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みんなの「自然科学」ブログ


アリの拡散と人間の行動

2017/06/28 00:00
 これは6月28日分の記事として掲載しておきます。アリの拡散と人間の行動に関する研究(Bertelsmeier et al., 2017)が公表されました。人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こします。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続ける、と予測されています。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目していますが、外来種全般が類似の定着パターンに従うのかどうか、さらにそうしたパターンがどのように進行するのか、ほとんど知られていません。この研究は、本来の生息範囲の外へ導入されたことが知られている外来アリ241種を調べ、局地的・地域的・大陸横断的・全球的という4群に分類されることを明らかにしました。これら4群はそれぞれ、拡散を支配する動態が異なっています。

 さらにこの研究は、241種のうち36種に関して1750年以降の移動を調べた結果、その4群のアリ種が大陸および地域を横断した時期が、人類の移動とグローバル化および好景気に関する二つの大きな波と重なることを明らかにしました。第一の波は19世紀半ばに始まり、第一次世界大戦および1929年の世界大恐慌で終息したもので、第二の波は第二次世界大戦以降21世紀まで続きました。また、大きく全球化が進んだ侵略種は比較的小型であって、さまざまな場所に生息する能力を持つとみられることも明らかになりました。これは大陸横断の成功を説明すると考えられています。この研究は、アリの分布パターンに関する詳細を組み合わせて、さまざまな環境でのアリの生息を可能とする特性を理解することにより、生物の侵略を促進する過程に関する価値ある洞察をもたらし、将来的に侵略種となる可能性が極めて高い種の特定に寄与している、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


外来アリは人間が行く先々へついてくる

 最近の人類史上の大きな出来事がアリ侵略種の拡散の要因となっていることを示す論文が、このたび新たに掲載される。外来アリによる侵略の成立に関してその形質、動態、および促進要因を理解することは、他の侵略種の将来的な拡散を抑止するのに役立つ可能性がある。

 人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こす。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続けることが予測されている。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目しているが、外来種全般が類似の定着パターンに従うのかどうか、そしてそうしたパターンがどのように進行するのかはほとんど知られていない。

 本来の生息範囲の外へ導入されたことが知られている外来アリ241種を調べたCleo Bertelsmeierたちは、そのアリが4つのカテゴリーに分類されることを発見した。それは、分布が局地的、地域的、大陸横断的、および全球的なものの4つであり、それぞれの拡散を支配する動態は異なっている。続いて研究チームは、そのうち36種に関して1750年以降の移動を調べた結果、その4群のアリ種が大陸および地域を横断した時期が、人類の移動、グローバル化、および好景気に関する2つの大きな波と重なることを発見した。第一の波は、19世紀半ばに始まって第一次世界大戦および1929年の世界大恐慌で終息したものであり、第二の波は、第二次世界大戦以降、21世紀まで続いた。また、大きく全球化が進んだ侵略種は比較的小型であって、さまざまな場所に生息する能力を持つとみられることが分かった。このことは、大陸横断の成功を説明すると考えられる。

 アリの分布パターンに関する詳細を組み合わせて、さまざまな環境でのアリの生息を可能とする特性を理解することにより、研究チームは、生物の侵略を促進する過程に関する価値ある洞察をもたらし、将来的に侵略種となる可能性が極めて高い種の特定に寄与している。



参考文献:
Bertelsmeier C. et al.(2017): Recent human history governs global ant invasion dynamics. Nature Ecology & Evolution, 1, 0184.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0184
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一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成

2017/06/23 00:00
 これは6月23日分の記事として掲載しておきます。一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成関する研究(Amadei et al., 2017)が公表されました。多くの哺乳類種は一夫一妻型のペアの絆を形成しませんが、プレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)はそうした絆を形成します。成体が一雄一雌関係を形成する時、相手個体の認識と評価にいくつかの注目すべき変化が生じます。主要な変化の一つは、絆を形成しうる2個体がお互いの脳内報酬系を確実に活性化し始める時に起きまか。報酬処理ネットワークをなす脳結合領域でのオキシトシンおよびドーパミン信号が社会的絆形成行動を促すとされていますが、その神経機構は明らかになっていませんでした。

 この研究は、プレーリーハタネズミの社会的絆モデルを用いて脳内の皮質線条体回路を調べました。この回路は、動物が報酬を得るために自らの行動を変化させる能力を制御していることが知られています。この研究は、雄と雌のプレーリーハタネズミを6時間にわたって共同生息させ、その間の雌の皮質線条体回路の活動を記録しました。その結果、皮質線条体の接続性の強さから個体間に絆の形成(交尾行動および並んで身を寄せ合う行動を通しての表現)が生じる速さを予測できることが明らかになりました。

 また、この研究は、光を介した光遺伝学的技術を用い、交尾のない社会的状況下で皮質線条体回路を周期的に活性化させる実験を実施し、その後の雌の選好性(全くなじみのない個体ではなく配偶者を好むこと)に影響を及ぼすことができました。これらの知見は、皮質線条体の活動が絆形成行動と相関しているだけでなく、絆形成行動を加速させる可能性があることを示唆しています。ただ、皮質線条体回路がプレーリーハタネズミの絆形成行動を増強させることの必要かつ十分な条件であるかどうかを判断するには、この仮説のさらなる検証が必要である、とも指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)す。


【動物行動】ハタネズミの深い愛情の背後にある神経回路

 一雄一雌の絆を生み出す脳内報酬系が社会的相互作用によって活性化する過程に関して1つの包括的な考え方が初めて示された。数少ない社会的一雄一雌の哺乳類の1つであるプレーリーハタネズミの観察結果は、特異な脳活動パターンが2個体間の絆の形成にどのように寄与するのかを理解する上で役立つ可能性がある。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

 成体が一雄一雌関係を形成する時、相手個体の認識と評価にいくつかの注目すべき変化が生じる。主要な変化の1つは、絆を形成しうる2個体がお互いの脳内報酬系を確実に活性化し始める時に起こるが、そうした活性化から絆が形成される際の正確な神経機構は解明されていない。

 今回、Robert Liuたちの研究グループは、プレーリーハタネズミの社会的絆モデルを用いて脳内の皮質線条体回路を調べた。この回路は、動物が報酬を得るために自らの行動を変化させる能力を制御していることが知られている。Liuたちは、雄と雌のプレーリーハタネズミを6時間にわたって共同生息させて、その間の雌の皮質線条体回路の活動を記録した。その結果、皮質線条体の接続性の強さから個体間に絆の形成(1. 交尾行動と 2. 並んで身を寄せ合う行動を通して表される)が生じる速さを予測できることが判明した。また、Liuたちは、(光を介した)光遺伝学的技術を用いて、交尾のない社会的状況下で皮質線条体回路を周期的に活性化させる実験を行い、その後の雌の選好性(全くなじみのない個体ではなく配偶者を好むこと)に影響を及ぼすことができた。以上の知見は、皮質線条体の活動が絆形成行動と相関しているだけでなく、絆形成行動を加速させる可能性があることを示唆している。ただし、Liuたちは、皮質線条体回路がプレーリーハタネズミの絆形成行動を増強させることの必要かつ十分な条件であるかどうかを判断するためには、この仮説のさらなる検証が必要であることを認めている。


神経科学:一夫一妻制プレーリーハタネズミの雌の社会的絆に偏りを生じさせる皮質線条体活動の変化

神経科学:一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成

 多くの哺乳類種は一夫一妻型のペアの絆を形成しないが、プレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)はそうした絆を形成する。報酬処理ネットワークをなす脳結合領域でのオキシトシンおよびドーパミン信号が社会的絆形成行動を促すとされているが、その神経機構は明らかになっていなかった。今回R Liuたちは、ハタネズミの前頭前野と側坐核の間の結合で活動を刺激すると、交尾を伴わなくても、提示されたパートナーに対する雌の嗜好に偏りが生じることを示している。これは、この結合が単に社会的絆形成と相関しているのではなく、それを実際に強化できることを示唆する。今回の知見により、脳の報酬系が社会的相互作用によって動員されて社会的絆を形成し得る仕組みが明らかになった。



参考文献:
Amadei EA. et al.(2017): Dynamic corticostriatal activity biases social bonding in monogamous female prairie voles. Nature, 546, 7657, 297–301.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22381
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ショウジョウバエの交尾による影響

2017/06/20 00:00
 これは6月20日分の記事として掲載しておきます。ショウジョウバエの交尾による影響についての論文2本が公表されました。交尾をした雌が攻撃性を増す種は多く、それは、仔を守る必要性と関係している可能性があると指摘されています。しかし、この攻撃性の強化に関与する直接的な仕組みは明らかにされていません。また、交尾は雄の生理および加齢にも長期的な影響を与えますが、こちらの仕組みもよく分かっていません。

 一方の研究(Bath et al., 2017)は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の雌が交尾後に他の雌に対して示す攻撃性の強化の一部が、精液の性ペプチド成分の直接的な影響の結果で、他の精液タンパク質もそれに関わっていることを示しました。この研究は、卵を作らない遺伝的変異体の雌および精子を作らない変異体の雄を利用することにより、精子が雌の攻撃性に与える直接・間接の影響を解明しました。この研究は、精子が他の雌に対する攻撃性を直接強化するのであり、攻撃性は卵を作ることによる副産物であったり交尾自体の物理的作用の結果であったりするわけではない、と指摘しています。

 もう一方の研究(Harvanek et al., 2017)は、雌への接触が雄ショウジョウバエの寿命に与える悪影響を調べました。この研究は、反対の性のフェロモン特性を有するように遺伝子が操作された雌雄を、対照とともに利用しました。その結果、雌性フェロモンへの曝露が雄の寿命を短縮させるものの、交尾行動がこの悪影響を解消することが明らかになりました。

 両方の研究は、ショウジョウバエで生殖の行動的・生理学的影響を探るのに利用できる強力な遺伝学的ツールを示し、哺乳類にも類似の影響が見いだされる可能性を提示しています。やはり気になるのは、ヒトにおいてはどうなのかということですが、倫理的な問題から検証の難しいところもあるでしょう。まあ、ヒトに限らず、他の生物での研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


交尾は雌のショウジョウバエを攻撃的にするが、雄の加齢を遅延させる

交尾がその後の雌ショウジョウバエの行動および雄ショウジョウバエの加齢の仕方に直接的な影響を与えうることを、今週オンライン掲載される2編の独立した論文が明らかにする。
 交尾をした雌が攻撃性を増す種は多く、それは、仔を守る必要性と関係している可能性がある。しかし、この攻撃性の強化に関与する直接的な仕組みは明らかにされていない。交尾は雄の生理および加齢にも長期的な影響を与えるが、やはり、その仕組みはよく分かっていない。

 1編目の論文で、Eleanor Bathたちは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の雌が交尾後に他の雌に対して示す攻撃性の強化の一部が、精液の性ペプチド成分の直接的な影響であり、他の精液タンパク質もそれに関わっていることを示した。卵を作らない遺伝的変異体の雌および精子を作らない変異体の雄を利用することにより、精子が雌の攻撃性に与える直接・間接の影響が解き明かされた。研究チームは、精子が他の雌に対する攻撃性を直接強化するのであって、攻撃性は卵を作ることによる副産物であったり交尾自体の物理的作用の結果であったりするわけではないことを明らかにした。

 もう1編の論文では、雌への接触が雄ショウジョウバエの寿命に与える悪影響を、Scott Pletcherたちが調べている。研究チームは、反対の性のフェロモン特性を有するように遺伝子が操作された雌雄を、対照とともに利用した。その結果、雌性フェロモンへの曝露が雄の寿命を短縮させるものの、交尾行動がこの悪影響を解消することが分かった。

 今回の2編の論文は、ショウジョウバエで生殖の行動的、生理学的影響を探るのに利用することができる強力な遺伝学的ツールを示している。両研究チームは、哺乳類にも類似の影響が見いだされるのではないかと考えている。同時掲載のNews & Views記事では、Mariana WolfnerとTracey Chapmanが次のように述べている。「Eleanorたちの研究結果は、一方の性の攻撃的な行動がもう一方の性からの化学的メッセージに大きく影響されうることを示しており、雌の攻撃的行動の機能および適応的意義に関して多くの疑問を提起した」。



参考文献:
Bath E. et al.(2017): Sperm and sex peptide stimulate aggression in female Drosophila. Nature Ecology & Evolution, 1, 0154.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0154

Harvanek JR. et al.(2017): Perceptive costs of reproduction drive ageing and physiology in male Drosophila. Nature Ecology & Evolution, 1, 0152.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0152
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温泉鉱床で発見された初期生物の痕跡

2017/06/17 00:00
 温泉鉱床で発見された初期生物の痕跡に関する研究(Djokic et al., 2017)が公表されました。この研究は、オーストラリア西部のピルバラ地塊にある34億8000万年前頃の温泉鉱床が、陸上のものか海底のものかを確定するために調べたところ、高温のシリカ溶液から生成する鉱床で、陸上温泉でのみ見つかっているガイザライトが同定されました。このガイザライトには、ストロマトライト(微生物の活動によって形成した薄層状の累層)とその他の微生物の痕跡が見つかり、34億8000万年前頃の温泉に多様な生物が存在していたことが示されました。これにより、生物が存在する地球の陸上温泉の記録が約30億年さかのぼることになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【地質科学】温泉を好んだ初期生物の痕跡

 オーストラリアの34億8000万年前の温泉鉱床から発見された生物の証拠を提示した論文が、今週掲載される。この新知見は、生物が存在する地球の陸上温泉の記録を約30億年さかのぼらせるとともに地球上に生物が存在していたことを示す最も古い証拠の1つとなった。

 今回、Tara Djokicたちの研究グループは、西オーストラリアのピルバラ地塊にある34億8000万年前の温泉鉱床を調べた。Djokicたちは、この温泉鉱床が陸上のものか海底のものかを確定するために調べたところ、高温のシリカ溶液から生成する鉱床で、陸上温泉でのみ見つかっているガイザライトが同定された。このガイザライトには、ストロマトライト(微生物の活動によって形成した薄層状の累層)とその他の微生物の痕跡が見つかり、この34億8000万年前の温泉に多様な生物が存在していたことが示された。

 陸上温泉に多様な生物が存在しうることは理論的に確立しているが、この種の環境に生物が存在していたことを示す証拠は、約4億年前のものしか発見されていなかった。



参考文献:
Djokic T. et al.(2017): Earliest signs of life on land preserved in ca. 3.5 Ga hot spring deposits. Nature Communications, 8, 15263.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15263
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ヒトノックアウトプロジェクトの第一歩

2017/06/15 00:00
 ヒトノックアウトプロジェクトに関する研究(Saleheen et al., 2017)が公表されました。遺伝子の機能を解明するための研究はこれまで、モデル動物の重要な遺伝子をノックアウトし、その後の変化を調べるという方法で行なわれていましたが、この研究は逆の手法を採用しました。それは、パキスタン在住の10503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される49138ヶ所の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液試料で測定される201形質のどれと関連しているかどうかを判定する、という手法です。その後、この原理を証明する研究が行なわれ、特定の遺伝的変異を持つ患者が呼び出されて追加検査が行われ、その遺伝的変異により食事中の脂肪分を循環血から除去する能力が高まることが明らかになりました。

 この研究ではこうしたリバースジェネティクスの方法の可能性が実証され、ヒトゲノム全体における遺伝子の機能喪失変異の臨床表現型(疾患など)だけではなく、これまでより多くの生化学的表現型の評価を「ヒトノックアウトプロジェクト」の一部として行うための基礎固めになった、と評価されています。また、今回行なわれた初期研究は、独特な被験者選定に助けられています。パキスタン人は近親婚の比率が高いため、特定の遺伝子を2コピーとも機能喪失している可能性が高く、それを検出できるからです。人類進化の研究にも大いに役立ちそうなので、この分野の今後の研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用(引用1および引用2)です。


【遺伝】「ヒトノックアウトプロジェクト」に向けた地固め

 「リバースジェネティクス」の手法を用いて遺伝子の機能を解明する研究が新たに行われ、ヒトにおける機能喪失変異の表現型の評価が行われた。今回の研究は、ヒトの遺伝子の機能を調べる大型研究の基礎固めとなった。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

 遺伝子の機能を解明するための研究は、これまでモデル動物の重要な遺伝子をノックアウトして、その後の変化を調べるという方法で行われていた。今回、Sekar Kathiresanたちの研究グループは、逆のアプローチで研究を行った。つまり、パキスタン在住の10,503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1,317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される約50,000の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液サンプルの検査で明らかになった200種ほどの形質のどれと関連しているかどうかを判定した。その後、この原理を証明する研究が行われ、特定の遺伝的変異を持つ患者が呼び出されて追加検査が行われ、その遺伝的変異によって食事中の脂肪分が循環血から除去される能力が高まることが明らかになった。

 今回の研究では、このリバースジェネティクスの方法の可能性が実証され、ヒトゲノム全体で遺伝子の機能喪失変異の臨床表現型(疾患など)だけでなく、これまでより多くの生化学的表現型の評価を「ヒトノックアウトプロジェクト」の一部として行うための基礎固めになった。また、今回行われた初期研究は、独特な被験者選定に助けられている。パキスタン人は、近親婚の比率が高いため、特定の遺伝子が2コピーとも機能喪失している可能性が高く、それを検出できるからだ。


遺伝学:近親婚が高率で行われるコホートにおけるヒトのノックアウト個体と表現型解析

遺伝学:ヒトの遺伝子ノックアウト研究

 あらゆるヒト遺伝子の機能を理解することは生物医学の重要な目標の1つであり、特定の1遺伝子の機能喪失変異を持つ人の表現型を解析することは、遺伝子の機能についての手掛かりを得る方法の1つである。S Kathiresanたちは今回、塩基配列解読データから機能喪失と予測される変異を体系的に調べ、その表現型との関連から遺伝子機能との関係を調べる予備的な取り組みを行っている。著者たちは、パキスタン在住のPROMIS研究参加者1万503人のエキソームの塩基配列解読を行った。彼らは機能喪失と予測される4万9138個の希少な変異を明らかにし、これらを血液試料で測定される201形質からなるパネルとの関連を調べた。これらの変異は1317の遺伝子をノックアウトしており、各遺伝子は少なくとも1人の参加者でノックアウトされていると推定された。著者たちは、遺伝型別に参加者を募集することなど、逆遺伝学的手法の有用性を示し、またヒトノックアウトプロジェクトのための枠組みについて議論している。



参考文献:
Saleheen D et al.(2017): Human knockouts and phenotypic analysis in a cohort with a high rate of consanguinity. Nature, 544, 7649, 235–239.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22034
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胎生の主竜様類

2017/06/14 00:00
 胎生の主竜様類に関する研究(Liu et al., 2017)が公表されました。主竜様類には恐竜・鳥類・ワニ類などが含まれています。胎生は多くの種類の動物において独立に進化しましたが、現生の鳥類とワニ類は全て産卵によって繁殖しており、これらの系統の生物にたいして、胎生を妨げる生物学的制約が加わっていることを示唆しています。

 この研究は、中国で新たに発見された、2億4500万年前頃となる三畳紀中期の首の長い水生爬虫類であるディノケファロサウルスの成体の化石標本を分析しました。この成体化石の腹部には発生が進んだ胚が保存されており、胎生の証拠となっています。これは、主竜様類全体において胎生にたいする障害のないことを示唆しています。

 またこの研究は、ディノケファロサウルスの進化史を解析し、仔の性別が遺伝的に決まることも明らかにしました。これは、ワニ類と一部のカメ類などの、環境温度によって性別が決まる近縁種とは異なっています。この研究は、体内温度の調節が温度依存性の性決定と両立しないことから、ディノケファロサウルスにおいて遺伝的性決定が胎生の前提条件になっている可能性がある、との結論を提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【化石】妊娠状態の古爬虫類の化石が見つかった

 約2億4500万年前の妊娠状態の爬虫類の化石が発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。この化石は、爬虫類の一群である主竜様類の化石であり、この分類群には、恐竜と鳥類、ワニ類などが含まれている。また、この爬虫類は、産卵ではなく、生仔を出産していたこと(胎生であること)がわかった。胎生の主竜様類は、これまで知られていなかった。

 胎生は、多くの種類の動物において独立に進化した。しかし、現生の鳥類とワニ類は、全て産卵によって繁殖しており、このことは、これらの系統の生物に対して、胎生を妨げる生物学的制約が加わっていることを示唆している。

 今回、Jun Liuの研究チームは、首の長い水生爬虫類のディノケファロサウルスの化石標本が中国で新たに発見され、その年代が三畳紀中期と決定されたことを説明している。これはディノケファロサウルスの成体の化石であり、その腹部には発生が進んだ胚が保存されており、胎生の証拠となっている。この知見は、主竜様類全体において胎生に対する障害のないことを示唆している。

 また、Liuたちがディノケファロサウルスの進化史を解析したところ、仔の性別が遺伝的に決まることが明らかになった。この点は、環境温度によって性別が決まる近縁種(ワニ類と一部のカメ類など)とは異なっている。Liuたちは、体内温度の調節が温度依存性の性決定と両立しないことから、ディノケファロサウルスにおいて遺伝的性決定が胎生の前提条件になっている可能性があるという結論を示している。



参考文献:
Liu J. et al.(2017): Live birth in an archosauromorph reptile. Nature Communications, 8, 14445.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms14445
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イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離

2017/06/13 00:00
 イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離に関する研究(Gupta et al., 2017)が公表されました。イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていました。これまでの理論は、氷河湖からの溢出がドーバー海峡の開いた原因だと示唆していますが、この仮説を検証するには、推測される分裂地点の高分解能データが不足していました。この研究は、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す、新しい証拠を提示しています。

 この研究の分析では、湖からの溢出が約45万年前に最初の浸食を起こして、滝が白亜層を切り開いて岩の堰を壊し、湖の水がイギリスの水路に流れ込んだ、というモデルが支持されています。またこの研究はデータから、ドーバー海峡が完全に開くためには2回目の破壊的な洪水が必要である、とも明らかにしています。2回目の洪水の時期は明らかではありませんが、この研究は、海岸堆積物中の海洋軟体動物に基づき、約16万年前だと示唆しています。中期〜後期更新世のユーラシア北西部におけるホモ属の拡散とも関わってくる研究だけに、今後の進展が注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


地球科学:イギリスのヨーロッパからの最初の分離

 イギリスがヨーロッパ本土から地質学的に分離したのは2段階の過程があったとの報告が今週掲載される。新しい証拠は、イギリスとヨーロッパの間の最も狭い間隙であるドーバー海峡が開いたのは破壊的な洪水が引き起こした氷河湖の氾濫による浸食の結果であることを示唆している。海峡がどのように裂けたかを究明することは、ブリテン島の形成がイギリス諸島のコロニー形成をどのように変化させ、またどのようにヨーロッパ北西部からの水の流出を変化させたかに関する我々の理解に影響を及ぼす。

 イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていた。これまでの理論では、氷河湖からの溢出がドーバー海峡が開いた原因となったことを示唆しているが、この仮説を検証するには推測される分裂地点の高分解能データが不足していた。

 Sanjeev Guptaたちは、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す新しい証拠を提示している。彼らの分析では、湖からの溢出が約45万年前に最初の浸食を起こし、滝が白亜層を切り開いて岩のせきを壊し、湖の水がイギリスの水路に流れ込んだというモデルを支持している。データは、ドーバー海峡が完全に開くためには2回目の破壊的な洪水が必要であることを明らかにしている。2回目の時期は明らかではないが、著者たちは海岸堆積物中の海洋軟体動物に基づいて約16万年前であると示唆している。



参考文献:
Gupta S. et al.(2017): Two-stage opening of the Dover Strait and the origin of island Britain. Nature Communications, 8, 15101.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15101
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攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する乳児

2017/06/07 00:00
 これは6月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトに見られる、有害な相互作用に対する第三者による保護的介入が始まる時期についての研究(Kanakogi et al., 2017)が公表されました。有害な相互作用に対する第三者による保護的介入は、一般には称賛される行為であり、道徳・正義・英雄的資質といった概念と結びつけられています。じっさい、そうした第三者の介入が絡む物語は、神話・書物・映画などの形で、有史以来の大衆文化のなかに数多く見られます。現代の発達科学では、ヒトはこうした介入を就学前から行なうようになるとされています。たとえば3歳児は、虐めから被害者を守ろうとして有害な相互作用に介入し、さらには悪さをする者を罰するだけでなく、被害者を助けることを優先する場合もあります。しかし、他者によるそのような介入を、ヒトがどの時点で肯定し始めるかは不明でした。

 この研究は、その発達の起源が生後6〜10ケ月の乳児(調査対象は132人)にある、と報告しています。攻撃的な相互作用に第三者が介入する筋書きの動画と介入しない筋書きの動画を見せられた後、6ヶ月児は前者の第三者を好みました。さらなる実験では、そうした選択の基盤となる心理的過程が確認されました。6ヶ月児は、介入者を攻撃者から被害者を守る存在だと見なしましたが、介入者の意図を考慮した後にそうした介入を肯定したのは、より年長の乳児だけでした。この知見は、第三者による保護的な介入を知覚・理解し、遂行する発達軌跡に光明を投じるもので、あらゆる文化の数多くの物語に遍在するそうした行為をヒトが称賛し、重視することの起源が、前言語期の乳児の心にまでたどれることを示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


前言語期の乳児は攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する

 有害な相互作用に対する第三者による保護的介入は一般に称賛される行為であり、道徳、正義、英雄的資質といった概念と結びつけられている。実際、そうした第三者の介入が絡むストーリーは、神話、書物、映画の形で、有史以来の大衆文化のなかに数多くみることができる。今日の発達科学では、ヒトはこうした介入を就学前から行うようになるとされている。例えば3歳児は、いじめから被害者を守ろうとして有害な相互作用に介入し、さらには悪さをする者を罰するだけでなく、被害者を助けることを優先することもある。しかしながら、他者によるそのような介入を、ヒトがどの時点で肯定し始めるかはわかっていない。本論文では、その発達の起源が生後6〜10ケ月の乳児(N=132)にあることを報告する(N = 132)。攻撃的な相互作用に第三者が介入する筋書きの動画と介入しない筋書きの動画を見せられた後、6ケ月児は前者の第三者を好んだ。さらなる実験では、そうした選択の基盤となる心理的過程が確認された。6ケ月児は、介入者を攻撃者から被害者を守る存在であると見なしたが、介入者の意図を考慮した後にそうした介入を肯定したのは、より年長の乳児だけであった。今回の知見は、第三者による保護的な介入を知覚し、理解し、遂行する発達軌跡に光明を投じるものであり、あらゆる文化の数多くのストーリーに遍在する、そうした行為をした行為をヒトが称賛し、重視することの源が、前言語期の乳児の心にまで辿れることを示唆している。



参考文献:
Kanakogi Y. et al.(2017): Preverbal infants affirm third-party interventions that protect victims from aggressors. Nature Human Behaviour, 1, 0037.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-016-0037
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鈴木紀之『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』

2017/06/04 00:00
 これは6月4日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年5月に刊行されました。本書は、一見すると「不合理」な進化を適応主義的な観点から検証していきます。擬態が不完全だったり、「求愛エラー(繁殖能力のある子孫を残せない近縁種との生殖行動)」を起こしたりするのは、遺伝子など何らかの制約に起因する、といった制約を重視する説にたいして、本書はあくまでも、一見すると「不合理」な進化のなかに、適応主義的な理由があるのではないか、と追及していきます。

 本書はおもに昆虫を対象として、さまざまな一見すると「不合理」な進化の要因を検証していきます。本書は一般向けであることを強く意識してか、理論的な解説もあるものの、多くの具体的な事例を提示しています。本書は、進化をどう把握するのかという、思想的な問題を提起していますが、具体的な事例が豊富で面白いので、単純に雑学本として気楽に読み進めることもできるでしょう。ただ、本書は進化の奥深さ・面白さについて説明するのにも成功していると言えるでしょうから、単に雑学本として読んでしまうのはもったいないようにも思います。

 もちろん、本書でも認められているように、本書の内容は、あくまでも著者が現時点で最も説得力のあると考えている見解にすぎないわけで、今後の研究の進展により大きく見直されたり否定されたりすることもあり得ますから、鵜呑みは禁物です。それでも、一見すると不可解な進化について、単純な説明で終わらせるのではなく、さまざまな理由を検証しなければいけない、という本書の基本的な姿勢は今後も有効であり続けるでしょう。

 食資源を特定の植物に依存する昆虫と植物との関係を共進化で把握する説にたいして、近縁他種との競合も大きな要因になり得ると説明し、じっさい競合相手となる近縁他種のいない地域では他の植物も食資源として利用している例の紹介や、「求愛エラー」を制約としてよりも、近縁他種がいる場合における繁殖の範囲を狭めないための合理的な戦略だと把握する見解など、本書は魅力的な見解に満ちていると思います。他種との交雑に関しては、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との事例も取り上げられています。



参考文献:
鈴木紀之(2017)『すごい進化 「見すると不合理」の謎を解く』(中央公論新社)
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初期恐竜の進化

2017/06/03 00:00
 これは6月3日分の記事として掲載しておきます。初期恐竜の進化に関する研究(Nesbitt et al., 2017)が公表されました。現生主竜類の鳥類とワニ類が共通祖先から分岐したのは三畳紀のことでした。これは、陸生脊椎動物の進化における主要な移行期で、四肢の比率と体サイズの変化が関係していましたが、こうした新機軸は化石記録にほとんど残っていません。この研究は、鳥類の幹系統で最も原始的なものの一つである化石(Teleocrater rhadinus)について報告しています。Teleocrater rhadinusはタンザニアの三畳紀中期の地層で発見され、細身の四足歩行の肉食動物で、主竜類の進化史上の同時代の動物として描かれることの多い小型の二足歩行動物よりもワニ類に似ています。

 この研究は、Teleocraterをまったく新しい爬虫類のクレード「Aphanosauria」に分類しました。Aphanosauriaは、翼竜類と恐竜類に分かれる前の主竜類の鳥類系統の基部に位置しています。このクレードに属する動物は過渡的な形態的特徴を有し、たとえば、ワニ類のような足関節といった鳥類とワニ類の最終共通祖先の特徴と、恐竜の典型的な特徴の一部を併せ持っています。こうした知見から、これら初期の幹系統の鳥類には、これまで考えられていたよりかなり多くの種が含まれており、広範囲の地理的分布が示され、形態的にも多様だった、と示唆されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用です。


【古生物学】恐竜のボディープランの進化過程について再考を迫る化石

 主竜類の鳥類系統の新属新種とされる化石の分析が行われ、これまで恐竜に特有のものと考えられていた数種の特徴が実際に進化したのは、かなり早く、鳥類とワニ類が分岐した直後だったことが示唆されている。この新知見は、初期恐竜の進化について再考を迫るものといえる。この研究成果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。

 現生主竜類の鳥類とワニ類が共通祖先から分岐したのは三畳紀のことだった。これは、陸生脊椎動物の進化における主要な移行期であり、四肢の比率と体サイズの変化が関係していたが、こうした新機軸は、化石記録にほとんど残っていない。今回、Sterling Nesbittたちの研究グループは、鳥類の幹系統で最も原始的なものの1つであるTeleocrater rhadinusの化石について記述している。この化石は、タンザニアの三畳紀中期の地層から出土したものであり、T. rhadinusは、細身の四足歩行の肉食動物で、主竜類の進化史上の同時代の動物として描かれることの多い小型の二足歩行動物よりもワニ類に似ている。

 Nesbittたちは、Teleocraterを全く新しい爬虫類のクレード(Aphanosauriaと命名された)に分類した。Aphanosauriaは、翼竜類と恐竜類に分かれる前の主竜類の鳥類系統の基部に位置している。このクレードに属する動物は、過渡的な形態的特徴を有し、鳥類とワニ類の最終共通祖先の特徴(例えば、ワニ類のような足関節)と恐竜の典型的な特徴の一部を併せ持っている。以上をまとめると、これらの初期の幹系統の鳥類は、これまで考えられていたよりかなり多くの種が含まれており、広範囲の地理的分布を示し、形態的にも多様だったことが今回の研究によって示唆されている。



参考文献:
Nesbitt SJ et al.(2017): The earliest bird-line archosaurs and the assembly of the dinosaur body plan. Nature, 544, 7651, 484–487.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22037
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タイトル 日 時
現生鳥類のような羽毛を持っていた鳥類様恐竜
 これは5月31日分の記事として掲載しておきます。現生鳥類のような羽毛を持っていた鳥類様恐竜に関する研究(Xu et al., 2017)が公表されました。この研究は、中国東北部で発見された、羽毛の保存されたほぼ完全な骨格化石から新種(Jianianhualong tengi)を同定しました。この化石の年代は、白亜紀前期(約1億4500万〜1億年前)と推定されています。非対称の羽毛は飛翔能力のある現生鳥類からも飛翔能力のない現生鳥類からも見つかっており、この新種化石に飛翔能力があったのかどうか不... ...続きを見る

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2017/05/31 00:00
マウスの子育ての遺伝的性質
 マウスの子育ての遺伝的性質に関する研究(Bendesky et al., 2017)が公表されました。哺乳類の養育行動は個体差・性差・種差が大きいと明らかになっていますが、マウスの場合には、仔の移動・寄せ合い・仔の面倒を見ること・仔の毛づくろい・営巣などの行動が含まれています。しかし、そうした行動を引き起こす遺伝的機構と進化的機構については、解明が進んでいません。この研究は、乱婚型のシカシロアシマウス(Peromyscus maniculatus)と一雄一雌型のハイイロシロアシマウス(Pero... ...続きを見る

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2017/05/19 00:00
真菌類の起源
 真菌類の起源に関する研究(Bengtson et al., 2017)が公表されました。控えめの推定では、真菌類は約4億年前に出現したと示唆されていますが、近年の研究では、14億年前の真菌類の化石証拠と考えられるものが報告された例もあります。真核生物の系統樹の枝は約27億年前に生じたと示唆されていますが、現時点で最古となる既知の真核生物(全ての動植物および真菌類を含み、真正細菌および古細菌を含まない生物群)化石であるグリパニア=スピラリス(Grypania spiralis)の年代は19億年前... ...続きを見る

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2017/05/18 00:00
ペンギンに大きな影響を及ぼした火山噴火
 これは5月16日分の記事として掲載しておきます。ペンギンにたいする火山噴火の影響についての研究(Roberts et al., 2017)が公表されました。南極半島の北部沖合に浮かぶアードレイ島には、多様性を示す大型のペンギンコロニーが存在しています。しかし、ジェンツーペンギンの個体数が増加している一方で、アデリーペンギンとヒゲペンギンの個体数が減少しており、温暖化と海氷面積の変化により多様性は脅かされています。ただ、このコロニーに関する長期記録がないため、このコロニーの過去の変化の解明とそれ... ...続きを見る

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2017/05/16 00:00
進化的放散と衰退の速度
 進化的放散と衰退の速度に関する研究(Lim, and Marshall., 2017)が公表されました。種の豊かさ(種数)の変化速度と、生物的環境および非生物的環境の変化との関係を明らかにすることは、進化生物学における重大な目標の一つとされています。しかし、優れた化石記録や地質記録から手掛かりが得られる場合もあるものの、ほとんどの分類群では質の高い化石記録が欠如しています。そのため、クレードの多様性動態の研究では、多様化の速度変化を環境変化や形質変化と相関させるというような、分子系統学的手法に... ...続きを見る

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2017/05/12 00:00
植物の進化は花粉媒介生物の種類に応じて異なる
 これは5月6日分の記事として掲載しておきます。植物の進化と花粉媒介生物の種類に関する研究(Gervasi, and Schiestl., 2017)が公表されました。花粉媒介生物に応じた植物の進化に関する過去の研究は野外で行なわれており、花粉媒介生物以外の要因で植物の特徴に変化が生じる可能性がありました。この研究では、花粉媒介生物それ自体が植物の進化に及ぼす影響を分離できる実験系が用いられました。 ...続きを見る

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2017/05/06 00:00
雨が降ると土壌中の細菌が大気中に運ばれる
 これは4月22日分の記事として掲載しておきます。雨が降ると土壌中の細菌が大気中に運ばれることを明らかにした研究(Joung et al., 2017)が公表されました。これまで、雨滴が土壌に衝突するとエアロゾル(大気中に浮遊する水滴)が生成することは明らかになっていました。土壌が細菌にとって中間的な生息地の機能を果たしている可能性はあるものの、細菌はエアロゾル化過程を生き延びることができないと考えられていたので、細菌がどのようにして大気中に移動するのか、明らかになっていませんでした。 ...続きを見る

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2017/04/22 00:00
地球上の動物の分布の要因
 これは4月21日分の記事として掲載しておきます。地球上の動物の分布の要因に関する研究(Ficetola et al., 2017)が公表されました。近い種類の動物は世界の同一地域に共存する傾向があり、それは「生物地理区」として知られています。たとえば、ウォレス線はインドネシアを通る明確な境界を認めており、その両側の動物群は、それぞれオーストラリアとアジアにみられる動物群との近縁度が高くなっています。しかし、地球全体にこのような境界を形成する力は、これまで明らかにはされていませんでした。 ...続きを見る

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2017/04/21 00:00
更新世において間氷期をもたらす要因
 これは4月14日分の記事として掲載しておきます。更新世において間氷期をもたらす要因についての研究(Tzedakis et al., 2017)が公表されました。全般的に気候が寒冷だった更新世の温暖な期間である間氷期の存在は、さまざまな証拠からよく知られています。日射量の変化のタイミングは、地球と太陽の幾何学的配置の小さな変動によって調節されていますが、間氷期のタイミングや、間氷期の契機となるのに必要な軌道配置の明らかな変化について、明確な説明はまだ困難です。この研究は、夏季の日射量の閾値に基づ... ...続きを見る

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2017/04/14 00:00
最古の生命の痕跡
 最古の生命の痕跡に関する研究(Dodd et al., 2017)が公表されました。海底の熱水噴出孔は、地球上における最初期の、生物が生息可能な環境の一つだったと考えられています。この研究は、少なくとも37億7000万年前の熱水噴出孔の内部および周囲に見られる生命の痕跡と推定されるものが、地球最古の生命の証拠である可能性を示唆しています。カナダのケベック州北部で発見された碧玉および炭酸塩岩に、糸状微生物の存在を示すと考えられる構造体が保存されており、こうした構造体に赤鉄鉱からなる管状のものが含... ...続きを見る

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2017/04/13 00:00
負担になりかねない絶滅種の復活
 絶滅種の復活が地域に及ぼす影響に関する研究(Bennett et al., 2017)が公表されました。この研究は、費用便益分析を行ない、ニュージーランドおよびオーストラリアのニューサウスウェールズ州の政府にとって、保護する余裕を持てる生物種の数を算出しました。費用の推定は、最近の絶滅種および類似の現生種に基づいています。分析の結果、最近の絶滅種の一部を元の生息地に再導入すると、局地的には現存の生物多様性が向上する可能性があるものの、ニュージーランドでは、全11種の絶滅焦点生物種を政府資金で保... ...続きを見る

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2017/04/12 00:21
ヒトの身長に関連する遺伝子群
 これは4月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトの身長に関連する遺伝子群についての研究(Marouli et al., 2017)が公表されました。ヒトの身長には複数の遺伝子が関与しており、複雑な形質の遺伝的解析のモデルとされてきました。ゲノム規模の関連研究によって、これまでに約700のありふれた多様体が身長と関連づけられていますが、低頻度の多様体や希少な多様体が果たす役割については、系統的な評価が行なわれていませんでした。この研究は、71万1418人のゲノムのコード領域を解析し、身長に関連... ...続きを見る

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2017/04/07 00:00
初期の軟体動物の形態
 初期の軟体動物の形態に関する研究(Vinther et al., 2017)が公表されました。カタツムリからダイオウイカまで、外見の大きく異なる多様な動物群で構成される軟体動物門は、最も繁栄を遂げた動物門の一つです。しかし、軟体動物は5億年前頃のカンブリア紀に急速に進化したため、その初期の歴史、特に最初期の形態に関しては、今でも議論が続いています。この研究は、バージェス頁岩型の動物相で知られる、モロッコのオルドビス紀のFezouata累層から発見された化石について報告しています。 ...続きを見る

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2017/04/06 00:00
カメ類が甲羅に収納する機構を発達させた理由
 カメ類が甲羅に収納する機構を発達させた理由に関する研究(Anquetin et al., 2017)が公表されました。これまで、カメ類が甲羅に収納する機構を発達させたのは、頭と首を防護する選択圧のためだとされてきました。現生カメ類の2系統は、それぞれ異なる収納機構を発達させました。曲頸亜目のカメは、首を横に曲げて収納するのに対して、潜頸亜目のカメは、首を垂直方向に曲げ、頭を真っすぐ引いて収納します。この二つの機構は、1億6100万年〜1億4500万年前頃のジュラ紀後期以降に独立に進化したと考え... ...続きを見る

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2017/03/30 00:00
鳥類のくちばしの形状の進化
 これは3月25日分の記事として掲載しておきます。鳥類のくちばしの形状の進化に関する研究(Cooney et al., 2017)が公表されました。この研究は、2000種を超す鳥類の分析から、くちばしの形状の多様性は、鳥類の進化がより沈静化した状態に落ち着く以前の初期段階に拡大したことを明らかにし、ダーウィンの「くさび」式の自然淘汰説を支持しています。しかし、このパターンは時間的変動とは連動しておらず、初期の進化の速度はその後の進化とさほど変わりませんでした。また、系統樹の枝に沿って進化速度が急... ...続きを見る

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2017/03/25 00:00
大きく変わるかもしれない恐竜の系統樹
 これは3月24日分の記事として掲載しておきます。恐竜の系統樹の見直しに関する研究(Baron et al., 2017)が公表されました。恐竜は過去130年間ほど、鳥式骨盤を特徴とする鳥盤目と爬虫類に似た骨盤を持つ竜盤目という2主要分類群(クレード)に分類されてきました。鳥盤目には鳥脚亜目(イグアノドンなど)と装甲恐竜(トリケラトプス、ステゴサウルスなど)が含まれ、竜盤目には肉食の獣脚亜目(ティラノサウルス=レックスなど)と巨大な竜脚亜目(ディプロドクスなど)が含まれています。 ...続きを見る

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2017/03/24 00:00
高地に順応する方法を「記憶」している血液細胞
 これは3月23日分の記事として掲載しておきます。赤血球が高地へ順応する仕組みについての研究(Song et al., 2017)が公表されました。ヒトの体は、低酸素状態を生き延びるために適応応答を起こして、体内組織への酸素供給を促進します。そうした適応応答の一つがアデノシンという化学物質の放出で、これにより血管漏出が防止され、炎症が軽減されて、血管が拡張して組織の損傷が減ります。これまでの研究では、高地に繰り返して行くことで低酸素環境への適応が加速されることが明らかになっていましたが、このよう... ...続きを見る

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2017/03/23 00:00
『カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論』
 これは3月19日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2017年1月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。第1巻については、すでにこのブログで取り上げています(関連記事)。第2巻はとくに淘汰を重点的に解説しており、第5章「進化のメカニズム─遺伝的浮動と自然淘汰」・第6章「量的遺伝学と表現型の進化」・第7章「自然淘汰... ...続きを見る

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2017/03/19 00:00
化学物質に汚染されている海洋最深部
 海洋最深部の汚染に関する研究(Jamieson et al., 2017)が公表されました。この研究は、太平洋のマリアナ海溝とケルマデック海溝の最深部に生息する生物の試料を引き揚げるために、両海溝の水深の測定が可能な深海探査船を利用しました。分析の結果、端脚目甲殻類の脂肪組織には、絶縁油として一般的なポリ塩化ビフェニル(PCB)や、難燃剤として広く使用されるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)など、残留性有機汚染物質(POP)が極めて高レベルで発見されました。 ...続きを見る

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2017/03/18 00:35
最古の新口動物
 これは3月17日分の記事として掲載しておきます。最古の新口動物に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。新口動物には脊椎動物・ヒトデ類・ギボシムシ類・被嚢動物などさまざまな異なる生物が含まれています。このように多種多様であり、形態上の中間的生物が現存していないため、初期の新口動物がどのようなものであったか、解明は困難です。この研究は、中国の陝西省で発見された、カンブリア紀最初期の微小な化石群を報告しています。この化石群は袋状の体を持っている一方で肛門を持っておらず、その... ...続きを見る

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2017/03/17 00:00
シルクロードの形成過程
 これは3月15日分の記事として掲載しておきます。シルクロードの形成過程に関する研究(Frachetti et al., 2017)が公表されました。現在の中国から地中海東岸、さらにその先まで伸びる複雑な交易路網であるシルクロードは、その途中でいくつもの苛酷な山岳地帯を通り抜けています。シルクロードがどのように形成されたのか、どのような要因がシルクロードの地理的特性に影響を与えたのか、まだ確証はありません。これまで、シルクロードの形成をモデル化しようとした研究はありますが、経路網上の既知の地点を... ...続きを見る

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2017/03/15 00:00
新生児は成人と同様に視覚処理ができる
 これは3月14日分の記事として掲載しておきます。新生児の視覚処理に関する研究(Deen et al., 2017)が公表されました。成人の大脳皮質の視覚野は、顔・物体・風景など目に見えるもの全てをそれぞれ処理する領域に分かれています。ただ、こうした領域が周辺環境にさらされたために形成されたのか、それとも若い頃から存在していたのかは、まだ明らかになっていません。この研究は、9人の乳児(生後4〜6か月)を機能的磁気共鳴画像装置の中に寝かせたままで、さまざまな画像を見せて画像データを取得しました。こ... ...続きを見る

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2017/03/14 00:00
食虫植物の進化(追記有)
 食虫植物の進化に関する研究(Fukushima et al., 2017)が公表されました。オーストラリアの嚢状葉植物であるフクロユキノシタ(Cephalotus follicularis)は、獲物の動物を消化することができる液体で満たされた捕虫葉と非捕虫葉(普通葉)の両方を作ります。これは、両者の比較により食虫性がどのように発達したのか分かることを意味しています。この研究は、フクロユキノシタのゲノム塩基配列を解読し、両タイプの葉の全ゲノム的な発現パターンを比較することにより、獲物の誘引・捕獲... ...続きを見る

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2017/03/09 00:00
肥満と糖尿病の関係
 肥満と糖尿病の関係についての研究(Wahl et al., 2017)が公表されました。肥満は2型糖尿病や関連する代謝疾患の主要なリスク因子です。遺伝子関連研究により肥満に関連するゲノムの座位が明らかにされており、最近の研究でもDNAメチル化との関連が示唆されています。この研究では、ボディーマス指数(BMI)に関してエピゲノム全体にわたる検証が行なわれ、血液および脂肪組織では187の座位でDNAメチル化との関連が明らかになりました。また、これらのメチル化の変化は肥満の結果として生じ、従来のリス... ...続きを見る

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2017/03/08 00:16
『カラー図解 進化の教科書 第1巻 進化の歴史』
 これは3月5日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2016年11月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。本書は、進化の具体的な過程とともに、進化の基本的な仕組みについての解説にもなっており、進化の入門書としてたいへん優れていると思います。豊富な具体的な事例が本書の特徴で、一般層にも面白く読める構成にしよう、との意... ...続きを見る

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2017/03/05 00:00
オルドビス紀における海洋生物多様性爆発の要因
 これは3月3日分の記事として掲載しておきます。オルドビス紀における海洋生物多様性爆発の要因に関する研究(Lindskog et al., 2017)が公表されました。オルドビス紀の4億7100万年前頃には海洋生物の多様性が大きく増加したとされています。これはGOBE(Great Ordovician Biodiversification Event)と呼ばれており、ほぼ同時期に起こったと推測されている地球上での激しい隕石爆撃現象に関連したものと考えられていました。 ...続きを見る

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2017/03/03 00:00
真核生物の性質を持つ古細菌
 真核生物の性質を持つ古細菌(アーキア)に関する研究(Zaremba-Niedzwiedzka et al., 2017)が公表されました。真核細胞が祖先の原核細胞からどのように生じたのか、まだ明らかになっていませんが、真核生物の起源は原核生物の1群である古細菌だと徐々に明らかになってきています。最近の研究では、ロキアーキオータ(Lokiarchaeota)門やThorarchaeota門などの古細菌分類群には、真核生物に特異的と考えられていた多くのタンパク質をコードする遺伝子が含まれていること... ...続きを見る

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2017/03/01 00:00
加齢によるリスク選好の変化は脳構造の変化に起因する
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。加齢によるリスク選好の変化に関する研究(Grubb et al., 2016)が公表されました。ヒトがリスク(予測できない結果)を伴う意思決定を行うさいには、右後部頭頂皮質という脳領域が活動しています。これまでの研究では、この領域の灰白質の量が若年成人のリスク選好と相関していることが明らかになっています。ヒトでは、昔から知っていて見慣れたものを選ぶ傾向は、年齢を重ねるにつれて顕著になります。ヒトは年をとるとリスクのある決定をあまりしなくなるわけで... ...続きを見る

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2017/02/25 00:00
「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。表題の記事がナショナルジオグラフィックに掲載されました。正直なところ、表題を読んだ時には、男女には本質的な違いはないとか、性別を重視すること自体が社会的に構築されたものだとか、性別自体が生物学的に否定されているとかいった言説が展開されるのではないか、とかなり警戒したのですが、以前からの私の見解にひじょうに近いところがあり、かなり同意できる内容でした。もっとも、表題の記事で男女差の事例とされた課題実験も、社会的に構築された性差の構造に起因するものに... ...続きを見る

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2017/02/20 00:00
ハインリッヒイベントの要因
 ハインリッヒイベントの要因に関する研究(Bassis et al., 2017)が公表されました。ハインリッヒイベントは、ローレンタイド氷床などの氷床から北大西洋へ多数の氷山が流出する大規模な事象です。しかし、数十年にわたる研究で多数の見解が提示されているにも関わらず、ハインリッヒイベントを起こす機構に関してはまだ激しい議論が続いています。この研究は、新しいモデルによる証拠を提示し、ハインリッヒイベントが驚くほど単純な機構によって起こることを示しています。それは、暖かい海水の流入が氷床の分離面... ...続きを見る

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2017/02/18 00:00
古生代の触手冠動物であるヒオリテス類
 ヒオリテス類の分類に関する研究(Moysiuk et al., 2017)が公表されました。ヒオリテス類は、古生代を通して広く存在した、殻を持つ化石生物です。その姿は蓋付きの角杯のようで、杯を支えるようにカーブした2本の突起(「ヘレン」と呼ばれます)があり、三脚付きの角形の殻にも見えます。ヒオリテス類は、冠輪動物(環形動物・軟体動物・腕足動物などの触手冠を有する動物)と呼ばれる無脊椎動物の分類群に属すると考えられていますが、あまりに特異なため、その類縁関係を判断することは困難でした。 ...続きを見る

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2017/02/15 00:00
脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構についての研究(Falco et al., 2016)が公表されました。この研究は、2つの対象物や2人の関連性の強さについて、1対の画像にたいするヒトの神経活動を測定することで、この関連性の程度を予測できることを明らかにしました。この研究は、癲癇治療のため電極を埋め込まれた49人の被験者のニューロンの発火パターンを測定する実験を行ないました。この実験では、被験者に一定数の画像が見せられ、個々のニュー... ...続きを見る

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2017/02/09 00:00
換歯の起源
 これは2月5日分の記事として掲載しておきます。換歯の起源に関する研究(Chen et al., 2016)が公表されました。人間の子供の乳歯が脱落するとき、抜け落ちるのは歯冠で、歯根は吸収されます。この研究は、4億2400万年前頃のステム群硬骨魚類アンドレオレピスの一種(Andreolepis hedei)の歯列について三次元構造を明らかにし、換歯に関する新たな情報を得ました。その結果、アンドレオレピスの歯の脱落は、基部組織の吸収によって起こっていたことが明らかになりました。これは換歯が確認さ... ...続きを見る

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2017/02/05 00:00
ギンザメ類の起源
 ギンザメ類(全頭亜綱)の進化系統樹における位置づけについての研究(Coates et al., 2017)が公表されました。ギンザメ類は軟骨魚類の主要な分類群で、サメ類やエイ類と類縁とされています。しかし、ギンザメ類の外観はひじょうに特徴的で、進化的な状況における位置づけが困難なため、その類縁関係は不明瞭とされています。ギンザメ類の眼は眼窩が脳の形をゆがめてしまうほどに大きく、奇妙で特徴的な歯を有しています。 ...続きを見る

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2017/02/01 00:00
妊娠により変わる女性の脳の構造
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。妊娠による女性の脳の構造の変化に関する研究(Hoekzema et al., 2017)が公表されました。妊娠すると、ホルモンの濃度が急上昇するため、体に急激な生理的変化と物理的変化が生じます。思春期のホルモン変化といったそれほど急激でないホルモンの変化があっても、脳の構造と機能が変化することが明らかになっていますが、妊娠により女性の脳の構造がどのように変化するのか、まだ解明されていません。この研究は、妊娠・出産を初めて経験した25人の女性を妊娠... ...続きを見る

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2017/01/31 00:00
音楽の普遍的な特徴の変化
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。音楽の普遍的な特徴の変化に関する研究(Ravignani et al., 2016)が公表されました。世界には多種多様なヒトの音楽がありますが、文化圏の違いに関わらず類似性が認められます。また、ヒトの音楽は本質的に構造を持ちますが、そうした構造的規則性が生まれる仕組みは不明です。この研究はそうした現象を調べるために、音楽の進化のシミュレーションを実験室で実施しました。まず、実験参加者の第1グループが、ランダムに作られたドラムの音の連なりを聞き、そ... ...続きを見る

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2017/01/28 00:00
コウモリの喉頭反響定位能力の進化
 これは1月27日分の記事として掲載しておきます。コウモリの喉頭反響定位能力の進化に関する研究(Wang et al., 2017)が公表されました。コウモリは、喉頭で発生させたソナーシグナルの反響を内耳で検知することによるナビゲーション能力(喉頭反響定位能力)を有しています。しかし、一部のコウモリ種はこの方法で反響定位を行なうことができません。化石証拠も遺伝学的証拠も、喉頭反響定位を利用するコウモリが単一の進化群を形成しない、と示唆しています。これは、反響定位の進化が2回以上起きたか、もしくは... ...続きを見る

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2017/01/27 00:00
初期の四肢動物の化石空白期間
 初期の四肢動物(最初の4本足の脊椎動物)の化石空白期間に関する研究(Clack et al., 2017)が公表されました。3億5800万年前頃となる後期デボン紀の大量絶滅以前の四肢動物は、指が多く、かなり魚類に似たものでした。ローマーの空白として知られるその時期以後の化石は指の数が減り、現在の陸生脊椎動物に姿が近づいています。化石記録に外見上の空白がある理由は明らかにされていませんが、酸素レベルの低さが四肢動物の数および多様性を制限していた、と示唆されています。 ...続きを見る

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2017/01/20 00:00
マウスと霊長類で作用の異なる因子Osteocrin
 これは1月15日分の記事として掲載しておきます。マウスと霊長類で作用の異なる因子に関する研究(Ataman et al., 2016)が公表されました。脳の発生を促す遺伝子発現ネットワーク研究の多くは、マウスを用いて行なわれてきました。マウスと比較すると、他の動物群、とくに霊長類での発現ネットワークについて得られている知識はわずかで、大脳皮質が非常に発達した霊長類では、マウスモデルと異なる可能性があります。この研究は、マウスの非神経性の分泌因子であるOsteocrinは、霊長類では進化の過程に... ...続きを見る

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2017/01/15 00:00
アマゾン低地における過去45000年間の水文気候の変化
 アマゾン低地における過去45000年間の水文気候の変化に関する研究(Wang et al., 2017)が公表されました。アマゾンの森林は、気候変動と生物化学的変動の大部分にたいして、年々から1000年の時間スケールで応答するとともに、影響も及ぼしています。しかし、この地域における過去の気候変動の分解能の高い記録を手に入れるのは難しく、最終氷期極大期(LGM)において、アマゾンの森林が湿潤だったのか、それとも乾燥していたのかについてすら、これまでよく分かっていませんでした。 ...続きを見る

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2017/01/14 00:00
四肢類の指の起源
 これは1月13日分の記事として掲載しておきます。四肢類の指の起源に関する研究(Nakamura et al., 2016)が報道されました。陸上哺乳類の手足は魚の鰭から進化したことが明らかになっています。しかし、鰭のどの部分が指や手首になったかは不明でした。この研究は、熱帯魚ゼブラフィッシュの鰭において、四肢類の肢や指の発生で主要な役割を担っているHox遺伝子の細胞系譜解析とノックアウト解析を行ない、鰭と肢におけるHox遺伝子の機能を比較しました。その結果、HoxAとHoxDの遺伝子クラスター... ...続きを見る

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2017/01/13 00:00
小原嘉明『入門!進化生物学 ダーウィンからDNAが拓く新世界へ』
 これは1月12日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年12月に刊行されました。本書は、現在の進化学の成果とともに学説史を参照し、進化学がどのように成立・展開してきたのか、分かりやすく解説しています。題名に入門とありますが、日本語で読める進化学の最新の入門書としてたいへん優れていると思います。これは、理論的な問題を扱いつつも、本書があくまでも具体的事例を取り上げて解説しようとしているからでもあるのでしょう。近いうちにまた再読したい一冊です。 ...続きを見る

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2017/01/12 00:00
渉禽類の社会的に同調されたリズムの多様性
 これは1月8日分の記事として掲載しておきます。渉禽類(シギ・チドリ類)の社会的に同調されたリズムの多様性に関する研究(Bulla et al., 2016)が公表されました。生物リズムはあらゆる生物に認められますが、社会性の種では、こうしたリズムを集団内の他の個体と同調させる必要があります。この研究は、あらゆる生物に認められる生物リズムが、社会性の種ではどのように集団内の他の個体と同調しているのか、検証しています。この研究が対象としたのは渉禽類(シギ・チドリ類)32種で、91個体群の729の巣... ...続きを見る

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2017/01/08 00:00
能動的に植物を栽培するアリ
 これは1月6日分の記事として掲載しておきます。能動的に植物を栽培するアリについての研究(Chomicki, and Renner., 2016)が公表されました。菌類を栽培するハキリアリや甲虫類など複数種の動物は、他の生物を世話して育てるという、栽培する互恵関係を発達させました。この研究は、フィジーの島々にいるアリ(Philidris nagasau)が、少なくとも6種のSquamellaria属植物(体を支えるためにほかの植物や樹木に付着して地上で生育し、栄養素を求めて地面まで伸びることのな... ...続きを見る

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2017/01/06 00:00
5本指の四肢動物の進化
 これは1月3日分の記事として掲載しておきます。5本指の四肢動物の進化に関する研究(Kherdjemil et al., 2016)が公表されました。肢が4本の陸上脊椎動物のほとんどは、肢1本につき指趾が5本あり、この数が変異によって変動する場合には例外なく、典型的な5本からの減少が起きます。しかし、「五指性」と呼ばれるこの状態は初めから四肢動物の典型だったわけではなく、初期の四肢動物には、肢1本当たり指趾が6〜8本存在しました。このような「多指性」は、現在では希少な変異でしか見られません。この... ...続きを見る

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2017/01/03 00:00
2億7000万年前頃にさかのぼる昆虫の葉への擬態
 これは12月28日分の記事として掲載しておきます。昆虫の葉への擬態に関する研究(Garrouste et al., 2016)が公表されました。キリギリスの現生種については葉の擬態がよく知られており、それにより捕食者の目の前で身を隠すことができます。これまで、葉の擬態の最古の証拠は中生代(2億5200万〜6600万年前頃)のものであり、キリギリス類自体の起源が、中生代のジュラ紀(2億100万〜1億4500万年前頃)だと考えられていました。この研究は、フランス南東部で出土した、ペルム紀中期となる... ...続きを見る

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2016/12/28 00:00
男女平等と病原体の罹患率の関係
 これは12月14日分の記事として掲載しておきます。男女平等と病原体の罹患率の関係についての研究(Varnum, and Grossmann., 2016)が公表されました。異なる社会間にみられる男女差および社会内にみられる男女差については詳しく調べられているものの、男女平等の程度の変化をもたらす要因については、ほとんど分かっていません。この研究は、米国については1951〜2013年の、英国については1945〜2014年のアーカイブデータを使い、感染症・リソースの不足・戦争・気候ストレスという四... ...続きを見る

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2016/12/14 00:00
寒冷期に多様化した海生甲殻類
 これは12月13日分の記事として掲載しておきます。海生甲殻類の種分化速度と気候変動についての研究(Davis et al., 2016)が公表されました。気候変動により、生物種の生息場所が生息に適さなくなり、絶滅速度が上昇する場合がある一方で、全球気温の上昇により陸生脊椎動物と海生脊椎動物の種分化速度が上昇する、という気候と種分化速度の関係が複数の研究によって明らかになっています。この研究は、過去2億年の異尾下目における種分化速度と気候の関係を調べた結果、種分化速度の顕著な変化が起きたのは過去... ...続きを見る

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2016/12/13 00:00
後期青銅器時代におけるサントリーニ火山噴火後の大洪水の原因
 これは12月10日分の記事として掲載しておきます。後期青銅器時代におけるサントリーニ火山噴火後の大洪水の原因に関する研究(Nomikou et al., 2016)が公表されました。後期青銅器時代のサントリーニ火山噴火による津波は、ミノア文明の終焉につながる一因だったとする見解が提示されており、9 m以上の高波があったことを示す証拠が、ギリシアのクレタ島のミノア遺跡の発掘現場で発見されています。じゅうらいの研究では、カルデラ(火山クレーター)が海側に崩壊したことが噴火後の津波の原因だった、とい... ...続きを見る

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2016/12/10 00:00
じゅうらいの推定よりも多様性の大きい細菌
 細菌(真正細菌)の多様性の見直しに関する研究(Hug et al., 2016)が公表されました。現在、生物の最上位の分類水準とされるドメインでは、細菌(真正細菌)・古細菌・真核生物という3区分が一般的です。じゅうらい、系統樹の作成にさいしては、ヒトを含む真核生物の詳しく分類されている既知の系統に焦点が絞られていましたが、これまで調べられていなかった環境からのゲノム採集やゲノム塩基配列解読の新しい手法が登場し、生命の多様性に関する理解は大きく変化しつつあります。 ...続きを見る

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2016/12/01 00:00
ネオニコチノイド系殺虫剤の野生ミツバチへの長期的影響
 これは11月17日分の記事として掲載しておきます。ネオニコチノイド系殺虫剤の野生ミツバチへの長期的影響に関する研究(Woodcock et al., 2016)が公表されました。すでにネオニコチノイド系薬剤によるミツバチのコロニーへの悪影響は指摘されていますが(関連記事)、これまでの研究のほとんどは、実験的状況で短期的影響だけを調べていました。この研究は、1994〜2011年にかけての、栽培作物であるセイヨウアブラナへのネオニコチノイドの大量使用が、イギリス国内の62種の野生ミツバチの個体数変... ...続きを見る

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2016/11/25 00:00
更科功 『爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った』
 新潮新書の一冊として、新潮社から2016年9月に刊行されました。本書は生物の進化におけるさまざまな重要点を取り上げ、進化史を解説しています。新書で短い分量なのですが、生物の進化における要点を一般層にも分かりやすく簡潔に解説できているように思います。一般向け書籍であることを強く意識した構成・文体になっており、一般向けの進化史概説としてなかなか興味深い内容になっています。各分野の専門家からは色々と批判があるのかもしれませんが、なかなか興味深く読み進められました。 ...続きを見る

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2016/10/18 00:00
代謝や老化に影響するミトコンドリアDNA
 これは9月17日分の記事として掲載しておきます。ミトコンドリアDNAの代謝や老化への影響に関する研究(Latorre-Pellicer et al., 2016)が公表されました。この研究は、マウスを用いて、ミトコンドリアが、インスリンシグナル伝達・肥満・テロメアの短縮などといったさまざまな生理学的性質に強い影響を及ぼし、その結果平均生存期間に違いが出ることを明らかにしました。病的ではないミトコンドリアDNA多様体でも代謝では幅広い影響をもたらし、高齢期になるとその影響が大きく現れます。この研... ...続きを見る

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2016/09/17 00:00
クローン動物の老化
 これは9月15日分の記事として掲載しておきます。クローンヒツジの健康の影響に関する研究(Sinclair et al., 2016)が公表されました。クローンヒツジのドリーは1996年7月に生まれ、6歳半という比較的若い頃に変形性関節症で死にました。この結果により、クローン動物が普通に生まれた動物よりも早く老化し、より不健康な老化を起こすのではないか、と懸念されました。この研究は、7〜9歳の13頭のクローンヒツジを調べました。そのうち4頭はドリーと同じ乳腺細胞株の核を用いて作製されたクローン動... ...続きを見る

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2016/09/15 00:00
鉄の多い熱水環境で誕生した生物
 これは9月13日分の記事として掲載しておきます。全生物最終共通祖先(LUCA)の誕生した環境に関する研究(Weiss et al., 2016)が公表されました。この研究は、LUCAに起源を持つ可能性のある古代の遺伝子を探すため、原核生物(単細胞)のタンパク質コード遺伝子610万個の進化上の関係を解析しました。この研究の厳しい基準に適合したのは355個のタンパク質群だけでしたが、LUCAが嫌気的(成長に酸素を必要としない)で、高温を好み(比較的高温で繁殖する)、二酸化炭素・窒素・水素を利用して... ...続きを見る

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2016/09/13 00:00
アジアモンスーンの64万年間の記録
 アジアモンスーンの64万年間の記録に関する研究(Cheng et al., 2016)が公表されました。この研究は、ウラン・トリウム年代測定法で測定できる最古の年代に近い64万年前頃までさかのぼる洞窟二次生成物の記録を、中国の洞窟の試料から得ました。これにより、10万年の氷期サイクルが歳差周期の整数(4または5)倍に対応し、日射がモンスーン強度の1000年スケールの変動に影響を及ぼしていることが裏づけられた、と指摘されています。気候変動は人類の進化とも大きく関わっているだけに、今後の研究の進展... ...続きを見る

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2016/08/27 00:00
過去最大の大量絶滅とその後の長い回復期間の要因
 これは8月26日分の記事として掲載しておきます。過去最大の大量絶滅とその後の長い回復期間の要因に関する研究(Clarkson et al., 2016)が公表されました。2億5200万年前頃のペルム紀末期には、地球上の生物多様性の90%が失われ、その後の回復に500万年という長い期間を要した、とされています。この大量絶滅の要因は、硫黄を多く含む有毒な海洋だと考えられてきました。この研究は、鉄スペシエーション法という高精度の化学的手法を用いて、現在のオマーン付近となる新テチス海の堆積物に保存され... ...続きを見る

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2016/08/26 00:00
親の社会的つながりを仔が相続する
 親の社会的つながりの仔への相続に関する研究(Ilany, and Akçay., 2016)が公表されました。社会的相互作用の数・相互作用がネットワーク内のサブグループに集中する程度などといった社会的ネットワークの構造は、情報の流れや病気の蔓延など重要な進化過程と生態学的過程に影響を与えることがあります。しかし、動物界での社会的相互作用の構造の根本原因については解明が進んでおらず、社会的ネットワークの形成のモデル化を試みた過去の研究では、その複雑な構造を再現することができていませんで... ...続きを見る

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2016/08/25 00:00
攻撃の報酬性
 これは8月23日分の記事として掲載しておきます。攻撃の報酬性に関する研究(Golden et al., 2016)が公表されました。攻撃行動の開始に関わる脳領域はすでに明らかになっていますが、攻撃の動機づけまたは報酬の要素の成立に関わるシステムについては、ほとんど明らかになっていません。この研究は、前脳基底部から外側手綱核への抑制性投射が、攻撃のこの面を両方向に制御していることを示しました。この結果は、攻撃性と攻撃性に関連した神経精神疾患の治療のための新たな標的特定への道を開く可能性がある、と... ...続きを見る

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2016/08/23 00:00
父親の養育行動と母親の多産性との関係
 これは8月18日分の記事として掲載しておきます。父親の養育行動と母親の多産性との関係に関する研究(West, and Capellini., 2016)が公表されました。哺乳類のいずれの種でも、雌は大量の資源を仔の養育に投資しますが、雄が雌(母親)に食料を提供することで養育に直接的または間接的に貢献しているのは、哺乳類全種の約10%にすぎません。雄にとって、仔の養育は新たな交尾の機会を諦めることであり、その雄が仔の父親であることの確実性が高まった場合あるいは将来の交尾機会が少ない場合には、雄に... ...続きを見る

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2016/08/18 00:00
人間の判断における偏り
 人間の判断における偏りについての研究(Soltani et al., 2016)が公表されました。人間は通常、複数の証拠を組み合わせて意思決定を行ないますが、各状況下で最大の報酬を伴う選択がどれなのか、という判断が偏ることもあります。こうした意思決定過程に伴う神経機構については、まだよく分かっていませんでした。この研究は、37人の大学生に、異なる結果(報酬)と関連づけられた最大4つの形状の組み合わせを示し、課題を遂行させました。参加者には、形状の組み合わせを次々と示し、報酬の異なる赤・青の2つ... ...続きを見る

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2016/08/10 00:00
恐竜絶滅の要因だったかもしれない煤
 これは8月6日分の記事として掲載しておきます。恐竜絶滅の要因に関する研究(Kaiho et al., 2016)が公表されました。6600万年前頃の恐竜の大量絶滅の要因については、小惑星の衝突により凝縮した硫酸エアロゾルが成層圏に生成した、という仮説が提示されています。この硫酸エアロゾルが酸性雨を引き起こし、太陽光を反射して地球の地表全体を暗黒にした結果、光合成が減ってほぼ凍結状態になった、というわけです。しかし、この仮説ではワニも絶滅していなければなりませんが、ワニは絶滅していません。また、... ...続きを見る

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2016/08/06 00:00
白亜紀末期の大量絶滅の始まりの原因
 これは8月5日分の記事として掲載しておきます。白亜紀末期の大量絶滅の始まりの原因に関する研究(Petersen et al., 2016)が公表されました。6600万年前頃の白亜紀と古第三紀の境界の大量絶滅では、非鳥類型恐竜が地球上の生物種の3/4とともに絶滅しました。その原因については古くから議論が続いており、現在では、巨大隕石の衝突が主原因で、インドのデカントラップ火山地域の噴火を二次的機構とする見解が主流です。しかし、この二つの現象は時期的に近接しており、化石記録も不完全なため、区別して... ...続きを見る

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2016/08/05 00:00
人間社会における正直さと規則違反
 これは8月4日分の記事として掲載しておきます。人間社会における正直さと規則違反についての研究(Gächter, and Schulz., 2016)が公表されました。正直さは全ての人間社会において重要な性格特性の一つです。不正行為や規則違反を抑制する優れた制度は繁栄と発展にきわめて重要ですが、生物界では欺きが多く、人間もその例外ではありません。この研究は、個人レベルでは嘘を検知できないものの、集団レベルでは推測可能な、正直さを調べる行動研究を23ヶ国の若者を対象に行うことにより、規則... ...続きを見る

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2016/08/04 00:00
白亜紀の幼鳥の翼
 白亜紀の幼鳥の翼に関する研究(Xing et al., 2016)が公表されました。この研究は、ミャンマーのカチン州の9900万年前頃の遺跡で発見された、琥珀中に保存された鳥類の骨と羽毛について報告しています。これまでの白亜紀の鳥類の翼と羽衣に関する知識は、二次元化石(炭素質圧縮化石)と琥珀中に保存された羽毛がもたらしたものだったので、この研究で取り上げられた三次元化石標本ほどの情報が含まれていません。その意味で、この発見は重要だと言えるでしょう。 ...続きを見る

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2016/08/01 05:04
超巨大火山の噴火の仕組み
 これは7月22日分の記事として掲載しておきます。超巨大火山の噴火の仕組みに関する研究(Koulakov et al., 2016)が公表されました。スマトラ島のトバ湖は世界最大のカルデラ湖として知られています。74000年前頃のトバの大噴火は人類史上でも最大級の噴火であり、人類も含めて生物に大きな影響を及ぼしたのではないか、と考えられています。トバ大噴火により、初期現生人類(Homo sapiens)は大きな打撃を受け、遺伝的多様性を失ったのではないか、というわけです。しかし、この仮説には反論... ...続きを見る

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2016/07/22 00:00
特定の成鳥の歌に選択的に応答するキンカチョウの幼鳥
 これは7月21日分の記事として掲載しておきます。キンカチョウの幼鳥が、チューターと呼ばれる成鳥(通常は父鳥)の歌(さえずり)に選択的に応答する神経機構の仕組みに関する研究(Yanagihara, and Yazaki-Sugiyama., 2016)が公表されました。キンカチョウの幼鳥は、成鳥のチューターの歌を記憶し、正確に模倣することによって歌を歌えるようになることが知られています。この過程で必要なのは、幼鳥にとってのチューターの歌の特異的な記憶が形成されることですが、この記憶された歌に関連... ...続きを見る

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2016/07/21 00:00
複数の形質に影響する遺伝学的多様体
 これは7月7日分の記事として掲載しておきます。複数の形質に影響する遺伝学的多様体に関する研究(Pickrell et al., 2016)が公表されました。全ゲノム関連解析を実施すると、一つの形質と統計的に関連する遺伝学的多様体、およびその形質をもたらす過程に関係している可能性のある遺伝学的多様体を同定できます。また、複数の形質に関連する多様体は、遺伝子の分子機能と複数の形質間の関係に関して手掛かりをもたらすことがあります。しかし、これまでの複数の形質に関する研究の大部分は、関連のあることがす... ...続きを見る

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2016/07/07 00:00
体色の変化に関連する遺伝子
 これは6月17日分の記事として掲載しておきます。体色の変化に関連する遺伝子についての二つの研究が公表されました。オオシモフリエダシャク(Biston betularia)の体色が黒っぽくなる「工業暗化」と呼ばれる現象は、進行中の生物進化の例として知られています。暗色型(carbonaria)変異体の遺伝学的背景はいまだに明らかになっていませんが、これまでの研究で、この現象に関わる遺伝子の位置が13個の遺伝子を含む約400キロ塩基の領域内にある、というところまでは特定されていました。今回公表され... ...続きを見る

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2016/06/17 00:00
ショウジョウバエの精子が巨大な理由
 これは6月7日分の記事として掲載しておきます。ショウジョウバエの精子が巨大な理由についての研究(Lüpold et al., 2016)が公表されました。ショウジョウバエの雄は体長が3 mmほどですが、精子の長さは5 cmを超えることもあります。性選択を受けている雄は、貴重な資源を少数の巨大精子の生産に投入するのではなく小型の精子を多数作ると考えられるため、ショウジョウバエの精子が巨大な理由はよく分かっていませんでした。この研究は、精子の生産は雄の状態と関係しており、質の高い雄のみが... ...続きを見る

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2016/06/07 00:00
協同的な哺乳類に見られる競争的な成長
 これは6月2日分の記事として掲載しておきます。ミーアキャットの群れにおける競争的成長と「社会的序列」の関係についての研究(Huchard et al., 2016)が公表されました。ミーアキャットは小型の社会性肉食動物で、集団ごとに1対の優位なペアが繁殖を独占しますが、その仔はグループの全ての構成員によって養育されます。繁殖の権利をめぐる競争は激しく、社会的階層構造内の個体の位置づけは、個体のサイズと体重に依存して決まります。この研究は、カラハリ砂漠に生息する野生ミーアキャット自然個体群につい... ...続きを見る

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2016/06/02 00:00
モンゴル軍のハンガリーからの撤退と気候変動の関係
 モンゴル軍のハンガリーからの撤退と気候変動の関係についての研究(Büntgen, and Cosmo., 2016)が公表されました。1242年初頭、モンゴル軍はドナウ川を渡ってハンガリー西部に侵攻しましたが、その2ヶ月後に突然撤退し始め、セルビアとブルガリアを経由する南経路でロシアに戻りました。この理由について議論が続いてきましたが、この研究は、気候変動との関係を指摘しています。この研究は、木の年輪データおよび気候に関する情報を含む文献を用いて、1230〜1250年の環境条件を調べ... ...続きを見る

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2016/06/01 05:36
15億6000万年前の多細胞真核生物化石
 これは5月29日分の記事として掲載しておきます。約15億6000万年前の多細胞真核生物化石に関する研究(Zhu et al., 2016)が公表されました。この研究は、中国北部で発見された167点の化石のうち53点を4種類の形状に分類しました。その結果、約半数が直線形状を有し、残りは楔形・楕円形・舌形であることが明らかになりました。これらの化石は、炭素を豊富に含む圧縮化石として保存されており、最大で長さ30 cm・幅8 cmでした。また、長さ10マイクロメートルの細胞が密に詰め込まれた断片も発... ...続きを見る

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2016/05/29 00:00
キリンの長い首と関連した遺伝子
 これは5月20日分の記事として掲載しておきます。キリンの長い首と関連した遺伝子に関する研究(Agaba et al., 2016)が公表されました。この研究は、ケニアのマサイマラ国立保護区とアメリカ合衆国のナッシュビル動物園の雌のマサイキリン(Giraffa camelopardalis tippelskirchi)2頭と、アメリカ合衆国のホワイト・オーク・ホールディングスの雄のオカピ(Okapia johnstoni)1頭のゲノム全体の塩基配列を解読しました。 ...続きを見る

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2016/05/20 00:00
顔面と頭部の毛髪に関連する遺伝子
 これは5月10日分の記事として掲載しておきます。顔面と頭部の毛髪に関連する遺伝子についての研究(Adhikari et al., 2016)が公表されました。現代人の顔面と頭部における毛髪の外観と分布は、同じ集団内と異なる集団間で有意差が認められますが、こうした差異の遺伝的基盤については、これまで解明があまり進んでいませんでした。この研究は、ヨーロッパ人とアメリカ先住民とアフリカ人の混血のラテンアメリカ人の全ゲノム関連解析を行ない、白髪など頭髪の特徴である形状と色、脱毛、顔面の毛髪の特徴である... ...続きを見る

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2016/05/10 00:00
脊椎動物だった「タリーモンスター」
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。1958年にアメリカ合衆国イリノイ州で発見され、系統関係が不明だった「タリーモンスター」に関する二つの研究が公表されました。約3億年前の軟体性の化石動物「Tullimonstrum gregarium」は「タリーモンスター」として知られており、体は魚類に似ていて、眼は体の両側に突き出た棒状構造の先端にあり、関節のある長い吻の先端に顎があります。「タリーモンスター」の系統発生上の起源については、これまで紐形動物・多毛類の蠕虫・軟体動物・コノドント・ス... ...続きを見る

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2016/05/07 00:00
エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承
 これは4月29日分の記事として掲載しておきます。エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承に関する研究(Huypens et al., 2016)が公表されました。有性生殖の生物では、両親は仔に対して遺伝情報をDNAの形で伝えるだけでなく、一生の間に獲得した遺伝物質のエピジェネティックな修飾(DNA塩基配列を変化させずに遺伝子発現に影響を及ぼす可逆的な改変)を伝えることもあります。個体が肥満になるリスクがエピジェネティック因子を受け継ぐことで増加することは、疫学研究とモデル生物研究で... ...続きを見る

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2016/04/29 00:00
親鳥が餌を与えるヒナを選ぶ基準
 これは4月23日分の記事として掲載しておきます。親鳥が餌を与えるヒナを選ぶ基準についての研究(Huypens et al., 2016)が公表されました。親鳥が餌を与えるヒナを選ぶ基準については、ヒナがどの程度強く餌を求めているのか、などといった必要性を伝えるシグナルと、ヒナの体長などといった質を伝えるシグナルのいずれなのか、長年議論が続いてきました。これは、鳥類でも種によっていずれが基準なのか異なるためです。この研究は、143種の鳥類がヒナに餌を与えるさいのヒナ育ての選好性に関する入手可能な... ...続きを見る

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2016/04/23 00:00
自然選択の効率を高める有性生殖
 これは4月22日分の記事として掲載しておきます。コストが掛かるにもかかわらず、有性生殖が広く見られる理由についての研究(McDonald et al., 2016)が公表されました。有性生殖が広く見られる理由については、クローン干渉の低減や、有害変異のヒッチハイクを減らす可能性などが示唆されてきました。この研究は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の実験進化をモデル系として用い、有性生殖集団と無性生殖集団の適応の動態を塩基配列レベルで比較しました。その結果、有性生殖が... ...続きを見る

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2016/04/22 00:00
人間社会における公平性の発達
 これは4月21日分の記事として掲載しておきます。人間社会における公平性の発達に関する研究(Blake et al., 2015)が公表されました。人間は小児期に公平性の感覚を持つようになる、と明らかにされています。しかし、自分が不公平に扱われることの回避(不利な不公平の回避)と、他者が不公平に扱われているのを見ることの回避(有利な不公平の回避)が、文化によってどのように違っているのかはよく分かっていませんでした。この研究は、7つの文化集団を対象にした実験から、不利な不公平の回避は小児期の初期に... ...続きを見る

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2016/04/21 00:00
6世紀〜7世紀の寒冷化と社会変化
 これは4月20日分の記事として掲載しておきます。6世紀〜7世紀の寒冷化と社会変化に関する研究(Büntgen et al., 2016)が公表されました。この研究は、ロシアのアルタイ山脈とヨーロッパのアルプス山脈で得られた年輪の幅の測定を用いて、西暦で紀元後536年〜660年頃は、それ以外の過去2000年間と比較すると、ヨーロッパとアジアでは異常に寒冷であったことを示しました。この寒冷化は一連の大規模火山噴火と関連した気候のフィードバックが原因であり、この急激な寒冷化が農産物の不作と... ...続きを見る

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2016/04/20 00:00
自分の位置を知るための海馬神経ネットワーク
 これは4月19日分の記事として掲載しておきます。動物の脳は動いていない時も自分の位置を追跡し続けているのか、検証した研究(Kay et al., 2016)が公表されました。哺乳類は海馬とそれに隣接する領域を基盤とするナビゲーションシステムを持ち、それによって移動中の自身の位置を追跡し続けています。しかし、動物が移動をやめた時にも脳は位置を追跡するのか、するとしたらどのように行なっているのかは、まだよく分かっていませんでした。この研究は、海馬のCA2領域に独特な海馬ニューロン群があり、覚醒して... ...続きを見る

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2016/04/19 00:00
統語規則に従っている鳥の鳴き声(追記有)
 これは4月8日分の記事として掲載しておきます。鳥の鳴き声が統語規則に従っていることを明らかにした研究(Suzuki et al., 2016)が公表されました。発声のいろいろな要素を組み合わせ、そこから複合的な意味を引き出している合成的統語というプロセスは、これまでヒトの言語においてのみ記録されていました。この研究は、鳥類のシジュウカラ(Parus minor)を対象に検証し、鳥類にも合成的統語が存在することを示すとともに、こうした合成的統語は数少ない鳴き声のレパートリーによって伝達できる意味... ...続きを見る

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2016/04/08 00:00
気候変動により絶滅した魚竜類
 これは3月25日分の記事として掲載しておきます。白亜紀後期に絶滅した魚竜類についての研究(Fischer et al., 2016)が公表されました。魚竜類はイルカに似た爬虫類で、9000万年前頃の白亜紀後期に絶滅しました。魚竜類の絶滅理由については、他の海生爬虫類との競争の激化や、食物資源の減少といった説が提示されています。最近の研究では、絶滅の数百万年前まで魚竜類は多様性の高い種だったことが示唆されています。この研究は、系統発生学的方法を用いて魚竜類の多様性の経時変化を推定し、その推定結果... ...続きを見る

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2016/03/25 00:00
真核生物がミトコンドリアを獲得した時期
 これは3月23日分の記事として掲載しておきます。真核生物がミトコンドリアを獲得した時期についての研究(Pittis, and Gabaldón., 2016)が公表されました。現在の有力説では、真核生物の進化はアーキアに類似した細胞が細菌を取り込んだことがきっかけで始まり、この細菌が後にミトコンドリアになった、と考えられています。一方、真核生物は現在の形へ向かう道をかなり進んだ後になって、後にミトコンドリアとなる細菌を取り込んだ、との説も提示されています。この研究では、ミトコンドリア... ...続きを見る

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2016/03/23 00:00
初期の脊椎動物の脳の進化
 これは3月22日分の記事として掲載しておきます。初期の脊椎動物の脳の進化に関する研究(Sugahara et al., 2016)が公表されました。脊椎動物の脳は、系統的に近い被嚢動物や頭索動物といった無脊椎動物の脳と比較してはるかに複雑なので、その起源や発生について議論されてきました。祖先的な脊椎動物である無顎類のヤツメウナギも祖先的な脳を持つと考えられており、とくにヤツメウナギの胚は、内側基底核隆起と呼ばれる構造が欠損したマウス変異体と似た特徴を持つと考えられています。 ...続きを見る

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2016/03/22 00:00
捕食者への恐怖が食物網に及ぼす影響
 これは3月20日分の記事として掲載しておきます。捕食者への恐怖が食物網に及ぼす影響についての研究(Suraci et al., 2016)が公表されました。最上位捕食者の存在は、生態系内に連鎖反応的な影響を及ぼすことがあります。その被食者の個体数が減る一方で、被食者の餌となり、あるいは被食者と競合する他の生物の個体数は増える、というわけです。捕食されることに恐怖を抱く動物が本来の生態系を離脱する場合には、捕食者への恐怖と捕食者を回避する行動は、捕食行動と機能的に類似した効果を持つ可能性がありま... ...続きを見る

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2016/03/20 00:00
地球上の海水が宇宙に流出する可能性
 地球上の海水が宇宙に流出する可能性についての研究(Popp et al., 2016)が公表されました。太陽光度が上昇し続け、地球への太陽放射量が増加していくと、地表の温度は上昇を続け、液体の水が不安定になるレベルに達し、海洋・河川・湖沼の水分は蒸発して大気中に放出され、最終的には宇宙に流出して地球は居住不能になる、と予測されています。しかし、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中濃度が大きく上昇することによっても、水の豊かな惑星の居住可能性が損なわれる可能性があるのか、という点はこれまで解明さ... ...続きを見る

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2016/03/18 00:37
氷期の始まりを判断するための臨界日射量と二酸化炭素の関係
 これは3月9日分の記事として掲載しておきます。氷期の始まりを判断するための臨界日射量と二酸化炭素の関係についての研究(Ganopolski et al., 2016)が公表されました。氷期が始まる条件はまだよく分かっていません。近年の北半球の日射パターンは他の氷期の開始期に伴うことが多かったパターンに似ていたのですが、氷期は始まりませんでした。この研究は、氷床コアの証拠から絞り込まれた中程度に複雑な気候モデルを用い、任意の大気中二酸化炭素濃度について、氷期が始まる契機となるのに必要な日射量を定... ...続きを見る

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2016/03/09 00:00
珍渦虫類の分類
 これは3月8日分の記事として掲載しておきます。これまで大西洋で2種発見されていた珍渦虫類の分類についての二つの研究が公表されました。深海に生息する平たい蠕虫である珍渦虫類は、集中型の神経系も体腔や肛門も生殖器官も持っておらず、分類や進化史上の位置づけが難しくなっています。体の構造が単純な珍渦虫類には、一方でヒトを含む動物群である新口動物の一員であるように見える特徴もあります。そのため、珍渦虫類が新口動物だとすると、その構造の単純さは、珍渦虫類でのみボディープランが大幅に単純化されたか、もしくは... ...続きを見る

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2016/03/08 00:00
カラスにも見られる「心の理論」
 霊長類にだけ見られるとも言われてきた「心の理論(自分以外の個体の精神状態を予測する能力)」がカラスでも確認されたことを報告する研究(Bugnyar et al., 2016)が公表されました。カラス科のアメリカカケス(Aphelocoma californica)に関しては、鳥類に基礎的な「心の理論」があるのか否か検証した以前の研究により、備蓄しておいた食料を盗むかもしれない競争相手の鳥に見られていると推測できることが明らかにされています。しかし、これまでの研究では、競争相手の視線をたどって、... ...続きを見る

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2016/02/10 00:10
複雑な構造の目を使って捕食していた中期ジュラ紀の節足動物
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。複雑な構造の目を使って捕食していた中期ジュラ紀の節足動物に関する研究(Vannier et al., 2016)が公表されました。この研究は、フランス南東部で発掘された保存状態のきわめて良好な約1億6000万年前の海洋節足動物の一種(Dollocaris ingens)について報告しています。走査電子顕微鏡法とエネルギー分散型X線分光法により、この節足動物の目とその他の内臓器官の構造が可視化されました。その結果、この節足動物には全身の長さの約1/4... ...続きを見る

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2016/02/09 00:00
食餌が腸内微生物相に及ぼす影響
 食餌が腸内微生物相に及ぼす影響についての研究(Sonnenburg et al., 2016)が公表されました。人類史上、食餌は大きく変化しており、たとえば西洋型の生活様式の集団における食物繊維摂取の減少は、腸内微生物相の多様性の一般的な減少と並行している、と指摘されています。食物繊維に豊富に含まれるMAC(microbiota-accessible carbohydrate)は遠位腸内微生物相にとって炭素やエネルギーの主要な供給源であり、この研究は、低MAC食を摂取させたマウスにおいては腸内... ...続きを見る

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2016/02/05 00:17
ミツバチの攻撃性を抑制する花の匂い
 ミツバチの攻撃性を抑制する花の匂いに関する研究(Nouvian et al., 2015)が公表されました。ミツバチの個体間コミュニケーションは化学シグナルを介して行われており、同じ巣の仲間に危険の源への注意を喚起するための警報フェロモンを分泌し、それを受けたミツバチが攻撃的な行動をとるようになります。この研究は、羽根を回転させる装置によってミツバチを苛立たせることで誘発される毒針攻撃の回数を測定し、花の匂いから一般的に検出されるリナロールと2-フェニルエタノールという化合物が、ラベンダーの匂... ...続きを見る

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2016/02/02 00:00
タイセイヨウサケの体のサイズを決める単一遺伝子座の性差
 これは1月29日分の記事として掲載しておきます。タイセイヨウサケ(Salmo salar)の体のサイズを決める単一遺伝子座の性差に関する研究(Barson et al., 2015)が公表されました。この研究は、タイセイヨウサケの成熟年齢についてゲノム規模の関連研究を行ない、成熟に達する年齢のばらつき、および重要な漁獲対象種の基本的形質の一つである体サイズのばらつきに、単一の遺伝子VGLL3が強い影響を及ぼすことと、VGLL3遺伝子座は性依存的優性の一例であり、雄では早めの成熟を、雌では遅めの... ...続きを見る

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2016/01/29 00:00
酸性化した土壌での生物多様性の回復
 これは1月27日分の記事として掲載しておきます。酸性化した土壌での生物多様性の回復に関する研究(Storkey et al., 2015)が公表されました。人間活動による大気中窒素の増加は草原の生物多様性が低下する原因となっていますが、窒素量が減った場合にこうした生物多様性がどの程度回復できるのかは不明でした。この研究は、イギリスのロザムステッド研究所で長期にわたって行われているパークグラス実験のデータを用い、25年前にイギリスの大気中窒素量が低下し始めて以来、土壌の酸性度が最も高い区画を除く... ...続きを見る

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2016/01/27 00:00
タンジーア諸島における陸塊の喪失
 これは1月20日分の記事として掲載しておきます。タンジーア諸島における陸塊の喪失に関する研究(Schulte et al., 2015)が公表されました。アメリカ合衆国バージニア州チェサピーク湾にあるタンジーア諸島は、最も大きなタンジーア島をはじめとしていくつかの島々によって構成されており、18世紀にヨーロッパ人が入植しました。2013年時点でのタンジーア諸島の人口は727人です。この研究は、タンジーア諸島に関して、1850〜2013年に作成された航空写真と座標参照系を使用した地図を解析し、1... ...続きを見る

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2016/01/20 00:00
限定的だった大規模噴火による硫黄の環境への影響
 これは1月19日分の記事として掲載しておきます。大規模噴火による硫黄の環境への影響に関する研究(Schmidt et al., 2016)が公表されました。二酸化硫黄は気候寒冷化と酸性雨を含む環境の酸性化をもたらすことが明らかになっています。洪水玄武岩噴出のさいに、最大で数百万㎦の溶岩が二酸化硫黄などの火山性ガスと共に数十万年にわたって噴出しました。多くの洪水玄武岩の噴出は大量絶滅事象と一致しており、大量の二酸化硫黄の放出が白亜紀−古第三紀およびペルム紀末の大量絶滅に寄与した可能... ...続きを見る

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2016/01/19 00:00
前近代に変化していた生態学的群集の共在構造
 これは1月14日分の記事として掲載しておきます。生態学的群集の共在構造の変化に人類が影響を与えていたことを示した研究(Lyons et al., 2016)が公表されました。生態学的群集はランダムに構成されているわけではなく、一部の種は偶然による予測値よりも高頻度もしくは低頻度で他の種と共存しています。この研究は、過去3億年の間に存在した80の集合体に含まれる動植物種のペア30万組以上の共存パターンを調べました。その結果、有意に近接または分離している種ペアの相対的比率は3億年にわたって安定して... ...続きを見る

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2016/01/14 00:00
衛星の分解により誕生するかもしれない火星の輪
 これは1月12日分の記事として掲載しておきます。火星に輪が誕生するかもしれないことを指摘した研究(Black, and Mittal., 2015)が公表されました。火星の二つの衛星のうちの大きい方であるフォボスは、じょじょに地球から螺旋状に遠ざかっていく月とは違って、じょじょに火星の方に向かって螺旋状に回っています。その結果、内側に移動していく衛星で予想されるように、フォボスは火星の重力により増大する潮汐応力によって分裂するか、あるいは火星に衝突するかのどちらかだろう、と考えられています。 ... ...続きを見る

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2016/01/12 00:00
末梢疼痛の早期発症の原因となる遺伝的変異
 これは1月8日分の記事として掲載しておきます。末梢疼痛の早期発症の原因となる遺伝的変異に関する研究(Leipold et al., 2015)が公表されました。人間の末梢疼痛は寒さによって悪化します。この研究は、末梢疼痛の患者のいるヨーロッパ系の3世代にわたる家系を調べ、この家系に属する2人について全エキソーム塩基配列解読を行ないました。その結果、ナトリウムイオンチャネルを修飾して、感覚ニューロンの興奮性を変化させる特異的な遺伝的変異が同定されました。気温が低下すると感覚ニューロンの活動が低下... ...続きを見る

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2016/01/08 00:00
環境変化の影響からの回復力が低下したイギリスの生態系
 これは1月7日分の記事として掲載しておきます。イギリスの生態系の回復力の変化に関する研究(Oliver et al., 2015)が公表されました。この研究は、合計4400種以上となる、イギリスの過去40年間の鳥類・哺乳類・無脊椎動物・植物の生息数のトレンドを解析し、生態系においてどの生物種がどの機能を果たすのか、同定しました。その結果、花粉媒介・害虫の防除など重要な機能を果たすことのできる生物種群の規模が著しく縮小しており、その一方で、維管束植物のように炭素隔離に関連する機能を果たす生物種群... ...続きを見る

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2016/01/07 00:00
西サハラの砂漠にかつて存在した川
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。西サハラの砂漠にかつて広大な河川網が存在したことを明らかにした研究(Skonieczny et al., 2015)が公表されました。現在の西サハラには主要な河川系はなく、絶えず移動する砂丘しかありません。しかし近年、西サハラ沖では、深海で河川によって運ばれた微細粒が、大陸棚では大規模な海底谷が発見されたことで、西アフリカにはかつて主要な河川系が存在していた、と考えられています。しかし、これまで陸上においてそうした広大な河川網の直接的証拠は得られて... ...続きを見る

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2016/01/05 00:00
マダガスカル島以外の冬眠する霊長類
 これは1月4日分の記事として掲載しておきます。マダガスカル島以外に冬眠する霊長類が生息している可能性を報告した研究(Ruf et al., 2015)が公表されました。冬眠は、24時間を超える長さの休眠状態(体温と代謝活性の低下)の発生と定義されています。これまでに、マダガスカル島のキツネザルが冬眠すると報告されており、霊長類の冬眠はマダガスカル島に限定されている、と考えられていました。この研究は、ベトナム北部の屋外の囲いで飼育されている5匹のピグミースローロリスの深部体温を秋・冬・春にわたっ... ...続きを見る

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2016/01/04 00:00
蠕虫に似たカンブリア紀の生物
 これは12月24日分の記事として掲載しておきます。蠕虫に似たカンブリア紀の生物関する研究(Zhang et al., 2015)が公表されました。動吻動物の分類群には、海洋環境に生息する約240種の現生無脊椎動物種が含まれています。動吻動物の胴体は、頭部(1つの口円錐と複数の歯の小円盤を含みます)・頚部・11個の体節からなる胴部の3つの部分に分かれています。そのため、動吻動物は体節の起源の手がかりとなる可能性がありますが、保存状態の良好な動吻動物の化石がないため、研究の妨げになっていました。 ... ...続きを見る

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2015/12/24 00:00
マウスの味覚
 これは12月23日分の記事として掲載しておきます。マウスの味覚に関する研究(Peng et al., 2015)が公表されました。哺乳類では、舌の味覚受容器細胞からの情報は、神経系の複数の中継点を経由し、脳の一次味覚野へと伝達されます。すでに、齧歯類の味覚野では苦味と甘味が別々の領域に投影されることが明らかになっています。この研究は、覚醒状態のマウスにおいて、これらの異なる皮質領域の活動を直接的に操作し、マウスの内部表現・知覚・行動を制御して、味覚領域が学習や経験とは無関係に欲求反応・嫌悪反応... ...続きを見る

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2015/12/23 00:00
ニホンヤモリの遺伝子
 これは12月21日分の記事として掲載しておきます。ニホンヤモリ(Gekko japonicus)の遺伝子に関する研究(Liu et al., 2015)が公表されました。この研究はニホンヤモリの雄の成体のゲノム全体の塩基配列を解読し、25.5億塩基のゲノム配列を得ましたが、これはゲノム解析された爬虫類のゲノムとしては最大になるそうです。ニホンヤモリには22487個の遺伝子が含まれており、その位置と機能が同定されました。たとえば、βケラチン遺伝子ファミリーのサイズの増大が、接着力を有する剛毛(獲... ...続きを見る

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2015/12/21 00:00
脊椎動物の神経堤の起源
 これは12月12日分の記事として掲載しておきます。脊椎動物の神経堤の起源に関する研究(Stolfi et al., 2015)が公表されました。脊椎動物を他と分かつ特徴の多くは、神経堤と呼ばれる胚組織に由来します。神経堤は発達中の神経板境界部に生じ、体内を遊走します。じゅうらい、尾索動物(被嚢類)や頭索動物など脊椎動物に最も近い無脊椎動物に、神経堤に相当する痕跡は知られていませんでした。しかし最近になって、脊椎動物特有の神経堤関連遺伝子と同系の遺伝子が神経板縁細胞で発現しているという証拠が見つ... ...続きを見る

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2015/12/12 00:00
乳幼児期の言語経験と脳への長期持続的な影響
 これは12月9日分の記事として掲載しておきます。乳幼児期の言語経験と脳への長期持続的な影響についての研究(Pierce et al., 2015)が公表されました。生後1年間の脳は五感を通して外界に関する情報を収集し、保存するよう高度に調整されており、その時に接する言語の音声に適応し、その音声の神経表現が確立されます。しかし、このような乳幼児期の経験が、その後の人生における第2言語の神経処理にどのような影響を及ぼすのかは、明らかになっていませんでした。 ...続きを見る

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2015/12/09 00:00
生物種の絶滅と生息状況との関係
 これは12月8日分の記事として掲載しておきます。生物種の絶滅と生息状況との関係についての研究(Keil et al., 2015)が公表されました。生息地の減少は生物種の絶滅の要因の一つとされています。生息地の減少に関して問題とされてきたのは、都市圏や農地の拡大といった人為的要因です。個々の生物種に対する影響は生息地減少量と生息地内での分布状況によって異なっていますが、生物種の絶滅と生息地の減少との関係の研究ではこれまで、生息地面積の減少だけが考慮され、生息域のどこが失われたのかは考慮されてき... ...続きを見る

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2015/12/08 00:00
食物資源とカレドニアガラスの社会的相互作用の関係
 これは12月2日分の記事として掲載しておきます。食物資源とカレドニアガラスの社会的相互作用の関係についての研究(Clair et al., 2015)が公表されました。カレドニアガラスは、小枝や大枝などといった道具を使って樹皮の穴を調べ、餌となる昆虫を探すことが知られています。そうした技能は、それを見ていた他のカレドニアガラスへ社会的学習によって伝わると考えられていますが、どの程度の知識が伝達されるのかということは、群れの中での社会的相互関係の構造に依存している可能性が高い、と考えられています... ...続きを見る

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2015/12/02 00:00
遺伝的性決定機構から予測される四肢類の成体の性比
 これは11月24日分の記事として掲載しておきます。遺伝的性決定機構と四肢類の成体の性比に関する研究(Pipoly et al., 2015)が公表されました。動物では、個体群動態・行動・生態のさまざまな側面が個体群中の成体の性比に左右され、自然界では成体の性比にかなりの変動がありますが、そうした変動の原因は明確ではありません。この研究は、四肢類344種(鳥類・哺乳類・爬虫類・両生類)を分析し、雌ヘテロ型(雌が2種類の性染色体を持つ)のタクソンでは性比が雄に偏る傾向があることを示しました。ただ、... ...続きを見る

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2015/11/24 00:00
キングペンギンに見られる異常気象の影響
 これは11月14日分の記事として掲載しておきます。キングペンギンに見られる異常気象の影響に関する研究(Bost et al., 2015)が公表されました。エルニーニョなどの異常気象による海面水温の変動が南極前線(プランクトンと魚類の大きなバイオマスが存在する、暖水と冷水の主要な環境的境界)での生態学的過程にどのような影響を及ぼすのかは不明でした。この研究は南インド洋において、衛星発信器を取り付けられたキングペンギンの採餌旅行を16年間追跡調査しました。 ...続きを見る

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2015/11/14 00:00
高濃度の二酸化炭素環境における海洋微生物の不可逆的変化
 これは11月8日分の記事として掲載しておきます。高濃度の二酸化炭素環境における海洋微生物の不可逆的変化に関する研究(Hutchins et al., 2015)が公表されました。全球的に重要な海洋シアノバクテリアは、大気中の窒素を固定し、他のプランクトン種が利用しやすい物質に変換することで、世界中の海洋の肥沃化に重要な役割を果たしています。これまでの研究では、大気中二酸化炭素濃度を高い状態にして特定のシアノバクテリアを増殖させた場合に、窒素固定速度が上昇することが分かっていたものの、それが長期... ...続きを見る

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2015/11/08 00:00
尾索動物に見られる頭部の原型
 これは11月7日分の記事として掲載しておきます。尾索動物に見られる頭部の原型についての研究(Abitua et al., 2015)が公表されました。脊椎動物と他の動物、とくに最も近縁な尾索動物(被嚢類)とを区別する上で分かりやすい特徴は、眼・耳・鼻といった特殊な感覚器官を備えた頭部の存在とされています。この研究は、尾索動物に頭部の原型は存在するのか、検証しています。その結果、尾索動物のカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)に、脊椎動物の特殊な感覚器官の基盤を作る神経プラコー... ...続きを見る

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2015/11/07 00:00
閉経年齢に関連する遺伝子多様体
 女性の閉経年齢に関連する遺伝子多様体についての研究(Day et al., 2015)が公表されました。40歳までに閉経を迎える女性については、乳がんを発症する確率が低いものの、他の合併症(骨粗鬆症・心血管疾患・2型糖尿病など)を発症する確率が高いと考えられています。自然閉経の年齢が決まるさいには遺伝的要因が役割を果たしていますが、それと関連する遺伝子の全容も他の疾患の発症危険性にたいする遺伝的要因の寄与も、これまでじゅうぶんには解明されていませんでした。 ...続きを見る

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2015/11/04 00:15
ヨーロッパにおける身長とBMIの遺伝的関係
 ヨーロッパにおける身長とBMI(ボディマス指数)の遺伝的関係に関する研究(Robinson et al., 2015)が公表されました。この研究は全ゲノム関連解析のデータを用い、ヨーロッパ14ヶ国の9416人の身長とBMIの差異について調べました。その結果、身長とBMIに対する過去の自然選択によって各国間の遺伝的差異が生じたことが明らかになりました。平均すると、身長の遺伝的変動の24%とBMIの遺伝的変動の8%が、遺伝的地域差によって説明可能だった、とのことです。 ...続きを見る

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2015/11/01 00:00
生物が複雑化した後期エディアカラ紀
 比較的大きい巨視的な生物が化石記録に初めて多数現れた後期エディアカラ紀(5億8000万〜5億4100万年前)の化石についての研究(Mitchell et al., 2015)が公表されました。この研究は、そうした巨視的な生物のなかでも、分枝したシダの葉のような要素を持つ固着性海洋生物「rangeomorph」の一つである「Fractofusus」の生物学的特性を検証しています。「Fractofusus」は走根(イチゴ植物体の「吸枝」に似たもの)のような構造体を用いて無性的に増殖し、繁殖体が水に... ...続きを見る

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2015/10/30 00:24
発生段階により集団内の役割の異なる海洋浮遊生物
 発生段階により集団内の役割の異なる海洋浮遊生物についての研究(Costello et al., 2015)が公表されました。この研究は、クダクラゲ目の「physonect siphonophore」という動物のコロニーでの移動における発生段階別の役割を解明しています。「physonect siphonophore」はクラゲ・イソギンチャク・サンゴと近縁のゼラチン状の浮遊生物で、複雑なコロニーレベルの構造を形成して海中を移動しています。「physonect siphonophore」の一種である... ...続きを見る

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2015/10/29 00:32
擬態により種子を散布させる植物
 擬態によりフンコロガシ(Epirinus flagellatus)に種子を散布させる植物についての研究(Midgley et al., 2015)が公表されました。この研究は、南アフリカ共和国のケープ地方南部のデフープ自然保護区の植物(Ceratocaryum argenteum)の堅果が、近縁種のものよりも大きくてアンテロープの糞に似た強烈な臭いを放ち、フンコロガシに散布させて地中に埋めさせることを明らかにしています。この堅果は硬すぎるため、フンコロガシが食べたり産卵したりすることはできず、... ...続きを見る

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2015/10/27 00:00
中生代の哺乳類化石の軟部組織
 スペインで発見された中生代の哺乳類化石の軟部組織に関する研究(Martin et al., 2015)が公表されました。この研究は、絶滅した初期哺乳類の一群である真三錐歯類(eutriconodont)の1億2500万年前の化石を報告しています。この化石には軟部組織が保存されており、これはその最古の事例となります。「Spinolestes xenarthrosus」と命名されたこの化石には、毛皮・外耳およびハリネズミやトゲマウスに見られるような背中の細かい棘毛などの皮膚構造といった、典型的な哺... ...続きを見る

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2015/10/23 00:41
卵殻から推定される恐竜の体温
 卵殻から推定される恐竜の体温についての研究(Eagle et al., 2015)が公表されました。この研究は、卵殻化石の炭素塩中に含まれる同位体の組成を用いて、排卵期の雌の体温を決定できることを明らかにしました。卵殻は体内深部の卵管下部で産生されるため、中核体温を反映しています。この研究は、現生の鳥類と爬虫類の一連の卵殻の同位体を検査し、体温の測定結果との関係を調べました。次にこのマトリックスを利用して、白亜紀後期(約8000万〜7000万年前)の大型竜脚類である首の長いティタノサウルス類と... ...続きを見る

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2015/10/17 00:51
母親の身体的状態と仔の性比
 母親の身体的状態と仔の性比についての研究(Schindler et al., 2015)が公表されました。身体的状態の良好な母親は雄の仔を多く産む傾向があり、状態の不良な母親は雌の仔を多く産む傾向がある、との見解が1973年に提示されましたが、その後に実証の裏づけはほとんど得られていませんでした。この研究は、その見解の根拠となった一夫多妻制で性的二型性を示す種では、一般的に雌よりも雄の方が死亡率が高く、それが従来の研究で考慮されていなかったのではないか、と指摘しています。この研究は、死亡率・年... ...続きを見る

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2015/10/15 00:53
マウス遺伝子の機能解明
 マウス遺伝子の機能を解明した研究(Angelis et al., 2015)が公表されました。この研究は、マウス遺伝子320個の既知の変異の表現型を全て解析しました。その結果、体重・代謝関連形質・行動関連形質など413の形質が計測され、これまで機能が明らかになっていなかった179個の遺伝子のうちの152個について、関連する表現型が同定されました。たとえば、脳内で発現する「Elmod1」遺伝子については、その変異が絶食時血糖値の低下・低体重・行動異常(驚愕反応低下・活動性の亢進など)と関連してい... ...続きを見る

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2015/10/07 00:10
歯のエナメル質の起源
 歯のエナメル質の起源に関する研究(Qu et al., 2015)が公表されました。エナメル質は脊椎動物に特有の組織で、現在は歯に付随しています。しかし、原始的な化石魚類の多くは、鱗上にガノインというエナメル様の組織を有しています。そのため、エナメル質は歯で出現して鱗に広がったのか、それともその逆だったのか、という問題が提起されていました。この研究は、化石魚類Psarolepisの標本と、硬鱗(ガノイン鱗)を身にまとう現生魚類ガーについて調べた結果、ガノインがエナメル質と相同であり、おそらく皮... ...続きを見る

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2015/10/03 00:15
奇形のプランクトンから見えてくる大量絶滅の要因
 奇形のプランクトンと大量絶滅の関係についての研究(Vandenbroucke et al., 2015)が報道されました。4億2000万年以上前のオルドビス紀-シルル紀の大量絶滅は間欠的に起こり、当時は、大部分の生物が海の中で繁殖し、陸上で生き延びた生物はわずかだった、とされています。これまでの研究で示されたモデルでは、この大量絶滅の原因は気候の寒冷化と生息地の減少だと示唆されていましたが、こうしたモデルでは、古生物学的観察結果と地球化学的観測結果を説明できない、と指摘されています。 ...続きを見る

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2015/10/01 00:00
食餌と進化歴により形成されるクジラの腸内微生物叢
 これは9月29日分の記事として掲載しておきます。クジラの腸内微生物叢に関する研究(Sanders et al., 2015)が公表されました。食餌は哺乳類の腸内微生物叢の構成を決める大きな要因の一つです。しかし、進化的近縁関係にあるクマとジャイアントパンダは、食餌が大きく異なるのに腸内微生物叢の全体的な構成が似ています。これは、腸内微生物叢の構成には進化的近縁関係も影響を及ぼしていることを示唆しています。この研究は、魚類や甲殻類を餌とするヒゲクジラ類と、その進化的近縁系統となるウシやカバといっ... ...続きを見る

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2015/09/29 00:00
淡水の酸性化がカラフトマスに及ぼす影響
 これは9月27日分の記事として掲載しておきます。淡水の酸性化がカラフトマスに及ぼす影響についての研究(Ou et al., 2015)が公表されました。二酸化炭素濃度の上昇により引き起こされる海洋の酸性化が海洋生態系に影響を及ぼすことは予想されていますが、淡水生態系に関してはこれまであまり注目されてきませんでした。この研究は、食資源として重要なカラフトマスの胚と稚魚を、二酸化炭素濃度の現在値とより高濃度の将来予測値で10週間にわたって育ててから海水に移しました。 ...続きを見る

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2015/09/27 00:00
真核生物遺伝子における原核生物遺伝子の起源
 これは9月24日分の記事として掲載しておきます。真核生物遺伝子における原核生物遺伝子の起源に関する研究(Ku et al., 2015)が公表されました。真核生物ゲノムに見られる原核生物遺伝子は、原核生物が細胞内共生によって細胞小器官となった後にゲノム内に入り込んだ、と長年考えられてきました。しかし近年になって、真核生物同士の間でも原核生物と真核生物の間でも、遺伝子水平伝播がかなりの程度で起こっている、と示唆されています。この研究は、細菌・古細菌・真核生物のゲノムを解析し、持続的な遺伝子水平伝... ...続きを見る

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2015/09/24 00:00
シーラカンスの肺
 これは9月19日分の記事として掲載しておきます。シーラカンスの肺に関する研究(Cupello et al., 2015)が公表されました。シーラカンスの化石種には、浅い海への適応と考えられている特有の「石灰化した肺」がありますが、現生種(Latimeria chalumnae)にはそれがなく、現生種の解剖学的構造に化石種の名残があるのか否か、まだ確認されていませんでした。この研究は、X線断層撮影法という画像化技術を用い、シーラカンスの現生種の肺の五つの発生段階を三次元的に再構成しました。その結... ...続きを見る

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2015/09/19 00:00
マッコウクジラの学習
 これは9月16日分の記事として掲載しておきます。マッコウクジラの学習に関する研究(Cantor et al., 2015)が公表されました。マッコウクジラは、家族単位内の個体が集合してより大きな群れを形成しています。マッコウクジラは人間と同様に複数の水準の集団を形成している、というわけです。マッコウクジラの群れは、クリック音のレパートリーのパターンの類似性で区別できますが、海中には各集団を分離する物理的障壁がないにも関わらず、数々の群れが生じる過程は十分に解明されていません。 ...続きを見る

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2015/09/16 00:00
熱帯の山の生物相の進化
 熱帯の山の生物相の進化に関する研究(Merckx et al., 2015)が公表されました。ボルネオ島のキナバル山は他の熱帯山地と同様に生物多様性ホットスポットとなっており、標高によって隔離された固有種が多数存在します。この研究は、キナバル山のカエル類・昆虫・顕花植物・シダ類・真菌類などを含む生物相全体の標本採取を行ない、DNAバーコーディング法により、キナバル山に生息する種の大半はこの山の600万年という年齢よりも新しく、生態的地位を高地に移した低地種の近縁種であるか、他の高地に由来する長... ...続きを見る

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2015/09/09 00:00
多嚢胞性卵巣症候群の遺伝学的性質
 多嚢胞性卵巣症候群の遺伝学的性質についての研究(Hayes et al., 2015)が公表されました。多嚢胞性卵巣症候群は遺伝性が高く、全世界で女性の最大15%が罹患し、健康と生殖能力に悪影響が及んでいると考えられています。この研究は、ヨーロッパ系女性のコホートを対象とした全ゲノム関連解析を行い、多嚢胞性卵巣症候群に関連した一塩基多型および変異したと考えられる遺伝子を同定しました。その結果、ヨーロッパ系女性に特有の2つの座位が同定され、中国人コホートの研究ですでに判明していた一つの座位が確認... ...続きを見る

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2015/09/04 00:00
雄のニワトリが夜明けに鳴く順番(追記有)
 雄のニワトリが夜明けに鳴く順についての研究(Shimmura et al., 2015)が報道されました。雄のニワトリは夜明けに鳴くことが知られています。この研究は、そのさいの順番が社会的序列の高い雄のニワトリからであることを明らかにしました。ニワトリは高度に社会的な動物であり、集団の中で階層を形成し、序列が上の雄が食物・交尾する権利・巣とねぐらなどに関して優先権を握っていることがあります。雄のニワトリの夜明けの鳴き声は、周囲のニワトリに対して縄張りの境界線に関する警告を発し、攻撃的相互作用の... ...続きを見る

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2015/09/02 00:00
中央アジアにおける氷河の減少
 中央アジアにおける氷河の減少についての研究(Farinotti et al., 2015)が公表されました。この研究は、人工衛星データ・現地観測・氷河学的モデルを組み合わせて、1961年〜2012年における天山地域全体の個別の氷河質量変動を再現しました。その結果、天山地域全体で過去50年間に氷河全体質量の25%以上が失われたことが明らかになりました。これは、この期間における全球平均のおよそ4倍以上となり、夏季の融解が増加したことと関連づけられています。現在の気候モデルの予測によると、今後10年... ...続きを見る

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2015/08/30 00:00
ネオニコチノイド系薬剤によるミツバチのコロニーへの影響
 ネオニコチノイド系薬剤によるミツバチのコロニーへの影響に関する研究(Budge et al., 2015)が公表されました。この研究は、2000〜2010年のイングランドとウェールズにおける農薬使用量・土地利用・セイヨウアブラナ(Brassica napus)の収量・気象条件・ミツバチのコロニー消失について記述されたデータセットを解析しました。その結果、セイヨウアブラナに使用されるイミダクロプリド(ネオニコチノイド系殺虫剤の一種)の量的増加とミツバチのコロニー消失の増加が相関していることが明ら... ...続きを見る

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2015/08/23 00:00
イヌ科動物の進化と気候変動の関係
 イヌ科動物(オオカミとキツネを含む肉食動物)の進化と気候変動の関係についての研究(Figueirido et al., 2015)が公表されました。この研究は、過去3700万年間の北アメリカ大陸のイヌ科動物の化石記録を検証し、その進化に気候変動が関係している、と指摘しています。古気候学の研究から、新生代後期に高温多湿な気候から現代の気候に近い寒冷な気候へと大きく変化し、漸新世の終わり(2700万年前〜2300万年前)にかけて草地が増えたことが明らかになっています。 ...続きを見る

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2015/08/21 00:00
ピーナッツアレルギーに関連する遺伝的変異
 ピーナッツアレルギーの発生リスクに関連する遺伝的変異についての研究(Hong et al., 2015)が公表されました。この研究は、食物アレルギーと関連する遺伝子多様体を同定するため、合計約3000人となる子供とその親の遺伝子型判定を行いました。その結果、卵アレルギーと牛乳アレルギーに関連する遺伝子多様体は見つからなかったものの、ピーナッツアレルギーに関しては、DNAの特定の変異およびHLA-DRとDQ両遺伝子領域のエピジェネティック変化のレベルと強く関連していることが明らかになった、とのこ... ...続きを見る

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2015/08/19 00:00
遺伝的変異率の変動要因
 遺伝的変異率の変動要因についての研究(Yang et al., 2015)が公表されました。この研究は、変異率がゲノム内でなぜ異なるのかを明らかにするために、シロイヌナズナ(Arabidopsis)・イネ・ミツバチにおける変異率のゲノム内変動を、親子の塩基配列を解読することで直接検証しました。その結果、ホモ接合領域よりもヘテロ接合や乗り換え現象近傍で変異率が高くなっていることが明らかになりました。変異率は浄化選択下にある遺伝子クラスター(一般にホモ接合)では低く、平衡選択下にある遺伝子クラスタ... ...続きを見る

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2015/08/16 00:00
夢と覚醒時の視覚処理との類似性
 夢と覚醒時の視覚処理との類似性を報告した研究(Andrillon et al., 2015)が公表されました。人間はレム(急速眼球運動)睡眠中に夢を見ることが知られています。この研究は、19人の被験者を対象にして、睡眠時と覚醒時、また視覚刺激を受けた場面で急速眼球運動を起こした時に、脳の内側側頭葉(長期記憶の形成にとって重要な領域)の個々のニューロンが同様に応答することを明らかにしました。このことから、睡眠中の急速眼球運動が視覚処理に類似した期間に対応しており、夢を見ている時の視覚心像を確かに... ...続きを見る

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2015/08/14 00:00
アフリカにおける地球磁場激変の証拠
 アフリカ南部の遺跡から、地球磁場が激変した証拠を発見した研究(Tarduno et al., 2015)が公表されました。過去160年間に南半球の磁場強度が低下しており、磁北と磁南が入れ替わる地磁気の逆転が起こる可能性も指摘されています。しかし、こうした変化に関しては、長期間の観測データがないために理解が限定的なものとなっています。この研究は、アフリカ南部の鉄器時代の遺跡で保存されていた小屋・穀物貯蔵庫・家畜用囲いの焼け跡から採取した磁気方位を有する試料を使い、約600年間の地球の磁場の記録を... ...続きを見る

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2015/08/13 00:00
緑茶がデンプンの消化に影響する可能性
 緑茶がデンプンの消化に影響する可能性を指摘した研究(Lochocka et al., 2015)が公表されました。この研究は、デンプンの二酸化炭素呼気検査から、緑茶抽出物の摂取によりデンプンの消化と吸収が少なくなる可能性を指摘しています。ただ、この研究における緑茶抽出物の摂取量は少なくとも数杯分の緑茶に相当し、通常の1日の摂取量がこれより少ないことが一般的であるため、緑茶の効果が実験の場合ほど明白には出ない可能性も指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。 ...続きを見る

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2015/08/10 00:00
加齢による学習と記憶の能力の低下の要因となるタンパク質
 学習と記憶を妨げるタンパク質についての研究(Smith et al., 2015)が公表されました。加齢とともに新しいニューロンの誕生は減っていき、学習と記憶の能力も次第に低下していきます。これまでの研究で、若いマウスから輸血すると、記憶障害が少し回復し、老化した脳のニューロンの機能が改善されることが明らかになっていました。この研究は、免疫機能に関連するタンパク質β2ミクログロブリン(B2M)に着目し、成体の脳における加齢性機能障害との関連を検証しました。 ...続きを見る

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2015/08/08 00:00
複雑なカメの進化
 カメの進化についての研究(Schoch, and Sues., 2015)が公表されました。カメ類のボディープランは爬虫類の中できわだって特異的であり、甲羅(甲)のあるカメ類と一般的なボディープランの爬虫類との中間的な形態の化石が見つかっていないため、カメ類の進化史をめぐって議論が続いています。この研究は、ドイツで発見された2億4000万年前頃の化石の背中に甲がなく、腹側に融合した腹甲もないものの、カメ類のステム系統の特徴と考えられている幅広で断面が、T字型の肋骨や頑丈な腹肋骨からなる胸部構造... ...続きを見る

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2015/08/07 00:00
火山性変動の年代の再較正
 火山性変動の年代の再較正についての研究(Sigl et al., 2015)が公表されました。火山噴火の気候への影響は知られていますが、1年の分解能で正確に年代決定された年輪の年代と、氷床コアに記録された火山性変動の年代を一致させるのは難しいとされてきました。この研究は、775年にヨーロッパ全域の樹木の年輪に、独特な大気中の炭素14の指紋を残した宇宙線異常との関連がはっきりしている、大気中のベリリウム10の急上昇を、グリーンランドと南極から得られた氷床コアで同じように観察されるベリリウム10の... ...続きを見る

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2015/08/04 00:00
ダイズの栽培化に重要な役割を果たした遺伝子
 ダイズの栽培化に重要な役割を果たした遺伝子についての研究(Sun et al., 2015)が公表されました。この研究は、ダイズの「GmHs1-1」遺伝子における単一の変異の有無が、透水性のある種子と透水性のない種子の違いになることを明らかにしています。野生種は透水性のない硬実種子で、栽培種は透水性のある軟実種子となります。軟実種子は急速に吸水でき、発芽が早くなるので、大規模な栽培に適しています。ただ、この遺伝的変異を持たない栽培種もわずかながら存在するそうです。以下は『ネイチャー』の日本語サ... ...続きを見る

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2015/08/01 00:51
慢性痛の性差
 慢性痛の性差に関する研究(Sorge et al., 2015)が公表されました。脊髄にある免疫細胞の一種である小膠細胞(ミクログリア)の活性化が慢性痛の発生に重要な段階である、と明らかにされています。この研究は、マウスでのミクログリア機能の減少は痛みの減少をもたらしたものの、それは雄でのことであり、雌では痛み行動への影響がなかったことを示しました。またこの研究は、この性差が雄性ホルモンであるテストステロンの存在と関連しており、雌マウスでの慢性痛の発生にはB細胞とT細胞という異なる免疫細胞がミ... ...続きを見る

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2015/07/30 00:06
両親の血縁度と子供の身長・知性との関係
 両親の血縁度と子供の身長・知性との関係についての研究(Joshi et al., 2015)が公表されました。この研究は、35万人以上を対象にゲノムのホモ接合連続領域(全長にわたってホモ接合であると考えられる領域)を調べることで、ホモ接合性が人々の健康にとって重要な形質に与える影響を検証しました。健康に関わる16の量的形質に着目した解析から、ホモ接合連続領域の総和と4つの複合形質との間に統計的に有意な関連があることが明らかになりました。4つの複合形質とは、身長・1秒量(努力肺活量測定の最初の1... ...続きを見る

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2015/07/27 00:00
乳化剤が有害な作用を及ぼす可能性
 乳化剤の有害な作用に関する研究(Chassaing et al., 2015)が公表されました。この研究は、乳化剤を含む食餌を摂取しているマウスが軽度の炎症と肥満・メタボリックシンドロームを発症することを明らかにしました。乳化剤は人間の食品で添加物として広く使われているので、乳化剤が腸内微生物相と人間の健康に与え得る影響をさらに調べる必要がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。 ...続きを見る

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2015/07/21 00:00
卵と精子の決定遺伝子
 卵と精子の決定遺伝子についての研究(Nishimura et al., 2015)が報道されました。読売新聞でも報道されています。脊椎動物において生殖細胞の性を決定する仕組みには、未解明なところがありました。この研究は、メダカの生殖細胞内において「性のスイッチ遺伝子」を発見した、と報告しています。この遺伝子は「foxl3」と呼ばれており、メスでは発現するものの、オスでは発現が抑制されていることが明らかになった、とのことです。 ...続きを見る

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2015/07/19 00:00
コーヒーノキの害虫の新たな駆除方法
 コーヒーノキの害虫の新たな駆除方法についての研究(Ceja-Navarro et al., 2015)が公表されました。コーヒーノキにとってもっとも影響の大きい害虫はコーヒーノミキクイムシ(Hypothenemus hampei)とされています。コーヒーノミキクイムシも含めて昆虫にとってカフェインは強力な殺虫剤として作用しますが、この研究は、コーヒーノミキクイムシの腸内微生物叢によりカフェインが無毒化されることを明らかにしています。コーヒーノミキクイムシの腸内微生物叢を実験的に不活性化したとこ... ...続きを見る

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2015/07/17 00:00
絶滅を防ぐ性選択
 性選択と絶滅との関係についての研究(Lumley et al., 2015)が公表されました。有性生殖では次世代に対する任意個体の遺伝的寄与が半分となるため、無性生殖よりも高コストとされています。一方、無性生殖には変異の蓄積という短所があるのにたいして、有性生殖では、そうした変異が配偶者をめぐる競争や配偶者選択を介して働く性選択により排除されている可能性が示唆されています。この研究は、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)の集団を7年間にわたり飼育・観察することで、この理論... ...続きを見る

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2015/07/14 00:00
ペスト菌の進化
 ペスト菌の進化についての研究(Zimbler et al., 2015)が公表されました。この研究は、仮性結核菌とペスト菌の中間的な系統にあたる「古代の」ペスト菌の分離株を用いてペスト菌の進化をたどり、軽度の胃腸障害を引き起こす仮性結核菌がペスト菌に進化したのは過去1万年の間のことだったことを明らかにしました。ペスト菌の古代の菌株は肺ペストを引き起こす能力を与える1つの遺伝子を獲得し、その後、この遺伝子がコードするタンパク質の1つのアミノ酸が変異することで、感染力の強い現代の菌株が多くなった、... ...続きを見る

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2015/07/13 00:00
重要なメタン吸収源としての淡水湿地
 淡水湿地におけるメタンの発生と分解についての研究(Segarra et al., 2015)が公表されました。湿地は、強力な温室効果ガスであるメタンを放出する自然の供給源として最大であるとされています。メタンの嫌気的酸化は、微生物が介在する過程で、わずかな酸素しか含まれていない海洋堆積物と淡水堆積物において起こされます。この過程では通常、メタン分子が硫酸と硝酸との反応によって分解され、微生物にとってのエネルギーと害の少ない老廃化合物が発生します。 ...続きを見る

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2015/07/12 00:00
加齢に伴うショウジョウバエの性的動機付けの低下の回復
 加齢に伴うショウジョウバエの性的動機付けの低下の回復に関する研究(Kuo et al., 2015)が公表されました。ショウジョウバエからヒトに至る数多くの生物種の雄の性欲は、通常、加齢に伴って減退します。これまでの研究で、性欲と神経伝達物質の一種であるドーパミンとの関連が明らかにされていましたが、性欲がドーパミンによって制御される過程については、解明されていませんでした。この研究は、老齢の雄のショウジョウバエの脳内に存在するニューロンの小集団のドーパミン量を、加齢により減少したレベルから元の... ...続きを見る

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2015/07/09 00:00
爬虫類における性転換と性決定機構との関係
 爬虫類における性転換と性決定機構との関係についての研究(Holleley et al., 2015)が公表されました。爬虫類の性決定機構には遺伝性と温度依存性とがあり、進化の過程でしばしば相互に移行しています。この研究は、フトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)の観察から、性決定機構に性転換が重要な役割を果たしている可能性を指摘しています。フトアゴヒゲトカゲでは、生息域のより温暖な地域における性転換例が観察されており、性転換で雌となった個体が本来の雄と交尾すると、染色体による... ...続きを見る

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2015/07/08 00:00
幼若期の抗生物質の使用とその後の発育への影響
 幼若期の抗生物質の使用とその後の発育への影響に関する研究(Nobel et al., 2015)が公表されました。アメリカ合衆国における抗生物質の使用量は、10歳未満の子供が最も多くなっています。この研究は、マウスを対象に、子供に処方されることが最も多い抗生物質であるアモキシシリンとタイロシンを投与し、幼若期における抗生物質の投与によって体重と骨の成長が短期的に増えることを明らかにしています。また、腸内細菌叢の多様性と構成についても、抗生物質の投与から数ヶ月間持続する長期的変化が観察された、と... ...続きを見る

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2015/07/03 00:00
精神疾患と創造性との遺伝的関係
 精神疾患と創造性との遺伝的関係についての研究(Power et al., 2015)が公表されました。この研究は、大規模な遺伝学的データの分析から、精神疾患と創造性とが遺伝的な根を共有していることを示唆しています。そもそも、「精神疾患」の定義が社会的規範に大きく影響を受けるだろう、という複雑で微妙な問題もありますし、この研究の見解が確証されたとまでは言えないでしょうが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との比較という観点か... ...続きを見る

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2015/07/02 00:00
痛みを感じるのに必要な遺伝子
 痛みを感じるのに必要な遺伝子についての研究(Chen et al., 2015)が公表されました。先天性無痛症では、肉体的苦痛を感じることができません。この研究は、血縁関係のない11家系において先天性無痛症患者を同定しました。その結果、患者には共通してPRDM12遺伝子に変異のあることが分かりました。この変異があると、生まれつき痛みを感じることができず、不快な暑さと寒さを区別できなくなりますが、その他の感覚は他の多くの人間とほとんど変わりません。マウスと人間の細胞を用いた実験により、PRDM1... ...続きを見る

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2015/07/01 00:00
新生児の段階で予測できるかもしれない小児期の気質
 新生児の視覚的注意のさまざまなパターンが、その後の小児期の気質と行動の差異と関連している可能性のあることを示唆する研究(Papageorgiou et al., 2015)が公表されました。最近の研究では、生後4〜10ヶ月の乳児の、刺激を固視する能力の向上が、行動の制御力向上・落ち着きのなさ・多動性・不注意といった行動特徴の改善と関連していることが明らかにされています。この研究では、生後1〜4日の新生児80人を対象として停留時間(個別の刺激を注視している時間)の測定が行われ、その後、その新生児... ...続きを見る

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2015/06/30 00:00
地球温暖化と海洋生態系の変化
 地球温暖化と海洋生態系の変化についての研究(Beaugrand et al., 2015)が公表されました。この研究は、3種類の温室効果ガス排出と関連する温暖化シナリオの条件下において、21世紀末までの海洋における生物多様性のパターンをモデル化し、現在とは気候が大きく異なる最終氷期最盛期(26500〜20000年前頃)、および比較的気候が温暖だった中期鮮新世の海洋生物多様性のパターンとを比較対象としました。 ...続きを見る

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2015/06/27 00:00
ミツバチによる作物の花粉媒介
 ミツバチによる作物の花粉媒介についての研究(Kleijn et al., 2015)が公表されました。この研究は、90件以上となる5大陸の野生ミツバチに関する研究データを組み合わせることにより、研究対象となった785種のうち作物の花粉媒介による経済的利益の最も大きい種を発見するための解析を行いました。その結果、野生ミツバチ群集の作物生産に対する寄与は平均でヘクタール当たり3000米ドル以上となり、飼育下のミツバチコロニーの経済的寄与と同程度であることが明らかになりました。 ...続きを見る

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2015/06/25 00:00
トウヨウミツバチの嗅覚学習を阻害する殺虫剤
 トウヨウミツバチ(Apis cerana)の嗅覚学習に殺虫剤が与える影響についての研究(Tan et al., 2015)が公表されました。これまでの研究により、ミツバチに対し致死量に満たないネオニコチノイド系殺虫剤を投与すると、ミツバチの健康と採餌能力が阻害されることがあり、ミツバチの重要な花粉媒介サービスに連鎖反応的な影響が生じる可能性や、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)に対し致死量に満たない量のネオニコチノイドを投与すると、嗅覚学習が阻害される場合があることが明らかになっ... ...続きを見る

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2015/06/23 00:00
長くなっている漁場と消費地との距離
 漁場と消費地との距離が長くなっていることを明らかにした研究(Watson et al., 2015)が公表されました。20世紀の人口増加と世界貿易の拡大で、タンパク質供給源としての魚類に対する需要が増加しました。この研究は、国連食糧農業機関が集めた世界の漁獲量データを解析し、漁場と消費地間の距離が1950年から2011年まで年々長くなってきてたことと、漁獲に必要なエネルギーが各海域の年間生産量のそれより多くの割合を占めるようになったこととを明らかにしました。 ...続きを見る

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2015/06/19 00:00
北極の地中における土壌微生物による発熱
 北極の地中における土壌微生物による発熱についての研究(Hollesen et al., 2015)が公表されました。この研究は、グリーンランドの6地点で採取された21点の天然の有機質の永久凍土試料における微生物による熱発生を定量化し、2012年から2100年までの間に永久凍土の融解速度と微生物による熱発生速度が加速することを示しています。さらにこの研究は、永久凍土に埋没している考古学的痕跡(有機質の貝塚)に保存された北極における人類の初期活動の証拠が失われてしまう可能性も明らかにしています。以... ...続きを見る

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2015/06/17 00:00
侵入種のナミテントウの生活史
 侵入種のナミテントウの生活史に関する研究(Tayeh et al., 2015)が公表されました。ナミテントウは世界で最も繁栄した侵入種の1つとされています。これまで侵入種に関しては、生活史が相対的に短いことに加えて、生殖開始年齢が低く、寿命が短いと考えられてきました。この研究は、さまざまな気候条件と生態学的条件の環境に侵入して適応してきたナミテントウの生活史の変化を調べることで、侵入種の戦略を検証しています。比較対象とされたのは、在来・生物的防除(100世代にわたって捕食者のいない環境で飼育... ...続きを見る

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2015/06/16 00:00
哺乳類と双弓類で独立に生じた鼓膜
 哺乳類と双弓類(爬虫類と鳥類)で独立に生じた鼓膜の発生遺伝学的基盤に関する研究(Kitazawa et al., 2015)が公表されました。化石証拠から、哺乳類と双弓類は共通祖先から分岐した後にそれぞれ独自に中耳を獲得した、という見解が提示されていますが、その発生学的基盤はよく分かっていませんでした。この研究は、下顎領域が上顎に変化するような変異を導入することにより、マウスでは中耳形成に重要な遺伝子が抑制されて鼓膜が消失する一方、ニワトリでは鼓膜が重複して発生することを明らかにしました。また... ...続きを見る

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2015/06/14 00:00
7500万年前頃の恐竜化石に保存されていた細胞
 7500万年前頃の恐竜化石に保存されていた細胞についての研究(Bertazzo et al., 2015)が公表されました。この研究は、7500万年前頃の白亜紀の恐竜の骨化石標本8点から、コラーゲンと思われるものも含む有機質構造を発見した、と報告しています。このことから、たとえ保存状態の良くない化石であっても、分子解析を行う価値がある、と示唆されています。この研究は、太古の動物の生理・行動を調べる研究への道を大きく開いた、と言えるかもしれず、その意味で大いに注目されます。以下は『ネイチャー』の... ...続きを見る

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2015/06/13 00:00
アノマロカリス類の肢の進化
 アノマロカリス類の肢の進化についての研究(Roy et al., 2015)が公表されました。節足動物様の多様な動物群であるアノマロカリス類は、カンブリア紀の海洋に生息していた巨大な捕食者です。現在では、こうしたバージェス頁岩の多様なカンブリア紀動物相は、4億9000万年前頃に始まったオルドビス紀まで存続していたことが明らかになっています。この研究は、モロッコのオルドビス紀の地層で見つかったアノマロカリス類について報告しています。このアロマロカリス類は体長2 mを超える濾過摂食者で、胴部の体節... ...続きを見る

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2015/06/10 00:00
ブラジルで発見されたゴンドワナ大陸の鳥類の化石
 白亜紀前期のゴンドワナ大陸に生息していた鳥類の化石についての研究(Carvalho et al., 2015)が公表されました。この種の鳥類化石標本としてはこれまでで最も完全なもので、ハチドリの大きさに近い、とのことです。白亜紀の羽毛のある鳥類の化石の大部分は中国北東部で発掘されており、南アメリカ大陸ではこれが初の発見になるそうです。この鳥類化石の尾羽には、楕円形の羽幹や一列に並んだ斑点が見られ、装飾的な色彩パターンの名残だと解釈されています。この尾羽は空力的に最適化されていないことが立体化石... ...続きを見る

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2015/06/07 00:00
スナック食品をやめられない理由
 スナック食品をやめられなくなる理由についての研究(Hoch et al., 2015)が公表されました。高カロリーの食物や脂肪分・炭水化物を多く含む食物は、通常の満腹状態を超えた過剰摂取の引き金となる可能性があり、エネルギー摂取量の増加は体重の増加につながることがあります。そうした食物は脳の報酬系内の活動を変化させると考えられており、ラットにポテトチップを与える過去の研究で観察されました。こうしたことから、スナック食品のエネルギー含量が報酬特性と美味しさの重要な決定要因であり、それが摂取量の増... ...続きを見る

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2015/05/23 00:00
季節により変化する人間の遺伝子発現
 人間の遺伝子発現の季節的変化についての研究(Dopico et al., 2015)が公表されました。遺伝子には24時間周期で発現量が増減するもの(「概日」遺伝子)が存在し、哺乳類の免疫応答の主要な調節因子となっていることが明らかになっています。しかし、遺伝子発現の季節的な変動については、まだよく分かっていないところがありました。この研究は、いくつかの一般公開されているデータセットの遺伝的データを調べ、発現量に有意な季節差のある遺伝子が全体の約4分の1を占め、血液中のさまざまな免疫細胞の相対組... ...続きを見る

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2015/05/20 00:00
現生鳥類の近縁種の最古となる化石
 現生鳥類の近縁種としては最古となる化石についての研究(Wang et al., 2015)が公表されました。2億5200万〜6600万年前頃の中生代の鳥類には、現生鳥類の祖先が含まれる真鳥形類と、白亜紀末に絶滅して現代には子孫が残っていないと考えられる異鳥類とが存在しました。中生代の鳥類の化石は少ないため、鳥類の初期進化史についてはよく分かっていません。この研究では、中国の河北省にある四岔口(Sichakou)盆地で発見された真鳥形類の新種化石(Archaeornithura meemanna... ...続きを見る

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2015/05/16 00:00
皮膜の痕跡が保存されている恐竜
 皮膜の痕跡が保存されている恐竜についての研究(Xu et al., 2015)が公表されました。スカンソリオプテリクス類は、最終的に鳥類へとつながった恐竜系統の基部に位置づけられ、じゅうらいの復元図では、樹上生活をするキツネザル様の動物として描かれてきました。この研究で報告されたスカンソリオプテリクス類は中国で発見された1億6000万年前頃のもので、固い繊維状の羽毛が生えており、手首に2本の長い骨性要素が付いていました。これにより、滑空飛行を担った可能性がある皮膜を支えていた、と考えられていま... ...続きを見る

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2015/05/12 00:00
代謝の記憶
 摂取した食物に関するカロリー情報の記憶についての研究(Zhang et al., 2015)が公表されました。この研究は、ショウジョウバエの代謝の記憶に関与すると考えられる複数の遺伝子と、いくつかの脳領域を同定しました。ショウジョウバエは食物のカロリー量を記憶して、標準的なカロリー量の食物を好むように学習しますが、ショウジョウバエに高カロリー食を無理やり食べさせた後は、カロリー摂取量が増えて、糖尿病様の症状が見られるようになることが明らかにされました。代謝の記憶が遺伝的変化や慢性的な過食によっ... ...続きを見る

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2015/05/09 00:00
DNAメチル化による脳の発達における性差
 DNAメチル化による脳の発達における性差についての研究(Nugent et al., 2015)が公表されました。脳の特定の領域では、著しい性差が見られます。哺乳類の胎児の発達過程において精巣由来のホルモンにさらされると、多数の雄性関連遺伝子が発現するなどして、脳は雄としての特徴を有するようになります。しかし、そうした遺伝子が雄でのみ発現し、雌では休止する仕組みについては明らかではありませんでした。 ...続きを見る

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2015/05/04 00:00
オキシトシンと母性行動
 オキシトシンが母性行動に及ぼす影響についての研究(Marlin et al., 2015)が公表されました。オキシトシンが社会的相互作用や母性行動の調整に関わっていることは知られていますが、その仕組みについてはまだよく分かっていません。この研究は、マウスが仔を回収する行動を調べ、オキシトシンが仔の鳴き声への皮質の応答性を調節しており、その働きは左の聴覚野に特異的であることを明らかにしました。またこの研究は、未経産の雌に鳴き声を聞かせるとともに左聴覚野へのオキシトシン投与を行うと、鳴き声への応答... ...続きを見る

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2015/04/29 00:00
情緒的な出来事により強化される記憶
 情緒的な出来事と記憶との関係についての研究(Dunsmoor et al., 2015)が公表されました。人間以外の動物における研究から、当初弱かった記憶痕跡が短時間経過してから再活性化されると強化されることがある、ということが明らかになっていました。人間に同様の機構が存在するのかよく分かっていなかったのですが、この研究は、人間においても、当初弱かったエピソード記憶がそれと概念的に関連する情報を含む情緒的な学習を後に行うことにより、選択的に強化・固定化され得ることを明らかにし、最初は瑣末だった... ...続きを見る

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2015/04/22 00:00
倍数性によって加速する進化
 進化における倍数化(染色体の数が通常の染色体数または半数体数の2倍より多くなる現象)の役割についての研究(Selmecki et al., 2015)が公表されました。倍数化は多くの生物に共通して見られますが、それが進化に与える影響は不明でした。この研究は、酵母の無性生殖株の半数体・二倍体・四倍体を用いて実験し、炭素源の乏しい環境における増殖への適応は倍数性によって加速されることがあり、なかでも四倍体の適応が最も速いことを明らかにしています。このことから、倍数性は不安定な場合がある一方で、適応... ...続きを見る

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2015/04/15 00:00
結核菌の混合感染が一般的だった18世紀のヨーロッパ
 18世紀のヨーロッパにおける結核についての研究(Kay et al., 2015)が公表されました。この研究では、ハンガリーのヴァーチにあるドミニコ会教会の地下室に安置されていた、1745〜1808年に亡くなった26人の遺体から採取した結核菌のDNAが解析されました。この26人中8人に由来する14点の結核菌ゲノムが再現されましたが、そのうち5人から複数の結核菌遺伝子型が見つかり、複数の系統株による結核感染が流行していたことが明らかになりました。このことから、18世紀のヨーロッパでは結核菌の混合... ...続きを見る

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2015/04/12 00:00
脳内における温度変化の情報処理
 脳内における温度変化の情報処理に関する研究(Liu et al., 2015)が公表されました。動物は外界の温度変化を末梢神経系の温度受容器で検知しますが、そうした信号を処理する中枢回路には不明なところがありました。この研究は、ハエの脳には外界温度の低下・上昇またはその両方に応答する独特なニューロン群があり、それらが行動応答に寄与することを報告し、高次脳中枢が末梢の単純な温度マップから刺激の質・強度・およびタイミングに関する情報を抽出する仕組みを明らかにしています。以下は『ネイチャー』の日本語... ...続きを見る

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2015/04/08 00:00
有顎脊椎動物の起源
 有顎脊椎動物(顎口類)の起源に関する研究(Giles et al., 2015)が公表されました。この研究は、1992年に刊行された、シベリアの前期デボン紀(4億1500万年前頃)の顎口類化石の脳頭蓋および頭蓋冠について、コンピューター断層撮影法を用いて再分析しました。その結果、脳頭蓋には、硬骨魚類と軟骨魚類それぞれの特徴と、どちらにもない特徴が混在することが明らかになりました。系統発生解析では、この魚類が顎口類の基部に位置付けられ、完全に絶滅した化石魚類群である棘魚類が軟骨魚類に近縁だったの... ...続きを見る

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2015/04/07 00:00
人間の病気と遺伝的多様性に関するゲノム研究
 人間の病気と遺伝的多様性に関する諸研究が公表されました。これらは、2000万個以上の遺伝子多様体を同定した、2636人のアイスランド人のゲノム解析結果に基づいています。このデータを10万4000人以上のアイスランド人の網羅性の低い別の遺伝子型データと組み合わせて関連解析を強化した研究(Gudbjartsson et al., 2015A)は、肝疾患の発症危険性と有意に関連するABCB4遺伝子の多様体を含む、さまざまな病気に関連する遺伝子多様体を数多く同定しました。 ...続きを見る

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2015/04/02 00:00
恐怖関連記憶についての研究
 恐怖関連記憶は扁桃体に保存され、生涯利用され得ます。恐怖関連記憶がさまざまな時点で想起されるのに必要な回路については不明なところがあるのですが、最近の研究では、マウスに身体的・心理的ストレスをかけると、視床室傍核が強く活性化することが明らかになっています。そうしたなか、恐怖関連記憶に関する二つの研究が公表されました。一方の研究(Penzo et al., 2015)は、行動恐怖訓練後に、視床室傍核から扁桃体の特定部位への投射を抑制すると、扁桃体中の特定の介在ニューロン群上のシナプスで、恐怖によ... ...続きを見る

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2015/03/29 00:00
細胞の形態を決定するタンパク質の進化
 細胞の形態を決定するタンパク質の進化に関する研究(Duggin et al., 2015)が公表されました。細胞骨格は細胞の形態を定め、細胞分裂などの過程に重要な役割を果たしています。真核生物において、微小管などの細胞骨格を形成しているタンパク質の一つとして、チューブリンがあります。細菌には細胞骨格が存在しませんが、チューブリンの相同体(ホモログ)であるFtsZタンパク質(細胞分裂過程で環状構造を形成し、細胞をくびって細胞質分裂を起こさせます)が存在します。 ...続きを見る

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2015/03/21 00:00
人新世の定義
 人新世の定義に関する研究(Lewis, and Maslin., 2015)が公表されました。現在の地質年代区分は完新世(Holocene)とされていますが、完新世はすでに終結し、人類が優占する新たな地質年代「人新世(Anthropocene)」が始まっている、との見解が近年になって盛んに議論されています。この研究は、地質記録中の人為的であることが明らかな痕跡を人新世の承認に必要な公式要件と照合して評価し、紀元後1610年および1964年が人新世の始まりを示す可能性のあることを明らかにしていま... ...続きを見る

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2015/03/18 00:00
海洋哺乳類の進化
 海洋哺乳類の進化に関する研究(Foote et al., 2015)が公表されました。クジラやマナティーなどの海洋哺乳類は、海洋環境に適応する上で必要な共通の形質を持っていますが、そうした形質はそれぞれの哺乳類群で独立して進化しました(収斂進化)。この研究では、海洋哺乳類のゲノムが解読され、陸上生活から海の生活への移行に関連すると考えられる遺伝子が同定されました。そうした遺伝子のなかには、分析対象とした海洋哺乳類4種すべてで同じ分子的変化をもたらすものもあるそうです。以下は『ネイチャー』の日本... ...続きを見る

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2015/03/07 00:00
高度な認識機能における扁桃体の働き
 長期にわたる報酬の備えに関わる作業における扁桃体の働きに関する研究(Hernádi, Grabenhorst, and Schultz., 2015)が公表されました。扁桃体は、恐れや攻撃性に関連する脳の領域とされ、報酬関連行動に関わることが明らかになっています。しかし、長期にわたる報酬の備えに関わる作業は大脳皮質の属性とされてきました。しかしこの研究は、比較的「原始的な行動」にのみ関わるとされていた扁桃体が、そうした「高度な認識機能」においても役割を果たしている可能性を示唆していま... ...続きを見る

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2015/03/04 00:00
カバの起源
 カバの起源に関する研究(Lihoreau et al., 2015)が公表されました。カバとクジラ類(クジラ、イルカ、ネズミイルカ)は単一の分類群に属しており、その共通祖先は、カバに似た絶滅種であるアントラコテリウム科の動物とされています。クジラ類の進化を実証する化石標本は数多く存在するものの、こうした祖先動物とカバの関係については、化石記録による裏付けが不充分であるため、現存のカバの祖先は特定されていませんでした。 ...続きを見る

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2015/03/02 00:00
脊椎動物の頭部の進化
 脊椎動物の頭部の進化に関する研究(Jandzik et al., 2015)が公表されました。独特の構造をしている脊椎動物の頭部に対応する構造が無脊椎動物には一切存在しないこともあり、脊椎動物の頭部がどのように進化してきたのか、長きにわたって議論されてきました。最初に出現した脊椎動物の頭部骨格は、神経堤に由来するコラーゲン性の細胞性軟骨でできていた、との見解が提示されていますが、無脊椎の脊索動物には神経堤が存在しないため、頭部軟骨の起源を解明することは困難でした。 ...続きを見る

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2015/02/28 00:00
魚竜の祖先の水陸両生爬虫類?
 新たに発見された小型の魚竜様爬虫類に関する研究(Motani et al., 2015)が公表されました。完全水生の爬虫類である魚竜類は三畳紀に出現し、白亜紀末に恐竜とともに絶滅しました。魚竜類は最初期ですら完全な水生動物であり、これまでは陸上から水中への移行に関する情報が確認されていませんでした。この研究は、中国南部の下部三畳系で新たに発見された極めて小型の原始的な魚竜様爬虫類が水陸両生だった可能性と、それが魚竜類と絶滅水生爬虫類の一群(Hupehsuchia)の共通祖先に近縁だった可能性を... ...続きを見る

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2015/02/17 00:00
蛇の最初期の進化
 蛇の最初期の進化に関する研究(Caldwell et al., 2015)が公表されました。この研究では、イギリス・ポルトガル・アメリカ合衆国で発見された蛇の頭蓋骨化石から、1億6700万〜1億4300万年前頃に生息していた蛇の新種(4種)が同定されました。その結果、最初期の蛇が出現した時期には有鱗爬虫類の他の主要な分類群の大部分が急速に多様化しており、最初期の蛇はジュラ紀中期に世界各地のさまざまな生息地(沼地・池・河川・沿岸など)に存在していたことが明らかになりました。また、じゅうらいは蛇の... ...続きを見る

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2015/02/14 00:00
加齢に伴う精子の機能低下
 加齢に伴う精子の機能低下に関する研究(Preston et al., 2015)が公表されました。この研究では、モロッコ東部で行われているフサエリショウノガン(Chlamydotis undulata)の大規模保護事業によって得られた10年分のデータが解析されました。その結果、オスの高齢化によって卵の孵化率が低下しただけでなく、ヒナの成長速度も低下したのに対して、成長速度が最大だったのは、未成熟なオスの精子から生まれたヒナだったことが明らかになりました。 ...続きを見る

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2015/02/07 00:00
カリブ諸島におけるコウモリの絶滅年代
 カリブ諸島におけるコウモリの絶滅年代についての研究(Soto-Centeno, and Steadman., 2015)が公表されました。カリブ諸島における生物の絶滅に関しては、霊長類・齧歯類・ナマケモノなど一部の哺乳類は8000〜7000年前頃の人類の到来との関連が推測されている一方で、コウモリは更新世〜完新世の移行(11000〜9000年前頃)に伴う気候変動との関連が想定されていました。しかしこの研究は、カリブ諸島におけるコウモリの絶滅年代が4000年前頃まで下る可能性を指摘し、これまでの... ...続きを見る

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2015/01/27 00:00
吉川浩満 『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』初版第2刷
 朝日出版社より2014年12月に刊行されました。初版第1刷の刊行は2014年10月です。生物種の大半は絶滅してきた、との冒頭の指摘を読み、絶滅という視点からの進化史・進化学解説なのかと思ったら、科学哲学史・思想史的な解説が主題になっており、これは予想外でした。本書の特徴は、なぜ非専門家の一般層は進化論を誤解するのか、専門家同士の論争(とくに適応主義をめぐる論争)における「敗者」の躓きの要因は何だったのか、という「否定的側面」から進化論の魅力・有効性を解説していることです。いわば逆説的な進化論解... ...続きを見る

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2015/01/10 00:00
細菌から古細菌への遺伝子伝播
 細菌から古細菌への遺伝子伝播の頻度に関する研究(Nelson-Sathi et al., 2015)が公表されました。原核生物においては、個々の細胞間の水平遺伝子伝播が、進化・種の形成に重要な役割を果たす、とされています。この研究は、134例の古細菌ゲノムにおける遺伝子の分布と系統発生を調べ、古細菌においてじゅうらい知られている13の高次分類群の出現が、細菌からの2264件の分類群特異的な水平遺伝子獲得に対応することを明らかにしました。細菌から古細菌への遺伝子伝播の頻度は、その逆の伝播の5倍以... ...続きを見る

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2015/01/07 00:00
ゴンドワナテリウム類の新化石
 ゴンドワナテリウム類の頭部の新化石とその系統関係についての研究(Krause et al., 2014)が公表されました。白亜紀後期から暁新世前期にかけてゴンドワナ大陸で恐竜と共に生息していたゴンドワナテリウム類の化石は、これまでわずかな歯と少数の下顎骨片しか発見されていなかったので、その進化的系統関係には不明なところがありました。この研究は、マダガスカルの白亜紀層で発見された新たなゴンドワナテリウム類の頭蓋化石の分析により、ゴンドワナテリウム類が絶滅した齧歯類様の哺乳類群「多丘歯類」と近縁で... ...続きを見る

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2014/12/21 00:01
先カンブリア時代の謎の生物群
 カンブリア大爆発の直前となる約6億年前のエディアカラ紀の化石群についての研究(Chen et al., 2014)が公表されました。この研究では、中国の陡山沱(Doushantuo)のエディアカラ紀の化石群が報告されています。この化石群の分類についてはさまざまな解釈が提示されてきましたが、この研究では、新たに発見された球状微化石には細胞分化・プログラム細胞死・体細胞および生殖細胞の分離を示す明らかな証拠が認められるものの、それ以外は既知のいかなる生物群とも類似点がない、と指摘され... ...続きを見る

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2014/12/14 00:00
トビハゼのゲノム解読
 トビハゼのゲノム解読についての研究(You et al., 2014)が公表されました。この研究は4種類のトビハゼのゲノムを解読し、陸上生活に対応できるような諸々の遺伝子を特定しています。トビハゼは、呼吸能力・優れた視力・陸上を移動する能力・環境中の高濃度のアンモニアへの耐性などを獲得して、胸鰭を使って陸上を動き回る水陸両生魚類に進化しました。この研究は、トビハゼのゲノムを解読し、トビハゼが他の条鰭類から分岐して、その後に陸上生活に役立つ数百個の遺伝子を獲得したことを明らかにしています。こうし... ...続きを見る

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2014/12/11 00:00
大量絶滅後の海洋生態系の回復
 中国南西部で発見されたノトサウルス類の化石についての研究(Liu et al., 2014)が公表されました。この研究では、中国南西部で発見された2億4700万年前頃〜2億3700万年前頃の三畳紀中期の巨大な海生爬虫類(Nothosaurus zhangi)の化石が報告されています。この個体は顎の長さが65cmで体長は5m〜7mと推定されており、その下顎は三畳紀の水生爬虫類である鰭竜類のものとしては最大になるそうです。そのため、Nothosaurus zhangiは当時の生態系の最上位捕食者と... ...続きを見る

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2014/12/04 00:00
畜乳の消費を示す歯の記録
 畜乳の消費を示す直接的証拠となる歯の記録についての研究(Warinner et al., 2014)が公表されました。この研究は、歯石の中に保存されていた乳清タンパク質であるβラクトグロブリン(BLG)が、畜乳の消費の直接的証拠となり得ることを明らかにしました。BLGにより牛・羊・山羊の乳の消費を区別できるそうです。これは、さまざまな人間集団における乳製品の消費パターンや、乳製品の消費行動の進化過程を調べるために利用できるのではないか、とされています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引... ...続きを見る

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2014/12/03 00:00
北極海の海氷の減少によるユーラシアにおける厳冬の確率上昇
 北極海の海氷の減少とユーラシアにおける厳冬の確率上昇との関係についての研究(Mori et al., 2014)が公表されました。この研究によると、過去数十年間にわたる北極海の海氷の減少が、ユーラシアに厳冬が来る確率を倍にしている、とのことです。しかしながら、こうした気候変化は一時的なもので、21世紀の終わりには、気候温暖化が海氷の効果に勝ると予想されている、とのことです。厳冬になると、「地球温暖化は嘘であり、それが強く主張されるのは陰謀だ」と騒ぎ立てる人が少なくないようですが、そのような見解... ...続きを見る

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2014/12/01 00:00
キンシコウのゲノム解読
 中国の南西部と中央部に生息し、絶滅危惧種に指定されているキンシコウ(Rhinopithecus roxellana)のゲノム解読についての研究(Zhou et al., 2014)が公表されました。キンシコウはおもに葉や種子など消化しにくい植物を食べています。キンシコウの属するオナガザル科コロブス亜科は、ウシのような特化した複数の胃を持っており、この胃の中には、哺乳類が通常は消化できない植物化合物を分解する細菌が生息しています。この研究はキンシコウのゲノム解読により、キンシコウには他の霊長類と... ...続きを見る

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2014/11/27 00:00
カカオ豆の認知機能促進効果
 カカオ豆による高齢者の認知機能促進効果についての研究(Brickman et al., 2014)が公表されました。加齢に伴う認知機能の減退では、歯状回という脳領域に変化が見られ、この機能低下と記憶力の低下との関連の可能性が報告されています。この研究では、カカオ豆に多く含まれるフラバノールという成分を高齢者に投与したところ、多量に摂取した被験者群は少量を摂取した被験者群と比較して、遅延再認課題の反応がはるかに速い、と報告されています。この研究ではさらに、フラバノールの摂取による能力改善が歯状回... ...続きを見る

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2014/11/25 00:00
哺乳類の初期の分岐
 哺乳類の初期の分岐についての研究(Bi et al., 2014)が公表されました。この研究では、最近まで歯の化石だけから存在が考えられていた、きわめて古い哺乳類のハラミヤ類3種の新たな化石が報告されています。ハラミヤ類の系統関係については、頭蓋や骨格が発見されると諸説が提示されていたのですが、この研究では、大いに繁栄した後に絶滅した齧歯類様の多丘歯類に近縁だ、との結論が提示されています。また、現生哺乳類群同士の最初の分岐(単孔類と有袋類・有胎盤類)が三畳紀にまでさかのぼることも明らかになりま... ...続きを見る

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2014/11/01 00:00
アメリカ大陸の結核の起源
 アメリカ大陸の結核の起源についての研究(Bos et al., 2014)が公表されました。現在のアメリカ大陸で見られる結核菌株はヨーロッパのそれと近縁ですが、考古学的証拠から、アメリカ大陸ではヨーロッパ人の到来前から結核菌が存在していたことが示唆されています。この研究は、ペルーで発見された1000年前頃の人骨から得た結核菌ゲノムの塩基配列を解読し、これがアシカ類やアザラシ類に適応した結核菌株に最も近縁だったことを明らかにしました。 ...続きを見る

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2014/10/31 00:00
Hoxの発現と後脳分節化の結び付き
 Hoxと分節化の結び付きについての研究(Parker et al., 2014)が公表されました。入れ子状のHoxの発現領域は、顎口類(有顎脊椎動物)の後脳の分節構造である菱脳分節と関連しています。入れ子状のHoxの発現領域は、脊椎動物ではない脊索動物でも見られますが、その神経系領域は単純で分節化されておらず、顎口類の脳と関連付けることが難しいので、入れ子状Hoxの発現領域と脳のパターン形成との関係性については、無顎類と共によく分かっていません。この研究はヤツメウナギにおけるHoxの発現と後脳... ...続きを見る

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2014/10/30 00:00
ミトコンドリアDNAの変異が寿命に影響を与える可能性
 ミトコンドリアDNAの変異と寿命との関係についての研究(Ross et al., 2014)が公表されました。母系伝達となるミトコンドリアDNAの変異は健康に影響を及ぼすこともある、とこれまでの研究は示唆してきました。この研究は、ミトコンドリアDNAの変異により平均寿命が短くなることを明らかにしました。マウスの平均寿命は、低レベルのミトコンドリアDNA変異を有する場合には100.2週であるのに対して、そうではない場合には141.1週だった、とのことです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの... ...続きを見る

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2014/10/14 00:00
ノーベル物理学賞発表
 昨日、ノーベル物理学賞が発表され、「日本人3名」が受賞したということで、日本では大きく報道されています。授賞理由は青色発光ダイオードの開発なのですが、これは事前の報道で有力候補の一つとされていたので、とくに意外な感はありません。受賞者のうちの1人が中村修二氏なのですが、第一報を知った時には、これでまた日本の「進歩的で良心的な」人々が日本における司法・企業の在り様や日本社会全体を得々として批判するだろうと考えて、やや嫌な気分になってしまいました。 ...続きを見る

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2014/10/08 00:00
人間の身長に関連する遺伝子
 昨年や一昨年よりも凱旋門賞の結果に落胆していないとはいっても、やはり悔しくてかなり気分が落ち込んでしまったことは否定できず、まだ1日程度ではとてもそこから抜け出せてはいないのですが、こういう時こそ、いつものように淡々とブログを更新していこう、と考えています。とはいっても、数年前に執筆したものを公開することも多くなりそうですが・・・。以下、本題です。 ...続きを見る

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2014/10/07 00:00
蝶や蛾の幼虫の生存率の変化と幼鳥の学習の関係
 蝶や蛾の幼虫の生存率の変化と幼鳥の学習の関係についての研究(Mappes et al., 2014)が公表されました。蝶や蛾の幼虫には、派手な体色や模様のものと隠蔽色のものがいます。前者は自らが危険なことを捕食者に誇示することで生存率を高め、後者は背景に紛れ込むことで捕食者から発見される可能性を減少させるわけです。前者は、捕食者が派手な体色の意味を理解していることが前提となります。この研究は、派手な体色の幼虫の生存率が学習していない鳥類の最も少ない巣立ちの初期と末期に上昇した一方で、巣立ち期の... ...続きを見る

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2014/09/27 00:00
チンパンジーの攻撃性
 チンパンジーの攻撃性についての研究(Wilson et al., 2014)が報道されました。現代人に最も近縁な現生種がチンパンジーとボノボであることはよく知られているでしょう。そのため、チンパンジーとボノボは人類の進化モデルとしても研究されてきました。そのなかには、人間の攻撃行動の進化に関するものもあるのですが、近年になって、チンパンジーに見られる暴力は主として人為活動の結果であるとする「人為的影響仮説」が主張されました。この研究では、アフリカ各地のチンパンジーやボノボに関する研究のメタ分析... ...続きを見る

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2014/09/21 00:00
乳児期の言語獲得の遺伝的影響
 乳児期における言語獲得の遺伝的影響に関する研究(Pourcain et al., 2014)が公表されました。じゅうらいの研究でも、乳児の語彙獲得に遺伝的影響のあることが指摘されていました。この研究は、生後15〜30か月の乳児10000人以上から得た言語熟達度データを用いて、語彙評価の結果と遺伝子多様体との関連を調べました。その結果、発達初期における1語の獲得と有意に関連する特定の1つのゲノム領域が同定されたものの、その後の2語の組み合わせが発達する時期と関連するゲノム領域は同定されなかった、... ...続きを見る

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2014/09/18 00:00
腸内微生物叢に影響を及ぼす性差
 腸内微生物叢の構成に関する研究(Bolnick et al., 2014)が公表されました。この研究によると、腸内微生物叢の構成には食餌だけではなく性別も影響を及ぼしている、とのことです。ただ、どのような仕組みで性差が生じているのか、まだ解明されていないそうです。この研究では、ホルモンまたは免疫機能の性差と結びついている可能性が指摘されています。腸内微生物叢の構成に性差があることは、タンザニアのハツァ族の腸内微生物叢研究でも指摘されていましたが、この時は、性別分業との関連の可能性が指摘されてい... ...続きを見る

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2014/08/29 00:00
中沢弘基『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像』第2刷
 講談社現代新書の一冊として、講談社より2014年6月に刊行されました。第1刷の刊行は2014年5月です。本書の特徴は、(地球)物理学・化学に基づき、地球誕生以降の分子単位での物質の変遷とエネルギーの動きを追うことで、生命誕生へと至る経緯を把握しようとしていることです。地球史の観点からの壮大な生命起源論となっており、困惑させられたところが少なくありません。ただ、生命は諸物質から構成されているわけですから、物理学・化学の観点からの生命起源論はある意味当然とも言えます。 ...続きを見る

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2014/08/06 00:00
仲野徹『エピジェネティクス―新しい生命像をえがく』
 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2014年5月に刊行されました。近年大いに注目されているエピジェネティクスについて、一度基礎知識をしっかりと学ぼうと思い、読んでみました。本書によると、近年におけるエピジェネティクスについての最大公約数的な定義は、「エピジェネティックな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれうる表現型である」とのことです。エピジェネティック修飾による遺伝子発現制御の基礎は、 (1)ヒストンがアセチル化をうけ... ...続きを見る

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2014/05/30 00:00
現代人の発祥地の推定(通算3000本目の記事、追記有)
 現代人の発祥地を遺伝学的に推定する研究(Elhaik et al., 2014)が公表されました。人間の移動の流れに関する遺伝学的研究は盛んですが、個々の現代人の近い世代での発祥地を詳しく特定する研究は、これまでのところ成功しているとは言い難いようです。この研究では、正確な遺伝情報と地理情報を用いたアルゴリズムを開発し、200名の現代サルジニア人に関してはかなりの精度でそれを実現できたと報告しており、今後の研究範囲の拡大と応用が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。 ... ...続きを見る

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2014/05/09 00:00
胎児のDNAメチル化に影響する母親の食事
 母親の食事が胎児のDNAメチル化に影響することを報告した研究(Dominguez-Salas et al., 2014)が公表されました。DNAメチル化はエピジェネティックな現象(DNA塩基配列の変化を伴わない後成的な遺伝子発現の変化)の仕組みの一つであり、大いに注目されている分野と言えるでしょう。この研究は、雨季と乾季で食事がきょくたんに変化するアフリカ西部ガンビア共和国の農村部における調査で、雨季に受胎した乳児が乾季に受胎した乳児と比較して6個の遺伝子すべてでメチル化レベルが高かったことと... ...続きを見る

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2014/05/07 00:00
ニジマスのゲノム解読
 ニジマスの全ゲノム塩基配列の解読結果についての研究(Berthelot et al., 2014)が公表されました。ゲノムが突然倍加する全ゲノム重複は脊椎動物の進化に重大な結果をもたらしていますが、既知の全ゲノム重複事象の大部分は大昔に起きているため、その解明はほとんど進んでいない、とのことです。この研究では、全ゲノム重複が比較的最近起こったニジマス(Oncorhynchus mykiss)の全ゲノム塩基配列の解読結果から、全ゲノム重複後の遺伝子の進化は、じゅうらい考えられていたよりも相当に緩... ...続きを見る

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2014/04/25 00:00
地域集団間で異なる腸内細菌叢
 タンザニアのハツァ族の腸内細菌叢についての研究(Schnorr et al., 2014)が公表されました。この研究で注目されるのは、「善玉菌」として一般にもよく知られているだろうビフィズス菌が、ハツァ族には見られないことです。また、ハツァ族の腸内細菌叢については、性差も見られるそうです。一般的な意味での「正常」・「健康」な微生物叢という考え方が状況依存的であることを明確に示している、と指摘されており、たいへん興味深いと思います。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。 ...続きを見る

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2014/04/17 00:00
白亜紀末の大量絶滅の要因
 まだ日付は変わっていないのですが、3月11日分の記事として2本掲載しておきます(その一)。白亜紀末の大量絶滅の要因についての研究(Ohno et al., 2014)が報道されました。白亜紀末に恐竜など多くの生物が絶滅したことは以前からよく知られており、この20年ほどは、その要因として小惑星が衝突したという説が有力視されていることも、一般に知られるようになったと思います。この研究では、6500万年前頃に現在のユカタン半島あたりに小惑星が衝突した結果、硫酸エアロゾルがこれまでの推定よりもずっと早... ...続きを見る

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2014/03/11 00:00
プロコンスルの生息環境
 プロコンスルの生息環境についての研究(Michel et al., 2014)が公表されました。2300万〜1700万年前頃にアフリカ東部に生息していたプロコンスルは、類人猿と人間の系統の起源に関係があるとされています。これまで、プロコンスルの生息環境は、開放地を含めてさまざまな場所にわたっていた可能性が示唆されていました。この研究では、ケニアのルシンガ島で発見されたプロコンスルの生息環境について、化石植物や化石土壌といった環境指標から推測されています。 ...続きを見る

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2014/02/21 00:00
人間の腸内微生物叢は食餌によって迅速に変化する
 人間の腸内微生物叢と食餌による迅速な変化についての研究(David et al., 2014)が公表されました。腸内細菌叢によっても消化効率が違ってくるので、同じ食餌内容でも個人により摂取カロリーが異なってくる、ということを以前このブログでも取り上げました(関連記事)。この研究によると、人間の腸内微生物叢は食餌によって迅速に変化し、代謝機能のパターンも変わるそうです。これは、治療や体質改善にも大いに役立ちそうな研究となりそうです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。 ...続きを見る

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2014/02/15 00:00
過去5万年間の北極圏における植物相と大型動物の食性の変遷
 過去5万年間の北極圏における植物相と大型動物の食性の変遷についての研究(Willerslev et al., 2014)が報道されました。北極圏の植物相は、地上で最も形成年代が新しく、多様性に乏しいと一般的に理解されています。しかし、このような植物相がどのように形成されてきたのかという理解は貧弱だ、とこの研究では指摘されています。更新世後期〜末期の北極圏の植生は、イネ科植物に覆われたマンモスステップと考えられてきました。マンモスなど現在では絶滅している大型動物が多数、ツンドラで草を食んでいる様... ...続きを見る

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2014/02/08 00:00
新型万能細胞をめぐる報道
 新型万能細胞についての研究は世界で大きく取り上げられたようですが、日本人研究者が中心になったということで、日本ではとくに扱いが大きかったように思います。しかし、日本での報道の在り様について、外国のマスコミは詳しく報道しているのに、「毎日新聞以外は、発見そのものに関する説明は控えめで、業績には関係のない情報ばかりが報道されて」おり、朝日新聞には「発見そのものに関する詳しい説明はありません」と指摘し、日本のマスメディアを痛烈に批判した見解が公表されています。 ...続きを見る

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2014/02/01 00:00
新型の万能細胞
 新型の万能細胞についての研究が大きく取り上げられました。日本では朝日新聞などが大々的に報道しています。『ネイチャー』の今週号には、外界刺激が誘導する体細胞から多能性細胞への運命転換という表題の研究(Obokata et al., 2014A)と、多能性を獲得した再プログラム化細胞における二方向性の発生能という表題の研究(Obokata et al., 2014B)が掲載されています。この新型万能細胞は「STAP細胞」と名づけられました。2年前の4月に研究チームが『ネイチャー』に投稿したさい、じ... ...続きを見る

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2014/01/31 00:00
種によって異なる老化
 生物の老化についての研究(Jones et al., 2014)が公表されました。種によって老化の在り様が異なるだろうということは、鮭や昆虫などの事例からも、私も含めて多くの非専門家にも直感的に理解しやすいでしょう。ただ、生物すべてが対象となるわけですし、人間のように世代の長い生物種もいますから、それを実証して理論化することには、長い時間を要するのではないか、と思います。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。 ...続きを見る

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2014/01/12 00:00
78万〜56万年前頃のウマのゲノム解読
 明日(11月9日)からしばらく留守にするかもしれないので、とりあえず来週分までまとめて更新することにします。これは11月10日分の記事として掲載しておきます。 ...続きを見る

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2013/11/10 00:00
過去の気候変動の範囲を超える温暖化が最初に起きるのは熱帯地域
 温暖化の予測とその影響についての研究(Mora et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。人為的要因による地球温暖化については、現代科学の苦手な多くの要因の考慮と長期の観察を要するため、どの程度気温が上昇するのか、その影響はどの程度なのか、また地域ごとにどれだけ影響が異なってくるのか、正確な予測が難しいことは否定できないでしょう。この研究では、現在進行中の地球温暖化が過去の気候変動の範囲を超える最初の時期は21世紀中期〜後期で、それが最初に起... ...続きを見る

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2013/11/03 00:00
顎の発達についての研究
 これは10月14日分の記事として掲載しておきます。顎の発達についての研究(Zhu et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用で、脊椎動物の進化における重要な出来事である顎の発達について報告されています。この研究で明らかにされているのは、サメや硬骨魚などの現生有顎脊椎動物が、板皮類として知られる有顎の甲冑魚類群から出現した段階です。板皮類の多くの顎は、現生有顎脊椎動物のそれとは大きく異なっていましたが、この研究で報告された板皮類のEntelognat... ...続きを見る

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2013/10/14 00:00
恐竜の寄生虫ではなかったジュラ紀の昆虫
 まだ日付は変わっていないのですが、4月7日分の記事として掲載しておきます。ジュラ紀の昆虫についての研究(Huang et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用で、これまで、ジュラ紀の化石昆虫であるstrashilidは、翼竜または羽毛恐竜にたかるノミのような寄生虫だと考えられてきたのですが、新たな化石標本の発見により、そうではない可能性が高くなった、とのことです。strashilidの鋏のような肢は、これまで、宿主にしがみつくために使われたと考えら... ...続きを見る

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2013/04/07 00:00
スノーボールアースにおける海洋の役割
 まだ日付は変わっていないのですが、4月3日分の記事として掲載しておきます。スノーボールアースにおける海洋の役割についての研究(Ashkenazy et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用で、新原生代の約7億5000万〜6億3500万年前に凍結が全球に及んでいたか否かという議論が活発ですが、それはともかくとして、大規模な氷河作用が起きたことについては、おおむね見解が一致しているようです。ただ、これまでのほとんどの研究では、当時働いていた大気過程が注... ...続きを見る

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2013/04/03 00:00
目の発生に必要な光
 まだ日付は変わっていないのですが、2月15日分の記事として掲載しておきます。光が目の発生を調節する仕組みについての研究(Rao et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用で、目の発生には光が重要とのことであり、素人の思いつきではありますが、発生ではこのように外部からの刺激が重要な部位が多くありそうな気がします。ただ、この研究はマウスを対象としたものであり、人間の目の発生もマウスと同様なのか、まだ定かではない、とも指摘されています。ただ、人間とマウス... ...続きを見る

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2013/02/15 00:00
エーミアン間氷期の気候の詳細な記録
 まだ日付は変わっていないのですが、1月25日分の記事として掲載しておきます。完新世における人類の遺伝的変異を推定した研究(Dahl-Jensen et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、エーミアン間氷期と呼ばれる130000〜115000年前頃は、現生人類(ホモ=サピエンス)がアフリカからレヴァントへと進出した時期でもあり、以前より、温暖な気候に変化したことによって、アフリカ起源の現生人類のレヴァントへの進出が可能になったのではないか、と... ...続きを見る

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2013/01/25 00:00
更科功 『化石の分子生物学』
 まだ日付は変わっていないのですが、11月15日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社より2012年7月に刊行されました。本書では、分子生物学の具体的な解析について、一般書にしては詳しく述べられており、分子生物学史的な記述もあるので、分子生物学の入門書としての性格もあるように思います。本書は全体的に、分子生物学の有効性とともに限界性も強調した内容になっているので、その点で明快な説明を求めている人には物足りないところもあるかもしれませんが、それだけに良心的ではある、とも... ...続きを見る

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2012/11/15 00:00
安藤寿康『遺伝子の不都合な真実─すべての能力は遺伝である』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2012年7月に刊行されました。本書では「能力」には遺伝子の影響があるという見解が強調されていますが、もちろん「能力」は遺伝子だけで決まるものではなく、遺伝子と環境の両者の影響が指摘されています。そんな当然のことをわざわざ本にまとめる必要があるのか、と多くの人が考えるかもしれませんが、多くの人が直感的に・漠然と自明のことと考えている常識を、学術的に検証することも専門家の役割であり、その意義は大きいと思います。その意味で、多くの人が漠然と考えているであろう常識... ...続きを見る

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2012/08/13 00:00
恐竜が内温性だった可能性
 恐竜が内温性だった可能性を指摘した研究(Köhler et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、これまで恐竜が内温性ではなかった根拠として、爬虫類や両生類の骨にも似た特徴が見られる、成長の季節的な減速または中断を示す「成長停止線」のあることが挙げられていました。一方、内温性とされる鳥類や哺乳類については、これまで1季節内で成体に育つものがおもに研究対象となっており、この研究でシカ・レイヨウ・トナカイなど大型の内温性哺乳類が調べられ... ...続きを見る

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2012/07/21 00:00
視点・論点「黒人選手は本当に"速く""強い"のか」
 NHKの「視点・論点」で「黒人選手は本当に"速く""強い"のか」という表題の解説が放送されたところ、かなり注目を集めているようです。解説者は、以前このブログで取り上げた『人種とスポーツ 黒人は本当に「速く」「強い」のか』(中央公論新社、2012年)の著者であり、この解説は、同書の一部を要約したものとなっています。同書もそれなりに反響を呼んだようですが、この解説と比較するとはるかに小さいようで、今でもテレビの影響力は大きいのだな、と改めて思った次第です。なんといっても、世帯で平均1/3人が視聴し... ...続きを見る

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2012/07/08 00:00
イクチオステガの移動様式
 イクチオステガの移動様式についての研究(Pierce et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、遊泳から歩行への移行は漸進的だった可能性が高そうとのことです。もっとも、移動様式の進化のより詳細な推定のためには、今後さらなる化石の発見が必要になるでしょう。なお、このブログでは以前、イクチオステガが幼体期には多くの時間を水中で過ごし、後年は陸上に移動する可能性を指摘した研究(関連記事)と、イクチオステガに類似した最初期の陸生脊椎動物(四肢動物)... ...続きを見る

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2012/07/01 00:00
川島浩平『人種とスポーツ 黒人は本当に「速く」「強い」のか』
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年5月に刊行されました。黒人が先天(遺伝)的に運動能力に優れているという言説は、現代日本社会でもかなり浸透しているように思われます。本書は、アメリカ合衆国スポーツ史の検証を通じて、この黒人運動能力先天的優越説が、20世紀、とくに1930年代以降に顕著になっていったことと、プロ・アマを問わず黒人のスポーツでの活躍が、経済・社会資本・政治的制度・社会思潮に大きく影響されていたことを示しています。おもに分析対象となるのは、野球・アメリカンフットボール・バ... ...続きを見る

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2012/06/13 00:00
トマトのゲノム解読
 トマトのゲノム解読についての研究(The Tomato Genome Consortium., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、栽培種や家畜種のボトルネックはありそうなことではあります。トマトは現在、原産地の南アメリカ大陸のみならず、他の多くの地域で食材として利用されており、それらの中には郷土料理としてすっかり定着しているものも多くあります。今ではトマトが南アメリカ大陸原産であることはあまり意識されていないでしょうが、アメリカ大陸以外の地域では、... ...続きを見る

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2012/06/01 00:00
金環日食
 昨日、東京でも午前7時半頃に金環日食を見ることができました。この時間帯の東京はわりと雲が出ていたのですが、ちょうど薄い雲にかかっていたために、金環日食の状態をよく観察できました。金環日食が始まると、しだいに暗くなっていき、もっとも太陽が隠れている時には、はっきりと暗くなっていることが分かりました。皆既日食だと本当に暗くなるようで、めったに見られない自然現象だけに、文字記録のない社会では大いに恐れられたのではないか、とつい想像したくなるのですが、じっさいのところどうなのかというと、各社会・個人に... ...続きを見る

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2012/05/22 06:21
最終氷期末期の急速な海面上昇
 最終氷期末期における急速な海面上昇についての研究(Berna et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、最終氷期末期には急速な海面上昇があったことになります。これが人類の行動に大きな影響を与えたことは間違いなく、今でも大きな関心を集めている、アメリカ大陸への人類の移住時期・経路についての議論にも関係してくるでしょう。また、更新世末期の人類の沿岸部における痕跡のなかには、海面の上昇により今では海面下にあるものも多いでしょうから、水中考古学のさ... ...続きを見る

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2012/04/10 06:26
脊椎動物の脳の起源
 脊椎動物の脳の起源についての研究(Pani et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、特定の形質だけを基準とすると、系統分類とは異なる近縁関係が示されるということは、各種生物間の比較でよくあることなのだろう、と思います。とくに脳については、人間と他の動物を区別する最重要の指標と考えられる傾向にあるので、人間の側の思い入れというか思い込みが強いように思われ、人間や人間と近縁な生物の脳進化の独自性が強調されやすいのかもしれません。今後も、そうし... ...続きを見る

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2012/03/21 00:00
『ハイビジョン特集 カンブリアン ウォーズ』
 BSプレミアムで放送されていたので、録画して視聴しました。生物進化史において大爆発期とされるカンブリア紀を、ドラマ形式で解説した番組です。ドラマに挿入される、カンブリア紀についての研究者の解説自体はなかなか面白かったのですが、肝心のドラマのほうがさっぱりで、これならば、研究者の見解を上手くまとめてCGとともに放送するという王道的構成にしたほうがよかったでしょうし、生物進化史に詳しくない芸能人を多数呼んで、あまり意味のないお喋りをさせておくほうがまだよかったのではないか、とさえ思います。 ...続きを見る

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2012/02/23 19:12
真核生物の淡水への進出時期
 真核生物の淡水への進出時期についての研究(Strother et al., 2011)が公表されました。この研究では、スコットランド北西部の高地にある先カンブリア時代のトリドニアン系頁岩で発見された10億年前の化石が報告されています。この微化石集団は、かつての湖底や珪砕屑性微生物マットに堆積したもので、有機質の壁を持つ長さ1ミリメートル近い多細胞生物からなる多様な集団とのことです。この微化石集団は淡水に生息していた単純な真核生物のようで、時々部分的に大気に触れていたのではないか、と考えられます... ...続きを見る

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2011/06/04 00:00
ローヤルゼリーの活性成分
 ローヤルゼリーの活性成分についての、富山県立大学の鎌倉昌樹講師の研究(Kamakura., 2011)が報道されました。ミツバチの集団における女王バチと働きバチの違いが、遺伝子ではなく栄養によるもので、ローヤルゼリーを食べた幼虫が女王バチへと分化することはよく知られていますが、ローヤルゼリー中の活性成分は、これまで明らかになっていませんでした。この研究では、セイヨウミツバチのローヤルゼリーの成分分析から、含まれるタンパク質の量と女王蜂になる個体数に相関があることが確認され、複数のタンパク質を個... ...続きを見る

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2011/06/02 00:00
ミミズトカゲ類の進化系統樹上の位置づけ
 ミミズトカゲ類の進化系統樹上の位置づけについての研究(Müller et al., 2011)が公表されました。日本にはいないミミズトカゲ類は、地中生活に適応した肢のないトカゲの一群ですが、その分類と進化系統樹上の位置づけについては、意見が分かれていました。分子遺伝学の分野からは、ミミズトカゲ類はカナヘビ類におさまる、との分類が提示されていました。しかし、形態学の分野では、ミミズトカゲ類の肢のない長い体は共通祖先から受け継いだものであるとして、ヘビ類とまとめる分類が主流になっていまし... ...続きを見る

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2011/05/29 05:09
大量絶滅は進行中なのか
 現在、大量絶滅がすでに始まっているのか否か、という問題についての見解(Barnosky et al., 2011)が公表されました。生物史上、5回ほど大量絶滅があったことが知られており、直近となる6500万年前頃の白亜紀末期の5回目の大量絶滅は、大型の恐竜が絶滅したこともあって、とくによく知られていますが、現在、6回目の大量絶滅が進行中なのではないか、との主張は珍しくなく、この見解では、その主張の是非について論じられています。 ...続きを見る

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2011/03/04 00:00
節足動物の起源
 節足動物様の付属肢を持ち、被甲を有するカンブリア紀の葉足動物の化石についての研究(Liu et al., 2011)が報道されました。この研究では、中国南西部の雲南省で発見された、5億2千万年前頃の葉足動物の化石が報告され、節足動物の起源との関連が指摘されています。この葉足動物は蠕虫に似た体長約6センチの細い生物で、その姿から「歩くサボテン」という愛称で呼ばれているそうですが、学名は“Diania cactiformis”となります。 ...続きを見る

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2011/02/27 05:39
更新世の大規模旱魃
 アメリカ合衆国南西部の、更新世における大規模旱魃についての研究(Fawcett et al., 2011)が公表されました。米国南西部では、過去2000年の間に、何十年も持続する旱魃が時々起こっていたことが知られていますが、長期の気候変動を予想するモデルシミュレーションでは、将来、気候がより温暖になると、これらよりはるかに長期間にわたる大規模旱魃が起こる可能性が示唆されています。 ...続きを見る

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2011/02/25 06:32
さかのぼる複雑な形態の生物の起源
 これまで、巨視的で複雑な形の生物が最初に出現したのは、5億7900万〜5億6500万年前頃だと考えられてきました。これは、カナダのミステイクンポイント(ニューファンドランド・ラブラドル州)で数年前に発見された、深海性アバロン化石群集のことです。しかし、中国の藍田累層で新たに発見された海草様の形態を持つ一連の鮮明な化石は、6億年前頃にまでさかのぼる、と報告した研究(Yuan et al., 2011)が公表され、巨視的で複雑な形の生物の起源がさかのぼる可能性が高くなりました。 ...続きを見る

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2011/02/20 21:01
ネイチャーからオープンアクセス誌が創刊される
 Natureの発行元であるネイチャー・パブリッシング・グループからこのたび創刊されるScientific Reportsは、一次研究論文を扱う、オープンアクセスの電子ジャーナルです。本誌は、自然科学(生物学、化学、物理学、地球科学)のあらゆる領域を対象としています。  本誌は、自然科学の特定分野の専門家が関心を持つような研究論文を迅速に査読して出版できる環境を備え、掲載論文への障壁なきアクセスを実現することを目的としています。 ...続きを見る

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2011/02/19 05:33
新旧の必須遺伝子
 必須遺伝子についての研究(Chen et al., 2010)が公表されました。これまで一般的には、人間が生きるために不可欠な遺伝子は古くからのものであり、それらは進化の過程でずっと保存されている、と考えられてきました。しかしこの研究では、ショウジョウバエ属12種のゲノムを比較した結果、3500〜300万年前頃にショウジョウバエ属のゲノムに取り込まれた195個の新しい遺伝子を発見し、それらのうち3分の1が生存に欠かせなくなっていることが明らかになった、と指摘されています。 ...続きを見る

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2010/12/22 00:00
砒素を食べ、DNAに取り込む生物
 砒素を食べ、DNAに取り込む細菌についての研究(Wolfe-Simon et al., 2010)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。NASAが日本時間の昨日午前4時に、「地球外生命体の証拠の探索に影響を与えるであろう、宇宙生物学上の発見」について会見を開く、との告知が事前になされており、謎めいた文言であることから、地球外生命体を発見したのではないか、と妄想した人も少なからずいたでしょうが、多くの人が予想していたであろうように、それほど一般受けする内容ではありません... ...続きを見る

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2010/12/04 00:00
哺乳類の大型化
 大型哺乳類の進化についての研究(Smith et al., 2010)が公表されました。哺乳類はその出現から1億4千万年の間、3g〜15kgと小型だったのですが、6500万年前頃の白亜紀末の生物大量絶滅後、劇的に大型化しました。この研究では、南アメリカ大陸のデータが少ないものの、各大陸を対象として、分類学上の各目に属する陸生哺乳類の体のサイズを示す化石データが収集され、検証されました ...続きを見る

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2010/11/27 00:00
気候により異なる性決定機構
 ある種の胎生トカゲでは、生息場所の気候が著しく異なる場合、性決定機構も異なることを明らかにした研究(Pen et al., 2010)が公表されました。脊椎動物のうち、我々人間などは遺伝的に性別が決まりますが、亀などは、母亀の産卵後から20〜40日後くらいの、まだ孵化前の期間における卵の周囲の温度により性別が決まります。つまり、脊椎動物の性決定は遺伝だけではなく温度によることもあるわけですが、亀をペットとして飼う人はそれなりの割合でいますから、これはわりとよく知られていることかもしれません。 ... ...続きを見る

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2010/11/19 00:00
真核生物の進化とミトコンドリア
 真核生物の進化とミトコンドリアについての研究(Lane, and Martin., 2010)が公表されました。我々現代人を含む多細胞生物は真核生物に属しますが、真核生物は原核生物から進化しました。原核生物には複雑性を拡大する傾向がほとんど見られないのにたいして、真核生物は、とくに多細胞生物において、ひじょうに複雑な構造の進化が認められます。この研究では、こうした違いが何に起因するのか、推測されています。 ...続きを見る

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2010/10/22 00:00
地球の窒素サイクルへの人類の影響
 地球の窒素サイクルに人類が与えた影響についての研究(Canfield et al., 2010)が公表されました。現代の窒素サイクルの始まりは、微生物が地球上に初めて出現した約27億年前ですが、地球誕生時から現代に至るまでの地球の窒素サイクルを追跡したこの研究によると、人類はその重要なサイクルを過去100年間でがらりと変えてしまい、人類の活動が窒素サイクルに及ぼした影響は、最初の微生物が地球上に出現して以降で最大のものである可能性がある、とのことです。 ...続きを見る

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2010/10/13 00:00
遺伝子組み換え綿花の導入による弊害
 バチルス=チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)という土壌細菌由来のタンパク質を発現する遺伝子組み換え作物は、Bt作物と呼ばれています。Bt作物は、害虫を駆除し、新たに殺虫剤を必要とすることなく、収穫量を上げることができます。しかし、中国北部で10年間にわたり実施された現地調査から、Bt綿花の栽培により、中国北部における害虫の個体群数のバランスが崩れ、以前はきわめて少数であった害虫のカメムシが、近年になって急増していることが明らかになった、との研究(Lu et al... ...続きを見る

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2010/06/12 00:00
始生代の海洋は穏やかだった
 始生代前期(約35億年前)の海水温は、じゅうらい考えられてきたよりも低かったことを論証した研究(Ruth et al., 2010)が公表されました。じゅうらい、始生代前期(約35億年前)の海水温は55〜85℃と考えられてきました。しかしこの研究では、南アフリカのバーバートン緑色岩帯で得られた保存状態のよい岩石の分析から、始生代前期の海水温は40℃を超えなかっただろう、とされています。バーバートンの岩石には、35〜32億年前頃の初期生命と海洋の化学的性質の地球化学的記録が保持されています。 ... ...続きを見る

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2010/04/17 00:00
鰻の完全養殖に成功
 水産総合研究センターが、鰻の完全養殖に成功にした、と報道されました。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100408/t10013720241000.html ...続きを見る

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2010/04/09 06:59
水蒸気と地球温暖化の関係
 水蒸気と地球温暖化の関係についての研究(Solomon et al., 2010)が公表されました。水蒸気は強力な温室効果ガスで、太陽光を一旦吸収し、大気中に熱を再放出します。この研究では、データとモデルが併用され、2000年頃の成層圏の水蒸気濃度の低下が、2000〜2009年頃の地球の平均地表温度に影響を及ぼしたことが示されました。とくに、下部成層圏水蒸気は、2000年以降の地球の平均気温を横ばいにしている重大要因であり、温度上昇を約25%減速するように作用していると考えられる、とのことです... ...続きを見る

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2010/03/07 06:25
小惑星の衝突による白亜紀末期の大量絶滅
 生物史上、何度か大量絶滅があったことが知られていますが、そのなかでも白亜紀末期の大量絶滅は、大型の恐竜が絶滅したこともあって、とくによく知られています。大型恐竜の絶滅要因についてはさまざまな仮説が提唱されてきましたが、1980年代に隕石もしくは小惑星の衝突が要因との仮説が提示されてからは、日本ではテレビや一般向け科学雑誌などでよく取り上げられたこともあって、非専門家の間では、隕石・小惑星衝突説がほぼ定説として浸透しているように思われます。しかし、隕石・小惑星衝突説を大量絶滅の主因とする説への疑... ...続きを見る

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2010/03/06 00:00
マダガスカルへの哺乳類の進出
 マダガスカルへの哺乳類の進出を説明した研究(Ali, and Huber., 2010)が公表されました。マダガスカルの哺乳類の様相はアフリカのそれとは大きく異なっており、マダガスカルの哺乳類は、数千万年にわたって隔離された状態で進化したと考えられています。マダガスカルの哺乳類の祖先がどのようにマダガスカルへと到着したのかという問題をめぐっては、総合説の成立に重大な役割を果たしたジョージ=ゲイロード=シンプソンが、アフリカから漂流物に乗って海を渡るという、運任せの賭けをしてたどり着いたのだとす... ...続きを見る

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2010/02/13 00:00
多様性のゆりかごとしてのサンゴ礁
 サンゴ礁は、その生物多様性が以前から高く評価されていますが、それだけではなく、新種の発生地としても重要である、と指摘した研究(Kiessling et al., 2010)が公表されました。この研究では、ドイツとアメリカ合衆国において、カンブリア紀より海底に生息していた化石生物の膨大なデータベースが調査されました。サンゴ礁で最初に発生した新属と浅海域で発生した新属の数が比較されたところ、サンゴ礁は非常な多様性を擁しているだけでなく、海底に生息する新たな種が発生する重要な場所でもあることが認めら... ...続きを見る

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2010/01/09 00:00
脊椎動物の起源
 脊椎動物の起源についての研究(Niedźwiedzki et al., 2010)が報道されました。この研究では、ポーランドの採石場で発見された陸生脊椎動物(四肢動物)の足跡化石について報告されています。この中には、保存状態が極めて良好で足部の形態の詳細な検討が可能なものがあり、初期の原始的な四肢動物であるイクチオステガ(Ichthyostega)と類似していることが判明しました。この足跡化石が注目されるのは、3億9500万年前という年代です。これは、じゅうらい最古の四肢動物化石の年... ...続きを見る

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2010/01/08 00:00
125000年前の間氷期の海面上昇
 現在の地球温暖化との類似性も指摘した、125000年前の間氷期の海面上昇についての研究(Kopp et al., 2009)が公表されました。この研究では、局所的な海面水準の標識がデータとして用いられ、それだけでは世界規模の海面水準とは異なっている可能性があることから、世界的規模および局所的な海面や氷床量などを推定する統計的手法とが統合され、125000年前の間氷期の海面水準が復元されました。この時期の極地の気温は、現在よりも3〜5℃高かったとされています。 ...続きを見る

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2009/12/19 00:00
歴史時代の異常気候
 過去1500年の異常気候についての研究(Mann et al., 2009)が公表されました。過去1500年の世界の気候記録によると、20世紀の温暖化以前の気候異常期として、950〜1250年頃の温暖期と、1400〜1700年頃の寒冷期が挙げられますが、こうした異常気候をもたらした仕組みはほとんど解明されていません。この研究では、年輪・氷床コア・サンゴ・堆積物から得られた気候の代替データが解析され、代替データに基づく地表温度のパターンと気候モデルから再現されたパターンが比較されました。 ...続きを見る

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2009/12/10 06:57
古気候の見直し
 過去の間氷期の気温を見直した研究(Sime et al., 2009)が公表されました。じゅうらいの過去の気温についての研究では、水素と酸素の同位体比と気温の関係が空間的にも時間的にも安定である、という仮定に基づいていました。しかしこの研究では、南極から得られた34万年前の3つの氷床コアが分析され、同位体を組み込んだ大循環モデルが用いられて、同位体比と気温の関係は非線形的であることが明らかにされています。この研究によると、温暖な期間には同位体比は温度にたいする感度がより低く、そのため、これまで... ...続きを見る

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2009/12/04 06:52
始生代の海洋温度
 始生代の海洋温度についての研究(Hren et al., 2009)が公表されました。これまで、約35億年前の始生代の気候はたいへん暖かく、海洋の温度は80℃ていどだった、と考えられてきました。しかしこの推定は、堆積鉱床の酸素同位体比から古代の海洋温度を推定するという方法には不確実性がかなり大きいという理由で、疑問視されるようになってきています。 ...続きを見る

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2009/11/25 00:04
短い睡眠でも平気な人
 短い睡眠でも平気な人がいる理由を遺伝的に推測した研究(He et al., 2009)が公表されました。この研究では、短時間睡眠でも平気なことに一部関与する突然変異が発見されました。研究の対象になったのは、平均して常に一晩約6時間しか眠らない母娘が属するある拡大家族です(通常は、一晩8時間の睡眠が必要とされています)。さまざまな候補遺伝子の塩基配列を調べた結果、この母娘だけが「DEC2遺伝子」の変異体を有しており、他の親戚にはないことが判明しました。 ...続きを見る

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2009/09/05 00:00
雲と温暖化の関係
 雲量と温暖化の関係についての研究(Clement et al., 2009)が公表されました。温暖化と雲量の関係については、対照的な見解が提示されています。いくつかのモデルでは、温暖化により低層雲が増加する可能性がある、とされています。しかし、雲自体は、太陽放射をさえぎることで、「負のフィードバック」と呼ばれる冷却効果を生じさせています。温暖化が低層雲を減少させれば、太陽放射はもっと増えて、温暖化を加速させる「正のフィードバック」効果をもたらす可能性があることになります。 ...続きを見る

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2009/09/04 07:08
騎乗技術と走破時計の短縮
 騎乗技術の向上が走破時計の短縮をもたらした、とする研究(Pfau et al., 2009)が報道されました。この研究によると、19世紀末〜20世紀初頭にかけて、英国・米国で競走馬の走破時計が5〜7%も短縮されたのは、上体を起こした騎乗姿勢から腰を浮かせて上半身を前傾させる姿勢へと変わり、馬への負担が軽減されて走行が安定したからだ、とされています。 ...続きを見る

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2009/08/07 00:00
台風と地震の関係
 台風と地震の関係についての研究(Liu et al., 2009)が報道されました。この研究によると、大気圧の季節変動が微小地震活動を調節していることが明らかになりました。台湾東部で観測されたデータによると、台風が引き金となり、継続時間が分から秒ではなく、時間から分にわたる地震現象である「ゆっくり地震」が起きることがある、と分かりました。数値モデルでは、台風にともなって気圧が低下すると、高い応力がかかっていて破壊条件に近い断層がごくわずか緩む、と示唆されています。 ...続きを見る

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2009/06/21 06:23
火山活動による大量絶滅
 二畳紀中期における大量絶滅と火山活動との関係について論じた研究(Wignall et al., 2009)が公表されました。この研究では、二畳紀中期に、連続性のガス爆発を伴う火山噴火により海洋性生物が大量絶滅したことが、中国南西部の新たな地質学的証拠から示唆されました。この研究は2つの現象間の因果関係を詳細に解明するまでには至りませんが、この研究結果から、火山活動が冷却効果と酸性雨をもたらし、大量絶滅をひきおこしたことが示唆されている、とのことです。 ...続きを見る

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2009/06/04 00:00
北極圏の天然資源
 北極圏の天然資源の埋蔵量を評価した研究(Gautier et al., 2009)が公表されました。この研究では、北極圏北部に眠る天然資源の埋蔵量を評価した結果、世界でまだ発見されていない天然ガスの30%と原油の13%が存在する可能性があることが示されました。この研究では、北極圏における原油の推定埋蔵量は、主要産油国において確認されている埋蔵量より少ないため、世界の石油市場が大きく変わることはない、とされています。 ...続きを見る

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2009/06/03 00:00
文化の遺伝的制約
 文化の遺伝的制約についての研究(Fehérk et al., 2009)が公表されました。この研究では、文化の遺伝的起源を調べるため、他集団のさえずりを聞いたことがないキンカチョウからなる孤立したコロニーで、社会的学習の行われるさえずりの確立について調べられました。その結果、コロニーの創始者となった複数の個体は、成長中に手本となるさえずりを一度も聞かされなかったため、野生型と著しく異なるさえずりをしましたが、3〜4世代のうちに、手本からの学習により獲得した歌は野生型のものに近づきまし... ...続きを見る

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2009/05/29 06:30
アフリカ西部の旱魃
 アフリカ西部の旱魃についての研究(Shanahan et al., 2009)が公表されました。アフリカ西部のサハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域では、20世紀後半に大きな被害をもたらす旱魃がたびたび発生しました。この研究では、ガーナにあるボスムトゥイ湖の3000年間の堆積物の記録が分析されましたが、水文学的に閉鎖された湖盆であるボスムトゥイ湖は、局地的な降雨量に影響を受けやすく、湖の水量や堆積物の地質学的性質が影響を受けてきました。この分析の結果、アフリカ西部では過去3000年間、数十年から数... ...続きを見る

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2009/04/30 05:25
水中から陸上へ
 陸生動物の進化系統樹について論じた研究(Callier et al., 2009)が公表されました。この研究では、初期の原始的両生類とされるイクチオステガの腕骨が分析されました。その結果、イクチオステガの上腕骨の位置が成長に伴い徐々に変化することが分かりました。これは、イクチオステガの腕の機能は一生を通じて変化し、イクチオステガは幼体期には多くの時間を水中で過ごし、後年は陸上に移動することを示しています。 ...続きを見る

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2009/04/29 05:57
12万年前の急速な海面上昇?
 サンゴ礁化石の分析から、12万年前頃の海水面の上昇を示唆した研究(Blanchon et al., 2009)が報道されました。メキシコにある大幅に露出したサンゴ礁化石から得られた証拠より、サンゴ礁段丘の発達・浸食表面と海水準変動についての詳細な描像が得られました。ウラニウム系列による正確な年代測定と層序学的分析との組み合わせ、さらにはさまざまな場所でのサンゴ礁年代との比較も加えると、12万1000年前頃に海面が2〜3メートル急激に上昇したことが示唆されました。これは、最終間氷期の末期の氷床が... ...続きを見る

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2009/04/18 13:43
酸素濃度上昇の要因
 太古の地球における酸素濃度上昇の要因について論じた研究(Konhauser et al., 2009)が報道されました。地球上で大気中の酸素濃度が上昇したのは24億年前頃とされ、その要因は大気中のメタン濃度の低下だと考えられています。これは、大酸化事変(GOE)と呼ばれていますが、大気中のメタン濃度が低下し始めた原因は、まだよく分かっていません。 ...続きを見る

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2009/04/11 00:00
大量絶滅の原因はガンマ線バースト?
 オルドビス紀(4億8800万〜44300万年前頃)終盤における生物の大量絶滅の原因はガンマ線バーストだったのではないか、とする研究が報道されました。ガンマ線バーストのほとんどは、ひじょうに質量の大きい星の核が崩壊したときに発生する、高エネルギーの放射線と考えられています。新たなコンピューターモデルのシミュレーションによると、6500光年以内で発生したガンマ線バーストが地球に届けば、オゾン層を破壊して酸性雨を降らせ、地球寒冷化を引き起こす恐れがあることが示されました。 ...続きを見る

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2009/04/09 06:51
ビタミンAの過剰摂取の危険性
 4月4日付の読売新聞に、ビタミンAの過剰摂取の危険性を指摘する見解が掲載されていましたが、古人類学に関心のある人のなかには、河合信和『ネアンデルタール人と現代人』(文藝春秋社、1999年)などを読んで、人類が古くからビタミンAの過剰摂取により命を落としていたことを知っているかもしれません。 ...続きを見る

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2009/04/07 00:18
最古の硬骨魚類
 中国南部で発見された、きわめて保存状態のよいシルル紀(4億3500万年前頃〜4億1000万年前頃)の魚類化石は、最古の硬骨魚類と考えられる、とした研究(Zhu et al., 2009)が公表されました。これまでは、断片的な化石だけを証拠としてきた硬骨魚類の進化史の初期段階を知る手がかりが得られた、とのことです。 ...続きを見る

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2009/03/27 07:11
暖かな1日
 昨日の東京都23区内は2月としてはたいへん暖かく、やや暑いという感じさえしましたが、じっさい、昼間には半袖姿の人も見られました。これを地球温暖化と結びつけて考えたくなりますが、私が子供の頃にも2月にこんな暖かい日が何日かありましたし、比較的気候が安定している完新世のなかで、たとえば17世紀のように小氷期とされる時期においても、2月(当時の日本の暦ではなく、グレゴリオ暦における2月ということです)にこのような温暖な日があった可能性は高いと思います。 ...続きを見る

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2009/02/15 00:00
ショウジョウバエ属のY染色体
 ショウジョウバエ属のY染色体についての研究(Koerich et al., 2008)が公表されました。染色体の構成は、進化の過程でおおむね安定しています。たとえばショウジョウバエ属では、およそ6300万年前に分岐した12種において、95%以上の遺伝子が同じ染色体腕領域にとどまっています。しかしこの研究では、キイロショウジョウバエのY染色体連鎖遺伝子のうち、ほかの11種でも同じくY連鎖遺伝子となっているのは、わずか1/4だけであることが判明しました。 ...続きを見る

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2008/12/21 00:00
全生物の最終共通祖先
 全生物の最終共通祖先(LUCA)についての研究(Boussau et al., 2008)が公表されました。LUCAが存在していたのは38〜35億年前と考えられていますが、この時期の化石証拠が乏しいため、LUCAの生物学的特性や生息環境に関する情報は、間接的な証拠に頼るしかありません。 ...続きを見る

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2008/12/20 06:48
四肢動物の進化
 四肢動物(陸生脊椎動物)の指趾の起源を論じた研究(Boisvert et al., 2008)が公表されました。古い仮説では、四肢動物(陸生脊椎動物)の指趾は魚類のヒレの放射骨に対応するものと考えられていました。しかしこの仮説は、胚発生研究とパンデリクティス(Panderichthys)属のヒレが根拠となり、支持されなくなりました。パンデリクティス属は陸生脊椎動物に近縁の絶滅魚類で、ヒレの遠位に指趾に似た放射骨はなかった、と考えられたからでした。 ...続きを見る

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2008/12/05 07:19
亀の甲羅の進化
 カメの甲羅の進化についての研究(Li et al., 2008)が公表されました。カメ類においては移行型がほとんど見つかっていないため、その進化の様相は謎とされてきました。しかし、中国の貴州省で発見された、良好な保存状態の2億2000万年前のカメ類の化石は、カメ類の進化について重要な手がかりをもたらすものでした。 ...続きを見る

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2008/11/28 18:38
ガラパゴス諸島の植物の分類
 500年前のヨーロッパ人の到来以降にガラパゴス諸島に持ち込まれていたと考えられてきた6種の植物が、化石花粉と植物の遺物の調査の結果、人間の到来以前の数千年間にわたってガラパゴス諸島に存在していたことが判明した、と報告(Leeuwen et al., 2008)されました。ガラパゴス諸島では、外来種の駆除が自然の保護と再生に向けた重要な優先事項となっており、世界各地でも、毎年数百万ドルもの費用をかけて侵入外来植物種の管理が行われています。しかしこの調査結果からは、在来種の分類を誤り、不適切な管理... ...続きを見る

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2008/11/24 00:00
中世の大震災
 三浦半島で、13世紀末の大地震によるとみられる津波の痕跡が発見された、と報道されました。この地震は、江戸中期の元禄地震のひとつ前の関東大震災級の地震とみられ、文献記録にも残る1293年の地震と考えられますが、これまで200〜300年とされてきた大震災級地震の発生周期とは隔たりが大きいので、防災対策などにも影響しそうだ、とのことです。 ...続きを見る

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2008/11/19 00:00
アジアモンスーンと歴史との関係
 アジアモンスーンと東アジアの歴史との関係を論じた研究(Zhang et al., 2008)が公表されました。この研究では、万向(Wanxiang)洞窟にあった石筍から再現した過去1810年間のアジアモンスーンの記録から、その威力が北半球の気温・氷河サイクル・太陽活動の変動にどう関係してきたかについて、考察されました。その結果、気温とアジアモンスーンの相関関係が1960年頃に変化しており、20世紀後半におけるアジアモンスーンの変化の要因としては、自然現象よりも人間の行動のほうが大きいのではない... ...続きを見る

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2008/11/08 00:00
インド洋における津波の歴史
 インド洋における津波の歴史を追及した研究(Jankaew et al., 2008、Monecke et al., 2008)が報道されました。タイ西部の砂州島であるプラ=トンにおいて、沼のような湿地の黒い土壌に保存された過去の津波の堆積層記録が発見された、とのことです。最上部の淡い層は2004年の大津波によるもので、その下の同じような層は、14〜15世紀頃の津波の記録とのことです。また、古い層は2200〜2400年前以降に形成された、と推測されています。 ...続きを見る

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2008/10/31 00:00
地球温暖化の阻止は可能なのか
 私が尊敬する山野浩一先生のブログにて、地球温暖化をめぐる問題が触れられています。 ...続きを見る

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2008/10/25 07:10
魚類から四肢動物への移行
 脊椎動物の陸上への移行にかかわる形態変化の詳細には、まだ不明な点が多々残されています。そうしたなか、魚類から四肢動物へと移行していく中間形態を示しているとされる、ティクターリク=ロゼー(Tiktaalik roseae)の頭蓋を調べ、魚類から四肢動物への移行の隔たりの一部を埋めた研究(Downs et al., 2008)が公表されました。 ...続きを見る

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2008/10/17 06:49
世界の哺乳類の危機
 現在、世界で多数の哺乳類(哺乳綱)が絶滅の危機に瀕している、との研究(Schipper et al., 2008)が報道されました。130カ国、1800人以上の研究者が参加し、世界にいるとされる5487種の哺乳類のうち、調査データ不足の836種を除く4651種を分析した最近の大規模調査によると、世界では陸生哺乳類4種のうち1種、海洋哺乳類3種のうち1種がその生存を脅かされている、とのことです。陸上で主な脅威となるのは生息地の消失と狩猟・採取で、海洋では汚染と漁業です。 ...続きを見る

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2008/10/11 00:01
人間は何歳まで生きられるのか
 人間の寿命を延ばすにあたっての制限要因について論じた見解(Vijg et al.,2008)が公表されました。現在、酵母・線虫・マウスなどを使った実験から、寿命には可塑性があり、遺伝子操作や薬剤・栄養の調整によって伸縮可能である、との考え方が有力になってきているそうです。 ...続きを見る

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2008/09/03 04:23
鮮新世における地球寒冷化
 鮮新世における地球寒冷化の仕組みについて論じた研究(Lunt et al.,2008)が公表されました。鮮新世の300万年前頃に大規模な氷河作用が始まるまで、北半球の大部分では、3000万年以上にわたって氷に覆われていたところがほとんどなかった、と考えられています。当時のグリーンランド氷床の成長を説明するため、いくつかの仮説が提案されています。 ...続きを見る

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2008/08/29 06:46
大量絶滅の要因
 生物史において、しばしば大量絶滅が起きたことが以前から知られていますが、その要因について論じた研究(Peters., 2008)が公表されました。この研究では、古生代と中生代および新生代の海底生物群集の顕著な違いの要因が何なのか、説明されています。 ...続きを見る

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2008/08/09 00:01
腫瘍を発症しやすい芦毛馬の遺伝子が特定される
 芦毛馬は高齢になると黒色腫という腫瘍を発症しやすくなるということが知られていますが、その要因となる遺伝子を特定した研究(Pielber s et al., 2008)が報道されました。 ...続きを見る

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2008/07/23 05:02
発声能力の起源
 人間も含む脊椎動物の発声能力の起源が4億年以上前になることを指摘し、脊椎動物の起源までさかのぼる可能性を示唆した研究(Bass et al., 2008)が報道されました。この研究では、鳥や人間などと同じく発声能力のあるイサリビガマアンコウが調べられました。その結果、イサリビガマアンコウの発声を促進する脳機関はきわめて原始的なもので、約4億年以上も前に硬骨魚の進化と共に進化したものであることが分かりました。 ...続きを見る

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2008/07/22 05:19
カレイの頭骨の非対称性の起源
 カレイ目魚類の眼が片方に寄っていることはよく知られていますが、これは頭骨が左右非対称であることが原因で、成長に伴う頭骨の変形によりもたらされます。カレイ目魚類も、仔魚の段階では他の多くの脊椎動物と同じく眼は左右対称なのですが、頭骨の変形により一方の眼が頭頂を越えて移動し、反対側にあるもう一方の眼の隣まで来ます。 ...続きを見る

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2008/07/12 05:55
鳥類の新たな分類
 遺伝子配列に基づいた鳥類の新しい系統樹についての研究(Hackett et al.,2008)が報道されました。鳥類の系統樹について、私はほとんどまったく知らないので、この研究の衝撃をよく理解できていないのですが、教科書の修正も必要とのことで、どうもじゅうらいの通説をかなり覆す結果になったようです。 ...続きを見る

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2008/07/05 05:20
更新世末期の急激な気候変動
 更新世末期の急激な気候変動についての研究(Steffensen et al.,2008)が報道されました。グリーンランドから採取した氷床コアの高解像度画像から、15000年前頃と11000年前頃の2回の温暖期に、グリーンランドでは急激な気候変動が起きていたことが判明しました。14700年前頃には3年間で約10度、約11700年前頃にはおよそ50年間のうちに約10度という温度の上昇が確認された、とのことです。両温暖期ともに、気温が急激に変動し、大気循環も年ごとに一変していました。また、温暖期のグ... ...続きを見る

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2008/06/23 00:00
ナメクジウオのゲノム解読と脊椎動物の起源(追記有)
 まだ日付は変わっていないのですが、6月21日分の記事を掲載しておきます。ナメクジウオのゲノムを解読し、脊椎動物の起源について論じた研究(Putnam et al.,2008)が報道されました。我々人間は脊椎動物ですが、分類学的には脊索動物門・脊椎動物亜門となります。脊椎は脊索から進化したとされ、これまでは、最初にホヤが生まれ、その後、形態がより脊椎動物に近いナメクジウオが出現した、と考えられていました。 ...続きを見る

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2008/06/21 00:00
蜂の社会性の起源
 蜂の社会性がどのように発達してきたか、という問題について指摘した研究(Hughes et al.,2008)が公表されました。日本語要約を参照すると、この研究は以下のようなものです。 ...続きを見る

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2008/06/03 00:00
脊椎動物最古の胎生
 脊椎動物としては最古となる生仔出生例が確認された、との研究(Long et al.,2008)がBBCや読売新聞などで報道されました。オーストラリアのデボン紀後期の3億8000万年前頃の層から発見された板皮類(現在では絶滅した魚類で、現在確認されているかぎりでは、顎の骨をもつ最古の動物)の化石には、出産の証拠が残っていました。これにより、脊椎動物の生仔出生例は2億年ほどさかのぼることになりました。この板皮類はマテルピスキス=アッテンボローイと命名されました。 ...続きを見る

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2008/05/30 00:00
過去80万年間の気候の記録
 南極大陸の氷床コアに閉じ込められていた気泡の分析により、80〜65万年前の二酸化炭素濃度の詳細な記録を示した研究(Lüthi et al.,2008)と、過去80万年にわたる長期的なメタン濃度の変動を示した研究(Loulergue et al.,2008)が『ネイチャー』2008年5月15日号に掲載されました。直接人類進化を扱った研究ではありませんが、古気候の復元は古人類学にとって重要なので、注目されます。 ...続きを見る

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2008/05/19 00:00
ヨウ素添加の食塩
 今年3月7日分の記事にて、インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された更新世の人骨群は、クレチン病の現生人類だと指摘した論文(Obendorf et al.,2008)を取り上げましたが、このクレチン病説には致命的な誤りがあることが指摘されていて、今年3月8日分の記事にて紹介しました。 ...続きを見る

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2008/05/02 00:00
人間の皮膚から万能細胞をつくることに成功
 京都大学の研究チームが、人間の皮膚細胞などに複数の遺伝子を組み込み、各種の組織のもとになる万能細胞(人工多能性幹細胞=iPS細胞)をつくることに成功した、との報道がありました。海外でもたいへんな話題になっているようで、米国のブッシュ大統領もこの研究成果に喜んでいるとのことです。再生医療の実現にはまだ時間を要するでしょうが、たいへん重要な前進であることには変わりなく、今後の研究の進展に期待したいところです。 ...続きを見る

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2007/11/22 00:00
冥王星が惑星から外れる
 プラハで開かれている国際天文学連合総会で、日本時間の昨日夜、惑星の新しい定義について採決され、1930年の発見以降惑星とされてきた冥王星が惑星から外れ、新たに定義された「矮惑星」とされることになりました。  惑星は、「太陽の周りを回り、じゅうぶん重いため球状であり、軌道近くに衛星を除く他の天体がない天体」と再定義され、矮惑星は、「太陽の周りを回り、じゅうぶん重いため球状だが、その軌道近くに他の天体が残っている、衛星でない天体」と定義されました。冥王星は、近くに同じくらいの大きさの天体が多数発... ...続きを見る

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2006/08/25 07:03

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