および好景気に関する2つの大きな波と重なることを発見した。第一の波は、19世紀半ばに始まって第一次世界大戦および1929年の世界大恐慌で終息したものであり、第二の波は、第二次世界大戦以降、21世紀まで続いた。また、大きく全球化が進んだ侵略種は比較的小型であって、さまざまな場所に生息する能力を持つとみられることが分かった。このことは、大陸横断の成功を説明すると考えられる。

 アリの分布パターンに関する詳細を組み合わせて、さまざまな環境でのアリの生息を可能とする特性を理解することにより、研究チームは、生物の侵略を促進する過程に関する価値ある洞察をもたらし、将来的に侵略種となる可能性が極めて高い種の特定に寄与している。



参考文献:
Bertelsmeier C. et al.(2017): Recent human history governs global ant invasion dynamics. Nature Ecology & Evolution, 1, 0184.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0184
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ネコの起源

2017/06/22 00:00
 これは6月22日分の記事として掲載しておきます。ネコの起源に関する研究(Ottoni et al., 2017)が公表されました。ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた、と考えられています。この研究は、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析しました。

 その結果、二つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが明らかになりました。その一つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年にはヨーロッパへ広がりました。一方、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めています。系統IV-Cはその後、紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが明らかになりました。おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったので、拡大したと考えられます。

 そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成されました。また、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずアジア南西部、次いでヨーロッパおよびアフリカの各地へ広がったことも明らかになりました。これは、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


ネコのルーツ

 ネコはインターネットを席巻するはるか以前に(旧)世界を席巻した、という論文が、今週掲載される。中石器ルーマニアから20世紀アンゴラまで、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析した結果、新石器時代以降のネコの広がり、近東およびエジプトの集団によるイエネコ遺伝子プールへの寄与、ならびに中世のトラネコの起源が明らかにされた。

 ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた。Eva-Maria Geiglたちは、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、考古学的、歴史的なネコの遺物からDNAを収集し、塩基配列の解読を行った。

 その結果、2つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが分かった。その1つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年には欧州へ広がった。それに対し、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めている。系統IV-Cは、その後紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが分かった(おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったことがそれを促進したと考えられる)。そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成された。研究チームは、意外にも、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずはアジア南西部、次いで欧州およびアフリカの各地へ広がったことを指摘している。このことは、研究チームの結論によれば、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性があることを示唆している。



参考文献:
Ottoni C. et al.(2017): The palaeogenetics of cat dispersal in the ancient world. Nature Ecology & Evolution, 1, 0139.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0139
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蔦谷匠「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」

2017/06/21 00:00
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、現代人の授乳と離乳に見られるミスマッチ(関連記事)について解説しています。大半は狩猟採集社会における進化を通じて獲得されてきたヒトの行動や性質が、近現代の急激な生活環境の変化にあって齟齬をきたす事例が多数見られ、授乳と離乳もその一例になる、というわけです。

 狩猟採集社会では、母親が子供の誕生から数年は子供を連れ歩くため、頻繁に授乳が行なわれます。頻繁に授乳しないと、乳汁生産を促進するプロラクチンというホルモンの濃度が低下するため、現代の産業社会においては、授乳での育児が困難になっています。また、現代社会においては女性の乳房が性的欲望の対象とされることが多いため、その点も授乳での育児を困難としています。そのため、現代社会では、粉ミルクなどの人工乳による育児も普及しています。

 しかし、現代社会において、母乳バンクやインターネットの母乳の取引が行なわれています。これは、「母性神話」とも関わる根拠のない観念・思い込みにのみ起因するというわけではなく、母乳育児には人口母子双方に利点がある、と明らかになっています。母乳には、幼児の脆弱な免疫機能を補ったり、母乳に含まれる多様なオリゴ糖が幼児の腸内細菌叢の発達に重要な役割を果たしたりしており、人工乳はまだ母乳に及ばないところが多々あるようです。

 また、授乳で育ったヒトは成人後も感染症の罹患率やII型糖尿病の発症リスクが低下し、母親の方も、授乳により乳癌や卵巣癌の発症リスクが低下する、と指摘されています。また、衛生環境の悪い地域では人工乳での育児により乳幼児の死亡率が数倍にまで上昇すると報告されており、そうした地域では生後2年以上は母乳で乳幼児を育てるよう、世界保健機関が強く推奨しています。ただ、母乳にはビタミンDが欠乏しているので、乳幼児をほとんど日光に当てないような「大事な」育て方をすると、ビタミンD欠乏に陥る、と指摘されています。

 授乳は排卵を抑制するので、富裕な階層で母親が授乳せず、乳母を雇っていたのは、母親に男児を多数産ませるためではなかったか、との見解も提示されているそうです。本論文では、中世〜近世のヨーロッパの事例が取り上げられていますが、当時、授乳が出産を抑制する、と経験的に理解されていた可能性もあるでしょう。前近代の日本でも社会上層では乳母を雇うことが一般的だったようですが、これも同様の理由なのかもしれません。

 本論文は、現代人の授乳と離乳においてミスマッチが起きやすいものの、母乳と人工乳は育児においてトレードオフの関係にあることを指摘しています。確かに、母乳育児の利点は母子ともに大きいのですが、だからといって、現代社会において母乳育児に拘れば、経済的な損失が大きくなることも珍しくありません。母乳育児に拘って(貧窮化していき)母親の健康が損なわれるようなことがあれば、母子共倒れになりかねず、授乳と離乳に関しても、生物学的・文化的背景を把握することで、双方の利点を抜き出せるのではないか、と本論文は指摘しています。


参考文献:
蔦谷匠(2017)「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」『現代思想』第45巻12号P115-127(青土社)
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本村凌二『教養としての「世界史」の読み方』第3刷

2017/05/21 00:00
 これは5月21日分の記事として掲載しておきます。2017年3月にPHP研究所より刊行されました。第1刷の刊行は2017年1月です。歴史学に限らず、緻密化・細分化の進む分野で、総合的な内容の本を執筆するのには勇気が必要だと思います。歴史学のような分野だと、扱う範囲が広範で、研究の蓄積も膨大なため、「一国史」でも通史を執筆するのにはかなりの勇気が必要となるでしょう。じっさい、各分野の専門家や非専門家でも詳しい人で、本書の叙述に疑問を抱く人は少なくいかもしれません。ただそれでも、本書のような一人の執筆者による総合的な歴史書は、歴史理解の手がかりのために必要であるとは思います。

 本書は「世界史」とはいっても、時代順に重要なもしくは著名な出来事を網羅的に簡潔に叙述していくという形式ではなく、著者が重要と考える観点に基づいて解説していく、という構成になっています。その観点とは、文明が大河の畔で発祥した理由・ローマとの比較・世界史における同時性・人間の大移動の理由・宗教の重視・共和政の観点からの日本と西洋の違い・すべての歴史は「現代史」である、というものです。このうち、すべての歴史は「現代史」であるという観点は、本書を貫く基調になっていると思います。

 このうち、文明が大河の畔で発祥した理由については、乾燥化により人々がより好適な環境に集まってきたからだ、とされており、人間の大移動の理由とも関連しています。ただ、たとえば、いわゆるインダス文明については、大河文明ではない、との見解も提示されています(関連記事)。アメリカ大陸など、メソポタミア・エジプト・華北以外の地域の事例も含めて、これは、今後も検証・議論の必要な問題のように思えます。ただ、「文明」の発祥において人間が集まることを重視する本書の見解は、基本的に妥当だと思います。

 世界史における同時性については、現代にまで強い影響を及ぼしている重要な思想が紀元前1000年紀にユーラシアの各地で相次いで出現したことが指摘されています。これは、すでに「枢軸時代」として以前から指摘されている見解ですが、本書は、思想だけではなく、貨幣・アルファベット・一神教の出現にも同時代性があると指摘し、その背景に単純化志向を想定しています。これは重要な指摘だと思います。ただ、宗教に関して言えば、「二分心」仮説に好意的な本書の見解には疑問が残ります。

 本書は全体的にたいへん読みやすく、もちろん、上述したように、世界史という大きな範囲を対象にしているので、専門家からすると突っ込みどころは少なくないだろう、と思います。私が気になったのは、一神教における宗教対立の激しさの指摘で、現代日本社会においてかなりの程度定着していると思われる、排他的な一神教世界と寛容な多神教世界の日本という俗説の影響があるのではないか、と懸念されます。また、現代日本社会におけるモラルの低下との指摘も、むしろ、著者がローマ社会について指摘していたような(関連記事)、社会の価値観の変化・厳格化といった心性の変化による可視化が進んだためではないか、とも思えます。

 このように疑問点もありますが、本書のような概説ではそれは避けられないことでしょうし、本書は教科書・指導書としてではなく、自身で調べて考える契機とする入門書として読むべきなのでしょう。著者の他の著書と同様にたいへん読みやすく、本書の諸見解に同意するか否かは別として、重要な論点が提示されているので、読んで損することはないと思います。私は、面白かったということもあり、集中してあっという間に読み終えることができました。著者の一連の著書のなかでは大当たりとまでは言えませんが、お気に入りの一冊となりました。
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現代人の形成に大きな役割を果たした移民

2017/05/20 00:00
 これは5月20日分の記事として掲載しておきます。現代人の形成に移民が大きな役割を果たした、と指摘する概説(Gibbons., 2017)が公表されました。この概説は、現在、移民が大きな問題となっていることを強く意識した内容になっています。移民排斥の流れは現代世界の大きな動向として注目されており、それがイギリスの国民投票におけるEU離脱や、アメリカ合衆国でのトランプ政権の誕生など、「識者」や既存報道機関にとって意外な、大きな政治的出来事をもたらした、とよく論じられています。また、「識者」や既存報道機関にとって意外ではないとしても、フランス大統領選における国民戦線候補の健闘も、同じような文脈でよく語られています。

 しかし、この概説は、そもそも現生人類(Homo sapiens)は頻繁に移動する動物であり、各集団間の混合は珍しくなく、現代人の各地域集団も混合の結果形成されていったのだ、と強調しています。このような人類集団の移動・混合について、かつては考古学的証拠(土器などの人工物)が指標とされていましたが、文化の伝播は人類集団の移住を伴うとは限らないので、同位体分析が重視されるようになり、現代ではDNA解析が重要な指標とされています。このDNA解析は、技術の飛躍的発展により、現代人だけではなく、更新世にまでさかのぼって人類遺骸も対象となっています。その結果、現生人類内の各集団間だけではなく、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった、他系統の人類と現生人類との交雑も明らかになりました。

 この概説は、オーストラリア先住民のように、他集団との混合の影響の少ない地域集団もあるものの、現代人の各地域集団は基本的に混合により形成されたと強調し、「純粋な民族」を想定する見解、とくにドイツのナチス政権の主張を批判しています。現代人および古代人のDNA解析の結果、現代ヨーロッパ人の主要な起源ついては、更新世の狩猟採集民・完新世初期に農耕をもたらした西アジアからの移民・青銅器時代に黒海沿岸から拡散した遊牧民と複数あることが明らかになりました。こうした移動の特徴は一様ではなかったようで、青銅器時代の遊牧民の移動に関しては、男性の比率が圧倒的に高かったのではないか、と推測されています。

 ナチス政権は、人類学や考古学や歴史学を利用して「純粋なアーリア人」の存在を喧伝しました。ナチス政権はそうした文脈において、紀元後9年のトイトブルクの戦いの英雄とされるアルミニウスを「純粋な」アーリア人として称揚し、ポーランドやオーストリアの領有の正当化に利用しました。しかし、この概説は、アルミニウスはゲルマン系集団を統一できたわけではなく、さらに、上述したヨーロッパ人の形成過程からしても、アルミニウスの出身部族であるケルスキ族は各集団の混合により形成されたのであり、「純粋なアーリア人」ではなかった、と指摘しています。

 現代人の各地域集団は複雑な混合の結果形成された、というこの概説の見解は今では常識的です。ただ、この概説でも指摘されているように、たとえばオーストラリア先住民は比較的孤立していた集団であり、各地域集団の形成過程・混合の比率とその様相(たとえば、青銅器時代のヨーロッパにおける移動や、ヨーロッパからアメリカ大陸への人類の初期の移住における性比の非対称性)はかなり異なっていたと思われます。また、この概説からも窺えるように、現時点ではヨーロッパについての研究がとくに詳しく、地域間の研究密度の違いが大きいことも否定できません。気候など環境条件の問題により古代DNAの解析が難しい地域もあるので、この格差を埋めるのは容易ではありませんが、この分野の技術の発展は著しいので、今後の研究の進展が大いに期待されます。


参考文献:
Gibbons A.(2017): Busting myths of origin. Science, 356, 6339, 678-681.
http://dx.doi.org/10.1126/science.356.6339.678
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Alex Mesoudi『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』

2017/05/14 00:00
 これは5月14日分の記事として掲載しておきます。アレックス=メスーディ(Alex Mesoudi)著、野中香方子訳、竹澤正哲解説で、文藝春秋社より2016年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、文化の変遷を生物進化の概念・数理モデルで把握しようとする文化進化論の立場を解説しています。歴史学や文化人類学など文化を扱う社会科学分野は多数ありますが、その多くが定量的な手法を用いておらず、科学的厳密さに欠けている、と本書は指摘します(心理学や経済学の手法には科学的厳密さがあるものの、文化を無視して個人の行動を重視し、文化を不変の背景係数として扱う傾向にある、と指摘されています)。そうした状況を変えるものとして、本書は文化進化論を強く打ち出しています。

 本書の目的は、たんに科学的厳密さを追求するのではなく、社会科学のさまざまな分野の間で個別の方法論が維持され、各分野を横断しての知見・方法論の交換が乏しいことから、文化の理解が妨げられている現状を大きく改善するために、生物進化のモデルを用いて文化を定量的に把握することにより、社会科学各分野の橋渡しをして、文化をより正確に説明しよう、という気宇壮大なものです。20世紀半ばに、数学的手法を用いた研究者たちが博物学と遺伝学との橋渡しをして進化総合説が成立したように、生物進化のモデルを用いて社会科学を統合しよう、というわけです。

 この試みが成功するのか否か、私の見識ではとても的確に予測できませんが、本書は、言語・写本などの諸研究から、文化の変遷を生物進化のモデルで把握することの有効性が少なくとも一定以上あることを、説得的に示せているように思います。このブログでも取り上げた、アシューリアン(Acheulian)石器の拡散と変容(関連記事)についても言及されていました。本書は、人間の文化の変遷を生物進化のモデルで把握することが有効な理由として、人間の文化の変遷が生物進化と同様に蓄積的であることを挙げています。人間にとって最近縁の現生種であるチンパンジーも含めて、他の現存生物にも文化と言えるものはありますが、蓄積的ではない、というわけです。ただ、人間の文化が蓄積的である理由については、まだ確定的なことは言えないようです。なお、本書における文化の定義は、「模倣、教育、言語といった社会的な伝達機構を介して他者から習得する情報」となっています。

 率直に言って、詳しくない分野だったので、読み進めるのになかなか苦労しましたし、じゅうぶん理解できたとはとても言えません。今後、時間を作って何度か再読する必要があります。文化の変遷を生物進化のモデルで把握する方法の有効性は明らかだと思いますし、今後の発展が大いに見込める分野だと言えるでしょう。その意味で、今後の研究の進展が大いに期待されますが、本書も指摘するように、まだ歴史の浅い分野なので、今後、多くの検証と議論が必要になってくるでしょう。本書は、教科書としてその見解を受動的に把握するのではなく、今後理解を深めるための出発点となる一冊と考えるべきなのでしょう。


参考文献:
Mesoudi A.著(2016)、野中香方子訳、竹澤正哲解説『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』(NTT出版、原書の刊行は2011年)
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Yuval Noah Harari『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』上・下

2017/05/07 00:00
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。ユヴァル=ノア=ハラリ(Yuval Noah Harari)著、野中香方子訳で、河出書房新社から2016年9月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。地上波でも取り上げられ、大型書店でも大きく扱われているなど、本書は評判の一冊になっているようです。私は刊行後間もない時期に購入したのですが、書評を少し読んだ限りでは、あまり新鮮さはなさそうだということで、読むのを先延ばしにしていました。しかし、このまま読まないのはもったいないと思い、読んでみた次第です。

 本書の個々の見解は、確かに新鮮さはあまりないと思います。ただ、特定の観点にこだわって現生人類の歴史を概観するという構成が雄大であり、著者も一般向けであることを意識してか、なるべく分かりやすい説明を心掛けているように思われ、その点が評判になっている理由でしょうか。欧米ではこうした魅力的で壮大な一般向け人類史が刊行され、話題になることがありますが、本書も評判になるだけの要素を備えており、それは博学な著者ゆえに可能だったのでしょう。

 本書の観点の一つは、(遅くとも7万年前頃の認知革命による)現生人類(Homo sapiens)に備わっている、虚構を語り信じる能力です。これが、その後の現生人類(サピエンス)の歴史的展開の基盤とされています。人権概念・貨幣・国家・宗教などが虚構に基づいていると強調する本書の見解は、ありふれていると言えるかもしれませんが、一般向け書籍としては、なかなか刺激的かもしれません。本書を読んで改めて、近代国家を標的にやたらと虚構性を強調する見解への違和感を覚えます。

 本書のもう一つの観点は、幸福です。本書は、種(分類群)・集団の「繁栄」と個体の幸福とを直結させず、農業革命や科学革命(およびそれが実現可能とした産業革命・近代化)により前者が実現しても、後者の観点ではむしろ状況が悪化したことも多い、と強調します。これもとくに新鮮な見解ではないとしても、一般向け書籍ということを考慮すれば、それが強調されたのは衝撃的と言えるかもしれません。人間が小麦を栽培化したのではなく、小麦が人間を家畜化した、との見解も一般向け書籍としては新鮮でしょう。また、近代における植民地の搾取された人々のみならず、近代化でいっそう大規模になった家畜の、個体の幸福まで大きく取り上げているのも、本書の重要な特徴と言えるでしょう。

 人類史の転換点として農業革命と産業革命を挙げる見解は常識的と言えるでしょうが、本書は、産業革命よりもむしろ、それをもたらすにいたった科学革命を重視している点が大きな特徴と言えるでしょうか。本書は科学革命の重要な特徴として、世界の重要な事柄について、すでに神や賢者によりすべて示されている、とするキリスト教・イスラーム・儒教などの伝統的な知的観念とは異なり、進んで無知であることを認めたことが大きい、と指摘しています。

 今後、科学革命以降の大発展を前提として、現生人類が別の生物に変わっていくかもしれない可能性を論じていることなど、本書はとにかく雄大な構想になっているので、細かく見ていけば、特定の時代・地域・事象に関心の強い読者にとって、不満点は少なくないかもしれません。しかし、それが本書の価値を大きく減じていることはないと思います。原書は2011年の刊行なので、現時点(2017年5月)でもやや古く、新たな知見を得るという目的で読むと、必ずしも満足させられないかもしれません。しかし、幸福や虚構性という観点など、本書は哲学的に深く考えさせられる内容となっており、一読の価値はあると思います。

 個人的な関心に引き付けて言えば、認知革命を現生人類に特有の出来事とし、他系統の人類を過小評価しているのではないか、との疑問は残ります。これはまだ考古学的に実証された見解とは言い難く、本書のこの見解は今後大きく修正されることになるかもしれません。しかし、かりにネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)など他の後期ホモ属にもサピエンスとあまり変わらないような、虚構を可能とする認知能力があったとしても、それが現代の「高度な文明」の重要な基盤になっている、という本書の核となる見解は間違いないだろう、と思います。

 また本書では、人類は長い間、食物連鎖における地位は中ほどで、環境に大きな影響を及ぼすわけではなかった、とされます。人類が大型動物を本格的に狩るようになったのは40万年前頃以降で、その前には死肉漁りや小形動物の狩猟が主であり、人類は絶えず捕食動物に脅かされていたのではないか、というわけです。しかし、人類が50万年以上前から大型動物を待ち伏せして狩っていた可能性(関連記事)や、70万年前頃に大型動物を体系的に屠殺していたこと(関連記事)など、近年の考古学的成果(関連記事)から推測すると、これは50万年前頃以前の人類の過小評価かもしれません。


参考文献:
Harari YN.著(2016)、柴田裕之訳『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』上・下(河出書房新社、原書の刊行は2011年)
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深井智朗『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』

2017/04/30 00:00
 これは4月30日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年3月に刊行されました。本書はプロテスタンティズムの概説ですが、副題にあるように現代社会を射程に入れており、現代社会におけるプロテスタンティズムの役割はどのような歴史的経緯をたどってきた結果として成立したのか、という観点を強く打ち出しているように思われます。本書はまず、プロテスタンティズムの前提として、中世の西方教会世界を簡潔に解説します。そこではカトリックが人々の世界観に大きな影響を与えており、ローマ教皇が高い権威を有していました。しかし、ルターによる「宗教改革」の発信地となった神聖ローマ帝国領内では、政治的権威確保のためにローマ教皇への依存度が高いので、カトリックに搾取される傾向があり、これがルターによる「宗教改革」の前提となったようです。

 本書はルターによる「宗教改革」をやや詳しく取り上げており、カルヴァンなど「宗教改革」における他の重要人物については、解説がやや簡略になっています。本書が強調しているのは、ルターは新たな「宗派」を立ち上げようとしたのではなく、あくまでもカトリックの「再形成」を目標としていた、ということです。しかし、贖宥状の利権をめぐる問題などで折り合いがつかず、カトリックとルター双方の強硬姿勢から、ついにルターの教えはカトリックと決別し、新たな教派たるプロテスタンティズムが形成されていきます。ローマ教皇という確たる中心的権威が存在し、中央集権的で教義が統一されているカトリックにたいして、聖書を重視するプロテスタンティズムの方は、ローマ教皇のみならず万人に聖書の解釈が平等に開かれていることを特徴とするため、際限なく分裂していく傾向にあった、と本書は指摘します。

 こうした多様なプロテスタンティズムについて本書は、古プロテスタンティズムと新プロテスタンティズムの二つに区分する見解を主張しています。ルターやカルヴァンのように、一つの政治的領域を単位とする信仰世界を前提とする古プロテスタンティズムと、「洗礼主義」のように、個人の自覚的信仰を要求する、地縁・血縁ではなく信仰による共同体を形成しようとする新プロテスタンティズムというわけです。本書は、古プロテスタンティズムの信仰共同体の在り様がカトリックと類似していることを指摘し、それへの反発として新プロテスタンティズムが成立していく、との見通しを提示しています。本書は、個人主義的な新プロテスタンティズムが、自由・人権・民主主義など近代的価値観の普及に重要な役割を果たした、と指摘しています。

 本書は、古プロテスタンティズムを保守主義、新プロテスタンティズムをリベラリズムと結びつけます。古プロテスタンティズムのルター派は、プロイセン主導の統一ドイツ帝国に道徳的正統性を与え、国家への帰属意識を高めていった、という歴史的経緯が指摘されています。しかし、帝政ドイツ崩壊後のヴァイマール期の不遇とその反動としてのナチス体制にたいする抵抗の弱さを経て、ドイツの古プロテスタンティズムは保守主義に教義を提供しつつ、多くの争いを経験してきたプロテスタンティズムの智慧である多文化共生の道を切り開いてきた、と本書は評価しています。

 もう一方の個人主義的傾向の強い新プロテスタンティズムは、アメリカ合衆国において大きな影響を及ぼしました。新プロテスタンティズムの個人主義・自由主義は、アメリカ合衆国において、自助努力を重んじ、小さな政府を志向する基本的価値観を根づかせました。本書はこのようにプロテスタンティズムを大きく二分し、現代の保守主義・リベラリズムと結びつけます。本書はプロテスタンティズムを一般向けに明快に解説しており、入門書として優れているように思います。ただ、プロテスタンティズムの二分については、かなり類型化されている印象も受けました。また、保守主義とリベラリズムの意味合いが、現代日本社会における一般的な用法とはかなり異なるようにも思われます。まあ、この問題については明らかに私が勉強不足なので、門外漢の素朴な疑問でしかありませんが。
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タイトル 日 時
小山聡子『浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜』
 これは2月26日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年1月に刊行されました。本書は、親鸞の生涯と浄土真宗教団の成立過程を、その思想の変遷をたどりつつ解説しています。親鸞やその後継者たちの思想の背景として、浄土教をはじめとする平安時代以来の伝統的な信仰があり、親鸞やその後継者たちが自力に完全に徹していたわけではないことが解説されています。 ...続きを見る

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2017/02/26 00:00
現代アメリカ合衆国の人口構造
 これは2月11日分の記事として掲載しておきます。現代アメリカ合衆国の人口構造に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。植民地時代以前の北アメリカ大陸の人々については、かなり詳細な研究が行われていますが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航しています。この研究は、アメリカ合衆国生まれの約77万人のDNA解析を行ない、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築しました。 ...続きを見る

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2017/02/11 00:00
女性性器切除の文化的進化
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。アフリカの特定の民族集団における女性性器切除(FGC)の文化的進化に関する研究(Howard, and Gibson., 2017)が公表されました。女性性器切除の風習は、とくにアフリカおよび中東各地の多くの民族集団において確認されており、場合によっては、非医学的な理由から女性の性器に各種の有害な改変を加え、産科的・性的・心理的に重大な影響を生じることがあります。したがって、その撲滅は国際社会の優先課題とされています。しかし、この風習に対する組織... ...続きを見る

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2017/02/10 00:00
吉田一彦『シリーズ<本と日本史>1 『日本書紀』の呪縛』
 これは2月4日分の記事として掲載しておきます。集英社新書の一冊として、集英社より2016年11月に刊行されました。本シリーズは、本のあり方から一つの時代の文化や社会の姿を考え、その時代の考え方や世界観・価値観、さらには知の枠組みがどのようなものだったのか、考察する企画とのことです。本書は『日本書紀』を取り上げ、いかなる意図・構想なのか、後世にどのような影響を与えたのか、ということを考察しています。おもに奈良時代・平安時代における『日本書紀』の影響・受容の在り様が取り上げられていますが、中世・近... ...続きを見る

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2017/02/04 00:00
岩崎育夫『世界史の図式』
 これは1月29日分の記事として掲載しておきます。講談社選書メチエの一冊として、講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、世界を大きくアジア・中東・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・ラテンアメリカ・オセアニアに7区分し、一つの地域世界が軍事・経済・文化的に優位となり(優位勢力)、その主導で歴史が展開してきた、との理解のもと、過去2000年の世界史を概観しています。本書は近現代において支配的だったヨーロッパ中心主義の克服を掲げ、ヨーロッパもこれら7地域世界の一つにすぎない、との視点を打ち... ...続きを見る

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2017/01/29 00:00
山岸俊男『「日本人」という、うそ 武士道精神は日本を復活させるか』
 これは1月22日分の記事として掲載しておきます。ちくま文庫の一冊として、筑摩書房より2015年10月に刊行されました。本書の親本『日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点』は、2008年に集英社インターナショナルより刊行されました。本書の内容については、親本の表題の方が本書の表題の方よりもずっと的確に表しているように思えます。もっとも、現代日本社会でより関心を惹きそうな表題は本書の方でしょうから、この改題は仕方のないところでしょうか。 ...続きを見る

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2017/01/22 00:00
玉木俊明『先生も知らない世界史』
 これは1月17日分の記事として掲載しておきます。日経プレミアムシリーズの一冊として、日本経済新聞出版社から2016年10月に刊行されました。定住生活と農耕の始まりから現代までを対象としていますが、冒頭で述べられているように、西洋中心の解説となっています。アジアやアメリカ大陸についてもそれなりに言及されていますが、本書の主題はあくまでも、ヨーロッパが他地域にたいして優位に立った理由の解明なので、そうした観点からのヨーロッパとの比較が多くなっています。 ...続きを見る

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2017/01/17 00:00
尾本恵市『ヒトと文明 狩猟採集民から現代を見る』
 これは1月4日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2016年12月に刊行されました。本書は人類史の概説とも言えますが、著者の問題意識は現代社会への強い危機感にあり、現代人への警鐘と受け止めるべきなのかもしれません。ただ、本書は著者の自伝的性格も強いので、人類史の概説にしても、現代社会の危機の指摘にしても、やや雑然としているというか、体系的ではないところがあります。もっとも、著者の少年時代からの話は研究史にもなっているので、興味深く読み進められました。 ...続きを見る

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2017/01/04 00:00
本村凌二『競馬の世界史 サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年8月に刊行されました。古代ローマ史専攻の著者は競馬ファンでもあり、『優駿』やスポーツ紙などへの寄稿をたびたび読んだことがありますが、最近ではどうなのでしょうか。本書は、基本的にはサラブレッドの近代競馬を扱っていますが、著者の専攻を反映して、ローマ帝国やギリシアなど古代の競馬についても1章割かれています。もっとも、ローマ帝国における競馬とは、基本的には戦車競走でした。 ...続きを見る

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2016/12/23 00:00
立山良司『ユダヤとアメリカ 揺れ動くイスラエル・ロビー』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。アメリカ合衆国におけるユダヤ社会の動向の変遷が、イスラエルとの関係を軸に分析されています。アメリカ合衆国におけるイスラエル・ロビーというかユダヤ・ロビーの大きな影響力は、現代日本社会でもよく知られているでしょう。これが誇張されると、ユダヤ陰謀論になってしまうわけですが、日本社会でも一時期、ユダヤ陰謀論を主張する本がわりとよく売れ、今でもユダヤ陰謀論は一定以上の影響力を有しているかもしれません。もちろん本書の見解は、ユダヤを一... ...続きを見る

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2016/08/11 00:00
宇野重規『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』
 これは8月3日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。広く使われている用語ほど、定義が難しく、見解の分かれることが多い、と私は昔から考えているのですが、保守主義もその一例と言えるかもしれません。本書は、過去に価値を見出し、変化を嫌うような思考は人類社会に普遍的であるものの、それは保守主義とは異なり、保守主義は自覚的な近代思想である、と指摘します。 ...続きを見る

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2016/08/03 00:00
大規模化する社会における宗教の役割
 これは7月31日分の記事として掲載しておきます。大規模化する社会における宗教の役割に関する研究(Purzycki et al., 2016)が公表されました。人間社会は大規模化・複雑化し、血縁関係だけでは成立し得なくなっています。この研究は、経済ゲームおよび民族誌的聞き取りにより、キリスト教・ヒンドゥー教・仏教・アニミズム(精霊崇拝)や祖先崇拝などの地元の伝統を信仰する500人以上を対象に調査を行ないました。その結果、道徳感を課し、懲罰的で、知恵に富む存在と彼らが感じている神を信じる人々は、遠... ...続きを見る

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2016/07/31 00:00
飯倉章『第一次世界大戦史 風刺画とともに見る指導者たち』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年3月に刊行されました。一昨年(2014年)で第一次世界大戦の始まりから100年となり、再来年(2018年)で第一次世界大戦の終結から100年となります。そういうわけで、近年になって、日本社会では第二次世界大戦と比較するとずっと関心が低かったと思われる第一次世界大戦に関する書籍の刊行が活発になってきたように思います。一般向けの第一次世界大戦の通史である本書も、第一次世界大戦から100年という節目を意識しての刊行のようです。 ...続きを見る

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2016/07/09 00:00
石川明人『キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理』
 これは7月3日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年1月に刊行されました。本書は、「愛」と「平和」を唱えるキリスト教徒がなぜ戦争をするのか、という問題を論じています。キリスト教というか、宗教全体に冷ややかな視線を向ける人を、私もこれまで少なからず見てきました。そうした人々にはしばしば、キリスト教徒が主体で、キリスト教が社会に大きな影響力を有していた時代にも、宗教を前面に出した戦争が絶えなかったことから、キリスト教、さらには宗教全体を偽善・役立たずと揶揄... ...続きを見る

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2016/07/03 00:00
細田晴子『カストロとフランコ 冷戦期外交の舞台裏』
 これは6月29日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2016年3月に刊行されました。私が近現代のスペインやキューバについてよく知らないということもあるのですが、カストロとフランコとは私にとって意外な組み合わせで興味深かったので、読んでみました。現代日本社会における一般的印象では、カストロが「左翼の英雄・革命家」であるのたいして、フランコの方は「(第二次世界大戦後も生き延びた)世渡りが上手く(時代遅れの)狡猾なファシスト」であり、両者は対照的な存在として認識されて... ...続きを見る

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2016/06/29 00:00
竹下節子『キリスト教の真実―西洋近代をもたらした宗教思想』
 これは6月24日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2012年4月に刊行されました。現代のグローバル化された「国際社会」における暗黙の「利用規約」にはキリスト教があるので、それを理解しなければならないのに、近代世界の成立にさいして、キリスト教というかカトリックの果たした役割が不当に評価され貶められている、というのが本書の基調となっています。現代日本人向けのカトリック復権・擁護の書だと言ってしまうと、本書を過小評価しているというか、誤読していることになりそうですが... ...続きを見る

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2016/06/24 00:00
関雄二編『古代文明アンデスと西アジア 神殿と権力の生成』
 これは6月15日分の記事として掲載しておきます。朝日選書の一冊として、朝日新聞出版より2015年8月に刊行されました。本書はアンデスと西アジアの事例から、完新世に社会がどのように変容・複雑化していったのか、検証しています。社会が変容・複雑化していった考古学的指標として本書が重視しているのが神殿です。本書にはアンデスと西アジアに関する複数の論考が所収されていますが、じゅうらいの経済を重視した唯物史観的な神殿・都市形成論を見直そうとする方針が貫かれています。じゅうらいの史観とは、農耕が始まり余剰生... ...続きを見る

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2016/06/15 00:00
David Christian『ビッグヒストリー入門 科学の力で読み解く世界史』
 デビッド=クリスチャン(David Christian)著、渡辺政隆訳で、WAVE出版から2015年10月に刊行されました。原書初版の刊行は2007年で、本書は2015年刊行の第5版の翻訳とのことです。本書の特徴は、宇宙の始まりから叙述を始めていることです。さすがに地球の誕生から生命の誕生、さらには人類の出現までは簡潔な叙述になっていますが、人類の狩猟採集時代は予想以上の分量でした。また、農耕開始から文字の使用が始まる前までの時代にもかなりの分量が割かれていますから、いわゆる先史時代の比重がか... ...続きを見る

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2016/05/28 00:00
現代パナマ人に見られるヨーロッパ系の遺伝的痕跡
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。現代パナマ人のY染色体に関する研究(Grugni et al., 2015)が報道されました。15世紀末以降、アメリカ大陸にはヨーロッパから多数の人々が移住してきて、大きな影響を及ぼしました。これがかなりのところ侵略的であり、アメリカ大陸の先住民集団に大打撃を与えたことはよく知られています。パナマも含まれるラテンアメリカにおいては、ヨーロッパ系でもおもにスペイン系が移住してきました。こうしたスペインからの「征服者(コンキスタドール)」は単身の男性... ...続きを見る

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2016/02/25 00:00
玉木俊明『ヨーロッパ覇権史』
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2015年10月に刊行されました。本書の問題意識の前提として、アジアの高い経済成長とヨーロッパの混迷が見られる現代社会においても、ヨーロッパ発の規範は依然として強く、現代人は「ヨーロッパ化した世界」に生きている、との認識があります。さらに、本書では明言されていませんが、「未開拓の土地」を前提として持続的な経済成長を志向するヨーロッパ発の近代世界システムは行き詰っており、新たなシステムが形成されるであろうものの、... ...続きを見る

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2016/01/31 00:00
呉座勇一『一揆の原理』
 これは1月24日分の記事として掲載しておきます。ちくま学芸文庫の一冊として、筑摩書房より2015年12月に刊行されました。本書の親本『一揆の原理 日本中世の一揆から現代のSNSまで』は、2012年に洋泉社より刊行されました。本書は日本史上における一揆がどのような原理に基づいているのか検証し、じゅうらいの一揆像の見直しを提言しています。じゅうらいの一揆像とは、たとえば戦後日本社会でもてはやされた階級闘争史観に基づくものです。一揆とは反体制・革命運動である、といったものです。一方、1970年代後半... ...続きを見る

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2016/01/24 00:00
Daniel E. Lieberman『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下
 ダニエル=リーバーマン(Daniel E. Lieberman)著、塩原通緒訳で、早川書房より2015年9月に刊行されました。原書の刊行は2013年です。人類は現在の主要な環境にじゅうぶん適応していたわけではなく(ミスマッチ)、それが腰痛や糖尿病など以前にはあまり(もしくはほとんど)見られなかった現代人のさまざまな健康問題を惹起している、というのが本書の基本的な視点です。交通機関の発達・椅子に長時間座ること・糖分などの過剰摂取(栄養過多)といった、多くの現代人にとっての環境は、人類史のうえでご... ...続きを見る

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2015/10/28 00:26
篠田謙一『DNAで語る日本人起源論』
 岩波現代全書の一冊として、岩波書店より2015年9月に刊行されました。本書は遺伝学の研究成果に基づく日本人形成論です。本書の特徴は、一般読者を想定した丁寧な解説です。遺伝学に基づく人類進化の研究に関する基本的な事柄が丁寧に解説されていますし、現時点での研究成果の限界も言及されているので、良心的だと思います。この点は、8年前の著者の一般向け著書(関連記事)と同様です。本書は、その後大きく進展した人類進化に関する遺伝学的な諸研究成果を取り入れ、体系的に読める遺伝学的な日本人形成論としては最新のもの... ...続きを見る

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2015/10/13 00:00
大塚柳太郎『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』
 これは9月28日分の記事として掲載しておきます。新潮選書の一冊として、新潮社から2015年7月に刊行されました。本書は、この20万年間の人口史を検証しています。人口とはいっても、対象となる人類は基本的に現生人類(Homo sapiens)のみです。本書はこの20万年間を4段階に区分しています。第1段階は、人類がまだ起源地のアフリカに留まっていた期間です。第2段階は、人類がアフリカから世界へと拡散していった期間です。125000年前頃のレヴァントへの進出にも言及されていますが、本格的な世界への拡... ...続きを見る

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2015/09/28 00:00
『第二次世界大戦―あんな話こんな話』
 文春文庫の一冊として、ジェイムズ=ダニガン(James F. Dunnigan)、アルバート=ノーフィ(Albert A. Nofi)著、大貫昇訳で、文藝春秋社より1995年6月に刊行されました。第二次世界大戦にまつわるさまざまな話題が取り上げられていますが、戦前や戦後の話も多少触れられています。米国海軍ではアイスクリームがたいへん人気で行列ができるくらいだったとか、米軍第3艦隊司令長官のハルゼー(William Frederick Halsey)はその行列でしっかりと順番を守っており、上官優... ...続きを見る

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2015/08/28 00:00
火山性変動の年代の再較正
 火山性変動の年代の再較正についての研究(Sigl et al., 2015)が公表されました。火山噴火の気候への影響は知られていますが、1年の分解能で正確に年代決定された年輪の年代と、氷床コアに記録された火山性変動の年代を一致させるのは難しいとされてきました。この研究は、775年にヨーロッパ全域の樹木の年輪に、独特な大気中の炭素14の指紋を残した宇宙線異常との関連がはっきりしている、大気中のベリリウム10の急上昇を、グリーンランドと南極から得られた氷床コアで同じように観察されるベリリウム10の... ...続きを見る

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2015/08/04 00:00
セイロン島における人類の移住史
 セイロン島における人類の移住史についての研究(Ranaweera et al., 2014)が公表されました。セイロン島は現在では全土がスリランカ民主社会主義共和国の領土となっています。セイロン島の主要な民族は、ヴェッダ人・高地および低地シンハラ人・タミル人(スリランカタミル人およびインドタミル人)です。これら各民族のセイロン島への定住の経緯や相互の近縁関係については、これまでよく分かっていませんでした。この研究は、スリランカの各民族集団を代表する271人について、ミトコンドリアDNAの超可変... ...続きを見る

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2015/07/10 00:00
中東の現代人集団の遺伝的多様性
 中東の現代人集団の遺伝的多様性についての研究(Yang et al., 2014)が公表されました。この研究は、中東の代表的な2集団であるアラビア人集団・イラン人集団について、ゲノムワイドな一塩基多型(SNP)データを作成し、地球規模で比較しました。その結果、アラビア人集団・イラン人集団ともに、他の非アフリカ集団よりも全体的に高い遺伝的多様性を示すことが明らかになりました。これは、人間の移住による遺伝的混合の結果と考えられます。一方で、アラビア人集団・イラン人集団ともに、長いホモ接合性SNPの... ...続きを見る

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2015/06/21 00:00
片山一道『骨が語る日本人の歴史』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2015年5月に刊行されました。本書は「日本人」の形成過程を人骨から検証しています。日本列島における旧石器時代(更新世)の人骨はきわめて少なく、保存状況が良好な港川人にしても、「縄文人」と類似しているという以前の通説とは異なり、「縄文人」とは似ておらず、その祖先集団ではなかっただろう、との見解が近年では有力となっています。本書は更新世の日本列島の人類の起源に関しては慎重な姿勢を示しており、この時代の日本列島は「吹きだまり」だったのではないか、との見解を提示し... ...続きを見る

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2015/06/05 00:00
アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成
 アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成に関する研究(Montinaro et al., 2015)が公表されました。この研究は、アメリカ大陸・ヨーロッパ・アフリカのさまざまな集団の大規模な遺伝学データセットに高分解能の祖先識別法を適用し、アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成を分析しました。その結果、諸記録から歴史学などで明らかにされていた人類集団の移動が遺伝学的に裏づけられたり、これまでよく知られていなかった人類集団の移住が明らかになったりしました。 ...続きを見る

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2015/03/27 00:00
イギリス人集団の人口史
 イギリス人集団の人口史に関する研究(Leslie et al., 2015)が公表されました。この研究は、イギリスの広範な地域の2000人の遺伝学的データの分析から、イギリスにおいて遺伝的クラスターと地理的分布とがきわめてよく一致することを明らかにしています。この研究によると、イギリス南東部では、アングロ・サクソン系移住者による遺伝的寄与は半分以下であり、中石器時代以降、ローマ帝国時代以前の時期にヨーロッパ大陸からの集団移動があったことを示唆している、とのことです。また、非サクソン地域には一般... ...続きを見る

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2015/03/20 00:00
木畑洋一『二〇世紀の歴史』
 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2014年9月に刊行されました。本書は、ホブズボーム(Eric John Ernest Hobsbawm)氏の提唱した有名な「短い20世紀」論を意識しつつ、「長い20世紀」という視点から20世紀を把握しています。具体的には、1870年代から1990年代初頭までが対象となっています。帝国主義世界体制の構造が確立し、それが崩壊していった時代を「長い20世紀」として把握しよう、というのが本書の視点です。その終点の象徴が、南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の... ...続きを見る

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2015/03/17 00:00
Steven Pinker『暴力の人類史』上・下
 スティーブン=ピンカー(Steven Pinker)著、幾島幸子・塩原通緒訳で、青土社より2015年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、広範な分野の研究成果と膨大なデータを参照し、人類史において暴力が減少する傾向にあることを指摘して、その傾向をもたらした要因について検証しています。大部の本書で提示された論点は多岐に亘り、その洞察は深いと言えるでしょう。著者の学識と努力には敬意を払わねばならず、人類の暴力について考察するにさいして、本書は長きにわたって必読文献となり、後には... ...続きを見る

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2015/02/10 00:00
畜乳の消費を示す歯の記録
 畜乳の消費を示す直接的証拠となる歯の記録についての研究(Warinner et al., 2014)が公表されました。この研究は、歯石の中に保存されていた乳清タンパク質であるβラクトグロブリン(BLG)が、畜乳の消費の直接的証拠となり得ることを明らかにしました。BLGにより牛・羊・山羊の乳の消費を区別できるそうです。これは、さまざまな人間集団における乳製品の消費パターンや、乳製品の消費行動の進化過程を調べるために利用できるのではないか、とされています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引... ...続きを見る

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2014/12/03 00:00
小島毅『増補 靖国史観 日本思想を読み直す−幕末維新という深淵』第2刷
 ちくま学芸文庫の一冊として、筑摩書房より2014年8月に刊行されました。第1刷の刊行は2014年7月です。本書は2007年にちくま新書の一冊として筑摩書房より刊行された『靖国史観−幕末維新という深淵』の増補となります。同書については以前このブログで取り上げました(関連記事)。本書の第1章〜第3章は同書の修正で、第4章は書き下ろしとなります。解説は気鋭の歴史学者で論壇においてもよく見かける與那覇潤氏です。 ...続きを見る

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2014/12/02 00:00
松本佐保『バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘』再版
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2013年7月に刊行されました。初版の刊行は2013年6月です。バチカンについては、学術系の一般書よりも娯楽作品で接することの方がずっと多く、また近現代のバチカンについては、さまざまな雑誌・書籍などで断片的に知っているだけであり、まとまった本を読んだことがなかったので、本書を読んでみました。 ...続きを見る

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2014/11/28 00:00
山田雄司『怨霊とは何か 菅原道真・平将門・崇徳院』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2014年8月に刊行されました。本書は怨霊について、相手側から弾圧されたことなどにより追い込まれて非業の死を遂げ、その後に充分な供養がなされなかった霊魂が、死後に自己の宿願を叶えるために、自分を追い落とした人物に祟って出たり、社会全体に災害を発生させたりした、と把握しています。怨霊的な観念は文献で確認できる前から存在したのであり、国家と関わる形で怨霊が明確に登場するのは長屋王からだ、と本書は指摘します。 ...続きを見る

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2014/11/04 00:00
Azar Gat『文明と戦争』上・下(再版)
 今日はもう1本掲載します。アザー=ガット(Azar Gat)著、石津朋之・永末聡・山本文史監訳、歴史と戦争研究会訳で、中央公論新社より2012年9月に刊行されました。初版の刊行は2012年8月です。原書の刊行は2006年です。本書は、歴史学・考古学・政治学・進化学など広範な見地から戦争について考察し、奥深い洞察を提示しています。著者の広い学識・視野と多大な努力には敬意を払わなければならないでしょう。戦争について考えるにあたって、本書は必読と言えるのではないかと思います。 ...続きを見る

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2014/10/08 00:00
渡部昇一、本村凌二『国家の盛衰─3000年の歴史に学ぶ』
 祥伝社新書の一冊として、祥伝社より2014年9月に刊行されました。本書は、序章で国家の繁栄と覇権の条件について包括的に述べた後、第1章〜第6章にかけて各国を個別に取り上げ、その盛衰を論じます。第1章はローマ(世界帝国の典型)、第2章はスペインとオランダ(海上覇権と貿易)、第3章はイギリス(工業技術による産業立国)、第4章はアメリカ(実験国家、人口国家の活力)、第5章は中国(覇権国家になりうるか)、第6章は日本(これから歩むべき道)です。各章の項目単位で二人の著者が相互に見解を述べていく対話形式... ...続きを見る

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2014/09/23 00:00
2013年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第123編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2013年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2013年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2014/09/12 00:00
カミヘと上昇するヒト 「ヒトガミ信仰」を探る
 今月4日付の読売新聞朝刊の文化面に、表題の佐藤弘夫氏の解説が掲載されていました。佐藤氏には『神国日本』(ちくま新書)という一般向け著書があります。同書を読んだのは8年前のことで、私は大いに感銘を受けました。ただ、ブログを始める前のことで、サイトも長い間実質的には開店休業状態だったこともあり、同書について単独の記事を掲載することはありませんでした。すでに同書を何度か再読してきましたが、いつか、改めて精読したうえで、このブログで詳しく取り上げよう、と考えています。 ...続きを見る

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2014/08/08 00:00
平野聡『「反日」中国の文明史』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2014年7月に刊行されました。著者の他の著作では、『清帝国とチベット問題』(関連記事)と『興亡の世界史17 大清帝国と中華の混迷』(関連記事)を以前このブログにて取り上げています。本書は、政治思想と中国知識層の自己認識を中心に、中国を文明として把握してその歴史を概観し、中国の現状と日本との激しい対立の要因とを歴史的に探ろうとします。おもな対象となるのは近代以降(アヘン戦争以降)ですが、前近代にもそれなりの分量が割かれています。 ...続きを見る

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2014/07/23 00:00
『週刊新発見!日本の歴史』の記事のまとめ
 『週刊新発見!日本の歴史』全50号が完結となりましたので、記事をまとめますが、刊行順ではなく年代順で並べることにしました。 ...続きを見る

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2014/06/20 00:00
本村凌二『世界史の叡智 悪役・名脇役篇 辣腕、無私、洞察力の51人に学ぶ』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2014年5月に刊行されました。歴史上の人物を取り上げて、その叡智を読者に紹介するという趣旨で産経新聞に連載されていた「世界史の遺風」の書籍化となります。この連載は2年間続き、前半が昨年刊行された『世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』(関連記事)として、後半が本書として書籍化されたわけです。なお、『世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』と同じく、本書も書籍化にあたり加筆されているそうです。 ...続きを見る

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2014/06/15 00:00
歴史のテーマを細分化
 歴史のテーマの記事が500を超え、古い記事がテーマ別一覧で表示されなくなったので、歴史のテーマを細分化することにしました。とりあえず、日本史原始〜古代・日本史中世・日本史近世・日本史近現代・アフロユーラシア史前近代・アフロユーラシア史近現代・オセアニアおよびアメリカ史・歴史総合に分類しておきます。日本史原始〜古代・日本史中世・日本史近世・日本史近現代・アフロユーラシア史前近代・アフロユーラシア史近現代・オセアニアおよびアメリカ史のどれに分類するか、判断の難しい記事は歴史総合に分類します。 ... ...続きを見る

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2014/03/29 00:35
ジャック・ル=ゴフ著、池田健二・菅沼潤訳『中世の身体』
 本日は3本掲載します(その二)。藤原書店より2006年6月に刊行されました。『<子供>の誕生』の背景をさらに理解すべく読もうと思った次第です。 http://sicambre.at.webry.info/201403/article_24.html ...続きを見る

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2014/03/21 00:00
ふざけた発言
 今日はもう1本掲載します。過去にネットで明かしたことがありますが、私は酒が心底嫌いで(煙草もパチンコも)、酒を飲みたいとは全く思いません。しかし、「2011 年度の国内酒類市場は、メーカー出荷金額ベースで3 兆6,300 億円(前年度比98.1%)であった」とのことですから(出典)、その経済規模からして、残念ながら日本国内で禁酒令を施行するのはとても無理でしょう。 ...続きを見る

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2014/03/07 00:00
ダボス会議での安倍首相の発言続報
 まだ日付は変わっていないのですが、1月26日分の記事として掲載しておきます。ダボス会議での安倍首相の発言を昨日取り上げました(関連記事)。その後、安倍首相の該当発言に関する朝日新聞の報道を見つけました。この報道では、安倍首相の該当発言が以下のように引用されています。 ...続きを見る

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2014/01/26 00:00
ダボス会議での安倍首相の発言
 まだ日付は変わっていないのですが、1月25日分の記事として3本掲載しておきます(その三)。ダボス会議での安倍首相の発言が英語圏の報道機関で取り上げられています。日本でも、産経新聞などが取り上げられています。産経新聞によると、 ...続きを見る

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2014/01/25 00:00
神功皇后は13世紀のモンゴル襲来時に作り出された架空の人物?
 まだ日付は変わっていないのですが、1月13日分の記事として3本掲載しておきます(その三)。三韓征伐・任那日本府説は「新羅コンプレックス」の産物とする、ヨン=ミンス東北アジア歴史財団研究委員の見解が報道されました。韓国古代史研究において『日本書紀』は不可欠ではあるものの、日本の新羅にたいする劣等感から『日本書紀』は歪曲されているので、その取扱いが難しい、という主旨の見解です。ヨン氏ら日本史研究者7人により韓国で全3巻の『訳註日本書紀』が刊行されたことを機に、朝鮮日報の記者がヨン氏にインタビューし... ...続きを見る

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2014/01/13 00:00
政治的分類を固定的に把握しすぎる
 典型的なのは、外国に対する姿勢に基づく分類です。たとえば、自国にとってのある外国を仮にA国とすると、A国寄りの言動の人や政権や政党を親A派と分類することは珍しくありません。どうも現代日本社会(に限らないのでしょうが)では、この親**派という分類を固定的に把握する人が少なくないように思います。親A派の政治家である甲は実はA国出身だ、というガセネタをネットで見かけることは少なくありませんが、これも政治的分類をあまりにも固定的に把握しすぎることから生まれたものなのでしょう。 ...続きを見る

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2014/01/04 00:00
一神教をめぐる俗論について
 まだ日付は変わっていないのですが、12月10日分の記事として掲載しておきます。以前このブログで述べたことがありますが、私は小さい頃からのアンチキリスト教で、偏見を正さなければ、と自分でも思うことがしばしばあります(関連記事)。私は聖人君子とは程遠い人間であり、未熟なところが多いので、自分の見解に有利だと思われる情報にはつい食いつきがよくなります。多くの人にはそうした傾向があるのでしょうが、私は平均以上かもしれません。 ...続きを見る

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2013/12/10 00:00
小学館『日本の歴史』全16巻の記事のまとめ
 まだ日付は変わっていないのですが、11月4日分の記事として掲載しておきます。今更ではありますが、2007年11月〜2009年5月にかけて刊行された小学館『日本の歴史』全16巻の記事をまとめておきます。 ...続きを見る

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2013/11/04 00:00
逆張りがしたいだけ
 これは10月30日分の記事として掲載しておきます。興味深い記事を読みました。私のような単純な人間は、優れた業績を残している歴史学の研究者が残念な発言をすることもあるし、歴史修正主義や(それと密接に関連している)差別主義の批判に熱心な人が無自覚に差別主義的な発言をすることもある、という素朴・単純な常識論につい落ち着いてしまいます。研究者がネットで専門から外れる分野にて問題のある発言をしても、それが専門分野における能力・業績を直ちに否定できるものではない、という素朴な常識論を忘れてしまい属人批判に... ...続きを見る

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2013/10/30 00:00
2012年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第122編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2012年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2012年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2013/10/25 00:00
本村凌二『世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2013年6月に刊行されました。歴史上の人物を取り上げて、その叡智を読者に紹介するという趣旨で、元々は産経新聞の「世界史の遺風」という連載だったそうですが、新書化にあたり、加筆されているそうです。新書一冊で51人の紹介ということで、当然のことながら1人あたりの分量は4ページと少なく、充分に紹介できるわけではないので、全体的に薄くなっている感は否めません。これは自室で気合を入れて読む本ではないなと思い、電車の中と外食時の待ち時間で読み終えました。読んで失敗だ... ...続きを見る

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2013/09/06 00:00
中国との関係が極めてスムーズにいったという歴史は過去にない
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。今月5日、麻生副首相兼財務相がニューデリー市内の講演で、「インドは陸上で中国と国境を接し、日本は海上で接触を持っているが、われわれは過去1500年以上の長きにわたり、中国との関係が極めてスムーズにいったという歴史は過去にない」と述べた、と報道 されました。安全保障や海洋分野での日本とインドの関係を強化すべきではないか、との質問に対する答えだったそうですが、そもそも、きわめてスムーズな関係とはどのようなものなのかとか、1500年という長期的な歴史問題... ...続きを見る

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2013/05/07 00:00
『週刊新発見!日本の歴史』
 まだ日付は変わっていないのですが、5月5日分の記事として掲載しておきます。郵便受けに広告が入っていたので知ったのですが、来月より朝日新聞出版から『週刊新発見!日本の歴史』が刊行されるそうです。 http://publications.asahi.com/rekishi/ ...続きを見る

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2013/05/05 00:00
伊藤聡『神道とは何か 神と仏の日本史』
 まだ日付は変わっていないのですが、3月31日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年4月に刊行されました。本書では古代から近世にいたる神道の形成過程が叙述されていますが、著者の専攻ということもあってか、おもに扱われているのは中世です。近年では、日本思想史についての専門家による一般向け書籍のほとんどで、仏教伝来前より日本列島で連綿と続いてきた神道、という一昔前には一般層によく浸透していた俗説(今でもそれなりに影響力がある、と言えるかもしれませんが)が批判さ... ...続きを見る

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2013/03/31 00:00
杉晴夫『人類はなぜ短期間で進化できたのか ラマルク説で読み解く』
 まだ日付は変わっていないのですが、10月13日分の記事として掲載しておきます。平凡社新書の一冊として平凡社より2012年7月に刊行されました。「ラマルク説で読み解く」という副題を見た時点でかなりのていど覚悟はしていたのですが、大外れの一冊でした。新書でそれほど文字数が多くないのに、途中で挫折しそうになったくらいで、何度か中断しつつ、読み始めてからかなりの時間が経過してやっと読み終えられました。この本をなぜ購入してしまったのか、購入時の心理状態が自分でもよく思い出せないのですが、表題に見える人類... ...続きを見る

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2012/10/13 00:00
2011年「回顧と展望」の記事のまとめ
 まだ日付は変わっていないのですが、9月15日分の記事として掲載しておきます。『史学雑誌』第121編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2011年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2011年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2012/09/15 00:00
人種・民族の違いと人種差別
 「人種と民族の違いを知っていますか?」という表題のブログ記事が話題になっていたので読みました。「gingin1234」氏の ...続きを見る

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2012/08/23 20:19
オリンピックの思い出
 私がオリンピックへの関心を失ったのは2004年のアテネオリンピック前のことで、2006年6月に始めたこのブログでは、東京都のオリンピック誘致運動に大反対であることを述べた記事以外では、ほとんどオリンピックについて触れていません。しかし、日本ではニュースも一般紙もこれまでオリンピックを大々的に取り上げてきており、それは開催中のロンドンオリンピックでも変わらないので、正直なところうんざりしています。もっとも、日本社会では依然としてオリンピックへの関心が高いようなので、仕方のないところがあるとは思い... ...続きを見る

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2012/08/04 00:00
日本社会における反ユダヤ主義補足
 先日、日本社会における反ユダヤ主義と五島勉氏についての記事をこのブログに掲載しました。 http://sicambre.at.webry.info/201207/article_11.html ...続きを見る

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2012/07/19 00:00
日本社会における反ユダヤ主義と五島勉氏
 昨日このブログで取り上げた『イスラエルとは何か』では、伝統的なユダヤ教解釈がシオニズムに批判的であることが強調されていました。 http://sicambre.at.webry.info/201207/article_10.html ...続きを見る

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2012/07/11 00:00
ヤコヴ=M=ラブキン著、菅野賢治訳 『イスラエルとは何か』
 平凡社新書の一冊として平凡社より2012年6月に刊行されました。本書は、著者の以前の著作である『トーラーの名において─シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史』(平凡社、2010年、本書と同じく菅野賢治訳)のフランス語オリジナル原稿を大幅に圧縮し、新たに4章を加えた一般向け書籍とのことです。そのため本書は、ユダヤ教の側からのシオニズムにたいする批判に重点が置かれており、シオニズムが伝統的なユダヤ教およびその解釈の延長線上にあるのではなく、むしろユダヤ教を否定して成立・発展してきたのであり、伝統的... ...続きを見る

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2012/07/10 06:28
川島浩平『人種とスポーツ 黒人は本当に「速く」「強い」のか』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年5月に刊行されました。黒人が先天(遺伝)的に運動能力に優れているという言説は、現代日本社会でもかなり浸透しているように思われます。本書は、アメリカ合衆国スポーツ史の検証を通じて、この黒人運動能力先天的優越説が、20世紀、とくに1930年代以降に顕著になっていったことと、プロ・アマを問わず黒人のスポーツでの活躍が、経済・社会資本・政治的制度・社会思潮に大きく影響されていたことを示しています。おもに分析対象となるのは、野球・アメリカンフットボール・バ... ...続きを見る

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2012/06/13 00:00
トマトのゲノム解読
 トマトのゲノム解読についての研究(The Tomato Genome Consortium., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、栽培種や家畜種のボトルネックはありそうなことではあります。トマトは現在、原産地の南アメリカ大陸のみならず、他の多くの地域で食材として利用されており、それらの中には郷土料理としてすっかり定着しているものも多くあります。今ではトマトが南アメリカ大陸原産であることはあまり意識されていないでしょうが、アメリカ大陸以外の地域では、... ...続きを見る

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2012/06/01 00:00
東南アジアの「反日」
 以前より、一度ブログの記事としてまとめようと考えていたのですが、優先順位が低く、また私が怠惰なこともあって、これまでこのブログでは言及しなかった問題があります。それは、現代日本社会では親日傾向の強い地域と思われているだろう東南アジアにおける、かつての反日という問題です。この問題について、以下のブログ記事を読んだので、少しだけ雑感を述べることにします。 http://d.hatena.ne.jp/rekihiko5/20120521/1337604393 ...続きを見る

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2012/05/23 18:09
ロナルド=H=フリッツェ著、尾澤和幸訳『捏造される歴史』
 原書房より2012年2月に刊行されました。本書では、さまざまな擬似歴史について、その主張の変遷・背景・影響力・間違っている点などが、ひじょうに詳しく述べられており、いわば擬似歴史の研究史・史学史(と言うと語弊がありそうですが)になっています。こうした擬似歴史のなかには、私にとって馴染み深いものもありましたが、地域としてはおもにアメリカ合衆国が対象となっているので、私のよく知らないものもありました。こうした擬似歴史は、そもそも政治的意図から捏造されることも少なからずあるため、政治的に影響を及ぼす... ...続きを見る

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2012/04/11 04:29
NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第4集 そしてお金が生まれた』
 シリーズの最終回となる第4集が放送されました。貨幣が人間社会の在り様を大きく変えたのは確かでしょうが、「なぜ人間になれたのか」と題しての特集だけに、お金を題材としたのは適切ではなかったように思います。現生人類(ホモ=サピエンス)の歴史において、貨幣が用いられなかった時代のほうが圧倒的に長く、つい最近まで貨幣が重要な役割を担っていなかった地域も少なからずあり、今でも、貨幣とほとんど無縁の人間集団もあるようです。まさか、そうした人間集団が人間ではないと言えないでしょうし、じっさい番組でも、そのよう... ...続きを見る

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2012/02/28 00:00
『天皇の歴史』全10巻完結
 2011年11月刊行の『天皇の歴史10 天皇と芸能』をもって、『天皇の歴史』全10巻が完結となりました。ここでは、各巻を紹介した記事をまとめて記載します。 ...続きを見る

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2011/12/14 06:51
渡部泰明、阿部泰郎、鈴木健一、松澤克行『天皇の歴史10 天皇と芸能』
 『天皇の歴史』全10巻の第10巻として、2011年11月に講談社より刊行されました。古代から近世までの天皇と芸能の関係が、複数の執筆者により叙述されています。ここでの芸能は、現代の言葉では文化と置き換えるのがもっとも適しているように思いますが、本書では和歌に偏重した感が否めず、実質的には天皇を中心とした宮廷和歌史になっているように思います。正直なところ、和歌にはあまり興味のない私には、やや退屈な内容でしたが、以下に引用する第四部の最後の指摘は、中世後期〜近世中期にあっても、朝廷の役割・主体性を... ...続きを見る

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2011/12/08 00:00
羽田正『新しい世界史へ―地球市民のための構想』(岩波書店)
 岩波新書(赤版)の一冊として、2011年11月に刊行されました。著者の以前の著書『興亡の世界史15 東インド会社とアジアの海』(講談社、2007年) http://sicambre.at.webry.info/200803/article_15.html がたいへん面白かったので、期待して読み始めたのですが、『興亡の世界史15 東インド会社とアジアの海』とは異なり、具体的な史実の描写はほとんどなく、抽象的・理念的な内容ではあったものの、期待通りに面白く読み進められました。 ...続きを見る

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2011/12/04 00:00
「文化強国」を目指す中国の今後
 先日、このブログで、中華人民共和国が「文化強国」を目指す方針を明らかにしたことを記事にしましたが、 http://sicambre.at.webry.info/201110/article_20.html 以下の記事は、その補足です。 ...続きを見る

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2011/10/27 00:00
「文化強国」を目指す中国
 読売・朝日など、今月16日付の日本の一般紙で報道されていましたが、今月15日に北京で始まった、中国共産党の第17期中央委員会第6回総会(6中総会)で、「文化強国」を目指す国家戦略が掲げられたそうです。国内総生産で世界第2位となった反面、立ち遅れた精神文明を復興させ、世界市場で劣勢なソフトパワーを強化する、とのことです。中国共産党の中央機関紙である人民日報には、「文化強国への中国ロード」と題した論説が今月15日付で掲載されたそうですが、その論説では、「文化面で優勢に立てなければ、国家の文化主権も... ...続きを見る

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2011/10/20 00:00
小倉慈司、山口輝臣『天皇の歴史09 天皇と宗教』
 『天皇の歴史』全10巻の第9巻として、2011年9月に講談社より刊行されました。『天皇の歴史』は、8巻までが通史で、この9巻と次に刊行される最終巻の10巻は、特定の主題からの天皇の歴史が叙述されることになります。この9巻は、宗教と天皇の関係について、古代から現代まで概観されています。当然のことながら、天皇と宗教との関係については、古代から現代まで様々に変遷してきているわけで、宗教との関係に限定しても、天皇の「本質」を探るのは容易ではありませんが、そもそも、通時的な「本質」を見出そうとする試み自... ...続きを見る

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2011/10/09 00:00
『1492 コロンブス 逆転の世界史』
 フェリペ・フェルナンデス=アルメスト著、関口篤訳で、2010年11月に青土社より刊行されました。原書の刊行は2009年です。本書は、「遅れた」ヨーロッパが「進んだ」アジアを逆転し、ヨーロッパが主導権を握る、一体化した世界が到来する契機として、クリストバル=コロン(コロンブス)がアメリカ大陸圏に到達し、スペインがグラナダを攻略した1492年に見出し、その前後の世界各地の様相を描いています。 ...続きを見る

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2011/10/04 00:07
2010年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第120編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2010年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2010年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2011/09/08 00:00
小林よしのり、有本香『はじめての支那論』
 幻冬舎現代新書の一冊として、幻冬舎より2011年7月に刊行されました。書店で見かけて、どんなものなのだろうかと、怖いもの見たさで購入して読みました。本書で云うところの支那がどう定義されるのか、明確に述べられているわけではないのですが、おおむね、漢人の居住地域で漢字文化の圧倒的に優勢な地域と考えてよさそうです。「支那論」と題しているので、支那という呼称をめぐる議論についてそれなりに説明・議論があるのかな、と予想していたのですが、意外にあっさりとしていました。 ...続きを見る

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2011/08/10 00:00
井上寛司『「神道」の虚像と実像』
 講談社現代新書の一冊として、講談社より2011年6月に刊行されました。柳田国男に代表される、「神道(シントウ)は、太古の昔から現在にいたるまで連綿と続く、自然発生的な日本固有の民族的宗教である」とする、現代日本では根強く支持されている見解を、超歴史的な見解として徹底的に批判し、神道という言葉の読みの変遷(ジンドウ・シンドウ→シントウ)などを踏まえて、神道の具体的様相と歴史的変遷をたどった、なかなかの力作だと思います。近代の国家神道の成立過程とその評価をはじめとして、私の見識では本書の主張の是非... ...続きを見る

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2011/07/22 00:00
日本・中華・ヨーロッパ中心主義
 現在の私の主要な関心として、私も含めて日本語文化圏で生まれ育った現代人が陥りやすいだろう、日本・中華・ヨーロッパ中心主義の克服があり、これは生涯にわたる私の目標になるでしょう。これらと類似したものとして、朝鮮中心主義も気になるところですが、日本においては現在も今後も、日本・中華・ヨーロッパ中心主義と比較して、内在化の度合いが低いと思うので、影響力は小さいままでしょうから、さほど強く意識しているわけではありません。もっとも、日本古代史では朝鮮中心主義の影響が強すぎる、と糾弾する人は、現代日本にお... ...続きを見る

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2011/06/11 04:54
中華民族なる概念について
 そもそも、中華民族なる概念はどう定義されているのか、という問題になるのですが、平野聡『清帝国とチベット問題』(名古屋大学出版会、2004年)P26〜27では、以下のように説明されています。 ...続きを見る

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2011/05/15 00:00
元代以降の日本による中国軽視?
 今月20日に、ある中国人ジャーナリストが、ブログサイト・新浪ブログで「元代以降の日本による中国軽視」の原因を分析した、と報道されました。 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=50870  この報道で引用されているブログの記事を見つけられなかったので、「ある中国人ジャーナリスト」が本当にこの報道で紹介されているような趣旨の記事を公開したのか、私の力不足・努力不足もあって確証は得られませんでした。しかし、レコードチャイナに掲載された... ...続きを見る

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2011/04/28 00:00
杉山正明『ユーラシアの東西』
 日本経済新聞出版社より2010年12月に刊行されました。一般向けの歴史書というよりは随筆集で、ロシアを中心として、時事問題にもかなりの分量が割かれています。内容はというと、相変わらずの杉山節で、杉山氏の他の著書を読んでいれば、とくに目新しいところはないのですが、いぜんとしてヨーロッパ中心史観と中華中心史観の根強い日本では、杉山氏の提言が必要なのだろう、とは思います。とくに、中華人民共和国が今後も経済・軍事・政治大国として影響力を強めていった場合、日本でも中国へのさらなる迎合により中華中心史観(... ...続きを見る

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2011/04/24 00:00
蒙古と呼ばないで
 昨日付の東京新聞に、蒙古と呼ばないで、と題した記事が掲載されていました。蒙古という文字には侮蔑的な意味合いが込められているので、カタカナという表音文字のある日本では使用しないでもらいたい、とのモンゴル人の意見が紹介されていました。こうしたこともあって、日本でも、日本モンゴル協会が蒙古という表記を使用しないよう呼びかけているそうで、そういえば、近年の印刷物で、史料の引用以外で蒙古という表記を見かけることは少ないように思います。これはもっともなことであり、日本が蒙古という表記にこだわる歴史的根拠は... ...続きを見る

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2011/02/24 00:00
小島毅『江と戦国と大河 日本史を「外」から問い直す』
 光文社新書の一冊として、光文社より2011年1月に刊行されました。小島氏の著書については、これまでにもこのブログで、『靖国史観−幕末維新という深淵』 http://sicambre.at.webry.info/200803/article_29.html 『足利義満 消された日本国王』 http://sicambre.at.webry.info/200803/article_30.html 『織田信長 最後の茶会』 http://sicambre.at.webry.info/2009... ...続きを見る

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2011/02/17 00:00
愛国先生の夫婦別姓についての歴史認識
 先週、通称愛国先生の平安時代論をこのブログで取り上げたところ、 http://sicambre.at.webry.info/201101/article_13.html 愛国先生からトラックバックが送られてきました。 http://sinnnoaikokuhosyu.seesaa.net/article/180687644.html ...続きを見る

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2011/01/18 00:00
豊臣秀吉の人気の低下
 現代の日本では、豊臣秀吉の人気が以前よりも低下したのではないか、と指摘した記事を読みました。 http://www.excite.co.jp/News/bit/E1289920375773.html ...続きを見る

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2010/11/20 00:00
『天皇の歴史』全10巻
 書店で偶然に、『天皇の歴史』全10巻が2010年11月から講談社より刊行されることを知りました。 http://shop.kodansha.jp/bc/books/tennou/ ...続きを見る

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2010/11/18 00:00
2009年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第119編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2009年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2009年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2010/10/06 06:35
2008年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第119編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2009年の歴史学界を扱っており、最近になってやっと入手し、読み始めたところです。そこで、2009年の歴史学界を扱った今年の「回顧と展望」の号に掲載された面白そうな論文・本をこのブログで取り上げる前に、昨年の「回顧と展望」の号に掲載された面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2010/07/23 06:26
ユダヤ人のゲノムと他集団との比較
 ユダヤ人の全ゲノム構造についての研究(Behar et al., 2010)が公表されました。この研究では、14のユダヤ人共同体から得られたゲノムのデータが、アフリカ・ユーラシアの69の非ユダヤ人集団のそれと比較されていますが、この69の非ユダヤ人集団のうち25集団は、この研究以前には報告されたことがありません。この比較の結果、現代のユダヤ人の大半とレヴァントの非ユダヤ人集団とが近い関係にあることが明らかになりました。この結果は、現在のユダヤ人の大半が、レヴァントにいた古代ヘブライ人およびイス... ...続きを見る

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2010/07/14 00:00
『興亡の世界史』完結
 2010年5月刊行の『興亡の世界史18 大日本・満州帝国の遺産』をもって、ついに『興亡の世界史』全21巻が完結となりました。『興亡の世界史』の刊行が2006年12月に始まると知ったのは4年近く前のことですが、 http://sicambre.at.webry.info/200607/article_8.html まさか2010年5月まで完結がずれ込むとは予想していませんでした。全体的にはなかなかの出来になっていると思いますが、全21巻となると、やはり当たり外れはあります。この記事では、各巻... ...続きを見る

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2010/06/25 00:00
『一万年の進化爆発 文明が進化を加速した』(日経BP社、2010年)
 グレゴリー=コクラン、ヘンリー=ハーペンディング著、古川奈々子訳で、日経BP社より2010年5月に刊行されました(Cochran, and Harpending.,2010)。原書の刊行は2009年です。人類の進化は5万年前に止まったわけではなく、この1万年間はそれ以前と比較して加速している、遺伝的変異と環境には相互作用が認められる、との本書の見解は、おおむね妥当なものだろうと思います。 ...続きを見る

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2010/06/10 00:11
小谷野敦『日本文化論のインチキ』
 幻冬舎新書の一冊として、幻冬舎から2010年5月に刊行されました。通俗的な数々の日本文化論に、かねてより疑問を抱いていたので、色々と得るところがあるのではないかと思い、読んでみました。取り上げられている日本文化論の書籍・論考は多岐にわたり、その分個々の日本文化論への批判・指摘が簡潔にすぎるところもありますが、新書という体裁なのですから、これでよいだろうと思います。本書で取り上げられた日本文化論のなかには私がほとんど知らなかったものもあり、期待通りに得たものは多々ありました。 ...続きを見る

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2010/06/01 00:00
歴史上の人物の評価と知名度の変遷
 第二次大戦後の日本社会における豊臣秀吉の人気の低下については、このブログで2回取り上げたことがありますが、 http://sicambre.at.webry.info/200610/article_17.html http://sicambre.at.webry.info/201001/article_19.html その要因について私なりの推測を、改めて以下にまとめてみました。 ●朝鮮半島の支配を含む、戦前の帝国主義的方針が批判された戦後日本社会にあって、秀吉による朝鮮役は壮挙ではな... ...続きを見る

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2010/05/04 00:01
とくに面白かった論文
 これまでこのブログで取り上げ、全文を読んだ論文のうち、とくに面白いものを紹介した記事を以下にまとめてみました。まだ要約しか読んでいなくても興味深い論文も少なくないのですが、それらは国会図書館に行ったさいにプリントアウトしてこよう、と考えています。 ...続きを見る

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2010/04/27 00:00
歴史は物語?
 なかなか共感するところの多い記事を読みました。 http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20100317/1268805624 ...続きを見る

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2010/03/20 06:53
夫婦別姓は日本の伝統文化?
 夫婦別姓は日本の伝統文化であり、夫婦同姓は明治維新以降のわずか百余年の「伝統」や「習慣」であるとして、「産経新聞をはじめとする保守系言論」を批判する記事を読みました。 http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/40998284.html 近現代の日本における夫婦同姓は、多分に「日本の伝統社会」の観念・習慣に根ざしたものだ、との私見はこれまでに何度も述べてきたので、 http://sicambre.at.webry.info/200802/arti... ...続きを見る

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2010/03/08 00:01
ケネス=フィーダ『幻想の古代史』上・下
 福岡洋一訳で、楽工社より2009年11月に刊行されました。古代史・先史時代を中心として、カーディフの事件やピルトダウン事件といった捏造事件や、地球外知的生命体による人類の進化・文化への介入といった珍説が取り上げられ、その知識不足・思考様式が批判されるとともに、そうした捏造事件や珍説が一定以上影響力を有した背景についても指摘されています。本書を読めば、たんに知識が得られるだけではなく、批判的思考の訓練にもなることでしょう。原書の刊行は2008年(6版)です。本書は英語圏でかなり有名な擬似古代史批... ...続きを見る

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2010/03/02 21:24
小沢幹事長の韓国での発言の続報
 民主党の小沢幹事長が、訪問先の韓国で、「韓半島南部の権力者が日本の国家を樹立した」と語った、と報道されたことを今月15日の記事で取り上げましたが、 http://sicambre.at.webry.info/200912/article_15.html この発言の詳細を知ることができました。 http://www.youtube.com/watch?v=xOhxYH9Uyuc http://www.youtube.com/watch?v=YPLj86CyUkQ http://www.... ...続きを見る

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2009/12/18 00:00
小沢幹事長の韓国での発言
 民主党の小沢幹事長が、訪問先の韓国で、「韓半島南部の権力者が日本の国家を樹立した」と語った、と報道されました。 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123895&servcode=A00  どのような話の流れでこの発言がなされたのか、不明なのですが、この発言をそのまま受け取り、「日本の国家」をいわゆるヤマト王権や律令国家だと解釈すると、朝鮮半島南部の権力者が日本国の樹立したことを証明するような考古学的証拠も文献もないわけで... ...続きを見る

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2009/12/15 00:00
歴史時代の異常気候
 過去1500年の異常気候についての研究(Mann et al., 2009)が公表されました。過去1500年の世界の気候記録によると、20世紀の温暖化以前の気候異常期として、950〜1250年頃の温暖期と、1400〜1700年頃の寒冷期が挙げられますが、こうした異常気候をもたらした仕組みはほとんど解明されていません。この研究では、年輪・氷床コア・サンゴ・堆積物から得られた気候の代替データが解析され、代替データに基づく地表温度のパターンと気候モデルから再現されたパターンが比較されました。 ...続きを見る

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2009/12/10 06:57
横山宏章『中国の異民族支配』
 集英社新書の一冊として、集英社より2009年6月に刊行されました。現代の中華人民共和国の民族政策へといたる、ダイチン=グルン(いわゆる清朝)末期以降の思想史的系譜を追った一冊です。本書では、この間の思想的動向が、「華夷之辨」と「大一統」という二つの概念で整理されています。 ...続きを見る

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2009/09/19 05:51
日本は19世紀末まで「夫婦別姓」だった?
 日本における「夫婦同姓」は19世紀末に強制的に始まった、「キリスト教国かぶれ」な底の浅い制度であり、日本古来の伝統とは無関係だ、との記事を読みました。 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090910  夫婦別姓容認論側によく見られる上記のような歴史認識が誤りであることは、これまでにも以下の記事で述べてきましたが、その誤謬の根本的な要因は、氏・姓(ウヂナとカバネは組み合わせて用いられ、本来両者は異なるものです)と苗字(名字)との混同です。上記の記事でも触れら... ...続きを見る

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2009/09/13 15:28
『興亡の世界史20 人類はどこへ行くのか』
 講談社の『興亡の世界史』シリーズ17冊目となります。福井憲彦・杉山正明・大塚柳太郎・応地利明・森本公誠・松田素二・朝尾直弘・青柳正規・陣内秀信・ロナルド=トビ著で、2009年4月刊行に刊行されました。刊行が大幅に遅れている『興亡の世界史』ですが、本書はその集大成的な役割を担うわけですから、できれば最後の刊行にしてもらいたかったものです。 ...続きを見る

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2009/05/07 06:41
五つの予断
 チベット史研究者の石濱裕美子さんのブログの次の記事には教えられるところが多々あり、私のような不勉強な人間はとくに自戒しなければない、と改めて思ったものです。 http://shirayuki.blog51.fc2.com/blog-entry-356.html ...続きを見る

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2009/04/04 00:00
チベットをめぐる価値観の問題
 今年は、ダーウィン誕生200周年・『種の起源』刊行150周年ということで、進化学の現在やダーウィンについての特集が多数組まれていますが、チベット蜂起50周年でもあり、緊張状態が顕在化した昨年は別として、日本でも例年よりもチベット問題についての言及が多いようです。チベット問題においては、欧米を中心としていわゆる先進国の世論・メディアはおおむねチベットに同情的で中国政府に批判的なのですが、情報発信力の強い先進国のメディアが中国に批判的なのに、多数のチベット人にとって満足のいくような状況にならないの... ...続きを見る

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2009/03/18 06:52
論点抱き合わせセット
 未読なのですが、内藤朝雄『いじめと現代社会』(双風舎、2007年)では、「論点抱き合わせセット」という概念が提示されているそうです。 http://d.hatena.ne.jp/izime/20080321/p1 著者の説明によると、「論点抱き合わせセット」とは、「右と左が源氏と平家のように縄張りをひき、各トピックについて批判したりしなかったり、擁護したりしなかったりする」ことだそうです。もっとも、これはいわゆる左派・右派に限らず、他の区分でも見られる問題でもあるとは思います。 ...続きを見る

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2009/03/09 00:05
麻生首相の問題点
 麻生首相が小泉内閣の総務相だった頃の「論文」があります。 ...続きを見る

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2008/12/11 00:00
アジアモンスーンと歴史との関係
 アジアモンスーンと東アジアの歴史との関係を論じた研究(Zhang et al., 2008)が公表されました。この研究では、万向(Wanxiang)洞窟にあった石筍から再現した過去1810年間のアジアモンスーンの記録から、その威力が北半球の気温・氷河サイクル・太陽活動の変動にどう関係してきたかについて、考察されました。その結果、気温とアジアモンスーンの相関関係が1960年頃に変化しており、20世紀後半におけるアジアモンスーンの変化の要因としては、自然現象よりも人間の行動のほうが大きいのではない... ...続きを見る

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2008/11/08 00:00
漢文の素養
 日頃、古人類学関係の英語報道・論文を読んでいて痛感するのは、自分の漢文の素養の低さです。なんとか簡潔な漢字表現にできないものかと思うことがしばしばあるのですが、どうも名案が思いつきません。言い訳をするわけではありませんが、こうした漢文能力の低下は私に限らないことであり、第二次世界大戦後に生まれた日本人は、戦前にあるていどの水準までの教育を受けた人々と比較すると漢文能力がかなり劣るでしょうし、戦前の日本人にしても、明治以前にあるていどの水準までの教育を受けた人と比較すると、漢文能力はかなり劣るで... ...続きを見る

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2008/11/01 01:08
伊井春樹「‘旅’の変容」
 「日本史のことば」を特集した『日本歴史』第704号(2007年1月号)の中の一論考です。古代において、旅とは生死に関わる厳しいもので、修行の様相さえ呈したものであり、不安な思いや望郷の念をかきたてられたのでした。 ...続きを見る

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2008/10/04 00:01
堀川貴司「唐名あれこれ」
 「日本史のことば」を特集した『日本歴史』第704号(2007年1月号)の中の一論考です。前近代の日本社会において、右衛門佐を右監門将軍、能登を能州、国守を刺史というように、いわゆる唐名が広く行なわれていました。これは近世になっても変りませんでしたが、近世後期になると唐名にたいする否定論が出てきます。 ...続きを見る

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2008/10/03 07:01
エリザベス=コストヴァ『ヒストリアンI・II』
 高瀬素子訳で、2006年2月に2巻構成で日本放送出版協会より刊行されました。小説ですが、歴史を題材としており、歴史についての雑感もちょっと述べることになるので、読書だけではなく歴史のカテゴリーでも扱うことにします。かなり評判の歴史小説とのことで、以前から気になっていたのですが、他にも読むべき本があったので、刊行されてからかなり経ってから読むことになりました。 ...続きを見る

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2008/09/19 06:40
高柳光壽「わが国に於ける国家組織の発達」
 現在の日本史学界ではどう評価されているのか知りませんが、以下に引用する(青字の箇所)高柳光壽「わが国に於ける国家組織の発達」の一節は、私にとってじつに魅力的な見解です。 ...続きを見る

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2008/09/16 07:07
平野聡『清帝国とチベット問題』(名古屋大学出版会、2004年)
 本書にたいする痛烈な批判をすでに読んでいましたので、改めて本書を読む必要があるのだろうかとは思ったのですが、本書は博士学位取得論文に若干の補足修正を加えた一冊とのことで、不勉強な私にとっては大いに読み応えがあり、読んで正解だったと思います。チベット問題について不勉強な私が、上記リンク先に付け加えるような本書にたいする疑問・批判はありませんので、本書を読んで興味深かった点について、いくつか述べていくことにします(引用箇所は青字としましたが、一部の漢数字は算用数字に改めました)。 ...続きを見る

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2008/09/07 00:00
日中歴史共同研究にたいしての日本人研究者の違和感
 『史学雑誌』恒例の「回顧と展望」の今年の号(第117編第5号「2007年の歴史学界」)の総説の担当者は、日本中世史研究者の村井章介氏です。村井氏は、日中歴史共同研究の古代・中近世史分科会の途中から参加したのですが、中国側の発言には違和感を禁じえなかったとのことです。 ...続きを見る

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2008/07/31 04:48
ジャポニカ種の起源は東南アジア
 日本で栽培されているおもな稲の品種はジャポニカ種で、じゅうらい、考古学的証拠などから、ジャポニカ種の起源は長江中・下流域とされてきたのですが、遺伝子分析からは、その起源は東南アジアにあると推測される、との研究(Shomura et al.,2008)が報道されました。 ...続きを見る

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2008/07/08 05:24
日本史上の人物の業績認知度
 社会科の理解度を調べる目的で、2007年1〜2月に小学6年生と中学3年生を対象にした調査が行なわれ、その結果が公表された、と報道されました。小学6年生を対象にした調査では、小学校の学習指導要領に明記された42人の業績を示し、どの人物なのかを選ばせる問題が出され、正答率の1位は卑弥呼(99%)でした。幕末以降の政治家については、いずれも正答率が低くなっているのが大きな特徴です。 ...続きを見る

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2008/07/04 19:03
網野徹哉『興亡の世界史12 インカとスペイン 帝国の交錯』
 講談社の『興亡の世界史』シリーズ13冊目となります(2008年5月刊行)。アンデス地域とスペインを交錯させつつ、両者が出会った16世紀前半からではなく、その前の両者の歴史から説き起こし、両者が決別した19世紀前半までを叙述した、なかなかの意欲作だと思います。 ...続きを見る

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2008/06/04 00:00
陳思「チベット事件についての討論ノート」
 今年4月16日分の記事にて、梁文道氏のチベット論を紹介しましたが、そこでは在野の学者である陳思氏について触れられていました。その梁文道氏のチベット論を日本語に訳されたブログ主さんが、今度は陳思氏のチベット論を日本語に訳されました。 ...続きを見る

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2008/05/16 00:00
梁文道氏のチベット論と平野聡氏のチベット問題についての解説
 「香港リベラル派知識人のチベット論」と題したブログの記事で、梁文道氏のチベット論について知りました。同氏のチベット論には日本語訳もあり、私はその日本語訳を読んだのですが、たいへん興味深い内容で、色々と教えられることも考えさせられることもありました。私は漢語を解しませんので、断言はできないのですが、おそらく原文そのものもさることながら、日本語訳も素晴らしいのでしょう。 ...続きを見る

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2008/04/16 00:00
酒井信彦「男系天皇絶対論の危険性―女系容認こそ日本文明だ―」
 『諸君』2006年10月号(文藝春秋社)に掲載された論考(酒井.,2006)です。酒井氏の他の論考はこの論文集で読めます。まだほとんど読んでいませんが、私とはかなり価値観の異なる人だろうということは、容易に想像がつきます。しかしながら、この論考でもなかなか面白い指摘がなされているように、酒井氏の学識には一定以上の敬意を払うべきだろうと思います。 ...続きを見る

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2008/04/15 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(2)
前編の続きです。 ...続きを見る

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2008/04/10 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(1)
 昭和堂より2008年2月に刊行されました。初版第1刷の刊行は2008年1月です。遺伝学(おもにY染色体DNAの分析)の分野から日本人の起源・形成を論じた書籍としては、現時点では最新のものと言ってよいでしょう。また、遺伝学のみならず、考古学・言語学などの成果も取り入れられ、複数の分野を総合した学際的研究の成果が提示されています。繰り返しが多く、やや冗長なところがありますが、日本人起源論を扱った書籍としては、今後しばらくは必読と言えるでしょう。以下、まずは、本書で提示された見解について自分なりに整... ...続きを見る

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2008/04/10 00:00
イラクをめぐる争乱による被害
 イラン・イラク戦争から湾岸戦争、さらにはイラク戦争とその後のイラクの混乱状態により、イラクはたいへんな被害を受けました。人命・経済についてはもちろんのことですが、文化遺産にもたいへんな被害があったように思われます。 ...続きを見る

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2008/04/09 00:01
「近代化」と「幸福」の問題
 このところ、「チベット問題」が日本でも大々的に報道されていますが、それに関連した興味深いブログの記事を見つけました。けっきょくのところ、いくら近代化して経済発展したとしても、その恩恵を受けられない人はいるものですし、恩恵を一定水準以上受けていたとしても、必ずしも「幸福」だとは限らないわけです。また、近代化・経済発展の陰で、犠牲になる人々もけっして少なくありません。 ...続きを見る

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2008/03/24 07:16
「東アジア世界論」とその問題点(2)
文字数制限にひっかかったので、2回に分けました。(1)の続きです。 ...続きを見る

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2008/03/12 00:03
「東アジア世界論」とその問題点(1)
 この10日間ほど、ずいぶんと前に執筆した文章を中心として、1日5本ずつ記事を掲載しましたが、今日からは以前のように原則として1日1本ずつ更新していきます。挨拶はこれくらいにして、以下、本題に入りますが、文字数制限にひっかかったので、この(1)と(2)の2回に分けます。 ...続きを見る

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2008/03/12 00:02
小田中直樹『歴史学ってなんだ?』
 PHP新書の一冊として、2004年2月にPHP研究所より刊行されました。史実とは何か、歴史学は社会の役に立つのかという、この10年ほど日本で話題になった(こうした問いかけ自体以前からあるのですが)、歴史学をめぐる難問について、著者が真摯に考え、述べた一冊です。一般向けということがかなり意識されていて、平易な叙述となっていますが、その内容には深いものがあり、考えさせられるところが多い一冊だと思います。 ...続きを見る

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2008/03/11 00:02
中野正志『万世一系のまぼろし』(追記有)
 朝日新聞社が刊行している朝日新書の一冊として、2007年1月に刊行されました。著者は元朝日新聞社の論説委員とのことで、カバーでの宣伝文句は「女系天皇容認の立場から、男系説を徹底検証」となっています。天皇制廃止論者の私は、皇室典範改正の議論にさほど熱心ではありませんでしたが、それでも一歴史ファンとしての興味はあり、新聞・雑誌・掲示板などで双方の意見を読んだこともありますし、議論が下火になってから、雑感を述べたこともあります。そうした関心から、『万世一系のまぼろし』を購入したというわけです。 ... ...続きを見る

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2008/03/11 00:02
戦後日本における欧米化と東アジア世界についての雑感
 戦後日本において欧米化、とくにアメリカ化が進行したことは現代の日本人の常識となっていますが、敵国としてはげしく戦ったアメリカ合衆国の文化・技術・諸制度などをかくも容易に受け入れたことについては、過去にこだわらず、優れたものを素直に受け入れて自分のものとする日本民族の特性だ、といったような説明がなされています。 ...続きを見る

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2008/03/11 00:01
コロンブスの偉業
 1492年にアメリカ海域に到達したコロンブス(クリストバル=コロン)は、日本でも偉人として知られていますが、コロンブスがアメリカ大陸を発見したという表現は、さすがに現在の日本ではあまり用いられなくなったように思われます。しかし、新大陸という表現は今でもよく見かけるので、アメリカ大陸発見という表現が一般的だったころより、発想はあまり変わっていないのかな、という気もします。 ...続きを見る

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2008/03/09 00:01
失敗の歴史
 対米開戦を決断した戦前の日本や、衛生管理の問題点・粉飾決算を隠蔽しようとした企業など、後世・外部からはどう見ても失敗・露見しそうなことをやってしまう集団は、無能な人間が集まっているかのように思われるかもしれませんが、企業・国家を問わず、巨大な集団となるとさまざまなしがらみがあり、後世・外部からは信じられないような失敗をしてしまうことは珍しくないのだと思います(小集団・個人でもそうした失敗は珍しくありませんが)。 ...続きを見る

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2008/03/09 00:00
ハインリッヒ=シュリーマン『シュリーマン旅行記 清国・日本』(9刷、講談社)
 石井和子訳で、講談社学術文庫の一冊として2000年11月に刊行されました。1刷の刊行は1998年4月です。1865年、43歳のシュリーマンは世界漫遊に旅立ち、清朝末期の中国と幕末の日本を訪れています。本書はたんなる旅行記ではなく、当時の日中文化比較論としても、たいへん興味深いものです。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:01
新川登亀男『聖徳太子の歴史学』
 講談社選書メチエの一冊として、2007年2月に刊行されました。「近代に創られた“古代”の報告」を主題に、古代・中世・近世の聖徳太子像も含めて、聖徳太子像がどのように形成されてきたのか、当時の時代思潮に即して説明されています。本題もなかなか面白かったのですが、本題の根拠として挙げられた事例の中には、とくに法隆寺関係で私の知らないことが少なからずあり、自分の不勉強と無知を改めて思い知らされました。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:00
赤坂憲雄編集『追悼記録 網野善彦』
 洋泉社新書の一冊として、2006年10月に洋泉社より刊行されました。2004年2月27日に亡くなった網野善彦氏の追悼記事・追悼文をまとめたもので、学生時代の網野氏を追憶した文章など、なかなか興味深い文章もあります。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:00
小島毅『靖国史観−幕末維新という深淵』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2007年4月に刊行されました。靖国神社の起源が歴史的経緯の中で説明され、靖国神社が水戸学的価値観のうえに誕生し、その価値観が日本の歴史からすると新しいものであること、さらには靖国神社を誕生させた明治維新の評価や日本人・日本国家のありようについてまで論じられています。 ...続きを見る

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2008/03/07 00:01
小島毅編『義経から一豊へ 大河ドラマを海域にひらく』
 勉誠出版より2006年1月に刊行されました。2005年の大河ドラマが源義経を描いた『義経』で、2006年の大河ドラマが山内一豊夫妻を描いた『功名が辻』でしたから、大河ドラマ便乗企画であるとは言えます。しかし、本書はありがちな大河ドラマ便乗本とは異なり、中世の日本を東アジア世界のなかで位置づけようとする意欲的な論考が多数収録された一冊となっています。大河ドラマ便乗本との先入観がよい意味で裏切られる良書だと言えるでしょう。 ...続きを見る

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2008/03/07 00:01
田島英一『弄ばれるナショナリズム−日中が見ている幻影』
 朝日新聞社が刊行している朝日新書の一冊として、2007年1月に刊行されました。中国におけるナショナリズムや中国・漢人という意識の形成、さらにはそれら相互の関係などを、19世紀にさかのぼって論じ、現代の中国人の意識や、日中関係にまで踏み込んだ内容となっています。 ...続きを見る

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2008/03/06 00:02
黒田勝弘・市川速水『朝日vs.産経 ソウル発』
 朝日新書の一冊として、2006年12月に朝日新聞社より刊行されました。黒田氏は産経新聞ソウル支局長で、市川氏は朝日新聞前ソウル支局長です。様々な問題についてもそうなのですが、朝鮮半島問題でも論調が対照的とされる両新聞のソウル支局長同士の対談という興味深い企画です。内容も、全体的にはたいへん興味深かったのですが、「韓流」についての両記者の評価には疑問が残ります。 ...続きを見る

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2008/03/06 00:01
歴史の共通認識の難しさ(日本と韓国について)
 一昨年(2006年)12月9日、韓国の趙己淑・前大統領府首席報道官(当時)が、土下座して謝罪したという報道がありました。この報道は、黒田勝弘・産経新聞ソウル支局長によって日本でも紹介されました。 ...続きを見る

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2008/03/06 00:00
歴史と国際情勢の予想
 中華人民共和国の分裂を予想する見解というか願望は、日本では主流ではないとはいえ、さほど珍しいものではありません。そのさい、過去の中国では分裂は珍しくなかったのだ、という歴史が根拠として持ち出されることがあります。 ...続きを見る

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2008/03/05 00:01
夫婦別姓問題をめぐる歴史認識と今後の社会
 夫婦別姓問題をめぐる議論とそこでの歴史認識について、今年2月5日分の記事と今年2月14日分の記事にて述べましたが、その後も少しずつこの問題について調べています(以下、青字が引用箇所です)。ネットで検索してみて改めて思ったのは、夫婦別姓容認論の側には、日本における夫婦同姓は明治以降の根の浅いもの(創られた伝統)との見解が根強くある、ということです。 ...続きを見る

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2008/02/27 00:01
夫婦別姓問題と日本における氏名の変遷について(緑色の文字は追記です)
 現在の日本では夫婦同氏原則となっていて、夫婦別姓容認論の立場から民法改正の働きかけもあり、議論となっています。夫婦別姓容認論にたいする反論の根拠の一つは、夫婦別姓は伝統破壊につながるものだ、との見解なのですが、夫婦別姓反対論者の全員が伝統破壊を根拠としているのかというと、そうでもないようです。ただ、夫婦別姓容認論の立場からすると、夫婦別姓反対論のじゅうような根拠として伝統破壊がよく持ち出される、との印象があるようです。 ...続きを見る

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2008/02/05 00:01
気候変動と農耕の起源
 農耕の開始についてちょっと検索していたら、農耕の起源と気候変動との関係について論じた研究を見つけました。グリーンランドの氷床コアのデータを用いて、気候の安定を農耕の開始と関連づけた研究なのですが、「結論」の項でも述べられているように、まだ不確定要素が多いことは否めません。ただ、世界各地における農耕の起源の同時性を説明するにあたって、好都合であるとは言えます。 ...続きを見る

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2008/01/14 00:00
数え方と文化の発達
 一般的には、文化が発達するとともに計数の仕組みも複雑になっていき、たとえば、短かったり物に特化したりしている数え方は、数の概念の発達における初期段階と考えられています。しかし、そうした通念に反するような例があることを指摘した研究が公表されました。この研究には日本語の要約もあります。 ...続きを見る

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2008/01/12 00:01
皇室典範改正論議とY染色体をめぐる問題
 皇室典範に関する有識者会議が設置され、皇位継承法を主眼とした皇室典範の改正が盛んに議論されたのは小泉内閣後期のことでした。この議論は秋篠宮妃の懐妊により下火になり、2006年9月6日の秋篠宮妃の男子出産により、ほとんど終息してしまった感があります。 ...続きを見る

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2007/11/23 15:54
古田博司『新しい神の国』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2007年10月に刊行されました。帯には、「日本は東アジアではなかった!覚醒する日本文明圏」とあり、題名とあわせてかなり挑発的と言えます。本書の主張は、日本は近代前より東アジア文明圏の一員ではなく独自の文明圏を形成していたのだから、アジア主義者のように東アジア諸国にたいして変な幻想をもつようなことはせず、欧米にたいしても東アジアにたいしても、永遠の他者として割り切って付き合っていくべきだ、というものです。 ...続きを見る

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2007/11/21 00:00
小学館『日本の歴史』全16巻
 2007年11月より刊行が始まります。 http://www.shogakukan.co.jp/nrekishi/index.html 江戸時代に比重のおかれた構成になっているように思われますが、江戸時代がさまざまな点で近現代の日本社会の基点になったことを考えると、妥当なところでしょうか。そのぶん、通史ものでは2〜3巻が割り当てられていることが多い、旧石器時代から古墳時代までがまとめて第1巻とされています。この長い時間が1巻でどのようにまとめられているのか、注目しています。小学館からは『大... ...続きを見る

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2007/10/17 00:00
カタカナ言葉と日本語
 近年、政府高官や知識人の発言において、いわゆるカタカナ言葉が多用される傾向にあります。その代表が塩崎官房長官ですが、具体例をいくつか挙げると、 ●キック・オフ・スピーカー・・・冒頭発言者 ●ウイン、ウイン・・・双方有利 ●フォーミュラ・・・計算式 ●エクスパティーズ・・・専門知識 ●カウンター・インテリジェンス・ポリシー・・・情報保全方針 となります。 ...続きを見る

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2007/02/07 19:00
歴史の真実
 現生人類の頭脳はすべてのことを把握できるわけではなく、現生人類が「歴史の真実」にたどりつくのは無理なのでしょう。だからといって、どんな歴史でも容認されるわけではなく、根拠をあげてより説得力のある歴史像を提示しなければいけないわけです。もっとも、「歴史の真実」にたどりつくのは不可能だとしても、それに近づくことは可能ということもできるでしょう。 ...続きを見る

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2007/02/03 13:00
掲示板でのやりとりからみえてくる日本社会の特徴
 最近、ある掲示板でやりとりをかわしたのですが、そこに現在の日本社会によくみられる観念というか思考様式(もちろんその中には、過去の日本社会にもみられる特徴が少なからずあるのですが・・・)が表れているように思われるので、ちょっと雑感を述べることにします。 ...続きを見る

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2006/12/22 20:37
西洋史家の訃報相次ぐ
 古代ローマ史研究の弓削達氏が14日に肺炎のため、西洋中世史研究の木村尚三郎氏が17日に肝細胞癌のため、亡くなりました。ともに著名な研究者で、一般向けの書物も結構な数になり、私も合計すると10冊くらいもっています。ご冥福をお祈りいたします。 ...続きを見る

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2006/10/18 19:01
講談社『興亡の世界史』全21巻
 プロフィールの趣味に歴史全般と書いておきましたが、これまで『イリヤッド』以外で歴史の話題を述べてこなかったので、気になる話題を一つ書いてみます。  今年の秋から、講談社より『興亡の世界史』全21巻の刊行が始まります。詳細は、以下のサイトにある通りなのですが、 http://shop.kodansha.jp/bc/books/koubou/hensei.html#01 ひじょうに楽しみな構成となっています。まあ、18巻だけは今からたいへん不安ですが・・・。  ざっと構成を見ると、インドと... ...続きを見る

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2006/07/08 16:48

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