アクセスカウンタ

help RSS テーマ「古人類学」のブログ記事

みんなの「古人類学」ブログ


ヨーロッパの旧石器時代の年代の見直し

2012/05/19 04:13
 『ネイチャー』の5月3日号にて、現生人類(ホモ=サピエンス)の世界各地への拡散の様相についての特集が組まれていることを、以前このブログにて紹介しましたが、そのうちの、ヨーロッパの旧石器時代の年代の見直しについての解説(Callaway., 2012)を読みました。近年になって、ヨーロッパの旧石器時代の年代の見直しが進んでいますが、この解説では、そうした動向の中心的人物の一人である、考古学者のトム=ハイアム氏の見解を中心に、年代の見直しとその影響について論じられています。

 ハイアム氏のチームは、土壌の腐敗した有機物など試料の不純物を取り除く新たな技術を用いた放射性炭素年代測定法により、50000〜30000年前頃のヨーロッパの人骨・遺跡の年代の見直しを進めています。この年代は、アフリカ起源の現生人類(ホモ=サピエンス)がヨーロッパへと進出し、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)が絶滅した相当中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期に相当しているということもあり、たいへん関心の高い時期です。そのため、この時代のヨーロッパの人類史を復元するうえで重要な手がかりとなる新たな年代測定は、大いに注目されています。

 ハイアム氏のチームなどによる、ヨーロッパの旧石器時代の年代の見直しは、ヨーロッパの更新世末期の人骨の年代を次々と繰り上げています。たとえば、じゅうらいはルーマニア南西部で発見された40000年前頃の現生人類人骨がヨーロッパ最古の現生人類人骨とされていましたが、ハイアム氏のチームは、ブリテン島で発見された現生人類人骨の年代を新技術で検証しなおした結果、41000年以上前になると主張しています(関連記事)。また、ハイアム氏のチームによる人骨の年代の見直しは現生人類にかぎらず、クロアチアとコーカサスのネアンデルタール人骨の年代の見直しにより、これらの地域のネアンデルタール人は40000年前頃に絶滅した、と主張されています(関連記事)。ただ、ネアンデルタール人が24000年前頃までイベリア半島で生存していた可能性を主張する見解もあります。

 50000年前頃に現生人類に起きた神経系の突然変異により、現生人類は象徴的思考などの現代的行動が可能になり、世界各地へと進出してネアンデルタール人などユーラシア各地の先住人類を絶滅へと追いやった、という神経学仮説の主張者として著名なリチャード=クライン氏は、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と現生人類との共存期間は短く、短期間のうちにネアンデルタール人から現生人類への置換がおきたのではないか、と考えています。この神経学仮説は、後期石器時代・上部旧石器時代における文化的大発展という見解を前提としています。

 しかしハイアム氏は、ネアンデルタール人と現生人類は数千年間共存していて、両者の間には文化的・性的交流があった可能性もあり、ネアンデルタール人は緩やかに絶滅していった、と考えています。指摘しています。ただ、現代のヨーロッパ人とアジア人は同程度にネアンデルタール人の遺伝子を継承していると推測されているので、ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、現生人類がヨーロッパへと進出する前のことだった、と遺伝学者たちは推測しています。もっとも、それはヨーロッパにおけるネアンデルタール人と現生人類との間の低頻度の交雑の可能性を否定するわけではないだろう、と私は考えています。

 ネアンデルタール人の絶滅理由は高い関心を集めており、それと関連して、ネアンデルタール人に象徴的思考が可能だったという問題についての議論も盛んです。ネアンデルタール人に象徴的思考が可能だったという見解の根拠はシャテルペロニアン(シャテルペロン文化)なのですが、ハイアム氏は、フランスの遺跡のシャテルペロニアン層で出土した動物の骨の年代が49000年前〜21000年前であることから、層位の乱れや嵌入の可能性を指摘し、シャテルペロニアンはネアンデルタール人の象徴的思考能力の根拠にはならない、と考えています。

 これにたいして、近年の「ネアンデルタール人見直し論」の中心的人物の一人であるジョアン=ジルホー氏は、シャテルペロニアン層の人工物について、層位の乱れや嵌入の可能性を否定しています。しかし、ジルホー氏とハイアム氏の議論は学術的なものであって個人的怨恨・感情的対立ではなく、両者は共同研究を続けています。またハイアム氏のチームは、2010年に発表された、現生人類ともネアンデルタール人とも異なる系統の人類であるデニソワ人(種もしくは亜種区分は未定)の研究にも着手する予定で、デニソワ人の存在年代を絞り込もうとしているようなので、その研究成果が大いに期待されます。

 以上、この解説についてざっと紹介してきましたが、ヨーロッパの旧石器時代の年代の見直しは、現生人類とネアンデルタール人との関係や、ネアンデルタール人の絶滅理由についても大いに関係してくるので、私もたいへん注目しています。今後は、年代の見直し例を増やしていくことで、さらに正確なこの時期の人類史の復元が可能になるでしょう。さらに、新たな技術を用いた放射性炭素年代測定法が、ヨーロッパだけではなく他の地域でも用いられることにより、世界規模での更新世末期の人類史の見直しが進むのではないか、と大いに期待しています。


参考文献:
Callaway E.(2012): Archaeology: Date with history. Nature, 485, 27-29.
http://dx.doi.org/10.1038/485027a
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


現生人類の東方への拡散をめぐる議論

2012/05/16 06:13
 『ネイチャー』の5月3日号にて、現生人類(ホモ=サピエンス)の世界各地への拡散の様相についての特集が組まれていることを、以前このブログにて紹介しましたが、そのうちの、現生人類の東方への拡散をめぐる議論についての解説(Appenzeller., 2012)を読みました。この解説では、現生人類の出アフリカと東方(アジア大陸・オーストラリア大陸)への進出について、その時期と経路を巡る議論が取り上げられています。この解説では、早期拡散説(トバ大噴火前仮説)と後期拡散説(トバ大噴火後仮説)という、大きく分けて二つの仮説についてやや詳しく述べられています。この解説では、前者の代表的主張者としてポール=メラーズ氏、後者の代表的主張者としてマイケル=ペトラグリア氏が紹介されています。

 まずは近年まで支配的な仮説だったといってよい後期拡散説についてです。後期拡散説では、74000年前頃のトバ大噴火以降に、南アジア沿岸伝いで(インド洋沿いに)現生人類のアジア大陸・オーストラリア大陸への進出が始まった、とされます。インドやスリランカでは、トバ大噴火前には単純な石器しか発見されていないのに、トバ大噴火以降は、細石刃へといたる洗練された石器やビーズのような装飾品が出土するようになり、それは45000年前頃のヨーロッパにおける現生人類の出現と似た変化であり、短期間でのことだった、とされます。後期拡散説の特徴の一つは、出アフリカ後の現生人類の急速な拡散を想定していることです。

 しかしながら、想定される時期の南アジアにおける人骨や石器などの人工物の証拠が乏しく、解釈に曖昧なところがあるのは否定できません。後期拡散説では、当時の現生人類の主要な拡散経路はアジア大陸南岸沿いであり、更新世末期〜完新世にかけての海面上昇で水没して現在は海面下にあるので、証拠が乏しいのだ、と説明されます。これは合理的な説明であり、私もそうした可能性について何度か言及した記憶がありますが、後述するように、私の考える早期拡散説でもこうした説明が可能ですので、もちろん矛盾するわけではなく、整合的とも言えますが、後期拡散説の根拠にはならないと思います。

 後期拡散説は遺伝学の研究でも支持されています。ミトコンドリアDNAの研究では、非アフリカ系現代人全員はL3系統から派生したMもしくはN系統に分類されます(当然のことながら、M系統もN系統もそれぞれさらに細分化されます)。そこで、L3系統やそこから派生したM系統・N系統の分岐年代が問題になってくるのですが、いずれもトバ大噴火以降とされており、出アフリカの年代もそれ以降と考えられます。Y染色体の研究からは、さらに出アフリカの年代が下ると考えられ、後期拡散説では、現生人類の出アフリカとアジア大陸・オーストラリア大陸への進出は早くても60000年前以降であり、アジア大陸南岸沿いに急速にオーストラリア大陸まで拡散していった、と主張されます。

 さらに後期拡散説の特徴として挙げられるのが、現生人類の出アフリカとアジア大陸・オーストラリア大陸への進出の要因として、技術革新が想定されていることです。具体的には、アフリカ南部で65000〜50000年前に栄えたハウイソンズプールト文化のような洗練された技術を携えて、現生人類は出アフリカを果たしたのではないか、と考えられています。技術革新により、現生人類はネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)など他のユーラシア大陸の先住人類との競争に勝利したのではないか、ということなのでしょう。

 一方、早期拡散説では、現生人類はアジアに遅くとも74000年前頃に、おそらくは125000年前頃には進出しており、その道具は先住人類と比較して洗練されていたわけではない、とされます。早期拡散説では、急速な拡散を想定する後期拡散説にたいして、55000年前頃という想定される南アジアへの現生人類の進出時期と、40000年前以降という南アジアにおける細石刃の出現時期との間隔を指摘します。また、南アジアにおいてトバ大噴火前の77000〜74000年前頃の層から発見されるスクレーパーの担い手は現生人類かネアンデルタール人と考えられますが、南アジアにはネアンデルタール人は存在しないので、トバ大噴火前に現生人類が南アジアに進出していたのだ、と主張されます。

 早期拡散説では、時期だけではなく経路も後期拡散説とは異なっており、インド洋沿いに南アジアへと進出したとする後期拡散説にたいして、川・湖沿いに人類は拡散したのではないか、と推測されています。また、早期拡散説では現生人類拡散の要因として気候・生態系の変動が重視されます。近年のアラビア半島における研究成果では、ヌビアで発見された石器と類似した石器が、100000年以上前のアラビア半島の遺跡で発見され、その時期に現生人類がアラビア半島へ進出していた可能性は高く、それはアラビア半島が湿潤な気候だったからだ、と説明されます。また早期拡散説では、後期拡散説の遺伝学的根拠についても、現代人の分布からの推測であり、早期に出アフリカを果たした現生人類の遺伝的痕跡が失われた可能性が指摘されています。

 こうした早期拡散説の指摘にたいして後期拡散説では、ヌビアで発見された石器と類似したものはインドでは発見されておらず、100000年以上前にアラビア半島に進出した現生人類は、同じ頃にレヴァントに進出した現生人類と同様に、気候変動によりアラビア半島が乾燥化したために、絶滅したかアフリカに戻ったのであり、さらに東方のイランやインドにまで進出したのではない、と早期拡散説が批判されます。これにたいして後期拡散説では、ヌビア出土の石器と類似していないにしても、他のアフリカ東部の中期石器時代の石器と類似した石器がアラビア半島のジェベルファーヤ遺跡で発見されている(関連記事)、と反論されています。

 こうした両説の応酬にたいして、クリス=ストリンガー氏のような他の研究者たちは、人骨・人工物の証拠が乏しいことから、もっとデータが得られるまでどちらかを支持することはしない、という慎重な判断を示しています。また、クリス=クラークソン氏は、早期拡散説で現生人類の所産とされるインドやアラビア半島での人工物は、未知の古代型人類集団の所産かもしれない、と考えています。早期拡散説も後期拡散説も、乏しく曖昧な人工物に依拠している、とクラークソン博士は指摘しています。

 以上、この解説をざっと紹介しましたが、私は早期拡散説の方に傾いています。ただ、早期拡散説といっても、川沿い・湖沿いだけではなく、インド洋沿いの南アジアへの進出もあっただろう、と思います。ただし、現時点での遺伝学的な研究成果から、非アフリカ系現代人の主要な遺伝子源は、80000〜50000年前頃に出アフリカを果たした比較的小さな現生人類集団に由来するだろう、と考えています。おそらく、100000年以上前に出アフリカを果たした現生人類は、絶滅したか、環境変動に伴いアフリカに戻ったか、後から進出してきた現生人類集団に吸収され、ネアンデルタール人やデニソワ人のように、現代人のミトコンドリアやY染色体に遺伝的痕跡を残していないのではないか、と考えています。


参考文献:
Appenzeller T.(2012): Human migrations: Eastern odyssey. Nature, 485, 24-26.
http://dx.doi.org/10.1038/485024a
記事へブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2


現生人類の拡散をめぐる議論

2012/05/13 00:00
 『ネイチャー』の5月3日号
http://www.nature.com/nature/journal/v485/n7396/index.html
にて、現生人類(ホモ=サピエンス)の世界各地への拡散の様相についての特集が組まれていることをこのブログで取り上げましたが、
http://sicambre.at.webry.info/201205/article_4.html
ニュース特集冒頭のP23の解説(Special issue: Peopling the planet)では、現生人類の世界各地への拡散に関する近年の研究動向について、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)など現生人類以外のホモ属の人類と現生人類との交雑についても言及されつつ、概観されています。

 現生人類アフリカ単一起源説が有力になった1990年代後半から少し前までは、60000〜50000年前にアフリカから出発した(出アフリカ)現生人類の一派は、東に向かってすばやくアジアを征服し、40000年前頃には北西に向かってヨーロッパへと進出し、13000年前頃にはわずかに開いた無氷回廊を通って、ユーラシア大陸のシベリアからベーリング陸橋により陸続きだったアメリカ大陸へと進出していった、という見解が有力でした。しかし現在では、一時は有力視されたこれらの見解に多くの疑問が呈されています。

 この解説では、アラビア半島で100000年以上前の人類の痕跡が確認され、それが現生人類の所産だと考えられていることが紹介されています。しかし、アジアの人工物・化石証拠には曖昧なところがあることも指摘されています。ヨーロッパでは、新たな放射性炭素年代技術により、現生人類がじゅうらい考えられていたよりも数千年早くヨーロッパに到達していた可能性が指摘されています。ただ、この解説ではそれにより現生人類とネアンデルタール人との共存期間が長くなることが示唆されていますが、新たな放射性炭素年代技術により、ネアンデルタール人の絶滅時期も繰り上がる可能性が高いので、近年では、両者の共存期間はむしろじゅうらいよりも短く考えられる傾向にあるように思います。アメリカ大陸への人類の最初の移住について、この解説ではクローヴィス最古説はもはや否定された、との見解が提示されています。

 この解説でもっとも重視されている近年の変化は、ネアンデルタール人やデニソワ人などのゲノム解読と、現代人のゲノムとの比較が進み、ネアンデルタール人やデニソワ人と現生人類とが交雑し、現代人にもネアンデルタール人やデニソワ人の遺伝子が継承されている可能性の高いことが、明らかになったことです。この解説でも述べられているように、これは確かに劇的な変化と言えるでしょう。ただ、それ以前は現生人類とネアンデルタール人との交雑の可能性に否定的な見解が有力視されていたとはいえ、遺伝学の分野でも、両者の交雑の可能性が高いことを主張した研究が少なからずあったことは、今後も強調しておくべきように思います。


参考文献:
Special issue: Peopling the planet. Nature, 485, 23.
http://dx.doi.org/10.1038/485023a
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


アメリカ大陸への人類の最初の移住をめぐる議論

2012/05/09 05:49
 『ネイチャー』の5月3日号
http://www.nature.com/nature/journal/v485/n7396/index.html
にて、現生人類(ホモ=サピエンス)の世界各地への拡散の様相についての特集が組まれていることをこのブログで取り上げましたが、
http://sicambre.at.webry.info/201205/article_4.html
冒頭の論説(Young Americans)では、アメリカ大陸への人類の最初の到達時期をめぐる論争が刺々しいものになっていることが指摘されています。

 この論説で解説されているように、アメリカ大陸への人類の最初の移住については、20世紀後半〜近年までクローヴィス最古説が主流でした。しかし近年になって、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古説を否定する研究者も増えつつあります。これは学術的な問題のはずなのですが、クローヴィス最古説を支持する研究者と否定する研究者との間の論争が刺々しいものになっており、意思伝達が不足しているのではないか、とこの論説では指摘されています。

 この論説では、他の分野で激しい論争を経験した後に、アメリカ大陸への人類の最初の到達時期をめぐる論争に参入したある研究者が、この問題での攻撃的な議論の応酬は経験したことのない水準だった、と語ったことが紹介されています。クローヴィス最古説の支持者は、先クローヴィス期と主張されている遺跡について、証拠が貧弱だと指摘していますが、この論説では、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の存在という見解に、近年の諸研究は説得力のある例を提示している、と評価されており、クローヴィス最古説に否定的な立場が示されています。

 しかしこの論説では一方で、支配的な仮説を覆すような大胆な説は論理的であるべきことに注意が払われねばならず、またそうした新説が間違っている可能性もつねに考慮されなければならず、根拠となるデータと結論は注意深く検証されねばないことも指摘されています。この論説では、そうした問題がとくに懸念されるのが、データの限定される考古学であることも指摘されています。この論説では指摘されていませんが、「最初のアメリカ人」は「白人(ヨーロッパ人)」ではないか、との見解・憶測も根強く、微妙な政治的問題とも関係してくることもあり、アメリカ大陸への人類の最初の到達時期をめぐる論争は刺々しいものになりがちなのでしょう。


参考文献:
Young Americans. Nature, 485, 6.
http://dx.doi.org/10.1038/485006b
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


現生人類拡散の様相についての特集

2012/05/04 05:53
 『ネイチャー』の今週号にて、現生人類(ホモ=サピエンス)の世界各地への拡散の様相についての特集が組まれており、表紙にも関連した画像が掲載されています。P6の論説(Young Americans)では、アメリカ大陸への人類の到達時期をめぐる感情的な論争は、科学のあるべき姿ではない、という観点から解説されています。ニュース特集では、P23〜P32と10ページにわたって4本の記事が掲載されており、ニュース特集冒頭のP23の解説(Special issue: Peopling the planet)では、現生人類の世界各地への拡散に関する近年の研究動向について、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)など現生人類以外のホモ属の人類と現生人類との交雑についても言及されつつ、概観されています。

 ユーラシア東部やオーストラリア大陸(現生人類が進出した時期は、ニューギニア島と陸続きでサフルランドを形成していました)への進出についての解説(Appenzeller., 2012)では、現生人類のこれらの地域への進出の時期をめぐる議論が取り上げられています。ヨーロッパにおける考古学的年代についての解説(Callaway., 2012)は、新技術によるヨーロッパの旧石器時代の年代の近年における見直しを踏まえて、現生人類のヨーロッパへの進出の時期とネアンデルタール人の絶滅などについて取り上げています。アメリカ大陸への人類の最初の移住時期をめぐる議論についての解説(Curry., 2012)では、長く通説だったクローヴィス最古説を否定する研究が、近年になって相次いで公表されていることが取り上げられています。それぞれの解説については、今後このブログで個々に取り上げる予定です。


参考文献:
Young Americans. Nature, 485, 6.
http://dx.doi.org/10.1038/485006b

Special issue: Peopling the planet. Nature, 485, 23.
http://dx.doi.org/10.1038/485023a

Appenzeller T.(2012): Human migrations: Eastern odyssey. Nature, 485, 24-26.
http://dx.doi.org/10.1038/485024a

Callaway E.(2012): Archaeology: Date with history. Nature, 485, 27-29.
http://dx.doi.org/10.1038/485027a

Curry A.(2012): Ancient migration: Coming to America. Nature, 485, 30-32.
http://dx.doi.org/10.1038/485030a
記事へブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0


古人類学の記事のまとめ(16)2012年1月〜2012年4月

2012/05/01 06:10
 2011年12月28日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(15)
http://sicambre.at.webry.info/201112/article_28.html
として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0)
http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html
古人類学の記事のまとめ(1)
http://sicambre.at.webry.info/200707/article_29.html
古人類学の記事のまとめ(2)
http://sicambre.at.webry.info/200712/article_31.html
古人類学の記事のまとめ(3)
http://sicambre.at.webry.info/200804/article_2.html
古人類学の記事のまとめ(4)
http://sicambre.at.webry.info/200807/article_1.html
古人類学の記事のまとめ(5)
http://sicambre.at.webry.info/200811/article_3.html
古人類学の記事のまとめ(6)
http://sicambre.at.webry.info/200812/article_26.html
古人類学の記事のまとめ(7)
http://sicambre.at.webry.info/200905/article_1.html
古人類学の記事のまとめ(8)
http://sicambre.at.webry.info/200909/article_1.html
古人類学の記事のまとめ(9)
http://sicambre.at.webry.info/200912/article_26.html
古人類学の記事のまとめ(10)
http://sicambre.at.webry.info/201005/article_1.html
古人類学の記事のまとめ(11)
http://sicambre.at.webry.info/201009/article_1.html
古人類学の記事のまとめ(12)
http://sicambre.at.webry.info/201012/article_28.html
古人類学の記事のまとめ(13)
http://sicambre.at.webry.info/201105/article_1.html
古人類学の記事のまとめ(14)
http://sicambre.at.webry.info/201109/article_1.html
として整理しています。上記の記事を掲載した後にも新たな研究が発表され、古人類学関係の記事が増えてきましたので、2012年1月以降の古人類学関連の記事を整理しておこうと思います。私以外の人には役立たないでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。


●ホモ属登場以前の人類関連の記事
人類の進化に関する系統樹の問題点
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_7.html

ゴリラのゲノム解読
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_9.html

340万年前のアフリカ東部の新たな人類種
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_31.html


●ネアンデルタール人・現生人類以外のホモ属関連の記事
ジャワのエレクトスの年代
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_7.html

さかのぼる火の使用の起源
http://sicambre.at.webry.info/201204/article_6.html


●ネアンデルタール人関連の記事
イベリア半島の後期中部旧石器時代の様相
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_13.html

ネアンデルタール人の狩猟と認知能力
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_15.html

ネアンデルタール人の壁画?
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_9.html

ネアンデルタール人の壁画の続報
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_10.html

ネアンデルタール人によるオーカーの利用?
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_14.html

ネアンデルタール人の壁画に関する日本語での報道
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_17.html

西ヨーロッパのネアンデルタール人の遺伝的多様性
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_1.html

フランス南西部における中部旧石器時代〜上部旧石器時代への移行
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_23.html

イタリア半島北部における中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期
http://sicambre.at.webry.info/201204/article_26.html


●フロレシエンシス関連の記事
フロレシエンシスはクレチン病の現生人類という説の検証
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_15.html


●現生人類の起源や象徴的思考に関する記事
解剖学的現代人および現代的行動の出現年代
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_3.html

NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_18.html

NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第1集 旅はアフリカからはじまった』
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_24.html

NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第2集 グレートジャーニーの果てに』
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_31.html

現生人類の進化と気候変動・退避地との関係
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_29.html

アフリカ東部における中期石器時代〜後期石器時代の移行期の年代
http://sicambre.at.webry.info/201204/article_14.html


●その他の記事
現代の採集狩猟民から推定される人間のネットワークの特徴の起源
http://sicambre.at.webry.info/201201/article_27.html

NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第3集 大地に種をまいたとき』
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_21.html

『季刊考古学』第118号「特集 古人類学・最新研究の動向」(2012年、雄山閣)
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_24.html

印東道子編『人類大移動 アフリカからイースター島へ』
http://sicambre.at.webry.info/201203/article_18.html

最終氷期末期の急速な海面上昇
http://sicambre.at.webry.info/201204/article_10.html

2012年度米国自然人類学会総会
http://sicambre.at.webry.info/201204/article_20.html
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


イタリア半島北部における中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期

2012/04/26 00:00
 イタリア半島北部における中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期についての研究(Longo et al., 2012)の要約を読みました。ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と解剖学的現代人(ホモ=サピエンス、現生人類)との交代は、古人類学においてずっと関心の高い問題であり続けてきました。現在では、アフリカ起源の解剖学的現代人が更新世末期のヨーロッパに進出して拡散していき、その頃にヨーロッパのネアンデルタール人が絶滅した、という大まかな枠組みについてはおおむね合意が得られている、と言ってよいでしょうが、両者の間に交雑も含めてどのような関係があったのか、ネアンデルタール人はなぜ絶滅したのかなど、詳細については不明なところが多分にあります。

 ネアンデルタール人の所産とされる(近年では疑問も呈されていますが)、上部旧石器文化的なシャテルペロニアン(シャテルペロン文化)やウルツィアン(ウルツォ文化)などの問題もありますが、ネアンデルタール人と解剖学的現代人のヨーロッパにおける交代は、中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行とほぼ同義である、と一般的には考えられています。この研究では、イタリア半島北部の岩陰遺跡であるリパロメツェナの石器と人骨の検証から、この問題について論じられています。この研究で検証されたのは、Riparo Mezzena遺跡における1957年〜1977年の発掘作業で発見された人骨・石器などです。

 Riparo Mezzena遺跡で後期ムステリアン(ムスティエ文化)石器と共伴した人骨は、解剖学的にも遺伝学的(ミトコンドリアおよび核DNA)にもネアンデルタール人と分類されました。Riparo Mezzena遺跡で最下層のIII層で発見されたウシ属の動物から抽出された膠原を試料とする放射性炭素年代は、非較正で34540±655年前となり、中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期と推定されます。これは、Riparo Mezzena遺跡の近隣のGrotta di Fumane遺跡で、プロトオーリナシアン(先オーリニャック文化)石器が発見された層の年代と近接します。

 プロトオーリナシアンの担い手は一般的には解剖学的現代人とされており、この研究では、ネアンデルタール人と解剖学的現代人は、おそらく北部イタリアで短期間共存しており、限られた地域内で資源をめぐって競争していたのではないか、と推測されています。ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と解剖学的現代人の交代劇については、まだ不明な点が多々ありますが、このように具体的な事例を積み重ねていくことで、より精度の高い復元が可能になるでしょう。おそらく、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と解剖学的現代人の共存期間は全体的に短かったのでしょうが、地域によりその長さと共存の在り様は異なっていたのだろう、と私は推測しています。


参考文献:
Longo L. et al.(2012): Did Neandertals and anatomically modern humans coexist in northern Italy during the late MIS 3? Quaternary International, 259, 102–112.
http://dx.doi.org/10.1016/j.quaint.2011.08.008
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


2012年度米国自然人類学会総会

2012/04/20 00:00
 今年の4月11日〜4月14日にかけて、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市で第81回米国自然人類学会総会が開催されました。米国自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での報告の概要も公表されているのですが、どのような報告がなされたのか、まだ詳しく把握できていません。
http://www.bonesandbehavior.org/aapa2012/

 ざっと目を通して注目した報告は二つあります。一つは、Okladnikov洞窟の南西70kmにあるChagyrskaya洞窟で新たに発見されたネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の特徴を持つ人骨についての報告(Viola et al., P293-294)です。年代は未確定ですが、海洋酸素同位体ステージ3の可能性が高そうとのことで、中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期と重なってきそうという意味でも、注目されます。Chagyrskaya洞窟の石器はムステリアンで、Okladnikov洞窟のそれと類似している、とのことです。

 もう一つは、LB1の下顎骨を化石人類や小頭症患者とクレチン病患者も含む現代人のそれとを比較し、LB1は小頭症やクレチン病の現生人類(ホモ=サピエンス)ではない、と結論づけた報告(Viterbo et al., P294)です。この報告によると、LB1が現生人類の健常者に分類される可能性は1%あるものの、病変の現生人類に分類される可能性0%とのことです。LB1を含む更新世後期のフローレス島の人骨群は病変の現生人類である、と主張する研究者もまだいますが、新種説の優位は今後も揺るがないだろう、と思います。他の報告も、できるかぎり読んでいこう、と考えています。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


アフリカ東部における中期石器時代〜後期石器時代の移行期の年代

2012/04/14 04:27
 アフリカ東部における中期石器時代〜後期石器時代の移行期の年代についての研究(Gliganic et al., 2012)の要約を読みました。この研究では、タンザニア北部のMumba岩陰遺跡の新たな年代測定結果が報告されています。Mumba岩陰遺跡の年代は中期石器時代〜後期石器時代で、アフリカ東部のこの時期のインダストリーの変遷の典型例を示しているとも言える重要な遺跡です。しかし、1930年代以降70年以上にわたって発掘されてきたものの、1980年代以降に以前よりもさらに発達した新たな年代測定法に基づく調査は進んでおらず、具体的な年代については曖昧なところもありました。

 この研究では、Mumba岩陰遺跡の中期石器時代および後期石器時代の堆積物に含まれる石英と長石が、光ルミネッセンス法および赤外光ルミネッセンス法により年代測定されました。その結果、Kiseleインダストリーのもっとも新しい層(VI-A層)が63400±5700年前で、Mumbaインダストリーの最初の層(V層)は56900±4800年前となります。もっとも新しいMumbaインダストリーは49100±4300年前となり、Mumbaインダストリーには駝鳥の卵殻製ビーズと豊富な細石器が見られます。この後のNasera インダストリー(III層)には豊富な駝鳥の卵殻製ビーズが見られ、その年代は36800±3400年前となります。

 アフリカ東部における中期石器時代〜後期石器時代の移行期の年代について、この研究のMumba岩陰遺跡のような事例を蓄積して比較していくことで、その具体的様相をさらに詳しく復元できるようになることが期待されます。この問題は、かつては現代的行動の起源をめぐる議論と関連していましたが、現代的行動の起源が後期石器時代にあるとする見解はさすがにもう厳しいでしょう。今後は、後期石器時代になって人口が増加したのか、人類がそれ以前よりも広範に拡散していったのか、「社会的発展」があったのか、またあったとしてその具体的様相はどのようなものだったのか、という点が主要な関心になるように思います。


参考文献:
Gliganic LA. et al.(2012): New ages for Middle and Later Stone Age deposits at Mumba rockshelter, Tanzania: Optically stimulated luminescence dating of quartz and feldspar grains. Journal of Human Evolution, 62, 4, 533–547.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2012.02.004
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


最終氷期末期の急速な海面上昇

2012/04/10 06:26
 最終氷期末期における急速な海面上昇についての研究(Berna et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、最終氷期末期には急速な海面上昇があったことになります。これが人類の行動に大きな影響を与えたことは間違いなく、今でも大きな関心を集めている、アメリカ大陸への人類の移住時期・経路についての議論にも関係してくるでしょう。また、更新世末期の人類の沿岸部における痕跡のなかには、海面の上昇により今では海面下にあるものも多いでしょうから、水中考古学のさらなる研究の進展が大いに期待されます。

地球:南極氷床の崩壊と海水準変動
 最終氷期の終わり頃、メルトウォーターパルス1Aと呼ばれている事象の期間に、急速な海水準上昇が起こった。この事象の正確な規模と時期ははっきりしていないため、気候強制力とその結果起こる氷床の応答がよくわかっていない。P Deschampsたちは、タヒチで行われた大規模な珊瑚礁掘削計画の結果を報告し、メルトウォーターパルス1Aは14,650年前から14,310年前の間に起き、急激な温暖化の時期と一致していることを実証している。海水準は14から18メートル上昇した。このような大きな上昇は、南極における氷床崩壊が海水準変化の一因となった可能性を示唆している。氷床崩壊の関与は、これまで大きな論点となっていた。



参考文献:
Deschamps P. et al.(2012): Ice-sheet collapse and sea-level rise at the Bølling warming 14,600 years ago. Nature, 483, 559–564.
http://dx.doi.org/10.1038/nature10902
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


タイトル 日 時
さかのぼる火の使用の起源
 アフリカ南部における100万年前頃の確実な火の使用についての研究(Berna et al., 2012)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究については河合信和氏のブログに解説があり、私の方からは付け加えるべきことはとくにないのですが、簡潔にまとめておきます。この研究で調査されたのは、南アフリカの北西にある北ケープ州のワンダーウェーク洞窟の地層で、植物の灰・焼けた骨片・加熱された石器断片などが発見され、洞窟内に広く分布していることから、野火などではなく人為的と... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/04/06 06:26
340万年前のアフリカ東部の新たな人類種
 エチオピアで発見された340万年前の人類の骨についての研究(Haile-Selassie et al., 2012)が報道されました。この研究で報告されたのは足の骨で、対向可能な母趾を示す証拠が認められました。同時代のアフリカ東部の人類種アウストラロピテクス=アファレンシスは、その形態からほぼ完全な直立二足歩行をしていたと考えられていますが、この新たな人骨には樹上適応形態の保持が認められ、同時代のアファレンシスではなく、400万年以上前に存在したアルディピテクス=ラミダスの方に似ている、とこの... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/03/31 06:29
現生人類の進化と気候変動・退避地との関係
 現生人類(ホモ=サピエンス)の進化と気候変動・退避地との関係についての研究(Stewart, and Stringer., 2012)の要約を読みました。現生人類アフリカ単一起源説は、今ではすっかり通説として受け入れられていますが、現生人類がどのように拡大していったのか、とくに出アフリカ後の拡散の様相や、その過程で生じた、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)などの現生人類ではないホモ属が絶滅するにいたった過程については、活発に議論されています。さらに近年では、ネアンデルタール人や... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/03/29 06:11
フランス南西部における中部旧石器時代〜上部旧石器時代への移行
 フランス南西部における中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期の年代に関する研究(Talamo et al., 2012)の要約を読みました。中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期は、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)との関係を理解するうえで重要な期間となっており、関心が高く議論が活発です。この研究では、フランス南西部の“Les Cottés”遺跡の年代が詳しく調べられました。“Les Cottés”遺跡は中部旧石器時代〜上部旧石... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/03/23 06:24
印東道子編『人類大移動 アフリカからイースター島へ』
 朝日選書の一冊として、朝日新聞出版より 2012年2月に刊行されました。本書は分担執筆の8章構成で、各論考の執筆者は、人類の移動を全地球規模で考えようという趣旨の、国立民学博物館の共同研究「人類の移動誌─進化的視点から」の構成員が中心になっています。本書は、ホモ=サピエンス(現生人類)以外の人類の出アフリカや世界各地への拡散についても触れられていますが、主要な議論は現生人類の世界各地への拡散とその様相についてであり、ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)などユーラシア各地の先住人類... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/03/18 04:38
フロレシエンシスはクレチン病の現生人類という説の検証
 インドネシア領フローレス島にあるリアンブア洞窟の後期〜末期更新世の地層で発見された人骨群は、その独特の特徴から人類の新種ホモ=フロレシエンシスと分類され、今では学界でも広く受け入れられているように思うのですが、一部では、病変の現生人類(ホモ=サピエンス)ではないか、との見解が根強く主張されています。そうした病変現生人類説のなかで、あえて「有力」と言えそうものはクレチン病説だと思うのですが、そのクレチン病説を検証した、フロレシエンシス人骨の発見チームの一員であるピーター=ブラウン博士の論文(Br... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2012/03/15 06:24
ゴリラのゲノム解読
 ゴリラのゲノム解読についての研究(Scally et al., 2012)が公表されました。ゴリラは現生生物ではチンパンジーの次に人間に近縁な種で、ゴリラの次に人間に近縁な種はオランウータンです。人間とチンパンジーとオランウータンのゲノムはすでに解読されており、これによりヒト上科・ヒト科の進化について、さらに詳しく知ることができるようになるでしょう。この研究では、ニシローランドゴリラのゲノム塩基配列が解析され、すべての現生大型類人猿属の全ゲノムと比較されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/03/09 00:12
人類の進化に関する系統樹の問題点
 最近、ネット上の掲示板を閲覧していて思うのが、生物学的な系統樹の問題点です。それは、生物種単位であったり、Y染色体やミトコンドリアのハプログループ単位だったりするのですが、どうも、最初に分岐した系統が最古の系統であり、原始的特徴をもっとも強く保持している、という誤解を生みやすいのではないか、ということです。罫線を使って自分で系統樹を作成してみようとしたのですが、上手くできなかったので、下記サイトの図12を例に、この問題について雑感を述べてすきます。 http://www.nig.ac.jp/... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/03/07 06:42
西ヨーロッパのネアンデルタール人の遺伝的多様性
 西ヨーロッパのネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の遺伝的多様性についての研究(Dalén et al., 2012)が報道されました。この研究では、ネアンデルタール人13個体分のミトコンドリアDNA配列が解析・比較されましたが、それらは既知のものだけではなく、スペイン北部のネアンデルタール人骨から得られた新たなものも含まれています。この解析・比較の結果が示唆しているのは、48000年前以降の西ヨーロッパのネアンデルタール人は、東ヨーロッパや48000年前よりも古い年代... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/03/01 00:00
『季刊考古学』第118号「特集 古人類学・最新研究の動向」(2012年、雄山閣)
 『季刊考古学』第118号にて、「古人類学・最新研究の動向」という特集が組まれ、人類の進化と拡散・日本列島人の形成史について、多数の解説・論考が掲載されていたので、購入して読みました。近年の古人類学の研究成果について専門外の人も理解しやすいように、日本人研究者が日本語で執筆した解説だけに、とくに目新しい情報はないにしても、その意義はたいへん大きいように思います。今後も、さまざまな雑誌で、時々このような特集が組まれることを希望します。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/02/24 05:49
NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第3集 大地に種をまいたとき』
 NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』シリーズは、前半の第後1集 http://sicambre.at.webry.info/201201/article_24.html と第2集 http://sicambre.at.webry.info/201201/article_31.html の放送が終わり、後半の第3集が放送されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/02/21 00:00
ネアンデルタール人の壁画に関する日本語での報道
 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の所産と考えられる、スペイン南部のマラガの東方約56kmにあるネルジャ洞窟の壁画について、二回ほどこのブログで取り上げましたが、 http://sicambre.at.webry.info/201202/article_9.html http://sicambre.at.webry.info/201202/article_10.html この件について、日本語の報道を初めて見つけました。 http://www.gizmodo.jp/20... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2012/02/17 00:00
ネアンデルタール人によるオーカーの利用?
 早期ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)によるオーカーの利用についての研究(Roebroeks et al., 2012)がオンライン版で先行公開されました。この研究では、顔料などに用いられる鉄分を多く含んだ粘土であるオーカーが、石器などの発掘されている、オランダの中部更新世後期の遺跡から発見されたことが報告されています。その遺跡からは赤みを帯びた物質が発見され、さまざまな分析からヘマタイト(赤鉄鉱)と同定されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2012/02/14 06:41
ネアンデルタール人の壁画の続報
 昨日、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の所産と考えられる、スペイン南部のマラガの東方約56kmにあるネルジャ洞窟の壁画についての報道を取り上げましたが、その後、他の報道も見つけて、この研究についてやや詳しく知ることができました。報道で引用されている研究者の見解がおおむね妥当だとすると、古人類学の通説・常識を覆す大発見ということになるので、私は大いに興奮しているのですが、検索してみたところ、日本語環境ではとくに報道は見当たらず、ツイッターでいくつか言及されている程度でした。英語... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2012/02/10 04:49
ネアンデルタール人の壁画?
 スペインの洞窟で発見された壁画は世界最古のものであり、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の所産と考えられる、との研究者の見解が報道されました。この壁画は、スペイン南部の東方約56kmにあるネルジャ洞窟で発見され、有機物の年代測定により、43500〜42300年前のものと推定された、とのことです。ただ、この報道だけでは、何が試料として用いられたのか、どのような残存状況だったのか、ということが明らかではありません。有機物を測定したとのことなので、放射性炭素年代測定法が用いられたので... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2012/02/09 00:00
ジャワのエレクトスの年代
 ジャワ島のサンギラン地域のエレクトスの年代に関する研究(Hyodo et al., 2012)が、昨年12月4日付の読売新聞などで報道されましたが、この研究については河合信和氏のブログにて取り上げられており、大いに参考になります。この研究では、サンギラン地域のホモ=エレクトスの出土層の最上部の年代は、古地磁気学から79万年前頃と推定されるとのことで、サンギラン地域でエレクトスが生存していた下限年代となります。もっとも、これは現時点でのほぼ確実な下限年代であり、今後の発見により、さらに年代が下る... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/02/07 06:48
NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第2集 グレートジャーニーの果てに』
 先日、このブログで取り上げたNHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』シリーズの第2集が昨日放送されました。 http://sicambre.at.webry.info/201201/article_18.html ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2012/01/31 00:00
現代の採集狩猟民から推定される人間のネットワークの特徴の起源
 『ネイチャー』の今週号の表紙には、タンザニア北部のハツァ族の女性がngwilabeeという果実を摘んでいる様子の写真が掲載されています。これは、『ネイチャー』の今週号に掲載されている狩猟採集民の社会的ネットワークと協力についての研究(Apicella et al., 2012)に関連したものです。ハツァ族は現代の「先進社会」からほぼ完全に切り離された集団で、人類学で初期的な狩猟採集民の社会を調べるさいの有用なモデルになっている、とのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/01/27 00:00
NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第1集 旅はアフリカからはじまった』
 先日、このブログで取り上げたNHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』シリーズの放送が一昨日より始まりました。 http://sicambre.at.webry.info/201201/article_18.html ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

2012/01/24 06:35
NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』
 次の日曜日より、NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』全4回が放送されるそうです。第1集は「旅はアフリカからはじまった」 http://www.nhk.or.jp/special/onair/120122.html 第2集は「グレートジャーニーの果てに」 http://www.nhk.or.jp/special/onair/120129.html とのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 1

2012/01/18 00:00
ネアンデルタール人の狩猟と認知能力
 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の狩猟の様相と認知能力についての研究(Rendu et al., 2011)の要約を読みました。この研究ではまず、西ヨーロッパの多くのムステリアン遺跡(その担い手はネアンデルタール人とされています)は、特定の分類群によって占められている動物相の集合を示しているものの、動物相単独では、ネアンデルタール人の狩猟戦略を議論するのにじゅうぶんではない、と指摘されます。そこでこの研究では、フランス南西部の後期更新世の二つのムステリアン遺跡(マウランとレス... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/01/15 04:57
イベリア半島の後期中部旧石器時代の様相
 イベリア半島の後期中部旧石器時代の年代についての研究(Maroto et al., 2011)の要約を読みました。イベリア半島は、中部旧石器時代〜上部旧石器時代への移行と、ネアンデルタール人の絶滅に関する議論において重要な地域とされています。この時期のイベリア半島の特徴として、北部では上部旧石器文化が36500年前頃に現われたのにたいして、南部では32000〜30000年前かそれ以降まで中部旧石器文化が続いたことが指摘されています(この研究での年代は放射性単年代測定法によるもので、非較正のよう... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/01/13 00:00
解剖学的現代人および現代的行動の出現年代
 ユーラシアにおいて、解剖学的現代人(解剖学的には現代人と同じホモ=サピエンスに分類されますが、知的水準が現代人と同程度か否か、定かではない、という意味を含む場合によく用いられます)および「現代的行動」が各地に出現した年代について、近年の諸見解を整理しつつ、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)などの絶滅とサピエンス拡散という点で古くから関心を集めてきたも中部旧石器〜上部旧石器時代への移行の様相について論じた研究(Jöris et al., 2009)を読みました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2012/01/03 00:00
古人類学の記事のまとめ(15)2011年9月〜2011年12月
 2011年5月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(14) http://sicambre.at.webry.info/201109/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/12/28 00:00
2011年の古人類学界
 あくまでも私の関心に基づいたものですが、今年の古人類学界でもっとも注目されたのは、ホモ=サピエンス(現生人類)とホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)などサピエンス以外のホモ属との交雑の可能性を指摘した研究が、着実に蓄積されてきたことです。数年前まで、おもにミトコンドリアDNAの解析・比較を根拠として、現生人類とネアンデルタール人との交雑を否定する見解が有力だったのですが、このブログでも取り上げた、 http://sicambre.at.webry.info/201005/art... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2011/12/24 00:00
ネアンデルタール人と現生人類の脳構造の違い
 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)の脳構造の違いを比較した研究(Bastir et al., 2011)の要約を読みました。ネアンデルタール人も現生人類も、人類のなかでは大型の脳を有する系統ですが、この研究では、現生人類に特有のように見える特徴として、大きな嗅球(より高度な嗅覚能力を備えていたと推測されます)・比較的広い眼窩前頭皮質・比較的大きく前方に突き出ている側頭葉極が挙げられ、両者の脳領域の再編成が異なっていることが指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/12/21 04:38
アジア旧石器協会日本大会
 今月7日付の読売新聞に、アジア旧石器協会(APA)のはじめての日本大会、アジアにおける「現代人的行動の出現と多様性」をテーマにした国際シンポジウムが、先月26日〜今月1日まで、東京都の上野公園内にある国立科学博物館で開かれた、との記事が掲載されていました。旧石器時代研究では過去に例のない規模の複合国際会議とのことで、著名なポール=メラーズ博士も含む、18ヶ国の考古学・人類学・遺伝学などの専門家約200人が参加したそうです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/12/13 00:00
世界最古のベッド?
 南アフリカのシブドゥ遺跡で発見された、中期石器時代のベッドについての研究(Wadley et al., 2011)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも取り上げられています。シブドゥ遺跡では、矢(鏃)と思われる中期石器時代の遺物が発見されており(関連記事)、現代の古人類学界において関心の高い、中期石器時代の「現代的行動」をめぐる問題について論じるさいに、重要な遺跡と言えるでしょう。この研究でも指摘されているように、中期石器時代は、「現代的行動」とも関連しているのですが、現生人類(ホモ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/12/10 05:20
ドマニシ人の歯の分析
 ドマニシ人の歯の分析についての研究(Pontzer et al., 2011)の要約を読みました。グルジアのドマニシ遺跡からは、185万年前近くまでさかのぼる人類の痕跡が発見されており、ドマニシの人骨群には、エレクトスと類似した派生的特徴と、ハビリスに見られるような原始的特徴とが混在していることが、重要な特徴となっています。185万年前近くまで年代がさかのぼることから、人類の出アフリカの年代がじゅうらいの通説よりもさかのぼる可能性が高くなり、さらには、そもそもホモ属はアフリカではなくユーラシア... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/12/03 04:47
東ティモールにおける42000年前頃の遠洋漁業の痕跡
 42000年前頃の人類の海洋技術についての研究(O’Connor et al., 2011)が報道されました。この研究でも指摘されているように、人類の海洋技術、とくに長距離航海について、それがいつ始まったかという指標になるのは、オーストラリア大陸への植民開始の時期です。オーストラリアへの最初の植民の時期については、まだ確定したとは言いがたい状況なのですが、この研究では、50000年前までに人類がオーストラリア大陸へと到達していた、との前提で議論が展開されています。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/11/26 00:00
ウルツィアンの担い手についての見直し
 『ネイチャー』の今週号には、ヨーロッパにおける現生人類(ホモ=サピエンス)の拡散についての論文が2本掲載されています。そのうちの一つ(Higham et al., 2011)については、今月6日付の記事で取り上げましたが、南ヨーロッパのウルツィアン(ウルツォ文化)の担い手の見直しを主張した、もう一つ(Benazzi et al., 2011)については見落としていました。ウルツィアンは西ヨーロッパのシャテルペロニアン(シャテルペロン文化)との類似性が認められており、中部旧石器文化から上部旧石器... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/11/25 00:00
フロレシエンシス人骨の詳細な分析
 フロレシエンシスの頭蓋についての研究(Kaifu et al., 2011)の要約を読みました。2003年にインドネシア領フローレス島にあるリアンブア洞窟の更新世末期の地層から発見された人骨群については、人類の新種ホモ=フロレシエンシスとする見解が優勢のようですが、病変の現生人類(ホモ=サピエンス)とする見解も根強く主張され続けています。新種説の立場のこの研究では、新種フロレシエンシスと認める場合に、正基準標本とされるLB1の頭蓋顔面の形態的特徴について詳しく分析され、初期ホモ属など他の人類と... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/11/23 05:11
霊長類の社会性の進化史
 霊長類の社会性の進化史についての研究(Shultz et al., 2011)が、先週号の『ネイチャー』に掲載されました。日本語の要約によると、この研究は以下のようなものです。これまで長年にわたって、霊長類の社会集団形成パターンの多様性への関心は強かったのですが、霊長類の社会性の進化史については、それほど注目されませんでした。この研究は、統計的手法の発展により、形質の変化を系統樹に重ねて系統立ててモデル化し、互いに相いれない複数の進化的仮説を検証することが可能になった、という近年の動向を踏まえ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/11/19 04:38
旧石器時代の抽象画?
 ドイツ南部のホーレフェルス洞窟の15000年前頃の地層で発見された石灰岩に、抽象画と思われるものが描かれていることが判明した、と報道されました。 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011111100089 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/11/12 06:48
白保竿根田原洞穴遺跡の人骨の年代
 日本国内で出土した人骨としては最古級のものが発見されているということで注目されている、沖縄県石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡ですが、このブログで以前に取り上げた、 http://sicambre.at.webry.info/201101/article_22.html 同遺跡で発見された人骨の直接的な放射性炭素年代測定の結果、肋骨の一部が24000年前頃と判明し、骨の断片のなかには20000年前頃のものもあることが明らかになった、と報道されました。 http://mainichi.jp/se... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/11/11 00:00
ヨーロッパ最古の現生人類?
 既知の人骨を再検証した結果、ヨーロッパ最古の現生人類(ホモ=サピエンス)と考えられる、と主張した研究(Higham et al., 2011)が報道されました。この研究は、オンライン版での先行公開となります。この研究で再検証されたのは、イギリスのケンツ洞窟で発掘された人類の上顎骨(KC4)です。KC4は1927年に発掘され、上部旧石器時代の現生人類に分類されました。またKC4は1989年に、AMS法による直接的な放射性炭素年代測定により、暦年代で36400〜34700年前とされました。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/11/06 00:00
現代東アジア人にデニソワ人の遺伝的痕跡?
 現代東アジア人にデニソワ人の遺伝的痕跡が認められることを指摘した研究(Skoglund, and Jakobsson., 2011)が報道されました。この研究は、オンライン版での先行公開となります。昨年その存在が公表されたデニソワ人は、シベリアで発見された、遺伝系統樹では現生人類(ホモ=サピエンス)ともネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)とも異なる系統の人類です(関連記事)。同じく昨年、現代人のなかではメラネシア人にデニソワ人(が分類されるべき人類種もしくは亜種)との交雑の痕跡が... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/11/04 00:00
初期人類の食性についての見直し
 初期人類の食性についての見直しについて論じた研究(Ungar, and Sponheimer., 2011)の要約を読みました。これまで、人類の進化における食性の変化については、肉食と同じく、歯のサイズ・形・頭蓋下顎形態が注目されてきました。しかし近年では、歯の微視的使用痕と安定同位体分析により、初期人類の食性の予想以上の多様性と複雑さが示唆されてきており、このブログでも、この問題については何度か取り上げてきました。 http://sicambre.at.webry.info/200611/... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/10/29 00:00
北アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の狩猟
 北アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の狩猟の証拠についての研究(Waters et al., 2011)が報道(Lawler., 2011)されました。この研究では、アメリカ合衆国ワシントン州のマニス遺跡で、1970年代に発見されたマストドン(ゾウ目の大型動物)の骨について報告されています。マニス遺跡では、マストドンの骨で作られた投槍の先端が突き刺さっていた、マストドンの肋骨が発見されています。この投槍の先端は、ベーリンジアの上部旧石器文化とクローヴィス文化に共通するものです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/10/22 00:00
中期石器時代におけるオーカーの利用
 中期石器時代におけるオーカーの利用と、人類の認知能力についての研究(Henshilwood et al., 2011)の要約を読みました。この研究で取り上げられている遺跡は、「現代的行動」の起源についての議論で必ずといってよいほど取り上げられる、南アフリカのブロンボス洞窟です。2008年のブロンボス洞窟における発掘では、オーカーを豊富に含む10万年前頃の液化性混合物が生産され、アワビの殻に貯蔵された痕跡が発見されました。また、骨・炭・砥石。叩き石なども発見されており、これらは生産・加工用の道具... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/10/15 00:00
ネアンデルタール人の狩猟戦略
 後期中部旧石器時代の動物化石の同位体分析から、動物の行動パターンとネアンデルタール人の狩猟戦略の解明への手がかりを提示した研究(Britton et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、フランスにある後期中部旧石器時代のジョンザック遺跡で出土した動物(3頭のトナカイと1頭のバイソン)のエナメル質のストロンチウム同位体が分析されました。要約を読んだ限りでは、人骨の共伴には言及されていないのですが、フランスの後期中部旧石器時代の遺跡ということから、ネアンデルタール人の所産という前... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/10/14 00:00
後期下部旧石器時代のレヴァントにおける石刃生産
 後期下部旧石器時代のレヴァントにおける石刃生産についての研究(Shimelmitz et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、イスラエルにある後期下部旧石器時代のクエセム洞窟の石器群について分析されています。クエセム洞窟の後期下部旧石器時代の層は7.5メートルで、年代は40万〜20万年前とされています。後期下部旧石器時代のクエセム洞窟は、アシュールヤブルディアン複合文化に分類されていますが、そのほとんどは、石刃の優越するアムッディアンインダストリーとされています。アムッディア... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/10/07 00:00
スペイン南東部のネアンデルタール人骨
 スペイン南東部のネアンデルタール人骨の分析・比較についての研究(Walker et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、スペイン南東部のシマデラスパロマス(Sima de las Palomas)における2006年〜2007年にかけての発掘で発見された、海洋酸素同位体ステージ3の時期の小柄なネアンデルタール人の成人女性の骨が分析・比較されています。これまで、ネアンデルタール人の地理的変異の問題は、地中海に面したヨーロッパ南部の人骨が少なく、完全な後頭蓋の欠如もあり、研究が妨げ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/10/01 00:00
オーストラリア先住民のゲノム解読とデニソワ人との交雑
 オーストラリア先住民のゲノム解読についての研究(Rasmussen et al., 2011)と、オーストラリア先住民も含むオセアニアやアジアの現代人の祖先と、デニソワ人との交雑の可能性を示した研究(Reich et al., 2011)が報道(Callaway et al., 2011)されました。いずれの研究も、オンライン版での先行公開となります。オーストラリア先住民のゲノム解読についての研究(Rasmussen et al., 2011)では、1920年代にオーストラリア南西部の先住民だ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/09/24 00:00
さかのぼるネアンデルタール人による海産資源の利用
 ネアンデルタール人による海産資源の利用についての研究(Cortés-Sánchez et al., 2011)が報道されました。この研究では、スペイン南部のマラガ市にあるバホンディージョ洞窟(Bajondillo Cave)の発掘・分析成果から、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)が貝を食していた年代が、じゅうらい、貝を恒常的に食していたと推定される最古の年代(南アフリカのピナクルポイント付近にある海食洞の164000年前頃の事例、関連記事)と同じくら... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/09/20 00:11
アウストラロピテクス=セディバの特集
 今週号の『サイエンス』 http://www.sciencemag.jp/science/37528 では、以前にも『サイエンス』で大きく取り上げられた、 http://sicambre.at.webry.info/201004/article_10.html 南アフリカにて発見されたアウストラロピテクス=セディバについて特集が組まれており、諸研究 http://dx.doi.org/10.1126/science.1203922 http://dx.doi.org/10.1126... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/09/10 00:00
歯の比較による、食料加工とホモ属の進化の関係
 歯の比較から、ホモ属の進化と食料加工の関係について指摘した研究(Haak et al., 2011)が報道されました。人間の特色として、食料を加工して食べることが挙げられます。加熱処理も含めて食品加工は、栄養摂取を効率的にすることが多く、生存のうえで有利だったのではないか、と推測されます。この研究ではまず、人間と人間以外の霊長類の食事時間が比較され、人間はその体重から予測される1/10ほどの時間しか、食事に費やしていないことが指摘されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/09/04 00:00
さかのぼるアシューリアンの起源
 アシューリアン(アシュール文化)の起源がさかのぼることを報告した研究(Lepre et al., 2011)が報道されました。この研究で報告された石器は、『ネイチャー』の今週号の表紙で取り上げられています。アシューリアンは、伝統的な石器区分では、段階Iのオルドワン(オルドヴァイ文化)の後に登場した、段階IIの下部旧石器・前期石器文化に分類されており(中部旧石器は段階III、上部旧石器は段階IV・V)、その起源については、アフリカ東部において170〜160万年前頃までさかのぼる可能性が高いと指摘... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/09/02 00:00
古人類学の記事のまとめ(14)2011年5月〜2011年8月
 2011年5月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(13) http://sicambre.at.webry.info/201105/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2011/09/01 00:01
現生人類の起源に関する近年の見解のまとめ
 現生人類の起源に関する近年の見解をまとめた報道(Gibbons., 2011A)を読みました。この報道は、昨年になって公表された、現生人類(ホモ=サピエンス)と、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)およびデニソワ人(が分類されるべき人類種もしくは亜種)との交雑の可能性を指摘した研究(関連記事1および関連記事2)を踏まえて、現生人類の起源に関する問題の近年の動向をまとめ、この問題に関わってきた研究者の現時点(正確には、昨年末〜今年初めのことですが)の見解を紹介しています。近年の研究... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/08/27 00:00
古人類のDNA解析から見えてくる人類史における交雑と進化
 ホモ=サピエンス(現生人類)と他の人類との交雑という観点を中心に、近年の古人類のDNA解析について概観し、最新の知見を伝える報道(Callaway., 2011)を読みました。近年の古人類のDNA解析の成果では、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のゲノム解読の進展と、ネアンデルタール人とも現生人類とも異なる、シベリアのデニソワ洞窟で発見された人類(デニソワ人)のDNAの特定が注目されますが、この報道でも、両者についてこれまでの研究成果が取り上げられています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/08/19 00:00
フロレシエンシスについての総説的論文
 “Journal of Human Evolution”の第57巻5号で更新世のフローレス人(ホモ=フロレシエンシス)についての特集が組まれたことを、以前このブログで取り上げ、 http://sicambre.at.webry.info/200911/article_19.html その時、「この特集号の諸論文については、何回かにわたってこのブログで取り上げる予定です」と述べたのですが、その後にこのブログで言及した特集号の論文は1本だけで、 http://sicambre.at.webr... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/08/11 00:00
初期人類の生息環境
 初期人類の生息環境についての研究(Cerling et al., 2011B)の要約を読みました。初期人類の進化におけるアフリカのサバンナの役割への関心は高く、この1世紀ほど議論されてきました。現在有力な見解は、現生人類(ホモ=サピエンス)と現生チンパンジーの最終共通祖先は木の繁茂した環境に生息し、800〜500万年前頃に分岐した後、人類は木の少ない環境に移り、直立二足歩行という移動形態と食生活の変化からの推測によると、初期人類は開けたサバンナへ移動していった、というものです。しかし、木本植物... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/08/05 00:00
ヨーロッパにおけるネアンデルタール人から現生人類への移行と人口増加
 ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)から現生人類(ホモ=サピエンス)への移行期についての研究(Mellars, and French., 2011)の要約を読みました。なかなか興味深い研究のように思われますが、要約を読んだだけでは詳細が不明なので、後で全文を入手して読もうと考えています。この研究では、ヨーロッパの考古学的証拠から、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人から現生人類への移行期において、現生人類の人口が一桁増加したことが示され、それがネアンデルタール人... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/07/30 00:00
全ゲノム塩基配列から推定される人口史
 全ゲノム塩基配列から人口史を推定した研究(Li, and Durbin., 2011)の要約を読みました。人口史は人間の進化の理解に重要で、これまでの多くの研究が指摘しているのは、東アジアとヨーロッパの現生人類集団に瓶首効果が認められるということで、それは6万年前頃の現生人類の出アフリカと関連づけられてきました。しかし、これまでの研究は、わずかなパラメータで単純化された人口モデルを仮定しなければならず、瓶首効果の始まりと終わりの時期について正確なデータを提供できているとは言えません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/07/29 00:00
加藤博文『シベリアを旅した人類』
 ユーラシア・ブックレットの第123巻として、東洋書店より2008年6月に刊行されました。人類の最大の特徴は、地球上のほとんどあらゆる地域において生活しているという、生活空間の広さにある、との認識を前提として、基本的には熱帯型の生物である人類が、いかにして寒冷なシベリアへと到達し、そこで生活していたのか、ということが考古学の研究成果に基づいて叙述されています。本書の主題は、現生人類(ホモ=サピエンス)がいかにしてシベリアに進出し、どのように寒冷なシベリアに適応して生活していったのか、ということな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/07/23 00:00
X染色体におけるネアンデルタール人と現生人類との交雑の痕跡
 X染色体の分析から、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)との交雑の可能性を指摘した研究(Yotova et al., 2011)が報道されました。昨年、ネアンデルタール人のゲノムのドラフト配列が公表されましたが(関連記事)、この研究に加わったラブダ博士は、人間のX染色体に起源の分からないハプロタイプがあることを指摘した10年前の研究に加わっており、ネアンデルタール人のX染色体と現代人のそれとの比較の結果、現生人類のX染色体上には、ネアンデルタール人由... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/07/21 00:00
金子隆一『アナザー人類興亡史』
 技術評論社より2011年5月に刊行されました。副題は「人間になれず消滅した“傍系人類”の系譜」です。本書の特徴は、人類の進化を広い視点で概観していることで、人類の祖先とチンパンジーの祖先とが分岐した後だけではなく、哺乳類の進化にまでさかのぼり、人類の進化を位置づけています。そのこととも関連するのですが、一般向けの人類進化の書籍にしては、人類の定義と学説史にも詳しく言及されており、リンネにまでさかのぼって、生物の分類・人類の定義がどのように変わってきたのか、ということが解説されています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/07/19 00:00
スペンサー=ウェルズ著、上原直子訳『旅する遺伝子』
 英治出版より2008年10月に刊行されました。原書の刊行は2007年です。著者は、ナショナルジオグラフィック協会主導の、人類がアフリカからどのように地球上へ移動したのか、遺伝学的な側面から研究するジェノグラフィック・プロジェクトのリーダーです。本書では、その研究成果が一般向けに紹介されています。一般向けということで、まず遺伝の仕組みやこれまでの研究の流れについて平易に述べられており、巻末には簡略なまとめと用語解説があるなど、優れた啓蒙書としての条件を備えている、と言ってよいでしょう。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/07/16 00:00
コーカサス山脈北部の後期ネアンデルタール人の年代
 コーカサス山脈北部における後期ネアンデルタール人の年代についての研究(Pinhasi et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、コーカサス山脈北部のメズマイスカヤ(Mezmaiskaya)洞窟の後期中部旧石器層で発見されたネアンデルタール人骨の年代が、放射性炭素14年代法で直接測定され、39700±1100年前という結果が得られました。さらにこの研究では、後期中部旧石器層から得られた、限外濾過された骨のコラーゲンの放射性年代を通じて、この地域からネアンデルタール人がいなくなっ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/07/07 00:00
さかのぼるドマニシ遺跡の年代
 ドマニシ遺跡で発見された石器の年代についての研究(Ferring et al., 2011)が報道(Kaplan., 2011)されました。この研究では、ドマニシ遺跡で発見された、剥片を主体とした122個の石器の年代が、考古学・地理学的証拠により185万年前からすぐ後のことだった、と推定され、177万年前頃とされていたドマニシにおける人類の痕跡が、さらにさかのぼることが指摘されています。さらにこの研究では、185〜178万年前頃にかけて、ドマニシ遺跡には人類が繰り返し居住していたことも指摘され... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/06/30 00:00
溝口優司『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』
 ソフトバンク新書の一冊として、ソフトバンククリエイティヴより2011年5月に刊行されました。人類の進化史を概観したうえで、日本人起源論を取り上げるという、人類進化関連の問題としては、現代日本でもっとも需要の多そうなものについて論じられています。人類進化については、とくに目新しい情報はないのですが、ところどころ合目的な進化と解釈できる記述はあるものの、おおむね、近年の古人類学の研究成果を取り入れた穏当なものになっているのではないか、と思います。ただ、デニソワ人の遺伝子解析および現生人類(ホモ=サ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/06/24 00:00
ハビリスに関する分類の問題
 ホモ=ハビリスという分類の枠組みを見直そうとする研究動向について報道(Gibbons., 2011)されました。報道の冒頭しか読めていないのですが、長く最初のホモ属とされてきたハビリスは、むしろアウストラロピテクス属のほうに類似しているのではないか、と主張する近年の研究動向について言及されています。そうした動向のなかで、ハビリスの食料調達の範囲もまた、多くの研究者が最初の真のホモ属と認めるエレクトスのそれよりも、アウストラロピテクス属のそれのほうに似ており、後のホモ属に見られる、多様な環境で多... ...続きを見る

かわいい ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/06/18 00:00
ボイセイの形態と食性との関係
 パラントロプス=ボイセイの食性についての研究(Cerlinga et al., 2011)が公表されました。ボイセイは鮮新世〜更新世にかけてアフリカ東部に存在し、パラントロプス属ではなくアウストラロピテクス属に分類する見解もあります。ボイセイは、頑丈型猿人と呼ばれることがあるように、咀嚼器官をはじめとしてたいへん頑丈な形態が特徴とされています。この頑丈な形態は、固いものを食べるための適応であり、平地での生存を容易にしたのではないか、というのがじゅうらいの通説でしたが、この研究ではその見直しが主... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/06/09 00:00
アフリカヌスとロブストスの性差に伴う移動範囲の違い
 アウストラロピテクス=アフリカヌスとパラントロプス=ロブストス(アウストラロピテクス属と分類する見解もあります)の、性差に伴う移動範囲の違いについての研究(Strother et al., 2011)が報道されました。この研究では、南アフリカにあるスタークフォンテインおよびスワートクランズ洞窟遺跡で発見された、240〜170万年前頃のアフリカヌスとロブストスの計19体の歯の化石の、ストロンチウム同位体含有比が調べられました。歯のストロンチウム同位体比は、その動物が生存中にどこで水を摂取したかを... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/06/03 00:00
イベリア半島北部の中部旧石器〜上部旧石器時代移行期の気候
 イベリア半島北部の中部旧石器〜上部旧石器時代移行期の気候についての研究(López-García et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、イベリア半島北部のスペイン国アストゥリアス州にある、伯爵洞窟(Cueva del Conde)遺跡の発掘成果から、当時の古気候が推測されています。伯爵洞窟は、中部旧石器文化のムステリアン(ムスティエ文化)から上部旧石器時代のオーリナシアン(オーリニャック文化)への移行を示す遺跡として知られており、20世紀初めか... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/05/31 00:00
アフリカ東部高原地域における初期石器文化
 アフリカ東部高原地域における下部更新世の石器文化の研究(Torre., 2011)の要約を読みました。この研究の要約を読んだだけでは、肝心なところは分からないのですが、備忘録としてブログの記事にしておきます。この研究で取り上げられたのは、エチオピア南東部の高原地帯にある、前期石器時代のガデブ遺跡で、年代は145〜70万年前頃となりますが、1970年代に発掘され、1970年代に研究が報告された後は、その重要性にも関わらず、石器についての詳細な再調査が報告されることがありませんでした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/05/21 00:00
ネアンデルタール人は北緯65度まで進出?
 ロシアのウラル山脈の西山麓にある、北緯65度のByzovaya遺跡についての研究(Slimak et al., 2011)と報道(Balter., 2011)の要約を読みました。北緯65度はアイスランドとほぼ同じで、この研究では北極圏近くの遺跡とされています。この遺跡の骨と砂粒を、放射性炭素法および光刺激ルミネッセンス法で年代測定したところ、放射性炭素14年代で28500年前頃(較正した暦年代では34000〜31000年前頃)との結果が得られました。どの骨を測定したのか、『サイエンス』の要約を... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/05/14 00:00
古人類学の記事のまとめ(13)2011年1月〜2011年4月
 2010年12月28日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(12) http://sicambre.at.webry.info/201012/article_28.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.web... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2011/05/01 00:00
2011年度米国自然人類学会総会
 今年の4月12日〜4月16日にかけて、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市で第80回米国自然人類学会総会が開催されました。米国自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での報告の概要も公表されているのですが、どのような報告がなされたのか、まだ詳しく把握できていません。 http://dx.doi.org/10.1002/ajpa.21502 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/04/27 00:00
フロレシエンシスの分岐分類学的分析
 ホモ=フロレシエンシスの分岐分類学的分析についての見解(Trueman.,2010)の要約を読みました。2003年にインドネシア領フローレス島の更新世末期の地層から発見された人骨群が2004年に発表されると、出アフリカを果たしたのは解剖学的に現代人に近い人類(真のというか狭義のホモ属)のみで、ホモ=エレクトスとホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)の絶滅以降、ホモ=サピエンス(現生人類)は唯一の人類であり、年代が下ると人類の脳容量は増加する傾向にあるなどといった通説を覆すかもしれな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/04/23 00:00
竹岡俊樹『旧石器時代人の歴史 アフリカから日本列島へ』
 講談社選書メチエの一冊として、講談社より2011年4月に刊行されました。著者はいわゆる旧石器捏造事件において、捏造を暴いた毎日新聞によるスクープの前より、藤村新一氏によって発見されたと発表されてきた旧石器が捏造であることを見抜いており、毎日新聞取材班の主要な根拠・情報源の一つとなったのが、著者の見解でした。本書は、旧石器捏造事件を直接の主題とはしていませんが、旧石器捏造事件を防げなかった日本の考古学の問題点を指摘するとともに、日本の旧石器時代研究はいかにあるべきか、ということを具体的事例・解説... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/04/17 05:25
言語の連続的創始者効果が支持する現生人類アフリカ起源説
 言語の連続的創始者効果についての研究(Atkinson., 2011)の要約を読みました。現生人類(ホモ=サピエンス)の起源がアフリカにあることは、現在ではほぼ通説になったと言ってよいでしょうが、その根拠には、有名な「ミトコンドリアイヴ」に象徴される遺伝学からのものだけではなく、形質人類学からのものもあります。と言いますか、現生人類のアフリカ起源説はもともと形質人類学で主張され、遺伝学の研究成果がそれを補強した、という流れになっています。形質人類学・遺伝学における現生人類アフリカ起源説の根拠と... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/04/16 00:00
シリア、デデリエ洞窟の先史人類学的発掘
 2010〜2014年にかけて、科学研究費補助金「新学術領域研究」の一環で、「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究」と題して、ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)とホモ=サピエンス(現生人類)の「交替劇」についての研究が行われることはこのブログで取り上げましたが、 http://sicambre.at.webry.info/201101/article_19.html この研究計画および平成21年度高知工科大学学長プロジェクト共同研究費「博... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/04/06 00:00
前期更新世のインド南部におけるアシューリアン石器
 石器前期更新世のインド南部におけるアシューリアン(アシュール文化)石器についての研究(Pappu et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、インド南部のタミルナードゥ州アティラムパッカムにある遺跡で発見された石器についての分析が報告されています。インド南部にはアシューリアン遺跡が多いのですが、年代が特定されているものは少なく、それらに基づいて中期更新世とされています。しかし、いくつかの遺跡についてはより古い年代が提示されており、議論となっています ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/03/26 00:00
更新世末期の寒冷化と旱魃
 更新世末期の気候変動と旱魃についての研究(Stager et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、18000〜15000年前頃の、大量の氷と融氷水が北大西洋に流入したハインリッヒイベント1における気候変動と、広範な地域における大旱魃との関係が指摘されています。このハインリッヒイベント1は、かなりの地域的寒冷化を惹き起こしましたが、それは北半球の北部のみならず、熱帯地域にも影響を及ぼしたのではないか、とこの研究では指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/03/18 00:00
人類の進化とDNAの喪失
 人類の進化とDNAの喪失についての研究(McLean et al., 2011)が公表されました。この研究では、ヒトゲノムのコンピューター解析により、チンパンジーなどの他の動物では高度に保存されている塩基配列のうち、500ヶ所以上が除去されているという、ヒトに特異的なゲノム欠失が発見されました。ヒトゲノムのこのような変化は、ヒト固有の生物学的特性に寄与してきた可能性が高い、とこの研究では指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/03/11 00:00
ネアンデルタール人による鳥の利用と現代的行動
 ネアンデルタール人による鳥の利用と現代的行動についての研究(Peresani et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、イタリア北部のフマーン洞窟の、44000年前頃の最末期ムステリアン層で発見された、人間により解体された鳥の骨が分析されています。要約を読んだかぎりでは、人骨の共伴はないようですが、イタリア北部の洞窟のムステリアン層における発見ということで、ネアンデルタール人によるものだと推定されているようです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/03/10 05:36
アメリカ大陸の初期の住民の航海技術
 アメリカ大陸最初期の住民の航海技術や海洋資源への依存についての研究(Erlandson et al., 2011)が公表されました。この研究では、カリフォルニア州の沖合いにあるチャネル諸島の三つの遺跡での発見物から、当時のこの地域の人類の航海技術や生計が推定されています。チャネル諸島の3遺跡の年代は12000〜11200年前頃で、アメリカ大陸北部(圏内)の人類の痕跡としては、初期のものと言えるでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/03/05 00:04
更新世末期〜完新世初期のアラスカの火葬と住居
 更新世末期〜完新世初期のアラスカにおける火葬と住居についての研究(Potter et al., 2011)が公表されました。この研究についての記事もいくつか公開されています。 http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-02/aaft-cc021811.php http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-02/uoaf-osn021911.php http://www.eurekalert.org/p... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/02/26 00:00
更新世の大規模旱魃
 アメリカ合衆国南西部の、更新世における大規模旱魃についての研究(Fawcett et al., 2011)が公表されました。米国南西部では、過去2000年の間に、何十年も持続する旱魃が時々起こっていたことが知られていますが、長期の気候変動を予想するモデルシミュレーションでは、将来、気候がより温暖になると、これらよりはるかに長期間にわたる大規模旱魃が起こる可能性が示唆されています。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/02/25 06:32
最初期の人類候補化石の分類
 20世紀末〜21世紀初頭にかけて、サヘラントロプス=チャデンシス、オロリン=トゥゲネンシス、アルディピテクス=カダバという、アフリカで相次いで発見され、公表された最初期の人類(候補である)化石群の分類についての見解(Wood, and Harrison., 2011)の要約を読みました。要約と日本語サイトを読んだだけでは、この見解について的確に理解したとは言えないでしょうが、備忘録として後で役立つように、とりあえず記事を公開しておきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/02/18 00:00
アファレンシスの足の形態と直立二足歩行への適応
 アウストラロピテクス=アファレンシスの足の形態を調べ、直立二足歩行への適応について指摘した研究(Ward et al., 2011)が公表されました。この研究については河合信和氏の優れた解説があるので、私からはとくに付け加えることはないのですが、これまで、アファレンシスが直立二足歩行をしていたことは確実視されていたものの、樹上生活への適応形態もかなり残っていたとされていただけに、たいへん貴重な発見・研究だと思います ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/02/15 06:26
アフリカ北部は現生人類の出アフリカの出発地だったのか?
 現生人類(ホモ=サピエンス)の出発点として北アフリカに注目が集まっていることが報道(Balter., 2011)されました。現生人類の起源や出アフリカについて最近まで有力視されてきた説は、現生人類はサハラ砂漠以南のアフリカにおいて20万年前頃に出現し、7〜5万年前頃にアフリカ東部から紅海を渡ってアラビア半島へと進出し、世界中へと進出しましたが、その出アフリカは1回のことでした、というものです。しかし最近では、現生人類の出アフリカは複数回あったのではないか、と考える研究者が多くなってきています。... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/02/09 00:09
現生人類の出アフリカの時期の見直し
 現生人類(ホモ=サピエンス)の出アフリカの時期が、7〜5万年前頃という通説よりもかなり早かった可能性を指摘した研究(Armitage et al., 2011)が公表されました。通説というか近年有力になりつつある説では、アフリカ東部からアラビア半島へと渡り、出アフリカを果たした現生人類は、6万年前頃にインド洋沿岸経由で急速に東南アジアやオーストラリアへと進出していった、とされます。まだ要約しか読んでいませんが、注目すべき研究だと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2011/01/29 00:00
初期オーリナシアンの年代
 初期オーリナシアン(オーリニャック文化)の年代を新たに測定した研究(Szmidt et al., 2011)の要約を読みました。この研究は、要約だけではなく全文を読むだけの価値がありそうなので、そのうち全文を入手して読もう、と考えています。この研究では、フランスのIsturitz(読み方に自信がないのでそのまま表記します)洞窟のC4層で発見された有蹄類の骨が、新たなAMS放射性炭素年代測定法により分析され、その新たなデータをもとに、ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代への移行につい... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/01/27 06:41
白保竿根田原洞穴遺跡の新たな人骨
 沖縄県石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡で出土した人骨のうちの1点が、放射性炭素年代測定法により、日本列島の人骨として現時点では最古となる20000年前頃だと判明した、との報道を以前このブログで取り上げ、 http://sicambre.at.webry.info/201002/article_6.html 同遺跡の破壊についての報道もこのブログで取り上げましたが、 http://sicambre.at.webry.info/201003/article_13.html 同遺跡で24000〜... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/01/22 00:00
ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相
 2010〜2014年にかけて、科学研究費補助金「新学術領域研究」の一環で、「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究」と題して、ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)とホモ=サピエンス(現生人類)の「交替劇」についての研究が行われます。 http://www.koutaigeki.org/index.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/01/19 00:00
後期下部旧石器時代のレヴァント社会
 動物考古学などの成果から、後期下部旧石器時代のレヴァント社会について分析した研究(Stinera et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、イスラエルのクエセム洞窟の後期下部旧石器時代の層(40万〜20万年前頃)で発見された骨や遺物について分析されています。クエセム洞窟の石器は、末期アシューリアン(アシュール文化)に分類されます。クエセム洞窟で出土した大型哺乳動物の起源は、おもにユーラシアにあり、比較的寒冷で湿潤な気候条件に適応していました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2011/01/16 05:36
ネアンデルタール人のミトコンドリアDNA分析と社会構造
 ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)のミトコンドリアDNAを分析・比較した研究(Lalueza-Fox et al., 2010)が報道されました。この研究は昨年すでにオンライン版で公開されていました。この研究では、スペイン北部のエルシドロン遺跡で発見された少なくとも12個体分のネアンデルタール人骨が形態学・遺伝学的に分析され、その社会構造・婚姻システムについても言及されています。エルシドロン遺跡はカルスト地形で、そのなかの通称「骨壺部屋」において、2000年以降発掘が続けられて... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/01/06 00:00
クレタ島の70〜13万年前頃の石器
 クレタ島で70〜13万年前頃と推定される石器が発見された、とのギリシャ文化省の発表が報道されました。 http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011010401000303.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2011/01/05 05:34
古人類学の記事のまとめ(12)2010年9月〜2010年12月
 2010年9月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(11) http://sicambre.at.webry.info/201009/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2010/12/28 00:00
2010年の古人類学界
 あくまでも私の関心に基づいたものですが、今年の古人類学もっとも注目されたのは、なんといってもホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)とホモ=サピエンス(現生人類)との交雑の可能性を示した研究が公表されたことでしょう。 http://sicambre.at.webry.info/201005/article_8.html これまでも、ネアンデルタール人と現生人類との交雑の可能性を示した遺伝学的研究はありましたが、いずれも現代人の核DNAの分析・比較に基づいたものでした。それにたいし... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/12/26 05:36
デニソワ人の核DNA
 デニソワ人の核DNAの塩基配列を解読した研究(Reich et al., 2010)が報道され、要約を読みました。デニソワ人については、48000〜30000年前頃の断片的な指の骨から得られたミトコンドリアDNAの解析結果がすでに発表されており(関連記事)、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)とも現生人類(ホモ=サピエンス)とも異なる系統の人類である可能性の高いことが明らかになっています。この研究では、その断片的な指の骨から核DNAが抽出され、解析されるとともに、現代のアフリカ・... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2010/12/24 00:00
この10年間の科学的洞察10項目、2010年ブレークスルートップ10
 『サイエンス』では、毎年恒例のブレークスルートップ10とともに、この10年間の科学的洞察10項目が選出されました。 http://www.sciencemag.org/site/special/insights2010/ ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/12/18 00:00
サヘラントロプスの生息環境
 サヘラントロプスの生息環境についての研究(Blondel et al., 2010)の概要を読みました。この研究では、現在のところ最古の人類とされる、サヘラントロプス=チャデンシスが発見されたことでも知られるチャドにある、トロス=メナラで出土した後期中新世のウシ科動物の歯の分析から、当時のチャドの湖周辺の環境の復元が試みられています。じゅうらいの研究とこの研究の分析結果が示唆しているのは、当時のチャドの湖周辺は草原から森林地帯までさまざまな生息環境を含むモザイク状だった、ということです。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/12/16 00:00
フロレシエンシスの生息環境
 フロレシエンシスの生息環境についての研究(Westaway et al., 2009)の概要を読みました。この研究では、ホモ=フロレシエンシス人骨が発見された、インドネシア領フローレス島のリアンブア洞窟の更新世の堆積層が分析され、人類と自然環境との長期にわたる相互関係を調べる手がかりを提供している、と指摘されています。年代はまだ確定したとは言えないものの、リアンブア洞窟の更新世の地層では、95000年前以降に人骨や石器など人類の痕跡が発見されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/12/15 00:00
河合信和『ヒトの進化 七〇〇万年史』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2010年12月に刊行されました。以前、河合氏のブログを取り上げたときに、 http://sicambre.at.webry.info/201011/article_24.html 本書の刊行が近いことにも触れましたが、本書の概要は、河合氏のブログにて紹介されています。 http://blog.livedoor.jp/nobukazukawai/archives/1827034.html ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

2010/12/09 00:00
岡村道雄『旧石器遺跡「捏造事件」』
 山川出版社より2010年11月に刊行されました。今年で旧石器捏造事件の発覚から10年ということで、関連書籍が複数刊行されています。このブログでも、角張淳一『旧石器掘捏造事件の研究』 http://sicambre.at.webry.info/201011/article_23.html と、松藤和人『検証「前期旧石器遺跡発掘捏造事件」』 http://sicambre.at.webry.info/201012/article_3.html を取り上げました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/12/07 00:00
松藤和人『検証「前期旧石器遺跡発掘捏造事件」』
 雄山閣より2010年10月に刊行されました。今年で旧石器捏造事件の発覚から10年ということで、関連書籍が複数刊行されています。著者は、前・中期旧石器問題調査研究特別委員会の、形態・型式学的な検討から捏造に使用された石器の出自を解明する役割を担った第四作業部会の部会長で、最近では日本列島では最古となるだろうと報道された、島根県出雲市の砂原遺跡の調査に関わりました。 http://sicambre.at.webry.info/201007/article_7.html ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 2

2010/12/03 00:00
河合信和氏のブログ
 古人類学に関する複数の著書・訳書のある河合信和氏のサイト http://nobukazu-web.hp.infoseek.co.jp/index.html は、古人類学にたいする関心の高い私もよく参考にしていたのですが、インフォシークが無料ホームページサービス「インフォシーク iswebライト」サービスと有料の「インフォシーク iswebライト 広告非表示オプション」サービスを終了することになったので、 http://plaza.rakuten.co.jp/usersupport/dia... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 4

2010/11/24 00:00
角張淳一『旧石器掘捏造事件の研究』
 鳥影社より2010年5月に刊行されました。今年で旧石器捏造事件の発覚から10年ということで、関連書籍が複数刊行されています。著者は、毎日新聞が旧石器捏造事件をスクープする前に、藤村新一氏(現在は苗字を変えているそうですが)の関与した「遺跡」の問題点を指摘していた数少ない研究者の一人で、旧石器捏造事件をめぐる議論での重要な論者の一人になりました。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2010/11/23 05:40
縄文時代の平均寿命についての新たな研究
 『考古学ジャーナル』2010年10月臨時増刊号では「古人骨から縄文・弥生時代を考える」という特集が組まれていますが、 http://hokuryukan-ns.co.jp/magazines/archives/2010/09/201010_5.html この臨時増刊号に掲載された、縄文時代の平均寿命について新たな見解が述べられている長岡朋人「縄文時代人骨の古人口学的研究」が報道されました。 http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY2010... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/11/17 00:00
旧石器捏造事件の発覚から10年
 今月で旧石器捏造事件の発覚から10年になるということから、このところ、読売新聞や毎日新聞といった一般紙でも旧石器捏造事件が取り上げられています。 http://mainichi.jp/enta/art/news/20101104ddm010040009000c.html ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/11/05 00:00
さかのぼる押圧剥離の起源
 南アフリカのブロンボス洞窟で発見された中期石器時代の石器には、動物の骨またはいくつかの物体を用いて石片の縁付近を押圧し、比較的小さな石片を剥ぎ取る押圧剥離の技法が用いられている可能性を示した研究(Mourre et al., 2010)が公表されました。押圧剥離の技法は2万年前以降に出現する石器技法とされていたので、この研究の見解が妥当だとすると、押圧剥離の起源が大幅にさかのぼることになります。ブロンボス洞窟は、人類の象徴的思考・現代的行動の起源をめぐる問題で言及されることの多い洞窟で、上部旧... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/10/30 06:28
中国南東部の10万年以上前の現生人類の人骨?
 中国南東部の広西壮族(チワン族)自治区崇左市の智人洞窟(Zhirendong)で発見された人骨(下顎骨の前部と2個の臼歯)についての研究(Liu et al., 2010)が報道されました。中国語の報道では、臼歯の写真も見られます。まだ要約しか読んでいませんが、たいへん興味深い研究です。この論文はオンライン版での先行公開となります。この人骨は以前にも報道されており、このブログでも取り上げましたが(関連記事)、ついに本格的な研究成果が公表されたということになります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/10/28 01:40
いわゆる原人の出現は急激な進化の結果なのか
 どの本だったかサイトだったか忘れましたが、いわゆる原人の出現は急激だった、とする見解が提示されていて、こうした見解を肯定している人は少数ながらいるのかもしれません。こうした見解に肯定的というか、それをさらに曲解するような人々というと、たとえば進化否定論者が考えられ、これを根拠にとして、いわゆる原人とそれ以前の人類、たとえばアウストラロピテクス属とを比較し、中間形態が発見されていないと主張して、進化の否定の根拠とするかもしれません。また、地球外知的生命体の存在と地球への干渉を想定している人々は、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/10/26 00:00
ネアンデルタール人は優しかったのか?
 ネット上でたまに見かけるのが、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)は現生人類(ホモ=サピエンス)と比較して優しかったために、現生人類に滅ぼされてしまった、という見解です。私の見たかぎりでは、さすがに専門家でこのようなことを主張している人はいないようなのですが、こうした見解が主張されるのも、ネアンデルタール人の絶滅理由について現在のところ確証がなく、さまざまな説が提示されているからなのでしょう。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/10/23 00:00
ネアンデルタール人の知名度と埋葬
 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)は、すべての現代人が含まれる現生人類(ホモ=サピエンス)を除く各系統の人類のなかで、もっとも有名だと言えるでしょう。これは、ネアンデルタール人がヨーロッパや西アジアといった発掘の進んでいる地域に分布しており、発掘数が多く研究が進展しているためです。ここにヨーロッパ中心主義を見てとることは容易なのですが、改めて、現代の知の基本的枠組みがヨーロッパで築かれたことを思い知らされます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/10/16 00:00
C.W.マリーン「祖先はアフリカ南端で生き延びた」
 『日経サイエンス』2010年11月号の記事です。195000〜123000年前頃の寒冷期である海洋酸素同位体ステージ6において、現代人の祖先である当時のアフリカの人類にとって、アフリカ南端は数少ない退避所になったのではないか、と推測されています。また、当時のアフリカ南端の人類には、すでに象徴的行動が認められるなど、現代人と同じような精神性があっただろう、ということも指摘されています。その具体的な証拠を提供するのが、アフリカ南端にあるPP13B洞窟です。この記事での見解は、このブログでも紹介した... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/10/08 00:00
5万年前近くまでさかのぼるニューギニアにおける人類の痕跡
 5万年前近くまでさかのぼる、ニューギニア島における人類の痕跡についての研究(Summerhayes et al., 2010)が公表されました。まだ要約しか読んでいないのですが、これはひじょうに注目すべき研究ではないか、と思います。この研究によると、ニューギニア島高地の49000〜36000年前頃の遺跡で、人類にとって食資源となり得るタコノキやイモやパイナップルに似た果物とともに、石器が出土している、とのことです。現在のニューギニア島は、当時オーストラリア大陸と陸続きで、サフルランドを形成して... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/10/02 00:00
アメリカ大陸への人類の移住に関する記事のまとめ
人類のアメリカ大陸への移住時期についての分子遺伝学からの研究 http://sicambre.at.webry.info/200702/article_8.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/10/01 00:00
アメリカ大陸最古級の人骨?
 メキシコのユカタン半島にある観光都市カンクンの南方約130kmに位置する海中洞窟で、アメリカ大陸では最古級になると思われる人骨が発見された、と報道されました。篝火をたいた幻想的な儀式の中で、この洞窟に安置された可能性がある、とのことです。この人骨は、2006年にドイツ人のダイバーによって偶然発見され、2010年8月後半になってやっと、研究機関の詳しい調査のために海底から引き上げられた、とのことです。この洞窟は1万年前頃には水没し、その後には最近まで誰も入らなかっただろうから、この人骨は少なくと... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/09/16 00:00
後藤明『海から見た日本人』
 講談社選書メチエの一冊として、2010年4月に刊行されました。日本列島が主題とはなっていますし、じっさい日本列島に関する記述は他の地域よりも多いのですが、日本列島史・日本人形成史というよりは、海人に関する考察が真の主題になっているような印象を受けます。海人とは、漁民を意味するのではなく、海を生活拠点としながら、漁撈・海上交易・工芸・製塩・水先案内・海賊・水軍など、多様な生業を営む人々のことで、本書では、日本列島はもちろん、東南アジア・メラネシア・ポリネシア・ヨーロッパなどにおける、海人の事例が... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/09/07 00:00
古人類学の記事のまとめ(11)2010年5月〜2010年8月
 2010年5月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(10) http://sicambre.at.webry.info/201005/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2010/09/01 00:00
フロレシエンシスの進化と島嶼化
 ホモ=フロレシエンシスの進化と島嶼化についての研究(Meijer et al., 2010)が報道されました。この研究では、フローレス島の脊椎動物と他の島々の脊椎動物とが比較された結果、系統発生の連続・種の多様性の乏しさ・不調和な動物相といった特徴のあるフローレス島の動物群の進化は、島嶼化によって説明され得るものであり、低身長・小さな脳・比較的長い腕・頑丈な下肢・長い足のようなフロレシエンシスの特徴も、特有だというわけではなく、島嶼化によって説明され得る、とされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/08/20 00:00
人類最古の石器?
 エチオピアのディキカで発見された、人類が石を用いてつけたと思われる傷のついた大型有蹄類の骨についての研究(McPherro et al., 2010)が報道されました。この骨には、肉を削ぐためと思われる解体痕と、骨髄を取り出すためと思われる打撃痕とが確認されました。ディキカの近くには、250万年前頃という最古級の石器が発見されたゴナ遺跡があります。この骨の年代は、アルゴン40−アルゴン39法と地質学的証拠から、340万年前頃と推定されました。この研究では、石を用いて動物を解体したのはアウストラ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/08/13 00:00
K=ウォン「覆った定説 ネアンデルタール人は賢かった」
 『日経サイエンス』2010年9月号の記事です。イギリスのブリストル大学のジルホー教授(河合信和『ホモ・サピエンスの誕生』では「チルハン」と表記されています)へのインタビュー記事で、ネアンデルタール人の現代的行動・象徴的思考能力について、ジルホー教授の見解が語られていますが、この記事で述べられたジルホー教授の見解は、今年の1月に『アメリカ科学アカデミー紀要』に掲載されたジルホー教授らの研究に基づいています。 http://sicambre.at.webry.info/201001/articl... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/08/12 00:00
2009年「回顧と展望」日本・考古学(旧石器時代〜歴史時代)
 昨年に続いて今年も、『史学雑誌』の2009年の歴史学界の「回顧と展望」の号(第119編5号)から、面白そうな著書・論文を時代・地域別にまとめておき、後で購入したり図書館などで読んだりするさいの参考にしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/08/04 00:00
「発見!ラミダス猿人〜440万年前の“人類”〜」
 今月10日にNHKのBSハイビジョン『フロンティア』で放送された、2009年にアメリカで制作された番組です。『ナショナルジオグラフィック』の2010年7月号の特集「人類の系譜」 http://sicambre.at.webry.info/201007/article_16.html と同じく、2009年度の『サイエンス』の科学的ブレークスルートップ10の1位に選ばれた、 http://sicambre.at.webry.info/200912/article_22.html アルディピ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/07/17 00:00
『ナショナルジオグラフィック』2010年7月号「人類の系譜」
 『ナショナルジオグラフィック』の2010年7月号では、アルディピテクス=ラミダスの特集が組まれています。この特集は、2009年度の『サイエンス』の科学的ブレークスルートップ10の1位に選ばれた、 http://sicambre.at.webry.info/200912/article_22.html アルディピテクス=ラミダスの全身骨格の発掘成功とその分析に基づいています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/07/16 00:00
ユダヤ人のゲノムと他集団との比較
 ユダヤ人の全ゲノム構造についての研究(Behar et al., 2010)が公表されました。この研究では、14のユダヤ人共同体から得られたゲノムのデータが、アフリカ・ユーラシアの69の非ユダヤ人集団のそれと比較されていますが、この69の非ユダヤ人集団のうち25集団は、この研究以前には報告されたことがありません。この比較の結果、現代のユダヤ人の大半とレヴァントの非ユダヤ人集団とが近い関係にあることが明らかになりました。この結果は、現在のユダヤ人の大半が、レヴァントにいた古代ヘブライ人およびイス... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/07/14 00:00
360万年前頃の人類の直立二足歩行
 360万年前頃の人類の直立二足歩行についての研究(Haile-Selassie et al., 2010)が報道されました。じゅうらい、「ルーシー」としてよく知られている320万年前頃のアウストラロピテクス=アファレンシスの人類骨(A.L.288−1)を根拠として、アファレンシスは現代人よりも直立二足歩行に適していなかった、とされてきました。しかし、この研究では、2005年にエチオピアで発見された、360万年前頃のアファレンシスの骨の分析の結果、アファレンシスはじゅうらい考えられていたよりも直... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/07/13 00:00
ブリテン島で78万年以上前の石器が発見される
 イギリスのノーフォーク州にあるハピスバラ遺跡の河川堆積物から出土した、78万年以上前の、78個のフリント製石器についての研究(Parfitt et al., 2010)が報道されました。これまで、前期更新世の人類は北緯45度を越える地域に進出したことはなかった、と考えられてきましたが、この研究では、北緯52度(ネット上の地図で大まかな位置を確認しただけなので、少し違っているかもしれません)ハピスバラ遺跡で発見された、78万年以上前の石器が報告されています。フランス・ドイツの北部でも同時代と推定... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

2010/07/09 00:00
砂原遺跡をめぐる議論
 日本列島では最古となるだろうと報道された、島根県出雲市の砂原遺跡で発見された石器については、このブログでも取り上げたことがありますが、 http://sicambre.at.webry.info/200909/article_30.html http://sicambre.at.webry.info/201005/article_28.html この遺跡について、研究者の間で評価が分かれている現状が報道されました。 http://www.asahi.com/culture/news_c... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

2010/07/07 06:30
チベット人の高地への適応
 チベット人の高地への適応に関する遺伝学的研究(Simonson et al., 2010)が報道されました。チベット高原は人間にとって過酷な居住環境であり、低地居住者がこの地域を訪れると、体内の酸素不足によって高山病を発症し、心臓や脳の致命的な炎症に罹る恐れがあります。この研究によると、チベット人がきわめて高緯度の土地でも生存できる理由の一つとして、血中ヘモグロビン値を低く抑える2種類の遺伝子を持っていることが明らかになった、とのことです。この研究では、チベット人の高地適応に関与してきたと思わ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/07/03 00:00
アフリカをめぐる言説
 今年2月に、「アフリカが発展しない理由」と題するブログの記事が話題になりました。 http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100207 http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100207 今更ですが、NHKでアフリカを扱った特集番組が放送され、日本人のアフリカにたいする認識も変わりつつあるのではないか、と思う今、この記事について少しだけ雑感を述べることにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/06/24 00:00
『一万年の進化爆発 文明が進化を加速した』(日経BP社、2010年)
 グレゴリー=コクラン、ヘンリー=ハーペンディング著、古川奈々子訳で、日経BP社より2010年5月に刊行されました(Cochran, and Harpending.,2010)。原書の刊行は2009年です。人類の進化は5万年前に止まったわけではなく、この1万年間はそれ以前と比較して加速している、遺伝的変異と環境には相互作用が認められる、との本書の見解は、おおむね妥当なものだろうと思います。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/06/10 00:11
砂原遺跡の石器の年代
 島根県出雲市の砂原遺跡で発見された石器は、日本列島では最古となるだろう12万年前頃のものだ、との報道を以前このブログで取り上げましたが、 http://sicambre.at.webry.info/200909/article_30.html その年代が127000〜70000年前と訂正された、と報道されました。 http://www.asahi.com/culture/update/0524/TKY201005240154.html ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2010/05/28 06:51
ネアンデルタール人と現生人類との交雑?
 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のゲノムのドラフト配列を提示し、ネアンデルタール人と現生人類(ホモ=サピエンス)との交雑の可能性を指摘した研究(Burbano et al., 2010、Green et al., 2010)が報道(Gibbons., 2010)されました。朝日新聞やナショナルジオグラフィックなどでも報道されています。この研究が掲載された『サイエンス』では、特集サイトが設置されています。ネアンデルタール人と現生人類との間に交雑があったか否かという問題は、古人類... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 4 / コメント 2

2010/05/08 00:00
古人類学の記事のまとめ(10)2010年1月〜2010年4月
 2009年12月26日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(9) http://sicambre.at.webry.info/200912/article_26.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.web... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

2010/05/01 00:00
とくに面白かった論文
 これまでこのブログで取り上げ、全文を読んだ論文のうち、とくに面白いものを紹介した記事を以下にまとめてみました。まだ要約しか読んでいなくても興味深い論文も少なくないのですが、それらは国会図書館に行ったさいにプリントアウトしてこよう、と考えています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/04/27 00:00
現生人類とネアンデルタール人など他の人類との交雑?
 現生人類(ホモ=サピエンス)と、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)など他の人類との交雑の可能性を指摘した報告(Joyce et al., 2010)が報道(Dalton., 2010)されました。この報告は、今年の4月14日〜4月17日にかけて米国ニューメキシコ州アルバカーキ市で開催された、第79回米国自然人類学会総会で報告されました。米国自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるので、私も大いに注目しています。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P142-14... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/04/23 00:00
フロレシエンシスについての講演会
 昨日、国立科学博物館上野本館にて、常設展の改装を記念した、ホモ=フロレシエンシスについての講演会が開催されました。 http://www.kahaku.go.jp/event/2010/04human/ ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/04/18 06:30
ホモ属の特徴をもつアウストラロピテクス属の化石
 今週の『サイエンス』では、南アフリカで発見された人類化石が大きく取り上げられており、表紙にはこの人類化石が掲載されています。『ナショナルジオグラフィック』でも大きく取り上げられており、子供の頭蓋骨についての記事と、この人類が発見された洞窟についての記事と、顔の特徴についての記事と、この人類化石の系統上の位置づけについての記事と、身体的特徴についての記事と、この人類化石がホモ属の祖先か否かという議論を取り上げた記事とが掲載されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/04/10 00:00
『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜アメリカ 最後のフロンティア』
 『BBC地球伝説』の『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜』シリーズの第5回で、アメリカ大陸への現生人類の拡散が取り上げられています。 http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/history/hi_19_05.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/04/08 18:42
『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜オーストラリア アボリジニの謎』
 『BBC地球伝説』の『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜』シリーズの第4回で、オーストラリア大陸への現生人類の拡散が取り上げられています。また、ホモ=フロレシエンシスについても少し触れられています。 http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/history/hi_19_04.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/04/07 06:47
『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜ヨーロッパ さらなる変遷』
 『BBC地球伝説』の『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜』シリーズの第3回で、現生人類のヨーロッパへの拡散と、ネアンデルタール人との関係が取り上げられています。 http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/history/hi_19_03.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/04/02 06:34
『ハイビジョン特集 世紀の大発見 謎の小型人類 〜もうひとつの“指輪物語”〜』
 3月23日分の記事で紹介した番組 http://sicambre.at.webry.info/201003/article_23.html が放送されましたが、映像の一部は、以前放送された『サイエンスZERO』「衝撃の発見!身長1メートル・小型人類の謎」からの流用でした。 http://sicambre.at.webry.info/200910/article_18.html ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/03/27 00:00
未知の人類のミトコンドリアDNA?
 シベリア南部のデニソワ洞窟で発見された人骨の、ミトコンドリアDNA配列を解析した研究(Krause et al., 2010)が報道されました。朝日新聞でも報道されています。この論文は、オンライン版での先行公開となります。この研究では、南シベリアのデニソワ洞窟で2008年に発見された、人間の小指の断片的な骨から得られたミトコンドリアDNAの完全な配列が報告されています。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 4 / コメント 0

2010/03/26 00:00
3月26日午後9時半よりフロレシエンシスの特集が放送されます
 3月26日午後9時半より、NHKのBSハイビジョンで『ハイビジョン特集 身長1m 小型人類の大きな謎』が放送されます。 http://www.nhk.or.jp/bs/hvsp/ ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/03/23 00:00
フローレス島での人類の痕跡は100万年前までさかのぼる
 フローレス島で新たに発見された石器は、100万年前までさかのぼることを示した研究(Brumm et al., 2010)が報道(Dalton., 2010)されました。この論文は、オンライン版での先行公開となります。フローレス島のソア盆地のマタメンゲとボアレサでは、以前に石器が発見されており、ジルコン=フィッショントラック法年代測定により、フローレス島には880000±70000年前までに人類が到達していた、とされていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/03/19 00:01
『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜アジアへの広がり』
 『BBC地球伝説』の『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜』シリーズの第2回で、現生人類のアジアへの拡散が取り上げられています。 http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/history/hi_19_02.html アジアへの拡散とは言いながらも、おもに取り上げられたのは北方経路のシベリアへの進出と寒冷地適応であり、インド洋沿岸の現生人類の進出が取り上げられなかったのは残念でした。現生人類のアジアへの進出経路としては、インド洋沿岸のほうが重要だと思うのですが。 ... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/03/14 00:03
白保竿根田原洞穴遺跡の破壊
 沖縄県石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡で出土した人骨のうちの1点が、日本列島の人骨としては現時点では最古となる、放射性炭素年代測定法で20000年前頃だと判明した、との報道を以前このブログで取り上げましたが、その白保竿根田原洞穴遺が、ずさんな調査により破壊されてしまった、と報道されました。化石を含む堆積層の大部分が壊されてしまっており、20000年前頃だと判明した人骨が発見された、「化石のホール」と呼ばれていた場所も大半はなくなっていた、とのことです。こうしたずさんな調査が行われた理由として、白保... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/03/13 00:02
『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜始まりの地 アフリカ』
 BS朝日で放送されている『BBC地球伝説』では、『ヒューマン・ジャーニー 〜遥かなる人類の旅〜』との題で、5回にわたって現生人類拡散の様相が描かれる、とのことです。昨日は、現生人類の出アフリカが取り上げられました。 http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/history/hi_19_01.html ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/03/12 00:00
6万年前の線刻
 南アフリカの西ケープ州にあるディープクルーフ岩陰で発見された、6万年前頃の線刻のある大量のダチョウの卵殻についての研究(Texier et al., 2010)が報道されました。オンライン版での先行公開となります。これらの卵殻はハウイソンズ=プールト文化期のもので、抽象的な線が意図的に彫られていることから、象徴的思考の証拠だと解釈されています。さらに注目されるのは、2種類の標準的な文様が彫られた貝殻が大量に発見されていることで、規格化された彫刻が行われていたことを示しており、散発的な証拠ではな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/03/10 06:50
中期更新世の東南アジアの人類
 中期更新世の東南アジア大陸部の人類について、これまでの研究を概観した論文(Marwick., 2009)が公表されました。この論文でまず指摘されているのは、中期更新世の東南アジア大陸部における人類の痕跡がきわめて少ないことです。これは、インド・中国南部・インドネシア(東南アジア島嶼部)という東南アジア大陸部の周辺地域と比較すると、顕著だと言えます。それでも更新世中期の東南アジア大陸部が注目されるのは、中国とインドネシアのジャワ島という、2つの異なる中期更新世の人類集団のいる地域の中間地帯に、東... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/03/04 00:00
ケネス=フィーダ『幻想の古代史』上・下
 福岡洋一訳で、楽工社より2009年11月に刊行されました。古代史・先史時代を中心として、カーディフの事件やピルトダウン事件といった捏造事件や、地球外知的生命体による人類の進化・文化への介入といった珍説が取り上げられ、その知識不足・思考様式が批判されるとともに、そうした捏造事件や珍説が一定以上影響力を有した背景についても指摘されています。本書を読めば、たんに知識が得られるだけではなく、批判的思考の訓練にもなることでしょう。原書の刊行は2008年(6版)です。本書は英語圏でかなり有名な擬似古代史批... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/03/02 21:24
ヨーロッパの人類はいつから鳥を食べていたのか
 中期更新世のヨーロッパにおいて、人類が鳥を食べていた証拠を報告した研究(Blasco, and Peris., 2009)が公表されました。人類による小動物の消費は、アフリカのいくつかの遺跡では鮮新世〜更新世にさかのぼります。しかし、上部旧石器時代よりも前のヨーロッパにおける小動物の組織的獲得と消費については、いぜんとして議論が続いています。小動物でも、たとえば野兎の消費は、中期更新世以前のヨーロッパのいくつかの遺跡で確認されていますが、同時期の鳥の消費は、ヨーロッパでは一般的には認められてい... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/02/26 06:54
現生人類の遺伝子の歴史
 “Current Biology”の最新号(20巻4号)では、現生人類(ホモ=サピエンス)の世界規模での遺伝子の歴史が特集されています。 http://www.cell.com/current-biology/issue?pii=S0960-9822(10)X0004-5 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/02/25 00:00
現生人類以外の人類による航海?
 現生人類(ホモ=サピエンス)以外の人類が地中海のクレタ島にたどり着いていた可能性を指摘した研究が報道されました。この研究は、“Hesperia”という雑誌に掲載予定とのことです。この報道と他の報道によると、クレタ島で握斧(Hand axe)によく似た石器が発見されたそうです。握斧は下部旧石器時代(サハラ砂漠以南のアフリカでは前期石器時代)におもに使用されていた石器で、石器技術の分類では段階2に区分されます。これらの石器の埋まっていた堆積層は、もっとも新しいものが45000年以上前、もっとも古い... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/02/23 00:00
縄文人の遺伝的分析
 縄文時代早期〜続縄文時代の人骨(北海道のものが54体・東北地方のものが20体)から抽出されたミトコンドリアDNAを分析し、関東地方の縄文人のデータと比較した結果、縄文人は北海道・東北集団と関東集団とで大きく異なることが明らかになった、との研究が報道されました。 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/215305.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/02/20 06:38
南部アフリカ人のゲノム
 南部アフリカ人のゲノムについての研究(Schuster et al., 2010)が公表されました。この研究では、アフリカ南部のコイサン族とバントゥー族それぞれ1人ずつの完全なゲノム塩基配列が解読され、さらに、カラハリ砂漠の別々の地域に住む採集狩猟民3人のタンパク質コード領域の塩基配列が提示されています。じゅうらいのミトコンドリアDNAや少数の核DNAの研究から、コイサン族は現代人のなかでもっとも古く遺伝的に他集団と分岐した集団である、とされています。これまでに塩基配列を完全に解読された人間の... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2010/02/19 06:31
4000年前の人類の核ゲノムの塩基配列
 グリーンランドで発見された、エスキモーの男性の毛髪から採取された核ゲノムの塩基配列についての研究(Rasmussen et al., 2010)が報道されました。この研究での塩基配列解読により、二倍体ゲノムの79%が復元され、一塩基多型が353151個発見されました。この一塩基多型の分析により、この男性の表現型の特徴が推定されました。また、この一塩基多型を現代人集団のそれと比較したところ、この男性ときわめて近い関係にある複数の集団が、シベリア東部や中部で見つかりました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/02/12 06:29
日本列島最古の人骨?
 沖縄県石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡で出土した人骨のうちの1点が、放射性炭素年代測定法で20000年前頃だと判明した、と報道されました。これまで日本列島で最古の人骨とされてきたのは、沖縄県那覇市の山下町第一洞穴で発見された32000年前頃のものなのですが、これは木炭での測定ということもあり、年代を疑問視する見解もありました。しかし、白保竿根田原洞穴遺跡で出土した人骨は、加速器質量分析法(AMS)で直接年代が測定されており、信頼性の高い年代ということで、日本最古の人骨になる、と報道されたのでしょう... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2010/02/06 00:00
フロレシエンシスの脳の小ささの説明
 霊長目の脳容量の進化と、フロレシエンシスの小さな脳についての研究(Montgomery et al., 2010)が報道されました。この研究では、37の現生霊長目と23の絶滅霊長目の、絶対的および相対的脳容量と身体のサイズが分析されました。その結果が示しているのは、霊長目の進化史において、絶対的および相対的脳容量の増加は霊長目の進化の初期においてすでに始まっており、すべての主要な霊長目生物群において、時間が経過するにつれて脳容量の増大する傾向が認められることです。これは、じゅうらいの一般的な見... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/02/04 00:00
人間とチンパンジーとのY染色体の違い
 人間とチンパンジーとのY染色体の違いについての研究(Hughes et al., 2010)が公表されました。人間やチンパンジーなどはXとYという性染色体が性別を決定しており、雄はXYを、雌はXXを持っています。この研究ではチンパンジーのY染色体にある雄特有の領域の塩基配列が解読され、それと人間のY染色体とが比較されました。その結果は意外なものであり、チンパンジーと人間とのY染色体には構造や遺伝子含量に著しい違いがあり、チンパンジーの系統と人間の系統が分岐した後(700〜600万年間?)に急激... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/01/29 06:43
アフリカ南部における前期石器時代〜中期石器時代への移行
 アフリカ南部における前期石器時代〜中期石器時代への移行についての研究(Porat et al., 2010)が公表されました。この研究でおもに取り上げられたのはアフリカ南部のカサパン1遺跡(Kathu Pan 1)で、この遺跡の年代とアフリカを主とした他の遺跡の年代が比較され、前期石器時代〜中期石器時代への移行の様相が論じられるとともに、石器技術の変化と人類の進化についても言及されます。固有名詞の読み方には明らかな間違いがあるかもしれませんので、誤りにお気づきの場合は、ご教示いただければ幸いで... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 4

2010/01/20 06:03
ネアンデルタール人作製の貝殻の装飾品
 ネアンデルタール人が作製した貝殻の装飾品についての研究(Zilhão et al., 2010)が報道されました。オンライン版での先行公開となります。この研究では、スペイン南東部の中部旧石器時代の2つの遺跡で発見された貝殻と顔料が分析されました。貝殻には穴が開けられており、そのなかには、顔料が塗装されたものもありました。顔料は、赤鉄鉱・硫化鉄鉱・鱗鉄鉱など鉱物性のものです。貝殻は装飾品として用いられ、顔料は身体の装飾としても用いられた、と考えられます。年代は5万年前頃とされており、要... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 2

2010/01/14 00:00
ヨーロッパ最古の人類?
 フランス南部で発見された前期更新世の石器についての研究(Crochet et al., 2009)が公表されました。この研究では、フランス南部の採石場で発見された化石・石器について報告されています。脊椎動物の多数の化石は約20の分類群にまとめられ、30個ほどの石器も見つけられました。これらの石器は礫器と分類されており、化石と石器の年代は157万年前頃と推定されています。ほぼ確実な人類の痕跡としては、ヨーロッパ最古級の事例となりそうで、脊椎動物の骨も見つかっていることから、当時の南ヨーロッパの生... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/01/07 05:43
古人類学の記事のまとめ(9)2009年9月〜2009年12月
 2009年9月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(8) http://sicambre.at.webry.info/200909/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.i... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 0

2009/12/26 00:00
2009年の古人類学界
 あくまでも私の関心に基づいたものですが、今年の古人類学でもっとも注目されたのは、なんといってもアルディピテクス=ラミダスの詳細な研究でしょう。 http://sicambre.at.webry.info/200910/article_3.html この研究は『サイエンス』で特集が組まれ、2009年度の『サイエンス』の科学的ブレークスルートップ10の1位にも選出されたくらいです。これだけ詳細に分析された人類骨としては最古のものとなり、それだけでも高い価値がありますが、人類進化についての再考も... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/12/25 07:01
穀類食の起源
 穀類食の起源についての研究(Mercader., 2009)が公表されました。この研究では、モザンビーク北西部のニアッサ州のンガルエ洞窟遺跡で出土した、中期石器時代の105000年前頃の石器に付着していた、膨大な量のデンプン粒が確認されました。このことから、当時のアフリカ南東部の人類は、モロコシを含むイネ科の穀類に依存しており、それは少なくとも105000年前には始まっていたのではないか、と指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 14

2009/12/23 00:00
2009年のブレークスルートップ10の1位はアルディピテクス=ラミダスの研究
 2009年度の『サイエンス』の科学的ブレークスルートップ10の1位は、アルディピテクス=ラミダスの研究だ、と報道されました。 http://www.sciencemag.jp/breakthrough/2009/index.html http://www.eurekalert.org/pub_releases/translations/BOY2009jp.pdf ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2009/12/22 00:00
75万年前頃の人類の空間認識能力
 下部旧石器時代のアシューリアン(アシュール文化)遺跡として有名な、イスラエルのジスル=バノト=ヤコブ遺跡における、人類の活動とその認識能力についての研究(Alperson-Afil et al., 2009)が公表されました。この遺跡では、燧石の小片・玄武岩や石灰石で作った石器・カニの殻や魚の骨の破片・種・果物・穀類・木材といったさまざまな遺物が発見されています。こうした遺物のうち、植物や燧石の加工跡は炉床のあたりに集中しており、玄武岩や石灰石の石器は大半が遺跡南東部から発見されました。こうし... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2009/12/20 00:00
125000年前の間氷期の海面上昇
 現在の地球温暖化との類似性も指摘した、125000年前の間氷期の海面上昇についての研究(Kopp et al., 2009)が公表されました。この研究では、局所的な海面水準の標識がデータとして用いられ、それだけでは世界規模の海面水準とは異なっている可能性があることから、世界的規模および局所的な海面や氷床量などを推定する統計的手法とが統合され、125000年前の間氷期の海面水準が復元されました。この時期の極地の気温は、現在よりも3〜5℃高かったとされています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/12/19 00:00
アジア人の遺伝的多様性と東アジア人の起源
 アジア人の遺伝的多様性と東アジア人の起源地についての研究(The HUGO Pan-Asian SNP Consortium., 2009)が報道されました。これは、「ヒューゴ全アジア一塩基多型協会」という名称の研究集団によるものです。この研究では、アジア人73集団約2000名と非アジア人2集団を対象として、常染色体変異の大規模な調査が行なわれ、その遺伝的関係が推定されました。この研究によると、アジアにおいては、遺伝的区分と地理および言語(もしくは民族)的区分とがおおむね一致したものの、例外も... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 8

2009/12/12 00:01
青柳正規『興亡の世界史00 人類文明の黎明と暮れ方』
 講談社の『興亡の世界史』シリーズ20冊目となります(2009年11月刊行)。冒頭にて現代人の把握する時間軸の短さが指摘された本書においては、更新世以前の人類の進化にもかなりの分量が割かれています。もっと長い時間軸で人類文明をととらえなければならない、との著者の問題意識に基づく構成ということなのでしょう。著者は古人類学の専門家ではないだけに、本書の更新世以前の人類の進化の記述にはとくに目新しい情報はありませんし、疑問もないわけではありませんが、古人類学に関心のある私にとっては、このような世界史シ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/12/09 00:00
古気候の見直し
 過去の間氷期の気温を見直した研究(Sime et al., 2009)が公表されました。じゅうらいの過去の気温についての研究では、水素と酸素の同位体比と気温の関係が空間的にも時間的にも安定である、という仮定に基づいていました。しかしこの研究では、南極から得られた34万年前の3つの氷床コアが分析され、同位体を組み込んだ大循環モデルが用いられて、同位体比と気温の関係は非線形的であることが明らかにされています。この研究によると、温暖な期間には同位体比は温度にたいする感度がより低く、そのため、これまで... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/12/04 06:52
更新世末期の北アメリカ大陸における大型動物絶滅の原因
 更新世末期の北アメリカ大陸での大型動物絶滅についての研究(Gill et al., 2009)(Gill et al., 2009)が公表されました。この原因をめぐっては、大まかに二分すると、環境説と人為説とが提示されています。この研究では、アメリカ合衆国インディアナ州のアップルマン湖の古代堆積物から抽出された花粉・木炭・“Sporormiella”という大型草食動物の糞に成育する糞生菌類が分析されました。どのていどの糞生菌類が存在するかが当時の大型草食動物の生物量の指標となることから、この糞... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 12 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/12/03 07:03
LB1の頭蓋の分析
 LB1の頭蓋を現代人・中新世〜更新世の化石人類・アフリカの現生類人猿と比較した研究(Baab, and McNulty., 2009)が報道されました。フロレシエンシスの特集が組まれた“Journal of Human Evolution”の最新号に掲載された研究ですが、オンライン版では昨年から公開されていました。 http://sicambre.at.webry.info/200911/article_19.html ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/11/22 00:00
FOXP2遺伝子と言語能力
 FOXP2遺伝子と言語能力の関係についての研究(Konopka et al., 2009)が公表されました。現在のところ、転写因子FOXP2は、人間の言語能力に関係することが分かっている唯一の遺伝子ですが、対応するチンパンジーの遺伝子とほとんど違いがありません。この研究では新たな実験により、FOXP2の下流の転写標的の活性化には人間とチンパンジーで違いがみられ、この差は両者のFOXP2にあるアミノ酸2個の違いから生じていることが明らかになりました。それぞれのFOXP2が影響を及ぼす遺伝子ネット... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/11/21 00:00
フロレシエンシスについての特集
 “Journal of Human Evolution”の最新号(57巻5号)では、ホモ=フロレシエンシスについての特集が組まれていますが、人骨の分析・分類だけではなく、更新世のフローレス島の環境の推定・復元についての研究も掲載されています。 http://www.sciencedirect.com/science/journal/00472484 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2009/11/19 00:00
中国の初期現生人類?
 中国の広西壮族(チワン族)自治区で、10万年以上前と推定されるホモ=サピエンス(現生人類)の人骨(下顎骨と歯)が発見された、と『サイエンス』で報道(Stone., 2009)されました。まだ一部しか読めていませんが、なかなか興味深い発見です。この報道によると、この発見は、現代人の祖先は5万年前頃にアフリカから世界各地へと進出していった、とする現在では通説となっている現生人類アフリカ単一起源説(年代については、もう少しさかのぼる見解も提示されています)に見直しを迫るものだ、と中国の研究者は主張し... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/11/03 00:07
ネアンデルタール人と現生人類との交雑の可能性について
 ネアンデルタール人と現生人類との交雑の可能性についての、スバンテ=ペーボ博士の見解が報道されました。ペーボ博士は、ドイツのライプツィヒにあるマックス=プランク進化人類学研究所の遺伝学部門長で、ネアンデルタール人のDNAに関する第一人者とも言うべき研究者です。ネアンデルタール人の全ゲノム解読についてのペーボ博士の分析は、まもなく刊行されるとのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/10/29 00:28
23000年前の住居跡
 神奈川県相模原市城山町の小保戸遺跡から、23000年前の住居跡とみられる遺構が4基検出された、と報道されました。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091026-00000026-san-soci ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/10/28 00:00
北朝鮮で6〜4万年前頃の人骨発見?
 kuronekoさんから教えていただいたのですが、北朝鮮の黄海北道黄州郡にある洞窟で、人骨や石器が発掘された、と報道されました。 http://sankei.jp.msn.com/world/korea/091024/kor0910242336003-n1.htm ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/10/27 00:05
人類進化─新たな謎
 国立科学博物館が刊行している『milsil(ミルシル)』という雑誌の2009年第5号の特集は、「人類進化─新たな謎」です。 http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/10/21 00:00
『サイエンスZERO』「衝撃の発見!身長1メートル・小型人類の謎」
 昨日の記事で紹介した番組です。 http://sicambre.at.webry.info/200910/article_17.html 馬場悠男氏の解説にわりと時間が割かれていたということもあるのでしょうが、全体的には大きな問題点はとくになく、リアン=ブア洞窟の周囲の風景も見ることができたなど、なかなかよかったと思います。ただ、35分という時間的制約があったので、フロレシエンシスをめぐる議論で取り上げられなかったものも少なくありませんでしたが、これは仕方のないところなのでしょう。とはいえ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 4

2009/10/18 00:00
フロレシエンシスについての番組が今晩放送されます
 今晩(10月17日)22時から放送されるNHK教育の『サイエンスZERO』という番組で、フロレシエンシスが取り上げられます。 http://www.nhk.or.jp/zero/ ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2009/10/17 00:01
篠田謙一「DNA解析が解明する現生人類の起源と拡散」
 『地学雑誌』118巻2号に掲載された報告です。篠田氏の著書としては、『日本人になった祖先たち』が有名です。これといって目新しい見解はないのですが、さすがに篠田氏は手堅く簡潔にまとめているな、と思います。ただ、疑問点もあります。まず、遺伝学・分子生物学の分野から現生人類のアフリカ単一起源説が強く主張されるようになった契機となった、Cann et al.,1987が、「従来の学説を覆す」とされていると評価されていることです。現生人類の起源をめぐる論争についての学説史の把握は私の今後の課題であり、現... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/10/14 00:00
中央ヨーロッパ最初期の農耕は移住民によってもたらされた?
 中央ヨーロッパ最初期の農耕は移住民によってもたらされたのではないか、との研究(Bramanti et al., 2009)が報道されました。中央ヨーロッパでは、7500年前頃に農耕が開始されました。この研究では、初期農耕民・後期ヨーロッパ採集狩猟民・現代中央ヨーロッパ人のミトコンドリアDNAが比較され、古代の採集狩猟民のほとんど(82%)は、現在の中央ヨーロッパでは比較的まれなミトコンドリアDNAタイプを共有しているなど、3集団間で大きな遺伝的違いが見出された、と指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/10/07 00:00
アルディピテクス=ラミダスの全身骨格
 『サイエンス』の今週号では、アルディピテクス=ラミダスのほぼ全身の骨格の発掘の成功と、その骨格の分析が特集されています。先週は『米国科学アカデミー紀要』で現生人類の起源について特集が組まれ、今週はラミダスについて『サイエンス』で特集が組まれたわけで、2週続けて代表的な総合科学誌で古人類学関連の特集が組まれたことになります。私のような古人類学に関心のある人にとっては、じつに楽しい2週間になったでしょう。来週は『ネイチャー』でネアンデルタール人やフロレシエンシスの特集が組まれると、本当に楽しいので... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 10 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/10/03 00:00
古生物学からのウベイディヤ遺跡の年代
 動物化石から、ウベイディヤ遺跡の年代を推定した研究(Martínez-Navarro et al., 2009)が公表されました。イスラエルにあるウベイディヤ遺跡は、レヴァントにおける初期更新世の代表的遺跡であり、調査もかなり進んでいます。ウベイディヤ遺跡では、初期更新世の人類の痕跡だけではなく、動物化石も多数発見されており、人類の出アフリカの経路・時期を研究するにあたって、重要な手がかりを提示してくれています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/10/02 00:00
日本列島最古の石器?
 島根県出雲市の砂原遺跡で、12万年前頃の石器が20点発見された、と報道されました。 http://www.asahi.com/culture/update/0929/OSK200909290054.html http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090929-00000103-jij-soci http://www.jiji.com/jc/p_archives?id=20090929183630-8505292 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 2

2009/09/30 00:00
現生人類の起源についての特集
 『米国科学アカデミー紀要』の今週号では、現生人類の起源についての特集が組まれていて、40ページ以上にわたって多数の論文が掲載されています。いずれの論文もまだ要約さえ満足に読めていませんが、いずれも面白そうなので、これから時間をかけてじっくりと読んでいくつもりです。巻頭の論説(Klein., 2009)では、リチャード=クライン博士がダーウィンの見解と最近の現生人類アフリカ起源説について論じています。私はクライン博士の見解に賛同できないことが多いのですが、クライン博士の学識には敬意を抱いているの... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/09/25 00:03
藤本強『考古学でつづる世界史』
 『市民の考古学』第6巻として、同成社より2008年10月に刊行されました。対象となる年代は、石器時代初期から10世紀頃までとたいへん長くなっています。もちろん、いわゆる歴史時代以降も、考古学の対象となるわけですが、石器時代初期から10世紀頃までの単独執筆による一冊となると、珍しいことではないかな、と思います。世界史と題されているだけあって、対象となる地域も広いのですが、アメリカ大陸・オーストラリア大陸・ニューギニア・ポリネシアなどはほとんど対象外となっており、アフリカ南部についての記述も少ない... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/09/22 06:37
加熱処理による石器製作
 中期石器時代のアフリカにおいて加熱処理による石器製作が行なわれていたことを示した研究(Brown et al., 2009)とその展望(Webb, and Domanski., 2009)が報道されました。この研究では、加熱処理による石器製作の質・効率の向上が、南アフリカのピナクル=ポイント遺跡では164000年前頃までさかのぼることが指摘されています。さらに重要なのは、加熱処理による石器製作が、72000年前頃までには、シルクリートを用いた石器作製で顕著に認められることで、これは火についての... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/09/16 17:35
3万年前頃の染色された亜麻繊維
 グルジアで発見された、3万年前頃の亜麻繊維についての研究(Kvavadze et al., 2009)が公表されました。グルジアのコーカサス山麓の丘に位置する‘Dzudzuana’洞窟の上部旧石器層から発見された野生の亜麻繊維は、紡がれ、黒・灰・青緑・桃色などに染色され、結び目も認められました。‘Dzudzuana’洞窟は、32000〜26000年前、23000〜19000年前、13000〜11000年前という何度かにわたって断続的に人類に利用されていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/09/12 00:01
50万年前頃の周口店人による火の使用?
 50万年前頃の周口店人は火を使いこなしていたと思われる、と報道されました。50〜20万年前頃の周口店人(この時期の周口店人は全員エレクトスに分類される可能性が高いと思います)による火の使用はたいへん有名で、人類による火の使用の最初期の例として一般的には浸透しています。しかし、50〜20万年前頃の周口店人が本当に火を使っていたのか、疑問視する見解もあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/09/08 00:00
ヨーロッパ最古の握斧
 ヨーロッパにおける握斧(ハンドアックス)出現の年代について見直した研究(Scott, and Gibert., 2009)が公表されました。これまで、ヨーロッパでは握斧の出現は50万年前頃以降と考えられてきたのですが、この研究では、握斧の出土したスペイン南東部の二つの遺跡を、古地磁気学的分析で再評価したところ、90万年前頃と76万年前頃という結果が得られた、と指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/09/06 06:24
古人類学の記事のまとめ(8)2009年5月〜2009年8月
 2009年5月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(7) http://sicambre.at.webry.info/200905/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.i... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 8 / コメント 2

2009/09/01 00:03
後期更新世における魚食の証拠
 後期更新世における人類による魚食の証拠についての研究(Hu et al., 2009)が報道されました。この研究で分析対象になったのは、北京市房山区周口店近くの田园洞窟で発見された暦年代で4万年前頃の早期現生人類の人骨です。人骨の同位体分析により、その早期現生人類の食性が推測されました。その結果、この早期現生人類の炭素と窒素の同位体比は、同所で見つかった当時の山猫に近く、鹿などの草食動物とは大きく異なっていました。また、この人骨には高度の窒素同位体数値が認められましたが、それが示... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/08/28 06:42
アウストラロピテクス属の肉食?
 アウストラロピテクス=アフリカヌスの肉食について論じた研究(D'Anastasio et al., 2009)が公表されました。南アフリカのスタークフォンテイン遺跡で発見されたアウストラロピテクス=アフリカヌス(Stw431)人骨に変形性脊椎症が認められことは以前から指摘されており、それは外傷のためだと推測されていました。しかしこの研究では、変形性脊椎症に見えるのは、伝染性の病気ブルセラ症の最初の段階による病理学的変化ではないか、と指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/08/27 00:00
ネアンデルタール人の特徴をもつ上部旧石器時代の人骨についての解釈
 ネアンデルタール人の特徴をもつ、フランス南西部にあるラロア遺跡の上部旧石器時代の人骨についての研究(Rozzi et al., 2009)が報道されました。ラロア遺跡ではオーリニャック文化(オーリナシアン)層が認められ、その年代は放射性炭素法により30000〜28000年前と推定されました。このオーリナシアン層からは人骨も出土していますが、その特徴はたいへん興味深いものでした。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/08/01 00:00
人類史における交雑の可能性について
 ホモ=サピエンス(現生人類)と、ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)やホモ=エレクトスなど他のホモ属との交雑の可能性について検証した研究(Wall et al., 2009)が公表されました。まだ要約しか読んでいないので、全文を読めるようになったら、熟読する必要がありそうですが、とりあえず、ジョン=ホークス博士のブログの記事も参考にしつつ、備忘録的にこの問題について述べていくことにします。さらに、現生人類の起源と遺伝学の問題について、雑感を述べます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/07/28 00:00
ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの多様性
 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のミトコンドリアDNAの配列を復元し、ネアンデルタール人の人口規模について示唆した研究(Briggs et al., 2009)が公表されました。ネアンデルタール人のDNA研究を制限してきたのは、標本数の少なさとDNAの損傷状態でした。この研究では、標本の破壊を大幅に減少し、特定領域の選択的な塩基配列を決定する新たな方法が用いられ、5人のネアンデルタール人のほぼ完全なミトコンドリアDNAの塩基配列が復元されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/07/18 00:00
スティルベイとハウイソンズ=プールトの年代
 アフリカ南部の中期石器時代のスティルベイ文化とハウイソンズ=プールト文化の年代についての研究(Tribolo et al., 2009)が公表されました。スティルベイとハウイソンズ=プールトは、中期石器時代において「現代的行動」の見られる文化の代表例として、「現代的行動」の起源をめぐる論争で注目されてきました。この研究では、じゅうらいの研究では、80000〜70000年前とされてきたスティルベイと、80000〜50000年前とされてきたハウイソンズ=プールトの年代の見直しが提言されています。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/07/10 07:24
トルコにおける早期上部旧石器時代
 トルコのÜçağızlı洞窟における発掘成果についての研究(Kuhn et al., 2009)が公表されました。Üçağızlı洞窟では、1999年から2005年にかけて発掘が行なわれ、早期上部旧石器時代の層で、脊椎動物の骨や、石器・装飾品などの人工遺物が出土しました。この早期上部旧石器時代の層は、放射性炭素年代でおよそ41000〜29000年前(未較正)となります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/07/07 00:00
石器時代の接着剤?
 中期石器時代に接着剤が精製されていた可能性と、当時の人類の知的能力について論じた研究(Wadley et al., 2009)が報道されました。中期石器時代のアフリカ南部では、植物の樹液を混ぜた赤いオーカーから作られた高性能の合成接着剤が用いられていて、このような複雑なものを作るには抽象的思考が必要だったのではないか、とこの研究では示唆されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/07/05 00:00
アフリカ人の祖先と多様性
 アフリカ人の祖先とその多様性についての研究(Tishkoff et al., 2009)が公表されました。この研究では、アフリカ人・アフリカ系アメリカ人・非アフリカ人の遺伝的多様性が比較されました。その結果、現代アフリカ人は14の祖先集団から進化し、それは文化・言語的分類と合致していたことが分かりました。また、ほとんどの集団には高水準の混合が認められ、アフリカ大陸で移住が繰り返されたことを反映している、と考えられます。アフリカ系アメリカ人は、アフリカ西部のニジェール−コルドファン語族(〜71%... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/07/03 00:00
竜骨坡化石の見直し
 人類とされてきた竜骨坡化石の見直しを提言した見解(Ciochon., 2009)が報道されました。重慶市巫山県竜骨坡遺跡で1985年に発見された顎と歯の化石は、『ネイチャー』での論文(Wanpo., 1995)にて人類のものとされ、議論となりました。この論文の筆者の一人であるラッセル=ショホーン博士は、竜骨坡化石はホモ=ハビリス(ハビリスをアウストラロピテクス属とする見解もあります)であり、エレクトスは通説で言われているようにアフリカで進化してアジアに進出したのではなく、東アジアで進化して西方... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/07/01 00:00
世界最古の土器?
 中国湖南省道県の玉蟾岩洞窟で発見された土器の年代についての研究(Boaretto et al., 2009)が公表されました。玉蟾岩洞窟は後期更新世の遺跡で、石器・骨器・貝製の道具といった人工物の他に、多量の灰、鹿・猪・鳥・亀・魚などの動物骨が大量に発見されています。玉蟾岩洞窟でとくに注目されるのは、土器が発見されていることで、土器の起源をめぐる議論において、より確実な年代の特定が求められています。なお、以下の年代はすべて較正されたものです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/06/30 00:00
周口店遺跡の再発掘始まる
 第二次大戦前にエレクトスの骨が発見されたことで有名な北京市の周口店遺跡で、6月24日から大規模な発掘調査が始まった、と報道されました。第二次大戦後では初の本格的な発掘調査になるとのことですが、周口店遺跡が発掘された当時と比較すると、発掘・管理・保存・分析技術がかなり向上しているだけに、発掘成果が大いに期待されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/06/26 00:00
アメリカ大陸最古の芸術?
 フロリダ半島中部で発見された動物骨にマンモスが描かれていた、との見解が報道されました。この骨は、マンモス・マストドン・大型ナマケモノのいずれかの骨の一部で、その動物の死後すぐに描かれたものだ、と推定されています。これら3種の大型動物は氷河時代末期に絶滅しましたから、この線描画は1万年以上前のもの、ということになります。この時期以前に類例がないことから、アメリカ大陸最初の芸術の芽生え、との評価もなされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/06/23 00:00
現代的行動の起源にかんする2つの研究
 戦争と利他的行動に関する研究(Bowles., 2009)と、現代的行動の起源に関する研究(Powell et al., 2009)、およびこの2つの研究を概観した記事(Mace., 2009)が公表されました。戦争と利他的行動に関する研究(Bowles., 2009)では、人間の社会的行動の発展の事例として重視されてきた戦争について、利他主義との関係から、説明されています。人間集団間の争いに関する理論モデルや、後期更新世・初期完新世の死因に関する考古学的証拠も使用されて得られた結論は、利他主... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/06/09 06:52
河合信和『人類進化99の謎』
 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2009年に刊行されました。古人類学に関する河合氏の最新の著書ということで、迷うことなく購入しました。河合氏の2年前の著書『ホモ・サピエンスの誕生』と比較すると、敷居が低くなっているな、と思いました。しかし、見開き2ページでのQ&A形式を採用しているため、人類史についての体系的な知識を得るには不向きで、あるていど古人類学についての知識がある人を対象にしているかな、と思います。とはいえ、全体的に本書はたいへんわかりやすく、あるていど人類史の流れをつかんでいる人... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/06/05 06:52
文化の遺伝的制約
 文化の遺伝的制約についての研究(Fehérk et al., 2009)が公表されました。この研究では、文化の遺伝的起源を調べるため、他集団のさえずりを聞いたことがないキンカチョウからなる孤立したコロニーで、社会的学習の行われるさえずりの確立について調べられました。その結果、コロニーの創始者となった複数の個体は、成長中に手本となるさえずりを一度も聞かされなかったため、野生型と著しく異なるさえずりをしましたが、3〜4世代のうちに、手本からの学習により獲得した歌は野生型のものに近づきまし... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/05/29 06:30
2009年度米国自然人類学会総会
 今年の4月1日〜4月4日にかけて、米国のシカゴで第78回米国自然人類学会総会開催されました。米国自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私も、大いに注目しています。総会での報告の概要も公表されているのですが、どのような報告がなされたのか、まだほとんど把握できていません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/05/27 21:01
世界最古の女性像?
 ドイツ南西部のホーレフェルス洞窟で発見された女性像が、世界最古のものである可能性を指摘した研究(Conard., 2009)が報道されました。ドイツ南西部にあるホーレフェルス洞窟のオーリニャック文化(オーリナシアン)層の最下部で発見された女性小立像は、女性的特徴が強調されており、暦年代で35000年前の製作と推定されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/05/15 00:00
足の分析と島嶼化の研究から支持されるLB1新種説
 LB1の足についての研究(Jungers et al., 2009)と、絶滅した小型カバの分析から、じゅうらい言われてきた島嶼化の法則の見直しについて論じた研究(Weston, and Lister., 2009)が報道されました。この2つの研究はともに、LB1が病変の現生人類ではなく、新種の人類ホモ=フロレシエンシスだとする見解を支持しています。この2つの研究が掲載された今週号の『ネイチャー』の表紙は、LB1の骨格です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/05/08 00:01
更新世中期における障害児の養育
 更新世中期における障害児を分析した研究(Haak et al., 2009)が報道されました。スペインのアタプエルカにあるシマ=デ=ロス=ウエソス遺跡で発見された10歳くらいの子供の人骨には、頭蓋縫合早期癒合症という障害が見られました。これは、頭蓋を構成する複数の骨が早期に癒合し、脳の発達が妨げられてしまう障害です。この子供は、誕生前よりこの障害を患っており、顔面の非対称性も、この障害に関連しており、認識障害もあったのではないか、と考えられます。この子供の障害はたいへん深刻なものでした。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/05/02 01:33
古人類学の記事のまとめ(7)2009年1月〜2009年4月
 2008年12月26日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して 古人類学の記事のまとめ(6) http://sicambre.at.webry.info/200812/article_26.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.we... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2009/05/01 00:52
ネアンデルタール人の分類
 ネアンデルタール人はいくつかの地域的集団に分類される、とした研究(Fabre et al., 2009)が報道されました。この研究では、諸データに基づいた生物情報学的方法論が用いられて、さまざまな可能性が検証されました。その結果、ネアンデルタール人を西部・東部・南部(地中海沿岸)の3集団に分類するのがもっとも妥当だろう、との結論が得られました。これは、ネアンデルタール人には多様性が認められ、複数の集団に分類されるのではないか、としてきた古人類学のこれまでの研究と合致していると言えます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/04/28 06:08
LB1の全身骨格の公開
 LB1の全身骨格の復元がはじめて公開されたことが報道されました。比較のために、現代人の骨格が横に並べられていますが、改めてLB1の小ささを実感します。LB1はインドネシア領フローレス島の更新世末期の地層から発見された人骨で、この地層から発見された他の人骨群も含めてホモ属の新たな種フロレシエンシスと分類する場合、LB1はその正基準標本とされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/04/25 00:00
12万年前の急速な海面上昇?
 サンゴ礁化石の分析から、12万年前頃の海水面の上昇を示唆した研究(Blanchon et al., 2009)が報道されました。メキシコにある大幅に露出したサンゴ礁化石から得られた証拠より、サンゴ礁段丘の発達・浸食表面と海水準変動についての詳細な描像が得られました。ウラニウム系列による正確な年代測定と層序学的分析との組み合わせ、さらにはさまざまな場所でのサンゴ礁年代との比較も加えると、12万1000年前頃に海面が2〜3メートル急激に上昇したことが示唆されました。これは、最終間氷期の末期の氷床が... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/04/18 13:43
上部旧石器時代のスペイン北部における食資源
 上部旧石器時代のスペイン北部における、食資源としての魚について論じた研究(Adán et al., 2009)が公表されました。この研究によると、北部スペインでは、上部旧石器時代にサケ科の魚を一定のパターンで利用していた可能性が高いことが分かったそうです。この研究では、最終最大氷期という人類にとって暮らしにくい環境下で、食資源としての魚(サケ科)の利用が進展した可能性が指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/04/17 00:00
人類最古の毛髪?
 人類最古の毛髪についての研究(Backwell et al., 2009)が報道されました。これまで発見されたなかで最古の人類の毛髪は、9000年前の南アメリカのミイラのものでした。この研究では、南アフリカのグラディスヴェイル洞窟で出土したカッショクハイエナ(Parahyaena brunnea)の排泄物の化石のなかに、人類のものと思われる毛髪が見つかり、その年代は257000〜195000年前頃だとされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/04/16 00:00
ビタミンAの過剰摂取の危険性
 4月4日付の読売新聞に、ビタミンAの過剰摂取の危険性を指摘する見解が掲載されていましたが、古人類学に関心のある人のなかには、河合信和『ネアンデルタール人と現代人』(文藝春秋社、1999年)などを読んで、人類が古くからビタミンAの過剰摂取により命を落としていたことを知っているかもしれません。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/04/07 00:18
中部旧石器時代における現代的行動
 中部旧石器時代における現代的行動について検証した研究(Bar-Yosef Mayer et al., 2009)が公表されました。この研究で取り上げられているのは、現生人類・現代的行動の起源について論じるさいに、ほぼ必ずといってよいほど言及されるイスラエルのカフゼー洞窟です。カフゼー洞窟では、「墓」に埋葬された解剖学的現代人の骨とともに、炉床・糸状のものが通されて数珠繋ぎのようになっていたと思われる穴の開いた貝殻・動物骨・赤いオーカーの塊が発見されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/03/21 00:00
アフリカ南部における初期アシュール文化の年代
 アフリカ南部における初期アシューリアン(アシュール文化)の年代を検証した研究(Gibbon et al., 2009)が公表されました。この研究では、南アフリカで発見された、粗礫と砂との結合した層に分布する初期アシューリアン石器の堆積層の年代が、最近開発されたアルミニウム26・ベリリウム10法により測定されました。その結果は、189±19万年前頃から134±22万年前頃となり、粗礫と砂との累重は157±22万年前頃に起きた、と推定されました。これは、アフリカ南部における初期アシューリアンの確か... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/03/20 00:00
エレクトスの適応力
 北京市房山区周口店で発見されたエレクトス化石の年代を再検証し、エレクトスの適応力について推測した研究(Shen et al., 2009)が報道されました。この研究では、エレクトス化石が発見された地層の年代が、アルミニウム-26とベリリウム-10に基づく新たな年代測定法により再検証されました。その結果、人工物も出土している下層の文化層7〜10の年代は、77万±8万年前頃と推測されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/03/13 06:46
現生人類の起源と大学入試
 今年の東京大学の入試問題(前期・生物の第3問)にて、現生人類の起源についての遺伝学的な研究が取り上げられたそうです。この問題は、現生人類の起源の研究においてなぜミトコンドリアDNAが用いられるのか、基礎から理解する手がかりになるという意味で、古人類学に関心のある私からみると、なかなかの良問だと思います。もっとも、私は現在の高校生物の内容を把握しているわけではないので、その観点からは、あるいは不適切な問題になるのかもしれませんが。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/03/05 00:01
クローヴィス人はラクダを狩っていた?
 北米のクローヴィス文化の担い手たちはラクダを狩っていたのではないか、との見解が報道されました。アメリカ合衆国西部のコロラド州ボルダー付近で2008年5月に発見された石刃石器群には、血痕が残っていました。この分析の結果、クローヴィス文化の担い手たちはアメリカラクダを狩っていたのではないか、と推測されました。アメリカラクダはその後絶滅し、現存していません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/03/04 07:20
最初に埋葬を行なった旧人?
 今年の慶應義塾大学文学部入試の世界史科目において、ネアンデルタール人に関する問題が出題されたようです(第4問)。 http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/keio/bun/index.html ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/03/03 06:36
150万年前頃の人類の足跡
 150万年前頃の人類の足跡についての研究(Bennett et al., 2009)が報道されました。ケニアのイレレットで発見された150万年前頃の人類の足跡から、この足跡を残した人類には、アーチ構造・母趾が他の指と直線を成していること・踵から母指球や母趾へと体重を移動させるさいの歩き方などから、現生人類の歩行形態のあらゆる特徴が表れていた、と解釈されました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/02/28 00:00
調理と人類の進化
 調理と人類の進化についての研究が報道されました。調理により人類は効率的にエネルギーを得られるようになり、柔らかくして食べることができるようになったため、顎など咀嚼に関係する骨格部分が華奢になることが可能だった、とされます。この研究でも、そうした点が改めて指摘されています。確かにこの報道でも指摘されているように、人類が他の類人猿よりも生存面で有利にたった理由の一つに、調理があるとは言えるでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/02/18 06:32
ネアンデルタール人のゲノム解読
 2006年に始まったネアンデルタール人のゲノム解読は現在も進行中ですが、そのドラフトゲノム解析が完了したことが、ナショナルジオグラフィックやBBCなどで報道されました。まだ最初のドラフト版ですが、古人類学界で注目の高い、ネアンデルタール人と現生人類との交雑(混血)の問題についても、興味深い指摘があります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/02/14 00:00
更新世人類の遺伝的多様性の低さ
 更新世人類の遺伝的多様性の低さについて論じた研究(Premo, and Hublin., 2009)が公表されました。まだ要約しか読んでいないのですが、この研究に疑問が残ります。しかし、重要な提言でもあるように思われます。半年後に全文を無料で読めるようになってから、精読して検討すべきなのでしょうが、とりあえず備忘録的に少しだけ雑感を述べることにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/02/11 00:01
「ネアンデルタール人の謎〜最新報告・ゲノム解読の試み〜」補足
 NHKのBSハイビジョンで放送されたこの番組については、今年2月1日分の記事で取り上げました。この番組について言及したブログの記事を読んで、コメントしようと思ったのですが、エラーによりコメントできなかったので、ブログの記事とし、トラックバックを送ることにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/02/09 06:22
「言葉の誕生〜私たちはいかにして人間になったのか〜」
 NHKのBSハイビジョン『フロンティア』の『シリーズ人類史への正体』で放送された、2008年にNHKとフランスで制作された番組です。言語の起源を現生人類(ホモ=サピエンス)からとする見解にたいして、この番組ではネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)にも言語能力があった可能性が高いとする見解も示され、身振り説や歌説などさまざまな観点から言語の起源が探られていきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/02/05 00:01
「文明社会の夜明け〜ホモ・サピエンス はるかなる旅〜」
 NHKのBSハイビジョン『フロンティア』の『シリーズ人類史への正体』で放送された番組です。ドラマ仕立てで番組は進行していきますが、初期定住社会と移動型社会との関係について、やや図式的にすぎるというか、単純化されているのではないか、との疑念が残ります。また、定住社会以前にすでに交易が存在した可能性が高いことを考えると、交換という概念を非定住者が理解できていなかったかのような描写には疑問の残るところです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/02/04 00:01
「ホモ・サピエンス物語〜はるかなる20万年の旅〜」
 NHKのBSハイビジョン『フロンティア』の『シリーズ人類史への正体』で放送された、2005年にフランスで制作された番組です。全編ドラマ仕立てだったのは意外でした。そのドラマが、最新の研究成果を盛り込んで、ホモ=サピエンス(現生人類)の世界への拡散がなぜ可能だったのか、という視点から描かれたものならよかったのですが、現生人類の「優秀さ」を散発的に描いた散漫な物語といった感があり、期待外れに終わったのは残念でした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/02/03 06:38
「ネアンデルタール人の謎〜最新報告・ゲノム解読の試み〜」
 NHKのBSハイビジョン『フロンティア』の『シリーズ人類史への正体』で放送された、2008年にイギリスで制作された番組です。全体的に、近年のネアンデルタール人見直し論の影響が強く、ネアンデルタール人と現生人類との類似性が強調されています。紹介された学説史はかなり単純化された感はありますが、一般向けのテレビ番組では、これは仕方のないところでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/02/01 07:29
「人類誕生の謎に迫る〜最古の化石 トゥーマイの物語〜」
 NHKのBSハイビジョン『フロンティア』の『シリーズ人類史への正体』で放送された番組です。最古の人類候補とされるサヘラントロプス=チャデンシスの形態・生活環境について、研究者たちへのインタビューも交えながら、ドラマ仕立てで番組が進行していきます。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/01/31 07:09
初期現生人類の出アフリカと気候変化
 初期現生人類の出アフリカと気候変化との関係について論じた研究(Carto et al., 2009)が公表されました。2つの気候モデルシミュレーションから、インリッヒ=イベントとアフリカの気候との関連が追及され、アフリカの乾燥化とそれに伴う植生の変化により、初期現生人類にとって適した居住域の減少が、現生人類に出アフリカを強制したのではないか、とされます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/01/29 06:43
太平洋への人類の拡散
 ピロリ菌のDNAの塩基配列と言語系統樹との比較から、太平洋への人類の拡散の様相を推定した2つの研究(Moodley et al., 2009、Gray et al., 2009)が公表されました。ピロリ菌(ヘリコバクター=ピロリ)のDNAの塩基配列を比較した研究(Moodley et al., 2009)では、台湾とオーストラリアの先住民・ニューギニアの高地人・ニューカレドニアのメラネシア人とポリネシア人から、ピロリ菌の標本が採取されました。ピロリ菌は人間特有の細菌なので、宿主である人間ととも... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 3

2009/01/25 07:31
現生人類の進化と環境
 現生人類の進化を、アフリカ東部の環境変化と関連づけて考察した研究(Basell., 2008)を見つけましたが、要約だけを読んでも、どのような結論なのかよく分からないので、国会図書館で全文を印刷する必要があるようです。このブログは備忘録的性格の強いものだと私は位置づけていますので、この研究については、とりあえず一つの記事として掲載しておきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/01/14 00:01
ネアンデルタール人の絶滅要因
 ネアンデルタール人の絶滅要因についての研究(Banks et al., 2008)が報道されました。ネアンデルタール人絶滅の要因として、それほど単純に区分できるわけでもないのですが、気候変動説と現生人類との競争説が提唱されており、議論が続いています。この研究では、考古学的データと古気候データとが統合され、「環境・文化的適所モデル」が用いられて、ネアンデルタール人絶滅の要因が推測されています。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/01/13 06:47
更新世末期の天体衝突?
 更新世末期の地球外物体の衝突が、ヤンガードリアスや大型動物絶滅の要因になったのではないか、と指摘した研究(Kennett et al., 2008)が報道されました。この研究では、北米大陸の更新世末期の堆積層で確認された大量のナノダイヤモンドは、彗星などの地球外物体の衝突という高エネルギー環境下で生成されたと考えるのが妥当だとされ、この衝突と、温暖化しつつあった更新世末期における寒の戻りであるヤンガードリアス期や、大型動物絶滅・クローヴィス文化の消滅が関係しているのではないか、とされています。... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/01/10 00:00
東アジアの初期ホモ属
 東アジアの初期ホモ属の年代を推定した研究(Zhu et al., 2008)が公表されました。中国雲南省元謀で発見された人骨の年代をめぐっては、170万年前説と60〜50万年前説とが対立していますが、この研究では、古地磁気層序学を用いて、かなり正確な年代測定がなされた結果、元謀の人類骨と石器の年代は、170万年前頃と推測される、と主張されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/01/07 00:00
エレクトスの生息環境の変容
 初期エレクトスが到達したジャワの気候が、どのように変化していったのか、ということを論じた研究(Bettis et al., 2009)が公表されました。初期エレクトスがジャワに到達した年代については、人骨の発見された経緯に不明な点が多いこともあり、色々と議論のあるところですが、その年代は遅くとも100万年前頃になり、早ければ180万年前頃にまでさかのぼる、とされています。ともかく、エレクトスは初期更新世の頃にはジャワに到達していたようです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2009/01/06 00:01
現生人類の出アフリカ時の性比
 現生人類の出アフリカ時の遺伝的構成についての研究(Keinan et al., 2009)が報道されました。この研究では、アフリカ・北ヨーロッパ・東アジアの各現代人集団のX染色体と常染色体が比較されました。その結果、現生人類のアフリカからの拡散の頃に、性比が平均的で自然選択が大きな影響を及ぼさなかった場合の期待値と比較して、X染色体はより多くの遺伝的浮動を経験した、と推測されました。一方、東アジアとヨーロッパへの拡散のさいには類似したパターンはなかった、と推測されました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/01/04 12:56
古人類学の記事のまとめ(6)2008年11月〜2008年12月
 2008年7月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(5) http://sicambre.at.webry.info/200811/article_3.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.i... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 10 / コメント 0

2008/12/26 06:27
2008年の古人類学界
 あくまでも私の関心に基づいたものですが、今年の古人類学の動向で注目したのは、以下の2つになります。 (1)進むネアンデルタール人の「復権」。 (2)今年前半に相次いで提示された、フロレシエンシス新種説への疑問。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/12/25 00:03
イベリア南東部でのサピエンスとネアンデルタールの接触
 イベリア南東部でのサピエンスとネアンデルタールの接触の可能性について論じた研究(Walker et al., 2008)が報道されました。この研究では、イベリア南東部のシマ=デ=ラス=パラモスで発見されたネアンデルタール人骨が分析されました。その結果、下顎や歯の形態において、初期ネアンデルタール人やイベリアよりも北方の地域にいたネアンデルタール人には稀であるか存在しない特徴が、パラモスのネアンデルタール人には見られました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/12/24 08:14
LB1の分類
 インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された人骨である、LB1の分類について論じた研究(Martinez, and Hamsici., 2008)が公表されました。LB1は、これをホモ属の新種フロレシエンシスとする見解においては、フロレシエンシスの正基準標本とされています。しかし、LB1は病変の現生人類だとする見解もあり、論争が続いています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/12/19 06:48
『先史時代と心の進化』
 コリン=レンフルー著、溝口孝司監訳、小林朋則訳で、ランダムハウス講談社より2008年に刊行されました。原書の刊行は2007年です。ホモ=サピエンス・パラドックスの解明を主要な問題意識として、認知考古学の立場から人類史を概観した一冊です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/12/18 00:00
さかのぼる現生人類の起源?
 以前に発見されていた中期石器文化の石器の年代を特定した研究(Morgan, and Renne., 2008)が報道されました。この研究では、1970年代にエチオピアのこのガデモッタ遺跡で発見された石器の年代が、火山灰層をアルゴン・アルゴン法で分析することにより特定されました。その結果、中期石器文化的な石器が、すくなくとも276000年前までさかのぼることが分かりました。これは、他の中期石器文化よりも古い年代であり、最古の中期石器文化の出現は、現在のところ最古のホモ=サピエンス(現生人類)化石... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/12/09 07:01
下部旧石器時代の石器と、人類の先見性・計画性
 下部旧石器時代の遺跡として知られている、イスラエルのジスル=バノト=ヤコブの石器の分析から、当時の人類の行動と先見性・計画性を指摘した研究(Goren-Inbar et al., 2008)が公表されました。この研究で注目された石器は、ジスル=バノト=ヤコブ遺跡のアシューリアン(アシュール文化)大型削器です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/26 00:00
12000年前のシャーマン?
 レヴァント南部のヒラゾン=タクティット洞窟遺跡(イスラエル北部)で発見された女性人骨は、現時では世界最古のシャーマンと考えられる、と論じた研究(Grosman et al., 2008)が報道されました。この遺跡は、定住の開始・採集から農耕生活様式への変化と関連する、明白な社会経済的変化が進行していたナトゥーフ文化(ナトゥーフィアン、15000〜11500年前)期のもので、年代は12000年前頃とされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/22 00:00
ジャワのエレクトスの頭蓋の進化
 ジャワのホモ=エレクトスの頭蓋の進化を検証した研究(Kaifu et al., 2008)が公表されました。この研究では、ジャワのサン=ギラン、トリニール、サンブンマチャン、ンガンドンから出土した18の成人頭蓋が分析されました。最近の研究は、ジャワのエレクトスが原始的特徴を維持してきたことを強調する傾向にあるのですが、この研究ではジャワのエレクトスの特殊化が指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/18 06:22
『類人猿を直立させた小さな骨―人類進化の謎を解く』
 アーロン=G=フィラー著、日向やよい訳で、東洋経済新報社より2008年に刊行されました。昨年10月13日分の記事で取り上げた論文(Filler.,2007)の著者である、フィラー博士による一般向けの単行本です。直立二足歩行の起源は2000万年以上前までさかのぼる、とするフィラー博士の見解は衝撃的だったのですが、私の学識ではじゅうぶん理解できたとは言いがたいだけに、フィラー博士の見解への理解を深めるには最適の一冊だと思い、迷うことなく読んでみました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/16 00:01
エレクトスの骨盤の大きさの見直し
 エチオピアのゴナで新たに発見された、120万年前頃のホモ=エレクトスのほぼ完全な成人女性骨盤の分析から、エレクトスの骨盤はじゅうらい考えられていたよりも30%以上も大きく、エレクトスの成長速度も見直す必要があるのではないか、と論じた研究(Simpson et al., 2008)が公表されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/11/15 00:00
ケニア北部のカペド=タフス遺跡の年代と石器技術
 エチオピア南部とケニア北部では、最古とされるホモ=サピエンスの化石と、最古とされる中期石器時代の遺跡が報告されており、初期現生人類の進化と文化を探るうえで、重要な地域と言えるでしょう。最近刊行された研究(Tryon et al., 2008)では、ケニア北部のカペド=タフス遺跡の年代推定と、隣接地域の遺跡との比較がなされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/14 00:00
人類のミトコンドリアDNAの変異率
 人類のミトコンドリアDNAの変異率について論じた研究(Zhang et al., 2009)が公表されました。正直なところ、私の学識ではじゅうぶんに理解できたとは言いがたいので、今後精読する必要があるとは思いますが、とりあえず、現在自分が理解している範囲内で、ごく簡単にこの研究の主張を述べていきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/12 00:00
人類による火の使用の起源
 人類による火の使用を論じた研究(Jacobs et al., 2008)が報道されました。イスラエルのジスル=バノト=ヤコブ遺跡は、レヴァントにおける重要なアシューリアン(アシュール文化)遺跡の一つです。この研究では、前期更新世〜中期初期更新世の遺跡であるジスル=バノト=ヤコブにおいて、燧石(フリント)の石器の焼かれたものと、そうではないものとの分布状況が調べられました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/11 06:30
アフリカにおける現代的行動の開始の要因
 アフリカにおける現代的行動の開始の要因を論じた研究(Jacobs et al., 2008)が報道されました。こうした現代的行動の始まりが現生人類拡散の要因だとの見解もありますが、一方で、気候変動をその要因とする見解もあります。この研究では、アフリカ南部におけるスティル=ベイ文化とハウイソンズ=プールト文化の9つの遺跡の石器が、光ルミネッセンス年代測定法によって分析されました。9つの遺跡のある場所の環境は一様ではなく、さまざまな気候・生態の地域に分布しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/05 00:00
古人類学の記事のまとめ(5)2008年7月〜2008年10月
 2008年7月1日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(4) http://sicambre.at.webry.info/200807/article_1.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.i... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 11 / コメント 0

2008/11/03 06:46
現生人類の出アフリカの経路
 現生人類の出アフリカの経路について論じた研究(Osborne et al., 2008)が報道されました。現在のところ、アフリカ以外における確実な現生人類骨の最古のものは、レヴァントで出土しています。こうしたことから、初期現生人類の最初の出アフリカの経路としては、ナイル川沿いを北上したという説が有力視されています。しかしこの研究では、初期現生人類の出アフリカの経路としては、宇宙からのレーダー画像により確認された、かつて中央サハラから地中海へと北上した河川沿いのほうが有力なのではないか、と指摘さ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/10/23 00:00
世界最古の火葬場跡
 世界最古の火葬場跡がシリア北西部で発見された、と報道されました。この報道でも触れられているように、火葬の痕跡は更新世のオーストラリアにまでさかのぼるとされていますが、明らかな火葬場としては、現時点ではこのテル=エル=ケルク遺跡が最古のものということになりそうです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/22 00:00
ネアンデルタール人の鼻の大きさについての説明
 ネアンデルタール人の鼻の大きさについて、じゅうらいの説を見直した研究(Holton, and Franciscus., 2008)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。この研究では、ネアンデルタール人も含む更新世の人類(ユーラシアとアフリカ)とともに、多数の現代人(バンツー族と西欧人)も分析対象とされました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/21 00:00
犬の家畜化は3万年前までさかのぼる?
 犬の家畜化について論じた研究(Germonpré et al., 2008)が公表されました。まだ要約も読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。じゅうらい、家畜化された最古のイヌ科は、ロシアで発見された14000年前のものとされていました(確実視されていないものも含めると、さらに古くなる可能性もあります)。しかしこの研究では、ベルギー・ウクライナ・ロシアの遺跡で発見された、先史時代の117のイヌ科の形態分析・年代測定・同位体分析の結果、イヌ科の家畜化は3170... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/20 00:00
ボノボによるチンパンジーの狩猟?
 ボノボ(Pan paniscus、ピグミーチンパンジー)がチンパンジー(Pan troglodytes)を狩って食べることが判明した、と報道されました。この報道によると、ボノボがチンパンジーを狩ってその肉を食す例が確認された、とのことです。しかし、ボノボとチンパンジーがそれほど近接して暮らしているのだろうか、と疑問に思っていたところ、あるブログの記事で、この報道が間違いであることと、この報道の情報源となった研究(Surbeck, and Hohmann., 2008)とを知りました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/19 00:03
ホモ属最古の足跡の年代の再測定
 イタリア南部の火山灰層で発見された、ホモ属最古とされる足跡の年代を見直した研究(Scaillet et al., 2008)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。以前の研究(Mietto et al., 2003)では、カリウム・アルゴン法により、この足跡の年代は385000〜325000年前頃とされましたが、この新たな研究では、より精度の高いアルゴン・アルゴン法が用いられ、345000±6000年前頃と推測されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/16 00:04
「ネアンデルタール人その絶滅の謎」『ナショナルジオグラフィック(日本版)』10月号
 今年9月20日分の記事にて、ネアンデルタール人女性の復元像を紹介しましたが、『ナショナルジオグラフィック(日本版)』10月号の特集記事「ネアンデルタール人その絶滅の謎」にて、その復元像が掲載されています。顔だけではなく全身が紹介されていて、上腕から背中にかけて顔料を塗ったネアンデルタール人女性が槍を構えた全身像が掲載されています。この復元像の作者は、オランダ人の双子の兄弟とのことで、写真を見ると、どうも一卵性双生児のようです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/15 00:00
ミトコンドリアDNA分析による初期現生人類の人口規模の復元
 ミトコンドリアDNAの分析により、初期現生人類の人口規模を復元した研究(Atkinson et al., 2008)が公表されました。この研究では、224人の完全なミトコンドリアDNA配列の分析から、アフリカにおける初期現生人類集団の人口規模の推移が推定されています。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/10/14 06:36
ウルツォ文化と中部旧石器〜上部旧石器時代への移行
 ウルツォ文化(ウルツィアン)と中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行、およびウルツィアンの担い手であるネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)について論じた2つの研究(Peresani., 2008A、Peresani et al., 2008B)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、そのうちの一つの研究(Peresani., 2008A)はブログの記事で概要を知ることができました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/13 00:00
南米最古の人類の痕跡?
 南米の遺跡の年代を再測定した研究(Steele J and Politis G., 2008)が公表されました。まだ要約も読んでいない状態なのですが、ブログの記事で概要を知ることができました。この研究では、アルゼンチンとチリの遺跡の、炭や動物の遺骸の年代が再測定されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/12 00:01
フィリップ=カー『エサウ 封印された神の子』
 東江一紀・後藤由季子訳で、徳間書店より1998年に刊行された小説です。カバーの紹介文は、次の通りです(青字の箇所)。 ヒマラヤの秘峰で発見された原人の頭蓋骨。旧約聖書の人物にちなんで「エサウ」と名づけられたその化石は、ヒトの起源を根底からくつがえすものだった。世界的登山家ジャック・ファーニスと古人類学者ステラ・スウィフトの一行は、エサウの正体を求め、人類の過去を探る旅に出かける。しかし、彼らがヒマラヤで見つけたものは、人類の未来を脅かす恐ろしい秘密だった。ヒマラヤの秘境で彼らは、人類の恐るべ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2008/10/10 00:00
ネアンデルタール人が現在も生存していたら、どのような問題が生じるのか
 世界各地で目撃された(ということになっている)「雪男」や「ビッグフット」などは、じつはネアンデルタール人や北京原人などの生き残りではないか、との噂があり、小説の題材になることもあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/09 06:39
石刃は効率的だったのか?
 (大型)石刃は現生人類(ホモ=サピエンス)特有のものと長らく考えられてきており(細石刃の出現は大型石刃よりも後のことです)、その効率性の高さは、現生人類の優れた認識能力を示すものと解釈されてきました。現在では、石刃が確認されているシャテルペロニアン(シャテルペロン文化)がネアンデルタール人の所産とされているので、石刃技法を現生人類のみの所産とする見解は否定されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/10/05 13:32
酪農の起源
 酪農の起源を論じた研究(Evershed RP et al.,2008)が公表されました。家畜を殺すことにより、その肉・内臓・毛皮などを人間は得ることができますが、乳・牽引力などは、家畜を殺さなくても人間が利用できます。このような家畜の「二次的」利用が、家畜の利用から間もなくのことだったのか、それとも家畜の利用から数千年後のことだったのか、議論が続いています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/09/27 06:25
ネアンデルタール人による海産資源の利用
 ネアンデルタール人による海産資源の利用を論じた研究(Stringer et al.,2008)が公表されました。この研究では、ジブラルタルにあるヴァンガードとゴルハムの両洞窟遺跡における発見から、ネアンデルタール人による海産資源の利用が論じられています。ヴァンガード洞窟での発掘からは、ネアンデルタール人が軟体動物・アザラシ・イルカ・魚を食していたと考えられ、ゴルハム洞窟の中部および上部旧石器文化層でも、海産獣類が確認されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/09/26 07:01
有能な狩猟者としてのネアンデルタール人
 現生人類アフリカ単一起源説が優勢となって以降、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)との違いを強調する見解が目立つようになりましたが、近年になって、そうした傾向は行き過ぎており、ネアンデルタール人を過小評価していたのではないかとして、ネアンデルタール人見直し論とも言うべき動きが強まっているように思われます。そうした状況のなか、ネアンデルタール人見直し論の動きについてまとめた見解が報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/09/21 07:04
ネアンデルタール人の顔の復元
 ネアンデルタール人の顔はこれまでいくども復元されていますが、ネアンデルタール人骨のDNA分析に基づいた、ネアンデルタール人女性の顔の復元図が報道されました。ネアンデルタール人のDNAの分析から、ネアンデルタール人の肌の色は薄く、赤毛か金髪だったのではないか、と推測されていますが(関連記事)、そうした研究成果も取り入れた、ひじょうに興味深い復元図になっています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2008/09/20 00:00
ネアンデルタール人の成長速度、および脳の大きさと生活史との関係
 脳の大きさから、ネアンデルタール人と現代人との成長速度を比較し、脳の大きさと生活史との関係について論じた研究(Ponce de León et al.,2008)が報道されました。この研究では、ネアンデルタール人骨のうち、クリミアのメズマイスカヤ洞窟出土の新生児と、シリアのデデリエ洞窟出土の幼児と、1930年代に発見された成人女性がコンピュータ上で仮想復元され、現代人と比較されました。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 9 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/09/12 07:00
更新世のサフル大陸における「現代的行動」の問題
 更新世におけるサフル大陸(寒冷な時期には海水面が低下し、オーストラリアとパプアニューギニアとタスマニアは陸続きとなり、サフル大陸と呼ばれています)への人類の移住と、「現代的行動」との関係について論じた研究(Habgood, and Franklin.,2008)が公表されました。「現代的行動」の考古学的指標としては、ビーズのような装飾品・埋葬・壁画のような美術・長距離交易などが挙げられます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/09/10 00:00
アメリカ大陸最古の人骨?
 メキシコのユカタン半島のカリブ海沿いの水中洞窟で発見された女性人骨は、アメリカ大陸最古のものかもしれない、と報道されました。この女性人骨の他に、3体分の人骨や象・巨大ナマケモノなどの動物骨も発見されました。女性人骨の年代は13600年前と測定されましたが、暦年代なのかどうか報道だけでは不明です。もっとも、この年代が正確だとすれば(海水中の鉱物による不確定要素も考慮しなければならない、とのことです)、暦年代に補正されていてもいなくても、アメリカ大陸最古の人骨ということになります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/09/08 00:00
パラオ諸島の人骨とフロレシエンシス
 パラオ諸島で発見された2890〜940年前の小柄な人骨群には、フローレス島で発見された更新世の人骨群と似た特徴が認められる、との研究(Berger et al.,2008)を今年3月13日分の記事で取り上げましたが、これを否定する研究(Fitzpatrick et al.,2008)が報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/09/01 06:25
鮮新世における地球寒冷化
 鮮新世における地球寒冷化の仕組みについて論じた研究(Lunt et al.,2008)が公表されました。鮮新世の300万年前頃に大規模な氷河作用が始まるまで、北半球の大部分では、3000万年以上にわたって氷に覆われていたところがほとんどなかった、と考えられています。当時のグリーンランド氷床の成長を説明するため、いくつかの仮説が提案されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/29 06:46
タスマニアにおける大型獣絶滅の要因
 タスマニアにおける大型獣絶滅の要因についての研究(Turney et al., 2008)が報道されました。更新世末期におけるアメリカ大陸などでの大型獣絶滅の要因については、気候変動説と人類による過剰狩猟説が提示されており、論争が続いています。この研究では、タスマニアでの大型獣絶滅の要因は、気候変動ではなく人類による狩猟ではないか、と推測されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/28 05:34
パラントロプス=ロブストスによる骨器の使用
 パラントロプス=ロブストスの、骨器使用と社会構造についての研究(Backwell et al., 2008B)が公表されました。南アフリカのガウテング州にある、200〜150万年前のドリモーレン遺跡では、骨器らしき遺物とともにロブストスの骨が発見されました。これが骨器であることを確認するため、自然(人類の手が加わっていない)状態の骨、および実験的に作製された骨器と比較されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/27 05:13
オモの新たな人骨とオモ1号の分析
 エチオピア南西部のオモ川下流沿いのキビシュ層群では、現生人類の起源をめぐる議論で言及されることの多い人骨(オモ1号・オモ2号)が出土していますが、そのキビシュ層群での新たな人骨の発見と、オモ1号の再分析結果について論じた研究(Pearson et al., 2008A、Pearson et al., 2008B)が報道されました。新たに発見された人骨は2つの遺跡から出土したもので、一方はオモ1号やオモ2号の年代(195000年前頃)とほぼ同じとされており、もう一方は104000〜86000年前... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/26 00:01
テシク=タシュの子供の人骨の見直し
 ウズベキスタン東部のテシク=タシュ遺跡で1938年に発見された子供の人骨(7万年前頃)を再分析した研究(Glantz et al., 2008B)が公表されました。この子供の人骨については、初期現生人類との類似性が指摘されたこともあるものの、ネアンデルタール人と分類する見解がずっと主流でした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/25 04:29
インドにおける最初期の現生人類
 インドにおける最初期の現生人類について論じた研究(Kumar et al.,2008)が公表されました。現生人類の出アフリカについては、アフリカ東部からアラビア半島を経てインドへという経路が有力視されていて、その年代は5万年前よりもさかのぼり、70000〜66000年前頃ともされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/22 04:29
人類の脳の進化と精神分裂症
 健常者と精神分裂症の患者との比較から、人間の脳の進化と新陳代謝との関係について論じた研究(Khaitovich et al.,2008)が公表されました。この研究によると、脳におけるエネルギー代謝に関連する遺伝子と代謝物質が、健常者と精神分裂症とでは異なっており、この異なった箇所が、他の異ならない箇所よりも、人間の認識能力に大きな影響を与えているだろう、とのことです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/08/21 04:21
ジャワ島の後期エレクトスの年代
 インドネシアのジャワ島中部の、ンガンドンとサンブンマチャン出土の後期ホモ=エレクトス頭蓋の年代を測定した研究(Yokoyama et al.,2008)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/20 04:32
ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの完全な配列
 クロアチアのヴィンディヤ洞窟出土の、38000年前頃のネアンデルタール人骨のミトコンドリアDNAの、完全な配列を特定した研究(Green et al., 2008)が報道されました。その結果、これまでの研究通り、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの塩基配列は、現代人のそれの変異幅から大きく外れていることが確認されました。この研究では、ネアンデルタール人と現代人とのミトコンドリアDNAの分岐は、66万±14万年前頃と推定されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/08/12 04:48
柳江人頭蓋のスキャン画像と現生人類の起源(追記有)
 1958年に中国の広西チワン族自治区で発見された人骨(柳江人)はホモ=サピエンス(現生人類)に分類されており、東アジアでは最古のサピエンス人骨とされています。その柳江人の頭蓋の3DのCTスキャン画像を作成し、分析した研究(Wu et al., 2008)が報道されました。この報道で紹介されていた元論文に接続できなかったので、この報道に依拠して雑感を述べていくことにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/07/21 06:18
クロマニヨン人骨のミトコンドリアDNA分析
 28000年前頃のクロマニヨン人の骨からミトコンドリアDNAを抽出してその配列を分析し、それが現代人によって汚染されておらず、現代ヨーロッパで一般的なものであることを示すとともに、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの配列とは大きく異なっていることを指摘した研究(Caramelli et al., 2008)が報道されました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/07/18 06:05
『ビジュアル版 人類進化大全』(悠書館、2008年)
 クリス=ストリンガー、ピーター=アンドリュース著、馬場悠男・道方しのぶ訳で、悠書館より刊行されました。人類進化の様相を、じっさいの発掘現場の様子・化石の生成過程なども紹介しながら、包括的に論じた一冊です。図版や人骨などの写真も豊富であり、古人類学に関心のある人にとっては必読の書と言えるでしょう。一般向け書籍としては高価(税別12000円)なのが難点ですが、それだけの価値のある良書だと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/07/17 06:12
オモ人骨の年代
 ホモ=サピエンス(現生人類)の起源を論じるさいに、ほとんど必ずと言ってよいくらい言及されるオモ人骨(オモ1号とオモ2号)の年代についての論文2本(Feibel., 2008, McDougall et al.,2008)が公表されました。両方ともオンライン版での先行公開で、まだ印刷されていません。まだ要約しか読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。オモ1号人骨は解剖学的にはほぼ完全な現代人とみなされていますが、オモ2号人骨はやや原始的とされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/07/16 05:17
更新世の人類の聴覚能力と言語能力の起源
 今年パリで開催された聴覚会議における、更新世の人類の聴覚・言語能力についての報告(McDougall et al.,2008)が報道されました。この研究で分析対象とされた人骨は、大量の人骨が発見されたことで有名な、スペインのアタプエルカにあるシマ=デ=ロス=ウエソス洞窟で発見されたもので、その年代は少なくとも53万年前頃にまでさかのぼる、とされています。この人骨群の種区分は確定していませんが、ハイデルベルゲンシスまたは後期エレクトスとするのが妥当でしょうか。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/07/15 05:18
ジャポニカ種の起源は東南アジア
 日本で栽培されているおもな稲の品種はジャポニカ種で、じゅうらい、考古学的証拠などから、ジャポニカ種の起源は長江中・下流域とされてきたのですが、遺伝子分析からは、その起源は東南アジアにあると推測される、との研究(Shomura et al.,2008)が報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/07/08 05:24
モロッコで50万年以上前の人骨発見
 2008年5月19日に、モロッコのカサブランカの採石場で、フランス・モロッコの共同チームにより、人類の完全な下顎骨が発見された、と報道されました。これは、モロッコにおける科学的発掘で発見されたものとしては、確認できるかぎりでは最古の人骨となります。報道では、この人骨はホモ=エレクトスのものとされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/07/03 05:28
古人類学の記事のまとめ(4)2008年4月〜2008年6月
 2008年4月2日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(3) http://sicambre.at.webry.info/200804/article_2.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.i... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 13 / コメント 0

2008/07/01 05:26
セルビアでネアンデルタール人の祖先発見?
 セルビア南部のシセヴォ峡谷の小洞窟で発見された25〜13万年前頃の人骨(3本の歯の残った下顎骨)は、ネアンデルタール人の祖先集団の一員のものだったかもしれない、との見解が報道されました。この報道では、この人骨はエレクトスのものかもしれないとされていますが、おそらくはハイデルベルゲンシス的な人類も含めてエレクトスと分類する見解が採用されているのでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/30 05:40
ネアンデルタール人による高水準な技術の石器?
 英国ウェスト=サセックス州のビーディングス遺跡で発見された石器は、ネアンデルタール人の所産と考えられ、技術的にはかなり高水準だ、とBBCやLiveScienceで報道されました。この遺跡では1900年に発掘が行なわれ、2300の石器が発見されました。しかし、それらは長い間偽物だと考えられたため、数百個以外は井戸に捨てられてしまいました。ところが最近になって、この石器群の重要性が認識されるようになり、新たな発掘も行なわれた、とのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/26 06:22
更新世末期の急激な気候変動
 更新世末期の急激な気候変動についての研究(Steffensen et al.,2008)が報道されました。グリーンランドから採取した氷床コアの高解像度画像から、15000年前頃と11000年前頃の2回の温暖期に、グリーンランドでは急激な気候変動が起きていたことが判明しました。14700年前頃には3年間で約10度、約11700年前頃にはおよそ50年間のうちに約10度という温度の上昇が確認された、とのことです。両温暖期ともに、気温が急激に変動し、大気循環も年ごとに一変していました。また、温暖期のグ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/23 00:00
シリアのフンマル遺跡での新たな発掘
 まだ日付は変わっていないのですが、6月19日分の記事を掲載しておきます。今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P26)。シリアのフンマル遺跡は1980年代に発掘され、フンマル文化(フンマリアン)という新たな文化が認識されました。その後、1999〜2005年にも発掘が行なわれ、この報告では、新たな発掘と分析に基づいた、フンマリアンの位置づけが提言されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/19 00:00
フロレシエンシスの祖先集団も小柄だった?
 まだ日付は変わっていないのですが、6月18日分の記事を掲載しておきます。今年2月4〜6日にかけてキャンベラで開催されたオーストラリア国立大学考古学科学会議で、フロレシエンシスについてのデビー=アーギュー博士の報告(Argue et al.,2008)が報道されました。PDFファイルで要約を読めます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/18 00:00
レヴァントにおける早期ムステリアン
 まだ日付は変わっていないのですが、6月17日分の記事を掲載しておきます。今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P25)。イスラエルにあるハヨニム洞窟の中部旧石器時代の層の発掘と研究から、レヴァントにおける早期ムステリアンの特徴が考察されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/17 00:00
『ホモ・フロレシエンシス』上・下(日本放送出版協会、2008年)
 本書は、マイク=モーウッド、ペニー=ヴァン=オオステルチィ著、馬場悠男監訳、仲村明子翻訳で、NHKブックスの一冊として刊行されました。インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟の発掘は、オーストラリアとインドネシアとの合同研究チームにより行なわれ、更新世の地層から人骨・石器・動物骨が発見され、発掘チームはその人骨群を人類の新種ホモ=フロレシエンシスとしました。モーウッド氏は、その合同研究チームの指導者的地位にいる研究者です。オオステルチィ氏は作家で、一般向け科学書を多数執筆しているとのことで... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/06/15 00:00
フンマル遺跡のムステリアン層
 まだ日付は変わっていないのですが、6月14日分の記事を掲載しておきます。今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P27)。フンマル遺跡のムステリアン層はかなり研究が進んでいますが、最深部の層がまだ確認されていないので、全貌の解明はまだです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/14 00:00
旧石器捏造事件と多地域進化説
 旧石器捏造事件の発覚(2000年)の数年前より、私は古人類学に関心をもつようになったのですが、2000年までに読んだ古人類学関係の本では、東北旧石器文化研究所(以下、研究所と略)による「華々しい成果」がほとんど取り上げられておらず、研究所の「業績」についてはほとんど知らないと言ってよい状況でした(引用箇所は青字)。その頃まで、私は古人類学関係ではおもに翻訳本を読んでいたのですが、同研究所の「業績」は海外ではほとんどまともに扱われていなかったわけです。 ...続きを見る

かわいい ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/06/09 00:00
最古の極北地住民と現代の住民との不連続性
 最古の極北地住民と現代のイヌイット系との母系での不連続性を指摘した研究(Gilbert et al.,2008B)が、オンライン版で先行公開されました。まだ要約しか読んでいませんが、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/06/02 00:00
フロレシエンシスの近縁集団はオーストラリアに進出?
 フロレシエンシスの近縁集団がオーストラリア北端部にまで進出していたかもしれない、とのマイク=モーウッド博士の見解が報道されました。 http://www.ntnews.com.au/article/2008/05/27/4222_ntnews.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/29 00:00
ウズベキスタンでネアンデルタール人骨発見
 ウズベキスタンで発見された、ネアンデルタール人のものと思われる人骨についての研究(Glantza et al.,2008)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/28 00:00
核ゲノムの分析による人類拡散経路の復元
 核ゲノム全体の分析から、現生人類の拡散経路を復元した研究(Hellenthal et al.,2008)が報道されました。この研究では、核ゲノムの一塩基多型のデータが用いられ、新たな統計的方法で現生人類の拡散経路の復元が試みられています。ミトコンドリアやY染色体といった、追跡の容易なDNA情報からの現生人類の拡散経路の復元は多く試みられていますが、核ゲノム全体を対象としてのものとなると、まだ少ないのが現状でしょう。その意味で、この研究は注目されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/27 00:00
下部旧石器時代のシリア
 今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P22)。シリアでは少なくとも過去150万年間人類が存在しており、下部旧石器時代にまでさかのぼりますが、この時代の遺跡はシリアで多数発見されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/23 00:00
デデリエ洞窟における新たな発見
 今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P24)。デデリエ洞窟はシリア北部に位置し、1993年と1997年に保存状態の良好なネアンデルタール人の幼児人骨が発見されたことで有名です。この人骨はタブンB型のレヴァントムステリアンと共伴していました。デデリエ洞窟の発掘は日本とシリアの合同調査隊が進めており、報告者のなかに日本人研究者の名前が見えます(赤澤威・西秋良宏の両氏)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/22 00:00
レヴァントにおける中部〜上部旧石器時代への移行
 今年5月8〜10日にかけて、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムが開催されました。中東の政治情勢のため、個人・チーム単位では中東全域を総括した研究を行ないにくいという事情があるので、有意義なシンポジウムだと思います。各報告の要約はPDFファイルで読めますので、面白そうなものを今後取り上げていくつもりですが、今回はレヴァントにおける中部〜上部旧石器時代への変化ついて指摘した報告(P40)を取り上げます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/21 00:00
霊長目の運動時の消費エネルギーから見た霊長目の生態と起源
 霊長目が垂直に登るときと水平に歩くときの消費エネルギーを比較し、霊長目の生態と起源について考察した研究(Hanna et al.,2008)が公表されました。樹木などを垂直に登る能力があり、樹上で生活する種もいるという点で、霊長目は哺乳動物の中で例外的です。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/05/20 00:00
過去80万年間の気候の記録
 南極大陸の氷床コアに閉じ込められていた気泡の分析により、80〜65万年前の二酸化炭素濃度の詳細な記録を示した研究(Lüthi et al.,2008)と、過去80万年にわたる長期的なメタン濃度の変動を示した研究(Loulergue et al.,2008)が『ネイチャー』2008年5月15日号に掲載されました。直接人類進化を扱った研究ではありませんが、古気候の復元は古人類学にとって重要なので、注目されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/19 00:00
レヴァントの早期現生人類は絶滅した?
 中部旧石器時代の11〜9万年前頃にレヴァントに進出していた早期現生人類(解剖学的現代人)は絶滅した、との見解(Oppenheimer.,2007)が現在有力なようですが、本当にそうなのか、疑問があります。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/05/14 00:00
サハラの砂漠化は緩やかだった
 サハラの砂漠化は緩やかだった、との研究(Kröpelin et al.,2008)が報道されました。更新世末期以降の温暖化により、サハラは砂漠からから湿潤で植物の豊富な環境に変わりました。しかし、7000年前以降、サハラは再び乾燥化し、比較的短期間のうちに砂漠になったとされます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/12 00:00
モンテ=ヴェルデ遺跡で14000年前頃の人類の痕跡が確認される
 アメリカ大陸にいつ人類が進出したのかという問題をめぐっては、激論が展開されてきました。長らく、クローヴィス文化の担い手がアメリカ大陸最古の人類だったとの見解が通説(クローヴィス最古説)となっていましたが、クローヴィス以前とされる遺跡も主張されるようになり、そのなかでも、チリのモンテ=ヴェルデ遺跡はクローヴィス以前の最有力候補とされ、注目されてきました。しかし、クローヴィス最古説派からはモンテ=ヴェルデ遺跡の年代に疑問が呈されており、議論が続けられてきました。そうしたなか、モンテ=ヴェルデ遺跡で... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/05/10 00:00
新たな方法による人類系統図
 これまでとは異なる方法で、以前からよく知られた17の標本を改めて分析し、人類と類人猿の系統図を作成した研究(González-José et al.,2008)が報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、このブログの記事でやや詳しく内容を知ることができました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/05/09 00:00
ボイセイの食性
 パラントロプス=ボイセイ(アウストラロピテクス属に分類する見解もあります)の食性についての研究(Ungar et al.,2008)が報道されました。ボイセイは、大きく厚いエナメル質の歯と頑丈な頭蓋骨・下顎骨を有しており、その咀嚼筋は強力だったと考えられています。こうしたことから、ボイセイは堅果や塊茎など固いものを食べていた、と考えられてきました。しかしこの研究によると、こうした通説の見直しが必要になってきそうです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/05/06 00:00
テシク=タシュとスタローゼリーの子供の人骨の分析
 今月7〜13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、テシク=タシュとスタローゼリーの子供の人骨の分析(Bulygina et al., 2008)が報告されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P74)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/29 00:00
肉食中心だった後期のネアンデルタール人
 後期ネアンデルタール人の食性は大型草食動物中心だった、との研究(Richards et al.,2008B)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/04/28 00:00
アフリカにおける初期現生人類集団の動向
 ミトコンドリアDNAの分析から、アフリカにおける初期現生人類集団の動向を推測した研究(Behar et al.,2008)が報道されました。この研究では、サハラ砂漠以南のアフリカ人624人分のミトコンドリアDNAの完全な塩基配列に基づいて、ハプログループ単位の系統樹が作成され、初期現生人類集団の動向が推測されています。ミトコンドリアDNAの系統樹でまず大きく分かれるのは、ハプログループL0系統とL1〜5系統です。後者のなかのL3系統から分岐したM系統とN系統のみが、出アフリカを果たしたと考えら... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/04/26 00:00
トゥゲネンシスとフロレシエンシスの大腿骨の分析
 今月7〜13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、トゥゲネンシスとフロレシエンシスの大腿骨の分析(Richmond et al., 2008B)が報告されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P180)。この報告は、今年3月22日分の記事で取り上げた論文(Richmond et al.,2008A)の著者たちによるものです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/25 00:00
NHKスペシャル『病の起源第2集 骨と皮膚の病〜それは“出アフリカ”に始まった〜』
 現代人の病の起源を人類進化史に求めるシリーズ(全6回)の第2回です。肌の色と環境適応の問題が取り上げられましたが、これは人類進化史に関心のある人にとっては馴染みのあることだったと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/21 00:00
FOXP2遺伝子の研究からみたネアンデルタール人と現生人類の混血の可能性
 言語能力に関わるとされるFOXP2遺伝子は、現生人類の進化の研究において注目されてきました。現生人類のFOXP2遺伝子には特有の変異があり、この変異がここ20万年間の間に生じたとされていたので、これにより当時の一部の現生人類は現代人と変わらないような言語能力を獲得し、この変異を持たない他の現生人類(解剖学的現代人)集団や、ネアンデルタール人など当時まだ存在していた現生人類以外の人類集団にたいして優位に立ったのではないか、と推測されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/18 00:01
足の分析から支持されるフロレシエンシス新種説
 インドネシア領フローレス島で発見された更新世の人骨群が、人類の新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)なのか、それとも病変の現生人類なのかという議論は古人類学界で高い関心を集めており、このブログでもたびたび取り上げてきました。そうしたなか、今月7〜13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、LB1の足骨とその機能を分析した報告(Jungers et al., 2008)が報道されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P127)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/18 00:00
中国大陸における人類の遺伝的構成の変化(追記有)
追記(2010年9月12日)  この研究(Wang et al.,2000)を否定する研究があることは、確か昨年知ったのですが、それほど関心の高い問題ではなかったので、とくに調べずにきました。今日になって、ヤフー掲示板の“unadon_applepie”さんの投稿により、Wang et al.,2000を否定する研究(Yao et al.,2003)を具体的に知りました。古代臨淄の住民のミトコンドリアDNAは、ヨーロッパよりも現代の中国南部の住民のほうに近い、とのことです。以下の... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

2008/04/17 00:00
NHKスペシャル『病の起源 第1集 睡眠時無呼吸症〜石器が生んだ病〜』
 現代人の病の起源を人類進化史に求めるシリーズ(全6回)の第1回です。やや疑問に思ったのは、160万年前頃のホモ=エレクトスが20人ほどの集団で狩をしていたとの説明です。人類がそのような本格的な狩猟を160万年前頃に行なっていたのかとなると、まだ確証はないのが現状で、この頃の人類の動物性食資源の獲得については、むしろ死肉漁り説のほうが優勢のように思われます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/14 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(2)
前編の続きです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/04/10 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(1)
 昭和堂より2008年2月に刊行されました。初版第1刷の刊行は2008年1月です。遺伝学(おもにY染色体DNAの分析)の分野から日本人の起源・形成を論じた書籍としては、現時点では最新のものと言ってよいでしょう。また、遺伝学のみならず、考古学・言語学などの成果も取り入れられ、複数の分野を総合した学際的研究の成果が提示されています。繰り返しが多く、やや冗長なところがありますが、日本人起源論を扱った書籍としては、今後しばらくは必読と言えるでしょう。以下、まずは、本書で提示された見解について自分なりに整... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/04/10 00:00
チャデンシスとバーエルガザリの年代
 チャドのジュラブ砂漠で発見された、サヘラントロプス=チャデンシスとアウストラロピテクス=バーエルガザリの年代についての研究(Lebatard et al.,2008)が公表されました。これまで両者の年代については、両者の前後の層で発見された動物骨からの推定年代が採用されていて、曖昧なところがあっただけに、重要な成果と言えそうです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/08 00:00
アメリカ大陸最古の人類の痕跡
 アメリカ合衆国北西部にあるオレゴン州の洞窟で、かなりの信憑性がおけるものとしては、現時点でアメリカ大陸最古となる人類の痕跡が発見された、との研究(Gilbert et al.,2008)が報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 3

2008/04/05 00:00
人類最古の弓矢
 南アフリカで矢(鏃)と思われる遺物(61000年前以前と推定されます)が発見されたとの研究(Backwell et al.,2008)が報道されました。もし本当に矢だとすると、現在のところ人類最古のものとなります。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2008/04/03 00:00
古人類学の記事のまとめ(3)2008年1月〜2008年3月
 2007年12月30日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(2) http://sicambre.at.webry.info/200712/article_31.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webr... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 13 / コメント 0

2008/04/02 00:00
西欧最古の人類についての研究
 昨年7月2日分の記事にて、スペイン北部のアタプエルカ遺跡にあるシマ=デル=エレファンテ洞窟で、現在のところ西欧最古となる人類化石(下顎骨と歯)が発見されたことを取り上げましたが、その化石も含む出土物についての研究(Eudald et al.,2008)が報道されました。古磁気学などに基づき、年代はおよそ120〜110万年前頃と特定され、女性のものではないかと推測されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/28 07:28
人類史についてのまとめを掲載
 2008年2月4日に人類史についての私見を公開しました。それから二ヶ月弱しか経過していないのですが、2008年3月25日分までのブログの古人類学関係の記事の情報を取り入れて、人類史第4版として加筆訂正版を公開することにしました。この間に大きく考えが変わったわけではなく、じっさい加筆訂正した箇所はあまりないので、2週間前くらいから少しずつ改訂作業に着手していたものの、たいして時間はかかりませんでした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/03/26 20:33
フロレシエンシスとエレクトスやハビリスとの類似性
 インドネシア領フローレス島で発見された更新世の人骨LB1は、頭蓋の比較からはエレクトスやハビリスとの類似性が認められる、との研究(Gordon et al.,2008)が『米国科学アカデミー紀要』に掲載され、報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、半年後には全文を読めるようになるので、そのときにまた改めて全文を読もうと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/25 00:00
オロリン=トゥゲネンシスの人類史上の位置づけ
 最初期の人類とされるオロリン=トゥゲネンシスの大腿骨(ケニアで発見され、年代は600〜570万年前頃)は類人猿やホモ属とは異なっていて、アウストラロピテクス属やパロントロプス属と似ている、との研究(Richmond et al.,2008)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/03/22 00:00
旧石器時代の西アジア
 以前、大津忠彦・常木晃・西秋良宏『世界の考古学5 西アジアの考古学』(同成社、1997年)をもとに、旧石器時代の西アジアについてまとめようと思ったら、前置きが長くなりすぎて、それだけで一つの記事にしてしまいました。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/03/21 00:00
ネアンデルタール人と現生人類との分岐年代
 ネアンデルタール人の祖先と現生人類の祖先とが分岐したのは、43〜31万年前頃だった、との研究(Weaver et al.,2008)が『米国科学アカデミー紀要』に掲載され、報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、半年後には全文を読めるようになるので、そのときにまた改めて全文を読もうと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/20 00:00
現生人類の出アフリカの時期・回数とオーストラレーシアの初期現生人類
 オーストラレーシアの初期現生人類は、現代人の多数の祖先がアフリカから拡散する以前に、出アフリカを果たした現生人類の子孫ではないか、との研究(Schillaci.,2008)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/03/18 00:00
更新世の南アジアを知るには?
 大津忠彦・常木晃・西秋良宏『世界の考古学5 西アジアの考古学』(同成社、1997年)は10年以上前に刊行された本ですが、今でもたいへん有益な一冊と言えるでしょう。私は同書に多くのことを教わりました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/14 00:00
パラオ諸島でフロレシエンシスと類似した人骨が発見される
 パラオ諸島で発見された2890〜940年前の小柄な人骨群には、フローレス島で発見された更新世の人骨群と似た特徴が認められる、との研究(Berger et al.,2008)が“EurekAlert”や“NewScientist”で報道されました。フローレス島で発見された更新世の人骨群は、新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)とも、病変の現生人類とも主張されていて、議論が続いています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/03/13 00:00
古人類学への関心
 私は20代半ばまで、古代文明には強い関心をもっていましたが、それよりも古い時代にはほとんど関心がなく、東北旧石器文化研究所が「華々しい成果」をあげて注目されていたことすら、ほとんど知りませんでした。人類進化史についても、人類は猿人→原人→旧人→新人と進化し、いわゆる北京原人が日本人も含む現代の東アジア人の祖先になったのだろう、と漠然と考えていたものです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/03/10 00:07
フロレシエンシスはクレチン病患者との研究についての続報
 今年3月7日分の記事にて、インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された更新世の人骨群が、人類の新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)ではなく、クレチン病の現生人類だという研究(Peter J. Obendorf et al.,2008)を紹介しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/08 00:01
フロレシエンシスはクレチン病を患った現生人類?
 インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された更新世の人骨群が、ホモ=フロレシエンシスという人類の新種なのか、それとも病変・発達障害の現生人類なのかという議論については、このブログでも何度も取り上げてきました。この人骨群が新種であるとの研究(Matthew W. Tocheri et al.,2007)を昨年9月22日分の記事で紹介し、これで論争も収束に向かうのかと思っていたら、その後も、今年1月6日分の記事で紹介したように現生人類説(Anita Rauch et al.,2008)... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/03/07 00:04
三井誠『人類進化の700万年』
 講談社現代新書の一冊として、2005年に刊行されました。近年の古人類学の成果が簡潔にまとめられているというだけではなく、年代測定法や分子遺伝学についても簡潔な説明がなされており、古人類学の入門書として優れています。また、進展著しい近年の古人類学の成果を整理するのにも役立つ一冊だと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/05 00:00
内田亮子『人類はどのように進化したか』
 シリーズ認知と文化の一冊として、勁草書房より2007年1月に刊行されました。進化の仕組みから、性差・人類の進化・進化と文化の問題まで、最新の研究成果を紹介しつつ説明した、生物人類学の入門書となっています。氏か育ちか、などといった二者択一的な発想を捨てることが随所で強調されていて、この点も生物人類学の入門書としては相応しいと思います。一般向けの書籍ではありますが、参考文献もかなりの数が挙げられていて、本書で興味をもった問題については、さらに深く追求する手がかりも提示されています。分量もさほどでは... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/05 00:00
『シリーズ進化学5 ヒトの進化』
 全7巻の『シリーズ進化学』の一冊として、岩波書店より2006年8月に刊行されました。斎藤成也・諏訪元・颯田葉子・山森哲雄・長谷川眞理子・岡ノ谷一夫氏の分担執筆となっています。化石・遺伝子・脳・言語など、さまざまな観点から人類の進化を検証した一冊ですが、近年の成果が上手くまとめられて簡潔に紹介されていますので、古人類学に関心のある日本人にとってはお勧めの一冊といえる好著だと思います。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/03/05 00:00
現生人類の起源についての特集
 『進化人類学』17巻1号(2008年1・2月号)の特集は、「アフリカにおける現生人類の起源」です。 http://www3.interscience.wiley.com/journal/117921410/issue ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/03 00:02
ネアンデルタール人は食人習慣のために絶滅?
 ネアンデルタール人の絶滅に、伝達性海綿状脳症(プリオン病)がじゅうような役割を果たしたのではないか、とする研究が報道されました。パプアニューギニアのある部族には儀式的な食人習慣がありますが、その習慣と伝達性海綿状脳症との間には因果関係が認められました。パプアニューギニアの事例から推測すると、15000人ていどの集団で食人習慣があった場合、250年以内に集団の存続が不可能な水準まで人口が減少する、と考えられます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/03/03 00:02
ドマニシ人は火山噴火のため死亡
 グルジアのドマニシで発見された180〜170万年前頃の人骨群は、古人類学にじゅうような知見をもたらしてきました。この人骨群に原始的特徴と派生的特徴が混在しているという見解は、昨年9月21日分の記事で紹介しましたが、この人骨群は基本的にはホモ属とされています。ただ、種区分については見解が一致しておらず、エレクトスともエルガスターともグルジクスとも分類されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/26 00:00
これまでで最大規模の人類の遺伝的多様性の研究
 これまでで最大規模の人類の遺伝的多様性にかんする研究が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/25 00:00
遺伝学的見地からの人類集団の移動
 『ネイチャー』2008年2月21日号には、遺伝学的見地からの、過去における人類集団の移動と適応にかんする論文が2本掲載されています。両者は異なるデータ・手法を用いながらも、ともに似たような結論を提示しています。その結論自体は、これまでの通説を支持するものですが、大規模で精密な解析によりあらためて通説が支持されたのは、意義深いことと言えそうです。専門家ではない私にとっては、ともに敷居の高い論文で、深く理解するのはなかなか難しいのですが、ざっと見ていくことにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/22 00:00
中期石器時代の南アフリカにおける、人類の環境への対応と石器技術の関係
 中期石器時代の南アフリカにおける、石器技術の変遷と環境変化との関係を論じた研究があります。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/21 00:00
人類の進化と環境変化の関係
 形質人類学的に確実な最古のホモ=サピエンス(現生人類)の年代は、現在のところ160000〜154000年前頃でさかのぼり、年代と復元に疑問点が残るものの、エチオピアで発見された現生人類人骨のなかには、195000年までさかのぼるものもあります(この問題については、私見の「サピエンスの起源」を参照してください)。解剖学的には、16万年前もしくは20万年前頃までに、現代人と基本的には変わらない人類集団が登場していたというわけです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/20 00:00
アメリカ大陸への移住の経緯
 昨年11月1日分の記事にて、アメリカ大陸への移住についての論文を取り上げましたが、その論文では「ベーリング陸橋潜伏モデル」が提唱されていました。これは、先住アメリカ人の祖先集団は、最終氷期の最寒冷期前にベーリング陸橋に到達し、アメリカ大陸に進出する15000年前まで、生態学的障壁のために地理的に孤立していた、というものです。その論文の著者の一人であるコニー=マリガン博士らの新たな研究が報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/16 00:00
人類の拡散と石器技術
 人類の拡散と石器技術との関係を論じた研究が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと閲覧・プリントアウトできるので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/15 00:00
ネアンデルタール人の移動範囲は広かった
 ネアンデルタール人の移動範囲は、じゅうらい考えられていたよりも広かったのではないか、とする研究が報道されました。この研究はまだ刊行されておらず、オンライン版での先行公開です。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/09 15:52
70万年前頃の組織的な屠殺と「現代的な行動」の問題
 イスラエル北部にあるガリラヤ湖近くのアシュール文化に属するジスル=バノト=ヤコブ遺跡において、中期更新世の初期(酸素同位体ステージ18の時期、およそ80〜70万年前頃)に、およそ10万年間にわたって、人類によるダマジカの組織的な屠殺があったことが認められる、との研究が公表されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/08 00:00
アメリカ大陸における大型獣絶滅の要因をめぐる議論
 今年1月23日分の記事にて、『1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』という本を取り上げましたが、同書では、アメリカ大陸における1万年前頃の大型獣絶滅の要因をめぐって、学術的な議論だけではなく、政治的な議論も生じていることが紹介されています。大型獣絶滅の要因については、環境変動や伝染病の流行などが挙げられていますが、人類による大量殺戮説も有力視されてきました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/02/07 00:00
人類史についてのまとめを掲載
 2007年12月7日に人類史についての私見をまとめて公開しました(人類史第3版)。それから二ヶ月弱しか経過していないのですが、一度に全面的な改訂をするとなるとやはり大変なので、2008年2月1日分までのブログの古人類学関係の記事の情報を取り入れて、人類史第3版補訂(1)として小規模な加筆訂正版を公開することにしました。小規模な加筆訂正なので、もちろん大きな変更はありませんが、今後もこのようになるべく頻繁に小規模な改訂をしていこうと考えています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/04 00:00
ネアンデルタール人の象徴的思考能力について
 ネアンデルタール人見直し論の急先鋒とも言うべきフランチェスコ=デリコ博士らによる、ネアンデルタール人の象徴的思考能力を主題とした2007年の論文が、このブログでも何度か紹介したことのあるザルヴァトール氏のブログで取り上げられました。この論文はフランス語で公表されており、私はまったくフランス語を解さないので、ザルヴァトール氏の記事を通じてこの論文の一端を見ていくことにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/02/01 00:00
「許昌人」続報
 中国河南省許昌市の霊井遺跡で、10〜8万年前頃の人類のほぼ完全な頭蓋骨が発見されたことは、今年1月25日分の記事で取り上げましたが、その続報をヤフーのニュースサイトで知りました。ヤフーの引用元は“Record China”の記事で、翻訳・編集の問題もあるのかもしれませんが、この記事にはかなりの問題があります(引用箇所は青字)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/30 00:01
履物の歴史
 中国の周口店近くの天元洞窟から出土した趾節骨の分析により、人類が遅くとも4万年前には履物を使用していたことが確認された、との研究が報道されました。天元洞窟(4万年前頃)と、豪華な副葬品で有名なロシアのスンギール遺跡(27000年前頃)出土の人骨とともに、ネアンデルタール人や現代のプエブロ族・イヌイット族も分析の対象となりました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/01/30 00:00
現生人類をめぐる混血の問題
 現在、現生人類(ホモ=サピエンス)の起源がアフリカにあるという見解は、通説としてほぼ受け入れられていると言ってよいでしょう。現在問題となっているのは、アフリカから世界各地に現生人類が進出したさい、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のような現在では絶滅した在地の他のホモ属(Archaic Human、Archaic Homo)との間に交雑(混血)があったのか、それともなかったのかということです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/01/28 00:00
中国で10〜8万年前頃の人骨発見
 河南省許昌市の霊井遺跡で、10〜8万年前頃の人類のほぼ完全な頭蓋骨が発見された、との報道がありました。 http://www.reuters.com/article/scienceNews/idUST20581320080123 http://j.peopledaily.com.cn/2008/01/23/jp20080123_82948.html http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080123-00000127-jij-int http://he... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 3

2008/01/25 00:00
『1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(日本放送出版協会)
 チャールズ=C=マン著、布施由紀子訳で、2007年7月に刊行されました。原書の刊行は2005年です。先コロンブス期のアメリカ大陸についての研究成果がまとめられており、アメリカ合衆国などにおける一般的なアメリカ先住民像を書き換えよう、との意欲に満ちた書です。アメリカ大陸史の近年の研究成果を知るために読んだのですが、私が不勉強なこともあり、知らなかった見解も多く、私にとってはじつに読み応えのある一冊となりました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/01/23 00:00
『5万年前に人類に何が起きたか?』第2版2刷
 リチャード=クライン、ブレイク=エドガー著、鈴木淑美訳で、新書館より2004年12月に刊行されました。じつは、すでに本書の初版1刷を、2004年6月の刊行後まもなく購入していました。しかし、昨年11月13日分の記事で取り上げた河合信和『ホモ・サピエンスの誕生』P202に、「初版は誤訳が多いので、改訂された2版を勧める」とあるので、気になっていたところ、書店で第2版2刷を見かけたので、購入したというわけです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/16 00:05
気候変動と農耕の起源
 農耕の開始についてちょっと検索していたら、農耕の起源と気候変動との関係について論じた研究を見つけました。グリーンランドの氷床コアのデータを用いて、気候の安定を農耕の開始と関連づけた研究なのですが、「結論」の項でも述べられているように、まだ不確定要素が多いことは否めません。ただ、世界各地における農耕の起源の同時性を説明するにあたって、好都合であるとは言えます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/14 00:00
数え方と文化の発達
 一般的には、文化が発達するとともに計数の仕組みも複雑になっていき、たとえば、短かったり物に特化したりしている数え方は、数の概念の発達における初期段階と考えられています。しかし、そうした通念に反するような例があることを指摘した研究が公表されました。この研究には日本語の要約もあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/12 00:01
野生チンパンジーの研究による「おばあさん仮説」の検証
 野生チンパンジーは閉経と寿命が尽きるのがほぼ同じである、との研究が公表されました。閉経後も女性が長く生きるのは霊長目では人間だけの特徴であり、その「おばあさん」が子育ての経験を活かして繁殖の成功度を高め、集団の繁栄に寄与した、とする「おばあさん仮説」が提示されています。しかし、現存生物で人間にもっとも近縁な生物であるチンパンジーについては、大規模な研究がなかったこともあり、異論も提示されていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/10 00:00
フロレシエンシスは発達障害を伴う突然変異を有する現生人類?
 “Pericentrin (PCNT)”という遺伝子の機能損失をもたらす変異と、人間の体型の小型化との関連を指摘した研究が報道されました。この変異があると、紡錘体の有糸分裂と染色体の分離が阻害されます。この変異をもつ現代人は稀ですが、この変異があると身長は1m、脳の大きさは三ヶ月の乳児ほどにしか成長しません。しかし、この変異があっても知性は標準に近いものがあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/06 16:05
ネアンデルタール人の絶滅と衣服の関係
 ネアンデルタール人の絶滅と気候変化・衣服との関係を論じた研究が報道されました。ネアンデルタール人は寒冷気候に適応した形態だったので、保温性の高い複雑な衣服を縫う技術を発展させるのが遅れ、旧石器時代後期の短期間の大規模な気候変動に対応できず、絶滅しました。しかし、生物学的にネアンデルタール人よりも寒冷気候に脆弱だった現生人類は、それまでに開発していた石器技術などを用いて、保温性の高い複雑な衣服を縫う技術を発展させ、最終氷期も乗り切った、というわけです。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 69 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/01/04 13:30
ネアンデルタール人が現生人類へと進化した可能性(追記有)
 昨日の記事にて、西欧においてネアンデルタール人が現生人類へと進化した可能性を指摘した研究を取り上げた報道を紹介しましたが、その研究が『米国科学アカデミー紀要』のサイトに掲載されたので、改めてこのブログで取り上げることにします。残念ながらオープンアクセスではなかったので、要約しか読んでいませんが、半年後には全文を読めるようになるので、そのときにまた取り上げる予定です。まずは、要約の意訳です(青字の箇所)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/03 14:18
ネアンデルタール人が現生人類へと進化?
 西欧においては、ネアンデルタール人が現生人類へと進化した可能性がある、との研究が報道されました。この研究は『米国科学アカデミー紀要』に掲載されるとのことですが、まだ『米国科学アカデミー紀要』のサイトには掲載されていないので、掲載されたら改めてこのブログで取り上げます。ただ、あまりにも意外な見解であり、たいへん衝撃的でもあるので、とりあえず報道された内容について取り上げることにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/01/02 15:36
古人類学の記事のまとめ(2)2007年8月〜2007年12月
 2007年7月28日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して掲載し、 http://sicambre.at.webry.info/200707/article_29.html 上記にまとめたもの以前の記事についても、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html として整理しましたが、その後にも新たな研究が発表され、古人類学の記事も増えてきましたので、2007年8月以降の古人類学関連の... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 14 / コメント 0

2007/12/30 00:00
2007年の古人類学界
 あくまでも私の関心による整理ですが、今年の古人類学の動向を以下の三つにまとめました。 (1)人類の定義に関わりそうな諸研究が相次いで発表された。 (2)フロレシエンシスをめぐる激論は収束に向かいつつあるのではないか。 (3)ネアンデルタール人についての情報も着実に増加しつつある。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/27 00:01
出産と直立二足歩行
 女性の脊椎骨は男性より湾曲しているので、妊娠中にも姿勢を保つことができる、との研究が報道されました。この湾曲の性差は、アウストラロピテクス属でも認められました。こうした適応は、妊娠中に捕食から逃げるさいに有利に働いたのではないか、と指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/20 00:00
形態学からの現生人類とネアンデルタール人との混血の否定
 ネアンデルタール人と現生人類との混血の証拠ではないかとされている、ルーマニア出土の後期更新世の‘Cioclovina’人骨は、完全に現生人類の範疇に入り、ネアンデルタール人との混血を示すものではない、との研究が報道されました。‘Cioclovina’人骨は、年代の確実な欧州最初期の現生人類とされています。この研究は、今年8月7日分の記事で紹介した研究を否定するものです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/18 00:00
人類の進化は加速している
 一塩基多型に注目した遺伝子研究の結果、人類の進化はこの5000年間に過去のどの期間よりも速くなっていたことが判明した、との研究が報道されました。BBCなどでも報道されています。その要因として、人口の増加と食環境の変化が指摘されています。確かに、人口が増加すればそれだけ変異の機会が増えることになるでしょう。ただ、現生人類がアフリカを出て世界各地に進出して以降、あまり移住がなかったとして、移住の役割を軽視するこの研究の見解にたいしては、異論も提示されています。新たな環境への進出も、適応的進化を速め... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/13 00:00
50万年前までさかのぼった結核の症例と人類の環境への適応
 トルコで発見された51〜49万年前頃の人骨(年齢は15〜40歳)は、結核に感染していたとの研究が報道されました。なお、表題ではこの人骨はエレクトスとされていますが、種区分の問題とも関連して、分類について異なる見解もありえると本文中で指摘されています。たとえば、ハイデルベルゲンシスもその候補となりますが、一応ここではエレクトスということにしておきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/12 06:55
絶滅ホモ属からの遺伝的継承
 “archaic Homo”(ここでは「絶滅ホモ属」と訳しておきます)と現生人類との混血について指摘した研究が公開されました。適応的な対立遺伝子が絶滅ホモ属から現生人類へと継承された、つまり両者の間に混血のあった可能性が指摘されています。絶滅ホモ属との混血が稀であっても、混血で得られた対立遺伝子に現生人類にとって選択的利点があれば、それが現生人類の間で固定・拡散することはありえます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/11 07:17
人類史についてのまとめ
 昨年秋に人類史についての私見をまとめましたが、今年の9月後半頃からその改訂に着手し、昨日になってようやく最終的な見直しも終わったので、第3版として公開しました。この1年で考えが大きく変わったというわけではないので、当初は小規模な補足訂正にとどめる予定だったのですが、結果的にはほぼ全面的に加筆訂正することになりました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/07 00:00
歯の分析によるネアンデルタール人の成長速度の推定
 10万年前頃のベルギーのネアンデルタール人の歯を調べたところ、ネアンデルタール人の成長は現生人類よりも速いことが分かった、との研究が報道されました。10〜12歳に見えたネアンデルタール人の子供は、じっさいは8歳くらいでした。この成長型は、エレクトスと現生人類との中間となります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/06 00:01
ロブストスの性差の研究とゴリラの「武器」使用
 ロブストス(アウストラロピテクス属またはパラントロプス属と分類されます)の雄は雌よりも成長が遅かったことを明らかにした研究が発表されました。性的二型の認められる霊長目においては、雄は雌よりも成長が遅く、成長後の雄はハーレムを形成することがよくあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/06 00:00
チンパンジーの瞬間的な記憶力は成人よりも優れている
 瞬間的な記憶力では、成人男性よりもチンパンジーの子供のほうが優れているとの実験結果が得られた、との研究が報道されました。京都大学霊長類研究所による研究だけに、日本でも大きく報道されています。人間の子供の特殊能力「直観像」にも通じるものがあるとのことで、言語の習得とも関連して人間の知性の発達過程を研究するうえでも、たいへん興味深い研究となることでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/05 00:00
アメリカへの移住に関する研究とアジアの各地域集団の研究
 アメリカ大陸先住民とシベリアの住民のDNA分析の結果、更新世のアメリカへの人類の移住の波は、シベリアからベーリング陸橋を経由しての一度または一つの集団からの何度かの移住であり、複数の集団による移住ではなかった、とする研究が報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/04 00:00
韓国の万水里遺跡の年代は55万年前頃
 石器が発見された韓国忠清北道の万水里遺跡の年代は55万年前頃と推定される、との報道がありました。 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007112401000410.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/11/28 00:00
チンパンジーの道具使用と食資源
 なかなか管理画面につながらなかったのでもう寝ようかと思っていたのですが、運良くつながったので更新します。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/11/27 00:15
テウク=ヤコブ博士死去
 インドネシアの古人類学界の大御所であったテウク=ヤコブ博士(ガジャマダ大学)が、肝疾患のため76歳で亡くなった、と報道されました。ご冥福をお祈りいたします。2003年にインドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された更新世の人骨群は(発表は2004年)、インドネシア考古学センターの保管所から、発掘に関わっていないヤコブ博士の研究室に運ばれました(2004年11月下旬)。2005年2月末に人骨群は考古学センター保管所へ返還されましたが、正基準標本が破損していたために問題となりました。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/11/22 00:00
ケニアの類人猿化石に日本人研究者にちなんだ命名がなされる
 日本とケニアの合同研究団が、ケニア中央部で発見した990〜980万年前頃の類人猿化石(遊離歯11本と下顎骨)に、2001年に亡くなった中山勝博・島根大学総合理工学部助教授にちなんで、ナカリピテクス=ナカヤマイと命名した、との報道がありました。日本人研究者が関わっているということで、日本でも報道されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/11/20 00:00
中国の204万年前頃の人類
 中国の重慶市巫山県竜骨坡遺跡で1985年に発見された人類の歯は、電子スピン共鳴法により204万年前頃のものと判明した、との報道がありました。これまで、中国人の祖先は数十万年前にはじめて中国に移動してきたとする、アフリカ単一起源説が信じられていました。しかしこの研究によると、中国人の祖先は長江三峡地区の重慶巫山竜骨坡に誕生したのですから、アフリカ単一起源説は覆されたことになります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2007/11/15 00:00
河合信和『ホモ・サピエンスの誕生』
 『市民の考古学』第三巻として、同成社より2007年11月に刊行されました。現生人類(ホモ=サピエンス)の起源をめぐる諸問題について、河合氏の著書が刊行されればいいなと思っていたところ、本書の刊行を知りました。私にとってはまさに待望の一冊であり、さっそく購入してじっくりと読みました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/11/13 00:00
人類進化の諸説にたいする統計学的評価
 人類の進化についてはさまざまな説が主張されていますが、人類進化に関する遺伝学の諸データを統計学的に評価した研究が公表されました。近年のほとんどの遺伝学的データは、我々現代人の起源が最近のアフリカにあることを支持していますが、アフリカ起源の現生人類とユーラシアの先住ホモ属(たとえばネアンデルタール人)との間で完全な置換が起きたのか、それとも混血があったのか不明なままです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/11/09 00:00
現代人と変わらない知的資質の人類の起源
 現在では、開始年代こそ異なるものの、農業は世界の何箇所かでそれぞれ独自に始められたと考えられていて、文明についても、すくなくともアメリカ大陸の諸文明とユーラシア大陸の諸文明は、それぞれ独自に始まったと考えるのが妥当だと思われます。こういう現象が起きるのも、各地域集団間において、潜在的な知的資質の差が基本的にはないからでしょう(厳密にいえば差はあるのでしょうが、集団内の個人間の差と比較するとごくわずかな違いであり、ことさらに取り上げるほどの差でもないでしょう)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/11/07 00:00
現生人類拡散の様相
 このブログにて、現生人類の起源と拡散の様相が描かれた、『人類の足跡10万年全史』や『5万年前 このとき人類の壮大な旅が始まった』といった書籍や、「現代人の起源―研究の現状と将来の展望―」といった論文を紹介してきましたが、この問題について、最近の研究動向を把握するためにも、ポール=メラーズ博士の論文を取り上げることにします。一年数ヶ月前の論文ですし、あくまでもポール=メラーズ博士個人の見解ですが、現生人類の起源と拡散の様相について、包括的に述べられた論文としては最新のものの一つでしょうから、詳し... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/11/02 00:00
人類最初のアメリカ大陸への移住についての新見解
 アメリカ大陸の移住についての研究が報道されました。じゅうらいの研究はミトコンドリアDNAの一部の分析が主だったのにたいし、この研究では、アジアとアメリカの623人分のミトコンドリアDNAの完全な塩基配列が分析され、系統区分されています。以下、この研究の概略です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/11/01 00:00
ネアンデルタール人の肌と髪の色についての研究
 メラノコルチン1受容体(MC1R)の対立遺伝子の分析の結果、ネアンデルタール人の肌の色は薄く、赤毛だったことが推測される、との研究が報道されました。“MC1R”は、人類も含めて脊椎動物の色素形成を司る遺伝子です。“MC1R”の異形では色素形成機能が減少し、肌の色が薄くなって毛髪はいわゆる赤毛になります。こうした現象をもたらす“MC1R”の異形は、現生人類では欧州人に起源があるとされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/10/26 22:20
ニコラス=ウェイド『5万年前 このとき人類の壮大な旅が始まった』
 沼尻由紀子訳・安田喜憲監修で、イースト・プレスより2007年9月に刊行されました。遺伝学の成果をおもな根拠として、考古学・言語学・形質人類学などの成果も取り入れつつ、現生人類の誕生と拡散、さらには拡散後の現生人類の様相が描かれています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/10/25 07:07
ネアンデルタール人の言語能力
 ネアンデルタール人の言語能力についての研究が、『ネイチャー』やニューヨークタイムズなどにて報道されました。この研究では、言語能力に関わるとされるFOXP2遺伝子が、スペイン北部のエル=シドロン洞窟出土の二人分のネアンデルタール人男性の人骨から採取された核DNAにあることが判明した、とされています。FOXP2遺伝子の変異と言語障害(文法を理解できなかったり、言葉を発するために必要な口の動きを制御できなかったりします)の可能性が指摘されたことから、FOXP2遺伝子は言語能力に関わっているのではない... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/10/24 07:07
遺跡から推測されるネアンデルタール人の認知能力
 今年10月11日分の記事にて紹介した、考古学者のジュリアン=リール=ザルヴァトール氏のブログにて、ネアンデルタール人の居住空間の利用についての見解が述べられました。これは、フランスのラ=フォリー遺跡(中部旧石器のムスティエ文化に属し、熱ルミネッセンス法では、年代は60100〜55300年前)を紹介したサイト(フランス語)の内容を紹介したもので、フランス語がさっぱり分からない私にとって、ザルヴァトール氏のブログの記事はたいへん有益なものです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/10/23 00:00
人類による海洋資源の利用と象徴的思考の起源
 人類の沿岸地域での居住・恒常的な海洋資源の利用・象徴的思考の起源についての研究 が報道されました。南アフリカのピナクルポイント付近にある海食洞の更新世中期の堆積物(16万4千年前頃)から、ムラサキイガイを中心とした海洋生物と獣骨とが発見された、とのことです。海洋資源の恒常的な利用の確かな証拠としては、現時点では最古のものとなります。海洋資源の利用は、人類の生活をより定住的にして、人口の増加と社会の複雑化をもたらしたのではないか、と指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2007/10/19 00:00
ネアンデルタール人のゲノム解読の問題点
 ネアンデルタール人のゲノム解読の途中成果が『ネイチャー』と『サイエンス』で発表されたことは、昨年11月16日分の記事で紹介しましたが、ネアンデルタール人と現生人類の分岐年代や、ネアンデルタール人と現生人類との交雑の可能性といった問題について、この二つの論文の結論が異なる点については、当時から指摘されていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/10/16 00:03
日本の学界におけるヒト科の分類概念と人類学用語の問題
 10月8日分の記事について、子欲居さんからご指摘をいただきましたが、コメント欄で返答するには長くなりそうなので、新規の記事を執筆してトラックバックを送ることにします。ただ、今回私が述べることは、日本語と英語の論文・報道・書籍のみを参考にしているので、あくまでも、日本と米英を中心とした英語圏のみについての、私なりの考えでしかありません。この問題について、中国の事情はまったくと言ってよいほど知りませんので、中国については言及しません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/10/13 16:02
アフリカの旱魃と現生人類の動向
 後期更新世早期のアフリカにおける大旱魃と、現生人類の動向との関係についての研究が報道されました。『サイエンス』でも取り上げられています。この研究は、一ヶ月前に公表された研究とも関連しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/10/13 16:01
人類の直立歩行の起源と大型類人猿
 現存種と絶滅種のあわせて250種以上の哺乳綱(哺乳類)の骨(分析対象とした絶滅種の骨は、2億2千万年前までさかのぼります)を分析し、人類の二足歩行の起源について言及したフィラー博士の研究が発表され、報道されました。この研究では、直立歩行を示唆するような一連の変化が、現生大型類人猿の祖先にとって、標準的だったかもしれない、とされています。つまり、人類と、チンパンジーやゴリラやオランウータンのような大型類人猿の祖先は、人類のような祖先から進化したのではないか、というわけです。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 4 / トラックバック 1 / コメント 2

2007/10/13 16:01
フロレシエンシスと共伴した石器をめぐる議論
 考古学者のジュリアン=リール=ザルヴァトール氏(どうもフランス系の人名のようですが、私は仏語がさっぱり分からないので、この表記でよいものか、自信はありません)のブログにて、インドネシア領フローレス島で発見された更新世の石器群と人骨(新種ホモ=フロレシエンシスとする見解と、小柄な現生人類とする見解があります)についての見解が述べられました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/10/11 00:01
猿人・原人・旧人・新人という日本語訳の問題について
 子欲居さんの記事にコメントをつけようと思ったのですが、長くなりそうなので、新規の記事として執筆し、トラックバックを送ることにします。私は子欲居さんと違って、中国語の文献が読めず、したがって中国の学界事情をほとんど知らないので、あくまで日本での問題のみ取り上げることにします。以下の記述では、おもに渡辺直経編『人類学用語辞典』(雄山閣、1997年)を参照しています。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 13 / トラックバック 1 / コメント 3

2007/10/08 16:41
ネアンデルタール人はじゅうらい考えられていたよりもさらに東方に進出
 この記事は、PC環境によっては文字化けしている可能性があります。もし文字化けしている場合は、「Maba(馬壩)遺跡」の箇所のみ文字化けしているのか、他の箇所も文字化けしているのか、コメント欄にて報告いただければ幸いです。もっとも、この記事全体が文字化けしていたなら、この冒頭のお願いも読めないわけですが・・・。まあそれはともかくとして、以下本題です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/10/05 00:01
古人類学の記事のまとめ(0)2006年10月以前
 2007年7月28日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して掲載しましたが、 http://sicambre.at.webry.info/200707/article_29.html 上記にまとめたもの以前の記事についても、整理しておこうと思います。私以外の人には役立たないでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 15 / コメント 0

2007/09/27 07:26
『古代文明の謎はどこまで解けたか』I、II、III
 ピーター=ジェイムズ、ニック=ソープ著、福岡洋一訳で、Iは2002年7月、IIは2004年1月、IIIは2004年12月に太田出版より刊行されました。原書は1999年の刊行です。『イリヤッド』の元ネタの一つだと、当ブログのコメント欄にてkikiさんよりご教示いただいたので、読んでみました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 6

2007/09/25 07:02
手首の研究から示されるフロレシエンシス新種説
 インドネシアのフローレス島で発見された更新世後期の人骨群については、このブログでもたびたび取り上げてきましたが、新種の人類フロレシエンシスなのか、それとも病変の個体を含む小型の現生人類なのかという問題をめぐって、激論が続いています。今回“Science”誌に掲載された研究では、手首の分析から新種説が採用されており、BBCなど多数の報道機関で取り上げられました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/09/22 00:00
ドマニシ人骨群の分析
 グルジアのドマニシで発見された180〜170万年前頃の人骨群を分析した研究が、ニューヨークタイムズやBBCなどで報道されました。8月10日分の記事でも紹介したように、エレクトス(アフリカの初期エレクトスをエルガスターと区分する見解もあります)がアフリカにおいてハビリスから進化したという通説を疑う見解が提示されており、エレクトスだけではなくホモ属自体がアフリカ以外の地域で進化したのではないか、という見解もあり、このブログで紹介したことがあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/09/21 00:00
スティーヴン=オッペンハイマー著、仲村明子訳『人類の足跡10万年全史』
 草思社より2007年9月に刊行されました。現生人類の拡散について、気候学や考古学の成果も参照しつつ、おもに遺伝学の分野の研究成果を根拠として、詳細に復元されています。原書の刊行は2003年なので、情報がやや古いのですが、基本的には今でも通用する内容になっていると思いますし、私が不勉強だということもあって、インドや東南アジアの考古学的成果や、アメリカ大陸への移住をめぐる醜聞めいた論争など、本書で新たに知ったことがらも少なからずあり、私にとってはたいへん有益な本になりました。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/09/19 00:02
ネアンデルタール人の歯の手入れ、ネアンデルタール人の絶滅と気候との関係
 ネアンデルタール人について、二つほど報道がありました。一つ目は、ネアンデルタール人の歯の手入れについてです。鹿などの化石とともにマドリッドで発見された、63400年前頃のネアンデルタール人(推定30歳)の二つの臼歯を調べたところ、歯の手入れをしていたことが判明した、との見解が報道されました。二つの臼歯には、鋭い物体が通ったことにより形成される溝がありましたが、これは歯を磨くために小さな棒が使用されたことを確定します、と研究者は指摘しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/09/14 00:00
出アフリカと気候の関係
 出アフリカには気候が大きく関係していた、とする研究が報道されました。イスラエル南部のネゲヴ砂漠の洞窟の錘乳石・石筍・二次生成物を調べたところ、異常に降水量の多かった時代が14万年前頃に始まることが分かり(11万年前頃まで続き、13万年前頃から12万5千年前頃までがもっとも降水量の多かった時期とされます)、これは現生人類の中東への最初の進出時期と一致する、とのことです。多雨期にはサハラ砂漠やシナイ半島の砂漠が縮小し、それらの地域を経由して現生人類が出アフリカを果たしたのだ、とも推測されています。... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/09/11 00:02
アン=ギボンズ著・河合信和訳『最初のヒト』
 新書館より2007年8月に刊行されました。この十数年間、最初の人類候補の化石が相次いで発見された感がありますが、著者は、発見をめぐる競争の激化や確執など、あまり表に出てこない内幕や研究者の人物像にも触れつつ、100年以上に及ぶ最古の人類をめぐる論争を的確にまとめており、かなりの好著だと思います。分かりやすい図表が掲載されているのもさることながら、河合氏の翻訳だけあって、他の古人類学関係の翻訳本にしばしば見られる、専門用語を翻訳するさいの不統一がないのもよいと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/09/06 00:00
東南アジア島嶼部の石器をめぐる議論
 インドネシア領フローレス島における更新世の石器の発見などを受けて、東南アジア島嶼部の石器文化の通説を見直そうとする見解があります。東南アジア島嶼部の石器研究では、石核石器はエレクトスに、剥片石器は現生人類に関連づけられてきましたが、フローレス島の証拠から判断すると、石核石器と剥片石器は、石材の縮小過程の異なる側面を示したものにすぎず、区別することに意味はないとされます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/09/05 00:00
本格的な狩猟・現代的な行動の起源
 現代的な行動がいつ始まったのかという議論に一石を投じる研究が公表され、報道されました。これは、イスラエルのハイファ大学のチームによる研究で、イスラエルにあるカルメル山のミスリヤ洞窟からの出土遺物を分析したものです。カルメル山は、古人類学に関心のある人にとっては馴染みの場所であり、有名なスフール遺跡やタブーン遺跡もカルメル山にあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/31 00:00
ゴリラの祖先発見?
 エチオピアで、1000万年前頃の大型類人猿の九つの歯(最低でも三個体分の歯が存在します)が発見された、との研究が報道されました。 http://dx.doi.org/10.1038/nature06113 http://www.nature.com/news/2007/070820/full/448844a.html http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6958313.stm ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/08/24 07:23
エジプトで人類の足跡が発見される
 エジプト西部の砂漠地帯にあるシワ=オアシスで、エジプト最古のものになるかもしれない人類の足跡(これまでは、エジプトで最古の人類の痕跡は20万年前頃のものでした)が発見された、との報道がありました。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6956902.stm ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/22 07:55
フロレシエンシスの上腕や肩についての研究
 フロレシエンシスの正基準標本である‘LB1’人骨の上腕や肩を分析したところ、現生人類とは異なるという結果が得られた、との研究が公表されました。‘LB1’の上腕骨はかなり現代人的ですが、110度という上腕骨後捻角は、現代人の平均値をかなり下回るものでした。おそらく、フロレシエンシスには現代人のような形態の肩はなく、現代人と比較して、フロレシエンシスの鎖骨は比較的短く、肩甲骨は長かったとされています。また、こうしたフロレシエンシスの形態は、1984年にケニアで発見された、「トゥルカナボーイ」と呼ば... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/18 08:42
海部陽介「現代人の起源―研究の現状と将来の展望―」
 『人類がたどってきた道―“文化の多様化”の起源を探る』(NHKブックス、2005年)の著者である海部氏の論文です。2年前の論文ですが、現生人類の起源をめぐる議論について詳しく紹介した日本語文献としては最新のものだと思いますので、このブログでも取り上げることにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/16 06:46
ネアンデルタール人の復元図
 ネアンデルタール人の評価をめぐる報道がありました。ネアンデルタール人がいかなる人類だったのか、現生人類との混血があったのか、などの点について、最近の見解が紹介されています。とはいっても、このブログでまだ取り上げていないような新情報はとくにないのですが、これまで見たことのなかったネアンデルタール人の復元図が見られるので、このブログに掲載することにしました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/08/15 07:11
ハビリスは現代人の祖先ではない?
 ケニアのトゥルカナ湖近くで2000年に発見された、155万年前頃のホモ=エレクトス(鮮新世末?〜更新世前期におけるアフリカのエレクトス的な人骨を、エルガスターという種に区分する研究者います)人骨と、144万年前頃のホモ=ハビリス人骨は、エレクトスがハビリスから進化したという、人類進化の通説を修正するものになるかもしれない、との研究が報道されました。BBCなどでも報道されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/10 00:00
歯の分析から見た更新世の人類
 前期〜中期更新世における人類の5000以上もの歯の形態を分析したところ、ユーラシア大陸とアフリカ大陸の人類はそれぞれ比較的独立して進化したことと、欧州人の歯はアフリカ人よりもアジア人と似ており、欧州最初の人類は、アフリカよりもアジアの人類の遺伝的影響が強かったこととが推測される、との研究が報道されました。ただ、これが現生人類の起源についての論文ではないことには注意すべきでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/09 00:01
ルーマニアの現生人類人骨に見られるネアンデルタール人的特徴
 1942年にルーマニアで氷河期の洞窟熊の骨とともに発見された現生人類の人骨‘Cioclovina 1’は、ネアンデルタール人的特徴を有しており、現生人類とネアンデルタール人との混血を示唆している、とのエリック=トリンカウス教授らの研究が発表され、報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/07 00:04
ネアンデルタール人と現生人類の頭骨の違い
 20体のネアンデルタール人の頭骨と、30の人類集団からなる2524人の現生人類の頭骨とを、標準的な37の頭蓋測定を行なって比較した研究が発表され、報道されました。その結果、ネアンデルタール人と現生人類の頭骨の違いは、適応的要因ではなく、遺伝的要因によるものだとされています。適応的要因とは、寒冷な気候への適応や、歯を道具として使用していたことによるもの(文化主因説)、といった説明です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/08/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(1)2006年11月〜2007年7月
 昨年10月に人類史についての私見を述べましたが、 http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/052.htm その後にもぞくぞくと新たな研究が発表され、このブログの古人類学の記事もかなり増えてきましたので、人類史の改訂版を執筆するときのために、ブログの記事を整理しておこうと思います。私以外の人には役立たないでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 16 / コメント 0

2007/07/28 00:01
ネアンデルタール人のゲノム解読と試料汚染の問題
 古生物のDNAを解析するうえで問題となるのは、その生物の死後に微生物によってDNAが汚染されることと、分析する研究者のDNAが混入することですが、その問題の解決のための技術的方法の確立は可能であるとする研究が、ドイツのライプツィヒにあるマックス=プランク進化人類学研究所のスヴァンテ=ペーボ教授(ネアンデルタール人のDNA解析の第一人者)率いる研究チームによって発表され、報道されました。ネアンデルタール人研究の第一人者であるエリック=トリンカウス教授は、問題が完全に解決されたわけではないが、重要... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/07/23 00:00
単一起源説を支持する頭骨の研究
 世界の105の民族の、2000年前以降の6000以上もの頭骨を、37項目(頭骨の幅や長さなど)にわたって分析した結果は、現生人類のアフリカ単一起源説を支持する、との研究が発表され、報道されました。これは、ケンブリッジ大学のアンドレア=マニカ博士(人口生物学)とウイリアム=アモス博士(遺伝学)と、佐賀大学の埴原恒彦博士(形質人類学)との共同研究です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

2007/07/20 00:00
二足歩行の効率性
 踏み車を二足と四足のどちらでも回せるように訓練された、大人のチンパンジー5匹と、4人の人間との歩行(踏み車を回すという実験)のさいのエネルギー利用効率を比較したところ、後者が前者よりも約4倍効率的だということが判明した、とする研究が発表され、報道されました。 http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/0703267104v1 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6902379.stm ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/07/19 00:00
エチオピアで380〜350万年前頃の人骨発見
 エチオピアのアファール砂漠において、380〜350万年前頃の人骨(いくつかの完全な顎の骨と、一つの部分的な骨格)が発見された、との報道がありました。これらの人骨は、「ルーシー」として有名なアウストラロピテクス=アファレンシスの女性化石が発見された場所より、30km離れたところで発見されたそうです。380〜350万年前頃の人骨は少なく、この間の人類進化史を構築するにあたって、貴重な資料となるでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/07/13 00:00
インドにおける人類の痕跡、および大噴火によるびん首効果への疑問
 インドネシアのトバの大噴火(74000年前頃)と人類の人口減少とを結びつける見解に否定的な研究が公表され、“nature”や“National Geographic”などで報道されました。トバの大噴火は人類史上最大級のものとされ、その灰が遠くインドにまで到達しているように(このサイトの図1を参照してください)、気候にも大きな影響を与えたのではないかと推測されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/07/07 14:39
フロレシエンシスについての新刊本の書評
 フロレシエンシスを発見した調査団を率いたマイク=モルウッド教授の執筆によるフロレシエンシスについての本が2007年5月に刊行され(サイエンスライターのペニー=ヴァン=オーステルゼー氏との共著)、その書評が公開されました。基本的に新情報はないようですが、種名決定の経緯など私が知らない情報もあるようなので、なかなか面白そうです。当事者による執筆ですから、フロレシエンシス人骨の損傷?をめぐる騒動についての記述も気になるところです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/07/06 22:03
革新者としてのネアンデルタール人?
 ネアンデルタール人についてのテリー=ホプキンソン博士の見解が報道されました。上部旧石器文化的なシャテルペロン文化を例外として、ネアンデルタール人の文化は中部旧石器に属していて、そのためかつては、ネアンデルタール人とは中部旧石器文化をもつ人類である、と定義されたこともありましたが、現生人類のなかにも中部旧石器文化を有した集団がいることが判明したので、現在ではこの定義は用いられていません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/07/04 18:34
西欧最古の人類
 スペイン北部のアタプエルカ遺跡で先月27日に発見された小臼歯は、120〜100万年前頃という西欧最古の人類のものだと判明した(推定年代の根拠は出土した地層)、との報道がありました。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6256356.stm ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/07/02 07:24
人類の定住は40万年前頃に始まる?
 リビア南西部のフェザン湖畔のブドゥリナ遺跡や、エチオピアのアワシュ川沿いのメルカ=コンチャ遺跡では、40万年前頃の石小屋の跡と多数の石器が発見されており、これは人類の定住を示唆するものではないか、との研究が報道されました。ハンブルク大学考古学研究所のヘルムート=ティーゲルト教授によると、アルゴン法・石器類型学・層序学により年代が推定され、おそらく40〜50人ていどの集団が利用した遺跡だろう、とのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/06/28 06:57
アフリカヌスとロブストスの食性
 アフリカヌスとロブストスの食性について、研究が発表され、報道されました。アフリカヌスとロブストスは、歯の化学的分析から、草や草食動物を食べていたのではないか、と最近になって指摘されるようになりました。しかし、アフリカヌスとロブストスの歯は平坦で広いので、草や肉を噛みきるよりは、固いものを噛み砕くのに適しており、歯の形態的特徴と化学的分析とが一致しないのではないか、との指摘もありました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/06/20 00:01
日本最古の現生人類
 1968年に那覇市山下町で発見された37000年前頃の幼児の右足の骨は、現生人類(ホモ=サピエンス)のものであることが確認された、との報道がありました。 http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706091300_01.html ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/06/15 00:00
ネアンデルタール人には精神的悩みが少なかった?
 人類の特徴である言語と創造性は、大脳新皮質のある部分の成長期間が延びたことによるもので、それは精神的障害とも関連したものであり、その遺伝的変化(複数の可能性もあります)は、現生人類の誕生時か、現生人類の種形成後に生じたものだろう、とする研究が発表され、報道されました。またこの研究では、ネアンデルタール人の脳は現生人類と比較して急速に成長し、その結果ネアンデルタール人の言語と創造性は発達しなかったので、ネアンデルタール人は現生人類と比較して、精神的障害に悩まされることは少なかっただろう、ともされ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/06/13 06:58
モロッコの貝殻製のビーズは82000年前頃のもの
 モロッコのタフォラルトで発見された貝殻製のビーズは、ルミネッセンス法とウラン系列法での測定の結果、82000年前頃のものと判明した、との研究が発表されました。このビーズはムシロガイに穴を開けたものであり、赤いオーカーで覆われています。同様の貝殻製のビーズは、南アフリカのブロンボス洞窟で77000年前頃のものが、イスラエルのスフール洞窟で10万年前頃のものが発見されていますが、モロッコのビーズは、ブロンボス洞窟のものと同じ属の貝で作製されている、とのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/06/08 19:49
直立二足歩行は樹上で始まった?
 現代のオランウータンの行動を観察した結果、直立二足歩行は、人類と類人猿の共通祖先の段階において樹上で始まったという推測にいたった、との研究が発表され、報道されました。 http://www.sciencemag.org/cgi/content/short/316/5829/1292 http://www.eurekalert.org/pub_releases/2007-05/aaft-lft052407.php この報道には日本語訳もあります(PDFファイル)。 http://www.... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/06/02 15:56
フロレシエンシスを発見した調査団の発掘計画
 フロレシエンシスが発見されたインドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟の再発掘が許可された、との報道は以前このブログでも紹介しましたが、フローレス島だけではなく、その近くのティモール島とスラウェシ島でも発掘の予定がある、との報道がありました。発掘は来月から始まり、まずティモール島での発掘の後にスラウェシ島で発掘を行い、その後にリアン=ブア洞窟の発掘を再開するとのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/05/23 07:36
アボリジニーのDNA分析
 オーストラリアの人類は、4万年前頃には華奢型だったのに1万数千年前頃には頑丈型になったとよく言われていて、古人類学上の謎であるとされてきましたが、多地域進化説では、オーストラリアには東アジア南部起源の華奢な系統の人類と、エレクトスの子孫である東南アジア起源の頑丈型の系統の人類がいて、両者の混血の結果として現代アボリジニーが誕生したとされていて、オーストラリアの古人骨は多地域進化説のじゅうような根拠とされてきました。しかし、これは性別の違いを反映したものだとの批判もあります。また、ディンゴが50... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/05/15 06:50
類人猿の身ぶりと言語の起源
 チンパンジーとボノボの身ぶりが、人類の言語の起源を解明する手がかりとなるかもしれない、とする研究が発表され、報道されました。 http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/0702624104v1 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6610447.stm  比較対象となったのは、チンパンジーとボノボそれぞれ二つの集団(チンパンジーは計34匹、ボノボは計13匹)で、両者の意思伝達方法における、合図と特定の... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/05/11 07:00
ネアンデルタール人と現生人類の混血問題
 4月25日の記事で、ネアンデルタール人と欧州の初期現生人類との間に混血があった、とするトリンカウス教授の研究について述べましたが、ワシントンポストでもこの研究が紹介されています。ネアンデルタール人は現生人類と比較して知的な面で劣っていたわけではないようだが、社会構造の発展と新技術の開発能力という点で現生人類に劣っていたようだ、とのトリンカウス教授の見解は、私の考えと近いものがあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/05/04 10:03
8000年以上前に北海に水没した遺跡
 石油探査技術により、海面上昇の結果8000年以上前に北海に水没してしまった遺跡が確認された、との報道がありました。ただ、「失われた国」という表現は、誤解を招きそうなので控えたほうがよいと思うのですが・・・。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/6584011.stm ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/04/27 21:40
欧州の初期現生人類とネアンデルタール人の運命
 欧州の初期現生人類とネアンデルタール人の形態学的観点からの研究が発表されました。 http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/0702214104v1  著者は、ネアンデルタール人研究の世界的権威であるエリック=トリンカウス教授で、題名が「欧州の初期現生人類とネアンデルタール人の運命」となると、また混血説か、と思う人が多いでしょうが、その予測通り、やはり現生人類とネアンデルタール人との混血の可能性が指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/04/25 19:02
フロレシエンシスの形態と島嶼化
 フロレシエンシスの小柄な形態は島嶼化によるもの、との研究が発表され、報道されました。島嶼化とは、小さな孤島に大型動物が長期間隔離されると小型化するという現象で(逆に、小型動物は大型化します)、フロレシエンシスの発表当初から、この小柄な形態は島嶼化によるもの、と説明されていました(新種説ではなく現生人類説を主張していた研究者も同様です)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/04/25 19:02
アファレンシスは現生人類の祖先ではない?
 最近発見されたアウストラロピテクス=アファレンシスの下顎枝は、形態論的にはゴリラと似ている、という研究が発表されました。 http://www.pnas.org/cgi/content/short/104/16/6568 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/04/19 07:55
更新世中期の人類の分類学(ハイデルベルゲンシスとは何者か?)
 フィラデルフィアで開催された米国自然人類学会総会のフロレシエンシスに関する報告については、3月31日分でも述べましたが、 http://sicambre.at.webry.info/200703/article_32.html ほかにもいろいろと興味深い報告があり、今回はそのうちの一つについて述べようと思います。 http://www.physanth.org/annmeet/aapa2007/aapa2007abstracts.pdf のP167に概要が掲載されています。 ...続きを見る

かわいい ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/04/11 07:37
中国で現生人類の人骨発見
 北京近くの周口店洞窟で、42000〜39000年前頃の一人の人間のものである骨片34個が2003年に発見され、その研究成果が発表された、との報道がありました。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6518527.stm http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2007/402/2 この論文は、『全米科学アカデミー紀要』に掲載されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/04/04 07:14
ルドルフェンシスの復元
 1972年にケニアで発見された人骨‘KNM−ER1470’は、大きな脳(752cc)と平らな顔面というホモ属と似た特徴を持ちながら、年代が古い(当初は290万年前頃とされましたが、現代では190万年前頃とされています)ということで、人類史上の位置づけ・分類をめぐって、長期にわたって議論がなされてなかなか決着せず、人類種区分の困難さ・人類進化の複雑さを象徴していると化石だと言えるでしょう。  現在では、一応ホモ=ルドルフェンシスという種に分類されており、その基準化石となっていますが、ルドルフェ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/04/03 07:00
フロレシエンシスについての報告
 先日フィラデルフィアで開催された米国自然人類学会の総会にて、フロレシエンシスについての報告があったとのことです。 http://www.physanth.org/annmeet/aapa2007/aapa2007abstracts.pdf さすがに全部を読んではいませんが、フロレシエンシスについての報告も二件あり(P63〜、P177〜)、その他にも多数の興味深い報告がありそうで、読んでみて面白いものがあれば、このブログにて後日紹介しようと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/03/31 16:16
日本とチベットの近縁性?
 先日このブログで述べた、篠田謙一『日本人になった祖先たち』では、 http://sicambre.at.webry.info/200703/article_9.html Y染色体DNAの分析にも1章割かれていると紹介しましたが、そこにはY染色体のハプログループについて興味深いデータが掲載されています。とはいっても、このデータは日本人の起源論に関心のある人にとってはよく知られたものなので、目新しさはありません。  そのデータは、Y染色体のハプログループDについてのものなのですが、現代日本人... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

2007/03/30 19:42
クラーク=ハウエル博士死去
 偉大な古人類学者であるクラーク=ハウエル博士が、3月10日に癌のため81歳で亡くなったとの報道がありました。進化総合説の旗手として学界に登場し、考古学・地質学・進化生物学・生態学・霊長類学・民族誌学などを統合した、現在の古人類学の成立にたいへんじゅうような役割をはたしました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/03/22 19:03
交雑による種分化
 交雑による種分化は、じゅうらい考えられていたよりも頻度が高い可能性がある、との研究が発表され、報道されました。この報道には日本語訳もあります。もっとも、交雑による種分化はあくまで例外的なものにすぎない、との批判も根強くあるようで、進化において交雑がどのていどの役割を果たしてきたのか、すぐに決着することはなさそうです。  これはもっともなことで、進化や気候変動の仕組みといった、長期の観察を必要とする自然現象の解明は、現代科学が苦手としている分野といってよいでしょうから、進化という現象が広く認知... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/03/16 21:03
16万年前頃の化石の成長速度は現代人と同じ
 ドイツのライプツィヒにあるマックスプランク進化人類学研究所などの国際研究チームの研究により、モロッコで1968年に出土した16万年前頃のホモ=サピエンス(現生人類)の歯の化石(7〜8歳頃と推測されています)を分析したところ、現代人と同じ成長速度だったということが判明し、報道されました。 http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2007/312/1 この論文は、『全米科学アカデミー紀要』に掲載されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/03/15 07:34
新たな年代観による困惑
 先史時代の年代は定かではなく、油断していると、新しい年代観に基づいた先史時代観からすると的外れな見解を述べてしまうということも珍しくありません。現生人類(ホモ=サピエンス)の登場年代についても、私のように30代半ば以上だと、高校では4万年前頃と教わったものですが、現在では20万年前頃にさかのぼる可能性が指摘されています(やや「古代的」な現生人類となると、遅くとも16万年前頃には登場していたのが確実視されています)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/03/10 10:27
篠田謙一『日本人になった祖先たち』
 NHKブックスの一冊として、2007年2月に日本放送出版協会から刊行されました。ミトコンドリアDNAの分析からみた、現生人類の各集団の系統関係・移動経路や日本人の成立過程について論じられていますが、Y染色体DNAの分析にも1章割かれています。  古人類学に興味のある私ですが、ミトコンドリアDNAのハプログループの分析による人類集団の区分や起源論にはこれまでさほど関心が強くなく、あまり本を読んでこなかったので、手ごろな入門書として読んでみようと思った次第ですが、なかなかの好著だと思います。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/03/09 08:01
注目される海面下
 現生人類が世界各地に拡散した経路として、内陸部だけではなく海岸沿いも注目されるようになりましたが、現生人類が世界の主要な地域に拡散した更新世後期は、現在よりも寒冷な時期が珍しくなく、寒冷期には現在よりも海面が低いため、広大な陸地が広がっていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/03/08 07:36
人類とチンパンジーとの分岐年代
 人類と、現存生物でもっとも人類に近いチンパンジーとの分岐年代については、ながらく500万年前頃というのが通説となっていたのですが、21世紀になって、700〜600万年前頃にさかのぼるかもしれない人骨の発見が発表され、人類の起源を探るうえでこの年代差が問題となっていました。  ところが、不確定な時系列のデータをモデル化するために有効とされる、「隠れマルコフモデル」と呼ばれる統計的手法(元来は音声認識のために開発されたそうです)を発展させ、これを人類・チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの、合計... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/03/02 22:24
シャテルペロン文化についての論争
 2005年に“nature”誌に掲載されたポール=メラーズ教授らの論文は、ネアンデルタール人の所産とされるシャテルペロン文化の遺跡である妖精洞窟のB−4層に、現生人類の文化とされるオーリニャック文化がごく短期間挟まっている、というものでした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/02/27 07:32
アメリカ大陸最古の移住者は?
 アメリカ大陸に最初に移住した人類は、13000年前頃のクローヴィス文化集団だというのが長い間定説となっていましたが、近年になって、14000年前頃の遺物が出土し(その他にも、もっと古い人類の痕跡も主張されてはいますが)、アメリカ大陸への移住はもっと古いのではないか、最古の移住者はクローヴィス文化集団とは違うのではないか、との見解も真剣に検討されるようになりました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/02/24 09:35
チンパンジーが狩りのさいに木の棒を使用
 チンパンジーが他の霊長目の動物を素手で狩って食べることがあるのはよく知られていますが、セネガルのチンパンジーは、枝や木の空洞にいる動物を狩るさいに、細い木の棒(平均して長さは60cm、直径は11mm)を用いることがあるとの研究(全文を無料で閲覧でき、PDFファイルの形式でダウンロードも可能です)が発表され、報道されました。BBCなどでも報道されていますが、海外の報道機関では「槍」と表現しているところが多いようです。  枝をもぎとり、樹皮をはがし、歯を用いて棒の先を鋭くするといった工程は、最大... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/02/23 22:04
ネアンデルタール人は寒冷化により絶滅
 ネアンデルタール人は急激な寒冷化が原因で絶滅したとの研究が発表され、報道されました。これは、海洋堆積物の分析などから気候変動を推定復元し、ネアンデルタール人の絶滅と結びつけた研究です。この気候変動は、地球と太陽の位置関係の影響によるものではないか、と推測されています。  寒冷化にともない、ネアンデルタール人は欧州各地から姿を消していき、より温暖なイベリア半島南部に避難したのですが、そこでも24000年前頃には、けっきょく寒冷化が短期に急激に進行し、その結果としての水不足と、狩猟対象としていた... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/02/21 21:27
チンパンジーの石器使用は4300年前から?
 チンパンジーが4300年前頃から石器を使用していたのではないか、との報道がありました。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6356773.stm http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070213i212.htm この研究は『全米科学アカデミー紀要』に掲載されます。 http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0607909104 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/02/14 07:05
ピロリ菌と現生人類の起源
 現生人類がピロリ菌に感染したのは58000年前頃の東アフリカにおいてだった、とする論文が発表され、BBCや毎日新聞でも報道されました。ピロリ菌は、人類の胃に感染し、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌などの原因になることもあり、現在世界の半数近くの人々がピロリ菌に感染しているとされます。  世界各地の現代人のピロリ菌の遺伝子を分析したところ、現生人類は58000年前頃に東アフリカでピロリ菌に感染し、ピロリ菌はその後、欧州型・アジア型・アメリカ型へ進化したと考えるのが妥当であり、年代はやや新しいものの、... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/02/13 06:54
人類のアメリカ大陸への初の移住は15000年前頃
 古くから議論になっている、人類のアメリカ大陸への移住時期について、アラスカ南部のプリンスオブウェールズ島の「膝の上洞窟」で発見された、10300年前頃の人骨から抽出したミトコンドリアとY染色体のDNAを分析し、現代のアメリカ大陸の先住民3500人と比較したところ、アメリカ大陸への初の移住は15000年前頃と推測される、との研究が発表され、報道されました。  以前にも、ミトコンドリアDNAの分析からアメリカ大陸移住の時期が推測されたことがありますが、その推定値は古すぎたのではないか、というのが... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/02/08 20:34
フロレシエンシスは新種の人類
 今日行なわれた川崎記念は、リアルタイムで見られず、動画もまだ見ていないので、回顧は明日以降に掲載し、今日はフロレシエンシスについての新情報を掲載します。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/31 22:17
いわゆる先史時代の時代区分について
 有史時代にせよ先史時代にせよ、その時代区分の基準は欧州にあり、日本列島の時代区分も、欧州の区分に強引にあてはめてきた側面が多分にあるのは否定できません。欧米が近現代ではたした役割・世界各地におよぼした影響を考えれば、欧州をモデルとした時代区分が世界各地に適用されたのは無理もないところがありますが、やはり強引なところがあったのは否めず、世界各地での研究を地道に積み重ね、その成果を統合していくしかないのでしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/27 13:44
リアン=ブア洞窟の再発掘の許可が下りる
 小柄な人骨の発見された、インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟の再発掘の許可がインドネシア当局から下りた、との報道がありました。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6294101.stm  これが人類の新種ホモ=フロレシエンシスなのか、それとも小頭症による発達障害の小柄な現生人類なのかということをめぐって、2004年10月の発表以降激論が展開されており、私もこのブログや昨年10月に公開した人類史についての私見でたびたび取り上げてきまし... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/26 20:11
ネアンデルタール人への関心の高さの要因と、今後のアフリカへの期待
 絶滅した古人類の中でも、ネアンデルタール人はもっとも関心が高く、広く知られている人類といえるでしょう。その理由については、昨年10月に公開した人類史についての私見で述べましたが、 http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/052.htm まとめると、 ●ネアンデルタール人は、欧州や西アジアといった発掘の進んでいる地域に分布しており、発掘数が多く研究が進展している。 ●現生人類にかなり近く、現生人類にとって最後の隣人であると考えられてきたので(現在では、フロ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/25 20:39
ネアンデルタール人と現生人類との混血
 ルーマニア南西部の「骨の洞窟」で2003〜2005年に発見された人骨は、ネアンデルタール人と現生人類との混血を示しているかもしれない、との論文が発表され、報道されました。  人骨は40000〜35000年前頃のもので、基本的には現生人類のものとされましたが、額が後退していることやかなり大きい大臼歯など、ネアンデルタール人と共通する特徴も併せ持っており、これはネアンデルタール人と現生人類との混血を示しているのではないか、と推測されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/19 21:45
現生人類の欧州への移住時期と経路、ユーラシアの現生人類の起源
 現生人類の欧州への移住時期は45000年前頃になり、その移住経路はこれまでに考えられていたものとは異なる可能性がある、との論文が発表され、報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/15 21:00
社会的余剰と生活水準と戦争の起源について
 一般的に、社会的余剰は完新世における農耕の開始とともに始まり、更新世における採集狩猟社会はたいへん貧しく平等な社会だった、と考えられているようですが、古人類学を学んでいると、そうした考えとは矛盾するような証拠を突きつけられることが少なからずあります。  まず世界的な傾向として、更新世から完新世へと移り、農耕が本格的に始まるようになると、人類の体格が小さくなり、栄養不良による成長障害など、「不健康」な人が増えた、という指摘があります。更新世の採集狩猟社会だと、体格のよい人しか成人になるまで生き... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/01/13 14:28
今年の古人類学界(3)ネアンデルタール人関連の議論
 ネアンデルタール人をめぐっては、今年になって重大な研究が相次いで報告され、2006年は、ネアンデルタール人研究にとって大きな進展のあった1年だったと言えるでしょう。  新C14法による欧州旧石器時代の実年代の見直しは、当然のことながらネアンデルタール人の位置づけにも影響を及ぼしますが、この問題については、すでに今年の古人類学界(1)で取り上げたので、 http://sicambre.at.webry.info/200612/article_27.html 今回は他の成果について述べていき... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 0

2006/12/27 18:34
今年の古人類学界(2)フロレシエンシスをめぐる議論
 2004年の発表以降、古人類学界で激しい議論が展開されているフロレシエンシスをめぐる問題については、今年も新種認定派と否定派との間で活発な議論の応酬があり、このブログでも度々取り上げました。 http://sicambre.at.webry.info/200608/article_22.html http://sicambre.at.webry.info/200609/article_7.html http://sicambre.at.webry.info/200610/article_... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/12/26 18:52
今年の古人類学界(1)新C14法・象徴的思考・最古の子供人骨・ロブストスの食性
 この1年の古人類学の動向について、今日から何回かに分けて振り返っていこうかと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/12/25 18:52
ネアンデルタール人の成長速度
 これまで歯の分析から、ネアンデルタール人は現生人類と比較して成長が早く(それどころか、サピエンスとの共通祖先種と考えられるハイデルベルゲンシスよりも早いとされていました)、小児期が短かったとされていたのですが、改めてネアンデルタール人の臼歯を分析し、英国人・アフリカ南部の人々・アラスカのイヌイット(紀元500年の遺体から現代人まで)という三つの現生人類集団と比較したところ、成長速度が現生人類と変わらなかった、との論文が発表され、報道されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/12/08 21:58
ネアンデルタール人の食人習慣?
 マドリードにある国立自然科学博物館のアントニオ=ローザス博士率いる研究チームが、43000年前頃のスペイン北部のアストゥリアスのエルシドラン地下洞窟で出土した歯と骨を分析したところ、ネアンデルタール人にとって飢餓と食人習慣は日常的なことだった、との研究が発表され報道されました。 http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0609662104 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6209554.stm http://dsc... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/12/08 21:57
ネアンデルタール人と現生人類との、性別・年齢別分業の違い
 今日はもう一つ、古人類学関連で更新します。 http://sicambre.at.webry.info/200612/article_6.html  の冒頭で触れた(2)なのですが、現代の採集狩猟民に見られるような、性別や年齢別に基づいた分業は、上部旧石器時代の開始まで認められない、とする論文がアリゾナ大学のスティーヴン=クーン博士とメアリー=シュタイン博士によって発表され、報道されました。  中部旧石器時代までの人類は大型獣の狩猟への依存度が高いといったように、現在の採集狩猟社会と比較... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/12/06 21:42
アフリカで7万年前頃の儀式の跡が発見される
 古人類学関係で面白そうな報道が複数ありました。 (1)世界最古の儀式の跡がボツワナで発見された。 (2)ネアンデルタール人と現生人類との、労働の性的分業の違い。 (3)ネアンデルタール人の食人習慣。  まだ全部は詳しく把握していないのですが、とりあえず今回は、(1)について述べていきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/12/06 21:41
ネアンデルタール人のゲノム解読の途中経過報告
 米独の研究機関が、クロアチアのヴィンディヤ洞窟で発見された、38000年前頃のネアンデルタール人の大腿骨から核DNAを取り出し、ゲノム解読を進めているということは、以前このブログでも紹介しましたが、 http://sicambre.at.webry.info/200607/article_21.html 現時点での成果が、『nature』と『Science』で公表され、マスコミでも報道されました。 http://www.nature.com/nature/focus/neandertha... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/11/16 21:02
ロブストスの食性
 いわゆる頑丈型猿人のロブストス(アフリカ南部に180〜100万年前頃存在し、アウストラロピテクス属またはパロントロプス属に分類されます)の食性が、歯の分析の結果、通説とは異なることが判明した、との研究が公表されました。 http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2006/1109/1 http://www.eurekalert.org/pub_releases/2006-11/uoca-vdo110606.php ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/11/13 19:38
ネアンデルタール人と現生人類との混血?
 分子遺伝学の分野から、現生人類以外のホモ属の人類集団(論文では“archaic Homo”と表記、ここでは「絶滅ホモ属」としておきます)と現生人類との混血を指摘する論文が公表されました。 http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/0606966103v1 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/11/09 19:01
ルーマニアの3万年前頃の人骨
 ルーマニアのPestera Muierii洞窟で発見された人骨は、年代測定の結果、3万年前頃のものだと判明した、との報道がありました。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6099422.stm  この洞窟からは、1952年以降、人骨が発見されているのですが、セントルイスのワシントン大学のエリック=トリンカウス教授とその同僚が、人骨から直接試料を採取して分析した結果、3万年前頃と判明した、とのことです。  また、トリンカウス教授の分析による... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/11/04 06:59

トップへ | みんなの「古人類学」ブログ

雑記帳 古人類学のテーマ/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]