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南米最古の人類の痕跡?

2008/10/12 00:01
 南米の遺跡の年代を再測定した研究(Steele J and Politis G., 2008)が公表されました。まだ要約も読んでいない状態なのですが、ブログの記事で概要を知ることができました。この研究では、アルゼンチンとチリの遺跡の、炭や動物の遺骸の年代が再測定されました。

 その結果、チリのアロヨ=セコ2遺跡以外の遺跡の年代は、以前のものと一致しました。チリのアロヨ=セコ2遺跡の年代は、以前の推定年代よりさかのぼり、14000年前頃までさかのぼりました。アロヨ=セコ2遺跡は3つの異なる層から形成され、その推定年代は、14170〜13840年前、13710〜13350年前、13210〜12950年前となります。

 この年代値が較正後のものなのか、ブログの記事ではよく分かりませんでしたが、この年代は、南米最古の人類の痕跡とされるモンテ=ヴェルデ遺跡のそれに近いもののようです。なお、アロヨ=セコ2遺跡出土の動物の骨には明らかに人間の手が加えられており、石器も共伴していますので、人類の痕跡であることは間違いなさそうです。モンテ=ヴェルデ遺跡以外にも、南米でクローヴィス最古説を否定する遺跡が確認されそうだという意味で、貴重な研究成果だと言えそうです。


参考文献:
Steele J and Politis G.(2008): AMS 14C dating of early human occupation of southern South America. Journal of Archaeological Science.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jas.2008.09.024
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フィリップ=カー『エサウ 封印された神の子』

2008/10/10 00:00
 東江一紀・後藤由季子訳で、徳間書店より1998年に刊行された小説です。カバーの紹介文は、次の通りです(青字の箇所)。
ヒマラヤの秘峰で発見された原人の頭蓋骨。旧約聖書の人物にちなんで「エサウ」と名づけられたその化石は、ヒトの起源を根底からくつがえすものだった。世界的登山家ジャック・ファーニスと古人類学者ステラ・スウィフトの一行は、エサウの正体を求め、人類の過去を探る旅に出かける。しかし、彼らがヒマラヤで見つけたものは、人類の未来を脅かす恐ろしい秘密だった。ヒマラヤの秘境で彼らは、人類の恐るべき運命を知った。神の視点で描かれた傑作冒険ミステリー。

 小説の感想とともに人類進化についての雑感も少し述べるので、読書だけではなく、古人類学のカテゴリーでも扱うことにします。私は小説をあまり読まず、小説については無知とも言えるので、本書についても最近まで知らず、ネットで検索中に偶然知って興味をもち、読んでみようと思った次第です。人類の起源を題材とした小説としては、『星を継ぐもの』がありますが、これは名作で、夢中になって読み進めた記憶があります。

 本書についても、ネットで得た情報ではかなり面白そうでしたし、カバーの紹介文を読んで、いっそうその感を強くしましたので、『星を継ぐもの』に匹敵するような名作なのでは、という期待のもとに読み始めました。しかし読み終わったときには、その期待は失望に変わっていて、無駄な時間を過ごしたなあ、というのが率直な感想です。ただ、500ページ近くあり、読み終えるのにそれなりの時間を要したので、せめてブログにて感想を述べて、ブログの1日分の記事を埋めるのに役立てることにしよう、と考えた次第です。


 さて本書の内容ですが、インド・パキスタン間の緊張という国際情勢を背景として、発見された頭蓋骨とその生物の探索に、米国の軍事機密をめぐる陰謀が交錯する冒険ミステリーです。冒険譚としてはまずまずの出来ですが、ミステリーの部分にといいますか、本書カバーの紹介文に問題があり、まず、エサウは「ヒトの起源を根底からくつがえす」ものではなかったので、この文句に惹かれた私はかなり失望してしまいました。

 エサウの頭蓋骨は化石化が進んでおらず、ヒマラヤ山脈で今でも目撃されている未確認生物イエティではないかと考えた主人公たちは、ヒマラヤ山脈に赴きイエティを発見するのですが(同行した分子人類学者はホモ=ヴェルテクスと名づけました)、DNA分析の結果、イエティは300〜200万年前頃に現代人の祖先と分岐した人類と判明します。

 これだけでは、人類の未来を脅かす秘密ではありませんが、DNA分析を担当した分子人類学者は、イエティは現生人類(ホモ=サピエンス)の祖先から新たに分岐した種であり、現生人類と同様に必然的な存在とみなせるから、もはや現生人類を地球上の究極の生物とみなすことはできず、核戦争による気温低下で現生人類は滅んでもイエティは生き残るだろうし、コンピュータ予測によれば、イエティは今後100万年以内に、地球上でもっとも有力な生物に進化するだろう、と力説するのです。

 しかし、これではまったく説得力がなく、「人類の未来を脅かす恐ろしい秘密」だの「人類の恐るべき運命」だのといった紹介文が滑稽に思えてきます。もっとも、原子力電池を動力源に用いた高精度の軍事衛星が事故でヒマラヤ山中に墜落し、中国に利用されないために、周囲が放射能で汚染されても軍事衛星を爆破しようとする米国のやり方や(そのために米国は、イエティ探索を隠れ蓑として爆破工作員を科学者と偽装させたうえで、探索団一行に加わることを命じるわけです)、核戦争にも発展しかねないインド・パキスタン間の緊張等は「人類の未来を脅かす」と言えますが、運命と言うのは適当ではないでしょう。


 この分子人類学者は、ミトコンドリアDNAの研究に基づいて、アボリジニーとオランウータンの分岐が、アフリカのヒトとサルの分岐と違った時期に起きていると主張し、それを根拠に、人間に似た生物が世界のいくつかの場所で別々に進化し、その後に混血したのだろう、という仮説を提示しているのですが、こんなことを主張している「学者」なら、現生人類の存在の必然性を自明のことのように述べたり、その現生人類の祖先から新たに分化した人類種が、地球上でもっとも有力な生物に進化するという根拠のない予測をしたりするだろうなあ、と呆れてしまいます。

 作中の「サル」が何を指しているのか、どうもはっきりとしませんでしたが、オランウータンが比較対象となっていることからすると、類人猿ではなく、オナガザル科と広鼻猿類の総称と考えるべきでしょうか。あるいは、人類との具体的な分岐年代が想定されていることから推測すると、この場合の「サル」とはチンパンジーのことかもしれません。

 いずれにしても、まず人類の祖先も含む類人猿の系統が、人類・チンパンジー・ゴリラの祖先とオランウータンの祖先とに分岐する前に、類人猿の系統は広鼻猿類やオナガザル科と分岐しており、その後、人類・チンパンジーの祖先とゴリラの祖先が分岐し、さらにその後で人類の祖先とチンパンジーの祖先が分岐したのですから、アボリジニーとオランウータンの分岐が、アフリカのヒトとサルの分岐と違った時期となるのは当然であって、作者の分子生物学についての認識にかなりの問題があるのは否定できません。こうした人類進化史を題材とし、分子生物学に重要な役割を担わせる作品としては、致命傷に近い設定の誤りだと思います。じゅうぶんな認識のうえに、虚構の設定をうまく持ち込んで物語を進めるのであれば、作品を面白くするのですが。


 人類の存在を必然とみなすのは、1990年代前半の時点でも進化学では時代遅れと言うべきで、作品の舞台は1990年代半ばですが、作者の進化観はかなり古いと言うべきでしょう。それに加えて、当時としては最新の分子生物学の知見を中途半端な理解のまま採用しているものですから、なんとも滑稽な設定になってしまっています。

 けっきょく、主人公たちはイエティを発見するものの、純真なイエティが人間に広く知られて生存が脅かされることを懸念し、イエティについて問われても、その存在を否定することにします。もっとも、とても学者とは思えない分子人類学者だけは、イエティの存在を公表しようとし、“nature”に研究成果を電子メールで送信しますが、写真・映像などの証拠は他の探索者たちが葬り去ったため、まともに取り上げられないだろうことを予測させる結末となっています。


 絶滅した・存在が怪しまれている生物を秘境で発見するけれども、その純真さに心を打たれ、彼らの生存のために公表を控えるという筋書きは、ジョン=ダートン『ネアンデルタール』などにも見られる(もっとも、この作品には凶暴なネアンデルタール人も登場しますが)陳腐なもので(『ネアンデルタール』と本書の執筆・刊行はほぼ同時期のようです)、この点でも失望させられました。

 また、「神の視点で描かれた」というカバー紹介文や「封印された神の子」という副題については、純真なイエティは神の子で、それを保護することにした主人公たちは神の如き視点に立っていた、ということを言いたいのでしょうが、うまく活かされたとは言えないように思われ、その点も残念でした。本書のような、人類の起源や人類進化史を扱った創作ものは何冊か読んでいますが、本書がその中ではもっともつまらない出来だったのは残念です。
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ネアンデルタール人が現在も生存していたら、どのような問題が生じるのか

2008/10/09 06:39
 世界各地で目撃された(ということになっている)「雪男」や「ビッグフット」などは、じつはネアンデルタール人や北京原人などの生き残りではないか、との噂があり、小説の題材になることもあります。

 現在、地球上に現生人類(ホモ=サピエンス)とは異なる人類集団が生存していると考えている人はほとんどいないでしょうし、私もその可能性はないと言ってよいと考えていますが、フロレシエンシスの発見されたインドネシア領フローレス島には、小柄で奇妙な人類が存在していたとの伝説があり、最後の目撃例は19世紀とのことですので、もしこの伝説が事実でフロレシエンシスのことを指しているとしたら、完新世、それも近代まで、現生人類とは異なる人類集団が地球上に生存していた可能性があるわけです。

 もっとも、その伝説が事実を伝えているか、さらにはフロレシエンシスのことを指しているかとなると、はなはだ疑問ですし、やはり完新世になってからは、地球上の人類は現生人類だけと考えるのが妥当なのでしょう。ただ、万一ネアンデルタール人やフロレシエンシスのような現生人類とは異なる人類集団が発見された場合はどうなるでしょうか?恐らく、現生人類にとってはきわめて厄介な事態になるでしょう。

 なぜならば、ネアンデルタール人やフロレシエンシスとどのような関係を構築するかという点をめぐって、激論になるのではないかと推測されるからです。彼らは、明らかにチンパンジーやゴリラよりも現生人類に近いのですが、あくまでも現生人類とは異なる人類集団です。彼らにどのていどの人権と義務を認めたり要求したりするのか、結論はなかなかでないでしょう。

 ネアンデルタール人もフロレシエンシスも、部分的にせよ、現生人類と同程度の技術水準を有していましたから、あるいは、潜在的な知的資質では現生人類と大差はないのかもしれません。誕生時より現生人類の社会で育てば、かなりの知識を習得し、現生人類の社会に適応できるかもしれません。その場合、ネアンデルタール人やフロレシエンシスを「国民」として受け入れるべきなのか、難問となるでしょう。

 おそらくこうした問題は、地球外知的生命体と遭遇した場合にどうするかという設問と同様に、杞憂に終わるでしょうが、近年のネアンデルタール人の「復権」や、フロレシエンシスの発見について考えていて、改めて気になったので、雑感を述べてみた次第です。
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石刃は効率的だったのか?

2008/10/05 13:32
 (大型)石刃は現生人類(ホモ=サピエンス)特有のものと長らく考えられてきており(細石刃の出現は大型石刃よりも後のことです)、その効率性の高さは、現生人類の優れた認識能力を示すものと解釈されてきました。現在では、石刃が確認されているシャテルペロニアン(シャテルペロン文化)がネアンデルタール人の所産とされているので、石刃技法を現生人類のみの所産とする見解は否定されました。

 また、石刃技法の出現を上部旧石器時代の開始と結びつける見解が以前は根強かったようですが、アフリカや西アジアにおいて、後期石器時代・上部旧石器時代よりも前の石刃が確認されています。それでも、(大型)石刃の画期性という見解は依然として有力であるように思われます。ところが、石刃はそれ以前よりも作られていた剥片石器にたいして、必ずしも技術的に優位とは言えない、との研究(Eren et al., 2008)が報道されました。

 この研究では、上部旧石器文化の象徴と考えられてきた細長い形状の石刃と、ネアンデルタール人などが利用していた、中部旧石器文化の円盤状の剥片石器とが実験的に作製され、素材消費の効率性や耐久度などが比較されました。その結果、耐久度でも、石器の素材となる石の体積比での切断面の長さでも、後者のほうが優れている、との結果が得られました。一方、飛び道具に利用する場合は、前者のほうが適していたのではないか、とも推定されています。

 総合的に見ると、2つの石器技術の効率性において、どちらかに一方的な優位性を見出すことはできませんでした。この研究では、石器研究は静的な側面(現在残っている石器の形状)ではなく、動的な側面(石の加工や使用)を考慮に入れて行なわれる必要があるのではないか、と提言されています。またこの研究では、大型石刃の出現と関連して現在指摘されているような効率性・利点は、細石刃の出現と関連づけられるのではないか、とも示唆されています。

 この論文の筆頭著者メティン=エレン氏は、技術的に言えば、一方の石器の他方に対する明白な利点はありません、と述べています。またエレン氏は、ネアンデルタール人について考えるとき、「馬鹿」だとか「より遅れている(進歩していない)」だとかといった用語で考えるのを我々は止める必要があり、我々の研究は、現生人類はネアンデルタール人よりも進歩していた、という長期にわたる仮定に異議を唱えるものだ、と述べています。さらにエレン氏は、我々の祖先が生き残った一方で、ネアンデルタール人が絶滅した別の理由を、考古学者たちが探し始めるべきだ、とも提言しています。

 では、ヨーロッパに進出した現生人類が、技術的に有利とは必ずしも言えない石刃を用いた理由はどう説明されるべきなのでしょうか。エレン氏は、氷河時代のヨーロッパに植民した初期現生人類にとって、新しく共有されて派手な技術は、より大きな社会的ネットワークをつなぐ、社会的接着剤の一つの形として役立ったかもしれない、と推測しています。つまり、どんな技術的利点もなかったとき、現生人類は石刃を文化的意味合いで使用したかもしれない、ということです。

 もっとも、石器技術の効率性において、ネアンデルタール人と初期現生人類とに明白な違いがなくても、芸術・副葬品など、両者の間に、総合的に見て文化的に大きな違いがあったことは否定できないでしょう。こうした違いの主因を、潜在的な知的能力の違いと見るのか、それとも文化的蓄積の違いと見るのか、見解の分かれるところでしょうが、私は後者のほうがより妥当なのではないか、と考えています。


参考文献:
Eren MI. et al.(2008): Are Upper Paleolithic blade cores more productive than Middle Paleolithic discoidal cores? A replication experiment. Journal of Human Evolution.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.07.009
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酪農の起源

2008/09/27 06:25
 酪農の起源を論じた研究(Evershed RP et al.,2008)が公表されました。家畜を殺すことにより、その肉・内臓・毛皮などを人間は得ることができますが、乳・牽引力などは、家畜を殺さなくても人間が利用できます。このような家畜の「二次的」利用が、家畜の利用から間もなくのことだったのか、それとも家畜の利用から数千年後のことだったのか、議論が続いています。

 牛・羊・山羊は紀元前8000年紀には飼育されていましたが、それらの乳の利用を明確に示す最古の証拠は、紀元前5000年紀後半まで下らなければなりませんでした。しかしこの研究では、近東からバルカン半島にかけての遺跡から出土した2200点を超える陶器の有機物残渣の分析により、乳の利用が紀元前7000年紀までさかのぼることが判明しました。乳の利用がとくに重要だったのは現在のトルコ北西部で、この地域の環境条件はとくに牛に適していた、と考えられます。


参考文献:
Evershed RP. et al.(2008): Earliest date for milk use in the Near East and southeastern Europe linked to cattle herding. Nature, 455, 528-531.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07180
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ネアンデルタール人による海産資源の利用

2008/09/26 07:01
 ネアンデルタール人による海産資源の利用を論じた研究(Stringer et al.,2008)が公表されました。この研究では、ジブラルタルにあるヴァンガードとゴルハムの両洞窟遺跡における発見から、ネアンデルタール人による海産資源の利用が論じられています。ヴァンガード洞窟での発掘からは、ネアンデルタール人が軟体動物・アザラシ・イルカ・魚を食していたと考えられ、ゴルハム洞窟の中部および上部旧石器文化層でも、海産獣類が確認されました。

 ネアンデルタール人による海産資源の利用の指摘は、今では珍しいものではありませんが、この研究で注目されるのは、ネアンデルタール人による海産資源の利用が、特定の時期に集中しているのではないか、と示唆されていることです。これは、同一というわけではないにしても、ネアンデルタール人にも現生人類と似たような「計画性」があったことを示しているのかもしれません。


参考文献:
Stringer CB. et al.(2008): Neanderthal exploitation of marine mammals in Gibraltar. PNAS, 105, 38, 14319-14324.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0805474105
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有能な狩猟者としてのネアンデルタール人

2008/09/21 07:04
 現生人類アフリカ単一起源説が優勢となって以降、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)との違いを強調する見解が目立つようになりましたが、近年になって、そうした傾向は行き過ぎており、ネアンデルタール人を過小評価していたのではないかとして、ネアンデルタール人見直し論とも言うべき動きが強まっているように思われます。そうした状況のなか、ネアンデルタール人見直し論の動きについてまとめた見解が報道されました。

 この報道で紹介された研究の一つ(Mussia, and Villa.,2008)によると、イタリア北部のアーゾロ遺跡の分析から、他の多数の西ヨーロッパの遺跡からも推測されている、大型獣を狩っていった有能な狩猟者としてのネアンデルタール人像が改めて確認された、とのことです。

 アーゾロ遺跡では、ケナガマンモス(Mammuthus primigenius)の死骸がムステリアン(ムスティエ文化)の石器と共伴していました。イタリアにおけるムステリアンの担い手は、ほぼ間違いなくネアンデルタール人だと考えられます。この研究では、後の時代の槍の先端や現代の実験結果との比較から、ムステリアンの尖頭器は槍先として利用されており、ケナガマンモスのような大型獣を狩っていったのではないか、と推測されています。

 ただこの報道では、ネアンデルタール人は有能な狩猟者だったものの、現生人類ほど知的に優れていたわけでも、効率的でもなかったのではないか、と示唆されています。確かに、このように考えると、ネアンデルタール人が絶滅して現生人類が現在も生き残っている理由を説明しやすいとは思いますし、ネアンデルタール人と現生人類の知的能力になんらかの違いがあった可能性は高いでしょう。

 しかし、シャテルペロニアン(シャテルペロン文化)の例などからすると、ネアンデルタール人集団の生活様式が現生人類集団のそれほど効率的ではなかったとしても、その要因は、潜在的な(生得的な)知的資質の違いというよりは、むしろ社会的(後天的)な蓄積の違いによるものではないか、というのが私の考えです。


参考文献:
Mussia M, and Villa P.(2008): Single carcass of Mammuthus primigenius with lithic artifacts in the Upper Pleistocene of northern Italy. Journal of Archaeological Science, 35, 9, 2606-2613.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jas.2008.04.014
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ネアンデルタール人の顔の復元

2008/09/20 00:00
 ネアンデルタール人の顔はこれまでいくども復元されていますが、ネアンデルタール人骨のDNA分析に基づいた、ネアンデルタール人女性の顔の復元図が報道されました。ネアンデルタール人のDNAの分析から、ネアンデルタール人の肌の色は薄く、赤毛か金髪だったのではないか、と推測されていますが(関連記事)、そうした研究成果も取り入れた、ひじょうに興味深い復元図になっています。

 この復元図がどこまで妥当なのか、今後さらなる検証が必要になるでしょうが、かなりのていど妥当なものだとすると、やはりホモ=サピエンスと近縁な集団だけあって、現代人とよく似ているなあ、と思います。現代の都会の女性によく見られるような髪型・服装・化粧をすれば、現代人の成人女性の中に入っても違和感がないだろうな、と思います。
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ネアンデルタール人の成長速度、および脳の大きさと生活史との関係

2008/09/12 07:00
 脳の大きさから、ネアンデルタール人と現代人との成長速度を比較し、脳の大きさと生活史との関係について論じた研究(Ponce de León et al.,2008)が報道されました。この研究では、ネアンデルタール人骨のうち、クリミアのメズマイスカヤ洞窟出土の新生児と、シリアのデデリエ洞窟出土の幼児と、1930年代に発見された成人女性がコンピュータ上で仮想復元され、現代人と比較されました。

 その結果、ネアンデルタール人の新生児の脳の大きさは現代人の新生児とほぼ同じであるものの、幼少期の脳の成長は現代人よりもネアンデルタール人のほうが速いと推測されました。また、ネアンデルタール人女性の産道は現代人女性よりやや広いものの、ネアンデルタール人の新生児の頭蓋骨は現代人の新生児よりも頑丈でやや長いために、出産時の困難さはネアンデルタール人も現代人もほぼ同じだった、と考えられます。

 これまで、現代人よりもネアンデルタール人のほうが成長が速かったとの見解がたびたび主張されてきており、その場合、現代人よりもネアンデルタール人のほうが寿命が短かった、と考えられてきました。この研究で示された結果も、そうした見解を裏づけるものと考えられるかもしれませんが、この研究では、平均するとネアンデルタール人の成人時の脳は現代人よりも大きく、両者の脳の成長の持続期間は同じだ、と指摘されています。

 またこの研究では、ネアンデルタール人の子供は大きな脳を急速に成長させるので、その母親にはより大きなエネルギー・栄養が必要とされることから、ネアンデルタール人女性はより成熟した状態での出産が要求され、初出産時の年齢は高かったのではないか、と推測されています。そのため、ネアンデルタール人の生活史は、最近のホモ=サピエンスと同じくらいの速度か、やや遅かった可能性もある、とされています。さらにこの研究では、脳と生活史の進化の関係の深さについても指摘され、今後の人類進化史の研究への展望が提示されています。

 現生人類アフリカ単一起源説が優勢となって以降、ネアンデルタール人と現生人類との違いを強調する見解が目立つようになりましたが、近年になって、ネアンデルタール人見直し論とも言うべき動きが強まっているように思われます。この研究も、そうしたネアンデルタール人見直しという大きな動きの一環として考えることができるのではないでしょうか。


参考文献:
Ponce de León. et al.(2008): Neanderthal brain size at birth provides insights into the evolution of human life history. PNAS, 105, 37, 13764-13768.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0803917105
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更新世のサフル大陸における「現代的行動」の問題

2008/09/10 00:00
 更新世におけるサフル大陸(寒冷な時期には海水面が低下し、オーストラリアとパプアニューギニアとタスマニアは陸続きとなり、サフル大陸と呼ばれています)への人類の移住と、「現代的行動」との関係について論じた研究(Habgood, and Franklin.,2008)が公表されました。「現代的行動」の考古学的指標としては、ビーズのような装飾品・埋葬・壁画のような美術・長距離交易などが挙げられます。

 これらは現生人類の拡大とともに「一括して(パッケージ)」導入されたものと主張され、ヨーロッパにおける中部旧石器〜上部旧石器への移行はその典型とされてきましたが(ヨーロッパでは、現生人類の出現と「現代的行動」の考古学的指標の出現はほぼ同時期)、南アジアとオーストラリアへも、現生人類は現代的行動の「一括」を携えて植民してきた、と主張されています。

 この研究では、このような主張が妥当かどうか、更新世後期のサフル大陸における考古学的証拠に基づいて検証されています。その結果、サフル大陸における諸々の「現代的行動」は、「一括して」出現したのではなく、異なる年代・場所に個別に現れたことが判明しました。

 この研究では、現代的行動の「一括」は現生人類のアフリカからサフル大陸への移住の途中で失われたのではなく、じょじょに出現したものである、と解釈されています。さらにこの研究では、「現代的行動」の「一括品」の出現において、しだいに増加する人口の役割が認められる一方で、「一括」の個々の構成要素が空間・時間的に広範囲に離れた遺跡で見られるので、人口増が唯一の説明というわけでもなさそうだ、とされています。


 以上、この研究についてざっと見てきましたが、「現代的行動」を可能とする潜在的資質を人類が獲得したのは、おそらく20万年以上前のことであり、(現生)人類が個々の「現代的行動」をとるか否かは、人口も含めてその時点の社会的状況に左右されたのでしょう。

 ヨーロッパではたまたまそれらが「一括して」出現したように見えるとも解釈できるのですが、ヨーロッパで近代的考古学が発展したために、ヨーロッパの考古学的遺物の在り様が「現代的行動」の指標と解釈されてきた側面も否定できず、「現代的行動」やその「一括」といった問題設定も、多分にヨーロッパ中心的と言うべきなのかもしれません。


参考文献:
Habgood PJ, and Franklin NR.(2008): The revolution that didn't arrive: A review of Pleistocene Sahul. Journal of Human Evolution, 55, 2, 187-222.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2007.11.006
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タイトル 日 時
アメリカ大陸最古の人骨?
 メキシコのユカタン半島のカリブ海沿いの水中洞窟で発見された女性人骨は、アメリカ大陸最古のものかもしれない、と報道されました。この女性人骨の他に、3体分の人骨や象・巨大ナマケモノなどの動物骨も発見されました。女性人骨の年代は13600年前と測定されましたが、暦年代なのかどうか報道だけでは不明です。もっとも、この年代が正確だとすれば(海水中の鉱物による不確定要素も考慮しなければならない、とのことです)、暦年代に補正されていてもいなくても、アメリカ大陸最古の人骨ということになります。 ...続きを見る

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2008/09/08 00:00
パラオ諸島の人骨とフロレシエンシス
 パラオ諸島で発見された2890〜940年前の小柄な人骨群には、フローレス島で発見された更新世の人骨群と似た特徴が認められる、との研究(Berger et al.,2008)を今年3月13日分の記事で取り上げましたが、これを否定する研究(Fitzpatrick et al.,2008)が報道されました。 ...続きを見る

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2008/09/01 06:25
鮮新世における地球寒冷化
 鮮新世における地球寒冷化の仕組みについて論じた研究(Lunt et al.,2008)が公表されました。鮮新世の300万年前頃に大規模な氷河作用が始まるまで、北半球の大部分では、3000万年以上にわたって氷に覆われていたところがほとんどなかった、と考えられています。当時のグリーンランド氷床の成長を説明するため、いくつかの仮説が提案されています。 ...続きを見る

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2008/08/29 06:46
タスマニアにおける大型獣絶滅の要因
 タスマニアにおける大型獣絶滅の要因についての研究(Turney et al., 2008)が報道されました。更新世末期におけるアメリカ大陸などでの大型獣絶滅の要因については、気候変動説と人類による過剰狩猟説が提示されており、論争が続いています。この研究では、タスマニアでの大型獣絶滅の要因は、気候変動ではなく人類による狩猟ではないか、と推測されています。 ...続きを見る

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2008/08/28 05:34
パラントロプス=ロブストスによる骨器の使用
 パラントロプス=ロブストスの、骨器使用と社会構造についての研究(Backwell et al., 2008B)が公表されました。南アフリカのガウテング州にある、200〜150万年前のドリモーレン遺跡では、骨器らしき遺物とともにロブストスの骨が発見されました。これが骨器であることを確認するため、自然(人類の手が加わっていない)状態の骨、および実験的に作製された骨器と比較されました。 ...続きを見る

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2008/08/27 05:13
オモの新たな人骨とオモ1号の分析
 エチオピア南西部のオモ川下流沿いのキビシュ層群では、現生人類の起源をめぐる議論で言及されることの多い人骨(オモ1号・オモ2号)が出土していますが、そのキビシュ層群での新たな人骨の発見と、オモ1号の再分析結果について論じた研究(Pearson et al., 2008A、Pearson et al., 2008B)が報道されました。新たに発見された人骨は2つの遺跡から出土したもので、一方はオモ1号やオモ2号の年代(195000年前頃)とほぼ同じとされており、もう一方は104000〜86000年前... ...続きを見る

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2008/08/26 00:01
テシク=タシュの子供の人骨の見直し
 ウズベキスタン東部のテシク=タシュ遺跡で1938年に発見された子供の人骨(7万年前頃)を再分析した研究(Glantz et al., 2008B)が公表されました。この子供の人骨については、初期現生人類との類似性が指摘されたこともあるものの、ネアンデルタール人と分類する見解がずっと主流でした。 ...続きを見る

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2008/08/25 04:29
インドにおける最初期の現生人類
 インドにおける最初期の現生人類について論じた研究(Khaitovich et al.,2008)が公表されました。現生人類の出アフリカについては、アフリカ東部からアラビア半島を経てインドへという経路が有力視されていて、その年代は5万年前よりもさかのぼり、70000〜66000年前頃ともされています。 ...続きを見る

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2008/08/22 04:29
人類の脳の進化と精神分裂症
 健常者と精神分裂症の患者との比較から、人間の脳の進化と新陳代謝との関係について論じた研究(Khaitovich et al.,2008)が公表されました。この研究によると、脳におけるエネルギー代謝に関連する遺伝子と代謝物質が、健常者と精神分裂症とでは異なっており、この異なった箇所が、他の異ならない箇所よりも、人間の認識能力に大きな影響を与えているだろう、とのことです。 ...続きを見る

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2008/08/21 04:21
ジャワ島の後期エレクトスの年代
 インドネシアのジャワ島中部の、ンガンドンとサンブンマチャン出土の後期ホモ=エレクトス頭蓋の年代を測定した研究(Yokoyama et al.,2008)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

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2008/08/20 04:32
ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの完全な配列
 クロアチアのヴィンディヤ洞窟出土の、38000年前頃のネアンデルタール人骨のミトコンドリアDNAの、完全な配列を特定した研究(Green et al., 2008)が報道されました。その結果、これまでの研究通り、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの塩基配列は、現代人のそれの変異幅から大きく外れていることが確認されました。この研究では、ネアンデルタール人と現代人とのミトコンドリアDNAの分岐は、66万±14万年前頃と推定されています。 ...続きを見る

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2008/08/12 04:48
柳江人頭蓋のスキャン画像と現生人類の起源(追記有)
 1958年に中国の広西チワン族自治区で発見された人骨(柳江人)はホモ=サピエンス(現生人類)に分類されており、東アジアでは最古のサピエンス人骨とされています。その柳江人の頭蓋の3DのCTスキャン画像を作成し、分析した研究(Wu et al., 2008)が報道されました。この報道で紹介されていた元論文に接続できなかったので、この報道に依拠して雑感を述べていくことにします。 ...続きを見る

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2008/07/21 06:18
クロマニヨン人骨のミトコンドリアDNA分析
 28000年前頃のクロマニヨン人の骨からミトコンドリアDNAを抽出してその配列を分析し、それが現代人によって汚染されておらず、現代ヨーロッパで一般的なものであることを示すとともに、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの配列とは大きく異なっていることを指摘した研究(Caramelli et al., 2008)が報道されました。 ...続きを見る

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2008/07/18 06:05
『ビジュアル版 人類進化大全』(悠書館、2008年)
 クリス=ストリンガー、ピーター=アンドリュース著、馬場悠男・道方しのぶ訳で、悠書館より刊行されました。人類進化の様相を、じっさいの発掘現場の様子・化石の生成過程なども紹介しながら、包括的に論じた一冊です。図版や人骨などの写真も豊富であり、古人類学に関心のある人にとっては必読の書と言えるでしょう。一般向け書籍としては高価(税別12000円)なのが難点ですが、それだけの価値のある良書だと思います。 ...続きを見る

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2008/07/17 06:12
オモ人骨の年代
 ホモ=サピエンス(現生人類)の起源を論じるさいに、ほとんど必ずと言ってよいくらい言及されるオモ人骨(オモ1号とオモ2号)の年代についての論文2本(Feibel., 2008, McDougall et al.,2008)が公表されました。両方ともオンライン版での先行公開で、まだ印刷されていません。まだ要約しか読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。オモ1号人骨は解剖学的にはほぼ完全な現代人とみなされていますが、オモ2号人骨はやや原始的とされています。 ...続きを見る

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2008/07/16 05:17
更新世の人類の聴覚能力と言語能力の起源
 今年パリで開催された聴覚会議における、更新世の人類の聴覚・言語能力についての報告(McDougall et al.,2008)が報道されました。この研究で分析対象とされた人骨は、大量の人骨が発見されたことで有名な、スペインのアタプエルカにあるシマ=デ=ロス=ウエソス洞窟で発見されたもので、その年代は少なくとも53万年前頃にまでさかのぼる、とされています。この人骨群の種区分は確定していませんが、ハイデルベルゲンシスまたは後期エレクトスとするのが妥当でしょうか。 ...続きを見る

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2008/07/15 05:18
ジャポニカ種の起源は東南アジア
 日本で栽培されているおもな稲の品種はジャポニカ種で、じゅうらい、考古学的証拠などから、ジャポニカ種の起源は長江中・下流域とされてきたのですが、遺伝子分析からは、その起源は東南アジアにあると推測される、との研究(Shomura et al.,2008)が報道されました。 ...続きを見る

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2008/07/08 05:24
モロッコで50万年以上前の人骨発見
 2008年5月19日に、モロッコのカサブランカの採石場で、フランス・モロッコの共同チームにより、人類の完全な下顎骨が発見された、と報道されました。これは、モロッコにおける科学的発掘で発見されたものとしては、確認できるかぎりでは最古の人骨となります。報道では、この人骨はホモ=エレクトスのものとされています。 ...続きを見る

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2008/07/03 05:28
古人類学の記事のまとめ(4)2008年4月〜2008年6月
 2008年4月2日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(3) http://sicambre.at.webry.info/200804/article_2.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webry.i... ...続きを見る

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2008/07/01 05:26
セルビアでネアンデルタール人の祖先発見?
 セルビア南部のシセヴォ峡谷の小洞窟で発見された25〜13万年前頃の人骨(3本の歯の残った下顎骨)は、ネアンデルタール人の祖先集団の一員のものだったかもしれない、との見解が報道されました。この報道では、この人骨はエレクトスのものかもしれないとされていますが、おそらくはハイデルベルゲンシス的な人類も含めてエレクトスと分類する見解が採用されているのでしょう。 ...続きを見る

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2008/06/30 05:40
ネアンデルタール人による高水準な技術の石器?
 英国ウェスト=サセックス州のビーディングス遺跡で発見された石器は、ネアンデルタール人の所産と考えられ、技術的にはかなり高水準だ、とBBCやLiveScienceで報道されました。この遺跡では1900年に発掘が行なわれ、2300の石器が発見されました。しかし、それらは長い間偽物だと考えられたため、数百個以外は井戸に捨てられてしまいました。ところが最近になって、この石器群の重要性が認識されるようになり、新たな発掘も行なわれた、とのことです。 ...続きを見る

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2008/06/26 06:22
更新世末期の急激な気候変動
 更新世末期の急激な気候変動についての研究(Steffensen et al.,2008)が報道されました。グリーンランドから採取した氷床コアの高解像度画像から、15000年前頃と11000年前頃の2回の温暖期に、グリーンランドでは急激な気候変動が起きていたことが判明しました。14700年前頃には3年間で約10度、約11700年前頃にはおよそ50年間のうちに約10度という温度の上昇が確認された、とのことです。両温暖期ともに、気温が急激に変動し、大気循環も年ごとに一変していました。また、温暖期のグ... ...続きを見る

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2008/06/23 00:00
シリアのフンマル遺跡での新たな発掘
 まだ日付は変わっていないのですが、6月19日分の記事を掲載しておきます。今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P26)。シリアのフンマル遺跡は1980年代に発掘され、フンマル文化(フンマリアン)という新たな文化が認識されました。その後、1999〜2005年にも発掘が行なわれ、この報告では、新たな発掘と分析に基づいた、フンマリアンの位置づけが提言されています。 ...続きを見る

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2008/06/19 00:00
フロレシエンシスの祖先集団も小柄だった?
 まだ日付は変わっていないのですが、6月18日分の記事を掲載しておきます。今年2月4〜6日にかけてキャンベラで開催されたオーストラリア国立大学考古学科学会議で、フロレシエンシスについてのデビー=アーギュー博士の報告(Argue et al.,2008)が報道されました。PDFファイルで要約を読めます。 ...続きを見る

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2008/06/18 00:00
レヴァントにおける早期ムステリアン
 まだ日付は変わっていないのですが、6月17日分の記事を掲載しておきます。今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P25)。イスラエルにあるハヨニム洞窟の中部旧石器時代の層の発掘と研究から、レヴァントにおける早期ムステリアンの特徴が考察されています。 ...続きを見る

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2008/06/17 00:00
『ホモ・フロレシエンシス』上・下(日本放送出版協会、2008年)
 本書は、マイク=モーウッド、ペニー=ヴァン=オオステルチィ著、馬場悠男監訳、仲村明子翻訳で、NHKブックスの一冊として刊行されました。インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟の発掘は、オーストラリアとインドネシアとの合同研究チームにより行なわれ、更新世の地層から人骨・石器・動物骨が発見され、発掘チームはその人骨群を人類の新種ホモ=フロレシエンシスとしました。モーウッド氏は、その合同研究チームの指導者的地位にいる研究者です。オオステルチィ氏は作家で、一般向け科学書を多数執筆しているとのことで... ...続きを見る

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2008/06/15 00:00
フンマル遺跡のムステリアン層
 まだ日付は変わっていないのですが、6月14日分の記事を掲載しておきます。今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P27)。フンマル遺跡のムステリアン層はかなり研究が進んでいますが、最深部の層がまだ確認されていないので、全貌の解明はまだです。 ...続きを見る

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2008/06/14 00:00
旧石器捏造事件と多地域進化説
 旧石器捏造事件の発覚(2000年)の数年前より、私は古人類学に関心をもつようになったのですが、2000年までに読んだ古人類学関係の本では、東北旧石器文化研究所(以下、研究所と略)による「華々しい成果」がほとんど取り上げられておらず、研究所の「業績」についてはほとんど知らないと言ってよい状況でした(引用箇所は青字)。その頃まで、私は古人類学関係ではおもに翻訳本を読んでいたのですが、同研究所の「業績」は海外ではほとんどまともに扱われていなかったわけです。 ...続きを見る

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2008/06/09 00:00
最古の極北地住民と現代の住民との不連続性
 最古の極北地住民と現代のイヌイット系との母系での不連続性を指摘した研究(Gilbert et al.,2008B)が、オンライン版で先行公開されました。まだ要約しか読んでいませんが、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

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2008/06/02 00:00
フロレシエンシスの近縁集団はオーストラリアに進出?
 フロレシエンシスの近縁集団がオーストラリア北端部にまで進出していたかもしれない、とのマイク=モーウッド博士の見解が報道されました。 http://www.ntnews.com.au/article/2008/05/27/4222_ntnews.html ...続きを見る

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2008/05/29 00:00
ウズベキスタンでネアンデルタール人骨発見
 ウズベキスタンで発見された、ネアンデルタール人のものと思われる人骨についての研究(Glantza et al.,2008)が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、ブログの記事でやや詳しく知ることができました。この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

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2008/05/28 00:00
核ゲノムの分析による人類拡散経路の復元
 核ゲノム全体の分析から、現生人類の拡散経路を復元した研究(Hellenthal et al.,2008)が報道されました。この研究では、核ゲノムの一塩基多型のデータが用いられ、新たな統計的方法で現生人類の拡散経路の復元が試みられています。ミトコンドリアやY染色体といった、追跡の容易なDNA情報からの現生人類の拡散経路の復元は多く試みられていますが、核ゲノム全体を対象としてのものとなると、まだ少ないのが現状でしょう。その意味で、この研究は注目されます。 ...続きを見る

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2008/05/27 00:00
下部旧石器時代のシリア
 今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P22)。シリアでは少なくとも過去150万年間人類が存在しており、下部旧石器時代にまでさかのぼりますが、この時代の遺跡はシリアで多数発見されています。 ...続きを見る

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2008/05/23 00:00
デデリエ洞窟における新たな発見
 今年5月8〜10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P24)。デデリエ洞窟はシリア北部に位置し、1993年と1997年に保存状態の良好なネアンデルタール人の幼児人骨が発見されたことで有名です。この人骨はタブンB型のレヴァントムステリアンと共伴していました。デデリエ洞窟の発掘は日本とシリアの合同調査隊が進めており、報告者のなかに日本人研究者の名前が見えます(赤澤威・西秋良宏の両氏)。 ...続きを見る

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2008/05/22 00:00
レヴァントにおける中部〜上部旧石器時代への移行
 今年5月8〜10日にかけて、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムが開催されました。中東の政治情勢のため、個人・チーム単位では中東全域を総括した研究を行ないにくいという事情があるので、有意義なシンポジウムだと思います。各報告の要約はPDFファイルで読めますので、面白そうなものを今後取り上げていくつもりですが、今回はレヴァントにおける中部〜上部旧石器時代への変化ついて指摘した報告(P40)を取り上げます。 ...続きを見る

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2008/05/21 00:00
霊長目の運動時の消費エネルギーから見た霊長目の生態と起源
 霊長目が垂直に登るときと水平に歩くときの消費エネルギーを比較し、霊長目の生態と起源について考察した研究(Hanna et al.,2008)が公表されました。樹木などを垂直に登る能力があり、樹上で生活する種もいるという点で、霊長目は哺乳動物の中で例外的です。 ...続きを見る

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2008/05/20 00:00
過去80万年間の気候の記録
 南極大陸の氷床コアに閉じ込められていた気泡の分析により、80〜65万年前の二酸化炭素濃度の詳細な記録を示した研究(Lüthi et al.,2008)と、過去80万年にわたる長期的なメタン濃度の変動を示した研究(Loulergue et al.,2008)が『ネイチャー』2008年5月15日号に掲載されました。直接人類進化を扱った研究ではありませんが、古気候の復元は古人類学にとって重要なので、注目されます。 ...続きを見る

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2008/05/19 00:00
レヴァントの早期現生人類は絶滅した?
 中部旧石器時代の11〜9万年前頃にレヴァントに進出していた早期現生人類(解剖学的現代人)は絶滅した、との見解(Oppenheimer.,2007)が現在有力なようですが、本当にそうなのか、疑問があります。 ...続きを見る

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2008/05/14 00:00
サハラの砂漠化は緩やかだった
 サハラの砂漠化は緩やかだった、との研究(Kröpelin et al.,2008)が報道されました。更新世末期以降の温暖化により、サハラは砂漠からから湿潤で植物の豊富な環境に変わりました。しかし、7000年前以降、サハラは再び乾燥化し、比較的短期間のうちに砂漠になったとされます。 ...続きを見る

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2008/05/12 00:00
モンテ=ヴェルデ遺跡で14000年前頃の人類の痕跡が確認される
 アメリカ大陸にいつ人類が進出したのかという問題をめぐっては、激論が展開されてきました。長らく、クローヴィス文化の担い手がアメリカ大陸最古の人類だったとの見解が通説(クローヴィス最古説)となっていましたが、クローヴィス以前とされる遺跡も主張されるようになり、そのなかでも、チリのモンテ=ヴェルデ遺跡はクローヴィス以前の最有力候補とされ、注目されてきました。しかし、クローヴィス最古説派からはモンテ=ヴェルデ遺跡の年代に疑問が呈されており、議論が続けられてきました。そうしたなか、モンテ=ヴェルデ遺跡で... ...続きを見る

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2008/05/10 00:00
新たな方法による人類系統図
 これまでとは異なる方法で、以前からよく知られた17の標本を改めて分析し、人類と類人猿の系統図を作成した研究(González-José et al.,2008)が報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、このブログの記事でやや詳しく内容を知ることができました。 ...続きを見る

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2008/05/09 00:00
ボイセイの食性
 パラントロプス=ボイセイ(アウストラロピテクス属に分類する見解もあります)の食性についての研究(Ungar et al.,2008)が報道されました。ボイセイは、大きく厚いエナメル質の歯と頑丈な頭蓋骨・下顎骨を有しており、その咀嚼筋は強力だったと考えられています。こうしたことから、ボイセイは堅果や塊茎など固いものを食べていた、と考えられてきました。しかしこの研究によると、こうした通説の見直しが必要になってきそうです。 ...続きを見る

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2008/05/06 00:00
テシク=タシュとスタローゼリーの子供の人骨の分析
 今月7〜13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、テシク=タシュとスタローゼリーの子供の人骨の分析(Bulygina et al., 2008)が報告されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P74)。 ...続きを見る

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2008/04/29 00:00
肉食中心だった後期のネアンデルタール人
 後期ネアンデルタール人の食性は大型草食動物中心だった、との研究(Richards et al.,2008B)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

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2008/04/28 00:00
アフリカにおける初期現生人類集団の動向
 ミトコンドリアDNAの分析から、アフリカにおける初期現生人類集団の動向を推測した研究(Behar et al.,2008)が報道されました。この研究では、サハラ砂漠以南のアフリカ人624人分のミトコンドリアDNAの完全な塩基配列に基づいて、ハプログループ単位の系統樹が作成され、初期現生人類集団の動向が推測されています。ミトコンドリアDNAの系統樹でまず大きく分かれるのは、ハプログループL0系統とL1〜5系統です。後者のなかのL3系統から分岐したM系統とN系統のみが、出アフリカを果たしたと考えら... ...続きを見る

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2008/04/26 00:00
トゥゲネンシスとフロレシエンシスの大腿骨の分析
 今月7〜13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、トゥゲネンシスとフロレシエンシスの大腿骨の分析(Richmond et al., 2008B)が報告されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P180)。この報告は、今年3月22日分の記事で取り上げた論文(Richmond et al.,2008A)の著者たちによるものです。 ...続きを見る

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2008/04/25 00:00
NHKスペシャル『病の起源第2集 骨と皮膚の病〜それは“出アフリカ”に始まった〜』
 現代人の病の起源を人類進化史に求めるシリーズ(全6回)の第2回です。肌の色と環境適応の問題が取り上げられましたが、これは人類進化史に関心のある人にとっては馴染みのあることだったと思います。 ...続きを見る

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2008/04/21 00:00
FOXP2遺伝子の研究からみたネアンデルタール人と現生人類の混血の可能性
 言語能力に関わるとされるFOXP2遺伝子は、現生人類の進化の研究において注目されてきました。現生人類のFOXP2遺伝子には特有の変異があり、この変異がここ20万年間の間に生じたとされていたので、これにより当時の一部の現生人類は現代人と変わらないような言語能力を獲得し、この変異を持たない他の現生人類(解剖学的現代人)集団や、ネアンデルタール人など当時まだ存在していた現生人類以外の人類集団にたいして優位に立ったのではないか、と推測されました。 ...続きを見る

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2008/04/18 00:01
足の分析から支持されるフロレシエンシス新種説
 インドネシア領フローレス島で発見された更新世の人骨群が、人類の新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)なのか、それとも病変の現生人類なのかという議論は古人類学界で高い関心を集めており、このブログでもたびたび取り上げてきました。そうしたなか、今月7〜13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、LB1の足骨とその機能を分析した報告(Jungers et al., 2008)が報道されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P127)。 ...続きを見る

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2008/04/18 00:00
中国大陸における人類の遺伝的構成の変化
 ちくま新書の『DNAから見た日本人』を(斎藤.,2005)を読み直していて思い出したのが、中国の臨淄における人類の遺伝的構成の変化を調べた研究(Wang et al.,2000)です。この研究では、2500年前・2000年前・現代という三つの異なる時代の臨淄住民(現代については漢民族が分析対象とされました)のミトコンドリアDNAが検査され、東アジア・中央アジア・欧州の現代人のそれと比較されています。 ...続きを見る

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2008/04/17 00:00
NHKスペシャル『病の起源 第1集 睡眠時無呼吸症〜石器が生んだ病〜』
 現代人の病の起源を人類進化史に求めるシリーズ(全6回)の第1回です。やや疑問に思ったのは、160万年前頃のホモ=エレクトスが20人ほどの集団で狩をしていたとの説明です。人類がそのような本格的な狩猟を160万年前頃に行なっていたのかとなると、まだ確証はないのが現状で、この頃の人類の動物性食資源の獲得については、むしろ死肉漁り説のほうが優勢のように思われます。 ...続きを見る

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2008/04/14 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(2)
前編の続きです。 ...続きを見る

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2008/04/10 00:00
崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』第2刷(1)
 昭和堂より2008年2月に刊行されました。初版第1刷の刊行は2008年1月です。遺伝学(おもにY染色体DNAの分析)の分野から日本人の起源・形成を論じた書籍としては、現時点では最新のものと言ってよいでしょう。また、遺伝学のみならず、考古学・言語学などの成果も取り入れられ、複数の分野を総合した学際的研究の成果が提示されています。繰り返しが多く、やや冗長なところがありますが、日本人起源論を扱った書籍としては、今後しばらくは必読と言えるでしょう。以下、まずは、本書で提示された見解について自分なりに整... ...続きを見る

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2008/04/10 00:00
チャデンシスとバーエルガザリの年代
 チャドのジュラブ砂漠で発見された、サヘラントロプス=チャデンシスとアウストラロピテクス=バーエルガザリの年代についての研究(Lebatard et al.,2008)が公表されました。これまで両者の年代については、両者の前後の層で発見された動物骨からの推定年代が採用されていて、曖昧なところがあっただけに、重要な成果と言えそうです。 ...続きを見る

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2008/04/08 00:00
アメリカ大陸最古の人類の痕跡
 アメリカ合衆国北西部にあるオレゴン州の洞窟で、かなりの信憑性がおけるものとしては、現時点でアメリカ大陸最古となる人類の痕跡が発見された、との研究(Gilbert et al.,2008)が報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

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2008/04/05 00:00
人類最古の弓矢
 南アフリカで矢(鏃)と思われる遺物(61000年前以前と推定されます)が発見されたとの研究(Backwell et al.,2008)が報道されました。もし本当に矢だとすると、現在のところ人類最古のものとなります。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

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2008/04/03 00:00
古人類学の記事のまとめ(3)2008年1月〜2008年3月
 2007年12月30日分の記事にて、このブログの古人類学関連の記事を整理して古人類学の記事のまとめ(2) http://sicambre.at.webry.info/200712/article_31.html として掲載しました。上記にまとめた記事よりも前のものについては、古人類学の記事のまとめ(0) http://sicambre.at.webry.info/200709/article_29.html 古人類学の記事のまとめ(1) http://sicambre.at.webr... ...続きを見る

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2008/04/02 00:00
西欧最古の人類についての研究
 昨年7月2日分の記事にて、スペイン北部のアタプエルカ遺跡にあるシマ=デル=エレファンテ洞窟で、現在のところ西欧最古となる人類化石(下顎骨と歯)が発見されたことを取り上げましたが、その化石も含む出土物についての研究(Eudald et al.,2008)が報道されました。古磁気学などに基づき、年代はおよそ120〜110万年前頃と特定され、女性のものではないかと推測されています。 ...続きを見る

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2008/03/28 07:28
人類史についてのまとめを掲載
 2008年2月4日に人類史についての私見を公開しました。それから二ヶ月弱しか経過していないのですが、2008年3月25日分までのブログの古人類学関係の記事の情報を取り入れて、人類史第4版として加筆訂正版を公開することにしました。この間に大きく考えが変わったわけではなく、じっさい加筆訂正した箇所はあまりないので、2週間前くらいから少しずつ改訂作業に着手していたものの、たいして時間はかかりませんでした。 ...続きを見る

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2008/03/26 20:33
フロレシエンシスとエレクトスやハビリスとの類似性
 インドネシア領フローレス島で発見された更新世の人骨LB1は、頭蓋の比較からはエレクトスやハビリスとの類似性が認められる、との研究(Gordon et al.,2008)が『米国科学アカデミー紀要』に掲載され、報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、半年後には全文を読めるようになるので、そのときにまた改めて全文を読もうと思います。 ...続きを見る

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2008/03/25 00:00
オロリン=トゥゲネンシスの人類史上の位置づけ
 最初期の人類とされるオロリン=トゥゲネンシスの大腿骨(ケニアで発見され、年代は600〜570万年前頃)は類人猿やホモ属とは異なっていて、アウストラロピテクス属やパロントロプス属と似ている、との研究(Richmond et al.,2008)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

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2008/03/22 00:00
旧石器時代の西アジア
 以前、大津忠彦・常木晃・西秋良宏『世界の考古学5 西アジアの考古学』(同成社、1997年)をもとに、旧石器時代の西アジアについてまとめようと思ったら、前置きが長くなりすぎて、それだけで一つの記事にしてしまいました。 ...続きを見る

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2008/03/21 00:00
ネアンデルタール人と現生人類との分岐年代
 ネアンデルタール人の祖先と現生人類の祖先とが分岐したのは、43〜31万年前頃だった、との研究(Weaver et al.,2008)が『米国科学アカデミー紀要』に掲載され、報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、半年後には全文を読めるようになるので、そのときにまた改めて全文を読もうと思います。 ...続きを見る

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2008/03/20 00:00
現生人類の出アフリカの時期・回数とオーストラレーシアの初期現生人類
 オーストラレーシアの初期現生人類は、現代人の多数の祖先がアフリカから拡散する以前に、出アフリカを果たした現生人類の子孫ではないか、との研究(Schillaci.,2008)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。 ...続きを見る

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2008/03/18 00:00
更新世の南アジアを知るには?
 大津忠彦・常木晃・西秋良宏『世界の考古学5 西アジアの考古学』(同成社、1997年)は10年以上前に刊行された本ですが、今でもたいへん有益な一冊と言えるでしょう。私は同書に多くのことを教わりました。 ...続きを見る

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2008/03/14 00:00
パラオ諸島でフロレシエンシスと類似した人骨が発見される
 パラオ諸島で発見された2890〜940年前の小柄な人骨群には、フローレス島で発見された更新世の人骨群と似た特徴が認められる、との研究(Berger et al.,2008)が“EurekAlert”や“NewScientist”で報道されました。フローレス島で発見された更新世の人骨群は、新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)とも、病変の現生人類とも主張されていて、議論が続いています。 ...続きを見る

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2008/03/13 00:00
古人類学への関心
 私は20代半ばまで、古代文明には強い関心をもっていましたが、それよりも古い時代にはほとんど関心がなく、東北旧石器文化研究所が「華々しい成果」をあげて注目されていたことすら、ほとんど知りませんでした。人類進化史についても、人類は猿人→原人→旧人→新人と進化し、いわゆる北京原人が日本人も含む現代の東アジア人の祖先になったのだろう、と漠然と考えていたものです。 ...続きを見る

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2008/03/10 00:07
フロレシエンシスはクレチン病患者との研究についての続報
 今年3月7日分の記事にて、インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された更新世の人骨群が、人類の新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)ではなく、クレチン病の現生人類だという研究(Peter J. Obendorf et al.,2008)を紹介しました。 ...続きを見る

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2008/03/08 00:01
フロレシエンシスはクレチン病を患った現生人類?
 インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された更新世の人骨群が、ホモ=フロレシエンシスという人類の新種なのか、それとも病変・発達障害の現生人類なのかという議論については、このブログでも何度も取り上げてきました。この人骨群が新種であるとの研究(Matthew W. Tocheri et al.,2007)を昨年9月22日分の記事で紹介し、これで論争も収束に向かうのかと思っていたら、その後も、今年1月6日分の記事で紹介したように現生人類説(Anita Rauch et al.,2008)... ...続きを見る

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2008/03/07 00:04
三井誠『人類進化の700万年』
 講談社現代新書の一冊として、2005年に刊行されました。近年の古人類学の成果が簡潔にまとめられているというだけではなく、年代測定法や分子遺伝学についても簡潔な説明がなされており、古人類学の入門書として優れています。また、進展著しい近年の古人類学の成果を整理するのにも役立つ一冊だと思います。 ...続きを見る

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2008/03/05 00:00
内田亮子『人類はどのように進化したか』
 シリーズ認知と文化の一冊として、勁草書房より2007年1月に刊行されました。進化の仕組みから、性差・人類の進化・進化と文化の問題まで、最新の研究成果を紹介しつつ説明した、生物人類学の入門書となっています。氏か育ちか、などといった二者択一的な発想を捨てることが随所で強調されていて、この点も生物人類学の入門書としては相応しいと思います。一般向けの書籍ではありますが、参考文献もかなりの数が挙げられていて、本書で興味をもった問題については、さらに深く追求する手がかりも提示されています。分量もさほどでは... ...続きを見る

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2008/03/05 00:00
『シリーズ進化学5 ヒトの進化』
 全7巻の『シリーズ進化学』の一冊として、岩波書店より2006年8月に刊行されました。斎藤成也・諏訪元・颯田葉子・山森哲雄・長谷川眞理子・岡ノ谷一夫氏の分担執筆となっています。化石・遺伝子・脳・言語など、さまざまな観点から人類の進化を検証した一冊ですが、近年の成果が上手くまとめられて簡潔に紹介されていますので、古人類学に関心のある日本人にとってはお勧めの一冊といえる好著だと思います。 ...続きを見る

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2008/03/05 00:00
現生人類の起源についての特集
 『進化人類学』17巻1号(2008年1・2月号)の特集は、「アフリカにおける現生人類の起源」です。 http://www3.interscience.wiley.com/journal/117921410/issue ...続きを見る

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2008/03/03 00:02
ネアンデルタール人は食人習慣のために絶滅?
 ネアンデルタール人の絶滅に、伝達性海綿状脳症(プリオン病)がじゅうような役割を果たしたのではないか、とする研究が報道されました。パプアニューギニアのある部族には儀式的な食人習慣がありますが、その習慣と伝達性海綿状脳症との間には因果関係が認められました。パプアニューギニアの事例から推測すると、15000人ていどの集団で食人習慣があった場合、250年以内に集団の存続が不可能な水準まで人口が減少する、と考えられます。 ...続きを見る

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2008/03/03 00:02
ドマニシ人は火山噴火のため死亡
 グルジアのドマニシで発見された180〜170万年前頃の人骨群は、古人類学にじゅうような知見をもたらしてきました。この人骨群に原始的特徴と派生的特徴が混在しているという見解は、昨年9月21日分の記事で紹介しましたが、この人骨群は基本的にはホモ属とされています。ただ、種区分については見解が一致しておらず、エレクトスともエルガスターともグルジクスとも分類されています。 ...続きを見る

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2008/02/26 00:00
これまでで最大規模の人類の遺伝的多様性の研究
 これまでで最大規模の人類の遺伝的多様性にかんする研究が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

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2008/02/25 00:00
遺伝学的見地からの人類集団の移動
 『ネイチャー』2008年2月21日号には、遺伝学的見地からの、過去における人類集団の移動と適応にかんする論文が2本掲載されています。両者は異なるデータ・手法を用いながらも、ともに似たような結論を提示しています。その結論自体は、これまでの通説を支持するものですが、大規模で精密な解析によりあらためて通説が支持されたのは、意義深いことと言えそうです。専門家ではない私にとっては、ともに敷居の高い論文で、深く理解するのはなかなか難しいのですが、ざっと見ていくことにします。 ...続きを見る

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2008/02/22 00:00
中期石器時代の南アフリカにおける、人類の環境への対応と石器技術の関係
 中期石器時代の南アフリカにおける、石器技術の変遷と環境変化との関係を論じた研究があります。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

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2008/02/21 00:00
人類の進化と環境変化の関係
 形質人類学的に確実な最古のホモ=サピエンス(現生人類)の年代は、現在のところ160000〜154000年前頃でさかのぼり、年代と復元に疑問点が残るものの、エチオピアで発見された現生人類人骨のなかには、195000年までさかのぼるものもあります(この問題については、私見の「サピエンスの起源」を参照してください)。解剖学的には、16万年前もしくは20万年前頃までに、現代人と基本的には変わらない人類集団が登場していたというわけです。 ...続きを見る

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2008/02/20 00:00
アメリカ大陸への移住の経緯
 昨年11月1日分の記事にて、アメリカ大陸への移住についての論文を取り上げましたが、その論文では「ベーリング陸橋潜伏モデル」が提唱されていました。これは、先住アメリカ人の祖先集団は、最終氷期の最寒冷期前にベーリング陸橋に到達し、アメリカ大陸に進出する15000年前まで、生態学的障壁のために地理的に孤立していた、というものです。その論文の著者の一人であるコニー=マリガン博士らの新たな研究が報道されました。 ...続きを見る

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2008/02/16 00:00
人類の拡散と石器技術
 人類の拡散と石器技術との関係を論じた研究が公表されました。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと閲覧・プリントアウトできるので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

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2008/02/15 00:00
ネアンデルタール人の移動範囲は広かった
 ネアンデルタール人の移動範囲は、じゅうらい考えられていたよりも広かったのではないか、とする研究が報道されました。この研究はまだ刊行されておらず、オンライン版での先行公開です。まだ要約しか読んでいませんが、国会図書館だと全文の閲覧・プリントアウトが可能なので、国会図書館に行ったときに、他の論文とあわせてプリントアウトしようと考えています。 ...続きを見る

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2008/02/09 15:52
70万年前頃の組織的な屠殺と「現代的な行動」の問題
 イスラエル北部にあるガリラヤ湖近くのアシュール文化に属するジスル=バノト=ヤコブ遺跡において、中期更新世の初期(酸素同位体ステージ18の時期、およそ80〜70万年前頃)に、およそ10万年間にわたって、人類によるダマジカの組織的な屠殺があったことが認められる、との研究が公表されました。 ...続きを見る

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2008/02/08 00:00
アメリカ大陸における大型獣絶滅の要因をめぐる議論
 今年1月23日分の記事にて、『1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』という本を取り上げましたが、同書では、アメリカ大陸における1万年前頃の大型獣絶滅の要因をめぐって、学術的な議論だけではなく、政治的な議論も生じていることが紹介されています。大型獣絶滅の要因については、環境変動や伝染病の流行などが挙げられていますが、人類による大量殺戮説も有力視されてきました。 ...続きを見る

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2008/02/07 00:00
人類史についてのまとめを掲載
 2007年12月7日に人類史についての私見をまとめて公開しました(人類史第3版)。それから二ヶ月弱しか経過していないのですが、一度に全面的な改訂をするとなるとやはり大変なので、2008年2月1日分までのブログの古人類学関係の記事の情報を取り入れて、人類史第3版補訂(1)として小規模な加筆訂正版を公開することにしました。小規模な加筆訂正なので、もちろん大きな変更はありませんが、今後もこのようになるべく頻繁に小規模な改訂をしていこうと考えています。 ...続きを見る

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2008/02/04 00:00
ネアンデルタール人の象徴的思考能力について
 ネアンデルタール人見直し論の急先鋒とも言うべきフランチェスコ=デリコ博士らによる、ネアンデルタール人の象徴的思考能力を主題とした2007年の論文が、このブログでも何度か紹介したことのあるザルヴァトール氏のブログで取り上げられました。この論文はフランス語で公表されており、私はまったくフランス語を解さないので、ザルヴァトール氏の記事を通じてこの論文の一端を見ていくことにします。 ...続きを見る

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2008/02/01 00:00
「許昌人」続報
 中国河南省許昌市の霊井遺跡で、10〜8万年前頃の人類のほぼ完全な頭蓋骨が発見されたことは、今年1月25日分の記事で取り上げましたが、その続報をヤフーのニュースサイトで知りました。ヤフーの引用元は“Record China”の記事で、翻訳・編集の問題もあるのかもしれませんが、この記事にはかなりの問題があります(引用箇所は青字)。 ...続きを見る

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2008/01/30 00:01
履物の歴史
 中国の周口店近くの天元洞窟から出土した趾節骨の分析により、人類が遅くとも4万年前には履物を使用していたことが確認された、との研究が報道されました。天元洞窟(4万年前頃)と、豪華な副葬品で有名なロシアのスンギール遺跡(27000年前頃)出土の人骨とともに、ネアンデルタール人や現代のプエブロ族・イヌイット族も分析の対象となりました。 ...続きを見る

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2008/01/30 00:00
現生人類をめぐる混血の問題
 現在、現生人類(ホモ=サピエンス)の起源がアフリカにあるという見解は、通説としてほぼ受け入れられていると言ってよいでしょう。現在問題となっているのは、アフリカから世界各地に現生人類が進出したさい、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のような現在では絶滅した在地の他のホモ属(Archaic Human、Archaic Homo)との間に交雑(混血)があったのか、それともなかったのかということです。 ...続きを見る

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2008/01/28 00:00
中国で10〜8万年前頃の人骨発見
 河南省許昌市の霊井遺跡で、10〜8万年前頃の人類のほぼ完全な頭蓋骨が発見された、との報道がありました。 http://www.reuters.com/article/scienceNews/idUST20581320080123 http://j.peopledaily.com.cn/2008/01/23/jp20080123_82948.html http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080123-00000127-jij-int http://he... ...続きを見る

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2008/01/25 00:00
『1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(日本放送出版協会)
 チャールズ=C=マン著、布施由紀子訳で、2007年7月に刊行されました。原書の刊行は2005年です。先コロンブス期のアメリカ大陸についての研究成果がまとめられており、アメリカ合衆国などにおける一般的なアメリカ先住民像を書き換えよう、との意欲に満ちた書です。アメリカ大陸史の近年の研究成果を知るために読んだのですが、私が不勉強なこともあり、知らなかった見解も多く、私にとってはじつに読み応えのある一冊となりました。 ...続きを見る

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2008/01/23 00:00
『5万年前に人類に何が起きたか?』第2版2刷
 リチャード=クライン、ブレイク=エドガー著、鈴木淑美訳で、新書館より2004年12月に刊行されました。じつは、すでに本書の初版1刷を、2004年6月の刊行後まもなく購入していました。しかし、昨年11月13日分の記事で取り上げた河合信和『ホモ・サピエンスの誕生』P202に、「初版は誤訳が多いので、改訂された2版を勧める」とあるので、気になっていたところ、書店で第2版2刷を見かけたので、購入したというわけです。 ...続きを見る

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2008/01/16 00:05
気候変動と農耕の起源
 農耕の開始についてちょっと検索していたら、農耕の起源と気候変動との関係について論じた研究を見つけました。グリーンランドの氷床コアのデータを用いて、気候の安定を農耕の開始と関連づけた研究なのですが、「結論」の項でも述べられているように、まだ不確定要素が多いことは否めません。ただ、世界各地における農耕の起源の同時性を説明するにあたって、好都合であるとは言えます。 ...続きを見る

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2008/01/14 00:00
数え方と文化の発達
 一般的には、文化が発達するとともに計数の仕組みも複雑になっていき、たとえば、短かったり物に特化したりしている数え方は、数の概念の発達における初期段階と考えられています。しかし、そうした通念に反するような例があることを指摘した研究が公表されました。この研究には日本語の要約もあります。 ...続きを見る

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2008/01/12 00:01
野生チンパンジーの研究による「おばあさん仮説」の検証
 野生チンパンジーは閉経と寿命が尽きるのがほぼ同じである、との研究が公表されました。閉経後も女性が長く生きるのは霊長目では人間だけの特徴であり、その「おばあさん」が子育ての経験を活かして繁殖の成功度を高め、集団の繁栄に寄与した、とする「おばあさん仮説」が提示されています。しかし、現存生物で人間にもっとも近縁な生物であるチンパンジーについては、大規模な研究がなかったこともあり、異論も提示されていました。 ...続きを見る

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2008/01/10 00:00
フロレシエンシスは発達障害を伴う突然変異を有する現生人類?
 “Pericentrin (PCNT)”という遺伝子の機能損失をもたらす変異と、人間の体型の小型化との関連を指摘した研究が報道されました。この変異があると、紡錘体の有糸分裂と染色体の分離が阻害されます。この変異をもつ現代人は稀ですが、この変異があると身長は1m、脳の大きさは三ヶ月の乳児ほどにしか成長しません。しかし、この変異があっても知性は標準に近いものがあります。 ...続きを見る

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2008/01/06 16:05
ネアンデルタール人の絶滅と衣服の関係
 ネアンデルタール人の絶滅と気候変化・衣服との関係を論じた研究が報道されました。ネアンデルタール人は寒冷気候に適応した形態だったので、保温性の高い複雑な衣服を縫う技術を発展させるのが遅れ、旧石器時代後期の短期間の大規模な気候変動に対応できず、絶滅しました。しかし、生物学的にネアンデルタール人よりも寒冷気候に脆弱だった現生人類は、それまでに開発していた石器技術などを用いて、保温性の高い複雑な衣服を縫う技術を発展させ、最終氷期も乗り切った、というわけです。 ...続きを見る

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2008/01/04 13:30
ネアンデルタール人が現生人類へと進化した可能性(追記有)
 昨日の記事にて、西欧においてネアンデルタール人が現生人類へと進化した可能性を指摘した研究を取り上げた報道を紹介しましたが、その研究が『米国科学アカデミー紀要』のサイトに掲載されたので、改めてこのブログで取り上げることにします。残念ながらオープンアクセスではなかったので、要約しか読んでいませんが、半年後には全文を読めるようになるので、そのときにまた取り上げる予定です。まずは、要約の意訳です(青字の箇所)。 ...続きを見る

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2008/01/03 14:18
ネアンデルタール人が現生人類へと進化?
 西欧においては、ネアンデルタール人が現生人類へと進化した可能性がある、との研究が報道されました。この研究は『米国科学アカデミー紀要』に掲載されるとのことですが、まだ『米国科学アカデミー紀要』のサイトには掲載されていないので、掲載されたら改めてこのブログで取り上げます。ただ、あまりにも意外な見解であり、たいへん衝撃的でもあるので、とりあえず報道された内容について取り上げることにします。 ...続きを見る

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2008/01/02 15:36