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みんなの「歴史総合」ブログ


意欲的な正当性に欠ける政治指導者

2018/06/11 17:34
 昔からたまに考えていることを、一度短くまとめてみます。時代・地域を問わず、正当性に欠ける状況で就任した政治指導者は、意欲的になることが珍しくないように思います。日本史において天皇でいえば、天武・桓武・後鳥羽・後醍醐が代表例でしょうか。この他には、宇多・醍醐・後白河・光格も該当しそうです。征夷大将軍というか武家の棟梁では足利義教・足利義昭・徳川吉宗が、海外の事例では漢の宣帝・隋の煬帝(明帝)・唐の太宗が思い浮かびます。

 これらの政治指導者たちは、本来はその地位(皇帝や将軍など)に就くはずではなかったのに、正当な後継者の失脚・夭逝などにより就任した、という共通点があります。おそらく、身近な重臣たちやもっと広範な「輿論」の評価を気にかけて、自らの権威確立のためにも意欲的に事業を進めよう、と考えたのでしょう。これは普遍的な人間心理でもあるのでしょう。その事業は、それぞれの指導者の置かれた状況や個人的志向によりさまざまですが、おもに、政治体制の整備・改革、経済・社会改革、軍事行動(征服)、文化事業に区分されると思います。

 こうした意欲的な事業推進は、財政を圧迫したり、既得権を侵害して反発を招来したりする側面もあるので、失敗もしくは中途半端に終わるばかりか、指導者が悲惨な最期を迎えることもあります。上記の人々のうち、殺害された足利義教と煬帝はその典型的事例です。殺されなかったとはいえ、後鳥羽と後醍醐は明らかに失意の最期を迎えた、と言えそうです。後白河は「終わりを全うした」と言えるかもしれませんが、一時は幽閉されており、後鳥羽や後醍醐のように都から追放され、幽閉されて亡くなったとしても不思議ではなさそうな生涯でした。

 終わりを全うしたというか、「成功を収めた」と言えそうな指導者(もちろん、当人の主観は違うのかもしれませんが)としては、通俗的な評価では、天武・桓武・光格・唐の太宗が挙げられるでしょうか。ただ、桓武については、晩年に意欲的な事業の二本柱と言える「軍事(蝦夷征服)と造作(新京造営)」が国を圧迫していると指摘されており、後鳥羽や後醍醐のように破綻し、終わりを全うできなかった可能性もじゅうぶんあったと思います。同様のことは、代表的な名君とされる唐の太宗にも当てはまり、治世晩期の高句麗遠征の失敗は、国を傾け、あるいは悲惨な最期を迎える事態を招来したかもしれません。意欲的な政治指導者において、成功者と失敗者の違いは、紙一重とまでは言えない事例も多いとしても、大きな違いがあるわけではないのかもしれません。
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普通に生活している人なら家に岩波講座日本歴史ぐらいはあるだろう

2018/05/22 18:08
 表題の発言に考えさせられることがありました。以下に全文(とはいっても、Twitterの1投稿分ですが)を引用します。

呉座先生の「陰謀論に危機感」はちょっと大げさじゃないかと思う。普通に生活している人なら家に岩波講座日本歴史ぐらいはあるだろう。歴史言説で怪しい記載に出会ったら対応箇所を確認し職業研究者がコンセンサスを置く事実を調べるはず。異説奇説はそうやって排除され盲目的に信じる人は少ない。

 おそらくこれは、『「この国に陰謀論が蔓延する理由」歴史学者・呉座勇一に訊く』という記事への感想でしょう。私もそうでしたが、おそらく少なからぬ人は、「普通に生活している人なら家に岩波講座日本歴史ぐらいはあるだろう」との発言に疑問を抱くでしょう。『岩波講座 日本歴史』の発行部数は知りませんが、少なくとも、「普通に生活している人なら」家庭で持っている、というほど発行部数が多いとはとても思えません。

 正直なところ、どう解釈してよいのか、迷うところですが、まず考えられるのは、「普通に生活している人」との発言で想定されている「普通」の水準がきわめて高いことです。その場合、一般的な用法での「普通」とは意味合いが大きく異なっていることになります。しかし、上記の記事は現代日本社会における陰謀論の蔓延を懸念しており、大衆が対象と言ってよいでしょうから、「普通」の水準がきわめて高いとすると、上記の発言は的外れとなります。

 次に考えられるのは、一般的な意味合いで「普通」を用いたうえで、「普通に生活している人なら家に岩波講座日本歴史ぐらいはあるだろう」と発言者が本気で思っていることです。ある程度以上の熱意を有している歴史愛好者に限っても、『岩波講座 日本歴史』を私的に購入した人は少なそうですし、読んだことのない人も多いでしょう。そもそも、『岩波講座 日本歴史』の存在すら知らない歴史愛好者もある程度いるかもしれません。こちらの解釈でも、上記の発言は的外れだと思います。

 発言主の他の投稿も少し読んだ印象論にすぎませんが、後者の解釈の方がより妥当なのかな、と思います。そうだとすると、発言主が弁護士であることから推測して、日頃の人間関係は知的(生活水準でも)上層が中心で、自身の経験・能力もあり、「普通に生活している人なら家に岩波講座日本歴史ぐらいはあるだろう」と考えてしまったのかもしれません。しかし、何か歴史に関する言説を読み、さらに調べようと思って『岩波講座 日本歴史』の(1本でも複数でも)該当論文に当たることができる、もしくはそうした意欲を有するのは、かなり裾野の広いと言ってよいだろう歴史愛好者のなかでも、かなり限定されるのではないか、と思います。

 私は別に上記発言を強く批判したいわけではなく、階層差が可視化された事例として解釈できそうなので興味深い、と思っただけです。このような階層差は、高度経済成長期前、さらには戦前の方がさらに大きかったのでしょうが、インターネットが普及して可視化されやすくなったように思います。とはいっても、インターネット全般に当てはまるわけではなく、Twitterのように、かなり広範な階層が参加する場において、より明確に現れるものなのでしょう。

 もちろん、Twitterには広範な階層が参加しているとはいっても、フォロー・ブロック機能などもあることから、情報収集・交流という点で偏る傾向にあることも否定できず、私もできるだけ幅広く情報を収集するよう努めています。上記の発言も、万人に開かれているとはいっても、やはりインターネットにおける偏向は避けられない、という背景があるのでしょう。また、Twitterで発信できない、もしくは存在すら知らない、というような階層もある程度以上は存在するだろう、ということも念頭に置いておかねばならないでしょう。
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DHC会長独占手記「アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だった」

2018/05/01 18:57
 𠮷田嘉明DHC会長の手記が「iRONNA」に掲載されました。『ニュース女子』という情報バラエティー番組の沖縄についての報道にたいする放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議結果、およびマスコミ・法曹界・官界など現在の日本社会への不満が述べ立てられています。今回は、𠮷田会長の手記のなかでも、当ブログで頻繁に取り上げている人類進化史についての記述を取り上げます。該当箇所を以下に引用します。


 最後に、なぜ私が在日帰化人に危惧しているのか、という話をします。日本人は姿形だけ見ると中国人や韓国人に似ているので、日本人のルーツは朝鮮半島を渡ってきた渡来人だと思われがちです。

 ところが最近、遺伝子の研究により、日本人は彼らとは全く関係のない民族だということが分かってきました。縄文人の遺伝子を解析したら、他のアジア人とはまるで違う人種であったというのです。日本人の祖先は、約2万年前にシベリアから、陸続きだった北海道を経由し、日本列島に広まっていったのです。

 多少は南方や朝鮮半島から来た移民もいたようですが、その数は取るに足らないほどで、圧倒的多数がシベリアから南下してきたようです。アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だったというのです。顔は似ていても、どうして中国人や韓国人とはこうも違うのだろうと思っていたことが、ここへきてやっと氷解しました。

 見えない絶対的な力を仮に「神様」と称すれば、神様の考えていることはただーつ「種族維持本能を生きとし生けるものに与える」ということだと思います。これは犬に例えるなら、コリー犬はコリー犬だし、ブルドックはずっとブルドックです。何百年たっても見分けがつかないような犬にはなりません。

 我々は全くの異人種である韓国人と仲良くすることはあっても、そして多少は移民として受け入れることはあっても、決して大量にこの国に入れてはいけないのです。ましてや、政権やメディアを彼らに牛耳られることは絶対に避けなければなりません。



 最近の遺伝子研究により、日本人は中国人や韓国人とはまったく関係のない民族で、アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だと明らかになった、との認識を𠮷田会長は示しています。Twitterでこの𠮷田会長の手記を知ったのですが、Twitterは情報収集という点で便利なものだと思います。Twitter上で検索した限りでは、𠮷田会長の手記に肯定的な人もかなりの割合(半数近く?)いるようです。もちろん、これはTwitterで情報発信しているアカウント(=人数とは限らないわけですが)のみのことで、じっさいにどの程度支持されているのかは不明ですし、最近の遺伝子研究云々ではなく、「反日」批判が支持されているだけかもしれません。

 とはいえ、私のような影響力が限りなく皆無に近い個人の戯言なら一々取り上げるのは難しいでしょうが、大企業の会長で、『ニュース女子』の制作会社の会長でもある、社会的影響力の高い人物の発言ならば、「本題」ではない最近の遺伝子研究云々の記述についても、やはり報道機関が批判的に取り上げるべきでしょう。その意味で、「衝撃の反論手記」と題した産経新聞の記事は論外だと思います。まあ、産経新聞なので驚きませんが。なお、𠮷田会長の曲解について研究者側にはとくに責任はなく、研究者が取り上げて批判すべきとも思いません。このような曲解の批判は、やはり報道機関の任務でしょう。

 𠮷田会長の認識の元ネタは、まず間違いなく三貫地縄文人のゲノム解析の研究でしょう(関連記事)。しかし、この研究の見解は𠮷田会長の認識とは大きく異なります。まず、三貫地縄文人は「他のアジア人とはまるで違う人種」ではなく、現代のヨーロッパ人やパプア人などとの比較において、現代のユーラシア東部各地域集団と近縁です。この現代の東ユーラシア各地域集団との比較において、三貫地縄文人は最も早く分岐したと推測されています。

 ここで重要なのは「現代の」という点で、確かに三貫地縄文人は現代のユーラシア東部集団の中では他の各地域集団と疎遠な関係にあります。しかし、ユーラシア西部と比較してずっと遅れているユーラシア東部の古代DNA研究が進展するまで断定はできませんが、過去には、三貫地縄文人ともっと遺伝的に類似した集団が存在した可能性は、かなり高いと思います。ただ、三貫地縄文人もそうでしょうが、縄文時代の日本列島の住民は、複数の地域からの移住により形成された可能性が高そうですから、ユーラシア東部のどこかに、(三貫地)縄文人と遺伝的構成がほぼ同じという集団は過去にも存在しなかった可能性が高いでしょう。

 しかし、「現代の」ユーラシア東部各地域集団のいずれよりも、三貫地縄文人とはるかに遺伝的に近縁な集団が将来複数確認される可能性は高く、そうなれば、(三貫地)縄文人の形成過程も今よりもずっと詳しく明らかになるでしょう。もっとも、縄文時代の日本列島の住民とはいっても、地域・時代により遺伝的にかなり多様だった可能性もあると思います。この縄文人の起源についての誤解が、𠮷田会長のでたらめな認識になっています。縄文人はシベリアから陸続きで北海道に到来し、日本列島に拡散していった、と𠮷田会長は認識しています。それ故に、「アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だった」というわけでしょう。

 しかし、三貫地縄文人のゲノム解析の結果明らかになったのは、縄文人については形態学や遺伝学から北方(東北アジア)起源説や南方(東南アジア)起源説が主張されてきたものの、どちらの仮説も支持されない、ということです。現時点では、縄文人がどのように形成されたのか不明で、上述したように、この解明にはユーラシア東部における古代DNA研究の進展が欠かせませんし、そもそも縄文人は時空的に多様だった可能性が高いでしょう。おそらく、縄文人と遺伝的に類似したユーラシア東部の過去の集団は、移住・混合などにより、現在ではその遺伝的構成が失われてしまったのでしょう。おそらく現代のユーラシア東部の各地域集団はそのように形成されたのでしょうが、北東アジアには過去の近隣集団との遺伝的類似性が高いとされる集団も現存します(関連記事)。次に述べるように、日本列島でも移住・混合などにより、縄文人の遺伝的構成は失われてしまった、と推測されます。

 その問題と関連する𠮷田会長の認識では、「多少は南方や朝鮮半島から来た移民もいたよう」ではあるものの、現代日本人は基本的に縄文人の子孫である、と想定されています。三貫地縄文人のゲノム解析結果からは、「本土」日本人(沖縄集団とアイヌ集団以外の日本人)のゲノムにおける縄文人の影響は20%未満だろう、と推定されています。現代日本人は、三貫地縄文人よりも華北(北京)・華南の漢人やベトナム人の方と遺伝的に近縁で、これらの地域の現代人の祖先集団と近縁な集団が、縄文時代末期〜弥生時代以降に日本列島に到来し、やがて日本列島における遺伝的影響力で「縄文人」を圧倒したと考えられます。ただし、だからといって、弥生時代以降の日本列島への移住者が多数だったとは限りませんし、言語をはじめとして縄文時代の(一部地域の?)文化が弥生時代以降の日本列島一定以上の影響力を有した可能性も否定できません(関連記事)。

 なお、当然のことではありますが、三貫地縄文人は「ヨーロッパ人に近い民族だった」わけではなく、上述したように、現代のヨーロッパ人やパプア人などとの比較において、現代のユーラシア東部各地域集団と近縁です。したがって、仮に𠮷田会長が想定するように、現代日本人における「縄文人」の遺伝的影響力が強かったとしても、少なくとも遺伝的知見からは、「アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だった」とは言えません。ここには、現代においても日本社会において根強い「白人」への劣等感が露骨に見えます。もっとも、この点に関しては自省が必要だな、とも痛感していますが。

 そもそも、民族を遺伝的に定義すること自体に問題があるのですが、遺伝的知見なしに、日本とヨーロッパとの近縁性を説く議論は、近代以降の日本において一定以上の影響力を有してきました。日本とヨーロッパのみが封建制を経験した、などといった議論です。近年では、「文明の衝突」という言説において、日本は一国のみで一つの文明圏を構成する、との見解が日本社会の一部?でもてはやされました。しかし、現代においては、もはやヨーロッパ発の「近代」が世界を覆っており、世界は一つの「文明」圏であるとも言えるでしょう。

 もちろん、現代の各地域の様相は異なっており、それは前近代の歴史経験によるところが大ですから、そうした要素を考慮して現代に複数の「文明」圏を想定することは妥当でしょう。少なくとも前近代においては、日本は中華・朝鮮半島・ベトナムとともに「漢字文明」圏に分類されるのが妥当でしょうし、現代においても、日本・中国(の大半?)・朝鮮において儒教・(中華)仏教の影響はまだ根強く残っているでしょうから、これらをまとめて一つの「文明」圏とする想定には、一定以上の説得力があると思います。ただ、自戒の念を込めて言うのですが、「東アジア」なる概念を安易に歴史に適用することに関しては、やはり慎重でなければならないと思います(関連記事)。
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農耕の起源と拡散

2018/03/28 00:00
 これは3月28日分の記事として掲載しておきます。農耕の起源と拡散については当ブログでも度々取り上げてきましたが、一度それらを短くまとめてみます。本当は、当ブログで取り上げた記事を網羅し、整理したうえで、新たに本・論文を読まなければならないところですが、今はそこまでの気力はないので、まずはさほど時間を要さずにできることからやっていき、気力を高めていこう、と考えています。

 現在では、農耕・牧畜(植物の栽培化・動物の家畜化)は、年代は異なりつつも世界の複数の地域で独自に始まり、周辺地域に拡散していった、と考えられていて、この問題に関しては4年近く前の総説的論文が有益だと思います(関連記事)。なお、英語では植物の栽培化・動物の家畜化ともに「domestication」とされていますが、新石器革命論で想定されていたような、動物の家畜化と植物の栽培化とを単一の概念で把握するような認識は根本的に間違っており、家畜化と栽培化は異なる認知能力に依拠している、との指摘もあります(関連記事)。

 上記の総説的論文では、完新世の農耕や牧畜につながるような植物や動物の利用は12000年前頃まで、明確な植物の栽培化・動物の家畜化は11000〜10000年前頃までさかのぼる、とされています。これは南西アジアの事例で、他地域ではもっと年代がくだってから植物の栽培化・動物の家畜化が始まるわけですが、南西アジアは近代以降、とくに考古学的発掘の進んだ地域なので、今後の他地域での発掘の増加により、この差が縮まったり、逆転したりする可能性も考えられます。

 農耕というか植物の栽培化には、植物資源の管理という発想があるのではないか、と私は考えています(関連記事)。植物を「栽培する」と言われているアリも存在しますが(関連記事)、人類系統に限って言うと、現時点で植物の栽培・農耕が確認されているのは現生人類(Homo sapiens)だけです。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)も現生人類と同様に雑食性で(関連記事)、穀類も含めて(関連記事)植物も食べており、薬用植物の効用をよく理解して治療のために使用していたのではないか、とさえ推測されていますが(関連記事)、現時点ではネアンデルタール人による植物の栽培または植物資源の管理の証拠は確認されていません。

 上述したように、現代の農耕へとつながるような植物の栽培化の萌芽は12000年前頃までさかのぼりますが、植物資源の管理の痕跡はもっと前までさかのぼります。農耕が、年代は異なりつつも世界の複数の地域で独自に始まったとすると、現生人類にとって植物資源の管理は容易な発想であり、どんなに遅くとも非アフリカ系現代人の主要な祖先集団の出アフリカ(6万〜5万年前頃?)の頃までには、そうした発想を可能とする認知能力を有していたことになりそうです。

 具体的には、65000〜60000年前頃のアフリカ南部において低木地の草木を計画的に焼くことによって根菜類の収穫量を5〜10倍増加させた可能性(関連記事)と、49000〜36000年前頃のニューギニア島高地において、初期の住人が有用な植物の成長を促すために森林の一部を切り開いた可能性(関連記事)とが指摘されています。もっと強い証拠としては、年代が下りますが、レヴァントにおいて23000年前頃の穀物の耕作の痕跡が確認されています(関連記事)。更新世において植物資源を管理して収穫するという行為は、おそらくそれなりの頻度で存在したのではないか、と思います。

 ただ、本格的な栽培化ではなく、おそらくは狩猟採集への高い依存度を伴う小規模な耕作・資源管理であり、更新世の不安定な気候では長期間持続しなかったため、現在では考古学的に検出しにくいのではないか、と思います。現代に続くような植物栽培というか農耕は、完新世になってからのことなのでしょう。もっとも、完新世になってからの農耕も、地域により違いはあったでしょうが、とくに最初期の農耕は、当初から生計依存度の高い本格的なものではなく、狩猟採集への高い依存度を伴いつつの小規模な試行錯誤で、近隣地域で農耕が始まっても、狩猟採集生活を続けた地域も少なくなかったのではないか、と考えられます(関連記事)。

 農耕の拡散が人間の大規模な移動(およびその後の先住民集団の置換もしくは先住民集団との交雑)を伴うようなものだったのか、それともおもに文化伝播だったのか、という人類史における普遍的な問題については、現時点では、地域により具体的な様相は異なる、と考えるのが妥当でしょう。古代DNA研究によると、ヨーロッパにおける狩猟採集社会から農耕社会への移行はアナトリア半島の農耕民のヨーロッパへの拡散によるもので、全体的には先住の狩猟採集民集団との交雑・同化がゆっくりと進行していったものの、地域によっては交雑・同化が早期に進行した、とされています(関連記事)。西アジアでは、少なくとも一部地域において、人間の移動をあまり伴わないような文化伝播が農耕の拡大に重要な役割を果たしたのではないか、と示唆されています(関連記事)。

 日本列島においては、すでに縄文時代に植物栽培は始まっていたものの(関連記事)、本格的な農耕社会への移行は弥生時代になってからだと思われます。縄文時代から弥生時代への移行において、「縄文人」の現代日本社会における遺伝的影響は小さい(アイヌ人と沖縄の人々を除く現代の「本土日本人」に継承された縄文人ゲノムの割合は推定で15%程度)と推定されていることから(関連記事)、本格的な農耕社会への移行において、先住民集団は渡来系集団におおむね置換されてしまった、とも考えられます。

 しかし、弥生文化の伝播はゆっくりとしたものであり、「縄文の壁」がその前に立ちはだかったという指摘もあるように(関連記事)、近年では、本格的な農耕の受容に関して、「縄文人」の主体性を強調する傾向が強くなっています(関連記事)。こうした本格的な農耕をもたらした集団に関しては、困窮のあまり日本列島へと移住してきたのではなく、ある程度以上の社会的地位、たとえば親から領域を継承できないような首長の子供たちを含んでいた可能性も指摘されています(関連記事)。

 それでも、現代日本社会における「縄文人」の遺伝的影響は2割にも満たないのだから、縄文時代の文化はその後の日本列島において大きな影響を及ぼさなかった、との見解もあるかもしれません。しかし、他地域の事例からも、日本列島において、遺伝的構成の劇的な変化があったとしても、言語をはじめとして先住民集団の文化が後世に少なからぬ影響を及ぼした可能性はじゅうぶん想定される得ると思います(関連記事)。もちろん、「縄文人」とはいっても、地域・年代によりかなり多様だった可能性があり、それは「縄文人」の言語も同様なのでしょう。
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克服・批判・拒絶すべき思想や宗教

2018/03/25 19:01
 もちろん、克服・批判・拒絶すべき思想や宗教は個人により異なるわけですが、たとえば、現代日本社会、あるいはそれ以上もしくは以下の規模の社会において、かなりの程度社会的合意が得られている事例は珍しくなく、たとえばナチズムは、多くの社会で批判・拒絶すべき思想として扱われている、と言ってよいでしょう。現代日本社会でもそれは同様でしょうが、ナチス文化に甘いといった批判もあり、それは的確だと思います。私が子供の頃には、『リングにかけろ』や『キン肉マン』などの漫画・アニメで、明らかにナチスを意識して造形された人物・組織が登場し、好敵手・仲間として活躍していました。そのなかで最も大きな影響力を有したのは、おそらく『宇宙戦艦ヤマト』なのでしょう。

 現代日本社会はナチスに甘いとの批判はもっともなのですが、そうした批判者が、安倍晋三首相をヒトラー、安倍政権をナチスと罵倒することもあり、そのように安易にナチスを比較対象として持ち出すこと自体が、現代日本社会におけるナチス文化への甘さを醸成しているのではないか、と思います。政治家が何かとナチスを引き合いに出すのも、ナチス文化に甘い社会的風潮があるからと言うべきで、麻生副首相が2回もナチスに言及して批判されたことも、そのような社会的文脈で把握すべきなのでしょう。

 もっとも、批判された麻生副首相のナチス発言は、「絶対悪」として有名なナチスに安易に言及したという感じで、もっと適切な事例もあるかもしれないのに、知らないからナチスを持ち出しただけ、という側面も多分にあるのでしょう。安倍政権を批判するのに、ナチス(あるいは「戦前」というか大日本帝国)よりもっと適切な事例があるかもしれないのに、すぐにナチス(あるいは「戦前」)を持ち出すことと根本的には同様の構造と言うべきでしょう。まあ、その点では私もあまりにも不勉強なので、せめて自覚して注意せねばなりません。なお、5年近く前(2013年7月29日)の麻生副首相の「ナチスの手口」発言は、今でも「リベラル」側を中心に誤解が少なくないようですが、この問題に関しては、「国家鮟鱇」というブログの2013年7月および8月の一連の記事が有益だと思います。

 近年、日本社会では儒教「批判本」が流行しており、それらは「ヘイトスピーチ」・「ネトウヨ」的言説として批判されています。しかし、そうした儒教「批判本」の認識には問題が多いとしても、現代日本社会において儒教は克服されるべき時代錯誤の思想・宗教だと私は確信しています(関連記事)。ただ、儒教は日本社会にあまりにも浸透してしまったので、その影響を短期間で取り除こうとすると、弊害・反動は大きいかもしれません。しかし、文化大革命のようなやり方は論外としても、たとえば20世紀前半の中国の知識層における儒教克服の試みは、現代日本社会でも見習うべき点が少なくないように思います。近代日本では、教育勅語が大きな影響力を有して敗戦まであからさまな批判が躊躇されたように、近代化の中でなし崩し的に儒教が都合よく取り入れられた感があり、少なくとも一度は、儒教批判・克服の大きな社会的運動(潮流)を経験すべきではないか、と考えています。

 ナチズムや儒教を批判しても、現代では殺される危険性はきわめて低いでしょうが、イスラム教に関しては、批判を躊躇う人は少なくないと思います。私もこれまでそういうところがありましたが、それこそがイスラム教への偏見なのだ、との批判は当然あるでしょうし、そうした批判にはもっともなところも多分にあると思います。ただ、どのような思想・宗教でも検証・批判の対象になり得るというのが近代化を経た現代社会のあるべき理念だと私は考えており、イスラム教といえども、その例外にすべきではありません。

 こんなことを言うと、「リベラル」側は権力勾配や非対称性などを持ち出し、「多様性」という「真理」を主張して、私のような「魂の悪い」愚民にイスラム教への「寛容」を説くのかもしれません。しかし、現在、日本でもヨーロッパでもアメリカ合衆国でも、イスラム教というかイスラム教徒は、単純に人口でも、政治・経済・文化・情報発信の点でも「マイノリティ」かもしれませんが、世界全体では信者が16億人以上と推定される一大宗教ですし、何よりも、少なからぬ現代社会、中でもいわゆる先進国の基本的な価値観は、イスラム教と相容れません(関連記事)。いわゆる先進国の「リベラル」の価値観はとくに、イスラム教と相容れません。自由を否定する思想・集団に自由を認めるのか、というのは古典的な難問ですが、現実問題として、イスラム教を信仰する自由は認めるとしても、イスラム教を批判する自由は保証されねばならないでしょう。もちろん、それだけではなく、イスラム教を批判して危害を加えられるようなことはあってはならない、との広範で強力な社会的合意も必要になります。

 ただ、現実問題として、イスラム教は信者が16億人以上と推定される一大宗教ですから、信者が多数派の社会は多く、そうした社会でイスラム教を批判する自由を確保するのはきわめて困難というか、事実上無理でしょう。ならばせめて、イスラム教徒が多数派ではない社会において、イスラム教を批判する自由を確保し続けねばならない、と思います。いつかはそうしたイスラム教批判がイスラム教側の一大宗教改革を誘発する・・・と願いたいところですが、残念ながらその可能性はきわめて低そうです。ならば、せめて、現在イスラム教徒が「マジョリティ」ではない社会において、非イスラム教徒がイスラム教徒を圧倒する社会を維持していくしかありません。この「力」とは、単純な人口だけではなく、経済・政治・文化・情報発信力も含んでいます。もちろん、非イスラム教徒がイスラム教徒を圧倒しているからといって、刑法上の罪を犯していないイスラム教徒を抑圧してはなりませんが。

 こんなことを言うと、イスラム教は諸宗教と「共存」してきた長い歴史があり、イスラム教への偏見・差別に他ならない、と批判・罵倒・嘲笑されそうですが、イスラム教には信者を過激派に誘引する強力な内在的論理があり、インターネットの普及に伴い、ずっと多くの信者がイスラム教の正当な解釈に触れやすくなった、と指摘されています(関連記事)。「穏健な」イスラム教の代表例として東南アジアが持ち出され、イスラム教敵視を批判する根拠の一つとされてきましたが、その東南アジアにおいても、イスラム教の「過激化」が問題となりつつある、としばしば報道されています。こうした傾向も、インターネット時代においてイスラム教の正当な解釈に触れやすくなった、という社会的文脈で把握すべきなのでしょう。

 正直なところ、イスラム教徒が「マイノリティ」である社会において(上述したように、これは人口だけを基準としているのではありません)、イスラム教への批判の自由が保証され続けたとしても、イスラム教の側が大きく変わるとも思えず、イスラム教徒との対峙は長く変わらないでしょうから、絶望しそうになります。しかし、非イスラム教徒の側がイスラム教徒よりも強い力を保持し続ければ、過激思想に惹かれるイスラム教徒は今後も絶えず、かりにその数が増加傾向を維持し続けるとしても、「実践」を思いとどまる過激派は少なくないでしょう。

 かりに、インターネット時代においてイスラム教徒の側が世界規模で圧倒的な力を有してしまえば、非イスラム教徒は生殺与奪権をイスラム教徒側に与えてしまうことになります。もちろん、だからといってイスラム教徒の圧倒的多数は異教徒を殺そうとまでは考えないでしょうが、かりにイスラム教徒が30憶人まで増えて、その0.01%でも「行動的過激派」になったとしたら30万人となるわけで、これだけの数がイスラム教の正当な解釈を声高に主張して異教徒殺害の行動に出たら、多くのイスラム教徒は沈黙してしまうのではないか、と懸念されます。ナチス政権も含めて歴史上の大量殺害や人為的大惨事も、そのような心理の作用が一因ではないか、と思います。

 私のような能力も見識も経済力も乏しくほとんど権力を有していない多くの人にできることは限られていますが、まずは、イスラム教徒が「マジョリティ」ではない社会において、イスラム教に問題があると考えたら、批判を躊躇わないことが重要だと思います。大日本帝国再興を主張したり、ナチズムを信奉したりする人々が、我々は「現実主義者」なので現在の力関係を考慮して「実践」はしませんし、現在は「マイノリティ」なので配慮してください(しかし、我々が「マジョリティ」になればどう行動するかは我々次第です)、などと言っても「リベラル」側は遠慮なく批判・罵倒・嘲笑するでしょうが、イスラム教にたいしても、同様の自由は保証されるべきでしょう。日本人の大半はイスラム教徒どころか「啓典の民」でさえないわけで、日本社会においてもっとイスラム教は知られるべきなのでしょう。まあ、私もイスラム教の知識は乏しいので、今後勉強を続けていかねばなりませんが。
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飯山陽『イスラム教の論理』

2018/03/25 00:00
 これは3月25日分の記事として掲載しておきます。新潮新書の一冊として、新潮社から2018年2月に刊行されました。近年では、「イスラーム」という表記が日本社会でもかなり浸透しているように思われ、私も当ブログでは基本的に「イスラーム」と表記してきましたが、本書は「イスラム教」で一貫しています。本書を読み、ユダヤ教やキリスト教などとの対比という観点からは、「イスラム教」表記の方が妥当なのかな、と考えを改めました。今後、当ブログでは「イスラム教」表記で一貫することにします。ただ、この問題に関してはこれまで不勉強だったので、確信を抱けるほどではなく、今後の課題となります。

 本書は、イスラム教の論理を丁寧に解説し、「イスラム国(IS)」など「過激派」の主張が正当なイスラム教解釈に由来している、と指摘します。もちろん、最近読んだ小原克博『一神教とは何か キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために』(関連記事)でも指摘されていたように、イスラム教の解釈と実践は多様で、本書もその点を否定しているわけではありません。ただ、「原理主義」とか「本質」とかいった言葉で表現すると、本書を浅く理解しているというか、自分の読解力・表現力の乏しさを晒してしまうようですが、イスラム教「過激派」の主張は、かなりのところ正当なイスラム教解釈に基づいており、イスラム教の本質を表しているように思われます。

 もちろん、イスラム教誕生以降の歴史が示すように、イスラム教徒が全員、過激派になり、過激な行為を実践するわけではありません。しかし、過激派は少数としても、1980(1990?)年代以降、絶えることはなく、注目を集める過激派の事件が起き続けています。これは、先進諸国による抑圧や搾取、さらにはその結果としての貧困の問題として把握してよいのでしょうか。本書は、そのような現実の社会経済状況と無関係ではないとしても、イスラム教の内在的論理に基づいて(一部の)イスラム教徒は「過激派」になっていき、多数のイスラム教徒もそれ故に過激派の主張を全否定することがないのだ、と丁寧に解説していきます。以前からの持論ですが、宗教や思想体系や価値体系などにおいて、「原理主義」は「正論」であるが故に強く、「原理主義」側から本気で論争を仕掛けられたら、「穏健派(堕落派)」が「論破」するのはきわめて困難で、「穏健派」が「原理主義」を退けるとしたら、経済力・武力・政治力・情報発信力などで圧倒するしかない、と思います。

 本書を読むと、イスラム教過激派は原理主義的であるが故にイスラム教徒にとって魅力的であり、実践まで進むイスラム教徒は少数派としても、潜在的な「過激派」は多数いるので、イスラム教が大規模な宗教改革にでも進まない限り、いかにイスラム教徒のいる地域が平和で豊かになろうとも、過激派は次々に出現し続けるだろうな、と諦めの境地に至ってしまいます。本書も、どうすればイスラム教で大規模な宗教改革が起きるのか、解決策をまったく提示できていません。非イスラム教徒は今後も、このきわめて厄介なイスラム教とどのように接していけばよいのか、分からずに迷走していきそうで、絶望しそうになります。

 過激派はごく少数であり、懸念は偏見・差別に他ならないとの見解もあるでしょうが、かりにイスラム教徒の0.01%が過激派になるとして、確かに比率ではごく少数派でも、人口1000万人の社会では1000人となります。1000万人程度の規模の社会で自爆を正当化するような過激派が1000人もいれば、たいへんな脅威と言うべきでしょう。それでも、「リベラル様」はイスラム教自体には問題がないと擁護するでしょうが、かりに、日本社会において過激な差別主義者が人口の0.01%いたとして、過激派は0.01%にすぎないから日本社会への懸念は偏見・差別に他ならない、との見解が妥当なのか、よく考えてみるべきでしょう。日本社会で人口の0.01%とは12000人以上になるわけで、それだけの人数の過激な差別主義者が日本社会程度の面積にいれば、社会にとってたいへんな脅威と言うべきでしょう。

 イスラム教は、近年のリベラリズムも含む近代以降のヨーロッパ的価値観とは本質的に相容れないのに、リベラル勢力により「多様性」や「寛容」などと言ってイスラム教が擁護されるのは、現在のリベラリズム側の深刻な矛盾ではないか、と思ってしまいます。近代以降のヨーロッパの価値観を多分に受容した現代日本社会にとっても、イスラム教は深刻な脅威になると思います。また、日本の近代化の前提となった前近代社会にしても、イスラム教とは本質的に相容れないと思います。今後、イスラム教にどう対応していくのか、現在はヨーロッパほど深刻ではないとしても、日本社会にとっても悩ましいところです。

 私が、本書の見解をおおむね好意的に受け取り、上記のように考えてしまうのは、以前からイスラム教への反感と嫌悪感が強いからだということは否定できません。したがって、「リベラル様」からは、無知な差別主義者のイスラム恐怖症だ、と批判・罵倒・嘲笑されそうです。まあ、本書のイスラム教解釈と評価がどこまで妥当なのか、近代以降のヨーロッパ的価値観を規範とする社会において敵視・危険視されるようなイスラム教の要素を強調しているのではないか、との疑問も残ります。おそらく、「リベラル様」は本書を徹底的に批判・罵倒・嘲笑することでしょう。まあ私はそれでも、本書は教えられることの多い有益な一冊だった、と考えていますが。イスラム教は、現代日本社会では身近な存在になりつつあるように思います。能力・経済力からも、私に可能なことは限定的ですが、イスラム教とどのように接すればよいのか、まずはイスラム教をよく知らねばならないことは確かでしょう。今後も、イスラム教については少しずつ調べていくつもりです。
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フニペロ=セラへのローマ教皇の対応の違い

2018/03/22 00:02
 これは3月22日分の記事として掲載しておきます。以前、一神教について雑感を述べ、フニペロ=セラについて言及しましたが(関連記事)、最近になって新たな情報を得たので、追記としてこの記事を掲載します。北アメリカ大陸での残虐行為で知られるセラについては、上記の記事を掲載してから4年以上経過しても、ウィキペディアで得た以上の知識をほとんど得ておらず、相変わらず怠惰なのですが、いつかはまともな関連本を読もう、と考えています。

 4年以上前(2013年12月)の上記記事の時点では、セラは1988年に列福されていたものの、まだ列聖は見送られ続けている状況でした。しかし、現ローマ教皇フランシスコは、セラへの批判を知っており、カトリックのアメリカ大陸における所業を謝罪しつつも、2015年9月のアメリカ合衆国訪問のさいに、セラを列聖して儀式を行ない、セラはカトリック教会において聖人とされた、とのことです(関連記事)。これにたいして、セラの列聖に反対する請願に1万人が署名した、とのことです(関連記事)。セラを列福したのは先々代のローマ教皇ヨハネ=パウロ2世で、先代のローマ教皇ベネディクト16世の間は、列聖は見送られ続けていたことになります。

 ヨハネ=パウロ2世は、冷戦構造の崩壊に貢献し、他宗教との和解に尽力したということで、今でも評価が高いと思いますが、イデオロギーは保守的だった、と評価されていたように記憶しています。そのヨハネ=パウロ2世を支え、カトリック教会の代表的な保守派と考えられていたのがベネディクト16世で、ヨハネ=パウロ2世の後継者を選出するコンクラーヴェの結果が出る前に、ある「リベラル」のカトリック信者が、保守反動派のラッツィンガー枢機卿(ベネディクト16世)がローマ教皇に選出されてほしくはない、とネットで発言していたことを記憶しています。

 現ローマ教皇フランシスコは、わりと「リベラル」派にも高評価のように思われるのですが、その現ローマ教皇が、おそらくはセラの所業を詳しく知りつつも、長年にわたって見送られてきたセラの列聖を行なったのは、カトリック教会というか、そもそもキリスト教に詳しくない部外者にとっては意外なことでした。通俗的な印象では、むしろベネディクト16世の時点で列聖されたとしても不思議ではなさそうに思います。現ローマ教皇フランシスコは、ローマ教皇としては初のアメリカ大陸出身者で、それも関係しているのかもしれませんが、カトリック教会についてほとんど調べてこなかった門外漢には、どうもよく分かりません。とりあえず、セラが現ローマ教皇フランシスコにより列聖された、という情報を追記しておきます。
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儒教と近代化

2018/03/22 00:01
 これは3月22日分の記事として掲載しておきます。先月(2018年2月)、井沢元彦氏について述べた記事で、儒教と近代化の関係を少しだけ述べました。儒教は近代化を阻む要因として指弾されることが多いものの、日本の近代化で朱子学をはじめとして儒教が果たした役割を重視する見解も提示されている、と述べたわけですが、過去に当ブログで取り上げておきながら、その記事で言及し忘れたことがあるので、この記事を追記とします。

 それは、近代化への対応において、非ヨーロッパ地域でも、儒教の影響の強い地域(おおむね東アジアと言ってよさそうですが)は、そうではない地域よりも有利な点があったのではないか、ということです。前近代において、ヨーロッパ勢力がアメリカ大陸など世界中に拡散していった時、西アジアや南アジアでは王権への貢献者(個人や集団)が宗教や出自によらず厚遇されたのにたいして、日本の徳川政権では人間の「内」と「外」の区別をはっきりとつける方針が取られました(関連記事)。

 これは、儒教の世界観が礼の有無による区別を重視していたことが一因としてあるのではないか、と思います。その意味で、中華地域や朝鮮も西アジアや南アジアよりもヨーロッパ発の近代化への対応において有利なところがあったのではないか、と思います。中華地域や朝鮮が日本よりも近代化で遅れた理由の一つとしては、社会構造の違いが考えられます。日本においては、内と外を峻別する村を基盤とした戦国大名領国の成立に、近代以降の国民国家の原型の形成を認める見解もあります(関連記事)。中華地域に関しては、近代前期の技術力・経済力では広範で多様な地域を単一の国民国家として統合することが困難だった、との事情も大きいでしょう。

 また、礼の有無により中華と夷狄を区別する儒教は、「文明」の有無により個人と国を区別するヨーロッパの近代黎明期の諸国家と論理がよく似ている、と言えるでしょう。もちろん、近代化において基準となった「文明」と儒教の礼とでは、内実に大きな違いがあるわけですが、後天的な修練により習得可能な規範・教養により人や集団は正当に区別され得る、との論理は酷似している、と言えるでしょう。この点でも、儒教はヨーロッパ発の近代化と親和的なところがあります。まあ、近代ヨーロッパにおいては、この違いは生得的なものである、との「人種」差別も広く支持されたわけですが、私の見識ではそれも取り入れて的確にまとめられないので、今回はこれ以上触れません。日本の近代化の過程で朱子学をはじめとして儒教が果たした役割は大きく、江戸時代に儒教が浸透していなければ、近代のさまざまな概念の理解がもっと困難になった可能性は高いでしょう。

 しかし、上述したように、近代化において基準となった「文明」と儒教の礼とでは、内実に大きな違いがあります。幕末から近代前期にかけての「不平等条約」の理解を儒教が阻んでいたように(関連記事)、身分秩序を前提として現状追認的傾向のある儒教の大きな弊害は否定できず、現代日本社会においても、儒教の克服は依然として大きな課題とすべきではないか、と思います。近年、中国では総合的国力の増大とともに、国民が自信をつけてきたためか、伝統文化たる儒教に肯定的な傾向が見られます。しかし、毛沢東政権期の儒教攻撃には行き過ぎがあったとしても、20世紀前半の中国の知識層における儒教克服の試みは基本的には間違っていなかったと思います。近代日本では、教育勅語が大きな影響力を有して敗戦まであからさまな批判が躊躇されたように、近代化の中でなし崩し的に儒教が都合よく取り入れられた感があり、その意味で、20世紀前半の中国の知識層における儒教克服の試みの意義は、現代日本社会でも大きいと思います。

 私は「反リベラル」傾向が強いと自覚していますが、だからといって「反リベラル」や「保守」に徹することもできず、近代化の恩恵にはある程度自覚的でいるつもりで(私の見識では気づいていない点も多々あるでしょうが)、基本的には近代化を尊重しています。その意味で、現代日本社会において儒教は克服されるべきだ、との信念は今後も変わらないでしょう。しかし、近代化の(一方向の)延長線上にあると思われる、「多様性」や「寛容」を強調し、「アイデンティティポリティクス」に傾斜する近年の「リベラル」的言説には、大いに違和感があります。

 これは、私の立場では「リベラル」的言説を真に受けると搾取されるだけだ、との危機感に起因するのですが、「リベラル様」に言わせると、私は「リベラル」的言説が私のような立場の人間を守ると理解できない、愚かな「肉屋を支持する豚」で、「魂の悪い」人間なのだ、ということになるのでしょう。しかし、

要するに「功績は個人のものだから個人を讃えよう、困窮は社会の責任なので皆で支えよう」という人と「功績は社会全体のもの、困窮はそいつ個人が悪い」という人の2種類がいるってだけの話なんだな。僕は前者の方が高潔で徳の高い人間だと思うよ。みんなはどう思う?

との発言にたいして、

その高潔な思想をかいつまむと、「社会」は個人に都合の悪いときだけ責任を取らされ、都合のいいときは大人しくしてろと命じられるブラックなセクターということになりますけど、社会はあくまで個人の集合なんですよね。これをどうお考えになるのか。誰がブラックなセクターを担うのでしょうか。

との指摘に見られますが、「リベラル」的言説を真に受けると、自分が「ブラックなセクターを担う」人物にならざるを得ないのではないか、との疑念は拭えません。私は、「同情されないような」いくつかの重要な「アイデンティティ」において「マジョリティ」だからです。

 まあ、こんなことを言うと「ネトウヨ」扱いされても仕方ないでしょうが、私は、現代日本社会の夫婦同氏(同姓)は明治になっての西洋の物真似ではなく前近代の慣行に由来すると考えており(関連記事)、元々人類社会は父系的な構造で、「原始的な」社会が「発展する」と母系社会から父系社会へ移行するといった見解は偏見そのもので、唯物史観の悪影響だと考えていますし(関連記事)、現代日本社会においては、縄文時代の日本列島の住民の遺伝的影響はかなり低そうではあるものの、言語をはじめとして文化面では遺伝的影響から想定されるよりも影響が高いかもしれない(関連記事)、と推測しており、中華人民共和国の成立期に関しても、伝統的な公的史観とは異なる見解を支持しているので(関連記事)、少なからぬ「リベラル様」にとっては、「ネトウヨ」そのものかもしれません。
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小原克博『一神教とは何か キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために』

2018/03/18 00:00
 これは3月18日分の記事として掲載しておきます。平凡社新書の一冊として、平凡社より2018年2月に刊行されました。本書は、現代日本社会において「一神教」として分類されることの多いキリスト教・ユダヤ教・イスラームを、「一神教」という概念の形成過程とその妥当性にも言及しつつ、解説しています。著者の専門分野との関係から、キリスト教に関する解説が多くなっていますが、全体的には、現代日本社会における一般的な理解度を踏まえた解説となっており、「一神教」の入門書として適しているのではないか、と思います。

 非寛容な一神教世界と寛容な多神教世界、現代社会の危機の根本的要因としての一神教的世界観という、現代日本社会ではかなり定着しているように思われる俗論にたいして、私は昔から批判的でした(関連記事)。本書でもこのような俗論が批判されていますが、今後、日本社会においてイスラームやキリスト教との接点がもっと増えていくと予想されるだけに、非寛容な一神教世界と寛容な多神教世界という俗論への批判は日本社会において周知されるべきだと思います。

 本書は、現代日本社会における一般的な理解度にも配慮し、キリスト教・ユダヤ教・イスラームを「一神教」として把握しつつも、各宗教間、さらには各宗教内の違いを指摘しています。たとえば、原罪に関する認識は、キリスト教とイスラームとで大きく違いますが、キリスト教内部でも、西方教会(カトリック)と東方教会(正教会)とで違いが大きいことを本書は指摘しています。また、戦争の正当化と平和に関する問題でも、とくにキリスト教とイスラームにおけるそれぞれの内部での多様性が指摘されています。

 終末論や原理主義や政教分離についてもそうですが、本書は「一神教」の多様性を強調し、「一神教」として一括されることも少なくない現代日本社会への啓蒙であるとともに、警鐘でもあるように思います。非寛容な一神教世界と寛容な多神教世界という現代日本社会の通俗的な胡散臭い言説も、「一神教」の多様性という観点から批判されています。確かに、本書における「一神教」の多様性の指摘は、現代日本社会において意義深いとは思いますが、正直なところ、「リベラル作法」を意識しすぎで、「一神教」の有する暴力性や危険性が軽視されているのではないか、とも思われました。まあ、私が無知で「魂の悪い」人間であるために、「リベラル」を理解できずに敵視しているからそう思うのだ、と嘲笑されそうですが。
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サルモネラ菌が原因となった16世紀メキシコの壊滅的な伝染病

2018/02/28 17:45
 16世紀メキシコの壊滅的な伝染病に関する研究(Vågene et al., 2018)が公表されました。感染症の原因となる病原体には、骨格の痕跡を残さないものが多いため、それを古人骨中から発見することは極めて困難です。この研究は、ココリツトリ(現地のナワトル語で「致命的な伝染病」の意味)の墓地に埋葬され、ヨーロッパ人と接触して間もなくのものとされている先住民10人の歯から、MALT(MEGAN Alignment Tool)という新しいスクリーニング技術を用いて、サルモネラ菌(Salmonella enterica)のDNA塩基配列を検出しました。ココリツトリ伝染病の症状に関する古文書の記録から、これまでその大規模伝染病は腸チフス熱の類いによるものと主張されていました。チフスを引き起こすサルモネラ菌が見つかったことは、じゅうらいの仮説と整合的です。

 中世のヨーロッパに存在したことが知られているサルモネラ菌に接触したことがなかった先住民集団は、感染に対して極めて脆弱であったと思われ、それはココリツトリの死亡率の高さを説明すると考えられます。このパターンは、最初の接触から数百年の間にアメリカ大陸先住民とヨーロッパ人の間でさまざまな疾患(天然痘やインフルエンザや麻疹など)が交換されてきたことに表れています。チフスと同様、そうした疾患の多くは骨格の痕跡を残しませんが、今後、その一部を引き起こしたDNAウイルスや病原菌の発見に、この新たなMALT法が役立つ可能性があると期待されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


16世紀メキシコの壊滅的な伝染病はサルモネラ菌が原因と考えられる

 16世紀メキシコの伝染病による死亡者の歯からサルモネラ菌(Salmonella enterica)のゲノムが分離されたことが、今週報告される。その研究成果は、アメリカ大陸に関して知られている最初のサルモネラ菌発生例を示しているが、それはヨーロッパ人が持ち込んで壊滅的な影響を生じたものと考えられる。

 感染症の原因となる病原体には、骨格の痕跡を残さないものが多いため、それを古人骨中から発見することは極めて困難である。Ashild Vageneたちは、ココリツトリ(現地のナワトル語で「致命的な伝染病」の意)の墓地に埋葬され、ヨーロッパ人と接触して間もなくのものとされている先住民10人の歯から、MALT(MEGAN Alignment Tool)という新しいスクリーニング技術を用いてサルモネラ菌のDNA塩基配列を見いだした。ココリツトリ伝染病の症状に関する古文書の記録から、これまでその大規模伝染病は腸チフス熱の類いによるものと主張されていた。今回S. enterica(チフスを引き起こす細菌)が見つかったことは、大規模伝染病の原因がチフスであったことを支持している。

 中世の欧州に存在したことが知られているS. entericaに接触したことがなかった先住民集団は、感染に対して極めて脆弱であったと思われ、そのことはココリツトリの死亡率の高さを説明すると考えられる。このパターンは、最初の接触から数百年の間に新世界人と欧州人の間でさまざまな疾患(天然痘、インフルエンザ、麻疹など)が交換されてきたことに表れている。チフスと同様、そうした疾患の多くは骨格の痕跡を残さないが、今後、その一部を引き起こしたDNAウイルスや病原菌の発見に、この新たなMALT法が役立つ可能性があると期待される。



参考文献:
Vågene ÅJ. et al.(2018): Salmonella enterica genomes from victims of a major sixteenth-century epidemic in Mexico. Nature Ecology & Evolution, 2, 520–528.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0446-6
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タイトル 日 時
歴史認識において本当に相性の悪い井沢元彦氏
 これは2月22日分の記事として掲載しておきます。先日、少しだけ本棚を整理しました。古人類学や日本古代史や古代ローマ史関連本を新たに置く余裕がなくなったので、読み返す可能性の低い本をダンボールに詰めて押し入れで保管することにしました。その結果、本を新たに置いておく余裕が少しできたのですが、ダンボールに入れた本のなかには、井沢元彦氏の著書がそれなりの数あります。井沢氏の著書を根拠に色々と歴史話をしてくる人が身近にもネットにもいたので、その対策で1990年代後半以降、井沢氏の著書をそれなりの冊数購入... ...続きを見る

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2018/02/22 00:00
レッテル貼りの作用
 これは1月20日分の記事として掲載しておきます。レッテル貼りの作用に関する研究(Mace et al., 2018)が公表されました。「魔女である」と名指しするといった、個人を仲間外れにするような否定的なレッテルには、人間社会において長く広範囲に及ぶ歴史があるものの、その社会的な機能はよく分かっていません。魔女のレッテルは、レッテルを貼られた者が信用できない人、あるいは協力的でない人であるという印をつけるために使われていると示唆する研究もあれば、そうしたレッテルは、競争相手の意志をくじくように... ...続きを見る

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2018/01/20 00:00
後藤明『世界神話学入門』
 これは1月14日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社から2017年12月に刊行されました。遺伝学を中心に考古学・言語学などの諸研究成果から、現生人類(Homo sapiens)がアフリカから世界中にどのように拡散したのか、次第に明らかになりつつあります。世界神話学とは、世界の遠く離れた地域同士の神話の類似性(たとえば、日本神話とゲルマン神話)を、現生人類拡散の様相から説明する仮説です。この仮説自体は以前に報道で知りましたが、具体的な内容をほとんど知らなかったので、... ...続きを見る

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2018/01/14 00:00
「原始社会」母系制論と唯物史観
 これは1月11日分の記事として掲載しておきます。以前にも述べましたが(関連記事)、人類の「原始社会」は母系制だった、という見解は根強いように思います。この見解の根源はモルガンやバッハオーフェンにあるとしても、広範に浸透した直接的契機は、唯物史観というか、エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』にあるのではないか、と思います。もっとも、私はこの問題に関する学説史をほとんど把握していないので、あるいは的外れなことを言っているかもしれませんが、とりあえず、私の認識が大外れではないと仮定して、以下に述... ...続きを見る

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2018/01/11 00:00
Adam Rutherford『ゲノムが語る人類全史』
 これは1月7日分の記事として掲載しておきます。アダム=ラザフォード(Adam Rutherford)著、渡会圭子訳、垂水雄二解説で、文藝春秋社より2017年12月に刊行されました。原書の刊行は2016年です。本書は人類進化史をゲノムの観点から概観しています。本書がおもに対象とするのは、現生人類(Homo sapiens)がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と交雑した後期更新世〜現代までとなり、文字記録の残る歴史時代にもかなりの分量を割いているのが特徴です。解説でも... ...続きを見る

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2018/01/07 00:00
倉本一宏『戦争の日本古代史 好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで 』
 これは11月5日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社から2017年5月に刊行されました。本書は、日本古代史における「対外」戦争と「対外」認識を中心に解説し、古代日本において形成された朝鮮観が、中世と近世の「対外」戦争を経て増幅・変容していき、近代以降の日本の帝国主義的行動にも影響を及ぼし、現代の朝鮮観をも規定しているところがあるのではないか、と論じています。表題にあるように、基本的には戦争の観点からの古代史ですが、射程の長い一冊になっている、と言えるでしょう。 ... ...続きを見る

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2017/11/05 00:00
Mark Adams『アトランティスへの旅 失われた大陸を求めて』
 これは7月16日分の記事として掲載しておきます。マーク=アダムス(Mark Adams)著、森夏樹訳で、白水社より2015年12月に刊行されました。もう10年以上前にこのブログで述べましたが、欧米社会におけるアトランティスへの関心は今でも強いようで、さまざまな本が刊行されたり、新説が提示されたりしています。その記事にて、「アマチュアだけではなく、アカデミズムの側からの発言もあります」と述べましたが、アカデミズム側からの発言は基本的に冷ややかなもので、アトランティスの探索に熱心なのはアマチュア側... ...続きを見る

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2017/07/16 00:00
篠田謙一『ホモ・サピエンスの誕生と拡散』
 これは7月2日分の記事として掲載しておきます。歴史新書の一冊として洋泉社より2017年6月に刊行されました。本書からは、一般向けであることを強く意識し、分かりやすい解説・構成にしようという意図が窺えます。じっさい、本書は目新しい情報を多く掲載しているわけではないものの、最新の研究成果に基づいて人類史を分かりやすく解説しており、なかなか読みやすく理解しやすいと思います。基礎的な解説もあるので、人類進化史に関心を持ち始めた人が読むのに適していると言えるでしょう。著者の専攻が反映され、DNA解析につ... ...続きを見る

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2017/07/02 00:00
アリの拡散と人間の行動
 これは6月28日分の記事として掲載しておきます。アリの拡散と人間の行動に関する研究(Bertelsmeier et al., 2017)が公表されました。人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こします。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続ける、と予測されています。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目していますが、外来種全般が類似の定着パターンに従う... ...続きを見る

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2017/06/28 00:00
ネコの起源
 これは6月22日分の記事として掲載しておきます。ネコの起源に関する研究(Ottoni et al., 2017)が公表されました。ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた、と考えられています。この研究は、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析しました。 ...続きを見る

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2017/06/22 00:00
蔦谷匠「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、現代人の授乳と離乳に見られるミスマッチ(関連記事)について解説しています。大半は狩猟採集社会における進化を通じて獲得されてきたヒトの行動や性質が、近現代の急激な生活環境の変化にあって齟齬をきたす事例が多数見られ、授乳と離乳もその一例になる、というわけです。 ...続きを見る

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2017/06/21 00:00
本村凌二『教養としての「世界史」の読み方』第3刷
 これは5月21日分の記事として掲載しておきます。2017年3月にPHP研究所より刊行されました。第1刷の刊行は2017年1月です。歴史学に限らず、緻密化・細分化の進む分野で、総合的な内容の本を執筆するのには勇気が必要だと思います。歴史学のような分野だと、扱う範囲が広範で、研究の蓄積も膨大なため、「一国史」でも通史を執筆するのにはかなりの勇気が必要となるでしょう。じっさい、各分野の専門家や非専門家でも詳しい人で、本書の叙述に疑問を抱く人は少なくいかもしれません。ただそれでも、本書のような一人の執... ...続きを見る

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2017/05/21 00:00
現代人の形成に大きな役割を果たした移民
 これは5月20日分の記事として掲載しておきます。現代人の形成に移民が大きな役割を果たした、と指摘する概説(Gibbons., 2017)が公表されました。この概説は、現在、移民が大きな問題となっていることを強く意識した内容になっています。移民排斥の流れは現代世界の大きな動向として注目されており、それがイギリスの国民投票におけるEU離脱や、アメリカ合衆国でのトランプ政権の誕生など、「識者」や既存報道機関にとって意外な、大きな政治的出来事をもたらした、とよく論じられています。また、「識者」や既存報... ...続きを見る

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2017/05/20 00:00
Alex Mesoudi『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』
 これは5月14日分の記事として掲載しておきます。アレックス=メスーディ(Alex Mesoudi)著、野中香方子訳、竹澤正哲解説で、文藝春秋社より2016年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、文化の変遷を生物進化の概念・数理モデルで把握しようとする文化進化論の立場を解説しています。歴史学や文化人類学など文化を扱う社会科学分野は多数ありますが、その多くが定量的な手法を用いておらず、科学的厳密さに欠けている、と本書は指摘します(心理学や経済学の手法には科学的厳密さがあるものの... ...続きを見る

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2017/05/14 00:00
Yuval Noah Harari『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』上・下
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。ユヴァル=ノア=ハラリ(Yuval Noah Harari)著、野中香方子訳で、河出書房新社から2016年9月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。地上波でも取り上げられ、大型書店でも大きく扱われているなど、本書は評判の一冊になっているようです。私は刊行後間もない時期に購入したのですが、書評を少し読んだ限りでは、あまり新鮮さはなさそうだということで、読むのを先延ばしにしていました。しかし、このまま読まないのはもったいないと思い、読んでみた次... ...続きを見る

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2017/05/07 00:00
深井智朗『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』
 これは4月30日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年3月に刊行されました。本書はプロテスタンティズムの概説ですが、副題にあるように現代社会を射程に入れており、現代社会におけるプロテスタンティズムの役割はどのような歴史的経緯をたどってきた結果として成立したのか、という観点を強く打ち出しているように思われます。本書はまず、プロテスタンティズムの前提として、中世の西方教会世界を簡潔に解説します。そこではカトリックが人々の世界観に大きな影響を与えており、ロー... ...続きを見る

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2017/04/30 00:00
小山聡子『浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜』
 これは2月26日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年1月に刊行されました。本書は、親鸞の生涯と浄土真宗教団の成立過程を、その思想の変遷をたどりつつ解説しています。親鸞やその後継者たちの思想の背景として、浄土教をはじめとする平安時代以来の伝統的な信仰があり、親鸞やその後継者たちが自力に完全に徹していたわけではないことが解説されています。 ...続きを見る

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2017/02/26 00:00
現代アメリカ合衆国の人口構造
 これは2月11日分の記事として掲載しておきます。現代アメリカ合衆国の人口構造に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。植民地時代以前の北アメリカ大陸の人々については、かなり詳細な研究が行われていますが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航しています。この研究は、アメリカ合衆国生まれの約77万人のDNA解析を行ない、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築しました。 ...続きを見る

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2017/02/11 00:00
女性性器切除の文化的進化
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。アフリカの特定の民族集団における女性性器切除(FGC)の文化的進化に関する研究(Howard, and Gibson., 2017)が公表されました。女性性器切除の風習は、とくにアフリカおよび中東各地の多くの民族集団において確認されており、場合によっては、非医学的な理由から女性の性器に各種の有害な改変を加え、産科的・性的・心理的に重大な影響を生じることがあります。したがって、その撲滅は国際社会の優先課題とされています。しかし、この風習に対する組織... ...続きを見る

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2017/02/10 00:00
吉田一彦『シリーズ<本と日本史>1 『日本書紀』の呪縛』
 これは2月4日分の記事として掲載しておきます。集英社新書の一冊として、集英社より2016年11月に刊行されました。本シリーズは、本のあり方から一つの時代の文化や社会の姿を考え、その時代の考え方や世界観・価値観、さらには知の枠組みがどのようなものだったのか、考察する企画とのことです。本書は『日本書紀』を取り上げ、いかなる意図・構想なのか、後世にどのような影響を与えたのか、ということを考察しています。おもに奈良時代・平安時代における『日本書紀』の影響・受容の在り様が取り上げられていますが、中世・近... ...続きを見る

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2017/02/04 00:00
岩崎育夫『世界史の図式』
 これは1月29日分の記事として掲載しておきます。講談社選書メチエの一冊として、講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、世界を大きくアジア・中東・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・ラテンアメリカ・オセアニアに7区分し、一つの地域世界が軍事・経済・文化的に優位となり(優位勢力)、その主導で歴史が展開してきた、との理解のもと、過去2000年の世界史を概観しています。本書は近現代において支配的だったヨーロッパ中心主義の克服を掲げ、ヨーロッパもこれら7地域世界の一つにすぎない、との視点を打ち... ...続きを見る

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2017/01/29 00:00
山岸俊男『「日本人」という、うそ 武士道精神は日本を復活させるか』
 これは1月22日分の記事として掲載しておきます。ちくま文庫の一冊として、筑摩書房より2015年10月に刊行されました。本書の親本『日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点』は、2008年に集英社インターナショナルより刊行されました。本書の内容については、親本の表題の方が本書の表題の方よりもずっと的確に表しているように思えます。もっとも、現代日本社会でより関心を惹きそうな表題は本書の方でしょうから、この改題は仕方のないところでしょうか。 ...続きを見る

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2017/01/22 00:00
玉木俊明『先生も知らない世界史』
 これは1月17日分の記事として掲載しておきます。日経プレミアムシリーズの一冊として、日本経済新聞出版社から2016年10月に刊行されました。定住生活と農耕の始まりから現代までを対象としていますが、冒頭で述べられているように、西洋中心の解説となっています。アジアやアメリカ大陸についてもそれなりに言及されていますが、本書の主題はあくまでも、ヨーロッパが他地域にたいして優位に立った理由の解明なので、そうした観点からのヨーロッパとの比較が多くなっています。 ...続きを見る

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2017/01/17 00:00
尾本恵市『ヒトと文明 狩猟採集民から現代を見る』
 これは1月4日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2016年12月に刊行されました。本書は人類史の概説とも言えますが、著者の問題意識は現代社会への強い危機感にあり、現代人への警鐘と受け止めるべきなのかもしれません。ただ、本書は著者の自伝的性格も強いので、人類史の概説にしても、現代社会の危機の指摘にしても、やや雑然としているというか、体系的ではないところがあります。もっとも、著者の少年時代からの話は研究史にもなっているので、興味深く読み進められました。 ...続きを見る

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2017/01/04 00:00
本村凌二『競馬の世界史 サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年8月に刊行されました。古代ローマ史専攻の著者は競馬ファンでもあり、『優駿』やスポーツ紙などへの寄稿をたびたび読んだことがありますが、最近ではどうなのでしょうか。本書は、基本的にはサラブレッドの近代競馬を扱っていますが、著者の専攻を反映して、ローマ帝国やギリシアなど古代の競馬についても1章割かれています。もっとも、ローマ帝国における競馬とは、基本的には戦車競走でした。 ...続きを見る

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2016/12/23 00:00
立山良司『ユダヤとアメリカ 揺れ動くイスラエル・ロビー』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。アメリカ合衆国におけるユダヤ社会の動向の変遷が、イスラエルとの関係を軸に分析されています。アメリカ合衆国におけるイスラエル・ロビーというかユダヤ・ロビーの大きな影響力は、現代日本社会でもよく知られているでしょう。これが誇張されると、ユダヤ陰謀論になってしまうわけですが、日本社会でも一時期、ユダヤ陰謀論を主張する本がわりとよく売れ、今でもユダヤ陰謀論は一定以上の影響力を有しているかもしれません。もちろん本書の見解は、ユダヤを一... ...続きを見る

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2016/08/11 00:00
宇野重規『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』
 これは8月3日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。広く使われている用語ほど、定義が難しく、見解の分かれることが多い、と私は昔から考えているのですが、保守主義もその一例と言えるかもしれません。本書は、過去に価値を見出し、変化を嫌うような思考は人類社会に普遍的であるものの、それは保守主義とは異なり、保守主義は自覚的な近代思想である、と指摘します。 ...続きを見る

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2016/08/03 00:00
大規模化する社会における宗教の役割
 これは7月31日分の記事として掲載しておきます。大規模化する社会における宗教の役割に関する研究(Purzycki et al., 2016)が公表されました。人間社会は大規模化・複雑化し、血縁関係だけでは成立し得なくなっています。この研究は、経済ゲームおよび民族誌的聞き取りにより、キリスト教・ヒンドゥー教・仏教・アニミズム(精霊崇拝)や祖先崇拝などの地元の伝統を信仰する500人以上を対象に調査を行ないました。その結果、道徳感を課し、懲罰的で、知恵に富む存在と彼らが感じている神を信じる人々は、遠... ...続きを見る

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2016/07/31 00:00
飯倉章『第一次世界大戦史 風刺画とともに見る指導者たち』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年3月に刊行されました。一昨年(2014年)で第一次世界大戦の始まりから100年となり、再来年(2018年)で第一次世界大戦の終結から100年となります。そういうわけで、近年になって、日本社会では第二次世界大戦と比較するとずっと関心が低かったと思われる第一次世界大戦に関する書籍の刊行が活発になってきたように思います。一般向けの第一次世界大戦の通史である本書も、第一次世界大戦から100年という節目を意識しての刊行のようです。 ...続きを見る

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2016/07/09 00:00
石川明人『キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理』
 これは7月3日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年1月に刊行されました。本書は、「愛」と「平和」を唱えるキリスト教徒がなぜ戦争をするのか、という問題を論じています。キリスト教というか、宗教全体に冷ややかな視線を向ける人を、私もこれまで少なからず見てきました。そうした人々にはしばしば、キリスト教徒が主体で、キリスト教が社会に大きな影響力を有していた時代にも、宗教を前面に出した戦争が絶えなかったことから、キリスト教、さらには宗教全体を偽善・役立たずと揶揄... ...続きを見る

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2016/07/03 00:00
細田晴子『カストロとフランコ 冷戦期外交の舞台裏』
 これは6月29日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2016年3月に刊行されました。私が近現代のスペインやキューバについてよく知らないということもあるのですが、カストロとフランコとは私にとって意外な組み合わせで興味深かったので、読んでみました。現代日本社会における一般的印象では、カストロが「左翼の英雄・革命家」であるのたいして、フランコの方は「(第二次世界大戦後も生き延びた)世渡りが上手く(時代遅れの)狡猾なファシスト」であり、両者は対照的な存在として認識されて... ...続きを見る

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2016/06/29 00:00
竹下節子『キリスト教の真実―西洋近代をもたらした宗教思想』
 これは6月24日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2012年4月に刊行されました。現代のグローバル化された「国際社会」における暗黙の「利用規約」にはキリスト教があるので、それを理解しなければならないのに、近代世界の成立にさいして、キリスト教というかカトリックの果たした役割が不当に評価され貶められている、というのが本書の基調となっています。現代日本人向けのカトリック復権・擁護の書だと言ってしまうと、本書を過小評価しているというか、誤読していることになりそうですが... ...続きを見る

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2016/06/24 00:00
関雄二編『古代文明アンデスと西アジア 神殿と権力の生成』
 これは6月15日分の記事として掲載しておきます。朝日選書の一冊として、朝日新聞出版より2015年8月に刊行されました。本書はアンデスと西アジアの事例から、完新世に社会がどのように変容・複雑化していったのか、検証しています。社会が変容・複雑化していった考古学的指標として本書が重視しているのが神殿です。本書にはアンデスと西アジアに関する複数の論考が所収されていますが、じゅうらいの経済を重視した唯物史観的な神殿・都市形成論を見直そうとする方針が貫かれています。じゅうらいの史観とは、農耕が始まり余剰生... ...続きを見る

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2016/06/15 00:00
David Christian『ビッグヒストリー入門 科学の力で読み解く世界史』
 デビッド=クリスチャン(David Christian)著、渡辺政隆訳で、WAVE出版から2015年10月に刊行されました。原書初版の刊行は2007年で、本書は2015年刊行の第5版の翻訳とのことです。本書の特徴は、宇宙の始まりから叙述を始めていることです。さすがに地球の誕生から生命の誕生、さらには人類の出現までは簡潔な叙述になっていますが、人類の狩猟採集時代は予想以上の分量でした。また、農耕開始から文字の使用が始まる前までの時代にもかなりの分量が割かれていますから、いわゆる先史時代の比重がか... ...続きを見る

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2016/05/28 00:00
現代パナマ人に見られるヨーロッパ系の遺伝的痕跡
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。現代パナマ人のY染色体に関する研究(Grugni et al., 2015)が報道されました。15世紀末以降、アメリカ大陸にはヨーロッパから多数の人々が移住してきて、大きな影響を及ぼしました。これがかなりのところ侵略的であり、アメリカ大陸の先住民集団に大打撃を与えたことはよく知られています。パナマも含まれるラテンアメリカにおいては、ヨーロッパ系でもおもにスペイン系が移住してきました。こうしたスペインからの「征服者(コンキスタドール)」は単身の男性... ...続きを見る

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2016/02/25 00:00
玉木俊明『ヨーロッパ覇権史』
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2015年10月に刊行されました。本書の問題意識の前提として、アジアの高い経済成長とヨーロッパの混迷が見られる現代社会においても、ヨーロッパ発の規範は依然として強く、現代人は「ヨーロッパ化した世界」に生きている、との認識があります。さらに、本書では明言されていませんが、「未開拓の土地」を前提として持続的な経済成長を志向するヨーロッパ発の近代世界システムは行き詰っており、新たなシステムが形成されるであろうものの、... ...続きを見る

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2016/01/31 00:00
呉座勇一『一揆の原理』
 これは1月24日分の記事として掲載しておきます。ちくま学芸文庫の一冊として、筑摩書房より2015年12月に刊行されました。本書の親本『一揆の原理 日本中世の一揆から現代のSNSまで』は、2012年に洋泉社より刊行されました。本書は日本史上における一揆がどのような原理に基づいているのか検証し、じゅうらいの一揆像の見直しを提言しています。じゅうらいの一揆像とは、たとえば戦後日本社会でもてはやされた階級闘争史観に基づくものです。一揆とは反体制・革命運動である、といったものです。一方、1970年代後半... ...続きを見る

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2016/01/24 00:00
Daniel E. Lieberman『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下
 ダニエル=リーバーマン(Daniel E. Lieberman)著、塩原通緒訳で、早川書房より2015年9月に刊行されました。原書の刊行は2013年です。人類は現在の主要な環境にじゅうぶん適応していたわけではなく(ミスマッチ)、それが腰痛や糖尿病など以前にはあまり(もしくはほとんど)見られなかった現代人のさまざまな健康問題を惹起している、というのが本書の基本的な視点です。交通機関の発達・椅子に長時間座ること・糖分などの過剰摂取(栄養過多)といった、多くの現代人にとっての環境は、人類史のうえでご... ...続きを見る

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2015/10/28 00:26
篠田謙一『DNAで語る日本人起源論』
 岩波現代全書の一冊として、岩波書店より2015年9月に刊行されました。本書は遺伝学の研究成果に基づく日本人形成論です。本書の特徴は、一般読者を想定した丁寧な解説です。遺伝学に基づく人類進化の研究に関する基本的な事柄が丁寧に解説されていますし、現時点での研究成果の限界も言及されているので、良心的だと思います。この点は、8年前の著者の一般向け著書(関連記事)と同様です。本書は、その後大きく進展した人類進化に関する遺伝学的な諸研究成果を取り入れ、体系的に読める遺伝学的な日本人形成論としては最新のもの... ...続きを見る

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2015/10/13 00:00
大塚柳太郎『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』
 これは9月28日分の記事として掲載しておきます。新潮選書の一冊として、新潮社から2015年7月に刊行されました。本書は、この20万年間の人口史を検証しています。人口とはいっても、対象となる人類は基本的に現生人類(Homo sapiens)のみです。本書はこの20万年間を4段階に区分しています。第1段階は、人類がまだ起源地のアフリカに留まっていた期間です。第2段階は、人類がアフリカから世界へと拡散していった期間です。125000年前頃のレヴァントへの進出にも言及されていますが、本格的な世界への拡... ...続きを見る

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2015/09/28 00:00
『第二次世界大戦―あんな話こんな話』
 文春文庫の一冊として、ジェイムズ=ダニガン(James F. Dunnigan)、アルバート=ノーフィ(Albert A. Nofi)著、大貫昇訳で、文藝春秋社より1995年6月に刊行されました。第二次世界大戦にまつわるさまざまな話題が取り上げられていますが、戦前や戦後の話も多少触れられています。米国海軍ではアイスクリームがたいへん人気で行列ができるくらいだったとか、米軍第3艦隊司令長官のハルゼー(William Frederick Halsey)はその行列でしっかりと順番を守っており、上官優... ...続きを見る

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2015/08/28 00:00
火山性変動の年代の再較正
 火山性変動の年代の再較正についての研究(Sigl et al., 2015)が公表されました。火山噴火の気候への影響は知られていますが、1年の分解能で正確に年代決定された年輪の年代と、氷床コアに記録された火山性変動の年代を一致させるのは難しいとされてきました。この研究は、775年にヨーロッパ全域の樹木の年輪に、独特な大気中の炭素14の指紋を残した宇宙線異常との関連がはっきりしている、大気中のベリリウム10の急上昇を、グリーンランドと南極から得られた氷床コアで同じように観察されるベリリウム10の... ...続きを見る

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2015/08/04 00:00
セイロン島における人類の移住史
 セイロン島における人類の移住史についての研究(Ranaweera et al., 2014)が公表されました。セイロン島は現在では全土がスリランカ民主社会主義共和国の領土となっています。セイロン島の主要な民族は、ヴェッダ人・高地および低地シンハラ人・タミル人(スリランカタミル人およびインドタミル人)です。これら各民族のセイロン島への定住の経緯や相互の近縁関係については、これまでよく分かっていませんでした。この研究は、スリランカの各民族集団を代表する271人について、ミトコンドリアDNAの超可変... ...続きを見る

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2015/07/10 00:00
中東の現代人集団の遺伝的多様性
 中東の現代人集団の遺伝的多様性についての研究(Yang et al., 2014)が公表されました。この研究は、中東の代表的な2集団であるアラビア人集団・イラン人集団について、ゲノムワイドな一塩基多型(SNP)データを作成し、地球規模で比較しました。その結果、アラビア人集団・イラン人集団ともに、他の非アフリカ集団よりも全体的に高い遺伝的多様性を示すことが明らかになりました。これは、人間の移住による遺伝的混合の結果と考えられます。一方で、アラビア人集団・イラン人集団ともに、長いホモ接合性SNPの... ...続きを見る

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2015/06/21 00:00
片山一道『骨が語る日本人の歴史』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2015年5月に刊行されました。本書は「日本人」の形成過程を人骨から検証しています。日本列島における旧石器時代(更新世)の人骨はきわめて少なく、保存状況が良好な港川人にしても、「縄文人」と類似しているという以前の通説とは異なり、「縄文人」とは似ておらず、その祖先集団ではなかっただろう、との見解が近年では有力となっています。本書は更新世の日本列島の人類の起源に関しては慎重な姿勢を示しており、この時代の日本列島は「吹きだまり」だったのではないか、との見解を提示し... ...続きを見る

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2015/06/05 00:00
アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成
 アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成に関する研究(Montinaro et al., 2015)が公表されました。この研究は、アメリカ大陸・ヨーロッパ・アフリカのさまざまな集団の大規模な遺伝学データセットに高分解能の祖先識別法を適用し、アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成を分析しました。その結果、諸記録から歴史学などで明らかにされていた人類集団の移動が遺伝学的に裏づけられたり、これまでよく知られていなかった人類集団の移住が明らかになったりしました。 ...続きを見る

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2015/03/27 00:00
イギリス人集団の人口史
 イギリス人集団の人口史に関する研究(Leslie et al., 2015)が公表されました。この研究は、イギリスの広範な地域の2000人の遺伝学的データの分析から、イギリスにおいて遺伝的クラスターと地理的分布とがきわめてよく一致することを明らかにしています。この研究によると、イギリス南東部では、アングロ・サクソン系移住者による遺伝的寄与は半分以下であり、中石器時代以降、ローマ帝国時代以前の時期にヨーロッパ大陸からの集団移動があったことを示唆している、とのことです。また、非サクソン地域には一般... ...続きを見る

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2015/03/20 00:00
木畑洋一『二〇世紀の歴史』
 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2014年9月に刊行されました。本書は、ホブズボーム(Eric John Ernest Hobsbawm)氏の提唱した有名な「短い20世紀」論を意識しつつ、「長い20世紀」という視点から20世紀を把握しています。具体的には、1870年代から1990年代初頭までが対象となっています。帝国主義世界体制の構造が確立し、それが崩壊していった時代を「長い20世紀」として把握しよう、というのが本書の視点です。その終点の象徴が、南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の... ...続きを見る

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2015/03/17 00:00
Steven Pinker『暴力の人類史』上・下
 スティーブン=ピンカー(Steven Pinker)著、幾島幸子・塩原通緒訳で、青土社より2015年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、広範な分野の研究成果と膨大なデータを参照し、人類史において暴力が減少する傾向にあることを指摘して、その傾向をもたらした要因について検証しています。大部の本書で提示された論点は多岐に亘り、その洞察は深いと言えるでしょう。著者の学識と努力には敬意を払わねばならず、人類の暴力について考察するにさいして、本書は長きにわたって必読文献となり、後には... ...続きを見る

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2015/02/10 00:00
畜乳の消費を示す歯の記録
 畜乳の消費を示す直接的証拠となる歯の記録についての研究(Warinner et al., 2014)が公表されました。この研究は、歯石の中に保存されていた乳清タンパク質であるβラクトグロブリン(BLG)が、畜乳の消費の直接的証拠となり得ることを明らかにしました。BLGにより牛・羊・山羊の乳の消費を区別できるそうです。これは、さまざまな人間集団における乳製品の消費パターンや、乳製品の消費行動の進化過程を調べるために利用できるのではないか、とされています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引... ...続きを見る

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2014/12/03 00:00
小島毅『増補 靖国史観 日本思想を読み直す−幕末維新という深淵』第2刷
 ちくま学芸文庫の一冊として、筑摩書房より2014年8月に刊行されました。第1刷の刊行は2014年7月です。本書は2007年にちくま新書の一冊として筑摩書房より刊行された『靖国史観−幕末維新という深淵』の増補となります。同書については以前このブログで取り上げました(関連記事)。本書の第1章〜第3章は同書の修正で、第4章は書き下ろしとなります。解説は気鋭の歴史学者で論壇においてもよく見かける與那覇潤氏です。 ...続きを見る

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2014/12/02 00:00
松本佐保『バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘』再版
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2013年7月に刊行されました。初版の刊行は2013年6月です。バチカンについては、学術系の一般書よりも娯楽作品で接することの方がずっと多く、また近現代のバチカンについては、さまざまな雑誌・書籍などで断片的に知っているだけであり、まとまった本を読んだことがなかったので、本書を読んでみました。 ...続きを見る

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2014/11/28 00:00
山田雄司『怨霊とは何か 菅原道真・平将門・崇徳院』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2014年8月に刊行されました。本書は怨霊について、相手側から弾圧されたことなどにより追い込まれて非業の死を遂げ、その後に充分な供養がなされなかった霊魂が、死後に自己の宿願を叶えるために、自分を追い落とした人物に祟って出たり、社会全体に災害を発生させたりした、と把握しています。怨霊的な観念は文献で確認できる前から存在したのであり、国家と関わる形で怨霊が明確に登場するのは長屋王からだ、と本書は指摘します。 ...続きを見る

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2014/11/04 00:00
Azar Gat『文明と戦争』上・下(再版)
 今日はもう1本掲載します。アザー=ガット(Azar Gat)著、石津朋之・永末聡・山本文史監訳、歴史と戦争研究会訳で、中央公論新社より2012年9月に刊行されました。初版の刊行は2012年8月です。原書の刊行は2006年です。本書は、歴史学・考古学・政治学・進化学など広範な見地から戦争について考察し、奥深い洞察を提示しています。著者の広い学識・視野と多大な努力には敬意を払わなければならないでしょう。戦争について考えるにあたって、本書は必読と言えるのではないかと思います。 ...続きを見る

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2014/10/08 00:00
渡部昇一、本村凌二『国家の盛衰─3000年の歴史に学ぶ』
 祥伝社新書の一冊として、祥伝社より2014年9月に刊行されました。本書は、序章で国家の繁栄と覇権の条件について包括的に述べた後、第1章〜第6章にかけて各国を個別に取り上げ、その盛衰を論じます。第1章はローマ(世界帝国の典型)、第2章はスペインとオランダ(海上覇権と貿易)、第3章はイギリス(工業技術による産業立国)、第4章はアメリカ(実験国家、人口国家の活力)、第5章は中国(覇権国家になりうるか)、第6章は日本(これから歩むべき道)です。各章の項目単位で二人の著者が相互に見解を述べていく対話形式... ...続きを見る

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2014/09/23 00:00
2013年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第123編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2013年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2013年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2014/09/12 00:00
カミヘと上昇するヒト 「ヒトガミ信仰」を探る
 今月4日付の読売新聞朝刊の文化面に、表題の佐藤弘夫氏の解説が掲載されていました。佐藤氏には『神国日本』(ちくま新書)という一般向け著書があります。同書を読んだのは8年前のことで、私は大いに感銘を受けました。ただ、ブログを始める前のことで、サイトも長い間実質的には開店休業状態だったこともあり、同書について単独の記事を掲載することはありませんでした。すでに同書を何度か再読してきましたが、いつか、改めて精読したうえで、このブログで詳しく取り上げよう、と考えています。 ...続きを見る

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2014/08/08 00:00
平野聡『「反日」中国の文明史』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2014年7月に刊行されました。著者の他の著作では、『清帝国とチベット問題』(関連記事)と『興亡の世界史17 大清帝国と中華の混迷』(関連記事)を以前このブログにて取り上げています。本書は、政治思想と中国知識層の自己認識を中心に、中国を文明として把握してその歴史を概観し、中国の現状と日本との激しい対立の要因とを歴史的に探ろうとします。おもな対象となるのは近代以降(アヘン戦争以降)ですが、前近代にもそれなりの分量が割かれています。 ...続きを見る

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2014/07/23 00:00
『週刊新発見!日本の歴史』の記事のまとめ
 『週刊新発見!日本の歴史』全50号が完結となりましたので、記事をまとめますが、刊行順ではなく年代順で並べることにしました。 ...続きを見る

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2014/06/20 00:00
本村凌二『世界史の叡智 悪役・名脇役篇 辣腕、無私、洞察力の51人に学ぶ』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2014年5月に刊行されました。歴史上の人物を取り上げて、その叡智を読者に紹介するという趣旨で産経新聞に連載されていた「世界史の遺風」の書籍化となります。この連載は2年間続き、前半が昨年刊行された『世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』(関連記事)として、後半が本書として書籍化されたわけです。なお、『世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』と同じく、本書も書籍化にあたり加筆されているそうです。 ...続きを見る

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2014/06/15 00:00
歴史のテーマを細分化
 歴史のテーマの記事が500を超え、古い記事がテーマ別一覧で表示されなくなったので、歴史のテーマを細分化することにしました。とりあえず、日本史原始〜古代・日本史中世・日本史近世・日本史近現代・アフロユーラシア史前近代・アフロユーラシア史近現代・オセアニアおよびアメリカ史・歴史総合に分類しておきます。日本史原始〜古代・日本史中世・日本史近世・日本史近現代・アフロユーラシア史前近代・アフロユーラシア史近現代・オセアニアおよびアメリカ史のどれに分類するか、判断の難しい記事は歴史総合に分類します。 ... ...続きを見る

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2014/03/29 00:35
ジャック・ル=ゴフ著、池田健二・菅沼潤訳『中世の身体』
 本日は3本掲載します(その二)。藤原書店より2006年6月に刊行されました。『<子供>の誕生』の背景をさらに理解すべく読もうと思った次第です。 http://sicambre.at.webry.info/201403/article_24.html ...続きを見る

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2014/03/21 00:00
ふざけた発言
 今日はもう1本掲載します。過去にネットで明かしたことがありますが、私は酒が心底嫌いで(煙草もパチンコも)、酒を飲みたいとは全く思いません。しかし、「2011 年度の国内酒類市場は、メーカー出荷金額ベースで3 兆6,300 億円(前年度比98.1%)であった」とのことですから(出典)、その経済規模からして、残念ながら日本国内で禁酒令を施行するのはとても無理でしょう。 ...続きを見る

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2014/03/07 00:00
ダボス会議での安倍首相の発言続報
 まだ日付は変わっていないのですが、1月26日分の記事として掲載しておきます。ダボス会議での安倍首相の発言を昨日取り上げました(関連記事)。その後、安倍首相の該当発言に関する朝日新聞の報道を見つけました。この報道では、安倍首相の該当発言が以下のように引用されています。 ...続きを見る

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2014/01/26 00:00
ダボス会議での安倍首相の発言
 まだ日付は変わっていないのですが、1月25日分の記事として3本掲載しておきます(その三)。ダボス会議での安倍首相の発言が英語圏の報道機関で取り上げられています。日本でも、産経新聞などが取り上げられています。産経新聞によると、 ...続きを見る

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2014/01/25 00:00
神功皇后は13世紀のモンゴル襲来時に作り出された架空の人物?
 まだ日付は変わっていないのですが、1月13日分の記事として3本掲載しておきます(その三)。三韓征伐・任那日本府説は「新羅コンプレックス」の産物とする、ヨン=ミンス東北アジア歴史財団研究委員の見解が報道されました。韓国古代史研究において『日本書紀』は不可欠ではあるものの、日本の新羅にたいする劣等感から『日本書紀』は歪曲されているので、その取扱いが難しい、という主旨の見解です。ヨン氏ら日本史研究者7人により韓国で全3巻の『訳註日本書紀』が刊行されたことを機に、朝鮮日報の記者がヨン氏にインタビューし... ...続きを見る

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2014/01/13 00:00
政治的分類を固定的に把握しすぎる
 典型的なのは、外国に対する姿勢に基づく分類です。たとえば、自国にとってのある外国を仮にA国とすると、A国寄りの言動の人や政権や政党を親A派と分類することは珍しくありません。どうも現代日本社会(に限らないのでしょうが)では、この親**派という分類を固定的に把握する人が少なくないように思います。親A派の政治家である甲は実はA国出身だ、というガセネタをネットで見かけることは少なくありませんが、これも政治的分類をあまりにも固定的に把握しすぎることから生まれたものなのでしょう。 ...続きを見る

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2014/01/04 00:00
一神教をめぐる俗論について
 まだ日付は変わっていないのですが、12月10日分の記事として掲載しておきます。以前このブログで述べたことがありますが、私は小さい頃からのアンチキリスト教で、偏見を正さなければ、と自分でも思うことがしばしばあります(関連記事)。私は聖人君子とは程遠い人間であり、未熟なところが多いので、自分の見解に有利だと思われる情報にはつい食いつきがよくなります。多くの人にはそうした傾向があるのでしょうが、私は平均以上かもしれません。 ...続きを見る

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2013/12/10 00:00
小学館『日本の歴史』全16巻の記事のまとめ
 まだ日付は変わっていないのですが、11月4日分の記事として掲載しておきます。今更ではありますが、2007年11月〜2009年5月にかけて刊行された小学館『日本の歴史』全16巻の記事をまとめておきます。 ...続きを見る

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2013/11/04 00:00
逆張りがしたいだけ
 これは10月30日分の記事として掲載しておきます。興味深い記事を読みました。私のような単純な人間は、優れた業績を残している歴史学の研究者が残念な発言をすることもあるし、歴史修正主義や(それと密接に関連している)差別主義の批判に熱心な人が無自覚に差別主義的な発言をすることもある、という素朴・単純な常識論につい落ち着いてしまいます。研究者がネットで専門から外れる分野にて問題のある発言をしても、それが専門分野における能力・業績を直ちに否定できるものではない、という素朴な常識論を忘れてしまい属人批判に... ...続きを見る

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2013/10/30 00:00
2012年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第122編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2012年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2012年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2013/10/25 00:00
本村凌二『世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2013年6月に刊行されました。歴史上の人物を取り上げて、その叡智を読者に紹介するという趣旨で、元々は産経新聞の「世界史の遺風」という連載だったそうですが、新書化にあたり、加筆されているそうです。新書一冊で51人の紹介ということで、当然のことながら1人あたりの分量は4ページと少なく、充分に紹介できるわけではないので、全体的に薄くなっている感は否めません。これは自室で気合を入れて読む本ではないなと思い、電車の中と外食時の待ち時間で読み終えました。読んで失敗だ... ...続きを見る

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2013/09/06 00:00
中国との関係が極めてスムーズにいったという歴史は過去にない
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。今月5日、麻生副首相兼財務相がニューデリー市内の講演で、「インドは陸上で中国と国境を接し、日本は海上で接触を持っているが、われわれは過去1500年以上の長きにわたり、中国との関係が極めてスムーズにいったという歴史は過去にない」と述べた、と報道 されました。安全保障や海洋分野での日本とインドの関係を強化すべきではないか、との質問に対する答えだったそうですが、そもそも、きわめてスムーズな関係とはどのようなものなのかとか、1500年という長期的な歴史問題... ...続きを見る

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2013/05/07 00:00
『週刊新発見!日本の歴史』
 まだ日付は変わっていないのですが、5月5日分の記事として掲載しておきます。郵便受けに広告が入っていたので知ったのですが、来月より朝日新聞出版から『週刊新発見!日本の歴史』が刊行されるそうです。 http://publications.asahi.com/rekishi/ ...続きを見る

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2013/05/05 00:00
伊藤聡『神道とは何か 神と仏の日本史』
 まだ日付は変わっていないのですが、3月31日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年4月に刊行されました。本書では古代から近世にいたる神道の形成過程が叙述されていますが、著者の専攻ということもあってか、おもに扱われているのは中世です。近年では、日本思想史についての専門家による一般向け書籍のほとんどで、仏教伝来前より日本列島で連綿と続いてきた神道、という一昔前には一般層によく浸透していた俗説(今でもそれなりに影響力がある、と言えるかもしれませんが)が批判さ... ...続きを見る

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2013/03/31 00:00
杉晴夫『人類はなぜ短期間で進化できたのか ラマルク説で読み解く』
 まだ日付は変わっていないのですが、10月13日分の記事として掲載しておきます。平凡社新書の一冊として平凡社より2012年7月に刊行されました。「ラマルク説で読み解く」という副題を見た時点でかなりのていど覚悟はしていたのですが、大外れの一冊でした。新書でそれほど文字数が多くないのに、途中で挫折しそうになったくらいで、何度か中断しつつ、読み始めてからかなりの時間が経過してやっと読み終えられました。この本をなぜ購入してしまったのか、購入時の心理状態が自分でもよく思い出せないのですが、表題に見える人類... ...続きを見る

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2012/10/13 00:00
2011年「回顧と展望」の記事のまとめ
 まだ日付は変わっていないのですが、9月15日分の記事として掲載しておきます。『史学雑誌』第121編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2011年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2011年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2012/09/15 00:00
人種・民族の違いと人種差別
 「人種と民族の違いを知っていますか?」という表題のブログ記事が話題になっていたので読みました。「gingin1234」氏の ...続きを見る

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2012/08/23 20:19
オリンピックの思い出
 私がオリンピックへの関心を失ったのは2004年のアテネオリンピック前のことで、2006年6月に始めたこのブログでは、東京都のオリンピック誘致運動に大反対であることを述べた記事以外では、ほとんどオリンピックについて触れていません。しかし、日本ではニュースも一般紙もこれまでオリンピックを大々的に取り上げてきており、それは開催中のロンドンオリンピックでも変わらないので、正直なところうんざりしています。もっとも、日本社会では依然としてオリンピックへの関心が高いようなので、仕方のないところがあるとは思い... ...続きを見る

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2012/08/04 00:00
日本社会における反ユダヤ主義補足
 先日、日本社会における反ユダヤ主義と五島勉氏についての記事をこのブログに掲載しました。 http://sicambre.at.webry.info/201207/article_11.html ...続きを見る

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2012/07/19 00:00
日本社会における反ユダヤ主義と五島勉氏
 昨日このブログで取り上げた『イスラエルとは何か』では、伝統的なユダヤ教解釈がシオニズムに批判的であることが強調されていました。 http://sicambre.at.webry.info/201207/article_10.html ...続きを見る

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2012/07/11 00:00
ヤコヴ=M=ラブキン著、菅野賢治訳 『イスラエルとは何か』
 平凡社新書の一冊として平凡社より2012年6月に刊行されました。本書は、著者の以前の著作である『トーラーの名において─シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史』(平凡社、2010年、本書と同じく菅野賢治訳)のフランス語オリジナル原稿を大幅に圧縮し、新たに4章を加えた一般向け書籍とのことです。そのため本書は、ユダヤ教の側からのシオニズムにたいする批判に重点が置かれており、シオニズムが伝統的なユダヤ教およびその解釈の延長線上にあるのではなく、むしろユダヤ教を否定して成立・発展してきたのであり、伝統的... ...続きを見る

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2012/07/10 06:28
川島浩平『人種とスポーツ 黒人は本当に「速く」「強い」のか』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年5月に刊行されました。黒人が先天(遺伝)的に運動能力に優れているという言説は、現代日本社会でもかなり浸透しているように思われます。本書は、アメリカ合衆国スポーツ史の検証を通じて、この黒人運動能力先天的優越説が、20世紀、とくに1930年代以降に顕著になっていったことと、プロ・アマを問わず黒人のスポーツでの活躍が、経済・社会資本・政治的制度・社会思潮に大きく影響されていたことを示しています。おもに分析対象となるのは、野球・アメリカンフットボール・バ... ...続きを見る

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2012/06/13 00:00
トマトのゲノム解読
 トマトのゲノム解読についての研究(The Tomato Genome Consortium., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、栽培種や家畜種のボトルネックはありそうなことではあります。トマトは現在、原産地の南アメリカ大陸のみならず、他の多くの地域で食材として利用されており、それらの中には郷土料理としてすっかり定着しているものも多くあります。今ではトマトが南アメリカ大陸原産であることはあまり意識されていないでしょうが、アメリカ大陸以外の地域では、... ...続きを見る

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2012/06/01 00:00
東南アジアの「反日」
 以前より、一度ブログの記事としてまとめようと考えていたのですが、優先順位が低く、また私が怠惰なこともあって、これまでこのブログでは言及しなかった問題があります。それは、現代日本社会では親日傾向の強い地域と思われているだろう東南アジアにおける、かつての反日という問題です。この問題について、以下のブログ記事を読んだので、少しだけ雑感を述べることにします。 http://d.hatena.ne.jp/rekihiko5/20120521/1337604393 ...続きを見る

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2012/05/23 18:09
ロナルド=H=フリッツェ著、尾澤和幸訳『捏造される歴史』
 原書房より2012年2月に刊行されました。本書では、さまざまな擬似歴史について、その主張の変遷・背景・影響力・間違っている点などが、ひじょうに詳しく述べられており、いわば擬似歴史の研究史・史学史(と言うと語弊がありそうですが)になっています。こうした擬似歴史のなかには、私にとって馴染み深いものもありましたが、地域としてはおもにアメリカ合衆国が対象となっているので、私のよく知らないものもありました。こうした擬似歴史は、そもそも政治的意図から捏造されることも少なからずあるため、政治的に影響を及ぼす... ...続きを見る

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2012/04/11 04:29
NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第4集 そしてお金が生まれた』
 シリーズの最終回となる第4集が放送されました。貨幣が人間社会の在り様を大きく変えたのは確かでしょうが、「なぜ人間になれたのか」と題しての特集だけに、お金を題材としたのは適切ではなかったように思います。現生人類(ホモ=サピエンス)の歴史において、貨幣が用いられなかった時代のほうが圧倒的に長く、つい最近まで貨幣が重要な役割を担っていなかった地域も少なからずあり、今でも、貨幣とほとんど無縁の人間集団もあるようです。まさか、そうした人間集団が人間ではないと言えないでしょうし、じっさい番組でも、そのよう... ...続きを見る

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2012/02/28 00:00
『天皇の歴史』全10巻完結
 2011年11月刊行の『天皇の歴史10 天皇と芸能』をもって、『天皇の歴史』全10巻が完結となりました。ここでは、各巻を紹介した記事をまとめて記載します。 ...続きを見る

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2011/12/14 06:51
渡部泰明、阿部泰郎、鈴木健一、松澤克行『天皇の歴史10 天皇と芸能』
 『天皇の歴史』全10巻の第10巻として、2011年11月に講談社より刊行されました。古代から近世までの天皇と芸能の関係が、複数の執筆者により叙述されています。ここでの芸能は、現代の言葉では文化と置き換えるのがもっとも適しているように思いますが、本書では和歌に偏重した感が否めず、実質的には天皇を中心とした宮廷和歌史になっているように思います。正直なところ、和歌にはあまり興味のない私には、やや退屈な内容でしたが、以下に引用する第四部の最後の指摘は、中世後期〜近世中期にあっても、朝廷の役割・主体性を... ...続きを見る

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2011/12/08 00:00
羽田正『新しい世界史へ―地球市民のための構想』(岩波書店)
 岩波新書(赤版)の一冊として、2011年11月に刊行されました。著者の以前の著書『興亡の世界史15 東インド会社とアジアの海』(講談社、2007年) http://sicambre.at.webry.info/200803/article_15.html がたいへん面白かったので、期待して読み始めたのですが、『興亡の世界史15 東インド会社とアジアの海』とは異なり、具体的な史実の描写はほとんどなく、抽象的・理念的な内容ではあったものの、期待通りに面白く読み進められました。 ...続きを見る

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2011/12/04 00:00
「文化強国」を目指す中国の今後
 先日、このブログで、中華人民共和国が「文化強国」を目指す方針を明らかにしたことを記事にしましたが、 http://sicambre.at.webry.info/201110/article_20.html 以下の記事は、その補足です。 ...続きを見る

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2011/10/27 00:00
「文化強国」を目指す中国
 読売・朝日など、今月16日付の日本の一般紙で報道されていましたが、今月15日に北京で始まった、中国共産党の第17期中央委員会第6回総会(6中総会)で、「文化強国」を目指す国家戦略が掲げられたそうです。国内総生産で世界第2位となった反面、立ち遅れた精神文明を復興させ、世界市場で劣勢なソフトパワーを強化する、とのことです。中国共産党の中央機関紙である人民日報には、「文化強国への中国ロード」と題した論説が今月15日付で掲載されたそうですが、その論説では、「文化面で優勢に立てなければ、国家の文化主権も... ...続きを見る

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2011/10/20 00:00
小倉慈司、山口輝臣『天皇の歴史09 天皇と宗教』
 『天皇の歴史』全10巻の第9巻として、2011年9月に講談社より刊行されました。『天皇の歴史』は、8巻までが通史で、この9巻と次に刊行される最終巻の10巻は、特定の主題からの天皇の歴史が叙述されることになります。この9巻は、宗教と天皇の関係について、古代から現代まで概観されています。当然のことながら、天皇と宗教との関係については、古代から現代まで様々に変遷してきているわけで、宗教との関係に限定しても、天皇の「本質」を探るのは容易ではありませんが、そもそも、通時的な「本質」を見出そうとする試み自... ...続きを見る

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2011/10/09 00:00
『1492 コロンブス 逆転の世界史』
 フェリペ・フェルナンデス=アルメスト著、関口篤訳で、2010年11月に青土社より刊行されました。原書の刊行は2009年です。本書は、「遅れた」ヨーロッパが「進んだ」アジアを逆転し、ヨーロッパが主導権を握る、一体化した世界が到来する契機として、クリストバル=コロン(コロンブス)がアメリカ大陸圏に到達し、スペインがグラナダを攻略した1492年に見出し、その前後の世界各地の様相を描いています。 ...続きを見る

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2011/10/04 00:07
2010年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第120編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2010年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2010年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2011/09/08 00:00
小林よしのり、有本香『はじめての支那論』
 幻冬舎現代新書の一冊として、幻冬舎より2011年7月に刊行されました。書店で見かけて、どんなものなのだろうかと、怖いもの見たさで購入して読みました。本書で云うところの支那がどう定義されるのか、明確に述べられているわけではないのですが、おおむね、漢人の居住地域で漢字文化の圧倒的に優勢な地域と考えてよさそうです。「支那論」と題しているので、支那という呼称をめぐる議論についてそれなりに説明・議論があるのかな、と予想していたのですが、意外にあっさりとしていました。 ...続きを見る

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2011/08/10 00:00
井上寛司『「神道」の虚像と実像』
 講談社現代新書の一冊として、講談社より2011年6月に刊行されました。柳田国男に代表される、「神道(シントウ)は、太古の昔から現在にいたるまで連綿と続く、自然発生的な日本固有の民族的宗教である」とする、現代日本では根強く支持されている見解を、超歴史的な見解として徹底的に批判し、神道という言葉の読みの変遷(ジンドウ・シンドウ→シントウ)などを踏まえて、神道の具体的様相と歴史的変遷をたどった、なかなかの力作だと思います。近代の国家神道の成立過程とその評価をはじめとして、私の見識では本書の主張の是非... ...続きを見る

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2011/07/22 00:00
日本・中華・ヨーロッパ中心主義
 現在の私の主要な関心として、私も含めて日本語文化圏で生まれ育った現代人が陥りやすいだろう、日本・中華・ヨーロッパ中心主義の克服があり、これは生涯にわたる私の目標になるでしょう。これらと類似したものとして、朝鮮中心主義も気になるところですが、日本においては現在も今後も、日本・中華・ヨーロッパ中心主義と比較して、内在化の度合いが低いと思うので、影響力は小さいままでしょうから、さほど強く意識しているわけではありません。もっとも、日本古代史では朝鮮中心主義の影響が強すぎる、と糾弾する人は、現代日本にお... ...続きを見る

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2011/06/11 04:54
中華民族なる概念について
 そもそも、中華民族なる概念はどう定義されているのか、という問題になるのですが、平野聡『清帝国とチベット問題』(名古屋大学出版会、2004年)P26〜27では、以下のように説明されています。 ...続きを見る

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2011/05/15 00:00
元代以降の日本による中国軽視?
 今月20日に、ある中国人ジャーナリストが、ブログサイト・新浪ブログで「元代以降の日本による中国軽視」の原因を分析した、と報道されました。 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=50870  この報道で引用されているブログの記事を見つけられなかったので、「ある中国人ジャーナリスト」が本当にこの報道で紹介されているような趣旨の記事を公開したのか、私の力不足・努力不足もあって確証は得られませんでした。しかし、レコードチャイナに掲載された... ...続きを見る

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2011/04/28 00:00
杉山正明『ユーラシアの東西』
 日本経済新聞出版社より2010年12月に刊行されました。一般向けの歴史書というよりは随筆集で、ロシアを中心として、時事問題にもかなりの分量が割かれています。内容はというと、相変わらずの杉山節で、杉山氏の他の著書を読んでいれば、とくに目新しいところはないのですが、いぜんとしてヨーロッパ中心史観と中華中心史観の根強い日本では、杉山氏の提言が必要なのだろう、とは思います。とくに、中華人民共和国が今後も経済・軍事・政治大国として影響力を強めていった場合、日本でも中国へのさらなる迎合により中華中心史観(... ...続きを見る

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2011/04/24 00:00
蒙古と呼ばないで
 昨日付の東京新聞に、蒙古と呼ばないで、と題した記事が掲載されていました。蒙古という文字には侮蔑的な意味合いが込められているので、カタカナという表音文字のある日本では使用しないでもらいたい、とのモンゴル人の意見が紹介されていました。こうしたこともあって、日本でも、日本モンゴル協会が蒙古という表記を使用しないよう呼びかけているそうで、そういえば、近年の印刷物で、史料の引用以外で蒙古という表記を見かけることは少ないように思います。これはもっともなことであり、日本が蒙古という表記にこだわる歴史的根拠は... ...続きを見る

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2011/02/24 00:00
小島毅『江と戦国と大河 日本史を「外」から問い直す』
 光文社新書の一冊として、光文社より2011年1月に刊行されました。小島氏の著書については、これまでにもこのブログで、『靖国史観−幕末維新という深淵』 http://sicambre.at.webry.info/200803/article_29.html 『足利義満 消された日本国王』 http://sicambre.at.webry.info/200803/article_30.html 『織田信長 最後の茶会』 http://sicambre.at.webry.info/2009... ...続きを見る

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2011/02/17 00:00
愛国先生の夫婦別姓についての歴史認識
 先週、通称愛国先生の平安時代論をこのブログで取り上げたところ、 http://sicambre.at.webry.info/201101/article_13.html 愛国先生からトラックバックが送られてきました。 http://sinnnoaikokuhosyu.seesaa.net/article/180687644.html ...続きを見る

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2011/01/18 00:00
豊臣秀吉の人気の低下
 現代の日本では、豊臣秀吉の人気が以前よりも低下したのではないか、と指摘した記事を読みました。 http://www.excite.co.jp/News/bit/E1289920375773.html ...続きを見る

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2010/11/20 00:00
『天皇の歴史』全10巻
 書店で偶然に、『天皇の歴史』全10巻が2010年11月から講談社より刊行されることを知りました。 http://shop.kodansha.jp/bc/books/tennou/ ...続きを見る

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2010/11/18 00:00
2009年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第119編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2009年の歴史学界を扱っています。ここで掲載された面白そうな論文・本を時代・地域別にこのブログで取り上げてきましたが、とりあえず2009年分については整理が終わったので、面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2010/10/06 06:35
2008年「回顧と展望」の記事のまとめ
 『史学雑誌』第119編5号は恒例の「回顧と展望」の号で、2009年の歴史学界を扱っており、最近になってやっと入手し、読み始めたところです。そこで、2009年の歴史学界を扱った今年の「回顧と展望」の号に掲載された面白そうな論文・本をこのブログで取り上げる前に、昨年の「回顧と展望」の号に掲載された面白そうな論文・本を取り上げた記事をまとめることにします。 ...続きを見る

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2010/07/23 06:26
ユダヤ人のゲノムと他集団との比較
 ユダヤ人の全ゲノム構造についての研究(Behar et al., 2010)が公表されました。この研究では、14のユダヤ人共同体から得られたゲノムのデータが、アフリカ・ユーラシアの69の非ユダヤ人集団のそれと比較されていますが、この69の非ユダヤ人集団のうち25集団は、この研究以前には報告されたことがありません。この比較の結果、現代のユダヤ人の大半とレヴァントの非ユダヤ人集団とが近い関係にあることが明らかになりました。この結果は、現在のユダヤ人の大半が、レヴァントにいた古代ヘブライ人およびイス... ...続きを見る

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2010/07/14 00:00
『興亡の世界史』完結
 2010年5月刊行の『興亡の世界史18 大日本・満州帝国の遺産』をもって、ついに『興亡の世界史』全21巻が完結となりました。『興亡の世界史』の刊行が2006年12月に始まると知ったのは4年近く前のことですが、 http://sicambre.at.webry.info/200607/article_8.html まさか2010年5月まで完結がずれ込むとは予想していませんでした。全体的にはなかなかの出来になっていると思いますが、全21巻となると、やはり当たり外れはあります。この記事では、各巻... ...続きを見る

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2010/06/25 00:00
『一万年の進化爆発 文明が進化を加速した』(日経BP社、2010年)
 グレゴリー=コクラン、ヘンリー=ハーペンディング著、古川奈々子訳で、日経BP社より2010年5月に刊行されました(Cochran, and Harpending.,2010)。原書の刊行は2009年です。人類の進化は5万年前に止まったわけではなく、この1万年間はそれ以前と比較して加速している、遺伝的変異と環境には相互作用が認められる、との本書の見解は、おおむね妥当なものだろうと思います。 ...続きを見る

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2010/06/10 00:11
小谷野敦『日本文化論のインチキ』
 幻冬舎新書の一冊として、幻冬舎から2010年5月に刊行されました。通俗的な数々の日本文化論に、かねてより疑問を抱いていたので、色々と得るところがあるのではないかと思い、読んでみました。取り上げられている日本文化論の書籍・論考は多岐にわたり、その分個々の日本文化論への批判・指摘が簡潔にすぎるところもありますが、新書という体裁なのですから、これでよいだろうと思います。本書で取り上げられた日本文化論のなかには私がほとんど知らなかったものもあり、期待通りに得たものは多々ありました。 ...続きを見る

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2010/06/01 00:00
歴史上の人物の評価と知名度の変遷
 第二次大戦後の日本社会における豊臣秀吉の人気の低下については、このブログで2回取り上げたことがありますが、 http://sicambre.at.webry.info/200610/article_17.html http://sicambre.at.webry.info/201001/article_19.html その要因について私なりの推測を、改めて以下にまとめてみました。 ●朝鮮半島の支配を含む、戦前の帝国主義的方針が批判された戦後日本社会にあって、秀吉による朝鮮役は壮挙ではな... ...続きを見る

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2010/05/04 00:01
とくに面白かった論文
 これまでこのブログで取り上げ、全文を読んだ論文のうち、とくに面白いものを紹介した記事を以下にまとめてみました。まだ要約しか読んでいなくても興味深い論文も少なくないのですが、それらは国会図書館に行ったさいにプリントアウトしてこよう、と考えています。 ...続きを見る

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2010/04/27 00:00
歴史は物語?
 なかなか共感するところの多い記事を読みました。 http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20100317/1268805624 ...続きを見る

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2010/03/20 06:53
夫婦別姓は日本の伝統文化?
 夫婦別姓は日本の伝統文化であり、夫婦同姓は明治維新以降のわずか百余年の「伝統」や「習慣」であるとして、「産経新聞をはじめとする保守系言論」を批判する記事を読みました。 http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/40998284.html 近現代の日本における夫婦同姓は、多分に「日本の伝統社会」の観念・習慣に根ざしたものだ、との私見はこれまでに何度も述べてきたので、 http://sicambre.at.webry.info/200802/arti... ...続きを見る

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2010/03/08 00:01
ケネス=フィーダ『幻想の古代史』上・下
 福岡洋一訳で、楽工社より2009年11月に刊行されました。古代史・先史時代を中心として、カーディフの事件やピルトダウン事件といった捏造事件や、地球外知的生命体による人類の進化・文化への介入といった珍説が取り上げられ、その知識不足・思考様式が批判されるとともに、そうした捏造事件や珍説が一定以上影響力を有した背景についても指摘されています。本書を読めば、たんに知識が得られるだけではなく、批判的思考の訓練にもなることでしょう。原書の刊行は2008年(6版)です。本書は英語圏でかなり有名な擬似古代史批... ...続きを見る

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2010/03/02 21:24
小沢幹事長の韓国での発言の続報
 民主党の小沢幹事長が、訪問先の韓国で、「韓半島南部の権力者が日本の国家を樹立した」と語った、と報道されたことを今月15日の記事で取り上げましたが、 http://sicambre.at.webry.info/200912/article_15.html この発言の詳細を知ることができました。 http://www.youtube.com/watch?v=xOhxYH9Uyuc http://www.youtube.com/watch?v=YPLj86CyUkQ http://www.... ...続きを見る

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2009/12/18 00:00
小沢幹事長の韓国での発言
 民主党の小沢幹事長が、訪問先の韓国で、「韓半島南部の権力者が日本の国家を樹立した」と語った、と報道されました。 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123895&servcode=A00  どのような話の流れでこの発言がなされたのか、不明なのですが、この発言をそのまま受け取り、「日本の国家」をいわゆるヤマト王権や律令国家だと解釈すると、朝鮮半島南部の権力者が日本国の樹立したことを証明するような考古学的証拠も文献もないわけで... ...続きを見る

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2009/12/15 00:00
歴史時代の異常気候
 過去1500年の異常気候についての研究(Mann et al., 2009)が公表されました。過去1500年の世界の気候記録によると、20世紀の温暖化以前の気候異常期として、950〜1250年頃の温暖期と、1400〜1700年頃の寒冷期が挙げられますが、こうした異常気候をもたらした仕組みはほとんど解明されていません。この研究では、年輪・氷床コア・サンゴ・堆積物から得られた気候の代替データが解析され、代替データに基づく地表温度のパターンと気候モデルから再現されたパターンが比較されました。 ...続きを見る

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2009/12/10 06:57
横山宏章『中国の異民族支配』
 集英社新書の一冊として、集英社より2009年6月に刊行されました。現代の中華人民共和国の民族政策へといたる、ダイチン=グルン(いわゆる清朝)末期以降の思想史的系譜を追った一冊です。本書では、この間の思想的動向が、「華夷之辨」と「大一統」という二つの概念で整理されています。 ...続きを見る

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2009/09/19 05:51
日本は19世紀末まで「夫婦別姓」だった?
 日本における「夫婦同姓」は19世紀末に強制的に始まった、「キリスト教国かぶれ」な底の浅い制度であり、日本古来の伝統とは無関係だ、との記事を読みました。 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090910  夫婦別姓容認論側によく見られる上記のような歴史認識が誤りであることは、これまでにも以下の記事で述べてきましたが、その誤謬の根本的な要因は、氏・姓(ウヂナとカバネは組み合わせて用いられ、本来両者は異なるものです)と苗字(名字)との混同です。上記の記事でも触れら... ...続きを見る

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2009/09/13 15:28
『興亡の世界史20 人類はどこへ行くのか』
 講談社の『興亡の世界史』シリーズ17冊目となります。福井憲彦・杉山正明・大塚柳太郎・応地利明・森本公誠・松田素二・朝尾直弘・青柳正規・陣内秀信・ロナルド=トビ著で、2009年4月刊行に刊行されました。刊行が大幅に遅れている『興亡の世界史』ですが、本書はその集大成的な役割を担うわけですから、できれば最後の刊行にしてもらいたかったものです。 ...続きを見る

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2009/05/07 06:41
五つの予断
 チベット史研究者の石濱裕美子さんのブログの次の記事には教えられるところが多々あり、私のような不勉強な人間はとくに自戒しなければない、と改めて思ったものです。 http://shirayuki.blog51.fc2.com/blog-entry-356.html ...続きを見る

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2009/04/04 00:00
チベットをめぐる価値観の問題
 今年は、ダーウィン誕生200周年・『種の起源』刊行150周年ということで、進化学の現在やダーウィンについての特集が多数組まれていますが、チベット蜂起50周年でもあり、緊張状態が顕在化した昨年は別として、日本でも例年よりもチベット問題についての言及が多いようです。チベット問題においては、欧米を中心としていわゆる先進国の世論・メディアはおおむねチベットに同情的で中国政府に批判的なのですが、情報発信力の強い先進国のメディアが中国に批判的なのに、多数のチベット人にとって満足のいくような状況にならないの... ...続きを見る

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2009/03/18 06:52
論点抱き合わせセット
 未読なのですが、内藤朝雄『いじめと現代社会』(双風舎、2007年)では、「論点抱き合わせセット」という概念が提示されているそうです。 http://d.hatena.ne.jp/izime/20080321/p1 著者の説明によると、「論点抱き合わせセット」とは、「右と左が源氏と平家のように縄張りをひき、各トピックについて批判したりしなかったり、擁護したりしなかったりする」ことだそうです。もっとも、これはいわゆる左派・右派に限らず、他の区分でも見られる問題でもあるとは思います。 ...続きを見る

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2009/03/09 00:05
麻生首相の問題点
 麻生首相が小泉内閣の総務相だった頃の「論文」があります。 ...続きを見る

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2008/12/11 00:00
アジアモンスーンと歴史との関係
 アジアモンスーンと東アジアの歴史との関係を論じた研究(Zhang et al., 2008)が公表されました。この研究では、万向(Wanxiang)洞窟にあった石筍から再現した過去1810年間のアジアモンスーンの記録から、その威力が北半球の気温・氷河サイクル・太陽活動の変動にどう関係してきたかについて、考察されました。その結果、気温とアジアモンスーンの相関関係が1960年頃に変化しており、20世紀後半におけるアジアモンスーンの変化の要因としては、自然現象よりも人間の行動のほうが大きいのではない... ...続きを見る

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2008/11/08 00:00
漢文の素養
 日頃、古人類学関係の英語報道・論文を読んでいて痛感するのは、自分の漢文の素養の低さです。なんとか簡潔な漢字表現にできないものかと思うことがしばしばあるのですが、どうも名案が思いつきません。言い訳をするわけではありませんが、こうした漢文能力の低下は私に限らないことであり、第二次世界大戦後に生まれた日本人は、戦前にあるていどの水準までの教育を受けた人々と比較すると漢文能力がかなり劣るでしょうし、戦前の日本人にしても、明治以前にあるていどの水準までの教育を受けた人と比較すると、漢文能力はかなり劣るで... ...続きを見る

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2008/11/01 01:08
伊井春樹「‘旅’の変容」
 「日本史のことば」を特集した『日本歴史』第704号(2007年1月号)の中の一論考です。古代において、旅とは生死に関わる厳しいもので、修行の様相さえ呈したものであり、不安な思いや望郷の念をかきたてられたのでした。 ...続きを見る

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2008/10/04 00:01
堀川貴司「唐名あれこれ」
 「日本史のことば」を特集した『日本歴史』第704号(2007年1月号)の中の一論考です。前近代の日本社会において、右衛門佐を右監門将軍、能登を能州、国守を刺史というように、いわゆる唐名が広く行なわれていました。これは近世になっても変りませんでしたが、近世後期になると唐名にたいする否定論が出てきます。 ...続きを見る

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2008/10/03 07:01
エリザベス=コストヴァ『ヒストリアンI・II』
 高瀬素子訳で、2006年2月に2巻構成で日本放送出版協会より刊行されました。小説ですが、歴史を題材としており、歴史についての雑感もちょっと述べることになるので、読書だけではなく歴史のカテゴリーでも扱うことにします。かなり評判の歴史小説とのことで、以前から気になっていたのですが、他にも読むべき本があったので、刊行されてからかなり経ってから読むことになりました。 ...続きを見る

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2008/09/19 06:40
高柳光壽「わが国に於ける国家組織の発達」
 現在の日本史学界ではどう評価されているのか知りませんが、以下に引用する(青字の箇所)高柳光壽「わが国に於ける国家組織の発達」の一節は、私にとってじつに魅力的な見解です。 ...続きを見る

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2008/09/16 07:07
平野聡『清帝国とチベット問題』(名古屋大学出版会、2004年)
 本書にたいする痛烈な批判をすでに読んでいましたので、改めて本書を読む必要があるのだろうかとは思ったのですが、本書は博士学位取得論文に若干の補足修正を加えた一冊とのことで、不勉強な私にとっては大いに読み応えがあり、読んで正解だったと思います。チベット問題について不勉強な私が、上記リンク先に付け加えるような本書にたいする疑問・批判はありませんので、本書を読んで興味深かった点について、いくつか述べていくことにします(引用箇所は青字としましたが、一部の漢数字は算用数字に改めました)。 ...続きを見る

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2008/09/07 00:00
日中歴史共同研究にたいしての日本人研究者の違和感
 『史学雑誌』恒例の「回顧と展望」の今年の号(第117編第5号「2007年の歴史学界」)の総説の担当者は、日本中世史研究者の村井章介氏です。村井氏は、日中歴史共同研究の古代・中近世史分科会の途中から参加したのですが、中国側の発言には違和感を禁じえなかったとのことです。 ...続きを見る

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2008/07/31 04:48
ジャポニカ種の起源は東南アジア
 日本で栽培されているおもな稲の品種はジャポニカ種で、じゅうらい、考古学的証拠などから、ジャポニカ種の起源は長江中・下流域とされてきたのですが、遺伝子分析からは、その起源は東南アジアにあると推測される、との研究(Shomura et al.,2008)が報道されました。 ...続きを見る

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2008/07/08 05:24
日本史上の人物の業績認知度
 社会科の理解度を調べる目的で、2007年1〜2月に小学6年生と中学3年生を対象にした調査が行なわれ、その結果が公表された、と報道されました。小学6年生を対象にした調査では、小学校の学習指導要領に明記された42人の業績を示し、どの人物なのかを選ばせる問題が出され、正答率の1位は卑弥呼(99%)でした。幕末以降の政治家については、いずれも正答率が低くなっているのが大きな特徴です。 ...続きを見る

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2008/07/04 19:03
網野徹哉『興亡の世界史12 インカとスペイン 帝国の交錯』
 講談社の『興亡の世界史』シリーズ13冊目となります(2008年5月刊行)。アンデス地域とスペインを交錯させつつ、両者が出会った16世紀前半からではなく、その前の両者の歴史から説き起こし、両者が決別した19世紀前半までを叙述した、なかなかの意欲作だと思います。 ...続きを見る

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2008/06/04 00:00
陳思「チベット事件についての討論ノート」
 今年4月16日分の記事にて、梁文道氏のチベット論を紹介しましたが、そこでは在野の学者である陳思氏について触れられていました。その梁文道氏のチベット論を日本語に訳されたブログ主さんが、今度は陳思氏のチベット論を日本語に訳されました。 ...続きを見る

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2008/05/16 00:00
梁文道氏のチベット論と平野聡氏のチベット問題についての解説
 「香港リベラル派知識人のチベット論」と題したブログの記事で、梁文道氏のチベット論について知りました。同氏のチベット論には日本語訳もあり、私はその日本語訳を読んだのですが、たいへん興味深い内容で、色々と教えられることも考えさせられることもありました。私は漢語を解しませんので、断言はできないのですが、おそらく原文そのものもさることながら、日本語訳も素晴らしいのでしょう。 ...続きを見る

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2008/04/16 00:00
酒井信彦「男系天皇絶対論の危険性―女系容認こそ日本文明だ―」
 『諸君』2006年10月号(文藝春秋社)に掲載された論考(酒井.,2006)です。酒井氏の他の論考はこの論文集で読めます。まだほとんど読んでいませんが、私とはかなり価値観の異なる人だろうということは、容易に想像がつきます。しかしながら、この論考でもなかなか面白い指摘がなされているように、酒井氏の学識には一定以上の敬意を払うべきだろうと思います。 ...続きを見る

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2008/04/15 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(2)
前編の続きです。 ...続きを見る

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2008/04/10 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(1)
 昭和堂より2008年2月に刊行されました。初版第1刷の刊行は2008年1月です。遺伝学(おもにY染色体DNAの分析)の分野から日本人の起源・形成を論じた書籍としては、現時点では最新のものと言ってよいでしょう。また、遺伝学のみならず、考古学・言語学などの成果も取り入れられ、複数の分野を総合した学際的研究の成果が提示されています。繰り返しが多く、やや冗長なところがありますが、日本人起源論を扱った書籍としては、今後しばらくは必読と言えるでしょう。以下、まずは、本書で提示された見解について自分なりに整... ...続きを見る

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2008/04/10 00:00
イラクをめぐる争乱による被害
 イラン・イラク戦争から湾岸戦争、さらにはイラク戦争とその後のイラクの混乱状態により、イラクはたいへんな被害を受けました。人命・経済についてはもちろんのことですが、文化遺産にもたいへんな被害があったように思われます。 ...続きを見る

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2008/04/09 00:01
「近代化」と「幸福」の問題
 このところ、「チベット問題」が日本でも大々的に報道されていますが、それに関連した興味深いブログの記事を見つけました。けっきょくのところ、いくら近代化して経済発展したとしても、その恩恵を受けられない人はいるものですし、恩恵を一定水準以上受けていたとしても、必ずしも「幸福」だとは限らないわけです。また、近代化・経済発展の陰で、犠牲になる人々もけっして少なくありません。 ...続きを見る

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2008/03/24 07:16
「東アジア世界論」とその問題点(2)
文字数制限にひっかかったので、2回に分けました。(1)の続きです。 ...続きを見る

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2008/03/12 00:03
「東アジア世界論」とその問題点(1)
 この10日間ほど、ずいぶんと前に執筆した文章を中心として、1日5本ずつ記事を掲載しましたが、今日からは以前のように原則として1日1本ずつ更新していきます。挨拶はこれくらいにして、以下、本題に入りますが、文字数制限にひっかかったので、この(1)と(2)の2回に分けます。 ...続きを見る

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2008/03/12 00:02
小田中直樹『歴史学ってなんだ?』
 PHP新書の一冊として、2004年2月にPHP研究所より刊行されました。史実とは何か、歴史学は社会の役に立つのかという、この10年ほど日本で話題になった(こうした問いかけ自体以前からあるのですが)、歴史学をめぐる難問について、著者が真摯に考え、述べた一冊です。一般向けということがかなり意識されていて、平易な叙述となっていますが、その内容には深いものがあり、考えさせられるところが多い一冊だと思います。 ...続きを見る

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2008/03/11 00:02
中野正志『万世一系のまぼろし』(追記有)
 朝日新聞社が刊行している朝日新書の一冊として、2007年1月に刊行されました。著者は元朝日新聞社の論説委員とのことで、カバーでの宣伝文句は「女系天皇容認の立場から、男系説を徹底検証」となっています。天皇制廃止論者の私は、皇室典範改正の議論にさほど熱心ではありませんでしたが、それでも一歴史ファンとしての興味はあり、新聞・雑誌・掲示板などで双方の意見を読んだこともありますし、議論が下火になってから、雑感を述べたこともあります。そうした関心から、『万世一系のまぼろし』を購入したというわけです。 ... ...続きを見る

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2008/03/11 00:02
戦後日本における欧米化と東アジア世界についての雑感
 戦後日本において欧米化、とくにアメリカ化が進行したことは現代の日本人の常識となっていますが、敵国としてはげしく戦ったアメリカ合衆国の文化・技術・諸制度などをかくも容易に受け入れたことについては、過去にこだわらず、優れたものを素直に受け入れて自分のものとする日本民族の特性だ、といったような説明がなされています。 ...続きを見る

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2008/03/11 00:01
コロンブスの偉業
 1492年にアメリカ海域に到達したコロンブス(クリストバル=コロン)は、日本でも偉人として知られていますが、コロンブスがアメリカ大陸を発見したという表現は、さすがに現在の日本ではあまり用いられなくなったように思われます。しかし、新大陸という表現は今でもよく見かけるので、アメリカ大陸発見という表現が一般的だったころより、発想はあまり変わっていないのかな、という気もします。 ...続きを見る

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2008/03/09 00:01
失敗の歴史
 対米開戦を決断した戦前の日本や、衛生管理の問題点・粉飾決算を隠蔽しようとした企業など、後世・外部からはどう見ても失敗・露見しそうなことをやってしまう集団は、無能な人間が集まっているかのように思われるかもしれませんが、企業・国家を問わず、巨大な集団となるとさまざまなしがらみがあり、後世・外部からは信じられないような失敗をしてしまうことは珍しくないのだと思います(小集団・個人でもそうした失敗は珍しくありませんが)。 ...続きを見る

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2008/03/09 00:00
ハインリッヒ=シュリーマン『シュリーマン旅行記 清国・日本』(9刷、講談社)
 石井和子訳で、講談社学術文庫の一冊として2000年11月に刊行されました。1刷の刊行は1998年4月です。1865年、43歳のシュリーマンは世界漫遊に旅立ち、清朝末期の中国と幕末の日本を訪れています。本書はたんなる旅行記ではなく、当時の日中文化比較論としても、たいへん興味深いものです。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:01
新川登亀男『聖徳太子の歴史学』
 講談社選書メチエの一冊として、2007年2月に刊行されました。「近代に創られた“古代”の報告」を主題に、古代・中世・近世の聖徳太子像も含めて、聖徳太子像がどのように形成されてきたのか、当時の時代思潮に即して説明されています。本題もなかなか面白かったのですが、本題の根拠として挙げられた事例の中には、とくに法隆寺関係で私の知らないことが少なからずあり、自分の不勉強と無知を改めて思い知らされました。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:00
赤坂憲雄編集『追悼記録 網野善彦』
 洋泉社新書の一冊として、2006年10月に洋泉社より刊行されました。2004年2月27日に亡くなった網野善彦氏の追悼記事・追悼文をまとめたもので、学生時代の網野氏を追憶した文章など、なかなか興味深い文章もあります。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:00
小島毅『靖国史観−幕末維新という深淵』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2007年4月に刊行されました。靖国神社の起源が歴史的経緯の中で説明され、靖国神社が水戸学的価値観のうえに誕生し、その価値観が日本の歴史からすると新しいものであること、さらには靖国神社を誕生させた明治維新の評価や日本人・日本国家のありようについてまで論じられています。 ...続きを見る

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2008/03/07 00:01
小島毅編『義経から一豊へ 大河ドラマを海域にひらく』
 勉誠出版より2006年1月に刊行されました。2005年の大河ドラマが源義経を描いた『義経』で、2006年の大河ドラマが山内一豊夫妻を描いた『功名が辻』でしたから、大河ドラマ便乗企画であるとは言えます。しかし、本書はありがちな大河ドラマ便乗本とは異なり、中世の日本を東アジア世界のなかで位置づけようとする意欲的な論考が多数収録された一冊となっています。大河ドラマ便乗本との先入観がよい意味で裏切られる良書だと言えるでしょう。 ...続きを見る

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2008/03/07 00:01
田島英一『弄ばれるナショナリズム−日中が見ている幻影』
 朝日新聞社が刊行している朝日新書の一冊として、2007年1月に刊行されました。中国におけるナショナリズムや中国・漢人という意識の形成、さらにはそれら相互の関係などを、19世紀にさかのぼって論じ、現代の中国人の意識や、日中関係にまで踏み込んだ内容となっています。 ...続きを見る

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2008/03/06 00:02
黒田勝弘・市川速水『朝日vs.産経 ソウル発』
 朝日新書の一冊として、2006年12月に朝日新聞社より刊行されました。黒田氏は産経新聞ソウル支局長で、市川氏は朝日新聞前ソウル支局長です。様々な問題についてもそうなのですが、朝鮮半島問題でも論調が対照的とされる両新聞のソウル支局長同士の対談という興味深い企画です。内容も、全体的にはたいへん興味深かったのですが、「韓流」についての両記者の評価には疑問が残ります。 ...続きを見る

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2008/03/06 00:01
歴史の共通認識の難しさ(日本と韓国について)
 一昨年(2006年)12月9日、韓国の趙己淑・前大統領府首席報道官(当時)が、土下座して謝罪したという報道がありました。この報道は、黒田勝弘・産経新聞ソウル支局長によって日本でも紹介されました。 ...続きを見る

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2008/03/06 00:00
歴史と国際情勢の予想
 中華人民共和国の分裂を予想する見解というか願望は、日本では主流ではないとはいえ、さほど珍しいものではありません。そのさい、過去の中国では分裂は珍しくなかったのだ、という歴史が根拠として持ち出されることがあります。 ...続きを見る

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2008/03/05 00:01
夫婦別姓問題をめぐる歴史認識と今後の社会
 夫婦別姓問題をめぐる議論とそこでの歴史認識について、今年2月5日分の記事と今年2月14日分の記事にて述べましたが、その後も少しずつこの問題について調べています(以下、青字が引用箇所です)。ネットで検索してみて改めて思ったのは、夫婦別姓容認論の側には、日本における夫婦同姓は明治以降の根の浅いもの(創られた伝統)との見解が根強くある、ということです。 ...続きを見る

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2008/02/27 00:01
夫婦別姓問題と日本における氏名の変遷について(緑色の文字は追記です)
 現在の日本では夫婦同氏原則となっていて、夫婦別姓容認論の立場から民法改正の働きかけもあり、議論となっています。夫婦別姓容認論にたいする反論の根拠の一つは、夫婦別姓は伝統破壊につながるものだ、との見解なのですが、夫婦別姓反対論者の全員が伝統破壊を根拠としているのかというと、そうでもないようです。ただ、夫婦別姓容認論の立場からすると、夫婦別姓反対論のじゅうような根拠として伝統破壊がよく持ち出される、との印象があるようです。 ...続きを見る

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2008/02/05 00:01
気候変動と農耕の起源
 農耕の開始についてちょっと検索していたら、農耕の起源と気候変動との関係について論じた研究を見つけました。グリーンランドの氷床コアのデータを用いて、気候の安定を農耕の開始と関連づけた研究なのですが、「結論」の項でも述べられているように、まだ不確定要素が多いことは否めません。ただ、世界各地における農耕の起源の同時性を説明するにあたって、好都合であるとは言えます。 ...続きを見る

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2008/01/14 00:00
数え方と文化の発達
 一般的には、文化が発達するとともに計数の仕組みも複雑になっていき、たとえば、短かったり物に特化したりしている数え方は、数の概念の発達における初期段階と考えられています。しかし、そうした通念に反するような例があることを指摘した研究が公表されました。この研究には日本語の要約もあります。 ...続きを見る

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2008/01/12 00:01
皇室典範改正論議とY染色体をめぐる問題
 皇室典範に関する有識者会議が設置され、皇位継承法を主眼とした皇室典範の改正が盛んに議論されたのは小泉内閣後期のことでした。この議論は秋篠宮妃の懐妊により下火になり、2006年9月6日の秋篠宮妃の男子出産により、ほとんど終息してしまった感があります。 ...続きを見る

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2007/11/23 15:54
古田博司『新しい神の国』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2007年10月に刊行されました。帯には、「日本は東アジアではなかった!覚醒する日本文明圏」とあり、題名とあわせてかなり挑発的と言えます。本書の主張は、日本は近代前より東アジア文明圏の一員ではなく独自の文明圏を形成していたのだから、アジア主義者のように東アジア諸国にたいして変な幻想をもつようなことはせず、欧米にたいしても東アジアにたいしても、永遠の他者として割り切って付き合っていくべきだ、というものです。 ...続きを見る

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2007/11/21 00:00
小学館『日本の歴史』全16巻
 2007年11月より刊行が始まります。 http://www.shogakukan.co.jp/nrekishi/index.html 江戸時代に比重のおかれた構成になっているように思われますが、江戸時代がさまざまな点で近現代の日本社会の基点になったことを考えると、妥当なところでしょうか。そのぶん、通史ものでは2〜3巻が割り当てられていることが多い、旧石器時代から古墳時代までがまとめて第1巻とされています。この長い時間が1巻でどのようにまとめられているのか、注目しています。小学館からは『大... ...続きを見る

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2007/10/17 00:00
カタカナ言葉と日本語
 近年、政府高官や知識人の発言において、いわゆるカタカナ言葉が多用される傾向にあります。その代表が塩崎官房長官ですが、具体例をいくつか挙げると、 ●キック・オフ・スピーカー・・・冒頭発言者 ●ウイン、ウイン・・・双方有利 ●フォーミュラ・・・計算式 ●エクスパティーズ・・・専門知識 ●カウンター・インテリジェンス・ポリシー・・・情報保全方針 となります。 ...続きを見る

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2007/02/07 19:00
歴史の真実
 現生人類の頭脳はすべてのことを把握できるわけではなく、現生人類が「歴史の真実」にたどりつくのは無理なのでしょう。だからといって、どんな歴史でも容認されるわけではなく、根拠をあげてより説得力のある歴史像を提示しなければいけないわけです。もっとも、「歴史の真実」にたどりつくのは不可能だとしても、それに近づくことは可能ということもできるでしょう。 ...続きを見る

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2007/02/03 13:00
掲示板でのやりとりからみえてくる日本社会の特徴
 最近、ある掲示板でやりとりをかわしたのですが、そこに現在の日本社会によくみられる観念というか思考様式(もちろんその中には、過去の日本社会にもみられる特徴が少なからずあるのですが・・・)が表れているように思われるので、ちょっと雑感を述べることにします。 ...続きを見る

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2006/12/22 20:37
西洋史家の訃報相次ぐ
 古代ローマ史研究の弓削達氏が14日に肺炎のため、西洋中世史研究の木村尚三郎氏が17日に肝細胞癌のため、亡くなりました。ともに著名な研究者で、一般向けの書物も結構な数になり、私も合計すると10冊くらいもっています。ご冥福をお祈りいたします。 ...続きを見る

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2006/10/18 19:01
講談社『興亡の世界史』全21巻
 プロフィールの趣味に歴史全般と書いておきましたが、これまで『イリヤッド』以外で歴史の話題を述べてこなかったので、気になる話題を一つ書いてみます。  今年の秋から、講談社より『興亡の世界史』全21巻の刊行が始まります。詳細は、以下のサイトにある通りなのですが、 http://shop.kodansha.jp/bc/books/koubou/hensei.html#01 ひじょうに楽しみな構成となっています。まあ、18巻だけは今からたいへん不安ですが・・・。  ざっと構成を見ると、インドと... ...続きを見る

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2006/07/08 16:48

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