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みんなの「古人類学」ブログ


異なる石器伝統と共存していたスペイン北西部の中期更新世のアシューリアン

2018/02/20 00:00
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。スペイン北西部の中期更新世のアシューリアン(Acheulean)石器群に関する研究(Méndez-Quintas et al., 2018)が報道されました。ヨーロッパにおけるアシューリアンの起源に関しては、スペイン南東部の90万年前頃の事例(関連記事)など、前期更新世までさかのぼる、との見解も提示されています。しかし本論文は、中期更新世となる海洋酸素同位体ステージ(MIS)12以前のヨーロッパにおけるアシューリアンと主張されている事例に関しては、年代もしくは石器群の同定に疑問がある、と指摘しています。

 本論文が分析対象にした石器群は、スペイン北西部のガリシア州のポルトマイオール(Porto Maior)遺跡で発見されました。ポルトマイオール遺跡のすぐ近くを流れるミーニョ川(Miño River)の対岸はポルトガル領となります。本論文は、ここで発見された合計3698点の石器を分析しました。アシューリアン石器の密集がポルトマイオール遺跡の特徴ですが、10cm 以上の長さとなる両面もしくは片面を調整した大型の石器(large cutting tools、略してLCT)の高密度の集積は、これまでアフリカと西アジアでしか確認されておらず、ヨーロッパではポルトマイオール遺跡の石器群が確認された初めての例だ、と指摘されています。

 ヨーロッパのアシューリアンについてはアフリカ起源説が有力ですが、アフリカとは直接的には関係なく、ヨーロッパで技術が再開発された、との見解も提示されています。本論文は、アフリカのアシューリアンとの類似性から、ポルトマイオール遺跡のアシューリアンはアフリカ起源だろう、と推測しています。ポルトマイオール遺跡では、LCTの他に、剥片や石核などが確認されています。石器の材料の91.8%は珪岩です。石器の使用痕分析から、材木や骨や動物死骸に用いられたのではないか、と推測されています。

 ポルトマイオール遺跡のアシューリアン石器群の年代は、電子スピン共鳴法(ESR)や光刺激ルミネッセンス法(OSL)などから、293000〜205000年前頃と推定されています。この年代の南西ヨーロッパには、ポルトマイオール遺跡のアシューリアンとは技術的に異なる初期中部旧石器も確認されます。本論文は、ポルトマイオール遺跡のアシューリアンが「侵入者」たる集団によりもたらされた可能性を提示し、技術的に異なる石器群の共存から、中期更新世の南西ヨーロッパでは異なる複数のホモ属集団が共存していたのではないか、と示唆しています。

 本論文のこうした見解は、ホモ属遺骸の分析から、中期更新世のヨーロッパ南西部では複数のホモ属系統が共存していた、と想定する見解と整合的です。たとえば、スペイン北部で発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)的特徴を有する43万年前頃の人骨群(関連記事)、40万年前頃のポルトガルの人類頭蓋(関連記事)、ネアンデルタール人的特徴と祖先的特徴を有する中期更新世のフランスの下顎(関連記事)といったホモ属遺骸の分析・比較から、中期更新世ヨーロッパにおけるホモ属の多様性が指摘されています。後期更新世になると、ヨーロッパではネアンデルタール人以外のホモ属が確認されていませんが、それ以前は、ネアンデルタール人の(複数の)祖先集団だけではなく、ネアンデルタール人とは近縁関係にはなく、後期更新世に子孫の存在していない(もしくは、ヨーロッパのネアンデルタール人にはほとんど遺伝的影響を与えていない)系統のホモ属も存在した可能性が高そうです。


参考文献:
Méndez-Quintas E. et al.(2018): First evidence of an extensive Acheulean large cutting tool accumulation in Europe from Porto Maior (Galicia, Spain). Scientific Reports, 8, 3082.
http://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-21320-1
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現生人類の自己家畜化

2018/02/17 00:00
 これは2月17日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の自己家畜化に関する研究(Theofanopoulou et al., 2017)が報道されました。現生人類は自己家畜化した種だ、との見解はそれなりに浸透しているように思います。この研究は、ゲノム比較により、現生人類自己家畜化仮説を検証しています。対象となったのは、イヌ(Canis familiaris)やネコ(Felis catus)やウマ(Equus caballus)やウシ(Bos taurus)といった家畜化された動物と、現代人およびその近縁のホモ属分類群である、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)および種区分未定のデニソワ人(Denisovan)です。

 現生人類の自己家畜化は、イヌ・ネコ・ウマ・ウシなどの家畜との類似性から指摘されています。それは、家畜がその近縁野生種との比較でより華奢な骨格を有しているように、現生人類はネアンデルタール人などの近縁ホモ属種と比較して、骨格がより華奢である、という事実から主張されています。さらに、家畜は近縁野生種との比較でより従順(我慢強い、寛容、低い攻撃性)であるという特徴を有しており、現生人類も近縁種と比較してそうなのではないか、と予想されています。

 この研究は、家畜と現生人類との間で、従順さや華奢な骨格と関連している遺伝子多様体の集団への定着(選択的一掃)が、家畜と現生人類との間で顕著に重なっていることを明らかにしました。一方で、それぞれの家畜と近縁な野生種では、そうした顕著な重なりは見られませんでした。これは、現生人類自己家畜化仮説の証拠になるだろう、と指摘されています。また、この研究は、家畜化には複数の経路があり得ただろうことから、種間で異なる家畜化過程があった可能性を指摘しつつ、家畜と現生人類において結果として類似した家畜化が進行した可能性を提示しています。

 このような、家畜化された動物と現生人類との家畜化関連遺伝子の選択の重なりが、偶然生じたことを否定するために、現代人と近縁な現生種である大型類人猿であるチンパンジー(Pan troglodytes)やゴリラ(Gorilla)やオランウータン(Pongo)のゲノムも比較されました。これら大型類人猿では、正の選択下での家畜化を伴うような遺伝子の顕著な重なりは見られず、現生人類の自己家畜化仮説が改めて支持されました。現生人類の自己家畜化に関しては、協力的行動や向社会的行動の強化も想定されており、現生人類がアフリカから世界中に拡散して(個体数の増加という観点では)大繁栄したのにたいして、ネアンデルタール人やデニソワ人など現生人類とは近縁のホモ属が(その遺伝子はわずかに現生人類の一部集団に継承されたとはいえ)絶滅したのは、協力的行動や向社会的行動が要因かもしれません。


参考文献:
Theofanopoulou C, Gastaldon S, O’Rourke T, Samuels BD, Messner A, Martins PT, et al. (2017) Self-domestication in Homo sapiens: Insights from comparative genomics. PLoS ONE 12(10): e0185306.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0185306
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70万年前頃の人類の足跡と生活

2018/02/16 00:00
 これは2月16日分の記事として掲載しておきます。70万年前頃の人類の足跡に関する研究(Altamura et al., 2018)が報道されました。この研究は、エチオピアのアワッシュ川上流のメルカクンチュレ(Melka Kunture)層のゴンボレII-2(Gombore II-2)遺跡で発見された足跡を分析しています。ゴンボレII-2遺跡では、この足跡の層よりも下層でホモ属遺骸が発見されており、アフリカにおけるエルガスター(Homo ergaster)からハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)への移行的な分類群ではないか、と推測されていますが、ハイデルベルゲンシスという種区分とその進化系統樹における位置づけには、議論の余地が大いにあると思います(関連記事)。

 ゴンボレII-2遺跡では、ほぼ間違いなくホモ属だろう複数個体の足跡が確認されましたが、ガゼルやカバや鳥や不明種の足跡も確認されています。この足跡は上下の火山灰層に挟まれており、アルゴン-アルゴン法により年代は875000±10000年前〜709000±13000年前と推定されています。足跡は通常すぐ消え去るので、正確な年代は不明ですが、足跡がつけられた(地質学的時間では)直後に火山灰に覆われたと考えられます。そのため、これらの足跡の年代は70万年前頃に近いと推測されます。ホモ属の足跡で注目されるのは、成人だけではなく、とひじょうに幼いと思われる子供もいた、ということです。ただ、当時のアフリカ東部のホモ属と現代人との性的二型・成長速度・栄養事情の違いなどを考慮しなければならないので、年齢の推定は難しくなっています。この研究は、子供が1歳程度である可能性を指摘しています。

 次に注目されるのは、他の主要な更新世以前の人類の足跡遺跡とは異なり、多数の石器やその製作の痕跡、さらには多くの動物遺骸と人類による屠殺の痕跡といった、生活の痕跡が確認されていることです。石器群は、剥片を主体とする中期アシューリアン(Acheulean)で、おもに黒曜石製です。当時の人類はカバを解体して食べていたようですが、カバの遺骸の痕跡から、人類がカバの遺骸を放棄した後に、ハイエナなどの肉食動物がさらにカバの遺骸を食べた、と推測されています。

 この研究は、70万年前頃のアフリカ東部のホモ属集団は、子供が成人に同行し、幼い頃から石器などの道具製作や狩りや屠殺を学習していったのではないか、と推測しています。一方、同じくアフリカ東部でも、ケニアのイレレット(Ileret)遺跡で発見された150万年前頃の人類の足跡群からは、全員が男性の狩猟採集民集団と、女性や子供から構成される集団とに分かれていた可能性も想定されています(関連記事)。これは、成人男性の狩猟採集がおそらくは標準的で、労働作業の性別・年代別分担があったことを示唆しています。一方、イレレット(Ileret)遺跡よりずっと年代の下るゴンボレII-2遺跡では、混合年齢集団による狩猟採集活動が窺われます。ただ、足跡から人類の社会構造の違いを推測することには、足跡を残した個体の年齢・性別をどの程度まで正確に推測できるのか、という問題があるので、確証は難しいと思います。


参考文献:
Altamura F. et al.(2018): Archaeology and ichnology at Gombore II-2, Melka Kunture, Ethiopia: everyday life of a mixed-age hominin group 700,000 years ago. Scientific Reports, 8, 2815.
http://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-21158-7
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10万年以上前のアメリカ大陸における人類の痕跡との見解への批判

2018/02/15 00:00
 これは2月15日分の記事として掲載しておきます。昨年(2017年)、北アメリカ大陸南西部で10万年以上前の人類の痕跡が確認された、との見解が提示されましたが(関連記事)、それにたいするさまざまな批判について報道されました。10万年以上前の人類の痕跡との見解は、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部のサンディエゴ市近郊のセルティマストドン(Cerutti Mastodon)遺跡で発見された、単一のマストドン(Mammut americanum)の断片的な遺骸に基づいています。

 このマストドン遺骸には打撃の痕跡が見られ、使用による摩耗と衝撃の痕跡を示す5個の巨大な丸石(叩き石と台石)がマストドン遺骸の側にあり、マストドンの遺骸を囲む沈泥層から受ける破損の影響は小さいだろう、と推測されています。そのため、このマストドン遺骸の破損は、手先が器用で経験的知識のある人類が、マストドンの肢骨を骨髄抽出および(もしくは)道具生産のために破損させたのではないか、と推測されました。このマストドン遺骸の破損パターンは、アフリカ・ユーラシア・北アメリカの旧石器時代の人為的パターン内に収まる、とも指摘されています。

 論議を呼んだのは、セルティマストドン遺跡で発見されたマストドン遺骸の年代が、光刺激ルミネッセンス年代測定法では6万〜7万年前以上、ウラン-トリウム法では130700±9400年前と推定されたことです。これは、広く認められているアメリカ大陸への人類の最初の移住年代を10万年以上さかのぼりますし、(広義の)シベリア北東部における10万年以上前の人類の痕跡といった、有力な間接的証拠もありません。そのため、この見解には多くの疑問が寄せられています。

 この報道で取り上げられたのは、セルティマストドン遺跡のマストドン遺骸の損傷は、人類ではなく現代の建設機械によるものではないか、との批判です。また、セルティマストドン遺跡のマストドン遺骸の損傷と自然な摩耗や裂傷との類似性も指摘されています。この批判の証拠として、アメリカ合衆国テキサス州ウェーコ市にある、人類の痕跡の確認されていない場所で発見された、6万年前頃の少なくとも26個体分のマンモス遺骸のいくつかに見られる、同様の損傷が挙げられています。これらのマンモス遺骸のいくつかが発見された期間は建設工事中で、現代の建設機械と自然作用がセルティマストドン遺跡のマストドン遺骸と同様の損傷をマンモス遺骸に残した可能性がある、と指摘されています。ただ、建設機械による骨への損傷に関してはよく分かっておらず、単純に遺跡を比較することは適切ではなく、さらなる検証の必要性が提言されています。

 アメリカ大陸への人類の拡散が10万年以上前までさかのぼる、との見解はあまりにも異例で孤立しており、これが有力説と認められるには、セルティマストドン遺跡だけではなく、北アメリカ大陸やシベリア北東部で10万年以上前の人類の痕跡が複数確認されねばなりません。もちろん、今後そうした痕跡が確認される可能性はあるわけですが、かなり見込みが低いのではないか、と思います。セルティマストドン「遺跡」は、20年後には忘れられている運命にあるのではないか、と私は予想しています。
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狩猟の違いがもたらしたかもしれない現生人類とネアンデルタール人の芸術活動の違い

2018/02/12 00:00
 これは2月12日分の記事として掲載しておきます。狩猟の違いが、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の視覚表現の違いに影響した可能性を論じた研究(Coss., 2018)が報道されました。現生人類は投槍を用いて狩猟を行ない、じゅうらいより安全に大型動物を狩ることができるようになりましたが、サハラ砂漠以南のアフリカにおける投槍の起源は279000年以上前までさかのぼる可能性があります(関連記事)。投槍は投槍器を用いることでさらなに威力が増加し、(獲物からより遠方で槍を投げられるようになるので)より安全に狩猟できるようになりますが、その起源については不明なところもあり、ヨーロッパでは5万〜4万年前頃に投槍器の使用が始まった、との見解も提示されています(関連記事)。

 一方、ネアンデルタール人が投槍を用いた確実な証拠は得られていません。しかし、フランスのノルマンディー地方で発見された226000〜183000年前頃の初期ネアンデルタール人もしくはその近縁集団の1個体は、日常的に投擲を行なっていたと推測されています(関連記事)。したがって、投槍器を用いていたわけではないとしても、ネアンデルタール人が槍を投げて狩猟を行なっていた可能性は低くないと思います。ただ、上述したように確実な証拠はないので、本論文は、ネアンデルタール人が獲物に接近して槍を突きさすような狩猟を行なっていた、との見解を前提としています。

 本論文は、現生人類とネアンデルタール人の狩猟対象の違いを指摘します。現生人類の起源地はアフリカですが、そのアフリカでは現生人類の狩猟対象となるような動物は警戒心が強く、現生人類はそれに対応した狩猟が要求されるようになります。これは、アフリカ起源の現生人類が更新世後期〜末期にかけて世界中へと拡散する過程で、大型動物の大量絶滅に地域的違いがあったことと関連しているかもしれません。

 更新世後期よりも前には現生人類どころかそもそも人類自体存在していなかったオーストラリア大陸(更新世の寒冷期にはニューギニアやタスマニア島と陸続きでサフルランドを形成していました)やアメリカ大陸では、現生人類が拡散してきた頃に大型動物が大量に絶滅しており、ユーラシア大陸でも、現生人類の拡散以降に大型動物が絶滅しています。こうした大型動物の絶滅は、あるいは現生人類の拡散とさほど関係ないかもしれませんが、やはり、人類への警戒心の弱かった大型動物の多い地域で、高度な狩猟技術とじゅうらいよりも高い人口密度を有する現生人類の狩猟により絶滅していった、と考えるのが妥当だと思います。

 一方、アフリカでは、人類との共存期間が長かったためか、人類への警戒心が強い動物が多く、更新世後期〜末期にかけて大型動物の大量絶滅は見られません。たとえばシマウマは、ユーラシアの野生ウマほどには人類に接近しません。本論文は、ネアンデルタール人が狩猟対象とした動物もしくはその近縁種が完新世に現生人類の家畜になっていたことからも、それらは人類への警戒心が弱く、ネアンデルタール人はそうした動物に接近して槍を突きさすような狩猟をしていたのではないか、と指摘します。ネアンデルタール人社会において投槍が(ある程度は用いられていたとしても、現生人類ほどには)発展しなかったのは、狩猟対象となる動物の性質にも起因するのではないか、というわけです。

 一方、アフリカの現生人類は、人類への警戒心の強くなった動物を狩るために、狩猟方法を発展させていきます。本論文はその一例として投槍を重視し、投槍の威力を増すには視覚イメージ(槍がどのように飛んでいくか)と運動共同作用(槍を投げるための手・腕などの複数部位の一連の動き)の統合が強化される必要があることから、そのような選択圧が作用して視覚イメージと運動共同作用を統合する頭頂葉皮質が拡大し、ネアンデルタール人など他のホモ属には見られない、現生人類特有の球状の頭蓋が形成されていったのではないか、と推測しています。現生人類の脳は漸進的に球状になっていき、現代人の変異内に収まるようになった時期は100000〜35000年前頃ではないか、との見解も提示されています(関連記事)。

 本論文は、こうした投槍を用いるさいに必要な視覚イメージと運動共同作用を統合する能力は、具象的な線画を描く能力と類似しており、警戒心の強い動物への対処としての狩猟方法の革新が、ネアンデルタール人とは異なる現生人類の芸術活動を可能にしたのではないか、との見解を提示しています。ネアンデルタール人の所産と考えられる線刻はすでに報告されているので(関連記事)、単なる線刻(原初的・素朴な芸術)と具象的な線画との間に大きな違いを見出している、ということなのでしょう。確かに、ネアンデルタール人が具象的な線画を描いていた証拠は得られていないので、本論文の見解にも説得力はあると思います。ただ、更新世の現生人類で具象的な線画を残した集団は稀であり、具象的な線画の有無が、現生人類とネアンデルタール人との生得的な能力の違いに起因するのかというと、まだ検証が必要ではないか、と考えています。


参考文献:
Coss RG.(2018): Drawings of Representational Images by Upper Paleolithic Humans and their Absence in Neanderthals Might Reflect Historical Differences in Hunting Wary Game. Evolutionary Studies in Imaginative Culture, 1, 2, 15–38.
https://doi.org/10.26613/esic/1.2.46
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濃い肌の色と青い目の1万年前頃のブリテン島の人類

2018/02/10 00:00
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。1万年前頃のブリテン島の人類の復元像について報道され、日本でも話題になっているようです。これは、1903年にイギリス南西部のサマーセット州チェダー渓谷(Cheddar Gorge)のゴフ洞窟(Gough's Cave)で発見された、1万年前頃の人類(男性)の男性の復元像です。1万年前頃の「イギリス(ヨーロッパ)人」が、濃い肌の色と青い目だったということで、日本では、白人至上主義者の反応に関心を示すなど、人種差別主義的な観点からこの報道に興味を抱いている人が一定以上は存在するようです。イギリスでも大騒ぎになっている、との情報もありますが、じっさいにイギリスでどこまで話題になっているのか、私は確認できていません。

 しかし、この復元像はこれまでの諸研究から予想範囲内のものであり、正直なところ、騒ぐほどのことだろうか、とかなり疑問が残ります。もちろん、研究者の間では常識になっていても、一般層にはほとんど知られていない、といった問題は珍しくないのでしょうが、更新世〜完新世初期のヨーロッパの現生人類(Homo sapiens)の肌や目の色については、1回や2回どころではなく何度も報道されているはずで、当ブログでもそうした研究・報道をじゅうぶん追い切れていないのに、何度か取り上げているくらいです。

 ヨーロッパでは中石器時代まで薄い色の肌はまだ広まっていなかったのではないか、と推測されていますが(関連記事)、青銅器時代には薄い肌の色が高頻度で存在していた、と指摘されています(関連記事)。おそらくヨーロッパでは新石器時代に薄い肌の色が定着していったのでしょうが(関連記事)、その要因については、上記報道にあるように、農耕への依存度が高まり食事でのビタミンD摂取が困難になったことから、薄い色の肌の適応度が高くなった、との説明が有力視されています。肌の色は、薄い方が紫外線を通しやすくなります。人間は紫外線を浴びて体内でビタミンDを合成するので、紫外線量が少なくなる高緯度地帯では、ビタミンD合成のために肌の色が薄い方が有利となります。

 しかし、ビタミンD不足が原因のくる病がヨーロッパで顕著に見られるようになるのは19世紀以降であり、新石器時代にも魚から充分なビタミンDを摂取できたはずだから、ヨーロッパにおける薄い色の肌の定着は、寒さと凍傷への抵抗により薄い色の肌の方が適応度が高くなったからではないか、との見解も提示されています(関連記事)。ただ、他の要因も考えられ、青い目もそうですが、薄い色の肌も、ヨーロッパにおける定着にさいしては、直接的に生存率を上昇させるからというよりは、性選択的要因の方が大きかったのかもしれません。

 更新世末期までのヨーロッパにおいて、現生人類の肌の色は濃く、目は茶色だったのですが、ヨーロッパでは14000年前頃より現生人類の間で青い目が広がり始め、イタリアのヴィラブルナ(Villabruna)で発見された、14000〜7000年前頃の期間の現生人類男性は、復元されたチェダー男性と同じく、濃い色の肌と青い目を有していました(関連記事)。これはすでに2年前(2016年)にBBCでも報道されています。1万年前頃のチェダー男性の復元像は確かに視覚的に強い印象を人々に与えるのかもしれませんが、こうした経緯があるので、正直なところ、それほど大騒ぎするものなのだろうか、と疑問に思います。まあ、人類進化に興味を抱いてこなかった人種差別主義者にとっては、大騒ぎに値するのかもしれませんが。なお、ヨーロッパ人の明るい肌・目・髪と関連する、近隣した遺伝子HERC2とOCA2の多様体は100万年前頃にアフリカで出現した、と推定されています(関連記事)。
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トバ大噴火のアフリカ東部における影響は限定的

2018/02/09 00:00
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。74000年前頃のスマトラ島のトバ大噴火のアフリカ東部における影響を検証した研究(Yost et al., 2018)が報道されました。トバ大噴火による6年もの冷却効果(火山の冬)の影響は広範囲に及び甚大で、現生人類(Homo sapiens)の有効な集団規模は10000人以下にまで減少し、その後に急速に人口が増加するという、ボトルネック(瓶首効果)が生じたのではないか、とのトバ大惨事仮説(トバ・カタストロフ理論)が提示されており、一般層にも広く浸透しているようです。

 しかし、トバ大惨事仮説への批判は以前より根強く、このブログでも何度か取り上げてきました。南アジア南部では、トバ大噴火前後での人類の継続性が指摘されています(関連記事)。トバ大噴火の起きたスマトラ島でさえ、オランウータンがトバ大噴火後も生き延びていることから、トバ大噴火そのものは大型動物には大きな影響を及ぼさなかった、との見解も提示されています(関連記事)。ミトコンドリアDNA(mtDNA)解析からも、トバ大噴火による現生人類のボトルネックとの仮説には否定的な見解が提示されています(関連記事)。また、スマトラ島の近隣のフローレス島でも、現生人類とは異なるホモ属種(Homo floresiensis)が、トバ大噴火の前後で継続して存続していたと考えられます(関連記事)。

 一般層にも定着した感のあるトバ大惨事仮説ですが、このように、批判は少なくないようです。この研究は、アフリカ東部のマラウイ湖(Lake Malawi)の堆積物コアを分析し、アフリカ東部においてトバ大噴火の影響がどの程度だったのか、推定しています。この研究は、マラウイ湖の100万年前までさかのぼる堆積物コアのうち、トバ大噴火の前100年〜その後200年の計300年ほどの期間のものを分析しました。堆積物コアは、3mm〜4mm(8〜9年)単位で分析されました。

 堆積物コアのプラントオパールと木炭の分析の結果、低地帯においては、より温暖な気候で成長する草もより寒冷な気候で成長する草も、トバ大噴火の前後で大きな変化は見られませんでした。山地の植物では枯死が相次いだことを示唆する証拠が得られましたが、火山の冬があったことを示すほどではない、と指摘されています。これらの分析結果は、トバ大惨事仮説の想定とは大きく異なりますが、この研究は、トバ大惨事仮説で想定されたほど二酸化硫黄の噴出量は多くなく、スマトラ島と同じく現在はインドネシア領のスンバワ島で紀元後1815年に起きたタンボラ山大噴火と同じ程度の規模だったのではないか、と推定しています。

 この研究は、これまでの遺伝学的知見と新たに得られた古環境データから、トバ大惨事仮説で想定されているような、アフリカ東部における6年の冷却効果はなく、アフリカの現生人類のボトルネックもしくは絶滅の危機は起きなかっただろう、との見解を提示しています。トバ大惨事仮説は一般層にも根強く浸透しているようですが、トバ大噴火の人類への影響は、想定されていたほどには大きくなく、現生人類のボトルネックがあったとしても、トバ大噴火が要因ではなかったのでしょう。


参考文献:
Yost CL. et al.(2018): Subdecadal phytolith and charcoal records from Lake Malawi, East Africa imply minimal effects on human evolution from the ∼74 ka Toba supereruption. Journal of Human Evolution, 116, 75–94.
https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2017.11.005
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イタリアで発見された中期更新世後期の木製道具

2018/02/08 00:00
 これは2月8日分の記事として掲載しておきます。中央イタリアのトスカーナ州グロッセート市のポゲッチヴェッチ(Poggetti Vecchi)で発見された木製道具に関する研究(Aranguren et al., 2018)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ポゲッチヴェッチでは、温水プールの建設工事中の2012年に、58本の木製棒・約200点の石器・おもに絶滅した象(Palaeoloxodon antiquus)から構成されている動物化石群が発見されました。年代は、中期更新世後期となる171000年前頃と推定されており、海洋酸素同位体ステージ(MIS)6初期となります。

 材木は分解されやすいので、更新世の木製道具の発見はきわめて稀です。その意味で、17万年前頃となるポゲッチヴェッチ遺跡で発見された58本の木製棒はたいへん貴重な事例だと言えるでしょう。これらの木製棒は、ほとんどがセイヨウツゲ(Buxus sempervirens)から製作されています(オーク・トネリコ・セイヨウネズ製のものもあります)。セイヨウツゲはヨーロッパで最も重くて堅い木材で、木製道具の材料として適しています。これらの木製棒は長さが1mを超えており、一端が丸みを帯びてハンドル状になっており、もう一端は尖っていました。この研究は、これらの木製棒が狩猟採集民社会で一般的に用いられている「掘棒」だと推測しています。掘棒は多目的道具で、土を掘って植物を集めたり、小さな獲物を狩ったりするのに用いられており、現在でも南アフリカやオーストラリアの狩猟採集民集団では使われています。

 これらの木製棒には直線状の細い溝があり、石器で加工されたと考えられます。注目されるのは、いくつかの木製棒には焦げた痕跡があることです。木製棒と共伴した石器や動物化石には燃焼の痕跡がなかったことから、木製棒は意図的に火で処理された、と考えられています。これは、道具製作に火を用いた証拠として最古の事例となりそうです。この研究は、火を使用して樹皮を剥ぎ取り、道具製作の労力を軽減したのではないか、と推測しています。木製道具として適切な材木を選択し、火を制御して使用して道具製作の労力を軽減したと考えられることから、これらの木製棒を製作した人類集団の認知能力はかなり高かったと考えられます。

 では、この木製棒の製作者はどの人類系統なのか、という問題なのですが、この研究は、当時のヨーロッパにおける人類分布から推測して、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)である可能性が高い、との見解を提示しています。そうだとすると、適切な材料の選択と効果的な火の使用から、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)の(少なくともある側面での)認知能力の類似性の証拠になりそうです。これまで、ネアンデルタール人が火を制御して使用した最古の証拠は13万年前頃とされていましたが、それがさかのぼることになります。

 もっとも、これはさほど意外ではないと思います。おそらく、現生人類とネアンデルタール人の最終共通祖先は、ある程度は火を制御して使っていたと思われます(関連記事)。ただ、人類化石が共伴していないので、これらの木製棒の製作者がネアンデルタール人だと確定したわけではない、との慎重な見解も見られます。たとえば、現生人類はすでに18万年前頃にレヴァントにまで拡散していた可能性がある、というわけです(関連記事)。今後は、人類化石が共伴した類例の発見が期待されます。


参考文献:
Aranguren B. et al.(2018): Wooden tools and fire technology in the early Neanderthal site of Poggetti Vecchi (Italy). PNAS.
https://doi.org/10.1073/pnas.1716068115
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チンパンジーとゴリラのナックル歩行は収斂進化

2018/02/06 00:00
 これは2月6日分の記事として掲載しておきます。現代人も含めた霊長類の大腿骨を比較した研究(Morimoto et al., 2018)が報道されました。日本語の解説記事もあります。現代人と最も近縁な現存生物は大型類人猿です(現代人も大型類人猿の1種と言えますが)。現生大型類人猿で現代人と近縁なのはチンパンジー属(Pan)で、その次がゴリラ属(Gorilla)、その次はオランウータン属(Pongo)です。つまり、現代人・チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの最終共通祖先からまずオランウータン系統が、次に現代人・チンパンジーの共通祖先系統とゴリラの祖先系統が、その次に現代人の祖先系統とチンパンジーの祖先系統が分岐しました。その後、チンパンジーの系統はチンパンジー(Pan troglodytes)とボノボ(Pan paniscus)の系統に分岐しました。

 現生チンパンジーと現生ゴリラの移動様式はナックル歩行(手を丸めて手の甲の側を地面に当てつつ移動する歩き方)です。上記の分岐順からは、現代人・チンパンジー・ゴリラの最終共通祖先の移動様式はナックル歩行だった、と考えるのが節約的であるように思えます(ナックル歩行仮説)。しかし、この問題に関しては議論が続いており、近年では、現代人・チンパンジー・ゴリラの最終共通祖先の移動様式はナックル歩行ではなかった、との見解が有力になりつつあるように思います(関連記事)。現代人・チンパンジー・ゴリラの最終共通祖先は「普通のサルのような四足歩行」をしていたのではないか、というわけです。ただ、そうだとすると、チンパンジーとゴリラのナックル歩行は収斂進化となります。収斂進化は進化史においてきょくたんに珍しいわけではないとしても、現生チンパンジーと現生ゴリラの移動様式は一見すると類似しているので、収斂進化だという具体的証拠が提示される必要があります。

 この研究は、現代人・チンパンジー・ゴリラ・オランウータン・ニホンザル(Macaca fuscata)を対象に、ナックル歩行仮説が妥当なのか、検証しました。この研究は、運動機能の要となる骨格形態の発生パターン(新生児から成体への骨格の形成過程)に着目し、X線CT(コンピューター断層)データを用いた独自の形態解析手法により、これまでにない精度で詳細に分析しました。ナックル歩行仮説が正しいならば、現生類人猿の大腿骨の発生パターンには、共通祖先から受け継いだ共通点があると予想されます。

 しかし、分析・比較結果は、「ナックル歩行仮説」を否定するものでした。歩行様式の観察と、全体的に類似したように見える骨格形態から、チンパンジーとゴリラの大腿骨の発生パターンは似ていると予想されていましたが、じっさいは著しく異なることが明らかになりました。この結果は、直立二足歩行はチンパンジーやゴリラのようなナックル歩行者ではなく、「(たまに立ち上がって二足歩行をする)普通の四足」の類人猿から進化したのであり、チンパンジーとゴリラのナックル歩行は収斂進化だった、という仮説を支持します。

 さらに、現代人は、他の霊長類にはない特異的な大腿骨の発生パターンを示すことも明らかになりました。現代人においては効率的な二足歩行のために後肢が長くなっていますが、どのようにして脚を伸ばしたのか、その発生基盤についてはよく分かっていませんでした。現代人は大型類人猿と比較して成長期間が長いのですが、それに対応して、大腿骨の形が成体型へ移行する時期が他の霊長類よりも遅くなっている、と示唆されました。これは、人類の直立二足歩行の起源を明らかにするうえで、たいへん重要な知見と言えそうです。

 現代人・チンパンジー・ゴリラの最終共通祖先の移動様式に関する今後の研究の課題として、本論文では大腿骨という骨格形態の一部のみが対象になっている、と指摘されています。また、本論文では化石資料が検証対象になっていないことも、今後の研究課題として挙げられています。化石資料は現存生物と比較してきょくたんに少なくなってしまいますが、人類も含めて大型類人猿の移動様式がどのように進化してきたのか、高い信頼性で推測するためには、少なからぬ化石資料が必要でしょう。この研究は大いに注目されるものであり、化石資料は容易に増えないものではありますが、今後の研究の進展が大いに期待されます。


参考文献:
Morimoto N. et al.(2018): Femoral ontogeny in humans and great apes and its implications for their last common ancestor. Scientific Reports, 8, 1930.
http://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-20410-4
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南アジアにおける中部旧石器文化的石器(追記有)

2018/02/05 00:00
 これは2月5日分の記事として掲載しておきます。南アジアにおける中部旧石器文化的石器についての研究(Akhilesh et al., 2018)が報道されました。これまで、南アジアにおける下部旧石器時代のアシューリアン(Acheulian)から中部旧石器時代への移行は14万〜9万年前頃に起きたと考えられており、アフリカ起源の現生人類(Homo sapiens)のユーラシアへの早期拡散と関連づけられていました。この研究は、インド南東部のチェンナイ市から60km離れたアッティラムパッカム(Attirampakkam)遺跡で発見された中部旧石器文化的な石器群を報告しています。

 アッティラムパッカム遺跡では、177万〜102万年前頃の下部旧石器文化となる握斧が発見されています。その上層で中部旧石器文化的な石器群が発見されており、年代は385000±6400〜172000±4100年前と推定されています。これは、南アジアでは最古の中部旧石器的文化となります。アッティラムパッカム遺跡では38万年前頃より、両面加工石器の段階的な不使用・小さな石器の優勢・特有で多様なルヴァロワ(Levallois)石器技術の剥片と尖頭器の出現・石刃要素などが見られ、先行するアシューリアンの大きな剥片技術からの顕著な変化が確認される、とこの研究は指摘しています。ただ、この中部旧石器文化的な石器群は、完全な中部旧石器というよりは、アシューリアンの下部旧石器から中部旧石器への移行的な石器群ではないか、との見解も提示されています。

 この研究は、南アジアにおける中部旧石器文化をアフリカ起源の現生人類の早期の拡散と関連づける見解の見直しを提言しています。しかし、この研究も認めるように、そもそもこの時期以前の南アジアの人類化石はきわめて乏しく、アッティラムパッカム遺跡の中部旧石器文化的な石器群の担い手がどの人類系統なのか、現時点では不明です。アッティラムパッカム遺跡では、下部旧石器から中部旧石器的な石器群への移行の間に、人類の痕跡の確認されていない長い中断期間(102万〜38万年前頃)があるのですが、この時期に南アジアの他地域では下部旧石器が確認されているので、理由は不明ながら、アッティラムパッカム遺跡周辺から人類が撤退したのではないか、と推測されています。

 アッティラムパッカム遺跡の38万〜17万年前頃の石器群をどう位置づけるのか、今後も議論は続きそうですが、中部旧石器文化的な石器群が38万年前頃に南アジアに存在した可能性は高そうです。この研究も認めるように、その担い手は不明で、他地域からの影響の有無・程度もまだ想像の域を出ません。ルヴァロワ技術はアフリカ南部で50万年以上前までさかのぼる可能性があり(関連記事)、コーカサスでは33万年前頃までさかのぼると確認されていますから(関連記事)、アッティラムパッカム遺跡の38万〜17万年前頃の石器群は、アフリカ起源のホモ属集団が西アジアから南アジアへと拡散し、先住のホモ属集団との融合の過程で発達していった地域的な中部旧石器的文化なのかもしれません。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です(引用1および引用2)。


【考古学】人類の進化に関する重要学説の再考を促す人工遺物がインドで出土

 インドにいたヒト族が中期旧石器時代の文化を生み出したのは約38万5000年前で、これまで考えられていた年代よりかなり前だったという見解を示した研究論文が、今週掲載される。この新知見は、アフリカで誕生した初期人類が世界各地に拡散したとする従来の仮説の再検討を促すものとなる可能性がある。

 ヒト族は、少なくとも170万年前にアフリカから世界各地に移動した際、アシュール文化に特徴的な技術である握斧(ハンドアックス)を持ち出した。当時の骨格材料が極めてまれなため、ユーラシアでの人類の進化は、道具類の変遷を通じて明らかにされてきた。今回、Shanti Pappuたちの研究グループは、インド南部のアッティランパッカム遺跡から出土した7000点以上の石器を調べ、アシュール文化の技術から中期旧石器時代の技法(例えば、ルバロワ文化独自の石を砕く技術)への移行を総合的に実証した。以上の新知見から、約38万5000年前のインドで中期旧石器時代の文化が生まれたことが示唆された。中期旧石器時代の文化は、これとほぼ同時代にアフリカとヨーロッパで発達したことが知られている。

 ヨーロッパとアフリカ以外の地域で中期旧石器時代への移行を解明することは、ユーラシアにおけるヒト族の生活と時代、特にアフリカでの解剖学的な現生人類の出現とその後のアフリカからの移動に関する研究にとって極めて重要だ。今回の研究で得られた新知見は、現生人類がアフリカから移動して中期旧石器時代の技術を伝播させるはるか以前に、インドで本格的な中期旧石器時代の文化が存在していたことを示唆している。このことは、アフリカからの移動がこれまで考えられていた時期より前のことであったか、インドでの中期旧石器時代の発達に地域的な影響が関与していたのか、あるいはその両方であったことを暗示している可能性がある。


人類学:約38万5000〜17万2000年前のインドに中期旧石器時代前期の文化が存在したことによる出アフリカモデルの見直し

人類学:アフリカを出てアジアへ

 ホモ・エレクトス(Homo erectus)やその近縁種からなるヒト族は、170万年以上前にアフリカを離れた際、「アシュール文化の握斧」として知られる特徴的な石器を持ち出した。その後のユーラシアにおけるヒトの進化は、骨格標本が極めて少ないために、使用されていた石器の変化、とりわけ、アシュール文化の技術から中期旧石器時代(アフリカでは「中期石器時代」として知られる)の技術への漸進的な移行として表される場合が多い。アフリカおよびヨーロッパの外での中期旧石器時代への移行は、ユーラシアでのヒト族の生活、そして特に、解剖学的現生人類の出アフリカとそれに続く移動を理解する上で極めて重要である。インドではこれまで、限られた証拠しか発見されていなかったが、S Pappuたちは今回、インド南部のアッティランパッカム遺跡から得られた新たなデータを提示している。遺跡の年代から、インドでは中期旧石器時代が約38万5000年前に始まったことが示唆された。この年代は、ヨーロッパやアフリカで見いだされている中期旧石器時代の始まりの年代と同時期であり、インドでの中期旧石器時代への移行が、現生人類の南アジアへの広がりに関する従来の説で示唆されている年代をはるかにさかのぼることを示している。



参考文献:
Akhilesh K. et al.(2018): Early Middle Palaeolithic culture in India around 385–172 ka reframes Out of Africa models. Nature, 554, 7690, 97–101.
http://dx.doi.org/10.1038/nature25444


追記(2018年2月2日)
 ナショナルジオグラフィックでも報道されました。
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タイトル 日 時
中石器時代〜青銅器時代の北ヨーロッパの人類の古代DNA解析
 これは2月3日分の記事として掲載しておきます。中石器時代〜青銅器時代の北ヨーロッパの人類のDNA解析に関する研究(Mittnik et al., 2018)が報道されました。この研究は、北ヨーロッパにおける中石器時代〜青銅器時代の人類遺骸のDNAを解析し、バルト海地域における人類集団の移住と継続性について検証しています。対象となるのは、較正年代では紀元前7500〜紀元前500年前頃の106人の人類遺骸です。このうち、41標本のDNAの保存状態は良好で、38標本でゲノム規模の一塩基多型解析データ... ...続きを見る

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2018/02/03 00:00
現生人類の脳の形状の進化
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の脳の形状の進化に関する研究(Neubauer et al., 2018)が報道されました。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など絶滅した古代型ホモ属と現代人の脳の形状の重要な違いは、現代人の脳の球状性です。現代人の脳は球状というか、高さがあり額が目立つようになっている一方で、古代型ホモ属の脳は前後に長く、平坦というか低い形状になっています。このような違いは胎児期および誕生後初期に... ...続きを見る

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2018/01/31 00:00
古代DNA解析に基づく更新世ユーラシアの現生人類史
 これは1月30日分の記事として掲載しておきます。古代DNA解析に基づき、おもに更新世ユーラシアの現生人類史を検証した研究(Yang, and Fu., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。近年では古代DNAの解析数は着実に増加しており、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など更新世に絶滅した古代型ホモ属とは異なり、完新世も対象になることから、現生人類の古代DNAの解析数は激増していると言えるでしょう(関連記事)。この研究は、おも... ...続きを見る

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2018/01/30 00:00
森恒二『創世のタイガ』第2巻(講談社)
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。本書は2018年1月に刊行されました。第1巻がたいへん面白かったので、第2巻も楽しみにしていました。第2巻後半では、主人公のタイガとネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との格闘が描かれました。その分、タイガの仲間たちの出番は減り、青春群像劇的な性格は第1巻よりも弱くなっていたのですが、タイガとネアンデルタール人との格闘およびタイガのサバイバルドラマとしての性格が強くなっており、マンモスなどの大型動物はとくにそうですが、... ...続きを見る

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2018/01/28 00:00
アフリカ外最古の現生人類化石(追記有)
 これは1月27日分の記事として掲載しておきます。レヴァントの早期現生人類(Homo sapiens)化石に関する研究(Hershkovitz et al., 2018)が報道されました。読売新聞でも報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。現生人類アフリカ単一起源説は、今では通説として認められていますが、現生人類の出アフリカの回数・年代・経路などをめぐっては議論が続いています(関連記事)。これまで、現生人類の出アフリカは12万年前頃までさかのぼる、との見解が有力でし... ...続きを見る

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2018/01/27 00:00
物語を巧みに話せることの効用
 これは1月26日分の記事として掲載しておきます。物語を巧みに話せることの効用に関する研究(Smith et al., 2017)が公表されました。物語を語るという行為は人間社会のどこにでも存在し、貴重な知識の発信方法だと考えられています。しかし、物語を語ることの具体的な効用を明らかにするのは難しい場合があります。この研究は、フィリピンの先住民族であるアイタ(Agta)の社会において物語を語ることが、個人と集団にどのような利益をもたらしているのか、調べました。その結果、昔から語られている物語のテ... ...続きを見る

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2018/01/26 00:00
反社会的個体にたいする懲罰感情の起源
 これは1月25日分の記事として掲載しておきます。チンパンジーとヒトの懲罰感情に関する研究(Mendes et al., 2018)が公表されました。過去の研究では、ヒトも一部の動物も、害を被る他者を見ると共感的な苦痛を感じて心配することが報告されています。しかし成人については、罰を受けるに値する者や、反社会的な行動を取った者が害を受けるさいには、喜びの感情を覚えることも分かっています。この研究は新たな実験を考案し、懲罰が行われる状況を子供が見たいという動機を発達させる時期と、同様の動機がヒトに... ...続きを見る

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2018/01/25 00:00
人類史における弔意の起源(橋本琴絵氏公認アカウントのネアンデルタール人論)
 これは1月24日分の記事として掲載しておきます。昨年(2017年)の衆院選で広島県第5区に希望の党から立候補した橋本琴絵氏(得票率21.7%、惜敗率32.4%で落選)の公認らしいTwitterアカウント(以下、橋本氏と省略します)が、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)について色々と呟き(関連記事)、それなりに話題になりました。遺伝子とさまざまな認知能力との関連は、もちろん環境も大きく影響してくるのでたいへん複雑であり、現時点では不透明なところが多分にある、と言わざ... ...続きを見る

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2018/01/24 20:00
更科功『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか』
 これは1月21日分の記事として掲載しておきます。NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2018年1月に刊行されました。本書は、ヒト(現代人)の変わった特徴はなぜ進化したのか、人類のなかでなぜヒトだけが生き残ったのか、という観点から人類進化史を検証しています。本書は、初心者向けの人類進化史の概説というよりは、ある程度人類進化について知った一般層が、さらに詳しく知るために読むべき手がかりという位置づけのように思われます。本書は近年までの研究成果を踏まえつつ、興味深い論点を検証しており、人類進化... ...続きを見る

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2018/01/21 00:00
レッテル貼りの作用
 これは1月20日分の記事として掲載しておきます。レッテル貼りの作用に関する研究(Mace et al., 2018)が公表されました。「魔女である」と名指しするといった、個人を仲間外れにするような否定的なレッテルには、人間社会において長く広範囲に及ぶ歴史があるものの、その社会的な機能はよく分かっていません。魔女のレッテルは、レッテルを貼られた者が信用できない人、あるいは協力的でない人であるという印をつけるために使われていると示唆する研究もあれば、そうしたレッテルは、競争相手の意志をくじくように... ...続きを見る

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2018/01/20 00:00
ネアンデルタール人的特徴と祖先的特徴を有する中期更新世のフランスの下顎
 これは1月19日分の記事として掲載しておきます。フランスのオート=ガロンヌ県(Haute Garonne)のモンモラン(Montmaurin)のラニッチェ(La Niche)洞窟(以下、MLNと省略)で1949年に発見された、中期更新世のホモ属下顎についての研究(Vialet et al., 2018)が報道されました。当初、MLNの年代は「ミンデル-リス(Mindel-Riss)」間氷期と推定されました。「ミンデル-リス」間氷期は、海洋酸素同位体ステージ(MIS)11〜9(42万〜30万年前... ...続きを見る

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2018/01/19 00:00
強力な侵略種としての現生人類
 これは1月18日分の記事として掲載しておきます。「史上最強の侵略種ホモ・サピエンス」と題する記事がかつて『日経サイエンス』に掲載されましたが(関連記事)、確かに、現生人類(Homo sapiens)が強力な侵略種であることは否定できないでしょう。その記事では、現生人類の拡散に伴い、(直ちにというわけではないとしても)ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった現生人類と同じくホモ属の種(もしくは分類群)が絶滅し、現生人類... ...続きを見る

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2018/01/18 00:00
初期人類の進化とチンパンジー・ゴリラ
 これは1月15日分の記事として掲載しておきます。現生種で現代人と最近縁なのはチンパンジー属(Pan)で、チンパンジー(Pan troglodytes)とボノボ(Pan paniscus)の2種に区分されています。次に現代人と近縁な現生種はゴリラ属(Gorilla)の各種で、その次に近縁なのはオランウータン属(Pongo)の各種です。現代人・チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの最終共通祖先からまずオランウータン系統が、次に現代人・チンパンジーの共通祖先系統とゴリラの祖先系統が、その次に現代人の... ...続きを見る

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2018/01/15 00:00
後藤明『世界神話学入門』
 これは1月14日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社から2017年12月に刊行されました。遺伝学を中心に考古学・言語学などの諸研究成果から、現生人類(Homo sapiens)がアフリカから世界中にどのように拡散したのか、次第に明らかになりつつあります。世界神話学とは、世界の遠く離れた地域同士の神話の類似性(たとえば、日本神話とゲルマン神話)を、現生人類拡散の様相から説明する仮説です。この仮説自体は以前に報道で知りましたが、具体的な内容をほとんど知らなかったので、... ...続きを見る

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2018/01/14 00:00
フェニキア人のmtDNA解析
 これは1月13日分の記事として掲載しておきます。フェニキア人のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析についての研究(Matisoo-Smith et al., 2018)が報道されました。フェニキア人は紀元前1800年頃に北部レヴァントに出現し、紀元前9世紀までには地中海全域に拡散していました。しかし、フェニキア人の情報はおもにギリシアとエジプトの記録に依拠しており、そこには偏りが生じているかもしれません。本論文は、サルデーニャ島とレバノンのフェニキア人およびフェニキア人出現前の住民の古代mt... ...続きを見る

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2018/01/13 00:00
スカンジナビア半島の初期人類集団の遺伝的構成
 これは1月12日分の記事として掲載しておきます。スカンジナビア半島の初期人類集団の遺伝的構成に関する研究(Günther et al., 2018)が報道されました。スカンジナビア半島は、ヨーロッパで最後に人類が進出した地域です。27000〜19000年前頃となる最終最大氷期(LGM)の期間で、スカンジナビア半島においては23000年前頃に氷床が後退し始め、植物や動物が再度拡散してきました。スカンジナビア半島では、北部でも南部でも、11700年前頃より人類の居住の痕跡が継続的に確認さ... ...続きを見る

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2018/01/12 00:00
「原始社会」母系制論と唯物史観
 これは1月11日分の記事として掲載しておきます。以前にも述べましたが(関連記事)、人類の「原始社会」は母系制だった、という見解は根強いように思います。この見解の根源はモルガンやバッハオーフェンにあるとしても、広範に浸透した直接的契機は、唯物史観というか、エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』にあるのではないか、と思います。もっとも、私はこの問題に関する学説史をほとんど把握していないので、あるいは的外れなことを言っているかもしれませんが、とりあえず、私の認識が大外れではないと仮定して、以下に述... ...続きを見る

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2018/01/11 00:00
アウストラロピテクス属の出現より前の人類進化についてのまとめ
 これは1月10日分の記事として掲載しておきます。今年(2018年)は、このブログで取り上げてきた古人類学関連の記事を整理していこう、と考えています。人類進化について私見をまとめてからもう10年近く経過しましたから(関連記事)、そろそろ情報を整理し、理解しやすくしよう、というわけです。これまでにも、対象を限定して、そうした目的でいくつかまとめ記事を掲載してきました。いきなり人類進化史全体を見通した情報整理は難しいので、これまでのように対象を限定したまとめ記事を掲載していくつもりです。何とか今年中... ...続きを見る

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2018/01/10 00:00
Adam Rutherford『ゲノムが語る人類全史』
 これは1月7日分の記事として掲載しておきます。アダム=ラザフォード(Adam Rutherford)著、渡会圭子訳、垂水雄二解説で、文藝春秋社より2017年12月に刊行されました。原書の刊行は2016年です。本書は人類進化史をゲノムの観点から概観しています。本書がおもに対象とするのは、現生人類(Homo sapiens)がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と交雑した後期更新世〜現代までとなり、文字記録の残る歴史時代にもかなりの分量を割いているのが特徴です。解説でも... ...続きを見る

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2018/01/07 00:00
更新世末期のアラスカの幼児のゲノム解析
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。更新世末期のアラスカの幼児のゲノム解析に関する研究(Moreno-Mayar et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アメリカ大陸への人類最初の移住はベーリンジア(ベーリング陸橋)経由だった、と現在では広く認められています。しかし、その時期と具体的な過程については、議論が続いています。この研究は、アラスカのアップウォードサン川(Upward Sun River)で発見された、放射性炭素年代測定法によ... ...続きを見る

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2018/01/05 00:00
古人類学の記事のまとめ(33)2017年9月〜2017年12月
 これは1月2日分の記事として掲載しておきます。2017年9月〜2017年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2017年9月〜2017年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2018/01/02 00:00
2017年の古人類学界
 これは12月29日分の記事として掲載しておきます。あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2017年)も古人類学界について振り返っていくことにします。今年の動向を私の関心に沿って整理すると、以下のようになります。 ...続きを見る

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2017/12/29 00:00
川端裕人『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』
 これは12月24日分の記事として掲載しておきます。川端裕人著、海部陽介監修で、講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2017年12月に刊行されました。本書はおもに著者の監修者へのインタビューで構成されています。そのため、本書の見解は基本的に監修者の見解となります。監修者の見解すべてが有力説になっているわけではないので、異論も少なからずあるかもしれませんが、全体的に読みやすく、著者が発掘現場・研究室を訪れて描写しているため臨場感があり、興味深い一般向け書籍になっている、と思います。 ...続きを見る

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2017/12/24 00:00
頭蓋冠によるフロレシエンシスの系統解析
 これは12月21日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れましたが、インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟で発見された、6万年以上前の人類遺骸の系統解析に関する研究(Zeitoun et al., 2016)が公表されました。リアンブア洞窟で発見された6万年以上前の人類遺骸に関しては、病変の現生人類(Homo sapiens)との主張も一部で依然として根強いのですが、ホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)との分類が今では広... ...続きを見る

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2017/12/21 00:00
絶滅人類の歩行の効率性
 これは12月18日分の記事として掲載しておきます。絶滅人類の歩行の効率性に関する研究(Vidal-Cordas et al., 2017)が報道されました。この研究は、現代人の男女46人を被験者として、骨格・体重・歩行運動のエネルギーコストのデータを得て、絶滅したアウストラロピテクス属やホモ属各種の歩行運動のエネルギーコストを推定し、その効率性を評価しました。この研究が計測対象とした骨格は、骨盤の幅と大腿骨の長さ(下肢の長さ)です。これがどのように歩行運動のエネルギーコストに影響を及ぼすのか、... ...続きを見る

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2017/12/18 00:00
子の新しい遺伝学的変異に影響を及ぼす親の年齢
 これは12月15日分の記事として掲載しておきます。子の新しい遺伝学的変異に影響を及ぼす親の年齢に関する研究(Jónsson et al., 2017)が公表されました。この研究は、親の年齢や性別がヒトのde novo変異(DNM、ある家系に最初に現れる遺伝子変化で、両親のいずれかの卵あるいは精子に生じた1変異が原因)の変化を引き起こす仕組みを理解するために、1万4688人のアイスランド人(両親と子の3人組から構成される1548組で、そのうちの225組については少なくとも1人の孫を含み... ...続きを見る

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2017/12/15 00:00
現生人類到達前のアジアの人類史とデニソワ人の見直し
 これは12月13日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)到達前のアジアの人類史に関する研究(Kaifu., 2017)が公表されました。本論文が対象とする地域は、おもに東および東南アジアで、南アジア・オセアニア・アルタイ地域も含まれます。これらの地域では明確にホモ属ではない人類化石は発見されていないので、基本的にはホモ属の進化史として考えられます。現生人類出現前の東・東南アジアのホモ属(古代型ホモ属)進化史は、エレクトス(Homo erectus)が東アジア北部か... ...続きを見る

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2017/12/13 00:00
尾本恵市、山極寿一『日本の人類学』
 これは12月10日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2017年11月に刊行されました。碩学二人の対談だけに、教えられること、汲み取るべきことは多いと思います。もちろん、二人の見解すべてに同意するわけではありませんが、今後の勉強・思索・行動の指針になるような示唆に富む対談になっていると思います。ただ、対談形式で、体系的な解説にはなっていないので、人類学の教科書として読もうとすると、期待外れになってしまいそうです。 ...続きを見る

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2017/12/10 00:00
見直しが進む現生人類の拡散
 これは12月9日分の記事として掲載しておきます。アジアの学際的な諸記録から、現生人類(Homo sapiens)の拡散の見直しを提言した研究(Bae et al., 2017)が報道されました。現生人類の拡散に関する古典的な仮説では、現生人類はアフリカで出現し、非アフリカ系現代人は6万〜5万年前頃のアフリカからユーラシアへの1回の移住集団にのみ起源があり、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)などユーラシア各地の先住人類と交雑することなく置換していった、とされます。 ... ...続きを見る

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2017/12/09 00:00
アウストラロピテクス属化石「リトルフット」の公開
 これは12月8日分の記事として掲載しておきます。南アフリカ共和国のスタークフォンテン(Sterkfontein)洞窟で発見されたアウストラロピテクス(Australopithecus)属化石「リトルフット(StW 573)」が復元され、国内外のメディアに公開された、と報道されました。リトルフットは1994年に発見されましたが、固い角礫岩に埋まっていたので、長い時間をかけて慎重に取り出され、復元されました。人類に限らず哺乳類の化石は脆いので、長期間を経て良好な状態で保存されていることはほとんどな... ...続きを見る

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2017/12/08 00:00
ネアンデルタール人と現生人類の交雑パターンおよび生殖隔離
 これは12月6日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との交雑パターンおよび生殖隔離の影響に関する研究(Overmann, and Coolidge., 2013)が公表されました。ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、今では広く認められています。しかし、それがどのようなパターンだったのか、詳細は不明です。本論文は、チンパンジー(Pan troglodytes)... ...続きを見る

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2017/12/06 00:00
斎藤成也『核DNA解析でたどる日本人の源流』
 これは12月3日分の記事として掲載しておきます。河出書房新社から2017年11月に刊行されました。本書はまず人類進化史と現生人類(Homo sapiens)のアフリカからの拡散を、最新の研究成果に基づいて簡潔に概観した後、日本列島の現代人がどのように形成されてきたのか、おもに核DNAの解析結果に基づいて検証しています。もっとも、本書は、核DNAよりは得られる情報が少なくなるものの、ミトコンドリアDNA(mtDNA)とY染色体DNAについてのこれまでの研究も取り上げています。本書で言及されている... ...続きを見る

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2017/12/03 00:00
アフリカにおける後期ホモ属の進化
 これは11月29日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、アフリカにおける後期ホモ属の進化についての研究(Profico et al., 2016)が公表されました。ここでの後期ホモ属とは、脳容量の増大した、中期更新世以降に存在したホモ属を想定しています。この研究は、分類について議論があることも取り上げつつ、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)の共通祖先としてハイデルベルゲンシス(Homo heidelb... ...続きを見る

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2017/11/29 00:00
初期人類による屠殺の証拠の見直し
 これは11月24日分の記事として掲載しておきます。初期人類による屠殺の証拠を再検証した研究(Sahlea et al., 2017)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。初期人類がいつから動物を解体して肉や骨髄を食べるようになったのか、という問題は大きな関心を集めてきました。中には、ホモ属と人類の初期石器文化であるオルドワン(Oldowan)の出現以前の340万年前頃に、人類は石器を用いて動物を解体していた、との見解も提示されています(関連記事)。そこまで古くなくとも... ...続きを見る

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2017/11/24 00:00
イベリア半島で他地域よりも遅くまで生存していたネアンデルタール人
 これは11月21日分の記事として掲載しておきます。イベリア半島における後期〜末期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の年代に関する研究(Zilhão et al., 2017)が報道されました。イベリア半島はネアンデルタール人終焉の有力候補地で、24000年前頃まで生存していた、との見解(後期絶滅説)も提示されています(関連記事)。イベリア半島は末期ネアンデルタール人にとって待避所になっていたのではないか、というわけです。もっとも、ネアンデルタール人の絶滅... ...続きを見る

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2017/11/21 00:00
小林武彦『DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か』
 これは11月19日分の記事として掲載しておきます。講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2017年10月に刊行されました。本書は、ヒトのDNAのうち98%を占めると推定されているタンパク質をコードしていない領域(非コードDNA領域)について解説しています。本文は200ページにも満たない新書サイズですが、遺伝の基礎から非コードDNA領域の役割まで丁寧に解説されており、遺伝に関する一般向けの良書になっていると思います。ただ、たいへん充実した内容なので、私の見識・能力では一度読んだだけでおおむ... ...続きを見る

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2017/11/19 00:00
地域により異なる新石器時代以降の不平等化の進展(追記有)
 これは11月17日分の記事として掲載しておきます。新石器時代以降の地域間の不平等化の進展に関する研究(Kohler et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、北アメリカ・メソアメリカ・ユーラシアを対象として、考古学的遺跡からジニ係数を推定して富の不平等化の進展の指標とし、新石器時代以降の地域間の不平等化の進展の違いと、その要因を検証しています。 ...続きを見る

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2017/11/17 00:00
クロアチアのネアンデルタール人の高品質なゲノム配列と古代の近親交配
 これは11月16日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)では2例目となる高品質のゲノム配列を報告した論文(Prüfer et al., 2017)を、先月(2017年10月)このブログで取り上げました(関連記事)。その後、この論文が『サイエンス』本誌に掲載されたので、以前の記事で触れていなかったことを中心に、より詳しく見ていくことにします。追記で対応しようかとも考えたのですが、人類進化史における近親交配の問題にも触れることにし... ...続きを見る

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2017/11/16 00:00
ヨーロッパの初期農耕民と狩猟採集民との関係
 これは11月14日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期農耕民と狩猟採集民との関係についての研究(Lipson et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。古代DNA研究から、ヨーロッパの初期農耕民はアナトリア半島からヨーロッパへと移住してきた、と明らかになっています。しかし、ヨーロッパ新石器時代の農耕民と狩猟採集民との関係については、交雑の程度や時空的な違いなど、明らかになっていないことも少なくありません。 ...続きを見る

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2017/11/14 00:00
長期にわたる人類の身長と体重の進化
 これは11月13日分の記事として掲載しておきます。長期にわたる人類の身長と体重の進化を包括的に検証した研究(Will et al., 2017)が報道されました。この研究は、440万年前から完新世までの311個の人類標本から、254個体の体重と204個体の身長の推移を分析しています。もちろん、440万年にわたる人類の体格の進化を包括的に検証するといっても、現在の標本数は明らかに不足しているわけですが、この問題は半永久的に解決できないでしょうし、ともかくその時点で最善を尽くすしかないわけですから... ...続きを見る

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2017/11/13 00:00
アフリカ南部における初期の顔料使用
 これは11月11日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れましたが、アフリカ南部における初期の顔料使用に関する研究(Watts et al., 2016)が公表されました。「現代的行動」は現生人類(Homo sapiens)にのみ見られ、現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など他の人類とを区別する重要な指標とされてきました。「現代的行動」とはいっても曖昧であり、今でも簡潔にして的確な定義はなされていない、と言えるかもしれませんが、最大公約... ...続きを見る

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2017/11/11 00:00
初期の石器は文化的伝達の産物なのか
 これは11月9日分の記事として掲載しておきます。初期の石器が文化的伝達の産物なのか、検証した研究(Tennie et al., 2017)が報道されました。人類の初期石器として広く認められているのは、260万年前頃までさかのぼるオルドワン(Oldowan)です。それよりもずっとさかのぼる330万年前頃の石器群をロメクウィアン(Lomekwian)と分類する見解も提示されていますが(関連記事)、まだ定説になっているとは言えないように思います。この研究は、初期の石器としておもにオルドワンを対象とし... ...続きを見る

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2017/11/09 00:00
スマトラ島の新種オランウータン
 これは11月7日分の記事として掲載しておきます。スマトラ島の新種オランウータンについての研究(Nater et al., 2017)が報道されました。朝日新聞でも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヒトを除く現生大型類人猿(ヒト科)としては、オランウータン属(Pongo)・ゴリラ属(Gorilla)・パン属(Pan)が知られています。このうち、オランウータンはスマトラ島とボルネオ島、ゴリラは東部と西部、パン属はチンパンジーとボノボに種区分されています。オランウータン... ...続きを見る

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2017/11/07 00:00
カナリア諸島先住民のDNA解析
 これは11月3日分の記事として掲載しておきます。カナリア諸島の先住民であるグアンチェ人のDNA解析結果を報告した研究 (Rodríguez-Varela et al., 2017)が 報道されました。木炭・種子・家畜の骨などの放射性炭素年代測定により、人類がカナリア諸島に最初に居住したのは紀元前5世紀と推定されています。その後、グアンチェ人は船と航海の技術を喪失したようで、紀元後15世紀にヨーロッパ人がカナリア諸島に到達して征服した時には、グアンチェ人は新石器時代のような生活を送って... ...続きを見る

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2017/11/03 00:00
現生人類の優位性に起因しないかもしれないネアンデルタール人の絶滅
 これは11月2日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅要因に関する研究(Kolodny, and Feldman., 2017)が公表されました。もっとも、ネアンデルタール人の絶滅とはいっても、ネアンデルタール人のDNAは(非アフリカ系)現代人にわずかながら継承されているわけで、より正確には、ネアンデルタール人の形態的・遺伝的特徴を一括して有する集団は現在では存在しない、と言うべきかもしれません。 ...続きを見る

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2017/11/02 00:00
現代西アジア人におけるネアンデルタール人の遺伝的影響
 これは10月30日分の記事として掲載しておきます。現代西アジア人におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の遺伝的影響に関する研究(Taskent et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との交雑は、今ではほぼ定説になっている、と言えるでしょう。しかし、ネアンデルタール人の遺伝的影響は、サハラ砂漠以南の現代アフリカ人ではほとんどなく、それ以外の地域の現代人では... ...続きを見る

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2017/10/30 00:00
難聴のネアンデルタール人
 これは10月28日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の難聴についての研究(Trinkaus, and Villotte., 2017)が報道されました。更新世人類の障害と社会的支援はこれまでにも注目されてきましたが、障害のなかでも感覚の損失についてはあまり検証されていませんでした。しかし、感覚損失は更新世の環境での生存に重大な脅威になったと考えられます。この研究は、イラクのクルディスタン地域にある有名なシャニダール洞窟(Shanid... ...続きを見る

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2017/10/28 00:00
古代ゲノム解析による人類の適応の研究
 これは10月26日分の記事として掲載しておきます。近年における古代ゲノム解析による人類の適応の研究の進展を概観した総説(Marciniak, and Perry., 2017)が公表されました。この総説は、近年の古代人のゲノム解析結果について、参考文献が多数挙げられているとともに、年代・地域ごとにもまとめられており、たいへん有益だと思います。図表を見ると明らかなのですが、古代人のゲノム研究の密度が最も高いのはやはりヨーロッパで、他地域を圧倒しています。気温・湿度などの点で、人類遺骸が残りやすく... ...続きを見る

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2017/10/26 00:00
カナダのニューファンドランド島の複数系統の先住民集団
 これは10月23日分の記事として掲載しておきます。カナダの北東端に位置するニューファンドランド島の先住民集団のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析に関する研究(Duggan et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。カナダ東部のニューファンドランド・ラブラドール州は、豊富な天然資源と低い人口密度で知られています。ニューファンドランド・ラブラドール州の陸地は、18000年前の最終最大氷期(LGM)にはローレンタイド(Laurentide)氷床に覆... ...続きを見る

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2017/10/23 00:00
先コロンブス期のイースター島住民と南アメリカ大陸先住民との交雑の検証
 これは10月21日分の記事として掲載しておきます。先コロンブス期のイースター島(Rapa Nui)住民と南アメリカ大陸先住民との交雑の可能性を検証した研究(Fehren-Schmitz et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。先コロンブス期におけるポリネシア人と南アメリカ人との接触は、考古学的証拠により支持されてきました。ペルーでは8000年前頃に南アメリカ大陸原産のサツマイモが栽培化され、... ...続きを見る

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2017/10/21 00:00
現代人の肌の色の遺伝的基盤
 これは10月20日分の記事として掲載しておきます。現代人の肌の色の遺伝的基盤に関する研究(Crawford et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代人の肌の色は多様ですが、かつて肌の色は「人種」を区分する最重要な指標とされており、かつて大きな注目を集めた「人種」概念が廃れてしまった感のある現在でも、肌の色は適応と関連していると考えられるだけに、関心は高いように思います。 ...続きを見る

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2017/10/20 00:00
絶滅人類種を経由してのチンパンジーの祖先から現代人の祖先へのウイルス感染
 これは10月17日分の記事として掲載しておきます。チンパンジーの祖先から現代人の祖先へのウイルス感染に関する研究(Underdown et al., 2017)が報道されました。この研究は、世界中の現代人で見られる単純ヘルペスウイルス2型(HSV2)がどのように現代人系統に感染したのか、検証しています。多くの霊長類で確認されているアルファヘルペスウイルス亜科のうち、現代人ではHSV2やHSV1などが確認されています。HSV 1はおもに口唇、HSV 2はおもに生殖器で発症します。HSV2は当初、... ...続きを見る

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2017/10/17 00:00
4万年前頃の東アジアの現生人類のゲノム解析
 これは10月16日分の記事として掲載しておきます。4万年前頃の東アジアの現生人類のゲノム解析結果を報告した研究(Yang et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、北京の南西56kmにある田园洞窟(Tianyuan Cave)の男性遺骸のゲノム規模のデータ(平均網羅率は2.98倍)を報告しています。以前の田园男性のゲノム解析では、まず間違いなく現生人類(Homo sapiens)であることと、現代の東アジア... ...続きを見る

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2017/10/16 00:00
中山一大・市石博明編集『つい誰かに教えたくなる人類学63の大疑問』
 これは10月15日分の記事として掲載しておきます。日本人類学会教育普及委員会監修で講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、人類学に関する63の話題を解説するという構成になっています。各解説は、高校教師が各分野の専門家に取材して執筆しており、おおむね最新の研究成果も踏まえた堅実な内容になっています。未解明な点を安易に断定しないよう心がけている編集方針が窺え、良心的な内容になっていると思います。ある程度予備知識が必要かもしれませんが、分かりやすい解説になっていますし、病気・食事・心理・... ...続きを見る

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2017/10/15 00:00
遺伝子発現における多様な人体組織間の差異と個人差
 これは10月14日分の記事として掲載しておきます。遺伝子発現における多様な人体組織間の差異と個人差に関する一連の研究が公表されました。ヒトゲノムには遺伝子発現調節の指令がコードされていますが、遺伝子発現調節は細胞の種類によって異なっており、その結果、それぞれ独自の機能を持つ多様な組織が生じているものの、遺伝子発現調節には個人差もあります。こうした差異を生じさせる遺伝的多様体は、ゲノムの非コード領域内に位置している傾向があり、この非コード領域が遺伝子の発現状態と発現時期を決めている、と考えられて... ...続きを見る

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2017/10/14 00:00
不公平にたいする感受性と鬱病の関係
 これは10月13日分の記事として掲載しておきます。不公平にたいする感受性と鬱病の関係についての研究(Tanaka et al., 2017)が公表されました。過去の研究では、富の不平等な分配(経済的不平等)が、うつ病をはじめとする精神疾患の増加に寄与することが示唆されていましたが、その背後にある神経機構は不明でした。この研究は、仮想的なパートナーからバーチャル・マネーを受け取るコンピューターゲーム(最終提案ゲーム)をプレイ中の健常者の脳活動を測定しました。ゲームにおいてパートナーとプレイヤーは... ...続きを見る

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2017/10/13 00:00
上部旧石器時代の配偶システム
 これは10月10日分の記事として掲載しておきます。上部旧石器時代の配偶システムに関する研究(Sikora et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代の狩猟採集民は25人程度の小集団で暮らし、より広範な社会的ネットワークとつながって配偶相手を求め、近親婚は回避される傾向にあります。このような社会行動が狩猟採集民集団でいつ進化したのか、まだ不明です。この研究は、装飾品など豪華な副葬品で知られるロシアのスンギール(Sunghir)遺跡で発見された、... ...続きを見る

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2017/10/10 00:00
ネアンデルタール人の高品質なゲノム配列(追記有)
 これは10月9日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の高品質なゲノム配列を報告した研究(Prüfer et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人の高品質なゲノム配列としては、南西シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された女性個体のものが知られています(関連記事)。 ...続きを見る

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2017/10/09 00:00
現代人の表現型へのネアンデルタール人の影響(追記有)
 これは10月7日分の記事として掲載しておきます。現代人の表現型へのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の影響に関する研究(Dannemann, and Kelso., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は、イギリスのバイオバンクで収集された112000人以上のデータを用いて、ネアンデルタール人の遺伝子が現代人の表現型の多様性に与えた影響を検証しています。 ...続きを見る

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2017/10/07 00:00
乾燥化による現生人類の出アフリカ
 これは10月6日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の出アフリカ時の気候に関する研究(Tierney et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類の出アフリカに関しては、回数・年代・経路などをめぐって議論が続いています(関連記事)。現在のソマリア全域とエチオピアの一部となる「アフリカの角」は、考古学的にも遺伝学的にも、現生人類の出アフリカの起点の有力候補とされています(南方経路)。アフリカの角からアラビア半島... ...続きを見る

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2017/10/06 00:00
クロアチアのネアンデルタール人の年代
 これは10月5日分の記事として掲載しておきます。クロアチアのヴィンディヤ洞窟(Vindija Cave)遺跡のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の年代に関する研究(Devièse et al., 2017)が公表されました。ヴィンディヤ洞窟はネアンデルタール人の遺跡として有名で、ネアンデルタール人のDNAが解析されています(関連記事)。ヴィンディヤ遺跡のネアンデルタール人に関しては、年代が28000年前頃と推定されたこともあり、24000年前頃のイベリア... ...続きを見る

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2017/10/05 00:00
左巻健男『暮らしのなかのニセ科学』
 これは10月1日分の記事として掲載しておきます。平凡社新書の一冊として平凡社より2017年6月に刊行されました。現代日本社会(もちろん、日本に限らないのでしょうが)において、ニセ科学と呼ばれるものは多くあり、中にはかなり浸透しているものもありますが、本書は「暮らしのなか」と題しているように、生活、とくに健康と強く直接的に関連したニセ科学を取り上げて検証しています。生活との直接的関わりがさほど強くないニセ科学としては、たとえば相対性理論への「懐疑」や進化学を否定する創造説やその亜流的な説などがあ... ...続きを見る

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2017/10/01 00:00
アフリカ南部の2300〜300年前頃の人類のゲノム解析
 これは9月30日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部の2300〜300年前頃の人類のゲノム解析に関する研究(Schlebusch et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究に関しては、アフリカ北部の30万年以上前の現生人類(Homo sapiens)的な化石についての研究を取り上げた記事でも少しだけ言及しました(関連記事)。この研究は、南アフリカ共和国のクワズール-ナタール(KwaZulu-Natal)州で発見された7人の人類のゲ... ...続きを見る

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2017/09/30 00:00
デニソワ人についてのまとめ
 これは9月28日分の記事として掲載しておきます。種区分未定のデニソワ人(Denisovan)については、以前このブログの関連記事をまとめたことがあります(関連記事)。その時は関連記事のリンクを貼っただけでしたが、デニソワ人に関するこのブログの記事がそれなりの本数になったので、一度自分なりにデニソワ人の情報を整理することにしました。デニソワ人は、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された、現生人類(Homo sapiens)ともネアンデルタール人(Homo ... ...続きを見る

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2017/09/28 00:00
アフリカ人の古代DNA
 これは9月25日分の記事として掲載しておきます。アフリカ人の古代DNAに関する研究(Skoglund et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。アフリカは、その気候条件のため、ヨーロッパなどと比較して古代DNAの解析が難しく、この分野の研究の遅れている地域と言えるでしょう。この研究は、新たにアフリカの15人の古代DNAを解析し、以前に報告されているエチオピアで発見された4500年前頃の男性の古代DNA(関連記事)を併せて、59集団の584... ...続きを見る

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2017/09/25 00:00
現生人類とさほど変わらないネアンデルタール人の成長速度
 これは9月23日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の成長速度に関する研究(Rosas et al., 2017)が報道されました。AFPやナショナルジオグラフィックでも報道されています。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。ネアンデルタール人の成長速度に関しては、おもに歯を対象に分析が進められてきました。現生人類(Homo sapiens)との比較では、ネアンデルタール人と現生人類とで成長速度に違いはない、との見解も... ...続きを見る

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2017/09/23 00:00
アメリカ大陸への人類最初の移住に関する近年の研究のまとめ
 これは9月21日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸への人類最初の移住に関しては、現代世界の政治・経済・文化(学術も含めて)の中心と言ってよいだろうアメリカ合衆国においても直接的問題であり、時には激しい政治的論争に発展するためか、アメリカ大陸のみならず他地域でも関心が寄せられているように思われます。このブログでは、2012年(関連記事)と2014年(関連記事)に、この問題に関する研究動向を簡単にまとめた記事を掲載しました。この記事では、その後にこのブログで取り上げた関連研究をざっとまと... ...続きを見る

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2017/09/21 00:00
『カラー図解 進化の教科書 第3巻 系統樹や生態から見た進化』
 これは9月17日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2017年8月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。第1巻(関連記事)と第2巻(関連記事)については、すでにこのブログで取り上げています。第3巻は系統樹・遺伝子・種間関係・生態の進化を重点的に解説しており、第9章「系統樹」・第10章「遺伝子の歴史」・第11章「遺... ...続きを見る

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2017/09/17 00:00
遺伝的に多様なパプアニューギニア人
 これは9月16日分の記事として掲載しておきます。ニューギニア島の住民の遺伝的多様性に関する研究(Bergström et al., 2017)が報道されました。ニューギニア島の住民は、言語でも遺伝子でも多様性が高いことで知られています。この研究は、パプアニューギニアの85の言語集団の385人からゲノム規模の一塩基多型データを得て、パプアニューギニア人の地理的な遺伝的構造を解明しました。その結果、ニューギニア島では高地集団と低地集団とが2万〜1万年前頃に分岐し、高地集団には非ニューギニ... ...続きを見る

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2017/09/16 00:00
ドイツ南西部のネアンデルタール人化石のmtDNAについての解説
 これは9月15日分の記事として掲載しておきます。ドイツ南西部のホーレンシュタイン-シュターデル(Hohlenstein–Stadel)洞窟(以下HST洞窟と省略)で発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石のミトコンドリアDNA(mtDNA)を解析した研究については、2ヶ月前(2017年7月)にこのブログで取り上げました(関連記事)。取り上げるのが遅れてしまいましたが、その研究についての解説記事の内容に疑問が残るので、自分の知識をまとめるという意... ...続きを見る

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2017/09/15 00:00
メソアメリカ最古級の人骨
 これは9月12日分の記事として掲載しておきます。メソアメリカ最古級の人骨に関する研究(Stinnesbeck et al., 2017)が報道されました。この人骨については、7年前にこのブログで取り上げました(関連記事)。この研究が年代を測定したのは、メキシコ合衆国キンタナロー(Quintana Roo)州のトゥルム(Tulum)遺跡近くのチャンホル(Chan Hol)海中洞窟で発見された人骨です。人骨の年代は、骨盤の上の石筍を試料とするウラン-トリウム法では11311±370年前までさかのぼ... ...続きを見る

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2017/09/12 00:00
後期新石器時代〜初期青銅器時代の中央ヨーロッパにおける配偶形態
 これは9月8日分の記事として掲載しておきます。後期新石器時代〜初期青銅器時代の中央ヨーロッパにおける配偶形態についての研究(Knipper et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、ドイツの南バイエルンのレヒ川(Lech River)渓谷にある後期新石器時代〜初期青銅器時代にかけての7ヶ所の遺跡を調査しました。7ヶ所の遺跡の84点の人類遺骸は放射性炭素年代測定法により年代が推定され、さらには、ミトコンドリアDNA(mtDNA)・酸素安... ...続きを見る

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2017/09/08 00:00
マウスの妊娠と子宮年齢
 これは9月7日分の記事として掲載しておきます。マウスの妊娠と子宮年齢に関する研究(Woods et al., 2017)が公表されました。母体の年齢は繁殖の成功に対するリスク因子であると知られており、加齢に伴う卵子の異常は、胎仔の染色体異常を引き起こし、妊娠初期の流産につながることもあります。この研究はマウスを使い、流産や周産期死亡など妊娠中期以降の妊娠合併症の原因となり得るものを明らかにしました。 ...続きを見る

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2017/09/07 00:00
クレタ島の570万年前頃の人類の足跡?
 これは9月4日分の記事として掲載しておきます。クレタ島で発見された人類のものと思われる足跡についての研究(Gierliński et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、クレタ島西部のトラチロス(Trachilos)地域で発見された足跡を分析し、現代人・ホモ属やアウストラロピテクス属の化石人類・チンパンジーやゴリラなどの現生霊長類・クマなどの哺乳類の足跡と比較しています。その結果、この足跡は初期人類系統が残したものだ、という... ...続きを見る

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2017/09/04 00:00
ネアンデルタール人の接着技術
 これは9月2日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の接着技術に関する研究(Kozowyk et al., 2017)が報道されました。骨や石に柄をつけて武器や道具を作り出す着柄技術は、ネアンデルタール人と初期現生人類(Homo sapiens)の認知能力と技術力に関する論争の焦点になっています。着柄技術は30万〜20万年前頃より確認されており、50万年前頃までさかのぼる可能性もあります。 ...続きを見る

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2017/09/02 00:00
古人類学の記事のまとめ(32)2017年5月〜2017年8月
 2017年5月〜2017年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2017年5月〜2017年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2017/09/01 00:00
当初の想定より新しいネルハ洞窟の壁画の年代
 これは8月30日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、スペイン南部の海岸に近いネルハ洞窟(Nerja cave)で発見された壁画の年代に関する研究(Sanchidrián et al., 2017)が報道されました。ネルハ洞窟(これまでこのブログではネルジャ洞窟と表記してきましたが、この機会にネルハと訂正します)の壁画については、当初の推定年代が43500〜42300年前頃だったことから、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の所産の可... ...続きを見る

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2017/08/30 00:00
森恒二『創世のタイガ』第1巻(講談社)
 これは8月27日分の記事として掲載しておきます。本書は2017年8月に刊行されました。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)について検索していたら、本作にネアンデルタール人も登場すると知ったので、購入してみました。本作は『イブニング』にて連載中ですが、とりあえず単行本で今後追いかけていこう、と考えています。『天智と天武〜新説・日本書紀〜』昨年(2016年)7月に完結(関連記事)してからは、新作漫画では『ヒストリエ』を単行本で読んだくらいだったのですが(関連記事)、本作... ...続きを見る

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2017/08/27 00:00
更新世末期のヨーロッパの現生人類の人口史
 これは8月25日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、更新世末期のヨーロッパの現生人類(Homo sapiens)の人口史に関する研究(Tallavaar et al., 2015)が公表されました。この研究は、古気候および民族誌のデータと、現在の気温・降水量などの気候パラメータおよび現在の種分布から現生種の分布面積を推定するモデル(climate envelope modeling approach)を用いて人口較正モデルを構築し、考古学的データと照合し... ...続きを見る

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2017/08/25 00:00
東ティモールの後期更新世の石器とリアンブア洞窟の更新世の石器の類似性
 これは8月22日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、東ティモールのジェリマライ(Jerimalai)遺跡の後期更新世の石器群に関する研究(Marwick et al., 2016)が公表されました。ジェリマライ遺跡では、1万個近い石器・骨製の尖頭器・貝製釣針・貝製ビーズなどが発見されています。ジェリマライ遺跡の年代は、放射性炭素年代測定法により、較正年代で42000年前頃〜完新世となる5000年前頃まで確認されています。 ...続きを見る

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2017/08/22 00:00
他人に与えると気分が良くなる脳内機構
 他人に与えると気分が良くなる脳内機構についての研究(Park et al., 2017)が公表されました。気前の良い行動は、さまざまな社会と文化で高く評価されていますが、この行動は本人の資源を他人の利益のために投資することが関係する傾向があるため、標準的な経済理論で説明することは難しいとされています。この点について、気前の良さに伴って増進される幸福感が気前の良さの動機だとする研究報告がすでに存在します。 ...続きを見る

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2017/08/19 00:00
リアンブア洞窟におけるラットの身体サイズの変化
 これは8月16日分の記事として掲載しておきます。2017年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)において、インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡のラットの身体サイズの変化について(Veatch et al., 2017)報告されました。PDFファイルのP393に掲載されています。フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が... ...続きを見る

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2017/08/16 00:00
海岸沿いだったアメリカ大陸最初の人類の移住経路
 これは8月14日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸への人類最初の移住経路に関する解説(Wade., 2017)が公表されました。この問題に関する近年の研究成果がまとめられており、有益な解説になっていると思います。アメリカ大陸への人類最初の移住について、20世紀後半には、クローヴィス(Clovis)文化の担い手が最初の移住者だとするクローヴィス最古説が主流でした。しかし20世紀末以降、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古... ...続きを見る

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2017/08/14 00:00
スマトラ島における73000〜63000年前の現生人類の存在(追記有)
 これは8月12日分の記事として掲載しておきます。スマトラ島の現生人類(Homo sapiens)化石の年代に関する研究(Westaway et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類の出アフリカの年代・回数・経路についてはさまざまな見解が提示されており、現生人類は東南アジア島嶼部へ遅くとも7万〜6万年前頃までに進出していた、とする早期拡散説も提唱されていますが、後期拡散説も無視することはとてもできません(関連記事)。早期拡散説の弱点は、確実... ...続きを見る

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2017/08/12 00:00
ケニアで発見された中期中新世の類人猿化石(追記有)
 これは8月11日分の記事として掲載しておきます。ケニアで発見された中期中新世の類人猿化石に関する研究(Nengo et al., 2017)が報道されました。2017年8月10日付の読売新聞朝刊でも報道されています。2300万〜530万年前頃となる中新世には30属以上の40種以上の類人猿が存在していました。しかし、完全な頭蓋の証拠から得られた知見はきわめて少なく、顔および口蓋以外の頭蓋要素から知られている種はわずかで、人類および現生類人猿の直接的な近縁種の頭蓋の状態に関する情報は限られています... ...続きを見る

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2017/08/11 00:00
ネアンデルタール人の人口史
 これは8月10日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の人口史に関する研究(Rogers et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、これまでのホモ属の古代DNA解析を再検証することにより、ネアンデルタール人の人口史を推定してます。後期ホモ属の進化に関する現在の有力説では、まず現生人類(Homo sapiens)系統とネアンデルタール人および種区分未定のデニソワ人(Denisov... ...続きを見る

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2017/08/10 00:00
クリミア半島の初期現生人類の食性
 これは8月7日分の記事として掲載しておきます。東ヨーロッパでは最古級となる現生人類(Homo sapiens)の食性に関する研究(Drucker et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅要因には高い関心が寄せられてきており、さまざまな仮説が提示されています(関連記事)。そうしたさまざまな仮説においては、食性など行動面において現生人類がネアンデルタール人よりも柔軟だった、と強調される傾向にあります。 ...続きを見る

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2017/08/07 00:00
乳幼児の社会的視覚関与の遺伝性
 乳幼児の社会的視覚関与の遺伝性に関する研究(Constantino et al., 2017)が公表されました。赤ん坊が手を伸ばしたり、ハイハイしたり、歩行したりする前の段階において情報収集の手段として用いるのが社会的視覚関与という能力です。この研究は、社会的場面を見ることの個人差を評価するために一連の視標追跡実験を実施し、顔と顔に似た視覚刺激に対する注意力や個々の眼球運動のタイミング・方向性と目標設定を調べました。この実験の対象となったのは338人の乳幼児で、そのうち166人が一卵性双生児と... ...続きを見る

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2017/08/05 00:07
青銅器時代のミノア人とミケーネ人のDNA解析(追記有)
 これは8月4日分の記事として掲載しておきます。青銅器時代のミノア人とミケーネ人のDNA解析に関する研究(Lazaridis et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。これまでの古代DNA研究で、初期ヨーロッパ農耕民の主要な祖先は、紀元前7千年紀からギリシアと西部アナトリア半島に居住していた、複数のきわめて類似した新石器時代の集団とされています。それ以降、青銅器時代までのこれらの地域の歴史についてはさほど明確になっておらず、ギリシア本土とクレタ島の... ...続きを見る

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2017/08/04 00:00
音楽にたいする2種類の強烈な情動反応
 これは8月2日分の記事として掲載しておきます。音楽にたいする2種類の強烈な情動反応に関する研究(Mori, and Iwanaga., 2017)が公表されました。人間は時として、芸術作品に対して強烈な情動反応を経験します。これまでの研究から、音楽を聴いたときに喚起される「鳥肌感(chill;鳥肌が立ったり背筋がぞくぞくしたりする感覚)」という強烈な情動反応には、精神生理学的な覚醒や、ある種の報酬効果が関わっていることが明らかになっています。しかし、強烈な情動の多くの側面はまだ解明されていませ... ...続きを見る

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2017/08/02 00:00
ネアンデルタール人の遺伝的影響を受けている現代人の脳と頭蓋
 これは7月28日分の記事として掲載しておきます。現代人の脳と頭蓋におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の遺伝的影響に関する研究(Gregory et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人の化石記録は4万年前頃までに消滅したとされていますが(関連記事)、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との交雑は、今では広く認められています。この研究は、健康なヨーロッパ系221人の磁気共鳴画像(MRI)検査のデータと、ネアンデルタール人... ...続きを見る

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2017/07/28 00:00
アフリカにおける現生人類と未知の人類との交雑
 これは7月24日分の記事として掲載しておきます。アフリカにおける現生人類(Homo sapiens)と未知の人類との交雑の可能性を指摘した研究(Xu et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、人間の唾液豊富に含まれるタンパク質の一つであるムチン7をコードしている、繰り返し配列のコピー数の違い(5しくは6)が見られるMUC7遺伝子の変異を調べました。MUC7遺伝子は、以前には喘息への抵抗性との関連が指摘されていましたが、この研究ではそれ... ...続きを見る

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2017/07/24 00:00
地上生活の始まりと体温調節
 これは7月22日分の記事として掲載しておきます。人類の地上生活の始まりの要因に関する研究(Takemoto., 2017)が報道されました。解説記事もあります。この研究は、チンパンジーとボノボの観察を通して、森林内気温変化とその季節変化が、地上で過ごす時間を増やす要因であるこ、と明らかにしました。チンパンジーとボノボは、気温の低い雨季にはほとんど樹上で生活しているのにたいして、暑い乾季には地上で過ごす時間が大きく増える、というわけです。とくに雨期と乾期がはっきりしているギニアのチンパンジーは、... ...続きを見る

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2017/07/22 00:00
さかのぼるオーストラリアへの人類の移住
 これは7月21日分の記事として掲載しておきます。オーストラリアへの人類最初の移住年代に関する研究(Clarkson et al., 2017)が報道されました。オーストラリア大陸(更新世の寒冷期には、ニューギニア島やタスマニア島とも陸続きとなり、サフルランドを形成していました)への人類最初の移住年代は、現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの回数・時期・経路(関連記事)や、現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)・種区分未定のデニソワ人(Deniso... ...続きを見る

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2017/07/21 00:00
現代のイヌの地理的起源
 これは7月20日分の記事として掲載しておきます。現代のイヌの地理的起源に関する研究(Botigué et al., 2017)が公表されました。イヌの起源に関しては多くの見解が提示されており、最近の研究動向をほとんど追えていないのですが、昨年(2016年)、イヌはユーラシアの東西で農耕開始前に独立して家畜化され、後に東アジアから西ユーラシアへとイヌが人々に連れられて移動し、ヨーロッパでは東アジア系のイヌによる旧石器時代以来の在来イヌの大規模な置換が起きたのではないか、と推測する研究が... ...続きを見る

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2017/07/20 00:00
新たに確認されたデニソワ人
 これは7月19日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で1984年に発見された、右側下顎第二乳臼歯(Denisova 2)のDNA解析に関する研究(Slon et al., 2017B)が公表されました。デニソワ洞窟では、現生人類(Homo sapiens)ともネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とも違うホモ属である、種区分未定のデニソワ人(Denisovan)が確認されていま... ...続きを見る

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2017/07/19 00:00
長谷川眞理子「ヒトの進化と現代社会」
 これは7月18日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、ヒトが生物である以上、進化史を知らずに社会の制度設計を企図しても上手くいかないかもしれない、と指摘しています。人間は(教育も含む)社会によっていかようにも変わり得る、との観念は今でも根強いというか、とくに意識されることもなく(もちろん私も含めて)多くの人々を束縛しているようにも思われるので、本論文の指摘はたいへん重要だと思います。 ...続きを見る

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2017/07/18 00:00
序列を維持する心
 序列を維持する心に関する研究(Xie et al., 2017)が公表されました。これまでの研究では、経済ゲームにおいて人は不平等な支払いを拒否することが報告されており、平等を強く望む心は、文化の違いを越えた社会規範であると示唆されていました。しかし、そうした証拠にもかかわらず、所得の不均衡は依然として解消されておらず、他の要因の関与の可能性が疑われていました。この研究は、さまざまな文化を対象に一連の経済ゲームを実施し、序列が2人の人間への支払いを等しくしたいという人々の意欲にどれほど影響を及... ...続きを見る

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2017/07/15 00:00
高畑尚之「進化と人間 その普遍性と個別性」
 『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、生物進化史のなかに人類の進化を位置づけています。当然のことと言えるかもしれませんが、私のような非専門家は、どうしても人間中心主義に陥りやすく、人間の進化を特別なものとして考えがちでしょうから、生物の一種としての人間を強調することは必要だと思います。本論文はこのような観点から、生命の歴史は成功物語というよりは絶滅史だと指摘しており、人類の繁栄と存続が必然とはとても言えないことがよく了解されます。 ...続きを見る

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2017/07/14 00:00
定説よりも早いヒトの免疫系の形成
 これは7月12日分の記事として掲載しておきます。胎児の免疫系の形成に関する研究(McGovern et al., 2017)が公表されました。発生中のヒト胎児は、微生物や食物粒子など、免疫系を活性化させる可能性のある多様な分子にさらされます。この研究は、妊娠中絶が臨床的に必要となった妊娠中期(妊娠14〜22週)の胎児96例の組織を採取して調べ、最も早くて妊娠中期の胎児に免疫学的に活性な細胞が存在していることを明らかにしました。この胎児の樹状細胞は、病原体を感知するとともにT細胞を刺激でき、免疫... ...続きを見る

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2017/07/12 00:00
ジェームズ=ロリンズ『イヴの迷宮』上・下
 これは7月9日分の記事として掲載しておきます。ジェームズ=ロリンズ(James Rollins)著、桑田健訳で、シグマフォースシリーズの一冊として竹書房より2017年7月に刊行されました。シグマフォースシリーズは本書で邦訳が11冊目となる小説で、外伝も邦訳が刊行されており、日本でも根強い人気があるようです。シグマフォースシリーズをこのブログで取り上げるのは初めてですが、外伝も含めてシリーズの邦訳は全巻読んできましたし、何よりも、本書は人類の知能の進化とネアンデルタール人(Homo neande... ...続きを見る

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2017/07/09 00:00
カナダにおける人口増加の要因
 カナダにおける人口増加の要因に関する研究(Pelletier et al., 2017)が公表されました。これまで、進化は時間のかかる過程だと考えられてきました。しかし最近では、進化には生物種の生態学的動態に測定可能な違いを生み出すだけの速さがあり、たとえば人口増加率を高めたり、地理的分布の拡大を加速したりする、という認識が浸透しつつあります。ただ、そうした「急速な進化」の人間集団にとっての重要性はさほど大きなものではない、と考えられていました。 ...続きを見る

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2017/07/07 00:00
ドイツ南西部のネアンデルタール人化石のmtDNA
 これは7月6日分の記事として掲載しておきます。ドイツ南西部の人類の大腿骨化石のミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析に関する研究(Posth et al., 2017)が公表されました。この研究が解析したのは、ドイツ南西部のホーレンシュタイン-シュターデル(Hohlenstein–Stadel)洞窟(以下HST洞窟と省略)で発見された人類の大腿骨化石のmtDNAで、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定の... ...続きを見る

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2017/07/06 00:00
松本直子「人類史における戦争の位置づけ 考古学からの考察」
 『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。戦争は人間の本性なのか、それとも社会的な要因で発生した人類史上で比較的新しい(農耕開始・国家形成移行)現象なのか、という問題は広く関心を持たれているように思います。もちろん、研究者の間ではここまで単純化された議論が展開されているわけではないでしょうが、とりあえずこの記事では、「本性説」と「後天説」と分類しておきます。本論文は、明確に後天説を支持しています。 ...続きを見る

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2017/07/05 00:00
篠田謙一『ホモ・サピエンスの誕生と拡散』
 これは7月2日分の記事として掲載しておきます。歴史新書の一冊として洋泉社より2017年6月に刊行されました。本書からは、一般向けであることを強く意識し、分かりやすい解説・構成にしようという意図が窺えます。じっさい、本書は目新しい情報を多く掲載しているわけではないものの、最新の研究成果に基づいて人類史を分かりやすく解説しており、なかなか読みやすく理解しやすいと思います。基礎的な解説もあるので、人類進化史に関心を持ち始めた人が読むのに適していると言えるでしょう。著者の専攻が反映され、DNA解析につ... ...続きを見る

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2017/07/02 00:00
松本晶子「ヒヒとヒト サバンナの隣人から見える社会性の起源」
 『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、ヒトの社会性の進化に関して、長期間サバンナ環境に適応してきたという共通性から、ヒヒを参照モデルとしています。ヒヒは、ある程度(20kg)以上の体重の霊長類という点でも、ヒトとの比較対象として相応しい、と言えそうです。 ...続きを見る

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2017/06/30 00:00
アリの拡散と人間の行動
 これは6月28日分の記事として掲載しておきます。アリの拡散と人間の行動に関する研究(Bertelsmeier et al., 2017)が公表されました。人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こします。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続ける、と予測されています。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目していますが、外来種全般が類似の定着パターンに従う... ...続きを見る

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2017/06/28 00:00
ネコの起源
 これは6月22日分の記事として掲載しておきます。ネコの起源に関する研究(Ottoni et al., 2017)が公表されました。ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた、と考えられています。この研究は、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析しました。 ...続きを見る

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2017/06/22 00:00
蔦谷匠「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、現代人の授乳と離乳に見られるミスマッチ(関連記事)について解説しています。大半は狩猟採集社会における進化を通じて獲得されてきたヒトの行動や性質が、近現代の急激な生活環境の変化にあって齟齬をきたす事例が多数見られ、授乳と離乳もその一例になる、というわけです。 ...続きを見る

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2017/06/21 00:00
中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の行動変化
 これは6月16日分の記事として掲載しておきます。中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の人間の行動変化に関する研究(Nejman et al., 2017)が報道されました。この研究が調査対象としたのは、チェコ共和国東部のモラヴィア(Moravia)地方のポドフラデム洞窟(Pod Hradem Cave)遺跡です。ポドフラデム洞窟遺跡では1956〜1958年に発掘調査が行なわれ、石器や骨製ビーズや2万個以上の動物の骨などが発見されており、セレティアン(Szeletian)や... ...続きを見る

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2017/06/16 00:00
ヒトノックアウトプロジェクトの第一歩
 ヒトノックアウトプロジェクトに関する研究(Saleheen et al., 2017)が公表されました。遺伝子の機能を解明するための研究はこれまで、モデル動物の重要な遺伝子をノックアウトし、その後の変化を調べるという方法で行なわれていましたが、この研究は逆の手法を採用しました。それは、パキスタン在住の10503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される49138ヶ所の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液試料で測定される201... ...続きを見る

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2017/06/15 00:00
イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離
 イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離に関する研究(Gupta et al., 2017)が公表されました。イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていました。これまでの理論は、氷河湖からの溢出がドーバー海峡の開いた原因だと示唆していますが、この仮説を検証するには、推測される分裂地点の高分解能データが不足していました。この研究は、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す、新しい証拠を提示し... ...続きを見る

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2017/06/13 00:00
アフリカ北部の30万年以上前の現生人類的な化石(追記有)
 これは6月9日分の記事として掲載しておきます。モロッコのジェベルイルード(Jebel Irhoud)遺跡で新たに発見された人類化石に関する二つの研究が報道されました。日経新聞や朝日新聞やAFPや読売新聞でも報道されており、大きな注目を集めているようですが、確かに、大いに注目すべき研究だと思います。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。一方の研究(Hublin et al., 2017)は、ジェベルイルード遺跡における2004年以降の調査で新たに発見された、少なくとも5個体分とな... ...続きを見る

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2017/06/09 00:00
テロリストの道徳的判断
 これは6月8日分の記事として掲載しておきます。テロリストの道徳的判断に関する研究(Baez et al., 2017)が公表されました。テロは、一般社会から容認されない行為とみなされるのが普通ですが、テロリストは自らの行為を、「目的は手段を正当化する」という論理により正当化します。しかし、テロリストがこのトレードオフをどのようにとらえて道徳的判断を下しているのか、よく分かっていません。典型的な成人の道徳的判断は、人が行為の意図および結果についての情報を表現して統合する能力に基づいています。多く... ...続きを見る

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2017/06/08 00:00
攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する乳児
 これは6月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトに見られる、有害な相互作用に対する第三者による保護的介入が始まる時期についての研究(Kanakogi et al., 2017)が公表されました。有害な相互作用に対する第三者による保護的介入は、一般には称賛される行為であり、道徳・正義・英雄的資質といった概念と結びつけられています。じっさい、そうした第三者の介入が絡む物語は、神話・書物・映画などの形で、有史以来の大衆文化のなかに数多く見られます。現代の発達科学では、ヒトはこうした介入を就学前から... ...続きを見る

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2017/06/07 00:00
鈴木紀之『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』
 これは6月4日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年5月に刊行されました。本書は、一見すると「不合理」な進化を適応主義的な観点から検証していきます。擬態が不完全だったり、「求愛エラー(繁殖能力のある子孫を残せない近縁種との生殖行動)」を起こしたりするのは、遺伝子など何らかの制約に起因する、といった制約を重視する説にたいして、本書はあくまでも、一見すると「不合理」な進化のなかに、適応主義的な理由があるのではないか、と追及していきます。 ...続きを見る

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2017/06/04 00:00
古代エジプト人のDNA解析
 これは6月2日分の記事として掲載しておきます。古代エジプト人のDNA解析結果を報告した研究(Schuenemann et al., 2017)が報道されました。この研究は、古代エジプト人のDNAを解析し、古代の西アジアやヨーロッパの住民およびエジプトも含む現代の各地域の住民のDNAと比較しています。この研究が解析したのは、カイロよりもナイル川上流に位置するアブシールエルメレク(Abusir-el Meleq)遺跡で発見されたミイラのDNAです。アブシールエルメレク遺跡では、少なくとも紀元前32... ...続きを見る

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2017/06/02 00:00
湧水と人類の進化
 これは6月1日分の記事として掲載しておきます。湧水と人類の進化に関する研究(Cuthbert et al., 2017)が報道されました。水は人類にとってきわめて重要な資源です。気候変動が人類の進化において重要な役割を果たした、との見解は一般的でしょうが、そのさいに注目されている生態系の変化を規定する根本的要因の一つが水(利用可能水量)です。しかし、これまで、湧水のような地下水の利用可能量については、あまり注目されてきませんでした。この研究は、アフリカ東部における湧水の分布を同定し、気候変動に... ...続きを見る

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2017/06/01 00:00
アファレンシスの脊椎骨
 これは5月28日分の記事として掲載しておきます。330万年前頃の人類の脊椎骨に関する研究(Ward et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。エチオピアのディキカ(Dikika)では330万年前頃の人類の幼児の部分的骨格が発見されており(関連記事)、アウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。この幼児化石(DIK-1-1)は、エチオピアの公用語であるアムハラ語で「平和」を意味す... ...続きを見る

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2017/05/28 00:00
最古の人類系統かもしれないヨーロッパのヒト科化石
 これは5月27日分の記事として掲載しておきます。中新世のヨーロッパのヒト科化石と人類系統との類似性、および当時の環境についての研究が報道されました。AFPでも報道されています。一方の研究(Fuss et al., 2017)は、ギリシア(Pyrgos Vassilissis Amalia)とブルガリア(Azmaka)で発見された既知のグラエコピテクス属化石の歯根を改めて分析し、アウストラロピテクス属・アルディピテクス属など絶滅した人類系統や現代人と比較した結果、グラエコピテクス属はチンパンジー... ...続きを見る

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2017/05/27 00:00
白保竿根田原洞穴遺跡についての新たな発表
 これは5月22日分の記事として掲載しておきます。沖縄県石垣市の白保竿根田原洞穴遺跡についての新たな発表が報道されました。読売新聞でも報道されています。白保竿根田原洞穴遺跡では日本列島でも有数の古い人骨が複数発見されており、このブログでも何度か取り上げてきました。 http://sicambre.at.webry.info/201002/article_6.html http://sicambre.at.webry.info/201003/article_13.html http://si... ...続きを見る

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2017/05/22 00:00
現代人の形成に大きな役割を果たした移民
 これは5月20日分の記事として掲載しておきます。現代人の形成に移民が大きな役割を果たした、と指摘する概説(Gibbons., 2017)が公表されました。この概説は、現在、移民が大きな問題となっていることを強く意識した内容になっています。移民排斥の流れは現代世界の大きな動向として注目されており、それがイギリスの国民投票におけるEU離脱や、アメリカ合衆国でのトランプ政権の誕生など、「識者」や既存報道機関にとって意外な、大きな政治的出来事をもたらした、とよく論じられています。また、「識者」や既存報... ...続きを見る

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2017/05/20 00:00
環境変化とホモ属の出現
 これは5月17日分の記事として掲載しておきます。環境変化とホモ属の出現に関する研究(Robinson et al., 2017)が報道されました。アフリカ東部におけるアウストラロピテクス属からホモ属への移行は、鮮新世〜更新世にかけての、湿潤な森林の多い環境から乾燥した草原環境への移行と関連づけられてきました。しかし、鮮新世末期の環境に関するデータは不足しています。この研究は、アワシュ川下流域とトゥルカナ盆地において、350万〜100万年前頃の動物相の土壌炭酸塩安定同位体を分析し、環境変化と食性... ...続きを見る

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2017/05/17 00:00
Alex Mesoudi『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』
 これは5月14日分の記事として掲載しておきます。アレックス=メスーディ(Alex Mesoudi)著、野中香方子訳、竹澤正哲解説で、文藝春秋社より2016年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、文化の変遷を生物進化の概念・数理モデルで把握しようとする文化進化論の立場を解説しています。歴史学や文化人類学など文化を扱う社会科学分野は多数ありますが、その多くが定量的な手法を用いておらず、科学的厳密さに欠けている、と本書は指摘します(心理学や経済学の手法には科学的厳密さがあるものの... ...続きを見る

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2017/05/14 00:00
2017年度アメリカ自然人類学会総会(クロアチアの後期更新世〜完新世の遺跡について)
 これは5月13日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、今年(2017年)4月19日〜4月22日にかけて、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ市で第86回アメリカ自然人類学会総会が開催されました。アメリカ自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での各報告の要約はPDFファイルで公表されているのですが、まだいくつかの報告を読んだだけです。とりあえず今回は、とくに興味深いと思った報告(Jankovi&#... ...続きを見る

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2017/05/13 00:00
ナレディの新たな化石と年代(追記有)
 これは5月11日分の記事として掲載しておきます。新種のホモ属とされているナレディ(Homo naledi)に関する新たな論文3本が報道されました(報道1および報道2および報道3)。ナレディは南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された年代不明の人骨群(関連記事)で、一般誌でも大きく取り上げられる(関連記事)など話題になりました。ナレディの足と手には現代人的(派生的)特徴と祖先的特徴との混在が指摘... ...続きを見る

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2017/05/11 00:00
アシューリアン石器製作の基礎となる脳機能
 これは5月10日分の記事として掲載しておきます。アシューリアン(Acheulian)石器製作の基礎となる脳機能に関する研究(Putt et al., 2017)が報道されました。伝統的な石器製作技術の区分(関連記事)では、小さな礫から2〜3片の剥片をはがす簡単な石器製作技術であるオルドワン(Oldowan)に代表される様式1(Mode 1)から、様式1より周到な計画と調整が必要とされる両面加工握斧(Handaxe)などを製作する様式2(Mode 2)への変化は、画期の一つとされています。現時点... ...続きを見る

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2017/05/10 00:00
Yuval Noah Harari『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』上・下
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。ユヴァル=ノア=ハラリ(Yuval Noah Harari)著、野中香方子訳で、河出書房新社から2016年9月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。地上波でも取り上げられ、大型書店でも大きく扱われているなど、本書は評判の一冊になっているようです。私は刊行後間もない時期に購入したのですが、書評を少し読んだ限りでは、あまり新鮮さはなさそうだということで、読むのを先延ばしにしていました。しかし、このまま読まないのはもったいないと思い、読んでみた次... ...続きを見る

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2017/05/07 00:00
アフリカ南部の岩絵の年代
 これは5月5日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部の岩絵の年代に関する研究(Bonneau et al., 2017)が報道(Wild., 2017)されました。この研究で調査対象となったのは、アフリカ南部における初期狩猟採集民の直系子孫とされるサン人の所産と考えられている、南アフリカ共和国・ボツワナ共和国・レソト王国の後期石器時代のものと思われる岩絵です。岩絵は民族誌としても利用でき、農耕集団や牧畜集団との交流の様子が窺えると指摘されていますが、他の人工物が共伴していないので、正確な... ...続きを見る

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2017/05/05 00:00
究極の利他的行為の動機
 これは5月4日分の記事として掲載しておきます。究極の利他的行為の動機に関する研究(Vekaria et al., 2017)が公表されました。腎臓を見知らぬ人に提供する行為は、痛みを伴い、犠牲が大きく、標準的ではなくて極めてまれであり、利他主義の典型例とみなすことができます。ヒトの利他主義傾向を高める要因は何なのか、また、その寛大さは他者への純粋な共感から生まれるのか、それとも利己的な動機に由来するのか、といった疑問に対する答えはいまだ得られていません。 ...続きを見る

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2017/05/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(31)2017年1月〜2017年4月
 これは5月1日分の記事として掲載しておきます。2017年1月〜2017年4月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2017年1月〜2017年4月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2017/05/01 00:00
堆積物で確認された更新世人類のDNA
 これは4月29日分の記事として掲載しておきます。堆積物から更新世人類のDNAを解析した研究(Slon et al., 2017)が報道されました。『ネイチャー』のサイト には解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、ベルギー・クロアチア・フランス・ロシア・スペインというユーラシアの広範な地域の55万〜14000年前頃の9ヶ所の遺跡を対象とした堆積物の調査の結果、5ヶ所の遺跡において現生人類(Homo sapiens)ではない更新世人類のミトコンドリア... ...続きを見る

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2017/04/29 00:00
アメリカ大陸における13万年前頃の人類の痕跡?
 これは4月28日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸における人類の痕跡が大きくさかのぼるかもしれないことを報告した研究(Holen et al., 2017)が報道されました。『ネイチャー』のサイト には解説記事が掲載されています。この研究が取り上げたのは、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部のサンディエゴ市近郊のセルティマストドン(Cerutti Mastodon)遺跡です。セルティマストドン遺跡では、単一のマストドン(Mammut americanum)の断片的な遺骸が発見されていま... ...続きを見る

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2017/04/28 00:00
デニソワ洞窟で確認された新たなネアンデルタール人の骨
 これは4月26日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、南西シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で確認された新たなネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の骨に関する研究(Brown et al., 2016)が報道されました。デニソワ洞窟では、出土人骨のDNA解析から、ネアンデルタール人や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)の存在が確認されており、高い網羅率の更新世人類のゲノム配列も得られていま... ...続きを見る

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2017/04/26 00:00
フロレシエンシスの祖先はエレクトスではない
 これは4月24日分の記事として掲載しておきます。インドネシア領フローレス島で発見された5万年以上前の更新世人類の起源に関する研究(Argue et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この人類の分類については発見当初、ホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、激論が展開されました。今でも病変現生人類説は一部で根強く主張されていますが、この研究でも病変現生人類... ...続きを見る

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2017/04/24 00:00
長谷川眞理子、 山岸俊男『きずなと思いやりが日本をダメにする 最新進化学が解き明かす「心と社会」』
 これは4月23日分の記事として掲載しておきます。集英社インターナショナルより2016年12月に刊行されました。本書は著者二人の対談で、一般読者層にもたいへん読みやすくなっていると思います。あとがきにあるように、編集者の力量が優れている、ということなのでしょう。さすがに第一人者同士の対談だけあって、じゅうぶん読みごたえがありましたし、教えられるところが多々ありました。 ...続きを見る

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2017/04/23 00:00
現生人類の起源と拡散
 これは4月20日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、現生人類(Homo sapiens)の起源と拡散についての研究(Nielsen et al., 2017)が公表されました。本論文は、現代と古代の人類のゲノム解析から、現生人類の起源と拡散を概観しています。現時点でこの問題を把握するうえで、本論文はたいへん有益だと思います。この問題に関心のある人にはお勧めの論文です。 ...続きを見る

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2017/04/20 00:00
亀田達也『モラルの起源 実験社会科学からの問い』
 これは4月16日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2017年3月に刊行されました。本書は、人間社会のモラルの基盤を、さまざまな分野の研究成果から検証しています。本書はこれを「実験社会科学」と呼んでいます。実験社会科学とは、経済学・心理学・政治学・生物学など複数の分野の研究者たちが集まり、「実験」という共通の手法を用いて、人間の行動や社会における振る舞いを検討しようとする、新たな学問領域です。 ...続きを見る

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2017/04/16 00:00
更新世において間氷期をもたらす要因
 これは4月14日分の記事として掲載しておきます。更新世において間氷期をもたらす要因についての研究(Tzedakis et al., 2017)が公表されました。全般的に気候が寒冷だった更新世の温暖な期間である間氷期の存在は、さまざまな証拠からよく知られています。日射量の変化のタイミングは、地球と太陽の幾何学的配置の小さな変動によって調節されていますが、間氷期のタイミングや、間氷期の契機となるのに必要な軌道配置の明らかな変化について、明確な説明はまだ困難です。この研究は、夏季の日射量の閾値に基づ... ...続きを見る

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2017/04/14 00:00
アフリカヌスの踵骨の分析
 取り上げるのが遅れてしまいましたが、アウストラロピテクス属化石の踵骨に関する研究(Zeininger et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、南アフリカ共和国のスタークフォンテン(Sterkfontein)洞窟で発見されたアウストラロピテクス属化石である踵骨「StW 352」です。StW 352はアフリカヌス(Australopithecus africanus)に分類されています。StW 352は、現代人・チンパンジー・ゴリラ・ヒヒと比較されました。 ...続きを見る

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2017/04/11 00:00
Jonathan Marks『元サルの物語 科学は人類の進化をいかに考えてきたのか』
 これは4月9日分の記事として掲載しておきます。ジョナサン=マークス(Jonathan Marks)著、長野敬・長野郁訳で、2016年11月に青土社より刊行されました。原書の刊行は2015年です。本書は一般向けながら、たいへん深い内容になっていると思います。だからといって、難解とか、晦渋さを誇示しているとかいうわけではなく、文章自体は比較的平易だと思います(正確には、翻訳文がそうだと言うべきなのでしょうが、おそらく原文も同様なのでしょう)。 ...続きを見る

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2017/04/09 00:00
更新世の食人行為の評価(追記有)
 これは4月8日分の記事として掲載しておきます。更新世の食人行為の評価に関する研究(Cole., 2017)が報道されました。食人行為は、その背徳性もあって、一般層の関心もなかなか高く、学界でも食人行為にはずっと一定以上の関心が寄せられているように思います。食人行為の目的に関しては、議論が続けられてきました。大まかには、儀式・(飢餓などによる)栄養摂取・攻撃性の発露(復讐)・薬用などに分類されます。 ...続きを見る

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2017/04/08 00:00
ヒトの身長に関連する遺伝子群
 これは4月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトの身長に関連する遺伝子群についての研究(Marouli et al., 2017)が公表されました。ヒトの身長には複数の遺伝子が関与しており、複雑な形質の遺伝的解析のモデルとされてきました。ゲノム規模の関連研究によって、これまでに約700のありふれた多様体が身長と関連づけられていますが、低頻度の多様体や希少な多様体が果たす役割については、系統的な評価が行なわれていませんでした。この研究は、71万1418人のゲノムのコード領域を解析し、身長に関連... ...続きを見る

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2017/04/07 00:00
マリタ遺跡の少年のDNA解析について
 これは4月5日分の記事として掲載しておきます。南中央シベリアのマリタ(Mal’ta)遺跡の少年(MA-1)のDNA解析結果について、以前このブログで取り上げました(関連記事)。その後、私も最近投稿したある掲示板で、その記事について、「アンタが出したあのブログが君のかどうかすら、さっぱりわからん!」とか、「私が日本語訳を引用したものをコピペして検索し、あのブログにたどりつき、アンタが勝手に自分のブログにしたのかもしれん」と言い出す人がいたので、その掲示板で「sicambre」として投稿しているの... ...続きを見る

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2017/04/05 00:00
クリミアのネアンデルタール人の象徴的行動の証拠
 これは4月1日分の記事として掲載しておきます。クリミアのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の象徴的行動に関する研究(Majkić et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、クリミアのザスカルナヤ6(Zaskalnaya VI)岩陰遺跡の中部旧石器時代の層で発見された、ワタリガラス(Corvus corax)の橈骨の断片です。ザスカルナヤ6遺跡は1969年に発見され、1969〜1975年・1977〜1978年・1981〜19... ...続きを見る

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2017/04/01 00:00
霊長類の脳サイズと食性の関係
 これは3月29日分の記事として掲載しておきます。霊長類の脳サイズと食性の関係についての研究(DeCasien et al., 2017)が公表されました。霊長類の脳サイズの進化に関するこれまでの研究では、種の典型的な集団の平均的な構成個体数と体の大きさに対する脳サイズとの間に相関が見出されています。しかし、種が一夫一妻制かどうかなど、社会的複雑性に関する別の尺度を考えると、結果には一貫性がなく、環境中の他の潜在的推進要因が探られていません。この研究は、非ヒト霊長類の脳サイズに関して、これまでに... ...続きを見る

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2017/03/29 00:00
『最古の文字なのか? 氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』
 これは3月26日分の記事として掲載しておきます。ジェネビーブ=ボン=ペッツィンガー(Genevieve von Petzinger)著、櫻井祐子訳で、文藝春秋社より2016年11月に刊行されました。原書の刊行は2016年です。著者の見解は地上波の番組でも取り上げられたことがあり、すでにある程度知られているのではないか、と思います。このブログでも、著者の見解を取り上げたことがあります(関連記事)。 ...続きを見る

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2017/03/26 00:00
高地に順応する方法を「記憶」している血液細胞
 これは3月23日分の記事として掲載しておきます。赤血球が高地へ順応する仕組みについての研究(Song et al., 2017)が公表されました。ヒトの体は、低酸素状態を生き延びるために適応応答を起こして、体内組織への酸素供給を促進します。そうした適応応答の一つがアデノシンという化学物質の放出で、これにより血管漏出が防止され、炎症が軽減されて、血管が拡張して組織の損傷が減ります。これまでの研究では、高地に繰り返して行くことで低酸素環境への適応が加速されることが明らかになっていましたが、このよう... ...続きを見る

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2017/03/23 00:00
『カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論』
 これは3月19日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2017年1月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。第1巻については、すでにこのブログで取り上げています(関連記事)。第2巻はとくに淘汰を重点的に解説しており、第5章「進化のメカニズム─遺伝的浮動と自然淘汰」・第6章「量的遺伝学と表現型の進化」・第7章「自然淘汰... ...続きを見る

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2017/03/19 00:00
40万年前頃のポルトガルの人類頭蓋
 これは3月16日分の記事として掲載しておきます。40万年前頃のポルトガルの人類頭蓋に関する研究(Daura et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究が分析したのは、ポルトガルのアロエイラ洞窟(Gruta da Aroeira)で発見された中期更新世のホモ属頭蓋(アロエイラ3)です。アロエイラ洞窟の中期更新世の層では、人類化石とともに、豊富な(人類ではない)動物化石や、石器群が発見されています。この石器群はアシューリアン(Acheulia... ...続きを見る

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2017/03/16 00:00
新生児は成人と同様に視覚処理ができる
 これは3月14日分の記事として掲載しておきます。新生児の視覚処理に関する研究(Deen et al., 2017)が公表されました。成人の大脳皮質の視覚野は、顔・物体・風景など目に見えるもの全てをそれぞれ処理する領域に分かれています。ただ、こうした領域が周辺環境にさらされたために形成されたのか、それとも若い頃から存在していたのかは、まだ明らかになっていません。この研究は、9人の乳児(生後4〜6か月)を機能的磁気共鳴画像装置の中に寝かせたままで、さまざまな画像を見せて画像データを取得しました。こ... ...続きを見る

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2017/03/14 00:00
急速に拡散した最初期のオーストラリア人(追記有)
 これは3月11日分の記事として掲載しておきます。オーストラリア先住民のミトコンドリアDNA(mtDNA)を解析した研究(Tobler et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、1928年から1970年代にかけてオーストラリア先住民から集められた111点の髪からmtDNAを解析しました。注目されるのは、オーストラリア先住民社会から合意・協力を得て研究が進められ、オーストラリアにおける先住民政策にも活かされていることです。今では、こうした... ...続きを見る

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2017/03/11 00:00
歯石から推測されるネアンデルタール人の行動・食性・病気(追記有)
 これは3月10日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の歯石のDNAを分析した研究(Weyrich et al., 2017)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事(Callaway., 2017)が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヒトの歯石には、体内の多数の微生物や食事などで歯に付着した生物のDNAが多数保存されています。この研究は、DNA解析技術の発展により、化石人類の歯石のDNA解析に... ...続きを見る

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2017/03/10 00:00
肥満と糖尿病の関係
 肥満と糖尿病の関係についての研究(Wahl et al., 2017)が公表されました。肥満は2型糖尿病や関連する代謝疾患の主要なリスク因子です。遺伝子関連研究により肥満に関連するゲノムの座位が明らかにされており、最近の研究でもDNAメチル化との関連が示唆されています。この研究では、ボディーマス指数(BMI)に関してエピゲノム全体にわたる検証が行なわれ、血液および脂肪組織では187の座位でDNAメチル化との関連が明らかになりました。また、これらのメチル化の変化は肥満の結果として生じ、従来のリス... ...続きを見る

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2017/03/08 00:16
『カラー図解 進化の教科書 第1巻 進化の歴史』
 これは3月5日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2016年11月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。本書は、進化の具体的な過程とともに、進化の基本的な仕組みについての解説にもなっており、進化の入門書としてたいへん優れていると思います。豊富な具体的な事例が本書の特徴で、一般層にも面白く読める構成にしよう、との意... ...続きを見る

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2017/03/05 00:00
12万〜10万年前頃の「許昌人」の頭蓋
 これは3月4日分の記事として掲載しておきます。中国で発見された上部更新世前期のホモ属頭蓋に関する研究(Li et al., 2017)が報道されました。この研究が分析したのは、中華人民共和国河南省許昌市(Xuchang)霊井(Lingjing)遺跡で発見された、125000〜105000年前頃の頭蓋です。この頭蓋に関しては、9年前(2008年)にこのブログで取り上げ(関連記事)、その後に補足となる追加記事を掲載したことがあります。 ...続きを見る

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2017/03/04 00:00
ヨーロッパの初期人類の食性
 これは3月2日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期人類の食性に関する研究(Pérez-Pérez et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、スペイン北部のアタプエルカで発見されたホモ属の人骨群(120万〜80万年前頃)です。アタプエルカでは、「象の穴(Sima del Elefante)」遺跡で120万年前頃のホモ属化石(種区分未定)が、グランドリナ(Gran Dolina)遺跡で96万〜80万年前頃のホモ属化石が発見されています... ...続きを見る

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2017/03/02 00:00
現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人由来の遺伝子の影響
 これは2月28日分の記事として掲載しておきます。現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)由来の遺伝子の影響に関する研究(McCoy et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人と出アフリカ現生人類(Homo sapiens)集団とが交雑し、非アフリカ系現代人のゲノムにわずかながらネアンデルタール人由来の領域が存在することは、今では広く認められている、と言ってよいでしょう。そうした領域のなかには、たとえば脂質代謝に関わる遺伝子(... ...続きを見る

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2017/02/28 00:00
加齢によるリスク選好の変化は脳構造の変化に起因する
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。加齢によるリスク選好の変化に関する研究(Grubb et al., 2016)が公表されました。ヒトがリスク(予測できない結果)を伴う意思決定を行うさいには、右後部頭頂皮質という脳領域が活動しています。これまでの研究では、この領域の灰白質の量が若年成人のリスク選好と相関していることが明らかになっています。ヒトでは、昔から知っていて見慣れたものを選ぶ傾向は、年齢を重ねるにつれて顕著になります。ヒトは年をとるとリスクのある決定をあまりしなくなるわけで... ...続きを見る

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2017/02/25 00:00
9世紀〜12世紀にかけての北アメリカ大陸における母系継承の支配層(追記有)
 これは2月24日分の記事として掲載しておきます。9世紀〜12世紀の北アメリカ大陸の支配層と思われる人骨群のDNA解析に関する研究(Kennett et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州にある有名なプエブロボニート(Pueblo Bonito)遺跡の人骨群です。放射性炭素年代測定法により、プエブロボニート遺跡の年代は800〜1130年頃と推定されています。アメリカ合衆国南西部のチャコ渓谷(Chaco Canyon)には、2階以上の... ...続きを見る

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2017/02/24 00:00
「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。表題の記事がナショナルジオグラフィックに掲載されました。正直なところ、表題を読んだ時には、男女には本質的な違いはないとか、性別を重視すること自体が社会的に構築されたものだとか、性別自体が生物学的に否定されているとかいった言説が展開されるのではないか、とかなり警戒したのですが、以前からの私の見解にひじょうに近いところがあり、かなり同意できる内容でした。もっとも、表題の記事で男女差の事例とされた課題実験も、社会的に構築された性差の構造に起因するものに... ...続きを見る

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2017/02/20 00:00
ハインリッヒイベントの要因
 ハインリッヒイベントの要因に関する研究(Bassis et al., 2017)が公表されました。ハインリッヒイベントは、ローレンタイド氷床などの氷床から北大西洋へ多数の氷山が流出する大規模な事象です。しかし、数十年にわたる研究で多数の見解が提示されているにも関わらず、ハインリッヒイベントを起こす機構に関してはまだ激しい議論が続いています。この研究は、新しいモデルによる証拠を提示し、ハインリッヒイベントが驚くほど単純な機構によって起こることを示しています。それは、暖かい海水の流入が氷床の分離面... ...続きを見る

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2017/02/18 00:00
不正を続けると不正への脳の感受性が低下する
 不正直な行動と脳の感受性に関する研究(Garrett et al., 2016)が公表されました。この研究は、18〜65歳の80人に参加してもらい、第1被験者に1ペンス銅貨入りのガラス瓶の画像を見せて銅貨の数を見積もらせ、その数を第2被験者に伝えさせる、という実験を行ないました。この研究は、(1)第2被験者が不利益を受けて第1被験者が利益を得る、(2)第1被験者も第2被験者も利益を得る、(3)第1被験者が不利益を受けて第2被験者が利益を得る、(4)第1被験者だけが利益を得て、第2被験者は影響を... ...続きを見る

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2017/02/16 00:00
アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源
 アイルランドの移動型民族集団であるアイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関する研究(Gilbert et al., 2017)が公表されました。アイルランド国内のトラヴェラー集団の人口は29000〜40000人と推定されており、アイルランドの総人口の約0.6%に相当します。アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関しては、1845〜1852年にかけてのアイルランドの大飢饉の時期に起源がある、との説も提示されていますが、文書証拠がないために論争が続いています。 ...続きを見る

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2017/02/14 00:00
現代アメリカ合衆国の人口構造
 これは2月11日分の記事として掲載しておきます。現代アメリカ合衆国の人口構造に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。植民地時代以前の北アメリカ大陸の人々については、かなり詳細な研究が行われていますが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航しています。この研究は、アメリカ合衆国生まれの約77万人のDNA解析を行ない、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築しました。 ...続きを見る

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2017/02/11 00:00
女性性器切除の文化的進化
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。アフリカの特定の民族集団における女性性器切除(FGC)の文化的進化に関する研究(Howard, and Gibson., 2017)が公表されました。女性性器切除の風習は、とくにアフリカおよび中東各地の多くの民族集団において確認されており、場合によっては、非医学的な理由から女性の性器に各種の有害な改変を加え、産科的・性的・心理的に重大な影響を生じることがあります。したがって、その撲滅は国際社会の優先課題とされています。しかし、この風習に対する組織... ...続きを見る

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2017/02/10 00:00
脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構についての研究(Falco et al., 2016)が公表されました。この研究は、2つの対象物や2人の関連性の強さについて、1対の画像にたいするヒトの神経活動を測定することで、この関連性の程度を予測できることを明らかにしました。この研究は、癲癇治療のため電極を埋め込まれた49人の被験者のニューロンの発火パターンを測定する実験を行ないました。この実験では、被験者に一定数の画像が見せられ、個々のニュー... ...続きを見る

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2017/02/09 00:00
社会規範の違反の程度と応答
 これは2月8日分の記事として掲載しておきます。社会規範の違反の程度と応答に関する研究(Balafoutas et al., 2016)が公表されました。この研究は、ドイツの駅で軽微な違反行為(コーヒー用の紙コップのポイ捨て)と重大な違反行為(コーヒー用の紙コップと何かが入っている紙袋のポイ捨て)を演出し、800回以上の試行によって旅行者の反応を記録しました。これらの試行で、違反の大小はポイ捨てをした者が叱責される可能性や叱責の程度に影響を及ぼしませんでした。 ...続きを見る

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2017/02/08 00:00
7700年前頃の東アジア人のDNA
 これは2月3日分の記事として掲載しておきます。7700年前頃の東アジア人のDNAに関する研究(Siska et al., 2017)が報道されました。これまで、西ユーラシアでは多くの旧石器時代・中石器時代・新石器時代・金属器時代以降の人類のDNAが解析されており、農耕の開始にともなう人類集団の遺伝的構成の変遷がしだいに明らかになりつつあります。そこで明らかになってきたのは、ヨーロッパでは旧石器時代から現代にいたるまで、西アジアやユーラシア内陸部から農耕や冶金技術を携えた集団の大規模な移動がたび... ...続きを見る

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2017/02/03 00:00
20万年以上前までさかのぼる大量の黒曜石の長距離移動
 これは2月2日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代のアフリカ東部における黒曜石の長距離移動に関する研究(Blegen., 2017)が公表されました。この研究は、一昨年(2015年)4月の古人類学協会の年次総会における報告(関連記事)が元になっています。この研究が分析したのは、ケニアのカプサリン(Kapthurin)層の中期石器時代初期のシビロ学校路遺跡(Sibilo School Road Site)の石器群です。この石器群にはルヴァロワ式尖頭器(Levallois points)な... ...続きを見る

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2017/02/02 00:00
妊娠により変わる女性の脳の構造
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。妊娠による女性の脳の構造の変化に関する研究(Hoekzema et al., 2017)が公表されました。妊娠すると、ホルモンの濃度が急上昇するため、体に急激な生理的変化と物理的変化が生じます。思春期のホルモン変化といったそれほど急激でないホルモンの変化があっても、脳の構造と機能が変化することが明らかになっていますが、妊娠により女性の脳の構造がどのように変化するのか、まだ解明されていません。この研究は、妊娠・出産を初めて経験した25人の女性を妊娠... ...続きを見る

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2017/01/31 00:00
音楽の普遍的な特徴の変化
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。音楽の普遍的な特徴の変化に関する研究(Ravignani et al., 2016)が公表されました。世界には多種多様なヒトの音楽がありますが、文化圏の違いに関わらず類似性が認められます。また、ヒトの音楽は本質的に構造を持ちますが、そうした構造的規則性が生まれる仕組みは不明です。この研究はそうした現象を調べるために、音楽の進化のシミュレーションを実験室で実施しました。まず、実験参加者の第1グループが、ランダムに作られたドラムの音の連なりを聞き、そ... ...続きを見る

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2017/01/28 00:00
病原体の毒性の性差
 これは1月26日分の記事として掲載しておきます。病原体の毒性の性差に関する研究(Úbeda, and Jansen., 2016)が公表されました。特定の病原体感染症の重症度に性差が見られるのは、男性より女性の免疫応答の方が強いからだ、と考えられてきました。しかしこの研究は、男性より女性における伝播経路が多い病原体にとっては、感染した女性の症状を軽くするように進化することが有効な進化戦略だ、と指摘しています。女性が集団内の他の構成員に病原体をうつす経路で男性と異なるものとしては、妊娠... ...続きを見る

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2017/01/26 00:00
想定されていたほどには仲間を助ける行動をとらないチンパンジー
 チンパンジーの他者への協力行動に関する研究(Tennie et al., 2016)が公表されました。非ヒト霊長類のさまざまな種を野生状態で観察する研究では、親切な行為・協力的な行為・他者を助ける行為などが観察される、と報告されています。たとえば、互いを毛繕いする行為・戦っている個体に加勢する行為・生息地の境界を監視して群れの成員の安全を図る行為などです。同様の観察結果は訓練されたサルについても得られていますが、こうした行動が他者を助けるために行なわれるのか、こうした行動によって後から生じる恩... ...続きを見る

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2017/01/21 00:00
クラピナ遺跡で発見されたネアンデルタール人の象徴的思考のさらなる証拠
 これは1月19日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の象徴的思考に関する研究(Radovčić et al., 2016)が報道されました。ネアンデルタール人の象徴的思考に関しては、現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」との関連で大いに注目されています。象徴的思考能力が現生人類には存在し、ネアンデルタール人にはなかったことが、「交替劇」の一因になった、との見解は今でも根強く支持されているかもしれません。... ...続きを見る

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2017/01/19 00:00
最終最大氷期におけるベーリンジアでの人類の痕跡
 これは1月18日分の記事として掲載しておきます。最終最大氷期(LGM)におけるベーリンジア(ベーリング陸橋)での人類の痕跡に関する研究(Bourgeon et al., 2017)が報道されました。ベーリンジアは、カナダ北西のマッケンジー川からロシアのレナ川までにわたる広大な領域です。アメリカ大陸への最初の人類の進出には大きな関心が寄せられており、時として政治的問題も絡んできます(関連記事)。近年有力視されているベーリンジア潜伏モデルという見解では、人類はアメリカ大陸に進出する前に、最終最大氷... ...続きを見る

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2017/01/18 00:00
アマゾン低地における過去45000年間の水文気候の変化
 アマゾン低地における過去45000年間の水文気候の変化に関する研究(Wang et al., 2017)が公表されました。アマゾンの森林は、気候変動と生物化学的変動の大部分にたいして、年々から1000年の時間スケールで応答するとともに、影響も及ぼしています。しかし、この地域における過去の気候変動の分解能の高い記録を手に入れるのは難しく、最終氷期極大期(LGM)において、アマゾンの森林が湿潤だったのか、それとも乾燥していたのかについてすら、これまでよく分かっていませんでした。 ...続きを見る

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2017/01/14 00:00
小原嘉明『入門!進化生物学 ダーウィンからDNAが拓く新世界へ』
 これは1月12日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年12月に刊行されました。本書は、現在の進化学の成果とともに学説史を参照し、進化学がどのように成立・展開してきたのか、分かりやすく解説しています。題名に入門とありますが、日本語で読める進化学の最新の入門書としてたいへん優れていると思います。これは、理論的な問題を扱いつつも、本書があくまでも具体的事例を取り上げて解説しようとしているからでもあるのでしょう。近いうちにまた再読したい一冊です。 ...続きを見る

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2017/01/12 00:00
1万年前頃の植物の加熱調理
 これは1月11日分の記事として掲載しておきます。1万年前頃の植物の加熱調理関する研究(Dunne et al., 2016)が公表されました。土器は東アジアと北アフリカにおいて、1万年以上前に互いに無関係に発明されたと考えられています。その土器について、牛乳などの動物産品の加工に利用されたことを示す証拠は存在しますが関連記事、植物の調理で果たした役割は明らかになっていませんでした。この研究は、リビアのサハラ砂漠のタカルコリ(Takarkori)・ウアンアフダ(Uan Afuda)遺跡から出土し... ...続きを見る

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2017/01/11 00:00
さかのぼるチベット高原高地帯の人間の定住年代
 これは1月7日分の記事として掲載しておきます。チベット高原高地帯の人間の定住年代に関する研究(Meyer et al., 2017)が報道されました。チベット高原高地帯における人間の永続的な定住年代については、農耕の始まった3600年前頃以降(関連記事)ではないか、と考えられてきました。この研究は、1998年にチベット高原中央のチュサン(Chusang)村近くで発見された人間の手形や足跡の年代について報告し、チベット高原高地帯への人間の永続的な居住はじゅうらいの推定よりも少なくとも数千年はさか... ...続きを見る

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2017/01/07 00:00
関連していなかった人類の脳と歯の進化
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。人類の脳と歯の進化に関する研究(Gómez-Robles et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代人も含む後期ホモ属の重要な特徴として、犬歯の縮小と脳サイズの増大が挙げられます。人類は、より大きな脳により道具の製作が可能となり、道具の使用により大きな歯を持つ必要性が減少した、というように両者を関連づける見解もありますが、この研究は、各人類系統における犬歯の縮小と脳サイズの増大の速度を定... ...続きを見る

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2017/01/05 00:00
尾本恵市『ヒトと文明 狩猟採集民から現代を見る』
 これは1月4日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2016年12月に刊行されました。本書は人類史の概説とも言えますが、著者の問題意識は現代社会への強い危機感にあり、現代人への警鐘と受け止めるべきなのかもしれません。ただ、本書は著者の自伝的性格も強いので、人類史の概説にしても、現代社会の危機の指摘にしても、やや雑然としているというか、体系的ではないところがあります。もっとも、著者の少年時代からの話は研究史にもなっているので、興味深く読み進められました。 ...続きを見る

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2017/01/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(30)2016年9月〜2016年12月
 これは1月2日分の記事として掲載しておきます。2016年9月〜2016年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2016年9月〜2016年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2017/01/02 00:00
2016年の古人類学界
 これは12月29日分の記事として掲載しておきます。あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2016年)も古人類学界について振り返っていくことにします。今年の動向を私の関心に沿って整理すると、以下のようになります。 ...続きを見る

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2016/12/29 00:00
絶滅ホモ属から現生人類への適応的遺伝子移入
 これは12月25日分の記事として掲載しておきます。絶滅ホモ属から現生人類(Homo sapiens)への適応的遺伝子移入に関する研究(Racimo et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった絶滅ホモ属との交雑により獲得した遺伝子のなかには適応度を高めるものもあり、現生人類のアフリカからの拡散に寄与したのではないか、との見... ...続きを見る

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2016/12/25 00:00
ネアンデルタール人による持続的な土地の利用
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)による持続的な土地の利用に関する研究(Shaw et al., 2016)が報道されました。この研究が検証したのは、多くの石器や動物の骨が発見されている、英仏海峡に位置するチャンネル諸島のジャージー島にあるラコットドサンブリレード(La Cotte de St Brelade)遺跡です。この研究で検証対象となったのは、おもに海洋酸素同位体ステージ(MIS)7〜6の各層で、温暖期から寒冷期へという大きな気候変動がありました。 ...続きを見る

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2016/12/22 00:00
ヨーロッパの初期人類の食性と火の不使用
 これは12月17日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期人類の歯石を分析した研究(Hardy et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、スペイン北部のアタプエルカの「象の穴(Sima del Elefante)」遺跡で発見された、120万年前頃の人類の臼歯の歯石です。この人類の種区分は明確になっていませんが、ホモ属であることは間違いないようです。ヨーロッパの初期人類の痕跡としては、140万年前頃の歯(関連記事)や157万年前頃の石器(関連記事)が発見さ... ...続きを見る

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2016/12/17 00:00
アファレンシスの新たな足跡と社会構造(追記有)
 これは12月16日分の記事として掲載しておきます。タンザニアのラエトリ(Laetoli)で発見された新たな人類の足跡に関する研究(Masao et al., 2016)が報道されました。ラエトリでは366万年前頃のアウストラロピテクス属のものと思われる足跡が発見されており、アファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。この足跡は遺跡Gで発見され、3個体分(G1・G2・G3)が確認されています。この研究は、新たに発見された遺跡Sの人類の足跡について報告... ...続きを見る

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2016/12/16 00:00
男女平等と病原体の罹患率の関係
 これは12月14日分の記事として掲載しておきます。男女平等と病原体の罹患率の関係についての研究(Varnum, and Grossmann., 2016)が公表されました。異なる社会間にみられる男女差および社会内にみられる男女差については詳しく調べられているものの、男女平等の程度の変化をもたらす要因については、ほとんど分かっていません。この研究は、米国については1951〜2013年の、英国については1945〜2014年のアーカイブデータを使い、感染症・リソースの不足・戦争・気候ストレスという四... ...続きを見る

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2016/12/14 00:00
カナダ先住民の免疫関連遺伝子の進化
 これは12月11日分の記事として掲載しておきます。カナダのファースト・ネーション(先住民の一部)の免疫関連遺伝子の進化に関する研究(Lindo et al., 2016)が公表されました。カナダの一部先住民は、ヨーロッパ系集団との接触後に人口が減少し、その要因が感染症だったとの見解も提示されています。この研究は、ヨーロッパ系集団の到来を境にして、古代と現代の一部先住民のDNAを比較しました。この研究で対象となったのは、現在の行政区分ではブリティッシュコロンビア州の、6000〜1000年前頃の住... ...続きを見る

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2016/12/11 00:00
植物を食べていた中期更新世の人類
 これは12月8日分の記事として掲載しておきます。中期更新世初期の人類の食性に関する研究(Melamed et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。初期人類の食性に関する研究は、おもに動物の遺骸に依拠しているので、植物性の食資源については、まだよく明らかになっていないところがりあます。この研究は、イスラエル北部のフラ(Hula)湖畔にある、下部旧石器時代のアシューリアン(Acheulian)遺跡として有名なジスルバノトヤコブ(Gesher Beno... ...続きを見る

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2016/12/08 00:00
南コーカサスにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行年代
 今年(2016年)9月14日〜18日にかけてマドリードで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第6回総会で、南コーカサスにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行年代に関する研究(Frouina et al., 2016)が報告されました。この研究の要約は、PDFファイルで読めます(P99)。コーカサス地域は、出アフリカ後の現生人類(Homo sapiens)の重要な拡散経路だった、と考えられています。そのため、コーカサス地域における中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行は、ネアンデルタール人... ...続きを見る

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2016/12/07 00:00
ネアンデルタール人とされていたイタリアの化石の再検証
 これは12月3日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とされていた化石を再検証した研究(Talamo et al., 2016)が公表されました。この研究が再検証の対象としたのは、イタリア北部のリパロメツェナ(Riparo Mezzena)遺跡(関連記事)の断片的な骨の化石です。リパロメツェナ遺跡は、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との共存の根拠になるのではないか、ということで注目され... ...続きを見る

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2016/12/03 00:00
アファレンシスの樹上生活への適応
 エチオピアで1974年に発見された有名な人類化石「ルーシー(Lucy)」の四肢骨を分析し、現代人やチンパンジーと比較した研究(Ruff et al., 2016)が報道されました。ルーシー(A.L. 288-1)はアウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されており、その年代は318万年前頃と推定されています。アファレンシスの歩行形態が地上での直立二足歩行だったことは確実と考えられているものの、樹上生活にどれだけ適応していたのか、という... ...続きを見る

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2016/12/02 00:00
ドマニシ遺跡の初期ホモ属に関する会議
 ジョージア(グルジア)にあるドマニシ遺跡の初期ホモ属(ドマニシ人)に関する会議についての報告(Gibbons., 2017)が公表されました。この会議は、今年(2016年)9月20日〜24日にかけてジョージアのトビリシで開催されました。ドマニシ人については、以前にもこのブログでまとめたことがあります(関連記事)。ドマニシ遺跡においては、185万〜176万年前頃の層で、大量の石器とともに初期ホモ属化石が発見されています。また、剣歯虎・エトルリア狼ハイエナといった動物の骨も発見されています。ドマニ... ...続きを見る

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2016/11/26 00:25
クジラを食べていた古代グリーンランド人
 古代グリーンランド人がクジラを食べていた証拠を報告した研究(Seersholm et al., 2016)が公表されました。過去4500年の間に人類は何度もグリーンランドに移動していますが、グリーンランドでクジラの本格的な狩猟・利用を始めたのは、紀元後1200〜1400年頃にグリーンランドに移動したトゥーレ文化のイヌイットだと考えられています。その主な根拠は、これ以前には捕鯨に適した武器を示す証拠が発見されていないことです。 ...続きを見る

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2016/11/24 00:00
鮮新世〜更新世の移行期のアフリカ東部の人類の食性
 これは11月20日分の記事として掲載しておきます。鮮新世〜更新世の移行期のアフリカ東部の人類の食性に関する研究(Martínez et al., 2016)が報道されました。この研究がおもに分析対象としたのは、アウストラロピテクスよりも頑丈な形態のパラントロプス属のエチオピクス(Paranthropus aethiopicus)およびボイセイ(Paranthropus boisei)と、初期ホモ属であるエルガスター(Homo ergaster)です。エルガスターという種区分を認めず、... ...続きを見る

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2016/11/20 00:00
縄文時代の妊娠・出産回数の地域的違い
 これは11月19日分の記事として掲載しておきます。2016年11月16日付読売新聞の朝刊で、縄文時代の妊娠・出産回数の地域的違いに関する研究が取り上げられました。これは、日本大松戸歯学部の五十嵐由里子・専任講師の調査によるもので、まだ予備的段階とのことです。この研究で調査対象となった人骨は、頭蓋・骨盤などから女性と確認できた208体のうち、骨の状態などを考慮して選ばれた、おおむね20歳以上と推定される190体です。その内訳は、北海道では伊達市の黄金貝塚などの12体、岩手県では一関市の蝦島貝塚の... ...続きを見る

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2016/11/19 00:00
チンパンジー社会におけるストレスと仲間の関係
 これは11月16日分の記事として掲載しておきます。チンパンジー社会におけるストレスと仲間の関係についての研究(Wittig et al., 2016)が公表されました。肉体的ストレスと心理的ストレスは、身体の多くの生活機能を調節する神経内分泌系の主たる要素の視床下部-下垂体-副腎皮質軸を撹乱することがあります。ヒトの場合、社会的相互作用がストレスの影響を和らげることがありますが、他の動物においてストレスがどのように調節されているのか、それほどよく分かっていませんでした。 ...続きを見る

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2016/11/16 00:00
古代型ホモ属との交雑により新たな環境に適応した現生人類
 これは11月13日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった古代型ホモ属との交雑による、現生人類(Homo sapiens)の適応度への影響に関する研究(Gittelman et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類とネアンデルタール人やデニソワ人との交雑はすでに多くの研究で確認されており、現代人に見られる、ネアンデルタール人とデニ... ...続きを見る

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2016/11/13 00:00
現生人類においてネアンデルタール人由来の遺伝子が除去された理由
 現生人類(Homo sapiens)においてネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)由来の遺伝子が除去された理由についての研究(Juric et al., 2016)が報道されました。非アフリカ系現代人のゲノムには、わずかながら(常染色体において1.5〜2.1%)ネアンデルタール人由来の領域が確認されています。これは、出アフリカ後の現生人類集団のみがネアンデルタール人と交雑した結果と考えられています。この研究は、非アフリカ系現代人のゲノムに見られるネアンデルタール人由来... ...続きを見る

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2016/11/10 00:00
Robin Dunbar『人類進化の謎を解き明かす』
 ロビン=ダンバー(Robin Dunbar)著、鍛原多惠子訳、真柴隆弘解説で、インターシフトより2016年6月に刊行されました。原書の刊行は2014年です。著者は「ダンバー数」で有名であり、本書でも、時間収支モデルとダンバー数を導く社会脳仮説に基づき、人類の進化を解明していきます。時間収支モデルとは、摂食・移動・休息・社会的関係の形成(社交)といった主要な活動に霊長類がどう時間を配分するのか、その身体的特徴と環境(集団規模といった社会環境も含まれます)から予測する方法です。社会脳仮説では、脳の... ...続きを見る

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2016/11/09 00:26
さかのぼるオーストラリア内陸部への人類の移住(追記有)
 これは11月6日分の記事として掲載しておきます。オーストラリア内陸部の乾燥地帯への人類の進出に関する研究(Hamm et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。人類は4万年前頃までにオーストラリア(更新世の寒冷期にはニューギニアやタスマニア島と陸続きでサフルランドを形成していました)へと初めて移住し、オーストラリアに存在した人類は現生人類(Homo sapiens)のみと考えられています。この研究は、オーストラリア内陸部の乾燥地帯に人類が初めて進出... ...続きを見る

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2016/11/06 00:00
寒冷な草原地帯におけるネアンデルタール人の食性
 これは11月5日分の記事として掲載しておきます。寒冷な草原地帯におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の食性に関する研究が報道されました。これは、ライデン大学の学位審査でのパワー(Robert Power)氏の報告です。ネアンデルタール人の食性については関心が高く、多くの研究が提示されています。この研究は、クロアチア・イタリア・ロシアの6遺跡からネアンデルタール人の歯を48個集め、歯垢の粒子を分析してネアンデルタール人の食性を推定しました。この研究は、20年以上... ...続きを見る

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2016/11/05 00:00
アフリカ東部における中期更新世の大規模噴火
 これは11月2日分の記事として掲載しておきます。アフリカ東部における中期更新世(781000〜126000年前頃)の大規模噴火に関する研究(Hutchison et al., 2016)が報道されました。中期更新世のアフリカ東部は、現生人類(Homo sapiens)の出現の理解に重要となります。人類の進化や文化変容に環境変動が重要な役割を果たしているだろう、ということは広く認められているでしょうから、古環境の復元は人類進化の研究に必要不可欠と言えるでしょう。近年の研究では、アフリカ東部におけ... ...続きを見る

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2016/11/02 00:00
チンパンジーとボノボの交雑
 これは10月29日分の記事として掲載しておきます。チンパンジー(Pan troglodytes)とボノボ(Pan paniscus)の交雑に関する研究(Manuel et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。チンパンジーとボノボは現代人にとって最近縁の現生種で、両系統は210万〜166万年前頃に分岐した、と推定されています。かつて、ボノボはチンパンジーの亜種と考えられていましたが、現在では別種とする見解が一般的です。チンパンジーはコンゴ川... ...続きを見る

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2016/10/29 00:00
人類最古の右利きの証拠
 これは10月28日分の記事として掲載しておきます。人類の利き腕についての研究(Frayer et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究は、タンザニアのオルドヴァイ渓谷で発見された180万年前頃の人類化石OH-65の歯を分析し、その利き腕について検証しています。OH-65は、分類に関して異論もあるものの、ホモ属とする見解がまだ優勢な?ハビリス(Homo habilis)に区分されています。現代人の90%は右利きであり、類人猿の右利きと左利... ...続きを見る

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2016/10/28 00:00
現生人類と古代型ホモ属との交雑の見直し
 これは10月26日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった他系統のホモ属(古代型ホモ属)との交雑を見直した研究(Bohlender et al., 2016)が報道されました。この研究は今月(2016年10月)18日〜22日にかけて、カナダのブリティッシュコロンビア州のバンクーバー市で開催されたアメリカ人類遺伝学会の年次総会で報告されており、まだ論... ...続きを見る

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2016/10/26 00:00
ネアンデルタール人との交雑に起因する現代人の免疫反応の違い
 これは10月22日分の記事として掲載しておきます。現代人の免疫反応の違いに関する二つの研究が報道されました。一方の研究(Nédélec et al., 2016)は、80人のアフリカ系アメリカ人と95人のヨーロッパ系アメリカ人の血液標本を集め、個々の標本から、マクロファージと呼ばれる免疫細胞のタイプを分離し、2タイプの細菌に感染させ、どのように反応するか、観察しました。その結果、アフリカ系のマクロファージは、ヨーロッパ系の3倍速く細菌を殺し、強い炎症性反応を示しました。免疫... ...続きを見る

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2016/10/22 00:00
ヒゲオマキザルが「作った」石器と類似した剥片(追記有)
 これは10月21日分の記事として掲載しておきます。ブラジルに存在する野生のヒゲオマキザル(Sapajus libidinosus)が「作った」石の剥片に関する研究(Proffitt et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、ヒゲオマキザルが意図的に石を壊し、断片化されて端の鋭い剥片と石核を意図せず繰り返し「作り」、その剥片と石核が意図的に生産された人類の石器に見られる特徴と形態を有... ...続きを見る

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2016/10/21 00:00
ルドルフェンシス化石のより正確な年代
 これは10月20日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、ホモ=ルドルフェンシス(アウストラロピテクス属に分類する見解もあります)と(便宜的に?)分類されている化石のより正確な推定年代についての研究(Joordens et al., 2013)が公表されました。この研究では、初期ホモ属の進化に関して重要となるアフリカ東部に関して、地磁気層序とストロンチウム同位体層序との結合により、ルドルフェンシスと分類されている化石や近年になって発見され、ルドルフェンシ... ...続きを見る

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2016/10/20 00:00
ネアンデルタール人やデニソワ人から現生人類へと感染した発癌性ウイルス
 現代人の発癌性ウイルスに関する研究(Pimenoff et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代人は生涯を通じて多くのパピローマウイルス(PVs)に感染しますが、そのほとんどは無症状です。著しい例外はヒトパピローマウイルス16(HPV16)による持続性感染で、発癌性が認められています。HPV16には複数の系統が確認されており、発癌の可能性は均一ではなく、その多様性も各地域で異なります。この研究は、HPV16の多様性と地理的分布を分析し、その進... ...続きを見る

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2016/10/19 00:21
更科功 『爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った』
 新潮新書の一冊として、新潮社から2016年9月に刊行されました。本書は生物の進化におけるさまざまな重要点を取り上げ、進化史を解説しています。新書で短い分量なのですが、生物の進化における要点を一般層にも分かりやすく簡潔に解説できているように思います。一般向け書籍であることを強く意識した構成・文体になっており、一般向けの進化史概説としてなかなか興味深い内容になっています。各分野の専門家からは色々と批判があるのかもしれませんが、なかなか興味深く読み進められました。 ...続きを見る

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2016/10/18 00:00
タンザニアの後期更新世の人間の足跡
 これは10月16日分の記事として掲載しておきます。タンザニアの後期更新世の人間の足跡に関する研究(Liutkus-Pierce et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、タンザニアのエンガレセロ(Engare Sero)村近くのナトロン湖(Lake Natron)の南岸で発見された、400を超える人間の足跡について報告しています。この足跡群については、その近くの活火山であるオルドイニョレンガイ(Oldoinyo L'engai)から噴... ...続きを見る

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2016/10/16 00:00
ナレディの進化系統樹における位置づけと推定年代
 これは10月15日分の記事として掲載しておきます。南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群の進化系統樹における位置づけと推定年代についての研究(Dembo et al., 2016)が報道されました。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と分類されましたが、その年代については不明で、鮮新世後期〜更新世初期の、アウストラロピテクス属からホモ属への移行的な種ではないか、... ...続きを見る

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2016/10/15 00:00
ネアンデルタール人やチンパンジーよりも劣る現生人類の煙への耐性
 これは10月13日分の記事として掲載しておきます。煙の有毒物質にたいする防御能力と関連する遺伝子についての研究(Aarts et al., 2016)が報道されました。火の使用は人類進化史において画期とされています。火の使用により、寒冷な地域で生活しやすくなりましたし、調理が可能となり、ずっと効率的に栄養を摂取することが可能となりました。また、当初は石器製作、後には金属の加工といったように、技術的にも火の使用は人類に大きな影響力を及ぼしてきました。 ...続きを見る

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2016/10/13 00:00
自然信仰
 これは10月9日分の記事として掲載しておきます。現代日本社会において根強く定着している信仰の一つに、自然信仰があると思います。これは、天然信仰とも言い換えられるでしょうし、生得的なものは尊重されねばならない、といった観念とも大いに通ずるところがある、と言えるでしょう。身近な事例では、食品をはじめとして生物由来の商品について、天然ものだから安心だとか美味いだとかいった評価はたいへん根強いものがあると思います。私の見識不足により、他の社会については自信をもって発言することはできませんが、おそらく、... ...続きを見る

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2016/10/09 00:00
現生人類の拡散と気候変動の関係
 これは10月7日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の拡散と気候変動の関係についての研究(Timmermann, and Friedrich., 2016)が公表されました。アフリカ起源の現生人類の世界への拡散については、回数・年代・経路・要因をめぐって議論が続いています(関連記事)。この研究は、過去125000年間の気候および海水準の変動を考慮して、現生人類のアフリカからの拡散をモデル化しました。 ...続きを見る

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2016/10/07 00:00
アルゼンチンにおけるクローヴィス文化以前の人類の遺跡
 アルゼンチンの草原地帯にあるアロヨセコ2遺跡(The Arroyo Seco 2 site)の更新世末期の人類の痕跡を報告した研究(Politis et al., 2016)が報道されました。アメリカ大陸への人類最初の移住については、20世紀後半〜近年までクローヴィス(Clovis)文化の担い手が最初の移住者だとするクローヴィス最古説が主流でした。しかし近年になって、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古説を否定する研究者が増えつ... ...続きを見る

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2016/10/06 00:00
最初のリモートオセアニア人集団の遺伝的構成
 最初のリモートオセアニア人集団の遺伝的構成に関する研究(Skoglund et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、3100〜2700年前頃のバヌアツ人3個体と、2700〜2300年前頃のトンガ人1個体のDNAを解析し、現在の東アジア人およびオセアニア人778個体のDNAとゲノム規模で比較しています。熱帯地域のゲノム規模のデータが得られたのはこの研究が初めてなので、その点でも意義深いのですが、その結論は意外なものであり、この点でも大い... ...続きを見る

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2016/10/05 00:00
人間の致死的暴力の起源(追記有)
 これは10月2日分の記事として掲載しておきます。人間の致死的暴力の起源に関する研究(Gómez et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。人間の致死的暴力行為については、「先天的」なのか「後天的」なのか、という議論が通俗的にはよく知られているように思います。じっさいには、そこまで単純化された議論が展開されているわけではないのですが、「先天的」なのか「後天的」なのかという二元論が一般には受け... ...続きを見る

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2016/10/02 00:00
ネアンデルタール人と現生人類との耳小骨の形態および聴力の比較
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との耳小骨の形態および聴力を比較した研究(Stoessel et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。中耳小骨(槌骨・砧骨・鐙骨)は聴力において重要な役割を果たしますが、ひじょうに小さい骨格なので、化石哺乳類では稀にしか発見されません。それが、人類の耳小骨の形態や聴力についての研究を妨げていました。この研究は、フランス・ドイツ・クロアチア・イスラ... ...続きを見る

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2016/09/30 00:00
Ian Tattersall『ヒトの起源を探して 言語能力と認知能力が現代人類を誕生させた』
 イアン=タッターソル(Ian Tattersall)著、河合信和監訳、大槻敦子訳で、原書房より2016年8月に刊行されました。原書の刊行は2012年です。碩学の著作だけあって、たいへん読みごたえがありました。原書の刊行は2012年なので、日進月歩のこの分野としてはやや古くなっていると言えるかもしれませんが、原書刊行後の研究の進展について監訳者の適切な解説があり、配慮が行き届いています。人類進化の全体像についてより詳しく調べようとするならば、本書はじつに有益な一冊になっていると思います。 ...続きを見る

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2016/09/29 00:00
リアンブア洞窟の後期更新世の現生人類の歯
 これは9月25日分の記事として掲載しておきます。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡で46000年前頃の現生人類(Homo sapiens)の歯が発見された、と報道されました。この研究(Sutikna et al., 2016)は、今月(2016年9月)14日〜18日にかけてマドリードで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第6回総会で報告されており、まだ論文としては刊行されていません。この研究の要約は、PDFファイルで読めます(P232)。 ...続きを見る

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2016/09/25 00:00
現生人類の出アフリカの回数(追記有)
 これは9月24日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの回数についての二つの研究が相次いで公表されました。この二つの研究はともにオンライン版での先行公開となります。一方の研究(Mallick et al., 2016)と報道 では、142の多様な集団から得られた300人の高精度なゲノム配列に基づく分析が取り上げられています。この研究では、51集団から各2人のゲノムが選択され、次に、ゲノム規模の研究では以前には含まれていなかった、アメリカ大陸先住民・南ア... ...続きを見る

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2016/09/24 00:00
オーストラリア先住民のゲノム史(追記有)
 これは9月23日分の記事として掲載しておきます。オーストラリア先住民(アボリジニ)のゲノム史に関する研究(Malaspinas et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。これまでのオーストラリア先住民のゲノム史は3人のゲノム解析結果に依拠していましたが、この研究は、現代の83人のオーストラリア先住民とニューギニアの25人のパプア人の高精度のゲノム配列を作成し、他地域の現代人やネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分... ...続きを見る

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2016/09/23 00:00
『地球ドラマチック』「洞窟に眠る新種の人類」
 これは9月22日分の記事として掲載しておきます。NHK教育テレビで放送されたので、視聴しました。2013年、南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で大量の人骨が発見されました。この発見は大きく取り上げられ(関連記事)、手と足に関する研究が公表され(関連記事)、『ナショナルジオグラフィック』でも特集が組まれました(関連記事)。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と命名されました。 ... ...続きを見る

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2016/09/22 00:00
シャテルペロニアンの担い手
 これは9月20日分の記事として掲載しておきます。シャテルペロニアン(Châtelperronian)の担い手に関する研究(Welker et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。シャテルペロニアンは、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)への「交替劇」の解釈の重要な手がかりになりそうな文化だということで、大きな注目を集めてきました。シャテルペロニアンの担... ...続きを見る

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2016/09/20 00:00
フロレシエンシスに関する研究の進展
 これは9月16日分の記事として掲載しておきます。今年(2016年)になって、インドネシア領フローレス島の更新世人類についての研究が大きく進展しました。この問題については『ネイチャー』のサイトに解説記事が掲載されていますが、改めてこのブログでもまとめてみます。なお、2年ほど前(2014年8月)にもこの問題についてまとめていますので(関連記事)、基本的にはそれ以降の研究の進展について述べていきます。 ...続きを見る

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2016/09/16 00:00
島泰三『ヒト―異端のサルの1億年』
 これは9月11日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年8月に刊行されました。霊長類とその下位区分である類人猿の進化史のなかに人類の進化を位置づけているのが本書の特徴で、大規模な環境変動を重視していることとあわせて、広い視野での考察になっていると思います。私は霊長類・類人猿の進化に疎いので、この点では有益でした。しかし、類人猿の起源地はアフリカではない、との本書の見解は一般的ではないと思います。この点については、今後も調べていく必要があります。 ...続きを見る

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2016/09/11 00:00
6000年間ほとんど遺伝的に変わっていないオオムギ
 オオムギのDNA解析を報告した論文2本が公表されました。一方の研究(Mascher et al., 2016)は、イスラエルの死海近くにある古代の要塞「マサダ」に位置する探査の難しい砂漠の洞窟で6000年前のオオムギ粒を発掘しました。この地域の気候は乾燥しているので、このオオムギのDNA解析に成功しました。もう一方の研究(Russell et al., 2016)は、世界中で260以上のオオムギ種の植物を収集し、そのDNAを解析しました。両者の比較により、6000年前のオオムギ粒と最も近縁で、... ...続きを見る

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2016/09/09 00:28
縄文時代の人類の核DNA解析
 縄文時代の人類の核DNA解析結果を報告した研究(Kanzawa-Kiriyama et al., 2017)が報道されました。NHKでも報道されています。解説も公表されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、福島県相馬郡新地町の三貫地貝塚の縄文時代(3000年前頃)の人類2人(男性と女性)の歯から核DNAのうち1億1500万塩基対を解析し、現代人や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)も含む他の古代人と比較しています。これは、縄文時代の人類の核DNAの解析とし... ...続きを見る

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2016/09/03 00:17
古人類学の記事のまとめ(29)2016年5月〜2016年8月
 2016年5月〜2016年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2016年5月〜2016年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2016/09/01 00:00
ルーシーの死因(追記有)
 これは8月31日分の記事として掲載しておきます。有名な人類化石「ルーシー(Lucy)」の死因に関する研究(Kappelman et al., 2016)が報道されました。朝日新聞でも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ルーシー(AL 288-1)はエチオピアで1974年に発見された318万年前頃の人類化石で、アウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。300万年以上前の化石にも関わらず、保存状態が... ...続きを見る

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2016/08/31 00:00
アジアモンスーンの64万年間の記録
 アジアモンスーンの64万年間の記録に関する研究(Cheng et al., 2016)が公表されました。この研究は、ウラン・トリウム年代測定法で測定できる最古の年代に近い64万年前頃までさかのぼる洞窟二次生成物の記録を、中国の洞窟の試料から得ました。これにより、10万年の氷期サイクルが歳差周期の整数(4または5)倍に対応し、日射がモンスーン強度の1000年スケールの変動に影響を及ぼしていることが裏づけられた、と指摘されています。気候変動は人類の進化とも大きく関わっているだけに、今後の研究の進展... ...続きを見る

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2016/08/27 00:00
親の社会的つながりを仔が相続する
 親の社会的つながりの仔への相続に関する研究(Ilany, and Akçay., 2016)が公表されました。社会的相互作用の数・相互作用がネットワーク内のサブグループに集中する程度などといった社会的ネットワークの構造は、情報の流れや病気の蔓延など重要な進化過程と生態学的過程に影響を与えることがあります。しかし、動物界での社会的相互作用の構造の根本原因については解明が進んでおらず、社会的ネットワークの形成のモデル化を試みた過去の研究では、その複雑な構造を再現することができていませんで... ...続きを見る

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2016/08/25 00:00
攻撃の報酬性
 これは8月23日分の記事として掲載しておきます。攻撃の報酬性に関する研究(Golden et al., 2016)が公表されました。攻撃行動の開始に関わる脳領域はすでに明らかになっていますが、攻撃の動機づけまたは報酬の要素の成立に関わるシステムについては、ほとんど明らかになっていません。この研究は、前脳基底部から外側手綱核への抑制性投射が、攻撃のこの面を両方向に制御していることを示しました。この結果は、攻撃性と攻撃性に関連した神経精神疾患の治療のための新たな標的特定への道を開く可能性がある、と... ...続きを見る

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2016/08/23 00:00
アイスマンの衣服
 これは8月21日分の記事として掲載しておきます。アイスマンの衣服に関する研究(O’Sullivan et al., 2016)が報道されました。1991年にイタリアのエッツタールアルプスで発見された5300年前頃のミイラは「アイスマン(愛称エッツィ)」と呼ばれています。アイスマンの状態は良好だったので、遺伝学などさまざまな分野の研究が進んでいます。この研究は、アイスマンの衣服と矢筒に由来する9点の皮革断片のミトコンドリアDNAを解析し、どの動物種の皮革断片なのか、明らかにしました。 ...続きを見る

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2016/08/21 00:00
仲田大人「日本旧石器時代の現代人的行動と交替劇」
 これは8月20日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文は、日本列島における「交替劇」を検証しています。土壌の問題もあり、日本列島では琉球諸島を除いて旧石器時代というか更新世の人骨がほとんど発見されていません。それだけに、旧石器時代の人類の活動とその意義を理解するには、考古学的記録に依拠せざるを得なくなります。本論文は、世界でも有数の高密度となる日本列島における旧石器時代の考古学的記録を用いて... ...続きを見る

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2016/08/20 00:00
父親の養育行動と母親の多産性との関係
 これは8月18日分の記事として掲載しておきます。父親の養育行動と母親の多産性との関係に関する研究(West, and Capellini., 2016)が公表されました。哺乳類のいずれの種でも、雌は大量の資源を仔の養育に投資しますが、雄が雌(母親)に食料を提供することで養育に直接的または間接的に貢献しているのは、哺乳類全種の約10%にすぎません。雄にとって、仔の養育は新たな交尾の機会を諦めることであり、その雄が仔の父親であることの確実性が高まった場合あるいは将来の交尾機会が少ない場合には、雄に... ...続きを見る

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2016/08/18 00:00
統合失調症の起源
 統合失調症の起源に関する研究(Srinivasan et al., 2016)が報道されました。統合失調症は人間の適応度を下げるにも関わらず、現在でも全人口の1%ほどは生涯で統合失調症を患う可能性が指摘されています。統合失調症(の要因となる遺伝子)が人類の進化においていつ出現し、なぜ淘汰されなかったのか、議論が続いています。有力な仮説は、統合失調症は言語・創造的思考・認知能力の副産物である、というものです。 ...続きを見る

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2016/08/17 00:35
新生仔における母親との対面相互作用と後年の社交性との関係
 新生仔における母親との対面相互作用と後年の社交性との関係についての研究(Dettmer et al., 2016)が公表されました。ヒトの幼少期における社会性の発達を支える機構の一つが、介護者と乳児との対面相互作用です。これまでの研究では、アカゲザルの母親と新生仔との対面相互作用が明らかになっていました。この研究は、大きな野外の囲い地で飼育されたアカゲザルの母親と新生仔(10組)を対象として、相互視と断続的な唇鳴らしによって測定される対面相互作用の自然変動を追跡観察しました。 ...続きを見る

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2016/08/16 00:00
社会的評判と社会的協力の関係
 これは8月14日分の記事として掲載しておきます。社会的評判と社会的協力の関係についての研究(Grimalda et al., 2016)が公表されました。人間が社会においてきわだった評判を得たいと望むことは、人間の協力行動の進化的基盤の一例とされています。現時点でこの証拠は、コンピューターシミュレーションなど、人間の社会的イメージを研究室で人工的に作り出すことによって得られています。この研究は、パプアニューギニアのテオプという結束の固い小規模な社会における人間の協力行動を調査しました。テオプの... ...続きを見る

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2016/08/14 00:00
現生人類に特異的な自閉症関連遺伝子
 現生人類(Homo sapiens)に特異的な自閉症関連遺伝子についての研究(Nuttle et al., 2016)が公表されました。この研究は、現生人類・チンパンジー・オランウータンについて、自閉症や発育遅延との関連が指摘されている、染色体16p11.2にある一つのゲノム領域の進化史を再構築しました。その結果、この座位にある遺伝子BOLA2が、現生人類で特異的に重複していることが明らかになりました。この重複が起こったのは28万年前頃で、この重複は現生人類系統の初期にほぼ固定され、新しいイン... ...続きを見る

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2016/08/13 00:11
アメリカ大陸最初の人類の移住経路(追記有)
 これは8月12日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸最初の人類の移住経路に関する研究(Pedersen et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。アメリカ大陸への人類最初の移住については、激しい議論が続いてきました(関連記事)。20世紀後半に有力だとされたのは、アメリカ大陸最初の人類はクローヴィス(Clovis)文化の担い手であり、ベーリンジア(ベーリング陸橋)から15000〜1400... ...続きを見る

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2016/08/12 00:00
人間の判断における偏り
 人間の判断における偏りについての研究(Soltani et al., 2016)が公表されました。人間は通常、複数の証拠を組み合わせて意思決定を行ないますが、各状況下で最大の報酬を伴う選択がどれなのか、という判断が偏ることもあります。こうした意思決定過程に伴う神経機構については、まだよく分かっていませんでした。この研究は、37人の大学生に、異なる結果(報酬)と関連づけられた最大4つの形状の組み合わせを示し、課題を遂行させました。参加者には、形状の組み合わせを次々と示し、報酬の異なる赤・青の2つ... ...続きを見る

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2016/08/10 00:00
西アジアの中期更新世の人類の歯
 これは8月7日分の記事として掲載しておきます。西アジアの中期更新世の人類の歯についての研究(Hershkovitz et al., 2011)が報道されました。この研究も、取り上げるのがかなり遅れてしまったというか、メモ帳を整理していて、5年近く前に取り上げようと思って記録しておいたものの、不覚にも最近まで失念していたことに気づきました。今更ではありますが、せっかく気づいたので、取り上げることにします。 ...続きを見る

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2016/08/07 00:00
人間社会における正直さと規則違反
 これは8月4日分の記事として掲載しておきます。人間社会における正直さと規則違反についての研究(Gächter, and Schulz., 2016)が公表されました。正直さは全ての人間社会において重要な性格特性の一つです。不正行為や規則違反を抑制する優れた制度は繁栄と発展にきわめて重要ですが、生物界では欺きが多く、人間もその例外ではありません。この研究は、個人レベルでは嘘を検知できないものの、集団レベルでは推測可能な、正直さを調べる行動研究を23ヶ国の若者を対象に行うことにより、規則... ...続きを見る

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2016/08/04 00:00
大規模化する社会における宗教の役割
 これは7月31日分の記事として掲載しておきます。大規模化する社会における宗教の役割に関する研究(Purzycki et al., 2016)が公表されました。人間社会は大規模化・複雑化し、血縁関係だけでは成立し得なくなっています。この研究は、経済ゲームおよび民族誌的聞き取りにより、キリスト教・ヒンドゥー教・仏教・アニミズム(精霊崇拝)や祖先崇拝などの地元の伝統を信仰する500人以上を対象に調査を行ないました。その結果、道徳感を課し、懲罰的で、知恵に富む存在と彼らが感じている神を信じる人々は、遠... ...続きを見る

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2016/07/31 00:00
現生人類の拡散と多様性
 現生人類(Homo sapiens)の系統地理学的観点からの多様性に関する研究(Harcourt., 2016)が公表されました。参考文献も充実しており、現生人類の出現と各地域への拡散過程について、現時点での諸研究成果の概略を把握するうえでたいへん有益だと思います。現生人類の起源については、考古学・化石・遺伝学の証拠から、アフリカ起源であることが確実だ、と本論文は指摘しています。しかし、現時点では最古の現生人類化石はアフリカ東部のエチオピアで発見されているものの、エチオピアが現生人類の発祥地な... ...続きを見る

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2016/07/30 00:00
西アジアの初期農耕民のゲノム解析(追記有)
 西アジアの初期農耕民のゲノム解析結果を報告した研究(Lazaridis et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、気候の問題でヨーロッパよりも古代人のゲノム解析が困難な西アジアの古代人のゲノムを、採取試料の選択と新たな手法により解析しました。まず、他の骨よりずっと多くのDNAを得られる耳骨からDNAが採取されました。また、人間のDNAを増幅する方法と、微生物によるDNA汚染を濾過して取り除く方法が用いられました。これらにより、この研究... ...続きを見る

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2016/07/29 00:16
中期石器時代の気候変動と初期現生人類の革新的行動の関係
 これは7月28日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代の気候変動と現生人類(Homo sapiens)の革新的行動の関係についての研究(Roberts et al., 2016)が報道されました。本論文が調査対象としたのは、南アフリカ共和国の南沿岸にあるブロンボス洞窟(Blombos Cave)とクリプドリフトシェルター(Klipdrift Shelter)です。ブロンボスでは98000〜73000年前頃、クリプドリフトでは72000〜59000年前頃の中期石器時代の痕跡が確認されていま... ...続きを見る

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2016/07/28 00:00
ドイツにおけるネアンデルタール人の人口変動
 これは7月23日分の記事として掲載しておきます。ドイツにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の人口変動に関する研究(Richter., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヨーロッパにおける中部旧石器時代の遺跡は、ネアンデルタール人と関連づけられています。ネアンデルタール人の定義とも関わってくるので、判断の難しいところですが、ヨーロッパの中部旧石器時代の遺跡のなかには、ネアンデルタール人ではない系統の人類が担い手だったもの... ...続きを見る

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2016/07/23 00:00
超巨大火山の噴火の仕組み
 これは7月22日分の記事として掲載しておきます。超巨大火山の噴火の仕組みに関する研究(Koulakov et al., 2016)が公表されました。スマトラ島のトバ湖は世界最大のカルデラ湖として知られています。74000年前頃のトバの大噴火は人類史上でも最大級の噴火であり、人類も含めて生物に大きな影響を及ぼしたのではないか、と考えられています。トバ大噴火により、初期現生人類(Homo sapiens)は大きな打撃を受け、遺伝的多様性を失ったのではないか、というわけです。しかし、この仮説には反論... ...続きを見る

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2016/07/22 00:00
長沼正樹「考古学から見た人類活動の変化」
 これは7月20日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文は、考古学からの人類活動の変化を概観しています。本論文は、固定的な枠組みで石器文化の変遷を把握する危険性を指摘しています。ある石器文化とある人類種を固定的に結びつけるような見解や、技術・年代などといった点で世界的に同じように石器文化が変化していった、というような見解です。石器文化とその変化は各地で多様だった、と本論文は指摘しています。 ... ...続きを見る

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2016/07/20 00:00
門脇誠二「揺らぐ初期ホモ・サピエンス像 出アフリカ前後のアフリカと西アジアの考古記録から」
 これは7月17日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説が有力説とみなされるようになってから、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など他系統の人類にたいする現生人類の優位を強調する見解が主流になってきたように思われます。この場合、とくに認知能力において現生人類と他系統の人類との違いが強調される傾向にあり、それ故に技術革... ...続きを見る

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2016/07/17 00:00
早期新石器時代のザグロス地域の住民のゲノム解析
 早期新石器時代のザグロス地域の住民のゲノム解析結果を報告した研究(Broushaki et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。いわゆる肥沃な三日月地帯は、世界で最初に農耕が始まった可能性が高いとされる地域です。この肥沃な三日月地帯の東端はイランのザグロス地域、西端はレヴァントとなります。この研究は、イランのザグロス地域の早期新石器時代の農耕民のゲノムを解析し、旧石器時代や新石器時代の人々およ... ...続きを見る

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2016/07/16 00:00
中国での発見が書き換える人類史
 中国を中心にアジアにおいて近年発見された人類化石の意義についての解説(Qiu., 2016)が公表されました。この解説で指摘されているのが、ホモ属の進化の研究において、アジアの東部が軽視されてきた、ということです。確かに、この解説で指摘されているように、人類進化の研究(に限らず近代の学問が全般的にそうなのですが)が西洋の研究者の主導により進められたことは否定できず、そこでは、アジア東部よりもヨーロッパ・アフリカ・西アジアが重視されてきた傾向は否めません。そうした傾向は現在でも解消されたとは言い... ...続きを見る

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2016/07/15 00:35
150万年前頃の人類の足跡と社会構造
 150万年前頃の人類の足跡に関する研究(Hatala et al., 2016)が報道されました。本論文が取り上げているのは、2009年にケニアのイレレット(Ileret)で発見された150万年前頃の人類の足跡群です。この足跡群についてはすでに、アーチ構造・母趾が他の指と直線を成していること・踵から母指球や母趾へと体重を移動させるさいの歩き方などから、現生人類(Homo sapiens)の歩行形態のあらゆる特徴が現れていた、との見解が提示されています(関連記事)。本論文でも改めて、この足跡群を... ...続きを見る

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2016/07/14 00:35
ベルギーで確認されたネアンデルタール人の食人行為
 これは7月8日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人の食人行為に関する研究(Rougier et al., 2016)が報道されました。本論文が分析対象としたのは、マース川沿いにあるベルギー南部のゴイエット(Goyet)の「第三洞窟(Troisième caverne)」遺跡です。第三洞窟遺跡では、中部旧石器時代から上部旧石器時代にかけての豊富な考古学的痕跡が確認されており、さらには、新石器時代やいわゆる有史時代の考古学的痕跡も見られます。 ...続きを見る

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2016/07/08 00:00
複数の形質に影響する遺伝学的多様体
 これは7月7日分の記事として掲載しておきます。複数の形質に影響する遺伝学的多様体に関する研究(Pickrell et al., 2016)が公表されました。全ゲノム関連解析を実施すると、一つの形質と統計的に関連する遺伝学的多様体、およびその形質をもたらす過程に関係している可能性のある遺伝学的多様体を同定できます。また、複数の形質に関連する多様体は、遺伝子の分子機能と複数の形質間の関係に関して手掛かりをもたらすことがあります。しかし、これまでの複数の形質に関する研究の大部分は、関連のあることがす... ...続きを見る

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2016/07/07 00:00
赤澤威、西秋良宏「ネアンデルタール人との交替劇の深層」
 これは7月6日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された対談です。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」は、ヨーロッパや西アジアが主要な舞台だったこともあり、大きな関心を集めてきました。この対談は、「交替劇」の要因が何だったのか、論じられていますが、率直に言って、歯切れが悪いというか、単純明快な説明になっていないことは否めません。しか... ...続きを見る

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2016/07/06 00:00
長沼毅「ヒトの体と心のなりたちについて」
 これは7月5日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文の基調は、人類の進化を生物進化の一部として把握していることで、視野の広さと奥行きの深さが窺えます。私は、勉強不足により、生物全体の進化は言うまでもなく、脊椎動物、さらには哺乳類や霊長類の進化についても明らかに知見が不足しているので、本論文は視野の狭い私にとってはたいへん有益でした。 ...続きを見る

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2016/07/05 00:00
リアンブア洞窟における更新世の現生人類の痕跡
 インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡の堆積層を再検証した研究(Morley et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、リアンブア洞窟の更新世の堆積層の形成過程や続成過程を顕微鏡水準の精密さで再検証しています。この微細構造的分析により、年代も含めて人類の活動が見直されることになり、東南アジアからサフルランド(更新世の寒冷期にはオーストラリア大陸・ニューギニア島・タスマニア島は陸続きでした)の後期更新世にお... ...続きを見る

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2016/07/02 00:05
白保竿根田原洞穴遺跡の十数体の人骨
 沖縄県石垣市の白保竿根田原洞穴遺跡で発見された十数体の「旧石器時代」の人骨について報道されました。白保竿根田原洞穴遺跡では日本列島でも有数の古い人骨が複数発見されており、このブログでも何度か取り上げてきました。 http://sicambre.at.webry.info/201002/article_6.html http://sicambre.at.webry.info/201003/article_13.html http://sicambre.at.webry.info/20110... ...続きを見る

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2016/07/01 00:00
篠田謙一「ホモ・サピエンスの本質をゲノムで探る」
 これは6月30日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。今では、人類進化の研究でDNA解析は欠かせなくなっています。本論文は、DNA解析の技術の発展やDNA解析に基づく人類進化の研究史にも言及しつつ、DNA解析により明らかになってきた人類の進化について、近年の研究成果を取り上げています。 ...続きを見る

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2016/06/30 00:00
諏訪元、山極寿一「プレ・ヒューマンへの想像力は何をもたらすか」
 これは6月25日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号では「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」と題する特集が組まれています。読みごたえのある論文・対談が掲載されているので、今後このブログで面白いと思ったものを掲載していくことにします。今回は取り上げるのは表題の対談で、対談だけに体系的に整理された解説という観点ではやや雑多なところもあるものの、碩学二人の対談だけに、多岐にわたって興味深い論点が提示されており、たいへん読みごたえがあると思います。それだけに、的確に... ...続きを見る

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2016/06/25 00:00
2016年度アメリカ自然人類学会総会(ネアンデルタール人と現生人類の交雑について)
 取り上げるのが遅れましたが、今年(2016年)の4月12日〜4月16日にかけて、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市で第85回アメリカ自然人類学会総会が開催されました。アメリカ自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での各報告の要約はPDFファイルで公表されているのですが、まだいくつかの報告を読んだだけです。とりあえず今回は、とくに興味深いと思ったネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(... ...続きを見る

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2016/06/23 00:30
古代DNAの解析でより詳細になる人類の進化史
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。近年の古代人類のDNA解析を概観した研究(Slatkin, and Racimo., 2016)が公表されました。古代の現生人類(Homo sapiens)のみならず、すでに絶滅した人類系統であるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)のDNA解析は近年目覚ましい発展を遂げており、私のような非専門家にはその概要を把握するのがなかなか難しくなっています。そうした状況で、近年の研究... ...続きを見る

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2016/06/21 00:00
ネアンデルタール人像の見直し
 これは6月19日分の記事として掲載しておきます。近年の諸研究成果に基づきネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)像を見直した研究(Roebroeks, and Soressi., 2016)が公表されました。この研究は、考古学を中心に、形質人類学・遺伝学などにおけるネアンデルタール人についての近年の諸研究を取り上げ、ネアンデルタール人像の見直しを提言しており、最新のネアンデルタール人像を把握するうえでたいへん有益だと思います。 ...続きを見る

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2016/06/19 00:00
信頼性の印となる第三者による罰
 人間社会における第三者による罰の進化的観点からの研究(Jordan et al., 2016)が公表されました。人間社会では、社会規範を侵害した個人が罰を与えられます。この場合、罰する者が侵害者によって害を被っているわけではないことも、罰を与えることにコストが掛かることもあります。このような行動が進化した理由の説明はこれまで困難でした。この研究は、「第三者による罰」が正直であることを示す信頼のシグナルになり得ることを示すモデルを報告しています。不正を働く者を罰するコストを負担する人は、その集団... ...続きを見る

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2016/06/18 00:00
ヨーロッパ勢力侵出前のオーストラリアの人類のミトコンドリアDNA
 これは6月16日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパ勢力侵出前のオーストラリアの人類のミトコンドリアDNAに関する研究(Heupink et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヨーロッパ勢力侵出前のオーストラリアの人類のミトコンドリアDNAに関しては、以前の研究(Adcock et al., 2001)で報告されており、現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説に疑問を呈する内容だとして、大きな関心を集めました。この研究は、以... ...続きを見る

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2016/06/16 00:00
更新世フローレス島の人類はダウン症ではない
 これは6月12日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島の人類はダウン症である、とした見解を検証した研究(Baab et al., 2016)が報道されました。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解が... ...続きを見る

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2016/06/12 00:00
中期更新世初期のフローレス島の人類化石(追記有)
 中期更新世初期のフローレス島の人類化石に関する二つの研究が報道されました。BBCでも報道されています。『ネイチャー』のサイトには解説記事と総説が掲載されています。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解がおおむね... ...続きを見る

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2016/06/10 00:38
中期鮮新世の人類の多様性
 中期鮮新世の人類の多様性に関する研究(Haile-Selassie et al., 2016)が報道されました。本論文は、390万年前以前の初期人類についても概観しつつ、おもに中期鮮新世となる380万〜330万年前頃の人類の多様性を検証しています。この時期の人類としては、タンザニアやエチオピアで発見されたアウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)がよく知られており、長い間、アファレンシスがこの時期の唯一の人類種だった、と考えられてきました。 ... ...続きを見る

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2016/06/09 00:00
ネアンデルタール人との交雑による現生人類の適応度への影響
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との交雑による現生人類(Homo sapiens)の適応度への影響についての研究(Harris, and Nielsen., 2016)が報道されました。各地域集団間で多少の差はあれども、非アフリカ系現代人のゲノムにほぼ同じ割合でネアンデルタール人由来の領域が見られることは、現在では広く認められています。しかし、それは均一的ではなく、たとえば精巣に関連する遺伝子やX染色体など特定の領域では排除されている、ということも知られています... ...続きを見る

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2016/06/08 00:14
更新世ヨーロッパの壁画の幾何学的な記号
 これは6月5日分の記事として掲載しておきます。更新世ヨーロッパの壁画の幾何学的な記号に関する見解が報道されました。この見解によると、更新世ヨーロッパの壁画の幾何学的な記号は、約3万年間で32種類が用いられたにすぎない、とのことです。そこから、こうした記号は情報の伝達手段として用いられ、文字発達の長い歴史の原型となったのではないか、と推測されています。こうした記号は、更新世のフランス地域においては、少しずつ増えていったのではなく、その3/4近くが当初から使用されていた、と指摘されています。ヨーロ... ...続きを見る

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2016/06/05 00:00
複数回起きたかもしれないイヌの家畜化
 これは6月4日分の記事として掲載しておきます。イヌの家畜化についての研究(Frantz et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。『ネイチャー』のサイトにも解説記事が掲載されています。イヌは現在では絶滅したオオカミ集団から家畜化されたと言われていますが、いつどこでイヌの家畜化が始まったのか、議論が続いており、高い関心を集めています。イヌの起源地については、中央アジア・東アジア・ヨーロッパなどが候補として挙げられていますが、いずれにしても、... ...続きを見る

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2016/06/04 00:00
David Christian『ビッグヒストリー入門 科学の力で読み解く世界史』
 デビッド=クリスチャン(David Christian)著、渡辺政隆訳で、WAVE出版から2015年10月に刊行されました。原書初版の刊行は2007年で、本書は2015年刊行の第5版の翻訳とのことです。本書の特徴は、宇宙の始まりから叙述を始めていることです。さすがに地球の誕生から生命の誕生、さらには人類の出現までは簡潔な叙述になっていますが、人類の狩猟採集時代は予想以上の分量でした。また、農耕開始から文字の使用が始まる前までの時代にもかなりの分量が割かれていますから、いわゆる先史時代の比重がか... ...続きを見る

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2016/05/28 00:00
ネアンデルタール人による洞窟深部の建造物(追記有)
 176000年前頃の洞窟深部の建造物についての研究(Jaubert et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されており、『サイエンス』のサイトにも解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究が取り上げているのは、南西フランスのブルニケル洞窟(Bruniquel Cave)で発見された、切り取られた石筍で作られた環状の建築物です。 ...続きを見る

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2016/05/27 00:00
上部旧石器時代初期における西アジアから北アフリカへの移動
 これは5月22日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期現生人類のミトコンドリアDNAを解析した研究(Hervella et al., 2016)が報道されました。この研究は、ルーマニアの「女性の洞窟(Peştera Muierii)」で発見された遺骸(PM1)の歯からミトコンドリアDNAを抽出して解析し、化石人類も含めて他のミトコンドリアDNAと比較しています。PM1は較正年代で35000年前頃と推定されており、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Ho... ...続きを見る

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2016/05/22 00:00
ギリシアの中期更新世の遺跡
 これは5月19日分の記事として掲載しておきます。2013年にギリシアで発見されたマラサウサ1(Marathousa 1)遺跡についての研究(Panagopoulou et al., 2015)が報道されました。マラサウサ1遺跡では、石器とともに、ほぼ完全な古代ヨーロッパのゾウ(Elephas antiquus)の骨格や、齧歯類・鳥類・両生類・爬虫類・軟体動物・昆虫の遺骸が発見されています。年代についてはまだ幅の広い推定しかなされておらず、中期更新世の60万〜30万年前頃とされています。 ...続きを見る

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2016/05/19 00:00
北アメリカ大陸南東部における先クローヴィス期の人類の存在(追記有)
 これは5月18日分の記事として掲載しておきます。北アメリカ大陸南東部において、先クローヴィス期(Pre-Clovis)にすでに人類が存在していたことを報告した研究(Halligan et al., 2016)が報道されました。アメリカ大陸への人類最初の移住については、クローヴィス文化の担い手こそアメリカ大陸最初の移住者だったとする、クローヴィス最古説が長い間有力でした。しかし近年では、クローヴィス文化以前(先クローヴィス期)のアメリカ大陸における人類の痕跡が、この研究でも指摘されているようにま... ...続きを見る

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2016/05/18 00:00
アメリカ大陸におけるサル類の移動
 アメリカ大陸におけるサル類の移動に関する研究(Bloch et al., 2016)が公表されました。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸は約350万年前まで海で隔てられており、パナマ地峡の出現によってつながりました。その後に続いて起きた陸生動物の移動は、「南北アメリカ生物大交換」として知られています。この研究は、パナマ運河の拡張に伴う新たな発掘で、約2100万年前の前期中新世のサル類の化石が発見されたことを報告しています。これは北アメリカ大陸で初めて見つかった化石サル類となります。この発見は、前期... ...続きを見る

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2016/05/14 00:27
気候変動によるネアンデルタール人の絶滅
 気候変動とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅との関係を検証した研究(Hodgkins et al., 2016)が報道されました。ネアンデルタール人の絶滅に関しては複数の要因が提示されています(関連記事)。この研究は、ネアンデルタール人の遺跡から発見された動物の骨を分析し、気候変動説を改めて検証しています。対象となったのは、フランスのペシュドゥラゼ4(Pech de l'Azé IV)遺跡とロックデマルサル(Roc de Marsal)遺跡です。 ... ...続きを見る

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2016/05/13 00:00
顔面と頭部の毛髪に関連する遺伝子
 これは5月10日分の記事として掲載しておきます。顔面と頭部の毛髪に関連する遺伝子についての研究(Adhikari et al., 2016)が公表されました。現代人の顔面と頭部における毛髪の外観と分布は、同じ集団内と異なる集団間で有意差が認められますが、こうした差異の遺伝的基盤については、これまで解明があまり進んでいませんでした。この研究は、ヨーロッパ人とアメリカ先住民とアフリカ人の混血のラテンアメリカ人の全ゲノム関連解析を行ない、白髪など頭髪の特徴である形状と色、脱毛、顔面の毛髪の特徴である... ...続きを見る

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2016/05/10 00:00
藍田人の年代の見直し
 これは5月8日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅くなってしまいましたが、藍田人の年代の見直しについての研究(Zhu et al., 2015)が報道されました。藍田人は1964年に中華人民共和国陝西省藍田県(Lantian County)公王嶺(Gongwangling)で発見されました。藍田人はホモ属エレクトス(Homo erectus)と分類されており、その脳容量は800㎤と推定されています。藍田人はハラミヨ(Jaramillo)正磁極亜期(106万〜90万年前... ...続きを見る

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2016/05/08 00:00
7000年前頃までのヨーロッパの現生人類の遺伝史(追記有)
 これは5月4日分の記事として掲載しておきます。47000〜7000年前頃の51人のユーラシアの現生人類(Homo sapiens)のゲノムを解析した研究(Fu et al., 2016)が報道されました。BBCでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この分析の結果明らかになったのは、ヨーロッパの最初期の現生人類は、現代ヨーロッパ人の遺伝子プールにはほとんど影響を及ぼしていないようだ、ということです。 ...続きを見る

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2016/05/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(28)2016年1月〜2016年4月
 2016年1月〜2016年4月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2016年1月〜2016年4月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2016/05/01 00:00
気候変動にたいするネアンデルタール人と現生人類の食性の違い
 これは4月30日分の記事として掲載しておきます。気候変動にたいするネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との食性の違いを分析した研究(El Zaatari et al., 2016)が報道されました。この研究は、人間の臼歯の微小摩耗構造を分析し、その食性を推測するとともに、環境変動にともない食性がどのように変化したのか、あるいは変わらないのか、ということを検証しています。 ...続きを見る

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2016/04/30 00:00
Y染色体の分析から推測される男性人口の激増
 これは4月27日分の記事として掲載しておきます。現代人のY染色体から男性の人口史を推測した研究(Poznik et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、世界の26集団の1244人のY染色体を分析しました。その結果、6万ヶ所以上の1塩基の置換や、数千ヶ所の複数の塩基置換や、挿入・欠失や、反復配列などが明らかになりました。こうした分析結果に基づき、Y染色体の系統樹が構築され、各地域の男性の人口史が推定されました。 ...続きを見る

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2016/04/27 00:00
Eugene E. Harris『ゲノム革命 ヒト起源の真実』
 これは4月24日分の記事として掲載しておきます。ユージン=E=ハリス(Eugene E. Harris)著、水谷淳訳で、早川書房より2016年4月に刊行されました。原書の刊行は2015年です。ゲノム解析による現代人の起源・進化の解明という、まさに日進月歩と言うべき分野だけに、原書の刊行が2015年と最近であることは、本書の価値を大いに高めていると思います。もっとも、本書が取り上げている研究はおおむね2013年までのもので、その後も、おそらく著者が予想・期待していたであろうように、ゲノム解析によ... ...続きを見る

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2016/04/24 00:00
人間社会における公平性の発達
 これは4月21日分の記事として掲載しておきます。人間社会における公平性の発達に関する研究(Blake et al., 2015)が公表されました。人間は小児期に公平性の感覚を持つようになる、と明らかにされています。しかし、自分が不公平に扱われることの回避(不利な不公平の回避)と、他者が不公平に扱われているのを見ることの回避(有利な不公平の回避)が、文化によってどのように違っているのかはよく分かっていませんでした。この研究は、7つの文化集団を対象にした実験から、不利な不公平の回避は小児期の初期に... ...続きを見る

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2016/04/21 00:00
社会の階層化を促進する儀式的な人身御供
 儀式的な人身御供と社会の階層化に関する研究(Watts et al., 2016)が報道されました。この研究では、地理的・社会的に多様な、伝統的なオーストロネシア文化93集団が分析されました。この研究は、これら93集団を「平等主義」・「適度に階層化」・「高度に階層化」と三区分し、「平等主義的な」社会では25%、「適度に階層化された」社会では37%、「高度に階層化された」社会では67%で儀式的な人身御供が存在することを確認しました。 ...続きを見る

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2016/04/16 00:27
南アメリカ大陸の初期人口史
 南アメリカ大陸の初期人口史に関する研究(Goldberg et al., 2016)が報道されました。14000年前頃(もっとさかのぼるかもしれませんが)に南アメリカ大陸に人類が移住するようになってからの人口史は、まだよく知られていません。この研究は、1147ヶ所の考古学的遺跡を対象に、放射性炭素年代測定法の較正年代で14000〜2000年前頃となる5464点の結果を検証することで、南アメリカ大陸における初期の人口史を推定しています。 ...続きを見る

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2016/04/15 00:33
人間社会における一夫一妻制の発達(追記有)
 人間社会における一夫一妻制の発達の要因に関する研究(Bauch, and McElreath., 2016)が報道されました。人間社会において、一夫一妻制が社会的規範となっており、その規範を守るために高コストの処罰がなされることに関して、議論が続いてきました。家父長制的な人間社会もありますが、一夫多妻制は(配偶者を複数持てるような社会的に上層の)男性の繁殖成功度を上げるにも関わらず、そうした社会においてさえ一夫一妻制が社会的規範となることもあるのはなぜなのか、説明の難しい問題となっています。 ... ...続きを見る

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2016/04/14 00:24
現生人類からネアンデルタール人への伝染病の感染
 これは4月13日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)からネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)へと伝染病が感染した可能性を指摘した研究(Houldcroft, and Underdown., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類はネアンデルタール人と交雑し、ネアンデルタール人から免疫関連の遺伝子を受け継いだことが知られています。アフリカ起源の現生人類が、現生人類よりも長くユーラシアに適応して... ...続きを見る

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2016/04/13 00:00
ネアンデルタール人と現生人類のY染色体の違い
 これは4月9日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)のY染色体に関する研究(Mendez et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。これまで、ネアンデルタール人のゲノムは複数の個体で解読されていますが、一定以上の精度で解読された個体は全員女性です。そのため、ネアンデルタール人のY染色体の研究は停滞していました。本論文は、スペイン北部のエルシドロ... ...続きを見る

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2016/04/09 00:00
先コロンブス期アメリカ大陸の住民のミトコンドリアDNA
 これは4月5日分の記事として掲載しておきます。先コロンブス期のアメリカ大陸の住民のミトコンドリアDNAを解析した研究(Llamas et al., 2016)が報道されました。この研究は、8600〜500年前頃のアメリカ大陸の住民92人のミトコンドリアDNAを解析し、現代人のそれと比較しています。この92人は、おもに南アメリカ大陸で発見されています。この研究は、その解析・比較結果から、アメリカ大陸への人類最初の移住に関して新たな見解を提示しています。 ...続きを見る

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2016/04/05 00:00
縄文時代における暴力死亡率
 これは4月2日分の記事として掲載しておきます。縄文時代における暴力死亡率に関する研究(Nakao et al., 2016)が報道されました。日本語の簡易解説記事と詳細な解説記事もあります。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、縄文時代における暴力による死亡率を推定し、他地域と比較しています。暴力による死亡率は、戦争によるものや個別の殺人事件なども含みます。この研究が分析対象としたのは、縄文時代の遺跡242ヶ所の人骨2582点(1275人)です。この研究は、そのうち受傷人骨... ...続きを見る

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2016/04/02 00:00
さかのぼるフロレシエンシスの年代(追記有)
 インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟で発見された後期更新世の人骨群の新たな推定年代に関する研究(Sutikna et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。リアンブア洞窟では更新世の人骨群が発見されています。この人骨群をめぐっては当初、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の... ...続きを見る

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2016/04/01 00:28
ネアンデルタール人の食性と形態の関係
 ネアンデルタール人の食性と形態の関係についての研究(Ben-Dor et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)は多くの点で現生人類(Homo sapiens)と類似した解剖学的特徴を有していますが、相違点も指摘されています。古くから、ネアンデルタール人の釣鐘型の胸郭や広い骨盤は、現生人類との違いとして注目されていました。しかし、その進化的要因についてはよく分かっていませんでした。この... ...続きを見る

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2016/03/31 00:19
現代人のゲノムに確認されるデニソワ人およびネアンデルタール人との交雑の痕跡
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のデニソワ人(Denisovan)由来のゲノム領域が、現代人の各地域集団にどのような割合で継承されているのか、世界規模での全体像を検証した研究(Sankararaman et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。今では、現代人のゲノムにデニソワ人およびネアンデルタール人由来の領域が確認されることは広く認められています。 ...続きを見る

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2016/03/30 00:25
大地溝帯の東で発見されたアファレンシス化石
 これは3月27日分の記事として掲載しておきます。ホモ属出現前の人類がアフリカ東部において大地溝帯の東方まで進出していたことを明らかにした研究(Mbua et al., 2016)が報道されました。アウストラロピテクス属をはじめとしてホモ属が出現する前から存在した人類は、アフリカ東部において大地溝帯の東方には進出していなかった、とされています。この研究は、アウストラロピテクス属が大地溝帯の東方にまで進出していた証拠として、ケニアのカンティス(Kantis)遺跡で発見されたアファレンシス(Aust... ...続きを見る

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2016/03/27 00:00
長谷川眞理子編『ヒトの心はどこから生まれるのか 生物学からみる心の進化』第3刷
 これは3月24日分の記事として掲載しておきます。 ウェッジ選書の一冊として、ウェッジより2010年1月に刊行されました。第1刷の刊行は2008年10月です。本書の基調は、二項対立的図式の見直しです。本書の議論では、「こころ」と「からだ」、「遺伝」と「環境」、「本能」と「理性」、「本能」と「学習」、「意識」と「無意識」、「動物」と「人間」といった二項対立的図式が対象となります。人間の性質・能力は遺伝と環境のどちらで決まるのか、といった通俗的な問題設定は、氏か育ちか、という言葉で一般でも語られてい... ...続きを見る

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2016/03/24 00:00
メラネシア人のゲノムに見られるネアンデルタール人とデニソワ人の痕跡
 メラネシア人のゲノムに見られるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のデニソワ人(Denisovan)の痕跡に関する研究(Vernot et al., 2016)が報道されました。日本語の解説記事も公表されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。非アフリカ系現代人は、ネアンデルタール人由来のゲノム領域を2%程度継承しています。アフリカ系現代人はネアンデルタール人由来のゲノム領域をほとんど継承していないため、現生人類(Homo sapiens... ...続きを見る

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2016/03/19 00:40
中期更新世の人骨の核DNA解析(追記有)
 中期更新世の人骨の核DNAの解析結果に関する研究(Meyer et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この中期更新世の人骨の核DNAの解析結果については、すでに昨年(2015年)9月10日〜12日にかけてロンドンで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第5回総会で報告されており(関連記事)、概要はその報告と基本的に変わりません。 ...続きを見る

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2016/03/17 00:17
後期更新世の北西ヨーロッパのネアンデルタール人の食性
 後期更新世の北西ヨーロッパのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の食性に関する研究(Wißing et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、マース川沿いにあるベルギー南部のゴイエット(Goyet)の「第三洞窟(Troisième caverne)」遺跡で発見されたさまざまな動物の骨のコラーゲンの安定同位体(炭素13および窒素15)を分析し、その食性を推定しています。 ...続きを見る

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2016/03/16 00:21
肉食と食料の加工によるホモ属の進化(追記有)
 肉食および食料の加工とホモ属の進化の関係についての研究(Zink, and Lieberman., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ホモ属の起源に関しては、まだ不明なところが多分にあるものの、それ以前の人類や同時代の他系統の人類と比較して、歯が小さくなり、咀嚼筋が減少して噛む力が弱まり、消化器官が小さくなった一方で、脳と身体は大きくなった、ということは広く認められています。咀嚼や消化の能力は低下した一方で、要求されるエネルギーは増えたわけです。 ...続きを見る

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2016/03/12 00:00
氷期の始まりを判断するための臨界日射量と二酸化炭素の関係
 これは3月9日分の記事として掲載しておきます。氷期の始まりを判断するための臨界日射量と二酸化炭素の関係についての研究(Ganopolski et al., 2016)が公表されました。氷期が始まる条件はまだよく分かっていません。近年の北半球の日射パターンは他の氷期の開始期に伴うことが多かったパターンに似ていたのですが、氷期は始まりませんでした。この研究は、氷床コアの証拠から絞り込まれた中程度に複雑な気候モデルを用い、任意の大気中二酸化炭素濃度について、氷期が始まる契機となるのに必要な日射量を定... ...続きを見る

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2016/03/09 00:00
人類の歯の進化
 人類の歯の進化に関する研究(Evans et al., 2016)が公表されました。人類の進化史において、歯のサイズの縮小傾向が見られることは古くから認識されていました。この理由として、食餌の変化や調理技能の獲得など、さまざまな仮説が提示されてきましたが、この傾向の根底にある発生的基盤は不明でした。この研究は、過去700万年にわたる化石人類および大型類人猿の標本で歯のサイズを調べ、哺乳類の相対的な歯のサイズに影響を与える活性化因子–抑制因子機構である「抑制性カスケード」が、下顎の犬... ...続きを見る

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2016/03/05 00:27
着火のさいに二酸化マンガンを利用したネアンデルタール人
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)が着火のさいに二酸化マンガンを利用した可能性を指摘した研究(Heyes et al., 2016)が公表されました。フランスでは、中部旧石器時代のムステリアン(Mousterian)遺跡で二酸化マンガンが発見されています。二酸化マンガンは、その着色特性から、人間が身体装飾に利用したと考えられており、象徴的行為の考古学的指標ともされています。本論文は、フランスのペシュドゥラゼ1(Pech-de-l’Azé I)遺跡のアシュ... ...続きを見る

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2016/03/04 00:16
オーストラリア大陸先住民のY染色体の分析
 オーストラリア大陸先住民(アボリジニー)のY染色体の分析に関する研究(Bergström et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。オーストラリア大陸は、アメリカ大陸と同じく、現生人類(Homo sapiens)ではない系統の人類は存在したことがない、との見解が定説となっています。オーストラリア大陸への現生人類の進出は、アメリカ大陸よりもずっと早かった、と一般には考えられています。オーストラリア大陸への現生人類の進出は、考古学的記録から... ...続きを見る

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2016/03/02 00:27
現生人類の移住史におけるアラブ人の位置づけ
 これは2月28日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の移住史におけるアラブ人の位置づけに関する研究(Rodriguez-Flores et al., 2016)が公表されました。今後もさらなる検証が必要でしょうが、なかなか興味深い研究だと思います。現在では、アフリカ起源の現生人類が世界各地へと拡散した、とする現生人類アフリカ単一起源説が広く認められています。もっとも、現生人類はアフリカから世界各地への拡散の過程で、ネアンデルタール人(Homo neanderth... ...続きを見る

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2016/02/28 00:00
大型類人猿のY染色体とミトコンドリアの分析
 これは2月27日分の記事として掲載しておきます。大型類人猿のY染色体とミトコンドリアを分析した研究(Hallast et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・オランウータンのY染色体を分析していますが、対象となったのはY染色体の男性特有の領域で、その遺伝的相違とそれに基づく推定分岐年代がミトコンドリアと比較されています。父系のみで継承されるY染色体の男性特有の領域と、母系のみで継承されるミトコンドリアのD... ...続きを見る

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2016/02/27 00:00
現代パナマ人に見られるヨーロッパ系の遺伝的痕跡
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。現代パナマ人のY染色体に関する研究(Grugni et al., 2015)が報道されました。15世紀末以降、アメリカ大陸にはヨーロッパから多数の人々が移住してきて、大きな影響を及ぼしました。これがかなりのところ侵略的であり、アメリカ大陸の先住民集団に大打撃を与えたことはよく知られています。パナマも含まれるラテンアメリカにおいては、ヨーロッパ系でもおもにスペイン系が移住してきました。こうしたスペインからの「征服者(コンキスタドール)」は単身の男性... ...続きを見る

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2016/02/25 00:00
海部陽介『日本人はどこから来たのか?』
 これは2月21日分の記事として掲載しておきます。文藝春秋社から2016年2月に刊行されました。本書は、昔から(おそらくは今後も長く)日本社会では関心の高い日本人起源論を取り上げています。本書の特徴は、日本社会ではありふれているとも言える日本人起源論を、現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説を前提として、現生人類のアフリカからの拡散という観点から検証していることです。日本列島とその周辺地域だけではなく、広く世界的な視野で考察されている、というわけです。 ...続きを見る

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2016/02/21 00:00
フロレシエンシスの頭蓋の分析
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島人の頭蓋に関する研究(Balzeau et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。インドネシア領フローレス島のリアンブア洞窟では、更新世の人骨群が発見されています。この人骨群をめぐっては当初、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解がおお... ...続きを見る

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2016/02/20 00:00
さかのぼるネアンデルタール人と現生人類との交雑の年代(追記有)
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との早期の交雑に関する研究(Kuhlwilm et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。非アフリカ系現代人のゲノムには、わずかながらネアンデルタール人由来の領域が確認されています。一方、アフリカ系現代人のゲノムには、基本的にネアンデルタール人由来の領域が確認されていません。そのため、出アフリカ後の現生人類はネアンデルタール人と交雑したと考... ...続きを見る

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2016/02/19 00:24
ネアンデルタール人の絶滅の理論的検証
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅を理論的に検証した研究(Gilpin et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ざっと一読しただけなので、的確に理解できていないかもしれませんが、とりあえず備忘録として掲載しておきます。ネアンデルタール人の絶滅要因は高い関心を集めてきており、現在にいたるまで活発な議論が続いています。もっとも、ネアンデルタール人は絶滅したとはいっても、非アフリカ系現代人はわずかながらネアンデルタ... ...続きを見る

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2016/02/18 00:15
セディバの食べ物を噛む能力
 これは2月14日分の記事として掲載しておきます。ホモ属的特徴を有するとされるアウストラロピテクス属のセディバ(Australopithecus sediba)の食べ物を噛む能力に関する研究(Ledogar et al., 2016)が報道されました。アウストラロピテクス属は、堅い食べ物を噛むことに適した歯や顎の構造を有しています。一方、現代人はそうした構造を有しておらず、食べ物を噛む能力は弱くなっています。現代人も含めてホモ属はアウストラロピテクス属のいずれかの系統から進化したと考えられており... ...続きを見る

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2016/02/14 00:00
ネアンデルタール人に由来する生存の危険性を高める遺伝子
 これは2月13日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に由来する生存の危険性を高める遺伝子についての研究(Simonti et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。現生人類(Homo sapiens)は出アフリカ後にネアンデルタール人と交雑したと推測されており、非アフリカ系現代人のゲノムにはわずかながら(平均して1.5%〜4%)ネアンデルタール人由来の領域が確認されています。 ... ...続きを見る

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2016/02/13 00:00
ゴリラの祖先候補の新たな年代
 これは2月12日分の記事として掲載しておきます。ゴリラの祖先候補となる化石の新たな年代に関する研究(Katoh et al., 2016)が報道されました。2007年にエチオピアで発見された大型類人猿の化石は、チョローラピテクス=アビシニクス(Chororapithecus abyssinicus)と命名され、その年代は1050万〜1000万年前と推定されました(関連記事)。アビシニクスは、その歯の形態的特徴からゴリラの祖先系統(もしくはゴリラの直接的祖先の近縁系統)と考えられています。 ... ...続きを見る

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2016/02/12 00:00
中期更新世におけるカメの消費
 中期更新世におけるカメの消費についての研究(Blasco et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。本論文が分析対象としているのは、イスラエルにあるケセム洞窟(Qesem Cave)遺跡です。ケセム洞窟はテルアビブから東方へ12kmの場所に位置しています。ケセム洞窟では、下部旧石器時代の人工物が発見されており、それらはすべてアシュールヤブルディアン文化複合(Acheulo-Yabrudian Cultural Complex)に区分されています。ケセム洞窟では、ア... ...続きを見る

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2016/02/07 00:33
Jared Diamond『若い読者のための第三のチンパンジー 人間という動物の進化と未来』
 ジャレド=ダイアモンド(Jared Diamond)著、レベッカ=ステフォフ(Rebecca Stefoff)編著、秋山勝訳、長谷川眞理子解説で、草思社より2015年12月に刊行されました。原書の刊行は2014年です。本書は1993年に新曜社より日本語版が刊行された『人間はどこまでチンパンジーか? 人類進化の栄光と翳り』の圧縮版であり、その後の研究成果が参照された増補改訂版でもあります。 ...続きを見る

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2016/02/06 00:30
後期更新世におけるオーストラリアの大型鳥の絶滅
 後期更新世におけるオーストラリアの大型鳥の絶滅に関する研究(Miller et al., 2016)が報道されました。この研究が分析対象としているのは、オーストラリアにかつて生存しており、後期更新世に絶滅した、飛行能力のない大型のカモ目の鳥(Genyornis newtoni)です。この絶滅大型鳥は、体長が約210cm、体重が約220kgでした。本論文は、45kg以上の体重がある動物を大型と分類しています。 ...続きを見る

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2016/02/04 00:18
アメリカ大陸における大型動物の絶滅要因
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸における大型動物の絶滅要因についての研究(Surovell et al., 2016)が公表されました。更新世末期〜完新世初期にかけて、アメリカ大陸では多くの大型動物が絶滅しました。アメリカ大陸のように、現生人類(Homo sapiens)が更新世後期〜完新世にかけて人類として初めて移住した地域では、他にもオーストラリア大陸やオセアニアのように、多くの大型動物の絶滅が見られます。こうした大型動物の絶滅を人為的要因と考える見解は以前から... ...続きを見る

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2016/01/28 00:00
ブリテン島の移住史
 これは1月23日分の記事として掲載しておきます。ブリテン島における人間集団の移住に関する二つの研究が公表されました。ナショナルジオグラフィックで報道された一方の研究(Martiniano et al., 2016)は、イギリス北部の9人の遺体のDNAを解析しました。このうち7人はヨークにあるローマ帝国時代の墓地に埋葬されており、残りの2人のうち1人の年代はアングロサクソン時代で、もう1人の年代はローマ帝国時代よりも前の鉄器時代です。これら9人のDNA解析の結果、ローマ帝国時代の7人のゲノムは全... ...続きを見る

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2016/01/23 00:00
1万年前頃の狩猟採集民集団間の暴力
 これは1月22日分の記事として掲載しておきます。1万年前頃の狩猟採集民集団間の暴力に関する研究(Lahr et al., 2016)が報道されました。この研究は、ケニアのトゥルカナ湖西方で2012年に発見されたナタルク(Nataruk)遺跡について報告しています。ナタルク遺跡は現在のトゥルカナ湖畔から30km離れた場所に位置しています。ナタルク遺跡では27個体分の遺骸が発見されており、そのうち21人は成人で、男性8人・女性8人・性別不明5人という構成でした。6人の未成年のうち5人は6歳以下で、... ...続きを見る

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2016/01/22 00:00
非アフリカ系現代人集団で増加する有害な遺伝的変異
 非アフリカ系現代人集団で有害な遺伝的変異が増加することを明らかにした研究(Henn et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アフリカ起源の現生人類(Homo sapiens)の拡散は連続した創始者効果を伴うものだった、と考えられています。小集団では大集団よりも有害な遺伝的変異が効率的に除去されないため、非アフリカ系集団ではアフリカ系集団よりも有害な遺伝的変異が増加しているのはでないか、と集団遺伝学の理論では予測されています。 ...続きを見る

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2016/01/21 00:00
45000年前頃に北極圏に進出していた人類
 これは1月16日分の記事として掲載しておきます。人類が45000年前頃に北極圏に進出していたことを明らかにした研究(Pitulko et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は、2012年8月に北極圏シベリアで発見されたマンモスの遺骸について報告しています。このマンモスの眼窩・肋骨・顎には、槍による明らかな損傷が確認され、そうした損傷は生前および死後のものでした。こうした損傷パターンは他の遺跡でも確認されているので、人類がマンモス... ...続きを見る

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2016/01/16 00:00
スラウェシ島の10万年以上前の石器
 これは1月15日分の記事として掲載しておきます。スラウェシ島で発見された10万年以上前の石器についての研究(Bergh et al., 2015)が報道されました(日本語版)。読売新聞でも報道されています。この研究は、スラウェシ島南西部の町であるマロス(Maros)北東のウァラナエ盆地(Walanae Basin)にあるタレプ(Talepu)遺跡で、2007年〜2012年にかけての発掘で発見された石器群について報告しています。マロス近郊の洞窟群では4万年前頃までさかのぼる壁画が発見されており、... ...続きを見る

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2016/01/15 00:00
前近代に変化していた生態学的群集の共在構造
 これは1月14日分の記事として掲載しておきます。生態学的群集の共在構造の変化に人類が影響を与えていたことを示した研究(Lyons et al., 2016)が公表されました。生態学的群集はランダムに構成されているわけではなく、一部の種は偶然による予測値よりも高頻度もしくは低頻度で他の種と共存しています。この研究は、過去3億年の間に存在した80の集合体に含まれる動植物種のペア30万組以上の共存パターンを調べました。その結果、有意に近接または分離している種ペアの相対的比率は3億年にわたって安定して... ...続きを見る

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2016/01/14 00:00
ネアンデルタール人とデニソワ人に由来する免疫に関連する遺伝子
 これは1月9日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人からもたらされた免疫に関連する遺伝子についての二つの研究が報道されました。一方の研究(Dannemann et al., 2016)は、先天性免疫に関わるToll様受容体のうちの三つ(TLR6・TLR1・TLR10)を分析対象としています。先天性免疫に関わるToll様受容体は、バクテリア・菌類・寄生虫に対する防御の役割を果たしていることになり、人間の生存に重要です。 ...続きを見る

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2016/01/09 00:00
西サハラの砂漠にかつて存在した川
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。西サハラの砂漠にかつて広大な河川網が存在したことを明らかにした研究(Skonieczny et al., 2015)が公表されました。現在の西サハラには主要な河川系はなく、絶えず移動する砂丘しかありません。しかし近年、西サハラ沖では、深海で河川によって運ばれた微細粒が、大陸棚では大規模な海底谷が発見されたことで、西アフリカにはかつて主要な河川系が存在していた、と考えられています。しかし、これまで陸上においてそうした広大な河川網の直接的証拠は得られて... ...続きを見る

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2016/01/05 00:00
古人類学の記事のまとめ(27)2015年9月〜2015年12月
 2015年9月〜2015年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2015年9月〜2015年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2016/01/02 18:24
2015年の古人類学界
 これは12月29日分の記事として掲載しておきます。あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年も古人類学界について振り返っていくことにします。今年の動向を私の関心に沿って整理すると、以下のようになります。 ...続きを見る

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2015/12/29 00:00
農耕の開始により変化した人間のゲノム
 これは12月27日分の記事として掲載しておきます。農耕の開始に伴う人間のゲノムの変化に関する研究(Mathieson et al., 2015)が報道されました。この研究は、古代西ユーラシアの230人の高精度のゲノム解析を報告しています。この230人の年代は紀元前6500〜紀元前300年にわたっており、この研究で新たに報告されたデータも含まれています。アナトリアの新石器時代農耕民のゲノム規模の解析はこの研究が初めてのことだ、とその意義が指摘されています。 ...続きを見る

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2015/12/27 00:00
ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先の復元図
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との最終共通祖先の復元図についての研究が報道されました。この研究は『人間進化誌』に掲載されるとのことですが、検索したところ、まだオンライン版でも公開されていませんでした。この研究は、3D技術を用いてネアンデルタール人と現生人類の最終共通祖先の頭蓋を仮想復元しています。この復元にさいしては、200万年にわたるホモ属化石の頭蓋が用いられ、797点の指標が定められました。 ...続きを見る

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2015/12/22 00:15
馬鹿洞人の大腿骨
 これは12月20日分の記事として掲載しておきます。中華人民共和国雲南省の馬鹿洞(Maludong)で発見されたホモ属の大腿骨に関する研究(Curnoe et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。馬鹿洞人に関しては、未知のホモ属系統との見解が提示されていますが(関連記事)、放射性炭素年代測定法による較正年代では14310±340〜13590±160年前となることもあって、現生人類(Homo sapiens)の多様性を過小評価して馬鹿洞人の祖先的特徴を過大評価している... ...続きを見る

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2015/12/20 00:00
頭蓋の分析による現生人類出アフリカ説の検証
 頭蓋の分析から現生人類(Homo sapiens)による出アフリカを検証した研究(Reyes-Centeno et al., 2015)を読みました。現生人類の出アフリカに関しては、回数・年代・経路などをめぐって議論が続いています(関連記事)。本論文は、更新世のアフリカおよびレヴァントの現生人類化石と、完新世のアジアの現生人類の膨大な頭蓋データを用いて、現生人類の出アフリカについて検証しています。 ...続きを見る

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2015/12/19 00:27
Pat Shipman『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』
 これは12月13日分の記事として掲載しておきます。パット=シップマン(Pat Shipman)著、河合信和監修・訳、柴田譲治訳で原書房より2015年12月に刊行されました。原書の刊行は2015年です。本書は、現生人類(Homo sapiens)を侵略種と把握し、その拡散が生態系に大きな影響を及ぼした、との認識を前提とし、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅を検証しています。主要な検証対象地域はヨーロッパです。 ...続きを見る

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2015/12/13 00:00
現生人類とは異なるネアンデルタール人の顔面成長パターン
 これは12月10日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の顔面成長パターンに関する研究(Lacruz et al., 2015)が報道されました。骨格の形成は、骨の沈着と破壊吸収により行なわれます。本論文は、現生人類とネアンデルタール人の顔面においてそれがどのようなパターンを示すのか、検証しました。 ...続きを見る

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2015/12/10 00:00
川合伸幸『ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか』
 これは12月5日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、ヒトの本性、さらには、ヒトの本性は残酷であるという今でもわりと根強いだろう観念の検証が主題となっています。率直に言って、本書はこの主題に捕われすぎており、やや偏向しているのではないか、と思います。漢字文化圏でなじみ深い、性善説対性悪説という二項対立的な把握を意識しすぎているのではないか、と思えました。もっとも、某東洋史研究者によると、いわゆる諸子百家の時代の性善説と性... ...続きを見る

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2015/12/05 00:00
Curtis William Marean「史上最強の侵略種ホモ・サピエンス」
 これは12月4日分の記事として掲載しておきます。『日経サイエンス』2016年1月号の記事です。本論考は、それまでの人類とは異なり世界中へと拡散した現生人類(Homo sapiens)を「史上最強の侵略種」と把握しています。この認識自体は、妥当なところが多分にあると思います。現生人類がアフリカから拡散を始めた時には、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人(種区分未定)やホモ属の新種とされる更新世フローレス島人(Homo floresiensis)など複数の先... ...続きを見る

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2015/12/04 00:00
感情が促進した現生人類の拡散
 これは12月3日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の拡散と感情との関係について検証した研究(Spikins., 2015)が報道されました。本論文が前提としているのは、人類の拡散は10万年前以降に大きく変わった、という認識です。現生人類の10万年前以降の拡散は、じゅうらいよりずっと速くなり、範囲も広がった、というわけです。アウストラロピテクス属やパラントロプス属の生息範囲は、アフリカの森林や森林と草原の混在するような環境に限定されており、初期ホモ属でも、ハビリ... ...続きを見る

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2015/12/03 00:00
農耕開始期までさかのぼるミツバチの利用
 これは11月29日分の記事として掲載しておきます。人間によるミツバチの利用に関する研究(Roffet-Salque et al., 2015)が報道されました。エジプトなどにおける考古学的証拠から、人間はミツバチを古くから利用してきたことが知られていますが、それがいつのことからなのかは、明確ではありませんでした。この研究は、ヨーロッパ・西アジア・北アフリカの遺跡で発見された6000以上の陶器の破片の脂質残渣から得られた、蜜蝋の存在を示すガスクロマトグラフィーの測定結果を用いて、蜜蝋の利用地点を... ...続きを見る

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2015/11/29 00:00
インド・ヨーロッパ語族の形成におけるコーカサスの狩猟採集民の遺伝的影響
 これは11月27日分の記事として掲載しておきます。現代のユーラシアの人類集団にコーカサスの狩猟採集民の遺伝的影響があることを明らかにした研究(Jones et al., 2015)が報道されました。この研究は、コーカサス地域の上部旧石器時代後期(13000年前頃)と中石器時代(9700年前頃)の人間のゲノム、およびスイスの上部旧石器時代後期(13700年前頃)の人間のゲノムを解析しました。現代ヨーロッパ人の形成には、ヨーロッパ西部の狩猟採集民、西アジアからの農耕民、西ヨーロッパに牧畜および冶金... ...続きを見る

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2015/11/27 00:00
さかのぼる南アメリカ大陸における人類の痕跡
 これは11月22日分の記事として掲載しておきます。南アメリカ大陸における人類の痕跡についての研究(Dillehay et al., 2015)が公表されました。アメリカ大陸への人類最初の移住については、20世紀後半〜近年までクローヴィス(Clovis)文化の担い手が最初の移住者だとするクローヴィス最古説が主流でした。しかし近年になって、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古説を否定する研究者が増えつつあり、クローヴィス最古説はもは... ...続きを見る

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2015/11/22 00:00
フロレシエンシスの歯の分析
 これは11月20日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島人の歯を分析した研究(Kaifu et al., 2015)が報道されました。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟の更新世後期の堆積層からは、人骨と石器が発見されています。この更新世フローレス島人の分類と起源をめぐり、発表以来10年以上、激論が続いてきました(関連記事)。更新世フローレス島人は病変の現生人類(Homo sapiens)である、との見解も当初より提示されており、現在でも一部で主張され続... ...続きを見る

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2015/11/20 00:00
デニソワ人の臼歯の形態およびDNA解析
 これは11月19日分の記事として掲載しておきます。デニソワ人(種区分未定)の臼歯の形態およびそのDNA解析についての研究(Sawyer et al., 2015)が報道(日本語版)されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。デニソワ人は、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とも現生人類(Homo sapiens)とも異なる系統の人類です。これまで、デニソワ人は3個体分発見... ...続きを見る

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2015/11/19 00:00
インカ帝国の子供のミイラのミトコンドリアゲノム
 これは11月15日分の記事として掲載しておきます。インカ帝国の子供のミイラのミトコンドリアゲノムに関する研究(Gómez-Carballa et al., 2015)が公表されました。1985年にアルゼンチンの山中で500年前頃のインカ帝国時代の凍結した子供のミイラが発見されました。この子供は、インカ帝国で行われていた「カパコチャ」と呼ばれる生贄の儀式で犠牲となった7歳の男児である、と明らかになりました。この研究は、その7歳男児のミイラからミトコンドリアDNAを抽出・解析し、比較して... ...続きを見る

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2015/11/15 00:00
更新世末のアラスカの幼児のミトコンドリアDNA
 これは11月12日分の記事として掲載しておきます。更新世末のアラスカの幼児のミトコンドリアDNAを解析した研究(Tackney et al., 2015)が報道されました。この研究は、中央アラスカのアップウォードサン川遺跡(the Upward Sun River Site)で発見された幼児2個体(USR1およびUSR2)のミトコンドリアDNAの解析に成功しました。アップウォードサン川遺跡では火葬された推定年齢3歳の子供が発見されており(関連記事)、その後の追加発掘で共に埋葬された幼児2個体が... ...続きを見る

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2015/11/12 00:00
ボノボの起源
 これは11月6日分の記事として掲載しておきます。ボノボ(Pan paniscus)の起源に関する研究(Takemoto et al., 2015)が報道されました。解説記事も公開されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。現在、チンパンジー(Pan troglodytes)はコンゴ川の北側に、ボノボはコンゴ川の南側に生息しています。ボノボとチンパンジーの分岐年代は、遺伝学的研究では210万〜80万年前頃と推定されています。じゅうらい、コンゴ川の形成年代もその頃と推定されており、... ...続きを見る

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2015/11/06 00:00
レヴァントにおけるネアンデルタール人の狩猟戦略
 レヴァントにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の狩猟戦略についての研究(Hartman et al., 2015)が報道されました。本論文は、イスラエル北部に位置するアムッド洞窟(Amud Cave)のネアンデルタール人と関連した層を検証しています。アムッド洞窟は、ネアンデルタール人の生息範囲としてはほぼ南限となります。アムッド洞窟のネアンデルタール人と関連した層は、前期のB4層と後期のB2・B1層です。両層は考古学的痕跡の確認されていないB3層により隔てら... ...続きを見る

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2015/10/31 00:46
Daniel E. Lieberman『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下
 ダニエル=リーバーマン(Daniel E. Lieberman)著、塩原通緒訳で、早川書房より2015年9月に刊行されました。原書の刊行は2013年です。人類は現在の主要な環境にじゅうぶん適応していたわけではなく(ミスマッチ)、それが腰痛や糖尿病など以前にはあまり(もしくはほとんど)見られなかった現代人のさまざまな健康問題を惹起している、というのが本書の基本的な視点です。交通機関の発達・椅子に長時間座ること・糖分などの過剰摂取(栄養過多)といった、多くの現代人にとっての環境は、人類史のうえでご... ...続きを見る

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2015/10/28 00:26
ブタの家畜化の過程
 ブタの家畜化の過程に関する遺伝学的研究(Frantz et al., 2015)が公表されました。現在家畜となっている動物のうち、ブタはかなり早い時期に家畜化された動物で、まず西アジアで家畜化され(明確な家畜化は11000〜10000年前頃)、東アジアでの家畜化(明確な家畜化は9000〜8000年前頃)も早かったようです(関連記事)。ブタに限らず、こうした家畜化の過程は、比較的少ない数の個体を野生集団から持続的に隔離することで進行した、と考えられてきました。 ...続きを見る

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2015/10/24 00:44
東アジア最古の現生人類化石をめぐる認識
 東アジアというか、アラビア半島以東では最古となる明確な現生人類(Homo sapiens)化石が報告されたことは、先日このブログで取り上げました(関連記事)。この研究について、あるブログ記事がツイッターで取り上げられるなど話題になっているようですが、率直に言って、かなり疑問の残る認識となっています。まず、「しかしなんでこれほど驚くほどの発見が我が国のニュースに全く流れていないのだろう、、、不思議だ」とのことですが、日本語でも一応報道されています(翻訳記事ですが)。もっとも、これは大したことでは... ...続きを見る

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2015/10/21 00:22
東アジア最古の現生人類化石?(追記有)
 東アジア最古の現生人類(Homo sapiens)の証拠を報告した研究(Liu et al., 2015)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文が検証したのは、中華人民共和国湖南省永州市(Yongzhou)道県(Daoxian)の福岩洞窟(Fuyan Cave)で発見された47個の人間の歯です。この人間の歯には、5種の絶滅大型哺乳類を含む38種の動物化石が共伴しており、そのほとんどは歯でした。石器は共伴してい... ...続きを見る

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2015/10/16 00:28
篠田謙一『DNAで語る日本人起源論』
 岩波現代全書の一冊として、岩波書店より2015年9月に刊行されました。本書は遺伝学の研究成果に基づく日本人形成論です。本書の特徴は、一般読者を想定した丁寧な解説です。遺伝学に基づく人類進化の研究に関する基本的な事柄が丁寧に解説されていますし、現時点での研究成果の限界も言及されているので、良心的だと思います。この点は、8年前の著者の一般向け著書(関連記事)と同様です。本書は、その後大きく進展した人類進化に関する遺伝学的な諸研究成果を取り入れ、体系的に読める遺伝学的な日本人形成論としては最新のもの... ...続きを見る

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2015/10/13 00:00
古代エチオピア人のゲノム解析
 古代エチオピア人のゲノム解析についての研究(Llorente et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、エチオピア高地のモタ(Mota)と呼ばれる洞窟で発見された4500年前頃の男性のゲノムの解析に成功しました。この男性はうつ伏せで埋葬されていたそうです。アフリカにおける古代ゲノムの解析としては最初の成功例となり、高地のため涼しく乾燥した気候だったことが幸いしたようです。 ...続きを見る

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2015/10/10 00:55
チンパンジーと人間の直立歩行の類似性
 チンパンジーと人間の直立歩行の類似性についての研究(Thompson et al., 2015)が公表されました。人間が大股で歩く際には、臀部と上半身が相反する方向に動いて歩幅を広げて、腕の振りを利用して骨盤の回転を相殺しています。一方、人間より腹部(腰部)がかなり短いチンパンジーは、二足歩行時に胴体(骨盤・腰部・胸部を含めた領域)を動かさないという仮説が提唱されていました。この研究は、二足歩行をするように訓練されたチンパンジーの臀部・腰部・胸部のそれぞれの動きを追跡した結果、人間とチンパンジ... ...続きを見る

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2015/10/09 00:24
ナレディの足と手の特徴(追記有)
 ホモ属の新種として大きく取り上げられた(関連記事)ナレディ(Homo naledi)の足についての研究(Harcourt-Smith et al., 2015)が報道されました。この研究では1個のほぼ完全な成人の足を含む107個の足の骨が分析され、アウストラロピテクス属のセディバ(Australopithecus sediba) などを含む化石人類や現生類人猿のチンパンジー(Pan troglodytes)や現代人などと比較されました。内転した親指や細長い足根骨や派生的な足関節および踵骨立方骨... ...続きを見る

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2015/10/08 00:06
『ナショナルジオグラフィック』2015年10月号「眠りから覚めた謎の人類」
 南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群についての特集です。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と命名され、大きく報道されました(関連記事)。本特集では、ナレディについてそれらの報道よりも詳しく取り上げられています。とくに、ナレディ発見の経緯はかなり詳しく解説されています。『ナショナルジオグラフィック』らしい美麗な写真も魅力で、洞窟や復元像には迫力があります。 ... ...続きを見る

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2015/10/04 00:27
アフリカヌスとロブストスの聴覚能力
 アフリカ南部の初期人類である、アウストラロピテクス属のアフリカヌス(Australopithecus africanus)とパラントロプス属のロブストス(Paranthropus robustus)の聴覚能力に関する研究(Quam et al., 2015)が報道されました。この研究チームはこれまでに人類の聴覚能力の進化を検証してきており、アフリカヌスとロブストスの耳の構造には現生人類(Homo sapiens)と類似しているところがあるものの、現生大型類人猿の方に似ているところが多い、という... ...続きを見る

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2015/10/02 00:00
中期石器時代のアフリカ東部における環境と生物の拡散
 これは9月30日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代のアフリカ東部における環境と生物の拡散に関する研究(Faith et al., 2015)を読みました。本論文は、ケニアのヴィクトリア湖沿岸のカルング(Karungu)地域と、その北方数十kmにある、ヴィクトリア湖のルシンガ島(Rusinga Island)およびムファンガノ(Mfangano)島の後期更新世の環境・考古学的記録を検証しています。本論文が検証の対象としているのは、考古学的な時代区分でいうと中期石器時代となります。カルン... ...続きを見る

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2015/09/30 00:00
大塚柳太郎『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』
 これは9月28日分の記事として掲載しておきます。新潮選書の一冊として、新潮社から2015年7月に刊行されました。本書は、この20万年間の人口史を検証しています。人口とはいっても、対象となる人類は基本的に現生人類(Homo sapiens)のみです。本書はこの20万年間を4段階に区分しています。第1段階は、人類がまだ起源地のアフリカに留まっていた期間です。第2段階は、人類がアフリカから世界へと拡散していった期間です。125000年前頃のレヴァントへの進出にも言及されていますが、本格的な世界への拡... ...続きを見る

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2015/09/28 00:00
最古の人為的な重金属汚染の証拠(追記有)
 人為的な重金属汚染の証拠に関する研究(Monge et al., 2015)が報道されました。本論文は、イベリア半島の4ヶ所の洞窟遺跡において、人為的な重金属汚染の証拠を検証しています。検証対象となった4遺跡は、北部のグランドリナ(Gran Dolina)・南部のエルピルレホ(El Pirulejo)・ジブラルタルのヴァンガード洞窟(Vanguard Cave)およびゴーラム洞窟(Gorham's Cave)です。ゴーラム洞窟はネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)終... ...続きを見る

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2015/09/23 00:00
チンパンジーによる顔の効率的な探索
 これは9月20日分の記事として掲載しておきます。チンパンジー(Pan troglodytes)による顔の効率的な探索に関する研究(Tomonaga, and Imura., 2015)が公表されました。顔は社会生活を送る霊長類にとって、きわめて重要な視覚刺激の一つです。近年の比較認知研究の進展により、チンパンジーと人間は全体もしくは目・鼻・口などのパーツの空間的配置で顔の情報を捉える、という特別なやり方で処理していることが明らかになっています。チンパンジーも人間も、顔を倒立画像で提示すると知覚... ...続きを見る

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2015/09/20 00:00
50万年以上前の待ち伏せ狩猟
 更新世下部〜中部にかけての景観の復元と、それと関連しての人類の狩猟についての研究(Kübler et al., 2015)が報道されました。本論文が取り上げているのは、ケニアの地溝帯にあるオローゲサイリエ(Olorgesailie)遺跡です。ここでは120万〜50万年前頃にかけての豊富な石器・大型動物の骨が発見されています。石器はおもにアシューリアン(Acheulean)であり、ホモ属の頭蓋も1個発見されています。大型動物の骨が解体されていたことから、当時の人類は熟練の狩猟者だったと... ...続きを見る

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2015/09/17 00:00
43万年前頃の人骨の核DNA分析
 43万年前頃の人骨の核DNA分析を報告した研究(Meyer et al., 2015)が報道されました。これは、解析された人間の核DNAとしては最古となります。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は今月(2015年9月)10日〜12日にかけてロンドンで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第5回総会で報告されており、まだ論文としては刊行されていません。この研究の要約は、PDFファイルで読めます(P162)。 ...続きを見る

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2015/09/15 00:04
ホモ属の新種ナレディ(追記有)
 新種のホモ属化石に関する研究が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されており、『ネイチャー』や『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この新種化石群については、すでに昨年の段階で報道されていました(関連記事)。この研究は、南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群を、形態学の観点(Berger et al., 2015)と化石成因論の観点(Dirks et a... ...続きを見る

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2015/09/12 00:00
イベリア半島の初期農耕民のゲノム解析
 イベリア半島の初期農耕民のゲノム解析に関する研究(Günther et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、イベリア半島北部のエルポータロン洞窟(the El Portalón cave)で発見された、5500〜3500年前(考古学的な時代区分では、金石併用時代〜青銅器時代)の初期農耕民である8人(遺伝的に男性4人・女性4人と推定されています)のゲノムを解析し、ヨーロッパの他地域の同時代や前後の時代の農耕民および狩猟... ...続きを見る

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2015/09/10 00:00
現生人類の出アフリカの検証
 現生人類(Homo sapiens)の出アフリカを検証した研究(Groucutt et al., 2015)を読みました。現生人類の起源に関しては、今ではアフリカ単一起源説が通説になったと言ってよいでしょう。現生人類の出現年代については、本論文でも指摘されているように20万〜15万年前頃と考えるのが有力な見解となっています。もっとも、進化は連続的なのでどの時点から現生人類と認めるのかという問題もありますが、この年代はもう少しさかのぼる可能性が高いのではないか、と個人的には考えています。 ...続きを見る

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2015/09/06 00:00
中期更新世のホモ属の形態的特徴
 中期更新世のホモ属の形態的特徴に関する研究(Arsuaga et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。中期更新世のホモ属化石は断片的なものが多く、地理的・年代的に分散しています。そのため、中期更新世におけるホモ属各集団の形態の推定は難しくなっています。少なく断片的な化石を根拠とすることで、偏りが生じている可能性が高い、というわけです。中期更新世のホモ属の形態の推定は、かなりのところ「トゥルカナボーイ」とも呼ばれる前期更新世の「KNM WT-150... ...続きを見る

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2015/09/03 00:00
古人類学の記事のまとめ(26)2015年5月〜2015年8月
 2015年5月〜2015年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2015年5月〜2015年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2015/09/01 00:00
中央ヨーロッパにおける新石器時代の暴力
 中央ヨーロッパにおける新石器時代の暴に関する研究(Meyer et al., 2015)が報道されました。AFPでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、線形陶器文化(Linearbandkeramik Culture)に属するドイツの「Schöneck-Kilianstädten」遺跡(7000年前頃)の集団墓地で発見された少なくとも26個体分の人骨を調査し、前期新石器時代(紀元前5600〜紀元前4900年)の中央ヨーロッパにおける暴力... ...続きを見る

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2015/08/29 00:00
フローレス島における更新世〜完新世にかけての石器技術の連続性
 『人間進化誌』第57巻5号で更新世のフローレス人についての特集が組まれたことを、以前このブログで取り上げました(関連記事)。その時、「この特集号の諸論文については、何回かにわたってこのブログで取り上げる予定です」と述べたのですが、まだわずかしか取り上げていないので、今さらではあるものの、インドネシア領フローレス島の更新世の石器技術についての研究(Moore et al., 2009)を取り上げることにします。 ...続きを見る

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2015/08/22 00:00
184万年以上前の現生人類のような手
 184万年以上前の人類の手の基節骨についての研究(Domínguez-Rodrigo et al., 2015)が報道されました。「OH 86」と命名されたこの基節骨(左手の小指と推定されています)は、タンザニアのオルドヴァイ渓谷(Olduvai Gorge)にあるフィリップ・トビアス・コロンゴ(Philip Tobias Korongo)遺跡(以下、PTK遺跡と省略)で2014年に発見されました(PTK遺跡の発見は2012年)。OH86の年代は184万年以上前で、多くの様式1(Mo... ...続きを見る

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2015/08/20 00:00
アナトリア最古の石器?
 取り上げるのが遅くなってしまいましたが、アナトリアにおける人類の痕跡の年代に関する研究(Maddy et al., 2015)が報道されました。アナトリアは前期更新世においてもアジアからヨーロッパへの人類拡散の経路として注目されていますが、下部旧石器時代のアナトリアに関しては、確実な年代の遺跡が稀であり、詳しいことが分かっていません。本論文は、旧石器の発見されたアナトリア西部のゲディズ川(Gediz River)の古流路の堆積物から、アルゴン-アルゴン法と古地磁気法により得られた年代測定結果を... ...続きを見る

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2015/08/17 00:00
初期ホモ属の体格の多様性
 取り上げるのが遅れましたが、初期ホモ属の体格の多様性に関する研究(Will, and Stock., 2015)が報道されました。本論文は、初期ホモ属(240万〜150万年前頃)の体格を再検証しています。じゅうらいの研究では、人類の身長や体重の推定にさいして、股関節や脚といった特定の部位の骨が必要だったため、保存状態のよい人骨しか推定に使えず、少ない標本数から体格を推定していたのにたいして、この研究では、断片的な人類化石をも対象とすることで標本数を大きく増やし、時間的・地理的に広範な初期ホモ属... ...続きを見る

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2015/08/15 00:00
門脇誠二「交替劇と学習仮説に関わるアフリカと西アジアの考古学研究:総括と展望」
 本論文は、文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)2010-2014「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化にもとづく実証的研究」(領域番号1201「交替劇」)研究項目A01「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究」の2014年度研究報告書(研究項目A01研究報告書No.5)に所収されています。公式サイトにて本論文をPDFファイルで読めます(P12-22)。この他にも興味深そうな報告があるので、今後読んでいくつもりです。 ...続きを見る

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2015/08/12 00:00
西秋良宏「旧人・新人交替劇と両者の学習行動の違いに関わる考古学的研究― 2014年度の取り組み ―」
 本論文は、文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)2010-2014「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化にもとづく実証的研究」(領域番号1201「交替劇」)研究項目A01「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究」の2014年度研究報告書(研究項目A01研究報告書No.5)に所収されています。公式サイトにて本論文をPDFファイルで読めます(P80-89)。この他にも興味深そうな報告があるので、今後読んでいくつもりです。 ...続きを見る

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2015/08/09 00:00
人類の身体サイズの進化
 人類の身体サイズの進化についての研究(Grabowski et al., 2015)が報道されました。この研究は、現代人と化石人類との包括的な比較から、人類の身体サイズの進化を検証しています。この研究に関わった研究者たちは、包括的な調査であることなどから、この研究が今後当分は人類の身体サイズの進化について基準になるのではないか、と自負しているようです。近年の研究成果を総合した包括的な研究ということで、たいへん意義が大きいと言えそうです。 ...続きを見る

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2015/08/06 00:00
乳児期に決まる低身長
 「ピグミー」とも呼ばれるアフリカ西部のバカ(Baka)語系集団の低身長が幼児期に決まることを解明した研究(Rozzi et al., 2015)が報道されました。AFPAFPやナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究は、バカ語系集団とフランス人集団とを比較し、前者の生後2年間の成長速度が後者のそれよりも著しく低下することを明らかにしました。しかし、思春期以降の成長速度に関しては、両者に大きな違いがないことも明らかにされています。この研究は、生後2年間の成長速度の鈍化がバカ語系集... ...続きを見る

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2015/08/02 01:06
ヨルダンの早期上部旧石器時代の年代
 ヨルダンにある「Mughr el-Hamamah」遺跡(以下、MHM遺跡と省略)の早期上部旧石器時代のより精確な年代を報告し、レヴァントにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期について考察した研究(Stutz et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。「Mughr el-Hamamah」とは、「鳩の洞窟群」という意味だそうです。MHM遺跡は5ヶ所の洞窟から成り、海抜約80mに位置しています。5ヶ所の洞窟のうち洞窟2が最も大きく、カルスト空洞... ...続きを見る

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2015/07/29 00:00
両親の血縁度と子供の身長・知性との関係
 両親の血縁度と子供の身長・知性との関係についての研究(Joshi et al., 2015)が公表されました。この研究は、35万人以上を対象にゲノムのホモ接合連続領域(全長にわたってホモ接合であると考えられる領域)を調べることで、ホモ接合性が人々の健康にとって重要な形質に与える影響を検証しました。健康に関わる16の量的形質に着目した解析から、ホモ接合連続領域の総和と4つの複合形質との間に統計的に有意な関連があることが明らかになりました。4つの複合形質とは、身長・1秒量(努力肺活量測定の最初の1... ...続きを見る

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2015/07/27 00:00
23000年前頃の穀物の耕作
 23000年前頃に人間が穀物を耕作していた可能性を指摘した研究(Snir et al., 2015)が報道されました。本論文が検証したのは、イスラエルのガリラヤ湖の南西岸に位置するオハロ2(Ohalo II)遺跡です。その年代は23000年前以前で、1989年に旱魃で水位が低下した時に発見されました。オハロ2遺跡ではこれまでに、6軒の藁小屋と複数の囲炉裏の痕跡と成人男性の墓1基、さらには15万点の植物資料や石器や動物の遺骸(魚類・哺乳類・爬虫類・鳥類・軟体動物など)が確認されています。低酸素状... ...続きを見る

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2015/07/24 00:00
アメリカ大陸先住民とオーストラレシア人との遺伝的関係
 アメリカ大陸先住民とオーストラレシア人との遺伝的関係に関する研究が相次いで公表されました。いずれもオンライン版での先行公開となります。『サイエンス』の研究(Raghavan et al., 2015)と報道によると、アメリカ大陸先住民・シベリア人・オセアニア人の現代人31人と、6000〜200年前のアメリカ大陸先住民23人のゲノムが比較され、アメリカ大陸先住民の祖先集団は23000年前以降にアメリカ大陸に到達し、13000年前頃(14500〜11500年前頃)に大きく2系統に分岐したという結果... ...続きを見る

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2015/07/23 00:00
ネアンデルタール人の幼児の中耳アブミ骨
 取り上げるのが遅れましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の幼児の中耳アブミ骨に関する研究(Gómez-Olivencia et al., 2015)が報道されました。本論文は、フランスのドルドーニュ県(Dordogne)のラフェラシー(La Ferrassie)遺跡で発見された、推定年齢2歳のネアンデルタール人の幼児の骨「ラフェラシー8(La Ferrassie 8)」を取り上げています。ラフェラシーはネアンデルタール人の骨が発見されていることで有... ...続きを見る

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2015/07/22 00:00
チンパンジーより祖先的かもしれない人間の手
 人間の手がチンパンジーより祖先的である可能性を報告した研究(Almécija et al., 2015)が報道されました。読売新聞でも報道されています。現生類人猿と比較すると、現代人では親指と他の指との長さの比率(親指の長さ÷他の指の長さ)が大きい(親指が比較的長い)ことが知られています。この研究は、現生類人猿も含む霊長類や化石類人猿・人類を現代人と比較し、そうした親指と他の指(この研究では薬指)との長さの比率が霊長類においてどのように進化したのか、検証しています。 ...続きを見る

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2015/07/16 00:00
イタリア南部のネアンデルタール人化石
 取り上げるのが遅れましたが、イタリア南部で発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石に関する研究(Lari et al., 2015)が報道されました。このネアンデルタール人化石は、1993年にイタリア南部のアルタムーラ(Altamura)市近くのラマルンガ(Lamalunga)カルスト洞窟で発見されました。しかし、方解石で覆われているため、現時点で回収されているのは断片的な右肩甲骨の一部にとどまっています。しかし、この研究では、この断片的な化石から注目すべ... ...続きを見る

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2015/07/15 00:00
セイロン島における人類の移住史
 セイロン島における人類の移住史についての研究(Ranaweera et al., 2014)が公表されました。セイロン島は現在では全土がスリランカ民主社会主義共和国の領土となっています。セイロン島の主要な民族は、ヴェッダ人・高地および低地シンハラ人・タミル人(スリランカタミル人およびインドタミル人)です。これら各民族のセイロン島への定住の経緯や相互の近縁関係については、これまでよく分かっていませんでした。この研究は、スリランカの各民族集団を代表する271人について、ミトコンドリアDNAの超可変... ...続きを見る

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2015/07/10 00:00
NHKスペシャル『生命大躍進』第3集「ついに“知性”が生まれた」
 現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との関係も含めて、人類の進化について取り上げられるということなので、視聴しました。第1集と第2集も視聴しましたが、NHKスペシャルでたまに見られる、芸能人を起用しての小芝居は、やはり不要だと思います・・・といつもなら言うところなのですが、『生命大躍進』の場合は演者が演者なだけに、つい楽しみに見てしまいました。演者によって、小芝居は不要だと言ったり、よかったと言ったりするようなことは、まあ批判さ... ...続きを見る

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2015/07/06 00:00
スヴァンテ=ペーボ『ネアンデルタール人は私たちと交配した』
 スヴァンテ=ペーボ(Svante Pääbo)著、野中香方子訳、更科功解説で、文藝春秋社より2015年6月に刊行されました。原書の刊行は2014年です。本書は、古生物のDNA(古代DNA)研究の第一人者とも言うべきペーボ博士の自伝であり、古代DNA研究史にもなっています。中心的な話題はネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のDNA解析と、現生人類(Homo sapiens)がネアンデルタール人のDNAを継承しているのか、ということであり、その間の苦... ...続きを見る

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2015/07/05 00:00
中期石器時代の牛乳を混ぜた顔料
 中期石器時代の牛乳を混ぜた顔料についての研究(Villa et al., 2015)が報道されました。本論文は、南アフリカ共和国におるシブドゥ(Sibudu)遺跡の49000年前頃の層から発見された、石の剥片に付着していた混合物について報告しています。シブドゥ遺跡には2.7mの中期石器時代の層があり、77000〜38000年前と推定されています。分析の結果、この混合物にはオーカー(鉄分を多く含んだ粘土)とカゼインが確認され、牛乳が用いられていた、と考えられています。 ...続きを見る

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2015/07/04 00:00
精神疾患と創造性との遺伝的関係
 精神疾患と創造性との遺伝的関係についての研究(Power et al., 2015)が公表されました。この研究は、大規模な遺伝学的データの分析から、精神疾患と創造性とが遺伝的な根を共有していることを示唆しています。そもそも、「精神疾患」の定義が社会的規範に大きく影響を受けるだろう、という複雑で微妙な問題もありますし、この研究の見解が確証されたとまでは言えないでしょうが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との比較という観点か... ...続きを見る

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2015/07/02 00:00
周辺視野を広げた人類
 人間と類人猿の眼窩(眼球孔)構造を比較した研究(Denion et al., 2015)が公表されました。この研究では、人間の頭蓋骨100点と類人猿の頭蓋骨120点の眼窩が比較されました。その結果、人間とテナガザルの眼窩が、チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・オランウータンの眼窩と比較して、convergence(眼窩の入口面がどれくらい前方を向いているかという概念)が有意に低いことと、人間の眼窩は横長で、横幅と高さの比率がどの類人猿より大きいことが明らかになりました。こうした特徴により、人間は他の... ...続きを見る

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2015/06/29 00:00
ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と初期現生人類との交雑(追記有)
 ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と初期現生人類(Homo sapiens)との交雑の可能性を報告した研究(Fu et al., 2015)が報道されました。AFPでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。まだ詳細に把握しているわけではないのですが、とりあえず備忘録として掲載しておきます。 ...続きを見る

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2015/06/24 00:00
中東の現代人集団の遺伝的多様性
 中東の現代人集団の遺伝的多様性についての研究(Yang et al., 2014)が公表されました。この研究は、中東の代表的な2集団であるアラビア人集団・イラン人集団について、ゲノムワイドな一塩基多型(SNP)データを作成し、地球規模で比較しました。その結果、アラビア人集団・イラン人集団ともに、他の非アフリカ集団よりも全体的に高い遺伝的多様性を示すことが明らかになりました。これは、人間の移住による遺伝的混合の結果と考えられます。一方で、アラビア人集団・イラン人集団ともに、長いホモ接合性SNPの... ...続きを見る

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2015/06/21 00:00
ケネウィック人のDNA解析(追記有)
 ケネウィック人のDNA解析を報告した研究(Rasmussen et al., 2015)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。今年(2015年)1月に、ケネウィック人の予備的なDNA解析の結果が報道され、私も簡単に言及したことがありましたが、論文として公表されたこの詳細な解析結果でも、ケネウィック人は遺伝的にアメリカ大陸先住民に近い、との結論は変わらなかったようです。 ...続きを見る

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2015/06/20 00:00
Juan Luis Arsuaga Ferreras『ネアンデルタール人の首飾り』
 フアン=ルイス=アルスアガ(Juan Luis Arsuaga Ferreras)著、藤野邦夫訳、岩城正夫監修で、新評論より2008年11月に刊行されました。原書の刊行は1999年です。本書のことは以前から知っていたのですが、原書の刊行が1999年と古いので、長い間読むのをためらっていました。訳者あとがきによると、本書の底本は2002年刊行の英語版で、2002年刊行のフランス語版も参考にしているそうです。翻訳自体は2002年に完了していたそうですが、著者のエージェントとなかなか連絡がつかず、出... ...続きを見る

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2015/06/18 00:00
ジャワ島の末期エレクトスの年代
 取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、ジャワ島の後期〜末期エレクトス(Homo erectus)の年代に関する研究(Indriati et al., 2011)が報道されました。かつて、本論文の著者の何人かも共著者となった論文(Swisher et al.,1996)において、ンガンドン(Ngandong)とサンブンマチャン(Sambungmacan)というエレクトス化石の発見された遺跡と、動物化石の発見されたそれらと同年代と考えられるジガー(Jigar)遺跡の、電子スピン共鳴法(E... ...続きを見る

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2015/06/15 00:00
青銅器時代のヨーロッパにおける人間の移動
 新石器時代〜青銅器時代のヨーロッパにおける人間の移動に関する、『ネイチャー』に掲載された二つの研究が報道されました。『ネイチャー』には解説記事(Callaway., 2015)も掲載されています。5000〜3000年前頃のユーラシアの青銅器時代には、精巧な武器や馬に牽引させる戦車が拡散し、埋葬習慣の変化が広範に確認されるなど、大きな文化的変容が生じた、とされています。この大きな文化的変容が、おもに文化のみの拡散によるのか、それとも人間集団の移動に伴うものだったのか、ということをめぐって議論が続... ...続きを見る

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2015/06/12 00:00
ジャワ島の新たなエレクトス化石とエレクトスの区分
 取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、ジャワ島中央部のソロ盆地(Solo Basin)のサンギラン(Sangiran)遺跡で発見された新たな人骨(上顎)と、既知のエレクトス(Homo erectus)およびハビリス(Homo habilis)人骨とを比較した研究(Zaim et al., 2011)が公表されました。この新たなエレクトス化石は2001年4月22日に発見され、「Bpg 2001.04」と命名されました。「Bpg 2001.04」の発見されたバパン(Bapang)層の2m... ...続きを見る

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2015/06/09 00:00
西秋良宏「ヒトと文化の交替劇、その多様性―あとがきにかえて―」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文はおもにユーラシアを対象に、「交替劇」の様相を概観しています。この「交替劇」の様相については、大幅に改良された放射性炭素年代測定法によって、以前よりも信頼度の高い推定年代が得られるようになったので、近年になって大きな進展があった、と本論文は指摘しています。本論文の挙げる「交替劇」についてのもう一つの大きな進展は、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人(種もしくは亜種... ...続きを見る

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2015/06/06 00:00
片山一道『骨が語る日本人の歴史』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2015年5月に刊行されました。本書は「日本人」の形成過程を人骨から検証しています。日本列島における旧石器時代(更新世)の人骨はきわめて少なく、保存状況が良好な港川人にしても、「縄文人」と類似しているという以前の通説とは異なり、「縄文人」とは似ておらず、その祖先集団ではなかっただろう、との見解が近年では有力となっています。本書は更新世の日本列島の人類の起源に関しては慎重な姿勢を示しており、この時代の日本列島は「吹きだまり」だったのではないか、との見解を提示し... ...続きを見る

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2015/06/05 00:00
クサールアキル遺跡の新たな推定年代と現生人類の拡散経路
 レバノンのクサールアキル(Ksâr ‘Akil)遺跡(ベイルートの北方約10kmに位置します)の新たな推定年代についての研究(Bosch et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、クサールアキル遺跡の新たな推定年代を提示し、同じくレヴァントに位置する他の遺跡と比較するとともに、比較対象をヨーロッパにまで拡大することにより、現生人類(Homo sapiens)や上部旧石器文化の拡散経路を推定しています。なお、この記事での年代は、... ...続きを見る

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2015/06/04 00:00
青銅器時代のヨーロッパの女性の生涯
 青銅器時代のヨーロッパの女性人骨についての研究(Frei et al., 2015)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究は、1921年にデンマークのエグトベド(Egtved)村で発見された、3400年前頃の推定16〜18歳の女性遺骸を分析しています。歯のエナメル質のストロンチウム同位体比の分析からは、この女性がデンマーク生まれではないことが示されました。衣服に用いられた羊毛の同位体分析からは、羊毛の産地がデンマークではないことが明らかになりました。この女性... ...続きを見る

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2015/06/03 00:00
小林豊「中期旧石器時代から後期旧石器時代への文化の移行パターンを左右する人口学的要因について」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は、数理モデルの研究成果に基づき、「旧人」と「新人」の交替および文化の移行パターンを検証しています。本論文が検証しているのはあくまでも数理モデルであり、具体的な地域・文化の継承パターンを取り上げているわけではありません。正直なところ、私の見識ではじゅうぶんに理解できていなさそうですが、理解した範囲で以下に簡潔にまとめてみます。 ...続きを見る

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2015/06/02 00:00
現生人類の出アフリカの経路(追記有)
 現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの経路に関する研究(Pagani et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類の出アフリカに関しては、1回のみだったのか複数回だったのか、起点はアフリカ東部だとして、経路はアラビア半島南岸沿いの南回りだったのか、ナイル川沿いに北上してレヴァントへと進出する北回りだったのか、という点が議論の対象となっています(現生人類複数回出アフリカ説では、北回りも南回りも両立し得るわけですが)。 ...続きを見る

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2015/05/31 00:00
43万年前頃の殺人
 損傷のある43万年前頃の人骨の分析から、殺人行為の可能性を指摘した研究(Sala et al., 2015)が報道されました。本論文は、スペイン北部の通称「骨の穴(Sima de los Huesos)洞窟」遺跡で発見された人骨である「頭蓋17」の2ヶ所の損傷を分析しています。「骨の穴洞窟」では43万年前頃の少なくとも28個体分となる7000個近い人骨が発見されており、これまでに多くの研究成果が得られてきました。「骨の穴洞窟」の人類集団の進化史における位置づけについては、形態的類似性からネアン... ...続きを見る

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2015/05/30 00:00
アウストラロピテクス属の新種(追記有)
 エチオピアのアファール地方のウォランソミレ(Woranso–Mille)研究地域で発見された上顎と下顎に関する研究(Haile-Selassie et al., 2015)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。上顎は2011年3月4日に、下顎はその2km東方で同日〜翌日にかけて発見されました。上顎はすぐ近くで発見された1個の歯を除いて一つながりの状態で発見されましたが、下顎は2個に割れており、相互に2m離れた場所で発見されました。放射性・古地磁気年代測定... ...続きを見る

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2015/05/29 00:00
前田修「西アジアにおける新石器化をどう捉えるか」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は西アジアにおける新石器化を検証しています。本論文でまず指摘されているのは、新石器時代の指標とされる農耕牧畜(食糧生産)の開始を認定することの難しさです。たとえば、ムギの生産にしても、栽培種が優越するのは新石器時代の開始からかなり経過した後のことであり、その前に野生種を用いての長期の栽培期間(プレドメスティケーション)がありました。これは家畜についても同様で、どの時点から食糧生産が始まったと認定するのか... ...続きを見る

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2015/05/27 00:00
松本直子「新人・旧人の認知能力をさぐる考古学」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との認知能力の違いを、認知考古学的見地から検証しています。現生人類とネアンデルタール人との認知能力については、生得的な違いがあったのか否か、ということが議論されています。現在でも結論が出ているとは言い難い状況なのですが、両者は分岐してから解剖学的にも遺伝学的にも異なる特徴を発達させてきたので、生得的な... ...続きを見る

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2015/05/24 00:00
330万年前頃の石器(追記有)
 330万年前頃の石器に関する研究(Harmand et al., 2015)が報道されました(記事1および記事2)。BBCや読売新聞などでも取り上げられており、石器の起源が大きくさかのぼりそうだということで、話題になっているようです。この研究は、先月(2015年4月)アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催された古人類学協会の年次総会で報告されており、このブログでも取り上げました(関連記事)。論文として掲載されたということで、改めてこの研究を取り上げることにします。 ...続きを見る

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2015/05/22 00:00
青銅器時代のヨーロッパにおける男性の人口史
 ヨーロッパにおける男性の人口史についての研究(Batini et al., 2015)が報道されました。これまで、(わずかに組み換えはあるものの基本的には)父系遺伝となるY染色体のDNAや、母系遺伝となるミトコンドリアDNAや、(Y染色体を除く、父系・母系双方からの遺伝となる)核内DNAの分析から、現代ヨーロッパ人は旧石器時代の狩猟採集民集団または新石器時代の農耕民の子孫であり、1万年前頃に始まる人口変動を反映していた、と推測されてきました。 ...続きを見る

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2015/05/21 00:00
佐野勝宏「複合的狩猟技術の出現―新人のイノベーション―」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。投槍器や弓を用いての投射は複合投射技術と呼ばれます。本論文は、石器・骨角器・木器という3素材の組み合わせ狩猟具を複合的狩猟技術と呼び、その発達史を検証しています。現存する最古の槍は、ドイツのシェーニンゲン(Schöningen)遺跡で発見されたものです。その年代は40万年前頃とされていましたが、その後、30万年前頃との推定年代が提示されています。シェーニンゲン遺跡の槍を用いていた人類がどの系統なのか... ...続きを見る

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2015/05/19 00:00
松本直子「縄文から弥生への文化変化」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は縄文時代から弥生時代への移行の様相とその要因について検証しています。近年の一般向け書籍でも強調されているので、すでに広く知られつつあるかもしれませんが、弥生文化は縄文的要素と外来要素との融合により成立しました。本論文でもその点は強調されており、さらに、その前提として縄文時代において九州北部と朝鮮半島との間で継続的な交流があり、九州北部をはじめとして西日本側が朝鮮半島の文化要素を選択的に受容していたこと... ...続きを見る

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2015/05/17 00:00
ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と現生人類との交雑
 ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との交雑の可能性を指摘した研究が報道されました。この研究は、今月(2015年5月)5日〜9日にかけて開催された、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロングアイランドにあるコールド・スプリング・ハーバー研究所のゲノム生物学総会で5月8日に発表された、とのことです。ただ、この研究はまだ学術誌では刊行されていないので、研究者たちはコメントを差し控えている、とのことです。 ...続きを見る

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2015/05/15 00:00
小林謙一「縄紋土器にみる新人の文化進化」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は縄文時代中期の東日本の土器の変化を検証しています。すでに著者は、この時期の縄文土器の精緻な形式編年を提示していますが、形式編年では土器の出現順序は分かるものの、その具体的な年代や継続期間は確定できません。本論文は、放射性炭素年代測定法より各形式編年の暦年代を確定していき、土器の変化の速度を具体的に検証していこうとします。 ...続きを見る

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2015/05/14 00:00
Kate Wong「ネアンデルタール人の知性」
 『日経サイエンス』2015年6月号の解説記事です。この記事は、現生人類(Homo sapiens)との比較という観点を中心に、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の知性に関する形質人類学・遺伝学・考古学などの諸研究成果を取り上げています。ネアンデルタール人と現生人類との知性の比較は大きな関心を集めている問題ですが、各集団内の個体差を考慮する必要があるのも確かでしょう。 ...続きを見る

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2015/05/13 00:00
仲田大人「日本列島旧石器時代の文化進化」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は日本列島における旧石器時代の技術革新を検証しています。日本列島における確実な年代の人類の痕跡は38000年前頃までさかのぼる、との見解を本論文は前提としています。それ以前の人類の痕跡についても議論されていますし、それがなかったというわけではないのですが、確かな根拠のある痕跡としては、現時点では38000年前頃以降のものしか認められない、というわけです。 ...続きを見る

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2015/05/11 00:02
人間のY染色体の消滅?
 生物進化史の基準では遠くない将来に人間のY染色体は消滅するだろう、との見解は現代日本社会でそれなりに浸透しているようです。私は、ネット以外の場で知人に何度かその話を聞かされたことがありますし、ネットでもそうした見解を目にすることがあります。たとえば、 ...続きを見る

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2015/05/08 00:03
倉純「新大陸への新人の拡散―新人の拡散過程に関する比較考古学的アプローチ―」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文はアメリカ大陸への現生人類(Homo sapiens)の移住を考古学から検証しています。おもに遺伝学の分野の研究成果から、現生人類のアメリカ大陸への拡散に関しては、支持を集めつつある有力な仮説が提示されています。それはベーリンジア(ベーリング陸橋)潜伏(隔離)モデルとも言うべきものであり、ユーラシア北東部(シベリア)からベーリンジアに3万年前頃に進出した現生人類が、16000年前頃までそこに留まった後、... ...続きを見る

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2015/05/06 00:00
Christopher Boehm『モラルの起源―道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか』
 クリストファー=ボーム(Christopher Boehm)著、斉藤隆央訳、長谷川眞理子解説で、白揚社より2014年11月に刊行されました。原書の刊行は2012年です。本書は、人間の道徳・良心・(血縁者だけではなく、非血縁者をも対象とするような)利他的行動がどのように獲得されてきたのか、進化史的観点から検証しています。利他的行動は人間に限らず多くの動物種で見られますが、道徳・良心(たとえば、赤面するといった恥じ入る行動)は人間にとって現生の近縁種となるボノボやチンパンジーにも見られず、人間に特... ...続きを見る

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2015/05/05 00:00
長沼正樹「新人拡散期の石器伝統の変化―ユーラシア東部―」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文はユーラシア東部における現生人類(Homo sapiens)の拡散を検証しています。ユーラシア東部における現生人類の拡散は、ユーラシア西部と比較して考古学的には分かりにくいところがあります。遺跡の発掘数・密度とともに、研究史も違っていることが一因のようです。本論文を読んで改めて、ユーラシア西部との違いを痛感しましたが、これは私の勉強不足に起因するところもあるのでしょう。 ...続きを見る

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2015/05/03 00:00
アファレンシスの性的二型
 アウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)の性的二型に関する研究(Reno, and Lovejoy., 2015)が報道されました。性的二型は人間も含めて性別のある生物に見られるもので、その様相と程度は社会構造を推測する手がかりになり得ます。たとえば、身体と犬歯のサイズでの性差が著しく、男性の方が女性よりもずっと大きいような場合は、男性間の繁殖競争が厳しいことが多く、ハーレム社会を形成することがあります。人間の近縁種であるゴリラはその代表例... ...続きを見る

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2015/05/02 00:00
古人類学の記事のまとめ(25)2015年1月〜2015年4月
 2015年1月〜2015年4月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2015年1月〜2015年4月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

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2015/05/01 00:00
前期アハマリアンの多様性とプロトオーリナシアンの起源
 前期アハマリアン(Early Ahmarian)の多様性とプロトオーリナシアン(Proto-Aurignacian)の起源に関する研究(Kadowaki et al., 2015)が報道され、この研究の日本語解説が公表されました。本論文が近日掲載されるということは、先日このブログにて追記という形で紹介しましたが、公表されたので取り上げます。本論文の筆頭著者の門脇誠二様から論文掲載の件でご教示いただき、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。上記日本語解説に私がさらに適切なことを付け加えられるわ... ...続きを見る

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2015/04/30 00:00
Dario Maestripieri『ゲームをするサル 進化生物学からみた「えこひいき」の起源』
 ダリオ=マエストリピエリ(Dario Maestripieri)著、河合信和訳で、雄山閣より2015年3月に刊行されました。原書の刊行は2012年です。本書は、自然淘汰が現代人の行動に影響を及ぼしている、という見解を前提として、人間の社会行動が進化的に選択されてきたものであることを解説しています。社会行動はある程度遺伝子に支配され、自然淘汰によって進化したのであり、現代人の多くは技術的に発達した産業社会で暮らしているとしても、その社会行動の大半は、数百万年前に進化したのと同じ問題に適応し、それ... ...続きを見る

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2015/04/28 00:00
野口淳「南アジア・アラビアの後期旧石器化と新人拡散」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は、おもに南アジアとアラビア半島を対象に、現生人類(Homo sapiens)の出アフリカを検証しています。現生人類の出アフリカに関しては、その経路・回数・時期が議論となっています。経路に関しては、アフリカ北東部からレヴァントへと進出したのか(北回り説)、それともアフリカ東部からアラビア半島を経て南アジアへと進出したのか(南回り説)、ということが議論されています。回数に関しては、1回だったのか、それとも... ...続きを見る

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2015/04/27 00:00
プロトオーリナシアンの担い手は現生人類
 プロトオーリナシアン(Proto-Aurignacian)の担い手に関する研究(Benazzi et al., 2015)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。プロトオーリナシアンは、ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の「移行期インダストリー」とも、上部旧石器時代最初期のインダストリーともされています。その担い手は現生人類(Homo sapiens)と考えるのが有力説ですが、決定的な証拠は得られていま... ...続きを見る

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2015/04/25 00:00
佐野勝宏・大森貴之「ヨーロッパにおける旧人・新人の交替劇プロセス」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)への「交替劇」を検証しています。近年では、新たな放射性炭素年代測定法によりヨーロッパの旧石器時代の年代の見直しが続いており、ネアンデルタール人の絶滅年代が以前の想定よりもさかのぼる傾向にあります。本論文もそうした傾向を踏まえ、51000〜37000年前頃のヨーロッパの各遺跡の年代... ...続きを見る

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2015/04/24 00:00
握斧の製作に必要な認知能力
 石器製作技術の段階に応じて必要な認知能力がどのように違うのか、検証した研究(Stout et al., 2015)が報道されました。伝統的な石器製作技術の区分は5段階とされています(関連記事)。本論文が検証対象としたのは、様式1(Mode 1)・様式2(Mode 2)・様式3(Mode 3)の石器製作技術です。本論文は、考古学専攻の6人の学生(男性5人と女性1人)を対象とした22ヶ月間に及ぶ167時間の石器製作実験および脳活動の測定の結果から、各石器製作技術段階において必要な認知能力を検証して... ...続きを見る

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2015/04/23 00:00
門脇誠二「ホモ・サピエンスの地理分布拡大に伴う考古文化の出現パターン」(追記有)
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』所収の論文です(関連記事)。本論文は、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人(種もしくは亜種区分未定)との交雑も想定した、現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説を前提として、現生人類の地理的拡大の過程が考古記録にどのように反映されているのか、現生人類の拡大とネアンデルタール人など在地の先住人類の絶滅または現生人類への交雑を通じた吸収の要因について、当時の行動記録や環境から明らかにでき... ...続きを見る

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2015/04/21 00:00
中期石器時代における石材の長距離移動
 今年(2015年)の4月15日〜4月16日にかけて、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市で古人類学協会の年次総会が開催され、そこでの最古の石器に関する報告を先日このブログで取り上げましたが(関連記事)、この年次総会では中期石器時代における石材の長距離移動についても報告(Blegen., 2015)されています。この報告の要約はPDFファイルにて読めますが、これはまだ非公式版であり、公式版は来月(2015年5月)公開予定です。 ...続きを見る

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2015/04/20 00:00
石器時代の大規模な「武器工場」?
 アルメニアにおける石器時代の黒曜石の利用とその流通に関する研究が報道されました。元ネタとなる論文と報告については具体的に言及されておらず、検索しても見つけられませんでした。肝心なところに言及されておらず、すっきりとしないのですが、とりあえず備忘録的に掲載しておくことにします。この研究は、アルメニアのアルテニ山(標高2046m)で発見された石器群を取り上げています。アルテニ山の斜面には黒曜石が豊富にあるため、石器製作の拠点となったようです。 ...続きを見る

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2015/04/19 00:00
西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人3─ヒトと文化の交替劇』
 六一書房より2015年3月に刊行されました。2010〜2014年にかけて、文部科学省科学研究費補助金・新学術領域研究として「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究」が行なわれることは、このブログでも以前取り上げました(関連記事)。この研究計画には公式サイトが設置されており、さまざまな情報が公開されています。 ...続きを見る

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2015/04/18 00:00
最古の石器に関する報告
 今年(2015年)の4月15日〜4月16日にかけて、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市で古人類学協会の年次総会が開催され、そこでの最古の石器に関する報告(Harmand et al., 2015)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この報告の要約はPDFファイルにて読めますが、これはまだ非公式版であり、公式版は来月(2015年5月)公開予定です。昨年(2014年)の年次総会の報告はすでに公開されています。 ...続きを見る

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2015/04/17 00:00
人為的解体痕のあるネアンデルタール人化石
 人為的解体痕のあるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石についての研究(Garralda et al., 2014A)が報道されました。本論文は、フランスのシャラント(Charente)県にあるマリヤック(Marillac)遺跡のネアンデルタール人の骨を分析しています。マリヤック遺跡は1934年に発見され、本論文の著者の一人であるヴァンデルメールシュ(Bernard Vandermeersch)博士の率いるチームにより、1967〜1980年に発掘が行なわれました。... ...続きを見る

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2015/04/16 00:00
2015年度アメリカ自然人類学会総会
 今年(2015年)の3月25日〜3月28日にかけて、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス市で第84回アメリカ自然人類学会総会が開催されました。アメリカ自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での各報告の要約はPDFファイルで公表されているのですが、まだいくつかの報告を読んだだけです。とりあえず今回は、とくに興味深いと思った報告を取り上げることにします。 ...続きを見る

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2015/04/14 00:00
ラオスの初期現生人類
 ラオスで発見された初期現生人類(Homo sapiens)の人骨についての研究(Demeter et al., 2015)が報道されました。本論文は、ラオスのフアパン(Huà Pan)県にあるタムパリン(Tam Pa Ling)洞窟遺跡で発見された後期更新世の人骨を分析し、同時代の人骨と比較しています。タムパリン洞窟遺跡は、首都のヴィエンチャンから北北東へおよそ260km離れた、海抜1170mの山地(アンナン山脈の一部)に位置しています。 ...続きを見る

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2015/04/10 00:00
アメリカ大陸における更新世末期の狩猟と大型動物の絶滅
 カナダのウォリー海岸(Wally’s Beach)遺跡で発見された更新世末期の大型動物の狩猟の痕跡と、アメリカ大陸における大型動物の絶滅に関する研究(Waters et al., 2015)が報道されました。以下、この記事の年代は全て、放射性炭素年代測定法に基づく較正年代です。ウォリー海岸遺跡では、人間によって狩られた7頭のウマと1頭のラクダが発見されており、どの文化に属するか明確ではない29個の石器が共伴しています。ウマとラクダの年代は13300年前で、短期間で殺害されたと推測されています。... ...続きを見る

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2015/04/09 00:00
改めて否定されたネアンデルタール人の「笛」
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の「笛」とされていた動物の骨に関する研究(Diedrich., 2015)が報道されました。ネアンデルタール人がホラアナグマの骨で横笛(フルート)を制作していた、との見解は20世紀前半から提示されていました。これは、ネアンデルタール人にも「現代的行動」が可能だったのか、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との認知能力にはどのような違いがあったのか(もしくはなかったのか)、という人類の進化についての大きな議論とも... ...続きを見る

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2015/04/04 00:00
アウストラロピテクス属化石「リトルフット(StW 573)」の新たな年代
 南アフリカ共和国のスタークフォンテン(Sterkfontein)洞窟で発見されたアウストラロピテクス(Australopithecus)属化石の年代についての研究(Granger et al., 2015)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。このアウストラロピテクス属化石「StW 573」は、「リトルフット」と呼ばれています。「StW 573」は1994年に発見され、多くの骨格が残っているとして大いに注目されたのですが、... ...続きを見る

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2015/04/03 00:00
人間の病気と遺伝的多様性に関するゲノム研究
 人間の病気と遺伝的多様性に関する諸研究が公表されました。これらは、2000万個以上の遺伝子多様体を同定した、2636人のアイスランド人のゲノム解析結果に基づいています。このデータを10万4000人以上のアイスランド人の網羅性の低い別の遺伝子型データと組み合わせて関連解析を強化した研究(Gudbjartsson et al., 2015A)は、肝疾患の発症危険性と有意に関連するABCB4遺伝子の多様体を含む、さまざまな病気に関連する遺伝子多様体を数多く同定しました。 ...続きを見る

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2015/04/02 00:00
アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成
 アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成に関する研究(Montinaro et al., 2015)が公表されました。この研究は、アメリカ大陸・ヨーロッパ・アフリカのさまざまな集団の大規模な遺伝学データセットに高分解能の祖先識別法を適用し、アメリカ大陸の現代人集団の遺伝的構成を分析しました。その結果、諸記録から歴史学などで明らかにされていた人類集団の移動が遺伝学的に裏づけられたり、これまでよく知られていなかった人類集団の移住が明らかになったりしました。 ...続きを見る

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2015/03/27 00:00
下部旧石器時代の石器で確認された動物の解体処理
 下部旧石器時代の石器における動物の解体処理の痕跡の直接的証拠を示した研究(Solodenko et al., 2015)が報道されました。本論文は、イスラエルの南岸平野に位置する下部旧石器時代のレヴァディム(Revadim)遺跡を取り上げています。レヴァディム遺跡の年代は50万〜30万年前頃で後期アシューリアン(Acheulian)となり、多くの動物の骨や石器が発見されています。アシューリアンは伝統的な石器製作技術の区分(関連記事)だと様式2(Mode 2)となります。 ...続きを見る

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2015/03/22 00:00
イギリス人集団の人口史
 イギリス人集団の人口史に関する研究(Leslie et al., 2015)が公表されました。この研究は、イギリスの広範な地域の2000人の遺伝学的データの分析から、イギリスにおいて遺伝的クラスターと地理的分布とがきわめてよく一致することを明らかにしています。この研究によると、イギリス南東部では、アングロ・サクソン系移住者による遺伝的寄与は半分以下であり、中石器時代以降、ローマ帝国時代以前の時期にヨーロッパ大陸からの集団移動があったことを示唆している、とのことです。また、非サクソン地域には一般... ...続きを見る

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2015/03/20 00:00
50万年前までさかのぼるかもしれない人類による環境への大規模な影響
 人類が自然環境に多大な影響を及ぼし、景観を大きく変えたかもしれない事例が、中期更新世までさかのぼるかもしれないことを報告した研究(Foley, and Lahr., 2015)が報道されました。本論文が調査して分析したのは、中央サハラ砂漠の砂岩(石器製作に適していたのではないか、と指摘されています)の中央山塊一帯の地表に散乱している、膨大な数の石器と石器製作のさいに生じる石の剥片です。この一帯は、現代の国境線を基準にするとリビアの南部に位置します。 ...続きを見る

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2015/03/15 00:00
さかのぼる熱帯雨林環境における人間の生活
 人間の熱帯雨林環境での居住が、じゅうらいの推定よりもさかのぼることを示す直接的証拠を報告した研究(Roberts et al., 2015)が報道されました。熱帯雨林は人間にとって栄養的に貧しい環境であり、現生人類が熱帯雨林環境に進出したのは完新世になってからだ、との見解が有力でした。じっさい、更新世において人間が熱帯雨林環境に長期間居住していた、という直接的な考古学的証拠は得られていませんでした。 ...続きを見る

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2015/03/14 00:00
ネアンデルタール人の13万年前頃の装飾品
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の装飾品についての研究(Radovčić et al., 2015)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。本論文は、ネアンデルタール人の遺跡として有名なクラピナ(Krapina)で発見された、オジロワシ(Haliaëtus [Haliaeetus] albicilla)の鉤爪を分析し、報告しています。クロアチアにあるクラピナ遺跡では19世紀末〜20世紀初頭にかけて発掘... ...続きを見る

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2015/03/13 00:00
初期ホモ属の多様性
 初期ホモ属の多様性に関する研究(Ward et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。初期ホモ属の形態については頭蓋の多様性が指摘されており、複数の種(系統)が共存していた可能性が想定されています。本論文は、ケニアのクービフォラ(Koobi Fora)で発見された190万年前頃の腸骨と大腿骨の分析・比較から、初期ホモ属の多様性を検証しています。これらの人骨はまず1980年に発見され、2009年の再調査で残りが発見されました。 ...続きを見る

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2015/03/12 00:00
ホモ属の起源をめぐる新展開(追記有)
 ホモ属の起源とその初期の進化に関わってくる二つの研究が報道されました。日本でもNHKなどで取り上げられています。このうち最古のホモ属(的特徴を備えている)化石についての研究(Villmoare et al., 2015)は、オンライン版での先行公開となります。この化石は、エチオピアのアファール州のレディゲラル(Ledi-Geraru)調査区域で発見された、5個の歯の残っている左側の下顎です。2013年に発見されたこの化石の年代は、280万〜275万年前頃と推定されています。ホモ属の起源の解明に... ...続きを見る

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2015/03/06 00:00
現生人類の石器技術にネアンデルタール人が影響を与えた可能性
 レヴァントにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代への移行、およびそれとアラビア半島との関連についての研究(Rose, and Marks., 2015)が報道されました。この研究については、当ブログのコメントにて以前ご教示いただいていたのですが、私の力不足により、なかなか見つけられませんでした。報道されてやっと見つけられたのですが、まだ要約しか読んでいません。この記事では、本論文の要約と報道から、備忘録的に簡潔に感想を述べておきます。 ...続きを見る

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2015/03/03 00:00
アフリカ東部の後期更新世の遺跡の人骨および遺物の分析
 アフリカ東部の後期更新世の遺跡の形質人類学および考古学的分析に関する研究(Tryon et al., 2015)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究が分析の対象としたのは、ケニアのルケニヤヒル(Lukenya Hill)にある「GvJm-22」遺跡です。「GvJm-22」遺跡では1970年〜1973年にかけて発掘が行なわれ、後期更新世〜完新世の層において、5万点以上の石器、石器以外の人工物、3000点以上の動物の骨や歯、人類の部分的な頭蓋冠「KNM-LH 1... ...続きを見る

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2015/02/27 00:00
イベリア半島のネアンデルタール人の早期絶滅説
 イベリア半島のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅年代に関する研究(Galván et al., 2014)が公表されました。本論文は、先日このブログで取り上げたイベリア半島の南東部にあるエルソルト(El Salt)開地遺跡に関する論文(関連記事)と同じ雑誌(2014年10月刊行の『人間進化誌』75巻)に掲載されており、両論文で一対になっているといった感じです。本論文も、エルソルト遺跡におけるネアンデルタール人の最後の痕跡の年代を中心的に検証しつつ、... ...続きを見る

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2015/02/24 00:00
Marlene Zuk『私たちは今でも進化しているのか?』
 マーリーン=ズック(Marlene Zuk)著、渡会圭子訳、垂水雄二解説で、文藝春秋社より2015年1月に刊行されました。原書の刊行は2013年です。本書を貫く基調の一つは、人間も含めて生物は進化史のある時点で完璧に環境に適応したことはないのであり、進化の過程で獲得した特徴には完璧からは程遠く妥協的なところも多分にあった、というものです。ある環境(条件)に有利な特徴が、別の環境では不利に働くということは珍しくなく、トレードオフ(交換条件)は進化においてありふれている、とも指摘されています。 ... ...続きを見る

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2015/02/23 00:00
ネアンデルタール人社会の性別分業
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)社会の性別分業に関する研究(Estalrrich, and Rosas., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、先史時代の現生人類(Homo sapiens)および現代の狩猟採集民における歯の摩耗パターンの分析を、ネアンデルタール人の歯の分析に応用しています。そうした歯の摩耗パターンの分析により、現生人類の狩猟採集民社会における性的分業が推定されています。 ...続きを見る

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2015/02/20 00:00
西秋良宏「旧人・新人の学習行動をめぐる諸問題─あとがきにかえて─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」において、なぜ学習に注目するのか、改めて説明しています。それは、両集団間に存在していた文化・技術の違いが関係していたのではないか、と考えられるからです。 ...続きを見る

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2015/02/18 00:00
ネアンデルタール人と現生人類との複雑な交雑史
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との交雑に関する二つの研究が公表されました。いずれもオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人と現生人類とが交雑した、との見解は通説になった、と今では言えるでしょう。非アフリカ系現代人は、どの集団もおおむね同じような割合でネアンデルタール人のDNAを継承しているので、ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、アフリカを離れた現生人類集団が、各地域集団に分化する前に起き、その場所は西ア... ...続きを見る

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2015/02/16 00:00
西秋良宏「ネアンデルタール人の成長と学習─子供期仮説をめぐって─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、子供期の長さの違いがネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との学習の違いの決定的要因になり、両者の文化革新の速度の違いが生じたのではないか、とする「子供期仮説」を検証していきます。本論文というか本書は、子供期仮説に云う、定まったやり方を他人からそのまま学ぶこと(一方的学習)を社会学習、自分で試行錯誤したり疑問を持ったりしながら学ぶこと(... ...続きを見る

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2015/02/13 00:00
Steven Pinker『暴力の人類史』上・下
 スティーブン=ピンカー(Steven Pinker)著、幾島幸子・塩原通緒訳で、青土社より2015年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、広範な分野の研究成果と膨大なデータを参照し、人類史において暴力が減少する傾向にあることを指摘して、その傾向をもたらした要因について検証しています。大部の本書で提示された論点は多岐に亘り、その洞察は深いと言えるでしょう。著者の学識と努力には敬意を払わねばならず、人類の暴力について考察するにさいして、本書は長きにわたって必読文献となり、後には... ...続きを見る

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2015/02/10 00:00
山内太郎「ヒトとネアンデルタールの生活史と学習」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、現代人の生活史に関する諸研究を参照しつつ、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の生活史を復元していこうとします。まずは現代人の生活史についてですが、以下の5期に区分されます。 ...続きを見る

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2015/02/09 00:00
日暮泰男「ネアンデルタール人の運動能力は推定できるか?」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、化石記録や現代人の身体・運動能力に関するデータから、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の運動能力、とくに投擲能力を推定するための方法論・データを提示しています。投槍や弓矢など飛び道具の有無がネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)の運命を分けた、とする見解も提示されているので、ネアンデルタール人の投擲能力を推定することは重要と言えるでしょう。 ...続きを見る

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2015/02/08 00:00
松本直子「認知考古学から見た新人・旧人の学習」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、認知考古学的観点から、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の学習の違いに関して、先天的要因(基本的には遺伝子に規定される生得的な認知能力)と後天的要因(環境・社会など)とを検証していきます。 ...続きを見る

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2015/02/06 00:00
後期更新世のアジア北東部の新たな人類種?
 後期更新世の初期となる海洋酸素同位体ステージ(MIS)5〜4(12万〜6万年前頃)の人類の歯に関する研究(Xing et al., 2015)が報道されました。この4個体分の9個の歯は、中華人民共和国河北(Hebei)省張家口(Zhangjiakou)市陽原(Yangyuan)県の許家窯(Xujiayao)遺跡で1976年に発見されました。許家窯遺跡の年代は、共伴した動物の歯のウラン系列年代法と、堆積層の光刺激ルミネッセンス法(OSL)から推定されています。 ...続きを見る

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2015/02/05 00:00
中園聡「「交替劇」後のホモ・サピエンスと土器」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、人類史上大きな意義があると評価する土器製作から窺える現生人類(Homo sapiens)の認知能力・運動習慣の特徴を検証し、人類の文化変容の要因や、その速度が変わってきているように見えることや、「現代人的行動」の出現といった、人類進化史上の重要な問題への手がかりを提示しています。 ...続きを見る

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2015/02/04 00:00
エルカスティーヨ洞窟の壁画の年代
 エルカスティーヨ(El Castillo)洞窟の壁画の年代に関する研究(García-Diez et al., 2015)が公表されました。エルカスティーヨ洞窟はスペイン北部のカンタブリア(Cantabria)州にある遺跡で、その壁画の年代が4万年以上前までさかのぼるのではないか、との研究が3年前に公表されて注目を集めました(関連記事)。その論文の著者の何人かは、筆頭著者だったパイク(Alistair Pike)博士も含めて、本論文の著者でもあります。なお本論文には、ヨーロッパの壁画... ...続きを見る

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2015/02/03 00:00
金子守恵「土器の製作と学習への民族考古学的アプローチ─エチオピアにおける土器のかたちと動作連鎖─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、エチオピア西南部の定住農耕集団であるアリ人の土器製作の学習行動を検証しています。この地域は10月〜翌年3月頃までが乾季で、それ以外が雨季となります。年間降雨量は1000mm弱で、熱帯高地に属します。アリ人は人口20万人ほどで、土器製作に従事しているのは女性の職能集団です。この地域の職能集団は3つに分かれており、それぞれ婚姻関係を結ぶことと食事を共にとることが禁じられています。婚姻形態は夫方居住制で、... ...続きを見る

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2015/02/02 00:00
石井龍太「民族考古学からみた狩猟具の製作と学習─カメルーン南東部の槍調査成果から─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、カメルーン南東部のロミエ村における2012年7月〜8月の調査事例を中心に、槍の使用・製作・学習行動を検証しています。調査対象となったのはバカ語系ピグミー集団で、人口は3万〜4万人、乾季を中心に季節に応じた狩猟採集活動を行なっている、とのことです。この集団は森林内のキャンプを移動しながら狩猟・採集・漁撈を中心とした生業活動を営んでいたものの、近年では定住化が進んでいる、とのことです。 ...続きを見る

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2015/02/01 00:01
現代人と他系統の人類とが共有する欠失変異
 現代人(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人(種区分未定)といった他系統の人類とが共有する欠失変異についての研究(Lin et al., 2015)が報道されました。本論文はオンライン版での先行公開となります。本論文は、ゲノムにおける欠失変異に注目し、おもに現代人とネアンデルタール人およびデニソワ人とを比較し、チンパンジーも対象としています。 ...続きを見る

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2015/01/31 00:00
レヴァントの55000年前頃の現生人類の人骨(追記有)
 イスラエルの西ガリラヤ(Western Galilee)地域のマノット洞窟(Manot Cave)で発見された人骨(部分的な頭蓋冠)についての研究(Hershkovitz et al., 2015)が報道されました。BBCでも報道されています。なお、このBBCの報道では、昨日このブログで取り上げた台湾沖で発見された更新世の人骨(関連記事)についても言及されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この部分的な頭蓋冠は「マノット1(Manot 1)」と名づけられています。マノット1... ...続きを見る

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2015/01/30 00:00
台湾沖で発見された新たな更新世の人類化石(追記有)
 台湾沖で発見された新たな更新世の人類化石(ほぼ完全な右側下顎骨で、臼歯の表面はすり減っています)についての研究(Chang et al., 2015)が報道されました。この人類化石は、台湾本島と澎湖諸島の間の水深60m〜120mの海域で、他の脊椎動物とともに漁網にかかって発見された、とのことです。したがって、地質学的な情報はまったく得られていません。この下顎骨は「澎湖1(Penghu 1)」と名づけられました。このように発見されたということは、これまでも、漁で発見されたものの、重要性が見落とさ... ...続きを見る

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2015/01/29 00:00
西秋良宏「弓矢学習の民族考古学─パプア・ニューギニア狩猟採集社会における技量差と子どもの石器─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、1970年代のパプアニューギニア西部のウォニエ村の狩猟採集民(正確には、狩猟採集および園耕民で、男性が狩猟を、女性が栽培・採集を行なっています)における弓矢の所持・製作・使用の事例から、弓矢学習の特徴を検証し、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の学習行動を推測するさいの手がかりを提示しています。 ...続きを見る

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2015/01/28 00:00
カリブ諸島におけるコウモリの絶滅年代
 カリブ諸島におけるコウモリの絶滅年代についての研究(Soto-Centeno, and Steadman., 2015)が公表されました。カリブ諸島における生物の絶滅に関しては、霊長類・齧歯類・ナマケモノなど一部の哺乳類は8000〜7000年前頃の人類の到来との関連が推測されている一方で、コウモリは更新世〜完新世の移行(11000〜9000年前頃)に伴う気候変動との関連が想定されていました。しかしこの研究は、カリブ諸島におけるコウモリの絶滅年代が4000年前頃まで下る可能性を指摘し、これまでの... ...続きを見る

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2015/01/27 00:00
高橋章司「翠鳥園遺跡と豊成叶林遺跡にみる新人の石器製作の学習行動」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、大阪府羽曳野市にある後期旧石器時代の石器製作址である翠鳥園遺跡の分析を中心に、鳥取県大山町にある同じく後期旧石器時代の豊成叶林遺跡(翠鳥園遺跡より古く、放射性炭素年代測定法では較正年代で3万年前頃)との比較から、現生人類(Homo sapiens)に共通しているかもしれない学習行動を検証していきます。 ...続きを見る

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2015/01/26 00:00
現代人と変わらないようなアフリカヌスの物をつかむ能力(追記有)
 アウストラロピテクス=アフリカヌス(Australopithecus africanus)の柱骨の構造についての研究(Skinner et al., 2015)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。現生人類(Homo sapiens)にもネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)にも、力強く精確に物を握る能力が備わっています。これにより、人間はさまざまな道具を器用に製作することが可能となっており、人類の進化史において重要な変化だった、と言... ...続きを見る

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2015/01/24 00:00
Thomas Suddendorf『現実を生きるサル 空想を語るヒト』
 トーマス=ズデンドルフ(Thomas Suddendorf)著、寺町朋子訳で、白揚社より2015年1月に刊行されました。本書は、人間と他の動物を隔てる「ギャップ」は何か、ということを検証します。本書は、人間と他の動物とのギャップは心(知的能力)にあるとし、さまざまな分野での先行研究を引用し、再検証しています。具体的には、言語や先見性や文化や道徳性などです。そうした比較では、人間と他の動物、とくに現生種では人間と最も近縁な大型類人猿(その中で最も人間と近縁なのがチンパンジーとボノボ)がよく取り上... ...続きを見る

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2015/01/23 00:00
オラフ=イェリス「ネアンデルタール人の利き腕と学習行動」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、オラフ=イェリス(Olaf Jöris)氏による講演録の一部加筆訂正を本書の編者の西秋良宏氏が翻訳したものです。原題は“Evidence for Neanderthal hand-preferences from the late Middle Paleolithic site of Buhlen,Germany─insights into Neanderthal learning beh... ...続きを見る

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2015/01/22 00:00
Glenn Hodges「アメリカ大陸最初の人類」『ナショナルジオグラフィック』2015年1月号
 この記事はアメリカ大陸最初の人類に関する近年の研究成果を取り上げています。アメリカ大陸への人類最初の移住については、20世紀後半〜近年までクローヴィス最古説が主流でした。しかし近年になって、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古説を否定する研究者が増えつつあり、クローヴィス最古説はもはや否定された過去の仮説と言ってよいでしょう。この記事も、クローヴィス最古説を否定する近年の諸研究成果を取り上げています。 ...続きを見る

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2015/01/21 00:00
佐野勝宏「ヨーロッパ旧人遺跡にみる学習の証拠─石器製作における技量差と子どもの石器─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、石器製作の痕跡からネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の学習行動を読み取っていくための方法論を提示しています。ヨーロッパの旧石器時代における石器製作伝統の継承およびそれを判別するための石器群の緻密な区分に関しては、まず間違いなく現生人類(Homo sapiens)が担い手である上部旧石器時代後期〜晩期の石器群についての詳細な研究がある一方で、ネアンデルタール人(もしくはそ... ...続きを見る

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2015/01/20 00:00
門脇誠二「ホモ・サピエンスの学習行動─アフリカと西アジアの考古記録に基づく考察─」
 西秋良宏編『ホモ・サピエンスと旧人2─考古学からみた学習』所収の論文です(関連記事)。本論文は、現生人類(Homo sapiens)と「旧人」との学習行動に違いがあったのかという問題について、アフリカを中心に西アジアとヨーロッパも対象として考古記録を検証しています。本書で検証の対象になっている「旧人」は、基本的にはネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)です。本論文には、著者の以前の著書(関連記事)でも掲載されていたアフリカとレヴァントの石器製作伝統編年表の改訂版が掲載... ...続きを見る

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2015/01/19 00:00
イベリア半島南東部の終末期ネアンデルタール人
 イベリア半島南東部の終末期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)についての研究(Garralda et al., 2014B)が公表されました。本論文は、ネアンデルタール人の絶滅年代の研究に関して重要な地域と考えられているイベリア半島の南東部にあるエルソルト(El Salt)開地遺跡を取り上げています。エルソルト遺跡に関しては、以前別の研究をこのブログで取り上げたことがあります(関連記事)。本論文は、エルソルト遺跡で発見された中部旧石器時代の人間の歯と、その考古学的文... ...続きを見る

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2015/01/18 00:00
ネアンデルタール人の骨角器
 今日はもう1本掲載します。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の骨角器に関する研究が報道されました。どうも、その研究とはこの論文のことのようなのですが、フランス語なので私には読めないため、報道のみを参考にします。2014年6月に、フランスのブルゴーニュ地域圏のアルシーシュルキュール(Arcy-sur-Cure)にあるビゾン洞窟(the Grotte du Bison)において、60000〜55000年前頃の骨角器が発見されました。これはトナカイの成体の左大腿骨から作... ...続きを見る

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2015/01/17 00:00
アフリカ人の遺伝的多様性
 アフリカ(この記事ではサハラ砂漠以南のアフリカを指します)人の遺伝的多様性とその医学への応用に関する研究(Gurdasani et al., 2015)が公表されました。医学との関連と今後の医療への応用は大いに注目されますが、私の知見は個人ブログで何か述べるにしても不足していますし、ざっと読んだだけなので、とりあえず私の関心のある分野に関係しそうなことを、簡潔に備忘録として残しておくことにします。 ...続きを見る

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2015/01/17 00:00
MIS5におけるアラビア半島北部の石器群の多様性
 中部旧石器時代の海洋酸素同位体ステージ(MIS)5の期間(125000〜70000年前頃)におけるアラビア半島北部の石器群の多様性についての研究(Scerri et al., 2014)が公表されました。本論文は、現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの経路として注目されている、MIS5における、アラビア半島の中部旧石器時代の石器群とアフリカの中期石器時代の石器群とを比較しています。 ...続きを見る

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2015/01/16 00:00
初期人類の石器製作と言語の発達
 初期人類の石器製作と言語の発達についての研究(Morgan et al., 2015)が報道されました。本論文は、実験考古学的方法を用いて、人類最初の石器文化であるオルドワン(オルドヴァイ文化)の石器製作と言語の発達との関係について検証しています。この研究には184人の大学生が参加し、5つの異なる伝達メカニズム(指導方法)により、6000点以上のオルドワン(Oldowan)石器を製作しました。そうして製作された石器は、質・量・効率(廃棄物の量)の点で評価が行なわれました。 ...続きを見る

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2015/01/15 00:00
採集民社会における暴力と戦争の起源
 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、遊動的な採集民バンド社会(mobile forager band societies 、以下省略してMFBS)における殺人事例と、戦争の起源に関する見解を再検証した研究(Fry, and Söderberg., 2013)が報道されました。本論文は21のMFBSの殺人事例を詳細に再検証して区分し、MFBSにおける「暴力性」も根拠としている、更新世の人間社会においてすでに戦争は行なわれていた、とする説に否定的な見解を提示しています。 ...続きを見る

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2015/01/14 00:00

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