アクセスカウンタ

zoom RSS テーマ「古人類学」のブログ記事

みんなの「古人類学」ブログ


22000年前頃のパンダのmtDNA解析

2018/06/19 17:17
 22000年前頃のジャイアントパンダ(Ailuropoda melanoleuca)のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Ko et al., 2018)が報道されました。本論文は、現在では野生のパンダの存在しない、中華人民共和国広西チワン族自治区百色市楽業県(Leye County)の慈竹坨洞(Cizhutuo)で発見されたジャイアントパンダ(以下、パンダと省略)の頭蓋のmtDNAを解析し、他の現生パンダ・138頭の現生熊・32頭の古代熊と比較しました。慈竹坨洞パンダは、放射性炭素年代測定により較正年代で21910〜21495年前と推定されており、パンダのDNA解析としては最古の事例となります。

 mtDNA解析・比較の結果、慈竹坨洞パンダは他の熊よりも現生パンダの方と類似していましたが、現生パンダの多様性の範囲内には収まりませんでした。mtDNAにおいて、現生パンダの間の推定合着年代72000年前(95%の信頼性で94000〜55000年前)となりますが、慈竹坨洞パンダと現生パンダとの推定分岐年代は183000年前(95%の信頼性で227000〜144000年前)となります。慈竹坨洞パンダは、現生パンダ系統とは異なる独自の進化史を有する、と考えられます。しかし、より詳しいパンダの進化史解明のためには、核DNA解析が必要だ、と指摘されています。mtDNAでは、パンダと他の熊との推定分岐年代は1000万年前(95%の信頼性で1200万〜800万年前)です。ヨーロッパで発見されたジャイアントパンダ系統のKretzoiarctos標本は1200万〜1100万年前頃、中国では現時点で最古のパンダとなる元謀(Yuanmou)標本は800万〜700万年前頃と推定されています。

 慈竹坨洞パンダのmtDNAにおいては、コード領域に46ヶ所の同義置換と18ヶ所の非同義置換が確認されました。18ヶ所の非同義置換は、呼吸と関連する6ヶ所の遺伝子に位置しており、現生パンダとは異なる環境への適応の結果である可能性も指摘されています。慈竹坨洞パンダの存在した22000年前頃は最終最大氷期(LGM)で、広西チワン族自治区も現在とは異なる環境だった、と推測されます。慈竹坨洞パンダと現生パンダとで異なる環境への適応と関連した遺伝的相違が見られたとしても不思議ではありませんが、その詳細な解明は、現生パンダ系統の更新世標本も対象とした、核DNA解析・比較が必要となるでしょう。また、かつては現在よりも広範に分布していたパンダの古代DNA解析数を蓄積していくことも必要だと思います。

 慈竹坨洞パンダのmtDNA解析の成功は、亜熱帯環境、それも更新世の標本からということで、たいへん意義深いと思います。慈竹坨洞とさほど変わらない緯度の中華人民共和国雲南省の馬鹿洞(Maludong)では、放射性炭素年代測定法による較正年代では14310±340〜13590±160年前となるホモ属遺骸が発見されており、現生人類(Homo sapiens)なのか、それとも異なる系統のホモ属種なのか、議論が続いています(関連記事)。馬鹿洞人遺骸は慈竹坨洞パンダ頭蓋より8000年ほど新しいので、DNA解析の成功が期待されます。

 私はパンダにはとくに思い入れがないので、現生個体間のmtDNAにおける推定合着年代が現代人の間のそれよりも新しいことさえ知りませんでした。パンダにとくに思い入れのない私は、東京都の上野公園でのパンダの動向に大騒ぎする傾向を以前から苦々しく思っていました。その一つは、和歌山アドベンチャーワールドでは上野公園を大きく上回る繁殖実績を挙げているのに、全国規模の報道機関では上野公園の動向よりもずっと扱いが小さいことです。些細なことかもしれませんが、これは地域間格差の固定化・拡大の象徴とも言えるのではないか、と考えています。

 もう一つは、希少動物のパンダを高額で外国の動物園に貸し出していることです。これは、「パンダ外交」と揶揄されるような中華人民共和国政府の方針にも問題がありますが、中央政府・自治体など受け入れ側の国の行政機関と、パンダが間近で見られることを歓迎する受け入れ側の国の住民の方も、中国政府と同等以上に罪深いのではないか、と思います。見た目の愛らしい希少動物を間近で見られることを喜び歓迎するような心性は、現代日本社会における、鰻や鮪など激減と絶滅の可能性さえ指摘されている生物を平然とじゅうらい通り確保・調理し、食べる行為と根底で相通じているのではないか、と思います。

 欲望の抑制は格差の固定・拡大にも容易につながりかねないので(逆に、欲望の解放も格差の固定・拡大にも容易につながりかねませんが)、安易に主張したくはありませんが、見た目の愛らしい希少動物であるパンダを間近で見たい、という欲望を現代日本社会は抑えるべきだと思います。この議論は、そもそも動物園は倫理的に許されるのか、という大問題ともつながるのですが、そこまで社会的反発の大きそうな具体策にまでいかずとも、まずは、希少動物の外国への貸し出し・受け入れは抑制することが重要だと思います。今はネットで高画質の映像を視聴することも可能なのですから、パンダの生息地域にある保護・研究機関が映像を提供することで、日本も含めて諸外国の国民は当面満足すべきだと思います。まあ、私も悪しき欲望の抑制がじゅうぶんだとはとても言えませんが、たとえ特定の問題に関連する分野に限定しても、倫理的に潔癖でなければある社会問題を提起する資格がない、とはまったく考えていないので、以前からの雑感を述べた次第です。


参考文献:
Ko AMS. et al.(2018): Mitochondrial genome of a 22,000-year-old giant panda from southern China reveals a new panda lineage. Current Biology, 28, 12, R693–R694.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2018.05.008
記事へなるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0


人類史における移住・配偶の性的非対称

2018/06/17 18:51
 人類史において、移住・配偶で性的非対称が生じることは珍しくありません。そもそも、有性生殖の生物種において、雄と雌とで繁殖の負担が著しく異なることは一般的で、大半の場合、雄よりも雌の方がずっと負担は重くなります。もちろん人類もその例外ではなく、人類史における移住・配偶の性的非対称の重要な基盤になっているのでしょう。とはいっても、それらが繁殖負担の性的非対称だけで説明できるわけではないのでしょうが。当ブログでも、人類史における移住・配偶の性的非対称についてそれなりに取り上げてきましたので、一度短くまとめてみます。

 霊長類学からは、人類の旅は採食だけではなく繁殖相手を探すものでもあり、他の類人猿と同じく人類の祖先も、男が生まれ育った集団を離れて別の集団に入り配偶者を見つけるのは難しかっただろうから、ゴリラのように男が旅先で配偶者を誘い出して新たな集団を作るか、チンパンジーのように旅をしてきた女を父系的つながりのある男たちが受け入れることから集団間の関係を作ったのではないか、との見解が提示されています(関連記事)。人類系統がチンパンジー系統と分岐した時点で、すでに配偶行動において何らかの性的非対称が存在した可能性は高いと思います。

 初期人類については、「華奢型」とされるアウストラロピテクス属や「頑丈型」とされるパラントロプス属において移動の性差が見られる、と指摘されています(関連記事)。具体的には、アウストラロピテクス属ではアフリカヌス(Australopithecus africanus)、パラントロプス属ではロブストス(Paranthropus robustus)です。240万〜170万年前頃のアフリカヌスとロブストスのストロンチウム同位体含有比の分析の結果、小柄な個体のほうが、発見された地域とは異なるストロンチウム同位体組成を有している割合が高い、と明らかになりました。初期人類では体格の性差が大きかった(性的二型)との有力説を考慮すると、初期人類においては、女性は男性よりも移動範囲が広く、出生集団から拡散していくことが多かったのではないか、と言えそうです。つまり、父方居住的な配偶行動があったのではないか、というわけです。ただ、初期人類の性的二型については、大きかったとの見解が有力ではあるものの、異論もあるので(関連記事)、体格の違いによる性別判断の信頼性は高くない可能性もあると思います。

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)についても、父方居住的な配偶行動の可能性が指摘されています(関連記事)。イベリア半島北部のエルシドロン(El Sidrón)遺跡で発見された49000年前頃のネアンデルタール人遺骸群のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析の結果、3人の成人女性がそれぞれ異なるハプログループに分類されるのにたいして、3人の成人男性は同じハプログループに分類されました。もっとも、これは父方居住的な配偶行動の証拠となり得るものの、そうだとしても、あくまでもイベリア半島の49000年前頃の事例にすぎず、ネアンデルタール人社会全体の傾向だったのか、現時点では不明です。

 ただ、現代人への遺伝的影響はほとんどなかったとしても、同じホモ属で現代人と近縁なイベリア半島のネアンデルタール人と、現代人とは属が違い、おそらくは現代人の祖先ではなさそうなアフリカヌスやロブストスにおいて、父方居住的な配偶行動が存在したのだとしたら、人類系統において父方居住的な配偶行動が一般的だった可能性は高い、と思います。元々人類社会は父系的な構造だったものの、ある時期から社会構造が多様化していったのではないか、というわけです。それが、現生人類(Homo sapiens)の出現もしくは現生人類系統がネアンデルタール人系統と分岐した後なのか、ホモ属が出現してネアンデルタール人と現生人類の共通祖先が存在した頃なのか、あるいはもっと古くアウストラロピテクス属の時点でそうだったのか、現時点では分かりませんが、早くてもホモ属の出現以降である可能性が高いかな、と考えています(関連記事)。

 現生人類とネアンデルタール人との交雑についても、性的非対称の可能性が指摘されています(関連記事)。現代人のミトコンドリアでもY染色体でも、ネアンデルタール人由来の領域は確認されていません。したがって、母系でも父系でも、現代人にネアンデルタール人直系の子孫はいない可能性がきわめて高そうです。しかし、現代人のゲノムにおけるネアンデルタール人の遺伝的影響は、X染色体では常染色体の1/5程度であることから(関連記事)、現生人類とネアンデルタール人との交雑では、現生人類の女性とネアンデルタール人の男性という組合せの方が多かったというか、一般的だったのではないか、とも指摘されています。現生人類女性とネアンデルタール人男性の組合せでは、その逆よりもネアンデルタール人のX染色体が交雑集団に伝わりにくい、というわけです。

 しかし、配偶行動の性的非対称だけで、現代人のX染色体と常染色体においてネアンデルタール人の遺伝的影響が大きく異なるとも考えにくく、適応度の低下も関わってくるのではないか、と思います。ネアンデルタール人のゲノムは領域単位で現代人に均等に継承されているのではなく、現代人において排除されていると思われる領域も存在します。ネアンデルタール人のX染色体上でも、繁殖に関連すると思われる遺伝子を含む領域の排除が指摘されています(関連記事)。また、Y染色体の遺伝子における現生人類とネアンデルタール人との違いから、遺伝的不適合が原因となって、ネアンデルタール人由来のY染色体が現代には継承されなかった可能性が高い、との見解も提示されています(関連記事)。現生人類と種区分未定のデニソワ人(Denisovan)との交雑でも、X染色体と精巣に関わる遺伝子領域では、現代人にデニソワ人の痕跡がひじょうに少ない、と指摘されています(関連記事)。現時点では、現生人類とネアンデルタール人やデニソワ人など古代型ホモ属との交雑において、性的非対称があったのか、推測は難しいと思います。

 現代人では多様な移住・配偶行動が見られ、その中には強い性的非対称が存在する事例もあります。たとえば、15世紀末以降、アメリカ大陸にはヨーロッパから多数の人々が移住してきて遺伝的にも大きな影響を及ぼしましたが、この事例では大きな性的非対称が見られます。現代パナマ人は、mtDNAでは83%がアメリカ大陸先住民系ですが、Y染色体DNAでは約60%が西ユーラシアおよび北アフリカ系、約22%がアメリカ大陸先住民系、約6%がサハラ砂漠以南のアフリカ系、約2%がおそらくは中国またはインドの南アジア系となります(関連記事)。これは、単身男性を中心としたイベリア半島勢力によるラテンアメリカの征服という、歴史学など他分野からの知見と整合的です。

 ヨーロッパの事例と併せて考えると、大規模な征服活動では、移住・配偶行動に性的非対称が見られる傾向にある、と言えるかもしれません。青銅器時代のヨーロッパにおいては、ポントス-カスピ海草原のヤムナヤ(Yamnaya)文化集団から精巧な武器やウマに牽引させる戦車が拡散し、埋葬習慣の変化が広範に確認されるなど、大きな文化的変容が生じ、古代ゲノム解析からも大規模な移動が推測される、と指摘されています(関連記事)。さらに、このヨーロッパにおける青銅器時代の大きな文化的・人的構成の変容にさいしては、男性人口拡大の可能性も指摘されています(関連記事)。精巧な金属器とウマを用いての、機動力に優れた男性主体の集団による広範な征服活動がヨーロッパで起きたのではないか、というわけです。

 ヨーロッパにおける青銅器時代と新石器時代初期の大規模な移住を比較した研究では、青銅器時代の大規模な移住は男性主体で、女性1人にたいして男性は5〜14人と推定されているのにたいして、新石器時代初期にはそうした性差はなかった、と推測されています(関連記事)。ヨーロッパの新石器時代は中東からの農耕民集団の移住により始まりましたが、外来の農耕民集団と在来の狩猟採集民集団とがじょじょに融合していったと推測されているように(関連記事)、征服的な移住ではなかったのかもしれません。

 ヨーロッパにおいては、青銅器時代の征服活動的な大規模移住において、男性が主体になって広範に拡散していった様子が窺えますが、それは例外的な事例だったかもしれません。上述したように、人類史において父方居住的な配偶行動が一般的だった可能性は高い、と思います。後期新石器時代〜初期青銅器時代の中央ヨーロッパにおいても、成人女性が外部から来て地元出身の男性と結婚し、地元の女性は他地域に行って配偶者を得たのではないか、と推測されています(関連記事)。mtDNAの解析の結果、時間の経過とともに母系が多様化していき、同位体分析の結果、大半の女性は地元出身ではなく、一方で男性と未成年では大半が地元出身である、と明らかになりました。また、地元出身ではない女性の子孫は確認されませんでした。

 中世初期のバイエルンにおいても、男性よりも女性の方が遺伝的に多様で、女性は婚姻のために外部からバイエルンに移住してきたのではないか、と推測されています(関連記事)。ヨーロッパに限定しても一般化できるのか、まだ確定したとは言えないでしょうが、征服的な移住では男性が主体となり、そうではない移住では性差があまりなく、安定期には人類史の古くからの一般的傾向が反映されて、男性が出生集団(地域)に留まる一方で、女性は配偶のために他集団(地域)に移住する、という傾向があるのかもしれません。こうした傾向が人類史全体に当てはまるのか、現在の私の知見ではとても断定できませんが、今後、そうした観点から色々と調べていこう、と考えています。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


現生人類の起源と進化

2018/06/16 13:53
 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、現生人類(Homo sapiens)の起源と進化に関する研究(Stringer., 2016)が公表されました。以前からいつか読もうと思っていたのですが、怠惰なので先延ばしにし続けていました。2年前の論文ですが、進展の速い分野なので、今となってはやや古いとさえ言えるかもしれません。しかし、現生人類アフリカ単一起源説の大御所であるストリンガー(Chris Stringer)氏による、おもに形態学てき観点からの現生人類の起源と進化に関する総説なので、現在でもたいへん有益だと思います。

 現生人類アフリカ単一起源説は、現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)との交雑が明らかになり、修正されつつありますが、今でも通説の地位を保っている、と言って大過はないでしょう。本論文は、現生人類アフリカ単一起源説の証拠とされてきたアフリカおよびレヴァントの中期〜後期更新世の人類遺骸を取り上げ、どのような特徴が現生人類と類似しているのか、あるいは異なるのか、取り上げていきます。本論文が指摘するように、中期〜後期更新世のアフリカの人類遺骸は少なく、その中では年代が曖昧なものもあるため、現生人類の進化史にはまだ不明なところが多分にあります。本論文はそうした限界を踏まえつつ、アフリカ各地およびレヴァントの中期〜後期更新世の人類遺骸を概観していきます。

 アフリカ北部では、モロッコのジェベルイルード(Jebel Irhoud)遺跡の人骨群が16万年前頃と推定されており(後述するように、この遺跡に関しては、その後新たな展開がありました)、その中でもっとも保存状態の良好なジェベルイルード1は現生人類と断定できないまでも、初期現生人類との類似性が認められます。考古学的には、モロッコでは中期更新世に、非アテーリアン(non-Aterian)中部旧石器/中期石器インダストリーから、海洋酸素同位体ステージ(MIS)6のアテーリアン(Aterian)へと移行していきます。しかし、その周辺の一部地域では、アテーリアンと並行して非アテーリアン中期石器インダストリーが継続し、アテーリアンの終焉後にさえ継続しています。これが人類系統の進化とどう関係しているのか、注目されますが、現時点では証拠があまりにも少なく、推測の難しいところです。

 アフリカ南部では、やはり発掘・研究の進んでいる南アフリカ共和国の人類遺骸が中心となり、以下の人類遺骸は全て南アフリカ共和国で発見されています。フロリスバッド(Florisbad)頭蓋は259000年前頃と推定されており、初期現生人類とも、後期ホモ属種ヘルメイ(Homo helmei)とも分類されています。クラシーズリヴァーマウス(Klasies River Mouth)では中期石器時代の人骨群が発見されており、明確に現生人類と分類できる要素もあるものの、現生人類と容易には分類できない要素もあります。ボーダー洞窟(Border Cave)では中期石器時代の人類化石が発見されており、年代は74000年前頃と推定されていますが、現生人類的ではあるものの、上腕骨や尺骨では祖先的な特徴も見られます。

 アフリカ東部はアフリカ南部とともに現生人類の起源地の有力候補で、アフリカでは南部(実質的には南アフリカ共和国)とともに発掘・研究の進んだ地域です。ケニアでは、エリースプリングス(Eliye Springs)で発見された人類頭蓋に、上述のジェベルイルードやフロリスバッドの頭蓋との類似性が見られます。タンザニアのエヤシ湖(Lake Eyasi)では、130000〜88000年前頃の人類頭蓋や下顎が発見されており、現生人類的特徴が見られます。しかし、断片的なので評価は困難ですが、現生人類とは分類しにくい頭蓋もあります。エチオピア南西部のオモ川下流沿いのキビシュ層群で発見された人類化石のうち、オモ1号は明らかに現生人類に分類されますが、オモ2号には祖先的特徴が見られ、分類は曖昧です。ケニアの東トゥルカナのグオモデ層(Guomde Formation)では大腿骨と頭蓋が発見されており、大腿骨は現代的ですが、頭蓋にはオモ1号とオモ2号のような特徴が混在しており、つまりは現代的でも祖先的でもあります。エチオピアのヘルト(Herto)遺跡の16万年前頃の人類化石は、現代人とは区別される特徴もあるものの、初期現生人類と分類されています。135000〜131000年前頃と推定されているスーダンのシンガ(Singa)頭蓋冠は現代的ではあるものの、頭頂部には現生人類とは異なる特徴が見られます。しかし、これは病変のためかもしれません。

 西アジアでは、レヴァントのスフール(Skhul)洞窟で130000〜100000年前頃の、カフゼー(Qafzeh)洞窟で120000〜90000年前頃の、初期現生人類と分類されている人骨群が発見されています。これらレヴァントの初期現生人類人骨群は、レヴァントの一部のネアンデルタール人遺骸よりも古いので、ネアンデルタール人から現生人類へという単線的な進化図式は破綻しました。レヴァントでは、初期現生人類の遺骸の一部に副葬品が共伴することも注目されます。これは、現時点での明確な副葬品としては最古になるばかりか、突出して古いとも言えそうです。

 現生人類の起源地がアフリカであることは上述の人類化石証拠から明らかになってきましたが、それらからも窺えるように、アフリカにおいて人類は現生人類の形態へと単線的に進化したのではなく、祖先的特徴と派生的特徴が混在し、「祖先型」の特徴が強く現れている個体(群)と、「派生型(現代的)」の特徴が強く現れている個体(群)とが年代的に重なり合っている、と本論文は強調しています。アフリカにおける現生人類の進化は複雑で、本論文刊行後の研究では、アフリカにおいて、現生人類・ネアンデルタール人・デニソワ人の共通祖先系統と200万〜150万年前頃に分岐したと推定されている、遺伝学的に未知の(おそらくは)ホモ属と現生人類とが、15万年前頃に交雑した可能性も指摘されています(関連記事)。じっさい、初期現生人類と交雑があったのか不明ですが、ネアンデルタール人やデニソワ人よりも現生人類とは遠い関係にあると考えられるホモ属(Homo naledi)が中期更新世後期まで存在していました(関連記事)。

 現生人類とネアンデルタール人およびデニソワ人の最終共通祖先については、一般的にハイデルベルク人(Homo heidelbergensis)と想定されています。その場合、ハイデルベルク人から、シュタインハイム人(Homo steinheimensis)を経てネアンデルタール人が、ヘルメイ(Homo helmei)を経て現生人類が出現した、とも考えられます。しかし、シュタインハイム人やヘルメイといった分類を設定する必要はない、とも考えられます。また、ゲノム解析からは、現生人類系統とネアンデルタール人およびデニソワ人系統との分岐は古いと考えられるので、ハイデルベルク人は現生人類とネアンデルタール人およびデニソワ人の最終共通祖先である未知のホモ属種(遺骸はすでに発見されているかもしれませんが)から派生した、現生人類やネアンデルタール人やデニソワ人とは異なる単系統群である可能性も考えられます。本論文はこのように、現生人類の進化史について複数の可能性を提示しています。

 ネアンデルタール人およびデニソワ人と現生人類との最終共通祖先について、以前は、ネアンデルタール人や現生人類の派生的特徴はなく、祖先的だと考えられていました。しかし本論文は、じっさいには、祖先的特徴と派生的特徴が混在しており、特定の派生的特徴が一方の系統のみに継承された可能性を提示しています。たとえば、スペインのグランドリナ(Gran Dolina)遺跡で発見された96万〜80万年前頃のホモ属化石はアンテセッサー(Homo antecessor)と分類されていますが、その頬骨上顎は明らかに現代人との類似性を示しています。現生人類の進化過程は、私にとってとくに関心の高い分野なので、今後もできるだけ新たな知見を得ていきたいものです。

 本論文刊行後の、現生人類の起源と進化に関する研究は、とくにゲノム解析において目覚ましい発展を遂げつつあり、現生人類と古代型ホモ属との交雑という観点からのまとめ(関連記事)など、関連する問題をまとめたこともありますが、改めてここで整理するだけの気力はとてもないので、今後の課題とします。ゲノム解析ほど飛躍的ではありませんが、形態学というか人類遺骸でも、現生人類の起源と進化に関する研究は進展しています。現生人類の起源という観点から特筆すべきなのは、やはりモロッコで発見された30万年前頃の現生人類的な化石でしょう(関連記事)。本論文でも、このジェベルイルード3化石は言及されていましたが、年代が30万年前頃と新たに推定されたことで、現生人類の起源をめぐる問題に新展開をもたらしました。もっとも、さらに複雑化させた、とも言えるかもしれませんが。現生人類の出アフリカという観点からは、スマトラ島の73000〜63000年前頃となる現生人類化石や(関連記事)、レヴァントの194000〜177000年前頃となる現生人類的な化石や(関連記事)、アラビア半島の8万年以上前となる現生人類化石(関連記事)が注目されます。


参考文献:
Stringer C.(2016): The origin and evolution of Homo sapiens. Philosophical Transactions of the Royal Society B, 371, 1698, 20150237.
https://dx.doi.org/10.1098/rstb.2015.0237
記事へなるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0


子供は外国語を話す相手でも声の調子から感情を認識できる

2018/06/15 16:28
 子供が外国語を話す相手の感情を認識できるのか、検証した研究(Chronaki et al., 2018)が公表されました。この研究は、外国語の経験のない子供57人と若年成人22人に感情音声認識課題を実施しました。この課題では、声優が、怒り・幸福・悲しみ・恐怖・中間状態のいずれかを表現した声で疑似文を読み、被験者はそれを聞いて読み手の感情を判断します。課題は、被験者の母国語(英語)とスペイン語・中国語・アラビア語の3外国語で実施されました。

 その結果、子供たちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるものの、外国語の場合でも感情声音を認識できる、と明らかになりました。また子供たちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できました。この課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだ、と指摘されています。さらに本論文は、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低・音量・リズム)から感情を認識する能力は小児期から備わっており普遍的ではあるものの、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られる、と指摘しています。

 また本論文は、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにしました。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆しています。声の調子から感情を認識できる能力は、人類進化史においてかなり古い起源を有するというよりも、他の動物にも現代人と似たような能力は備わっており、ひじょうに古い進化的起源を有するのではないか、と思われます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【人間行動】子どもは外国語であっても、その声の調子から相手の感情を認識できる

 子どもは、声音から相手の感情を認識でき、母国語の方が正確に認識できるが、外国語であってもそうした感情を認識できるということを示した論文が、今週掲載される。

 今回、Georgia Chronakiたちの研究グループは、外国語の経験のない子ども(57人)と若年成人(22人)に感情音声認識課題を実施した。この課題では、声優が、怒り、幸福、悲しみ、恐怖、中間状態のいずれかを表現した声で疑似文を読み、被験者はそれを聞いて読み手の感情を判断する。課題は、被験者の母国語(英語)と3つの外国語(スペイン語、中国語、アラビア語)で行われた。

 その結果、子どもたちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるが、外国語の場合でも感情声音を認識できることが分かった。また、子どもたちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できた。今回の課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだとChronakiたちは考えている。また、Chronakiたちは、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低、音量、リズム)から感情を認識する能力は、小児期から備わっている普遍的な能力だが、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られるという考えを示している。

 またChronakiたちは、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにした。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆している。



参考文献:
Chronaki G. et al.(2018): The development of cross-cultural recognition of vocal emotion during childhood and adolescence. Scientific Reports, 8, 8659.
https://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-26889-1
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


「縄文人」の起源

2018/06/13 16:10
 日本人の起源に関しては、「南方系」の「縄文人」と「北方系」の弥生時代以降の渡来民との混合により形成されたとする、「二重構造モデル」が一般層にもそれなりに浸透しているように思います。この仮説では縄文人は南方系と想定されているのですが、形態学でも遺伝学でも、縄文人は南方系との合意が形成されているわけではありません。頭蓋形態の変異量の地域差からは、縄文人が北方系との見解が提示されています(関連記事)。6750〜5530年前頃の文時代前期となる富山県富山市呉羽地区の小竹貝塚の人骨群のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析では、北方系と南方系が混在している、と指摘されています(関連記事)。

 縄文人の核DNA解析も行なわれており、福島県相馬郡新地町の三貫地貝塚で発見された3000年前頃の人類遺骸からは、縄文人が現代の東ユーラシア各地域集団との比較において最も早く分岐した、と推測されています(関連記事)。ただ、あくまでも、3000年前頃の東北地方南部の縄文人の事例であり、縄文人も地域・年代によりある程度以上の違いがあった、と考えられます。三貫地縄文人の核DNA解析からは、縄文人が北方系と南方系のどちらなのか、判断できません。縄文人の起源の解明には、多様な地域・時代の縄文人とともに、ユーラシア東部の多様な地域における更新世後期〜完新世中期までの人類遺骸のゲノム解析が必要となるでしょう。ただ、ユーラシア東部でも南方地域の更新世人類遺骸のゲノム解析は難しいでしょうし、日本列島でも、更新世の人類遺骸は南方諸島を除いてほとんど発見されていません。おそらく今後もこの状況が大きく改善されるとは期待しにくいので、縄文人の起源については、半永久的にかなりの程度推測の域に留まらざるを得ないでしょう。

 現時点での証拠からあえて推測すると、縄文人は北方系と南方系の混合集団で、ユーラシア東部にかつて存在した縄文人の(複数の)祖先集団というか近縁集団は、その後の移住・混合・置換により当初の遺伝的構成を喪失したのではないでしょうか。この問題に関しては、ユーラシア大陸を北方と南方それぞれで東進してきてユーラシア東部で混合した集団が、対馬海峡経由で日本列島へと渡って日本列島最初期の住民となり、縄文人の主要な祖先集団となったのではないか、との見解が提示されています(関連記事)。現時点では、縄文人の起源についてはこの見解が有力ではないか、と思います。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


協力行動と不確実性の許容との関係

2018/06/13 16:07
 協力行動と不確実性の許容との関係についての研究(Vives, and FeldmanHall., 2018)が公表されました。心理学と経済学においてこれまで、リスク(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっている場合)と多義性(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっていない場合)という2種類の不確実性が明らかになっています。この2種類の不確実性に対する耐性には、個人差のあることが知られています。

 この研究は、女性106人と男性94人から構成される計200人のボランティアの被験者を対象として、一連の実験を実施しました。最初の実験では、被験者が単独でギャンブルゲームを行ない、リスクと不確実性に対する各人の耐性が評価されました。次の実験では、被験者が他のプレーヤーらと協力すべきかどうかを決めるソーシャルゲームを行ないました。協力行動は協力する双方のプレーヤーの利益になる可能性がありましたが、協力者が裏切られて損をするリスクを伴っていました。

 以上の実験の結果から、多義性に対する耐性と向社会的行動の量は正の相関関係にある、と明らかになりました。どの程度報われる可能性があるのかを分からなくてもリスクを負うことに前向きな人ほど、他人と協力したり、他人を信頼したりしやすい、というわけです。これに対して、リスクに対する耐性と社会的意思決定の間に関連は認められなかった。この研究は、人間が他人を信頼するかどうかの決定と勝つ確率の分からないギャンブルとを同視しており、多義的な不確実性に対する耐性という性格特性が、社会的行動を促進する上で役立っている、との見解を提示しています得。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【心理学】不確実性を許容する心が協力行動を生み出す

 どの程度報われる可能性があるのかを分からなくてもリスクを負うことに前向きな人ほど、他人と協力したり、他人を信頼したりしやすいという考えを示した論文が、今週掲載される。

 心理学者と経済学者はこれまでに、リスク(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっている場合)と多義性(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっていない場合)という2種類の不確実性を明らかにしている。この2種類の不確実性に対する耐性には、個人差のあることが知られている。

 今回、Oriel FeldmannHallの研究チームは、合計200人(女性106人、男性94人)のボランティアの被験者を対象として、一連の実験を実施した。最初の実験では、被験者が単独でギャンブルゲームを行い、リスクと不確実性に対する各人の耐性が評価された。次の実験では、被験者が他のプレーヤーらと協力すべきかどうかを決めるソーシャルゲームを行った。協力行動は協力する双方のプレーヤーの利益になる可能性があったが、協力者が裏切られて損をするリスクを伴った。以上の実験の結果から、多義性に対する耐性と向社会的行動の量は正の相関関係にあることが判明した。これに対して、リスクに対する耐性と社会的意思決定の間に関連は認められなかった。

 FeldmannHallたちは、我々が、他人を信頼するかどうかの決定と勝つ確率が分からないギャンブルとを同視しており、多義的な不確実性に対する耐性という性格特性が我々の社会的行動を促進する上で役立っているという考えを示している。



参考文献:
Vives ML, and FeldmanHall O.(2018): Tolerance to ambiguous uncertainty predicts prosocial behavior. Nature Communications, 9, 2156.
https://dx.doi.org/10.1038/s41467-018-04631-9
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


完新世最初期の急激な気候変動に対応した人類

2018/06/12 16:36
 完新世最初期の急激な気候変動への人類の対応に関する研究(Blockley et al., 2018)が公表されました。この研究は、イギリスのノースヨークシャー州にある中石器時代のスターカー(Star Carr)遺跡に隣接する湖の堆積物を調べました。スターカー遺跡は、湿地の狩猟採集民の営みがきわめて良好に保存されていることで知られています。この研究は、化石化した動植物および安定同位体比の調査結果と、放射性炭素年代測定法および遠く離れた火山の噴火による火山灰から割り出した年代に基づき、過去の環境の記録を組み立て、この記録をスターカー遺跡から直接得た新たな放射性炭素年代測定結果および考古学的データと相関させました。その結果、こうした高分解能の記録により、気候事象がこの遺跡での人類の活動と初めて結びつけられました。

 この場所に居住していた人類は、木材や動物材料(儀礼的活動に使用していたと考えられるアカシカの枝角の頭飾りなど)を加工し、家屋と考えられる木製構造物を建設し、湖辺の湿地に木製の高床を構築していました。この研究は、11000年前頃に、それぞれわずか1世紀ほどの急激な気候事象が2回起きたことを明らかにしました。そのさい、気温がそれぞれ10℃および4℃低下したと推定され、現地の森林の成長に連鎖的に影響を及ぼしました。このような不安定な気候にもかかわらず、この地の居住者たちは、地元で入手することができた豊富な環境資源や自らの文化的適応に支えられて、彼らの生活様式を維持していました。この頃のブリテン島の人類は、急激な気候変動に耐える能力を備えていたようです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


中石器時代の英国の急激な気候変動を乗り切る

 約1万1000年前の前期完新世の英国で、中石器時代の狩猟採集民がわずか数世紀の間に繰り返された急激な厳しい気候事象に適応し、生き抜いていたことを明らかにした論文が、今週掲載される。今回の知見は、後氷期最初期の欧州定住に関する理解に寄与するとともに、人類が急激な気候変動に耐える能力を備えていたことを示している。

 Simon Blockleyたちは、英国ノースヨークシャー州の中石器時代のスターカー遺跡に隣接する湖の堆積物を調べた。この遺跡は、湿地の狩猟採集民の営みが極めて良好に保存されていることで知られている。著者たちは、化石化した動植物および安定同位体比の調査結果と、放射性炭素年代測定法および遠く離れた火山の噴火による火山灰から割り出した年代に基づき、過去の環境の記録を組み立てた。そして、この記録を、スターカー遺跡から直接得た新たな放射性炭素年代測定結果および考古学的データと相関させた。その結果、こうした高分解能の記録により、気候事象がこの遺跡での人類の活動と初めて結び付けられた。

 この場所に居住していた人類は、木材や動物材料(儀礼的活動に使用していたと考えられるアカシカの枝角の頭飾りなど)を加工し、家屋と考えられる木製構造物を建設し、湖辺の湿地に木製の高床を構築していた。著者たちは、この年代に、それぞれわずか1世紀ほどの急激な気候事象が2回起こっていたことを明らかにした。その際は、気温がそれぞれ10℃および4℃低下したと考えられ、現地の森林の成長に連鎖的に影響を及ぼした。このような不安定な気候にもかかわらず、この地の居住者たちは、地元で入手することができた豊富な環境資源や自らの文化的適応に支えられて、彼らの生活様式を維持していた。



参考文献:
Blockley B. et al.(2018): The resilience of postglacial hunter-gatherers to abrupt climate change. Nature Ecology & Evolution, 2, 810–818.
https://dx.doi.org/10.1038/s41559-018-0508-4
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


ネアンデルタール人の食人行為

2018/06/10 18:55
 食人行為は、その背徳性もあってか、関心が高いように思われます。当ブログでも食人について何度か取り上げてきましたが、おもにネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に関するものだったので、ネアンデルタール人とは言えないかもしれない事例も含めて、一度短くまとめてみます。

 スペイン北部のエルシドロン(El Sidrón)洞窟は、複数のネアンデルタール人遺骸が発見されたことで有名な遺跡ですが、骨に解体痕(cut marks)が見られ、骨髄や脳を取り出したのではないか、とも解釈されています(関連記事)。ネアンデルタール人の歯の分析からは、幼年期に飢餓か栄養不良を経験したと推測されているので、そうした時に食人があったのかもしれません。ただ、病死や餓死の後に食べられたのか、それとも食人のために殺害したのか、また、食人を行なったのは同じ集団と他集団のどちらの構成員だったのか、といったことは不明です。解体痕のあるエルシドロン遺跡のネアンデルタール人遺骸のうち、学童期(juvenile、6〜7歳から12〜13歳頃)の男性と推定されている個体の成長速度は、現生人類(Homo sapiens)とあまり変わらなかったのではないか、と推測されています(関連記事)。

 フランス南西部のラロア(Les Rois)遺跡で発見された若年個体の下顎骨には解体痕が見られますが、この個体はネアンデルタール人と現生人類の特徴が混在している、と指摘されています(関連記事)。ただ、食人の可能性は低そうだ、とも指摘されています。この個体の推定年代は30000〜28000年前頃で、ヨーロッパ初期現生人類の多様な形態を反映している、という可能性が高そうです。ただ、歯にネアンデルタール人的特徴が見られると指摘されているので、現生人類とネアンデルタール人との交雑による形態的特徴がこの年代にも現れていた、とも解釈できるかもしれません。

 フランスのシャラント(Charente)県にあるマリヤック(Marillac)遺跡のネアンデルタール人遺骸では、3個体で明らかに人為的な解体痕や打撃痕(percussion marks)が確認されています(関連記事)。ただ、マリヤック遺跡には豊富な動物化石が存在することと、これらネアンデルタール人3個体の同位体分析の結果がハイエナとオオカミのような捕食動物や他のネアンデルタール人と同様だったので、このネアンデルタール人3個体もおもにその食資源を草食動物に依拠していたと考えられることから、飢餓状態での食人行為とは断定できない、と指摘されています。その他の可能性として、「食道楽」としての食人や葬儀などの儀式が挙げられています。

 ベルギー南部のゴイエット(Goyet)の「第三洞窟(Troisième caverne)」遺跡で発見された、較正年代でおおむね45500〜40500年前頃のネアンデルタール人遺骸のなかには、解体痕・打撃痕・修正痕(retouching marks)といった人為的損傷が見られるものもありました(関連記事)。これらネアンデルタール人遺骸の人為的損傷の痕跡は第三洞窟遺跡のウマやトナカイの骨と同様なので、皮を剥ぐ・解体する・骨髄を抽出するという過程を経た食人行為の結果だと考えられています。また、ネアンデルタール人遺骸の修正痕については、石器製作のために骨を道具として用いた痕跡ではないか、と解釈されています。

 こうしたネアンデルタール人遺骸に見られる解体痕・打撃痕は、少なくともそうのち一定以上の割合で、食人行為の結果と考えられます。ただ、マリヤック遺跡の事例からも窺えるように、葬儀もしくは他の何らかの儀式の一環である可能性も考えられます。さらに、食人行為と葬儀(もしくは他の何らかの儀式)とは常に明確に区分できるわけではなく、食人行為が葬儀の一環だった可能性も考えられます。もちろん、エルシドロン遺跡の事例からは、飢餓状態で栄養不足のなか必要に迫られての行為だった可能性も考えられます。おそらく、ネアンデルタール人の食人行為には多様な意味合いがあったのでしょう。

 ヒトの栄養価はホモ属がしばしば狩猟対象としたマンモスなどの大型動物と比較すると有意に低く、また、ホモ属の認知能力からホモ属狩りは危険だと指摘されています(関連記事)。おそらく、飢餓状態で栄養不足のなか、弱ったもしくは死亡した個体が間近にいるという状況でもない限り、ネアンデルタール人も含めてホモ属は栄養摂取のみを目的とした同類狩りを行なわなかったのでしょう。ネアンデルタール人の祖先集団もしくはそのきわめて近縁な集団と考えられている、スペイン北部の通称「骨の穴(Sima de los Huesos)洞窟」遺跡の人骨群のなかには、殺人の痕跡が見られるものもあります(関連記事)。おそらく、ネアンデルタール人社会においても殺人はきょくたんに珍しいものではなく、敵意・復讐心などによる食人行為もあったのかもしれません。

 なお、ネアンデルタール人社会では、食人習慣のために伝達性海綿状脳症が広がり、人口が減少した結果、現生人類がネアンデルタール人の領域に拡散してきた時に対抗できず絶滅した、との見解も提示されています(関連記事)。しかし、ネアンデルタール人はヨーロッパにおいて数十万年ほど存続し、人口の増減を繰り返していたと考えられますので(関連記事)、絶滅の一因になるほど人口を減少させるほどの影響を及ぼすような食事習慣があったとは想定しにくいと思います。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


原田隆之『サイコパスの真実』

2018/06/10 08:37
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2018年4月に刊行されました。サイコパス関連の一般向け書籍は少なくないでしょうし、中には大きな話題になったものもあります。しかし、どうも胡散臭そうだったこともあり、これまでサイコパス関連の一般向け書籍を読んだことはありませんでした。しかし本書は、少し読んでみてなかなか面白そうだったので、購入して読みました。期待通り本書は当たりで、長くサイコパス関連の入門書として読まれていくのではないか、と思います。まあ、私はこの問題の門外漢なので、専門家の評価はまた違うのかもしれませんが。

 本書は、高知能で冷酷な凶悪犯などといったサイコパスの通俗的な印象を訂正していきます。もちろん、サイコパスの中に高知能で冷酷な凶悪犯もいますが、それは例外的で、社会全体でサイコパスは1〜3%程度存在する、と推定されていいます。本書は、サイコパスとはそれぞれ程度の異なる複数の特徴から成る多様な存在である、と強調しています。サイコパスが必ず犯罪者になるわけではなく、「成功者」もいれば、社会でそれなりに溶け込んでいる「マイルド」なタイプもいる、というわけです。

 サイコパスの特徴は色々とあり、本書では、対人・感情・生活様式・反社会性の4因子から説明されていますが(ただ、本書で指摘されているように、異なる区分もあります)、中心的なものは、良心と共感の欠如です。また、不安感・恐怖の欠如も重要な特徴です。本書はサイコパスが生まれる要因として、生得的なものと環境的なものとの相互作用を挙げていますが、これまでの研究からは、生得的なものが主因である可能性が高いそうです。サイコパスへの対処は難しく、現時点では決定的な解決策はないようです。本書は、サイコパスの中心的特徴は良心と共感の欠如なので、それを踏まえていない犯罪矯正計画ではかえってサイコパスの再犯率を上げかねず、専門家の間でさえ認識の甘さが見られる、と指摘しています。

 サイコパスがなぜずっと存在し続けているのか、という問題も本書は取り上げており、人類進化史に関心のある私も興味深く読み進められました。不安感・恐怖の欠如したサイコパスは、混乱した状況や、命のかかった手術や、大きな大会などで、冷静に実力を発揮できます。現代では、たとえば医師・指導者・運動選手などは、サイコパスだと優れた業績を残せる可能性があります。また、不安感・恐怖の欠如は、勇気がある、との評価につながりやすいとも言えます。こうした理由から、サイコパスは人類史において淘汰されず、今後も存在し続けるのでしょう。

 良心・共感の欠如したサイコパスは、認知能力に関してはサイコパスではない人々と変わらないので(つまり、認知能力には個体差があり、様々ということです)、規範(法律)や他者への共感が社会で果たす重要な役割を理解でき、そのように装うことができます。生得的に他者に共感できる利他的な傾向の強い人々の多い社会において、能力と環境(運)に恵まれたサイコパスはフリーライダーとして政治権力・経済力・繁殖などの点できわめて大きな利益を得ることが可能なので、狩猟採集社会よりもずっと大規模な社会においては、サイコパスを淘汰することがより難しくなっている、と言えるかもしれません。

 ただ、「有能な」サイコパスが大きな利益を得られるというか、高い適応度となるのは、あくまでも利他的な傾向の強い人々の多い社会においてであり、サイコパスが多数派となれば、少なくとも今のような社会は崩壊し、「有能な」サイコパスが現在得られるような大きな利益を得るのは困難でしょう。確かに、「有能な」サイコパスの適応度は現代社会においては高そうですが、それはあくまでもサイコパス、とくにその中でも「有能な」人の割合がきわめて低いからで、このように特性・形質の頻度に適応度が依存していることは、進化史において珍しくない、と言えるでしょう。


参考文献:
原田隆之(2018) 『サイコパスの真実』(筑摩書房)
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


「朝鮮人は世界でも類を見ないほど均一なDNA塩基配列の持ち主」との言説に関する備忘録

2018/06/09 18:09
 今でもわりとよく、表題のような言説というかコピペをネットで見かけます。そのたびに、どんな関連記事があったのか、検索するのは面倒なので、一度短く集約しておくことにします。コピペなので、ブログ・掲示板などでよく見かけますが、たとえばあるブログ記事では、以下のように引用されています。

米人類学者Cavalii−Sforzaの遺伝子勾配データによれば、 朝鮮人は世界でも類を見ないほど均一なDNA塩基配列の持ち主であり、これは過去において大きな Genetic Drift(少数の人間が近親相姦を重ねて今の人口動態を形成)か、あるいは近親相姦を日常的に繰り返す文化の持ち主だった事を表します。
(文献:The Great Human Diasporas: The History of Diversity and Evolution. 1995.. Luigi Luca Cavalii-Sforza and Francesco Cavalli-Sforza. Addison Wesley Publ. ISBN 0-201-44231-0)


 遺伝的浮動(genetic drift)の理解が間違っているのですが、それはさておき、参考文献も挙げられているものの、じっさいに検証した人によると(関連記事)、「朝鮮人は世界でも類を見ないほど均一なDNA塩基配列の持ち主」といった見解は提示されていないそうです。また、別の参考文献を根拠に、「コリアンのデータが、普通ではありえないほど均一なものになっている」と主張する人もいますが(関連記事)、こちらも、その参考文献を直接読んだ方がデマだと断定しています(関連記事)。

 上記コピペのような認識の根拠としてその他には、「ネイチャー電子版で2015年に発表されたと思う」とあるスレッドに投稿した人がおり(レス番号596)、その二つ後のスレッドで、「nature 538 7624」とやや具体的な情報を挙げた人もいます(レス番号562)。おそらくこれは、『ネイチャー』に掲載された韓国人の高品質なゲノム配列に関する研究(Seo et al., 2016)だと思います。しかし、この研究は、韓国人は遺伝的に均一だとか、韓国人では近親婚の頻度が高いとかいったことを一切述べていません。あるいは、ヒト参照ゲノムとの直接比較から、未知の(というか、その時点では報告されていない)挿入が多数見つかった、との知見が曲解されているのかもしれませんが、その多くはアジア人集団全体で共通している、とこの研究は指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


遺伝学:韓国人のゲノムのde novoアセンブリとフェージング解析

遺伝学:韓国人のゲノム

 今回J Seoたちは、PacBio社のロングリード塩基配列解読、イルミナ社のショートリード塩基配列解読、10X Genomics社のlinked read(合成ロングリード)、細菌人工染色体(BAC)を用いた塩基配列解読、およびBioNano Genomics社の光学マッピングを用いて、韓国人1個体のゲノムのde novoアセンブリおよびフェージング解析を行った。得られたデータは、集団特異的な参照ゲノムとして有用な、これまでで最も連続的なヒトゲノムアセンブリである。この研究により、ヒト参照ゲノムに存在していた数多くのギャップが埋められ、構造的多様性が明らかになった。



 まず間違いなく、韓国人、あるいは朝鮮半島全体に対象を拡大して朝鮮民族(朝鮮半島地域集団)が、他民族と比較して著しく遺伝的に均一だ、と報告した研究はないと思います。おそらく、朝鮮半島地域集団が他地域集団との比較でより遺伝的に均一だとか、その要因として近親婚の頻度が他地域集団より高いとか報告したまともな研究もないだろう、と思います。現代日本社会で浸透している朝鮮半島関連の情報にはガセネタが少なくないようですから、私も注意しておかねばなりません。

 なお、地域集団単位で近親婚の頻度が高いことはゲノム解析により推測でき、たとえばアラビア人やイラン人は歴史的に高頻度の近親婚が行なわれてきた、と推測されています(関連記事)。また、パキスタン人についても、高頻度の近親婚が指摘されています(関連記事)。個人単位でも、両親が近親だったか否か、ゲノム解析により推測でき、たとえば、アルタイ地域のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)は、両親が半きょうだい(片方の親のみを同じくするきょうだい)のような近親関係にあったのではないか、と推測されています(関連記事)。一方、クロアチアのネアンデルタール人に関しては、両親はアルタイ地域のネアンデルタール人ほどの近縁関係にはなかっただろう、と推測されています(関連記事)。


参考文献:
Seo JS. et al.(2016): De novo assembly and phasing of a Korean human genome. Nature, 538, 7624, 243–247.
https://dx.doi.org/10.1038/nature20098
記事へガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0


タイトル 日 時
繰り返されていたグレートバリアリーフの移動
 過去3万年のグレートバリアリーフの移動に関する研究(Webster et al., 2018)が公表されました。海水面は過去3万年にわたり、大陸氷床の拡大・縮小とともに劇的に変化してきました。21000年前頃の最終氷期極大期には、海水面は現在よりも約120メートル低く、その分、現在よりも陸地が広がっていました。少なからぬ当時の人類の痕跡は現在では海面下にあり、発見は容易ではなさそうですが、それだけに、調査が進めば多くの知見が得られそうで、今後の研究の進展が期待されます。この研究は、現在のグレー... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/06/09 09:44
類人猿の新たな高解像度ゲノム
 類人猿の新たな高解像度ゲノムを報告した研究(Kronenberg et al., 2018)が報道されました。本論文は、これまでの非ヒト霊長類ゲノムについて、その多くがヒトゲノム参照配列に依存してきたため、「ヒト化」されていることが問題だ、と指摘しています。そこで本論文は、ヒトゲノム参照配列に依存せず、ヒト2人・チンパンジーとオランウータン1頭ずつの高品質なゲノム配列を新たに決定し、既知のゴリラのゲノム配列と比較しました。これにより、じゅうらいは見落とされてきたヒトと(非ヒト)類人猿との相違も... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/06/08 20:35
縄文時代から弥生時代への移行
 縄文時代から弥生時代への移行に関する本・論文を当ブログでそれなりに取り上げてきたので、一度短くまとめてみます。じゅうらい通俗的に言われていたのは、弥生文化をもたらしたのはユーラシア東部(直接的にはおそらく朝鮮半島)から日本列島へと渡来してきた集団で、先住の縄文文化集団(以下、「縄文人」と省略)を駆逐した、というような認識です。しかし近年では、弥生時代への移行にさいして、「縄文人」の強い主体性を認める見解が有力のように思われます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/06/06 17:07
現生人類と古代型ホモ属との交雑の論点整理
 現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)など古代型ホモ属との交雑に関する論点を整理した研究(Wolf, and Akey., 2018)が公表されました。近年の諸研究がまとめられており、たいへん有益だと思います。この問題に関しては、当ブログでも以前まとめてみました(関連記事)。古代型ホモ属および現生人類のゲノム解析は、人類進化史の研究に革命をもたらしました。これにより、現生人類と古代型ホ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/06/03 18:55
清家章『埋葬からみた古墳時代 女性・親族・王権』
 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2018年5月に刊行されました。本書は古墳時代の埋葬形態から社会構造を推測し、「王朝交替論」も検証しています。複数の人物が葬られている古墳は珍しくなく、本書はおもに歯冠の比較から被葬者間の関係を推測しています。その結果、首長層よりも下位(とはいっても、一定以上の階層でしょうが)においては、古墳時代前期〜後期まで親子・キョウダイを基本とする血縁者のみがともに埋葬されていました。夫婦で埋葬されている事例も一部であるものの、基本的には血縁者がともに埋葬... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/06/03 06:11
日本列島にはいつから人類が存在したのか
 2000年11月に発覚した旧石器捏造事件(関連記事)の影響もあり、現在では、日本列島における人類の痕跡は4万年以上前までさかのぼる、と想定する見解はとても主流とは言えないようです。日本列島において遺跡が急増するのは4万年前頃で(関連記事)、その担い手として現生人類(Homo sapiens)のみを想定するのが一般的な見解だと思います。しかし、石器技術の比較から、15000年前頃まで日本列島には現生人類ではない系統の人類が存在した、との見解も提示されています(関連記事)。その可能性はきわめて低い... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/06/02 18:56
アメリカ大陸先住民集団の形成史の見直し
 アメリカ大陸先住民集団の形成史を見直した研究(Scheib et al., 2018)が報道されました。アメリカ大陸先住民集団の形成については、近年までアメリカ大陸最古の人類の痕跡とされてきたクローヴィス(Clovis)文化集団の男児のゲノム解析結果が重視されてきました(関連記事)。暦年代では12707〜12556年前頃となる、アメリカ合衆国モンタナ州西部のアンジック(Anzick)遺跡の男児(Anzick-1)のゲノム解析の結果、この男児は現代のアメリカ大陸先住民でも北部よりも中部・南部の集... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/06/01 17:13
アイスランドにおける人類集団の遺伝的浮動
 アイスランドにおける人類集団の遺伝的浮動についての研究(Ebenesersdóttir et al., 2018)が報道されました。アイスランドへの人類の移住は紀元後870〜紀元後930年に始まり、その担い手はヴァイキングやその奴隷とされた人々だと推測されています。アイスランドの人類集団は、初期の移住後1000年間は人口が1万〜5万人と比較的小規模で、孤立していました。現在では、アイスランドには約33万人が居住しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/06/01 17:12
新石器時代における人類のY染色体の多様性激減の要因
 新石器時代における人類のY染色体の多様性激減の要因に関する研究(Zeng et al., 2018)が報道されました。アフリカとユーラシアにおいて7000〜5000年前に人類のY染色体の劇的なボトルネック(瓶首効果)が生じ、有効人口サイズでは1/20にまで激減した、と推定されています。Y染色体は父系で継承されますが、母系で継承されるミトコンドリアDNA(mtDNA)では、この間にそうした劇的なボトルネックは起きておらず、人口は増加していった、と推定されています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/30 17:20
古墳時代の東北地方の豪族の形態・DNA・食性
 古墳時代の東北地方の豪族の形態・DNA・食性に関する研究が報道されました。この研究は、福島県喜多方市の灰塚山古墳の石棺に葬られていた男性の人骨を分析しました。灰塚山古墳は全長約61mの前方後円墳で、年代は古墳古墳時代中期とされています。石棺内外からは、東北地方では類がないほど多量の鉄製品が発見されました。古墳時代中期の会津地方は、古墳時代前期と比較して「大和王権との関わりが薄い」と考えられていましたが、多彩な副葬品の存在により再考が必要になりそうとのことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/29 17:12
ジャワ島のエレクトスをめぐる研究動向(2)
 ジャワ島は、更新世の寒冷期にはスマトラ島やボルネオ島などと共にユーラシア大陸南東部と陸続きで、スンダランドを形成していました。ジャワ島では、現生人類(Homo sapiens)ではない、前期〜中期更新世のホモ属化石が発見されており、エレクトス(Homo erectus)と分類されています。4年近く前(2014年7月)に、ジャワ島のエレクトスをめぐる研究動向についてまとめましたが(関連記事)、それから4年近く経過したので、その後に当ブログで取り上げたジャワ島のエレクトス関連の記事をまとめます。な... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/28 17:11
縄文時代における九州と朝鮮半島との交流
 以前、当ブログで山田康弘『つくられた縄文時代 日本文化の原像を探る』を取り上げ、縄文時代における九州と朝鮮半島との交流についても少し言及しましたが(関連記事)、もう少し詳しく同書の見解を取り上げることにします(同書P129〜133)。じゅうらい、縄文時代の日本列島は他地域との交流がほとんどなかった、と考えられてきました。それは、「縄文人」のような形態の人類集団が他地域で確認されず、細かな地域差・時代差があるとはいえ、地理的範囲は北海道から九州まで、時間的範囲は早期から晩期前半まで、「縄文人」の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/27 18:55
社会的相互作用により協調する2匹のサルの脳
 社会的相互作用とサルの脳の関係についての研究(Tseng et al., 2018)が公表されました。この研究は、2匹のサルの脳活動を同時に記録し、社会的相互作用課題において、2匹の脳活動が同期したことを明らかにしまた。この課題では、第1のサルが「乗客」となり、コンピューター操作による車椅子ロボットで食料供給装置まで運ばれ、第2のサルが「見守り役」として、その一部始終を観察しました。「乗客」は、食料供給装置に到達すると報酬としてブドウを受け取り、「見守り役」は、報酬としてジュースを受け取りまし... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/25 17:07
ホモ属における脳容量増大の要因
 ホモ属における脳容量増大の要因に関する研究(González-Forero, and Gardner., 2018)が報道(McElreath., 2018)されました。現代人の脳は、その身体サイズのわりに脳がひじょうに大きい、と明らかになっています。現代人の脳容量は、他の有胎盤哺乳類と比較すると、その身体サイズからの推定値の6倍近くあります。人類進化史において、ホモ属系統で顕著に脳容量が増大し、ホモ属の前に存在した(そして、おそらくはその一部がホモ属の祖先となった)アウストラロピテ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/24 17:21
遺伝子発現に影響を及ぼす局所環境
 局所環境が遺伝子発現に影響を及ぼす可能性に関する研究(Favé et al., 2018)が公表されました。世界の多くの地域では、工業化と化石燃料エネルギーの使用量増加が、大気汚染と大気の有害化をもたらしています。こうした環境要因に対する応答は、1人1人の遺伝的背景に応じて異なっており、特定の疾患の遺伝性と発症リスクに個人差が生じていると考えられています。しかし、環境要因への曝露を原因とする疾患リスク、および環境要因への曝露とゲノムの相互作用を原因とする疾患リスクについては、解明が進... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/23 17:18
人類の眉弓の機能
 人類の眉弓の機能に関する研究(Godinho et al., 2018)が報道されました。現生人類(Homo sapiens)は、平滑で垂直な前頭部と、意思伝達に用いる眉を有しています。一方、他系統の人類の眉弓は顕著に太く、骨張っています。以前の研究では、眉弓は咬合や咀嚼の応力を防いでいるのではないか、あるいは眼窩と脳頭蓋という頭蓋の二つの異なる要素が合わさって生じたのではないか、と示唆されていました。本論文は、ザンビアで発見された300000〜125000年前頃のホモ属頭蓋カブウェ1(Kab... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/22 04:03
太田博樹『遺伝人類学入門 チンギス・ハンのDNAは何を語るか』
 ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2018年5月に刊行されました。「入門」と題するように、遺伝の仕組み、さらには集団遺伝学の基礎について解説されています。「あとがき」にあるように、必ずしも「最新の知識」・「科学の最前線」を伝えているわけではありませんが、系統樹作成の方法など、「最新の知識」・「科学の最前線」を理解するのに必要な基礎的知識が解説されており、たいへん有益だと思います。今後、再読するだけの価値の高い一冊になっています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/20 11:59
東南アジアの古代ゲノム解析
 東南アジアの古代ゲノム解析に関する研究(Lipson et al., 2018B)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。東南アジアの現代人は遺伝的・言語的に多様ですが、どのように形成されたのか、詳細はよく分かっていません。東南アジアは一般的に高温多湿なので、より寒冷なヨーロッパと比較すると、DNAの保存には適していないため古代DNA研究も遅れています。本論文は、貴重な事例となる東南アジアの古代ゲノム解析結果を報告し、東南アジアにおける人口構造の形成史を検証しました。 ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/18 05:21
ユーラシア草原地帯の人類集団史とB型肝炎ウイルス感染の痕跡
 ユーラシア草原地帯における人類集団史に関する二つの研究が報道されました。一方の研究(Damgaard et al., 2018B)は、約8000 kmに及ぶハンガリーから中国北東部までの広大なユーラシア草原地帯における、青銅器時代以降の約4000年間に及ぶ137人の古代人のDNA解析結果(平均網羅率は約1倍)を報告しています。さらにこの研究は、502人の現代人に自分の祖先の出身地(中央アジア・アルタイ・シベリア・コーカサス)を自己申告させ、そのゲノムデータを解析しました。こうして得られた知見か... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/17 17:01
レヴァントの早期上部旧石器時代の年代
 取り上げるのが遅れましたが、レヴァントの早期上部旧石器時代の年代についての研究(Alex et al., 2018)が公表されました。本論文は、55000年前頃の現生人類(Homo sapiens)化石が発見されたことで注目されている(関連記事)、イスラエルのマノット洞窟(Manot Cave)遺跡の早期上部旧石器時代の信頼性の高い年代を新たに報告し、既知のレヴァントやヨーロッパの各遺跡の早期上部旧石器時代の年代を参照・検証することで、レヴァントとヨーロッパの早期上部旧石器時代の各インダストリ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/16 18:48
ナレディの頭蓋形態
 アフリカ南部で発見されたホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)の頭蓋形態に関する研究(Holloway et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人類化石群は、ホモ属の新種ナレディと分類されました(関連記事)。その後、ライジングスター洞窟のレセディ空洞(Lesedi Chamber)においてナレデ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/15 18:51
NHKスペシャル『人類誕生』第2集「最強ライバルとの出会い そして別れ」
 第1集は当ブログで取り上げました(関連記事)。今回は第2集で、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との関係が取り上げられました。50分弱の一般向け番組でネアンデルタール人と現生人類との関係を扱うということで、単純化・簡略化されたところがあったのは仕方のないところでしょうが、時間的制約があるなかで、近年の知見が多く盛り込まれており、なかなかよかったと思います。著名な研究者や遺跡の取材もあり、映像の点でも見どころがありました。とくに... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2018/05/14 17:27
初期人類の多様性と気候の関係
 初期人類の多様性と気候の関係についての研究(Maxwell et al., 2018)が公表されました。気候が種分化・種の多様性といった人類進化の要因だった、との見解は一般的と言えるでしょう。たとえば、ホモ属出現の背景として、不安定な気候が指摘されています(関連記事)。また、290万〜240万年前頃と、190万〜160万年前頃に気候が大きく変動し、人類の進化にも大きな動きが見られた、との見解も提示されています(関連記事)。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/12 07:22
インド・ヨーロッパ語族の拡散の見直し
 おもに5500〜3500年前頃となる、内陸アジアとアナトリア半島の74人の古代ゲノムの解析結果と比較を報告した研究(Damgaard et al., 2018A)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。インド・ヨーロッパ語族の拡散については複数の仮説が提示されていますが、有力なのは、ポントス-カスピ海草原(中央ユーラシア西北部から東ヨーロッパ南部までの草原地帯)の遊牧民集団の拡散にともない、インド・ヨーロッパ語族祖語... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/11 18:38
アフリカ東部における中期石器時代〜後期石器時代への移行
 アフリカ東部における中期石器時代〜後期石器時代への移行に関する研究(Shipton et al., 2018)が報道されました。アフリカにおける中期石器時代から後期石器時代への移行は、人間の技術的・文化的・認知的進化における重要な変化との観点から激しく議論されてきました。6万〜5万年前頃にアフリカ(の一部地域)で始まる中期石器時代から後期石器時代への移行は、現生人類における認知能力の進化を伴う革命だった、との見解は根強くありますが、21世紀以降に批判が強くなり(関連記事)、近年ではあまり支持さ... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/10 19:06
日焼けと関連する遺伝的要因
 日焼けと関連する遺伝的要因についての研究(Visconti et al., 2018)が公表されました。日に焼けると、皮膚が黒くなる(皮膚の色が濃くなる)のか(サンタン)、炎症を起こして赤くなるのか(サンバーン)、個人により異なります。この研究は、日光曝露に対する各人の反応が、その遺伝的構成によってどのように決まるのかという疑問を解明するため、多数の被験者における遺伝的多様性を解析しました。これらの被験者に日焼けに関して自己申告させたところ、いつもサンバーンが起こり、サンタンが起こったことはな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/09 17:03
他者の笑顔への反応
 他者の笑顔への反応に関する研究(Martin et al., 2018)が公表されました。スピーチをする場面など、他者の評価を受ける状況において、「よかった/よくなかった」といった言語的なフィードバックのきっかけが、視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸、人体のきわめて重要なストレス応答系)を活性化させることが知られています。しかし、HPA軸が非言語的なフィードバックのきっかけに応答するかどうかを調べた研究は多くありません。本論文は、ストレスのかかる社会的状況に置かれた人が、笑顔を評価的なフィード... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/08 18:02
最終氷期極大期から完新世までの温度変動
 最終氷期極大期から完新世までの温度変動に関する研究(Rehfeld et al., 2018)が公表されました。気候変動の変化は、社会が取り組む上で、平均的な気候の変化と同じくらい重要です。最終氷期極大期と完新世の温度変動の対比からは、気候の平均的な状態とその変動の関係に関する知見が得られます。しかし、氷期〜間氷期の変動の変化は、グリーンランドについては定量化されていますが、全球的な描像はまだ得られていません。この研究は、海洋と陸上の温度の代理指標のネットワークを用いて、最終氷期極大期(210... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/05 00:00
ネアンデルタール人による石の意図的な線刻
 中部旧石器時代の層の石に刻まれた線を検証した研究(Majkić et al., 2018)が報道されました。本論文が検証対象としたのは、クリミアのキークコバ(Kiik-Koba)遺跡の中部旧石器時代の層で発見された、表面に線の刻まれた石です。キークコバは1924〜1926年にかけて調査された洞窟遺跡です。キークコバ遺跡の中部旧石器時代の石器群は上層と下層とで大きく異なり、本論文が検証対象とした石は4層で発見されました。4層は、石器インダストリーではミコッキアン(Micoquian)と... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/04 10:41
毛髪の色に関連する遺伝子
 毛髪の色に関連する遺伝子に関する研究(Hysi et al., 2018)が公表されました。ヒトにおける自然な色素沈着(たとえば、皮膚や毛髪の着色)は、2つのタイプのメラニンによって起きます。双生児の研究では、毛髪に関して、メラニンの産生と分布の大部分が遺伝的性質を有し、色の多様性の約97%が遺伝要因によることが明らかになっています。この研究は、約30万人のヨーロッパ人(黒髪・金髪・焦げ茶色の髪・薄茶色の髪・赤毛の人々)から得た遺伝的データを解析しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/04 00:00
ルソン島における70万年前頃の人類の痕跡(追記有)
 フィリピンのルソン島における70万年前頃の人類の痕跡に関する研究(Ingicco et al., 2018)が報道されました。解説記事もあります。この研究はオンライン版での先行公開となります。これまで、フィリピンにおける最古の人類の痕跡は、ルソン島のカヤオ洞窟(Callao Cave)で発見された人類の足の骨で、年代は67000年前頃と推定されています。このホモ属の足の骨は、現生人類(Homo sapiens)との類似性も指摘されているものの、種区分は確定していません。また、この足の骨に関して... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/03 11:53
北アメリカ大陸北西部の先住民集団のゲノム解析
 北アメリカ大陸北西部の先住民集団のゲノム解析結果を報告した研究(Lindo et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、カナダのブリティッシュコロンビア州とアメリカ合衆国のアラスカ州南部の海岸に居住する先住民集団であるチムシアン(Tsimshian)人25人と、同地域の6000〜500年前頃の住民25人の核DNAを解析しました。本論文は、ヒトゲノム中の全エクソンの集合体配列の分析から、人口史と遺伝的多様性を検証しました。上記報道では、研究... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/02 17:40
DHC会長独占手記「アジアの中でも唯一日本人だけがヨーロッパ人に近い民族だった」
 𠮷田嘉明DHC会長の手記が「iRONNA」に掲載されました。『ニュース女子』という情報バラエティー番組の沖縄についての報道にたいする放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議結果、およびマスコミ・法曹界・官界など現在の日本社会への不満が述べ立てられています。今回は、𠮷田会長の手記のなかでも、当ブログで頻繁に取り上げている人類進化史についての記述を取り上げます。該当箇所を以下に引用します。 ...続きを見る

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/05/01 18:57
古人類学の記事のまとめ(34)2018年1月〜2018年4月
 これは5月1日分の記事として掲載しておきます。2018年1月〜2018年4月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2018年1月〜2018年4月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/05/01 00:00
2018年度アメリカ自然人類学会総会(歯の分析によるネアンデルタール人と現生人類の食性・文化の多様性
 取り上げるのが遅れましたが、今年(2018年)4月11日〜4月14日にかけて、アメリカ合衆国テキサス州オースティン市で第87回アメリカ自然人類学会総会が開催されました。アメリカ自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での各報告の要約はPDFファイルで公表されているのですが、まだいくつかの報告を読んだだけです。とりあえず今回は、とくに興味深いと思った報告(Fiorenza et al., 2018)を取り上げます(P86)。今... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/30 06:46
ネアンデルタール人による地中海航海
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)による地中海航海の可能性について報道されました。航海が可能だったのは現生人類(Homo sapiens)のみ、と長い間考えられてきましたが、それは今でも有力説と言えるでしょう。また、食料を積み込んでの遠洋航海は農耕・牧畜の開始以降と考えられてきました。海洋を横断した直接的証拠は、4000年前頃のインドからアラビア半島の航海まで確認されていません。現生人類ではない系統の人類による渡海の事例はインドネシア領フローレス島で確認されており... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/28 10:40
現生人類とネアンデルタール人の脳構造の違いに起因する認知能力の差(追記有)
 現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の脳構造の違いに関する研究(Kochiyama et al., 2018)が報道されました。ネアンデルタール人の絶滅要因への関心は高く、さまざまな見解が提示されてきましたが(関連記事)、大きく分けると、寒冷化などといった環境説と、現生人類(Homo sapiens)との直接的・間接的競合を想定する人為説とがあります。おそらく実際には、ネアンデルタール人の各集団の絶滅理由はさまざまで、複合的だっ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/27 18:03
北アメリカ大陸の末期更新世の人類とナマケモノの足跡の解釈
 北アメリカ大陸の末期更新世の人類とナマケモノの足跡に関する研究(Bustos et al., 2018)が報道されました。本論文は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のホワイトサンズ国定記念物(White Sands National Monument)で発見された末期更新世の人類と大型地上性ナマケモノの足跡を検証しています。この足跡の年代には曖昧なところがありますが、堆積物の放射性炭素年代測定法から、非較正で15560〜10000年前頃と推定されています。アメリカ大陸に存在した人類は現生人類(H... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/27 18:01
人類進化史における直立二足歩行と木登りの能力との関係
 これは4月27日分の記事として掲載しておきます。人類進化史における直立二足歩行と木登りの能力との関係についての研究(Kozma et al., 2018)が公表されました。人類は直立二足歩行に特化し、その代償として木登りの能力は低下した(トレードオフ)、との見解は有力です。また、ホモ属出現前の人類の直立二足歩行は現代人よりも効率的ではなく、現代人よりも樹上生活に適応していた、との見解も有力です。しかし、ホモ属出現前に、アウストラロピテクス属でもおそらくはアファレンシス(Australopith... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/27 00:00
アメリカ大陸と東アジアにおいてシャベル状切歯が高頻度で見られる理由
 これは4月26日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸と東アジアにおいてシャベル状切歯が高頻度で見られる理由についての研究(Hlusko et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アメリカ大陸先住民集団と東アジア地域集団においては、他地域ではほとんど見られないシャベル状切歯が高頻度で見られます。これは、東アジアにおける数十万年(もしくは百万年)以上の継続的な人類進化の根拠だとして、現生人類(Homo sapiens)多地域進化説的な立場から... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/26 00:00
ホモ属出現前に現代人のように歩いていた人類
 366万年前頃の人類の歩行様式についての研究が報道されました。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ市で今月(2018年4月)21日〜25日にかけて開催中の実験生物学2018年度年次総会で公表されました。この研究は、タンザニアのラエトリ(Laetoli)で発見された366万年前頃の足跡を詳細に分析しました。ラエトリの足跡はアウストラロピテクス属のものと推測されており、アファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。ラエトリの足跡の分析からは、アファ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/04/24 17:22
アフリカ低緯度地帯の東西の狩猟採集民と農耕民の人口史
 これは4月24日分の記事として掲載しておきます。アフリカ低緯度地帯の東西の狩猟採集民と農耕民の人口史に関する研究(Lopez et al., 2018)が報道されました。人間の健康に有害な変異の多様性に関する研究は、感染症や自己免疫疾患のような「複雑な」疾患の危険性を高める変異の識別において重要です。こうした有害な変異の多様性は人口史の影響を受けていると予測され、人口史は生存戦略に影響を受けると考えられます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/24 00:00
新石器時代のウシの頭蓋手術?
 新石器時代のウシの頭蓋に開けられた穴についての研究(Rozzi, and Froment., 2018)が公表されました。人類史において頭蓋手術の最古の証拠は中石器時代のもので、穿頭術(頭蓋骨の層に穿孔、切断、または削り取りによって穴を開ける手術)の証拠の残る最古のヒト頭蓋骨は、過去に用いられた技術に類似した技術が使用されたことを示唆しています。この研究は、フランスのシャンデュラン(Champ-Durand)の新石器時代となる紀元前3400〜紀元前3000年頃の遺跡で発見されたウシの頭蓋骨を分... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/23 18:34
人類の影響による後期更新世以降の哺乳類の身体サイズの低下
 これは4月23日分の記事として掲載しておきます。人類の影響による後期更新世以降の哺乳類の身体サイズの低下に関する研究(Smith et al., 2018)が報道されました。日本語の解説記事もあります。ロイターでも報道されました。現在、人類の活動により大型動物が絶滅危険に陥っていることはよく知られています。本論文は、この傾向が近代以降の新しい現象なのか、それともさらに古い時代からの傾向なのか、後期更新世以降を対象に世界規模で検証しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/04/23 00:00
フロレシエンシスとさまざまな人類との頭蓋形態の比較
 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡で発見された後期更新世の人類遺骸と、さまざまな系統の人類との頭蓋形態を比較した研究(Baab et al., 2013)が公表されました。リアンブア洞窟で発見された後期更新世の人類遺骸は、ホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と分類されました。フロレシエンシスがどのホモ属から進化したのか、本論文の刊行から5年近く経過した2018年4月時点でも議論が続いてい... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/22 18:57
ヨーロッパ南部の初期現生人類の環境変動への適応
 これは4月21日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパ南部の初期現生人類(Homo sapiens)の環境変動への適応に関する研究(Riel‐Salvatore, and Negrino., 2018)が報道されました。イタリアのフレグレイ平野(Phlegrean Fields)はナポリ近郊のカルデラで、4万年前頃の大噴火によりヨーロッパの環境に大きな打撃を与えた、と推測されています。この大噴火がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)絶滅の要因になった、との見解も... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/21 00:00
オーストラリアの人類史関連のまとめ
 これは4月19日分の記事として掲載しておきます。オーストラリアへの人類の拡散など、オーストラリアの人類史関連の記事をまとめます。オーストラリア大陸は更新世の寒冷期にはニューギニア島やタスマニア島とも陸続きで、サフルランドを形成していました。オーストラリアへにおける人類の痕跡は、現時点では65000年前頃までさかのぼります(関連記事)。人類遺骸は発見されていないので、どの人類系統なのか、確定していないのですが、現生人類(Homo sapiens)である可能性が高そうです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/19 00:00
先コロンブス期におけるポリネシアとアメリカ大陸との人的交流
 これは4月14日分の記事として掲載しておきます。サツマイモ(Ipomoea batatas)のDNA解析についての研究(Muñoz-Rodríguez et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、サツマイモとその近縁種199標本から、葉緑体全領域と核の605個の単一領域のDNA解析結果を報告しています。その結果、サツマイモは近縁野生種の中でも、メキシコアサガオ(Ipomoea trifida)にのみ起源がある、と明らか... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/04/14 00:00
アラビア半島における8万年以上前の現生人類遺骸(追記有)
 これは4月11日分の記事として掲載しておきます。アラビア半島で発見された8万年以上前の現生人類(Homo sapiens)の指骨に関する研究(Groucut et al., 2018)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。現生人類の出アフリカに関しては、回数・年代・経路などをめぐって議論が続いています(関連記事)。長く有力とされてきた見解では、現生人類は10万年以上前にレヴァントにまで拡散したものの、絶滅するかアフリカに撤退して「失敗」に終わり、6万〜5万年前... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/11 00:00
NHKスペシャル『人類誕生』第1集「こうしてヒトが生まれた」
 これは4月10日分の記事として掲載しておきます。2018年4月18日放送分の感想です。『人類誕生』は3回構成とのことで、今回は直立二足歩行の始まりから現生人類(Homo sapiens)の出現までが取り上げられました。今回は全体的に、人類が逆境下でいかに生き残ってきたのか、という観点からの解説になっていました。50分弱の一般向け番組で最初期の人類から現生人類の出現までを扱うということで、かなり単純化・簡略化されたのは仕方のないところだと思います。NHKらしい迫力のあるCGはなかなかよかったと思... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/04/10 00:00
人類の拡散などチベット関連記事のまとめ
 これは4月7日分の記事として掲載しておきます。チベット関連の記事をまとめてみます。チベット高原高地帯における人類の痕跡は15000年以上前までさかのぼるものの、人類が生活していたのか、それとも短期間の野営場として利用したのか、定かではありません(関連記事)。チベット高原高地帯における農耕は3600年前頃までさかのぼり、海抜3400mにまで達しましたが、それ以前のチベット高原における農耕は海抜2500m以下に限定されていました(関連記事)。そのため、チベット高原高地帯における人類の永続的な定住年... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/07 00:00
人類到達以前に多様性が低下していたフクロオオカミのゲノム
 これは4月6日分の記事として掲載しておきます。フクロオオカミミ(Thylacinus cynocephalus)のゲノムに関する研究(Feigin et al., 2018)が報道されました。フクロオオカミ(タスマニアタイガー)は、3000年前頃までオーストラリア全域に広く分布していた大型有袋類肉食動物です。タスマニアの隔離個体群はヨーロッパ系入植者により養羊業界の脅威とみなされ、政府による駆除の対象となりました。既知の最後のフクロオオカミは、1936年にホバート動物園で死にました。進化的に離... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/04/06 00:00
ネアンデルタール人から現生人類への文化的影響
 これは4月5日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との関係についてはさまざまなことが言われていますが、非アフリカ系現代人の共通祖先がネアンデルタール人と交雑したことは今ではほぼ定説になっている、と言ってよいでしょう。もっと確実なのは、現生人類は今でも存続し、まず間違いなく、人類史上最も広範に拡散し、最大の人口を有する系統であるのにたいして、ネアンデルタール人は4万年前頃にはおおむね絶滅した系統であ... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

2018/04/05 00:00
新石器時代〜青銅器時代のヨーロッパにおける大規模な移住の性差
 これは4月4日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れてしまいましたが、新石器時代〜青銅器時代のヨーロッパにおける人類の大規模な移住の性差に関する研究(Goldberg et al., 2017)が報道されました。人類史においてはたびたび大規模な移住が見られますが、性別の偏りが伴っている場合もあります。たとえば、ヨーロッパ勢力がアメリカ大陸へと侵出していったさいには、さまざまな証拠から、単身男性に偏っていたと考えられています(関連記事)。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/04/04 00:00
未発達な青年期における脳領域の接続
 青年期における脳領域の接続に関する研究(Insel et al., 2017)が公表されました。これまで、成人を対象とした研究から、報酬が優れた動機付けとなる場合があり、本人にとって重要性の高い目標が設定されれば、一層の努力をなされることが明らかになっています。しかし、同じことが青年期の男女にも当てはまるのか、不明でした。この研究は、13〜20歳の被験者に対して「惑星タスク(Planets Task)」という認知機能検査を実施しました。このタスクでは、被験者には提示された惑星の画像を正しく分類... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/03/31 00:00
先コロンブス期のアマゾン川流域の人類の居住(追記有)
 これは3月30日分の記事として掲載しておきます。先コロンブス期のアマゾン川流域の人類の居住に関する研究(Souza et al., 2018)が報道されました。この研究は、人工衛星画像を用いて、アマゾン川の支流となる、ブラジルのタパジョース(Tapajós)川上流域を調査し、81ヶ所の考古遺跡と合計104ヶ所の土工事の遺構を新たに発見しました。この研究は、そのうちの24ヶ所の遺跡で地盤調査を行ない、陶磁器・研磨された石斧・人為起源の黒色土(先コロンブス期のタイプの施肥土壌)・貝塚(家... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/03/30 00:00
既知のネアンデルタール人化石での新たな発見
 これは3月29日分の記事として掲載しておきます。既知のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石の新たな分析結果を報告した研究(Gómez-Olivencia et al., 2018)が報道されました。本論文が分析したのは、1902年にフランスのドルドーニュ県(Dordogne)のラフェラシー(La Ferrassie)遺跡で発見された、54000〜40000年前頃と推定されているラフェラシー1(La Ferrassie 1)です。ラフェラシー1はおそらく... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/29 00:00
農耕の起源と拡散
 これは3月28日分の記事として掲載しておきます。農耕の起源と拡散については当ブログでも度々取り上げてきましたが、一度それらを短くまとめてみます。本当は、当ブログで取り上げた記事を網羅し、整理したうえで、新たに本・論文を読まなければならないところですが、今はそこまでの気力はないので、まずはさほど時間を要さずにできることからやっていき、気力を高めていこう、と考えています。 ...続きを見る

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/28 00:00
生物学的侵略者としてのネアンデルタール人とデニソワ人
 これは3月27日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、現生人類(Homo sapiens)だけではなく、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とデニソワ人(Denisovan)も生物学的侵略者として把握し、概観した研究(Hawks., 2017B)が公表されました。デニソワ人は、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)でのみ確認されている、ネアンデルタール人と近縁な後期ホモ属の分類群です(関連記事)。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/27 00:00
じゅうらいの想定よりもはるかに東方で確認されたムステリアン様石器群
 これは3月26日分の記事として掲載しておきます。中華人民共和国内モンゴル自治区の金斯太(Jinsitai)洞窟遺跡の石器群に関する研究(Li et al., 2018)が公表されました。以前より、中国では下部・中部・上部というヨーロッパを基準とした旧石器時代の3区分法の適用は妥当ではなく、前期と後期という2区分が適切ではないか、との見解が提示されていました(関連記事)。本論文は、現時点では中国の大半において旧石器時代の2区分法が妥当ではあるものの、金斯太洞窟遺跡石器群は中部旧石器となるムステリ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/26 00:00
後期ネアンデルタール人の新たなゲノム配列(追記有)
 これは3月23日分の記事として掲載しておきます。後期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の新たなゲノム配列についての研究(Hajdinjak et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。古代DNA研究を制約しているのは、時間経過と、微生物および現代人のDNAによる試料汚染です。時間経過に関しては、環境が大きな要因となっており、同じくらい古い年代でも、高温多湿環境よりも寒冷乾燥環境の方がDNAは多く保存されています。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/03/23 00:00
中央アナトリア高原における初期農耕の伝播
 これは3月22日分の記事として掲載しておきます。中央アナトリア高原における初期農耕の伝播に関する研究(Baird et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。南西アジアの「肥沃な三日月地帯」は、紀元前10世紀〜紀元前9世紀という、世界でも最初期に農耕の始まった地域です。ここから周辺地域にどのように農耕が伝播したのか、本論文は検証しています。かつては、狩猟採集から農耕・牧畜への移行は移住民を伴い短期間だった、と考えられていましたが、本論文の提示する見... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/22 00:03
儒教と近代化
 これは3月22日分の記事として掲載しておきます。先月(2018年2月)、井沢元彦氏について述べた記事で、儒教と近代化の関係を少しだけ述べました。儒教は近代化を阻む要因として指弾されることが多いものの、日本の近代化で朱子学をはじめとして儒教が果たした役割を重視する見解も提示されている、と述べたわけですが、過去に当ブログで取り上げておきながら、その記事で言及し忘れたことがあるので、この記事を追記とします。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/03/22 00:01
ネアンデルタール人の航海
 これは3月22日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)による航海の可能性を指摘した研究(Ferentinos et al., 2012)が公表されました。以前から読もうと思っていた研究なのですが、怠惰な性分なので後回しにしてしまい、先にホモ属の言語能力と航海能力についての報道を取り上げることになってしまいました(関連記事)。時機を逸した感はありますが、重要と思われる研究なので、取り上げるこ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

2018/03/22 00:00
現生人類とデニソワ人との複数回の交雑
 これは3月20日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)と種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)との交雑に関する研究(Browning et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。デニソワ人については、昨年(2017年)、情報を一度整理してみました(関連記事)。現生人類とデニソワ人との交雑は今では広く認められており、現代人におけるデニソワ人の遺伝的影響は、オセアニア系、とくにパプア人でとくに高く、東アジ... ...続きを見る

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/20 00:04
アフリカ北部の15000年前頃の現生人類のDNA解析
 これは3月20日分の記事として掲載しておきます。アフリカ北部の15000年前頃の現生人類のDNA解析に関する研究(Loosdrecht et al., 2018)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。日本語の解説記事もあります。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、モロッコのタフォラルト(Taforalt)の近くにあるピジョン洞窟(Grotte des Pigeons)で、ビーズや動物の骨が供えられて埋葬されていた現生人類(Homo sapi... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/20 00:03
中世初期のバイエルンに見られる移住の性差
 これは3月20日分の記事として掲載しておきます。中世初期のバイエルンに見られる移住の性差に関する研究(Veeramah et al., 2018)が報道されました。ローマ帝国西方の衰退・崩壊の頃から始まる、いわゆる民族大移動の期間の6世紀中頃には、現在のバイエルンにバヨヴァリー(Baiuvarii)族と呼ばれる集団が存在していた、と文献記録に見えます。バヨヴァリー族はローマ帝国辺境の住民とドナウ川北部の住民との混合により形成された、と考えられています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/20 00:02
渡邉美樹参院議員には「人として大切なものが欠落している」のか
 これは3月20日分の記事として掲載しておきます。表題は最近私のネット環境ではよく見かける人の発言で、「正直言って渡辺美樹氏は議員として以前に、人として大切なものが欠落しているとしか思えないのです。そして彼を公聴会で質疑させた自民党に対しても、同じようにしか思えないのです」とのことです。これまでのさまざまな報道からは、渡邉美樹氏が他者への共感を欠いているように思われますが、実のところ私も、強く確信しているとまでは言わないとしても、そうしたところが多分にあるのは多分間違いないだろう、と考えています... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/20 00:01
アフリカ東部における中期石器時代の始まりと「現代的行動」
 これは3月20日分の記事として掲載しておきます。アフリカ東部における中期石器時代の始まりに関する3本の論文が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。これら、中期石器時代の始まりと環境変動の関係についての研究(Potts et al., 2018)と、前期石器時代となるアシューリアン(Acheulean)から中期石器時代への移行年代に関する研究(Deino et al., 2018)と、中期石器時代最初期における「現代的行動」に関する研究(Brooks et al.... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/20 00:00
新石器時代〜青銅器時代のイベリア半島の人類史
 これは3月19日分の記事として掲載しておきます。新石器時代〜青銅器時代のイベリア半島の人類のゲノム解析結果を報告した研究(Valdiosera et al., 2018)が報道されました。完新世の先史時代ヨーロッパにおいては、大きな移住の波が二つありました。一つは西アジア起源の農耕民集団で、アナトリア半島を経由してヨーロッパに拡散し、ヨーロッパに初めて農耕をもたらしました。大まかな傾向としては、更新世からのヨーロッパ在来の狩猟採集民集団は東方からの初期農耕民集団にゆっくりと同化されていったもの... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/19 00:00
ネアンデルタール人社会における負傷からの回復についての解釈
 これは3月17日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)社会における負傷からの回復を再評価した研究(Spikins et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人負傷者の回復事例は、これまでに少なからず報告されてきました。そのためネアンデルタール人は、現生人類(Homo sapiens)とも共通する、他者を世話するような感情機構を有していたのではないか、と解釈されてきました。 ... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/17 00:00
アフリカ南部におけるトバ噴火の影響(追記有)
 これは3月16日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部におけるトバ噴火の影響を検証した研究(Smith et al., 2018)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。74000年前頃となるスマトラ島のトバ噴火は、火山灰のような微小物質の大量噴出と効果による冷却効果などにより生態系に大きな影響を与え、現生人類(Homo sapiens)も含めて人類は激減した、とのトバ大惨事仮説(トバ・カタストロフ理論)が提示... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/03/16 00:00
「白人」のご都合主義によるネアンデルタール人の評価の好転?
 これは3月15日分の記事として掲載しておきます。今ではネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との間で交雑があった、との見解が有力となっていますが、たとえば、2007年11月刊行の河合信和『ホモ・サピエンスの誕生』からも窺えるように(関連記事)、かつては交雑否定説が有力でした。とくに、現生人類アフリカ単一起源説でも完全置換説が優勢だった1997〜2010年頃には、交雑否定説がほぼ確定的に扱われていることが多かったように記憶しています... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/03/15 00:00
後期ホモ属の進化史における系統樹と交雑
 これは3月12日分の記事として掲載しておきます。近年の古代DNA研究の大きな進展により、後期ホモ属の進化に関する理解はたいへん深まったように思います(関連記事)。そこで、古代DNAが解析されている後期ホモ属について、一度系統・交雑関係をまとめてみます。おもに対象となるのは、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のデニソワ人(Denisovan)とスペイン北部の通称「骨の穴(Sima de los Huesos)洞窟」遺... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2018/03/12 00:00
人間の協力の進化
 これは3月9日分の記事として掲載しておきます。人間の協力の進化に関する研究(Santos et al., 2018)が公表されました。弱肉強食の世界で利他主義がどのように進化したのか、解明する探求で生まれた全てのスキームの中で、間接互恵性は最も複雑なものとされています。間接互恵性とは、行為者が、後に第三者から報酬が与えられることを期待して、離反者を罰して自らがコストを背負う場合があるというもので、これには道徳的な選択が必要であり、第三者の応答は行為者および離反者の評判によって左右されます。その... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/03/09 00:00
ヒツジとヤギの家畜化過程の違い
 これは3月8日分の記事として掲載しておきます。ヒツジとヤギの家畜化過程の違いに関する研究(Alberto et al., 2018)が公表されました。これまでにさまざまな家畜が、従順さ・成長の速さ・スタミナといった特定の形質を定着させるために選択的に交配されてきました。ヒツジの野生原種であるアジアムフロン(Ovis orientalis)とヤギの野生原種であるパサン(Capra aegagrus)は、それぞれ10500年前頃に中東(具体的にはアナトリア南東部とイランのザグロス山脈)で家畜化され... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/08 00:00
縄文時代と現代日本
 これは3月7日分の記事として掲載しておきます。一つ前の記事で取り上げた、バヌアツにおける人類集団の形成史に関する研究は、日本列島における人類集団の遺伝的構成の変遷と言語の形成過程に関する議論にも参考になりそうだという点でも、大いに注目されます(関連記事)。日本列島の人類史における縄文時代の位置づけについては、まだ不明なところが多分にある、と言わざるを得ないでしょう。現代日本社会の「愛国的な見解」においては、縄文時代から現代まで継続する一貫した「日本」が措定され、現代日本社会の「確たる基盤・源流... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 2 / コメント 0

2018/03/07 00:00
バヌアツの人類集団の形成史
 これは3月6日分の記事として掲載しておきます。バヌアツの人類集団の形成に関する二つの研究が公表され、報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。これらの研究はオンライン版での先行公開となります。これら二つの研究は、バヌアツやその周辺地域の人類の古代および現代のDNAを解析し、ゲノム規模のデータを得て、バヌアツの人類集団の変遷を検証しています。両方の新研究の間で共通認識もあるものの、相違も見られます。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/03/06 00:00
アフリカ南部の人類の足跡
 これは3月3日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部の人類の足跡に関する研究(Helm k et al., 2018)が公表されました。本論文が分析したのは、南アフリカ共和国西ケープ州南岸のケープ・サウス・コースト地域で発見された人類の足跡です。足跡は、当時の人類の移動様式や社会構造を解明するうえで重要な手がかりとなります。アフリカ南部は、現生人類(Homo sapiens)の起源をめぐる議論において重要な地域の一つです。この遺跡では、最大40個の人類の足跡が確認されました。その多くは、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/03/03 00:00
性回路を形成する社会行動
 これは3月2日分の記事として掲載しておきます。性的行動にたいする社会経験の影響を検証した研究(Remedios et al., 2017)が公表されました。研究室での動物の実験的学習行動のほとんどでは、成績向上に訓練を必要とし、動物が課題を習得するにつれて神経回路と神経集団が変化します。一方、全ての動物には一連の生得的行動が備わっており、こうした行動は訓練なしに実行可能ですが、その回路が経験に影響されるか否かは、明らかになっていませんでした。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/03/02 00:00
完新世の気候の変化傾向
 完新世の気候の変化傾向に関する研究(Marsicek et al., 2018)が公表されました。過去11700年間の完新世における気候の変化傾向については、まだ議論が続いています。過去2000年の大半の期間における寒冷化は広く認識されており、これは完新世における全球気温の支配的な変化傾向であると推測されています。しかし、長期的な寒冷化と全球の強制力を一致させることは難しく、気候モデルでは、一貫して長期的な温暖化がシミュレートされています。たとえば、日射の既知の変化を強制力として与えた気候モデ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/28 17:47
最終氷期〜間氷期の移行期における全球平均海水温
 最終氷期〜間氷期の移行期における全球平均海水温についての研究(Bereiter et al., 2018)が公表されました。過去の海水温を再構築する手法は多くありますが、こうした手法の大半は、特定の深さや季節の研究にしか使用できないか、複雑であまり解明されていない生物学的過程に基づいています。この研究は、氷床コア中の希ガスを用いて、最終氷期極大期から初期完新世(2万〜1万年前頃)の平均海水温を高分解能で再構築しました。その結果、この期間に全球平均海水温が2.57 ± 0.24°C上昇し、南極の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/28 17:46
氷床と火山活動の関係
 氷床と火山活動の簡潔についての研究(Muschitiello et al., 2017)が公表されました。火山の噴火と大気中への火山灰の放出は、一般に気候に対する冷却効果がありますが、火山活動が古い氷床にどのような影響を及ぼすのかについては、ほとんど分かっていません。こうした強制力に対する氷床の応答を解明することは、海水準上昇に対する氷床の融解の寄与可能性をよく理解する上で重要となります。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/28 17:46
ネアンデルタール人の洞窟壁画との見解に懐疑的な報道
 これは2月27日分の記事として掲載しておきます。6万年以上前となる、イベリア半島のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)が描いたと考えられる洞窟壁画を報告した研究(関連記事)は、日本でも大きな話題を呼んでいるようです。この研究と同じ頃に公表された、イベリア半島における貝殻と顔料の使用(関連記事)からも、ネアンデルタール人の象徴的行動は確実になった、と主張されています。しかし、ネアンデルタール人について検索していて見つけたブログ記事では、独特なネアンデルタール人論(関連... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/27 00:00
野生の馬はもう存在していなかった
 これは2月26日分の記事として掲載しておきます。馬の古代ゲノムを解析・比較した研究(Gaunitz et al., 2018)が報道されました。AFPでも報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。馬の家畜化については議論が続いていますが、5700〜5100年前頃となる、カザフスタン北部のボタイ(Botai)文化が、馬の家畜化の確実な証拠としては最古になる、との見解が提示されています(関連記事)。ボタイ遺跡の動物の骨の95%以上は馬で、馬の利用に特化した生活様式だったようです... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/02/26 00:03
11万年以上前になるネアンデルタール人による貝殻と顔料の象徴的使用
 これは2月26日分の記事として掲載しておきます。イベリア半島の中部旧石器時代の遺跡における貝殻と顔料の年代に関する研究(Hoffmann et al., 2018B)が公表されました。本論文は、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の洞窟壁画に関する論文(関連記事)と一対になって、ネアンデルタール人の認知能力が現生人類と同等だったと主張している、と言えるでしょう。本論文は、以前にも中部旧石器時代の遺跡として取り上げられた(関連記事)、スペイン南東部の「航空機洞窟(Cu... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/02/26 00:01
ネアンデルタール人の洞窟壁画(追記有)
 これは2月26日分の記事として掲載しておきます。現時点では世界最古となる洞窟壁画についての研究(Hoffmann et al., 2018A)が報道されました。『サイエンス』の サイトには解説記事が掲載されています。朝日新聞でも報道されています。洞窟壁画の年代測定は、そのほとんどにおいて残留有機物が欠けており放射性炭素年代測定法が適用できないため、たいへん困難でした。しかし、21世紀になって、炭酸塩をウラン-トリウム法で測定することにより、飛躍的に発展しました。地下水が洞窟の壁に浸み込むさいに... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 2

2018/02/26 00:00
紀元前12000〜紀元前500年頃のヨーロッパにおける人間と文化の拡散(追記有)
 これは2月23日分の記事として掲載しておきます。紀元前12000〜紀元前500年頃のヨーロッパにおける人間と文化の拡散に関する二つの研究が報道(報道1および報道2および報道3)されました。これらの研究はオンライン版での先行公開となります。一方の研究(Olalde et al., 2018)は、鐘状ビーカー複合(Bell Beaker Complex)の拡散が地域により異なる様相だったことを明らかにしています。鐘状ビーカー複合は、定型化した鐘状ポット・銅製短剣・矢尻・石製のリストガード・独特な穴... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/02/23 00:02
カリブ海地域の人類集団における遺伝的連続性
 これは2月23日分の記事として掲載しておきます。カリブ海地域の人類集団における遺伝的連続性についての研究(Schroeder et al., 2018)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。カリブ海地域は、アメリカ大陸のなかでも人類の拡散が遅かった地域の一つです。カリブ海地域の先住民であるタイノ人(Taino)は、先コロンブス期末期には大アンティル諸島および北部小アンティル諸島に居住しており、バハマではルーカヤン人... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/02/23 00:01
エレクトスの航海と言語能力
 これは2月23日分の記事として掲載しておきます。ホモ属の言語能力に関する見解が報道されました。これは、『言語はいかに始まったのか(未邦訳)』という昨年(2017年)11月に刊行された本(Amazon)の著者である、エヴェレット(Daniel Everett)氏の見解です。言語の起源という難問に挑んだ意欲作ということで、いつかは読まねばならない本なのでしょうが、素養は皆無に近い言語学の本を原書で読むのは私の能力からして厳しそうなので、邦訳を待つことにします。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2018/02/23 00:00
異なる石器伝統と共存していたスペイン北西部の中期更新世のアシューリアン
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。スペイン北西部の中期更新世のアシューリアン(Acheulean)石器群に関する研究(Méndez-Quintas et al., 2018)が報道されました。ヨーロッパにおけるアシューリアンの起源に関しては、スペイン南東部の90万年前頃の事例(関連記事)など、前期更新世までさかのぼる、との見解も提示されています。しかし本論文は、中期更新世となる海洋酸素同位体ステージ(MIS)12以前のヨーロッパにおけるアシューリアンと主張されている事例... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/20 00:00
現生人類の自己家畜化
 これは2月17日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の自己家畜化に関する研究(Theofanopoulou et al., 2017)が報道されました。現生人類は自己家畜化した種だ、との見解はそれなりに浸透しているように思います。この研究は、ゲノム比較により、現生人類自己家畜化仮説を検証しています。対象となったのは、イヌ(Canis familiaris)やネコ(Felis catus)やウマ(Equus caballus)やウシ(Bos taurus)といった... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/17 00:00
70万年前頃の人類の足跡と生活
 これは2月16日分の記事として掲載しておきます。70万年前頃の人類の足跡に関する研究(Altamura et al., 2018)が報道されました。この研究は、エチオピアのアワッシュ川上流のメルカクンチュレ(Melka Kunture)層のゴンボレII-2(Gombore II-2)遺跡で発見された足跡を分析しています。ゴンボレII-2遺跡では、この足跡の層よりも下層でホモ属遺骸が発見されており、アフリカにおけるエルガスター(Homo ergaster)からハイデルベルゲンシス(Homo he... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/02/16 00:00
10万年以上前のアメリカ大陸における人類の痕跡との見解への批判
 これは2月15日分の記事として掲載しておきます。昨年(2017年)、北アメリカ大陸南西部で10万年以上前の人類の痕跡が確認された、との見解が提示されましたが(関連記事)、それにたいするさまざまな批判について報道されました。10万年以上前の人類の痕跡との見解は、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部のサンディエゴ市近郊のセルティマストドン(Cerutti Mastodon)遺跡で発見された、単一のマストドン(Mammut americanum)の断片的な遺骸に基づいています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/15 00:00
狩猟の違いがもたらしたかもしれない現生人類とネアンデルタール人の芸術活動の違い
 これは2月12日分の記事として掲載しておきます。狩猟の違いが、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の視覚表現の違いに影響した可能性を論じた研究(Coss., 2018)が報道されました。現生人類は投槍を用いて狩猟を行ない、じゅうらいより安全に大型動物を狩ることができるようになりましたが、サハラ砂漠以南のアフリカにおける投槍の起源は279000年以上前までさかのぼる可能性があります(関連記事)。投槍は投槍器を用いることでさらなに威... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/02/12 00:00
濃い肌の色と青い目の1万年前頃のブリテン島の人類
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。1万年前頃のブリテン島の人類の復元像について報道され、日本でも話題になっているようです。これは、1903年にイギリス南西部のサマーセット州チェダー渓谷(Cheddar Gorge)のゴフ洞窟(Gough's Cave)で発見された、1万年前頃の人類(男性)の男性の復元像です。1万年前頃の「イギリス(ヨーロッパ)人」が、濃い肌の色と青い目だったということで、日本では、白人至上主義者の反応に関心を示すなど、人種差別主義的な観点からこの報道に興味を抱い... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/10 00:00
トバ大噴火のアフリカ東部における影響は限定的
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。74000年前頃のスマトラ島のトバ大噴火のアフリカ東部における影響を検証した研究(Yost et al., 2018)が報道されました。トバ大噴火による6年もの冷却効果(火山の冬)の影響は広範囲に及び甚大で、現生人類(Homo sapiens)の有効な集団規模は10000人以下にまで減少し、その後に急速に人口が増加するという、ボトルネック(瓶首効果)が生じたのではないか、とのトバ大惨事仮説(トバ・カタストロフ理論)が提示されており、一般層にも広く浸... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/02/09 00:00
イタリアで発見された中期更新世後期の木製道具
 これは2月8日分の記事として掲載しておきます。中央イタリアのトスカーナ州グロッセート市のポゲッチヴェッチ(Poggetti Vecchi)で発見された木製道具に関する研究(Aranguren et al., 2018)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ポゲッチヴェッチでは、温水プールの建設工事中の2012年に、58本の木製棒・約200点の石器・おもに絶滅した象(Palaeoloxodon antiquus)から... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/02/08 00:00
チンパンジーとゴリラのナックル歩行は収斂進化
 これは2月6日分の記事として掲載しておきます。現代人も含めた霊長類の大腿骨を比較した研究(Morimoto et al., 2018)が報道されました。日本語の解説記事もあります。現代人と最も近縁な現存生物は大型類人猿です(現代人も大型類人猿の1種と言えますが)。現生大型類人猿で現代人と近縁なのはチンパンジー属(Pan)で、その次がゴリラ属(Gorilla)、その次はオランウータン属(Pongo)です。つまり、現代人・チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの最終共通祖先からまずオランウータン系統... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/02/06 00:00
南アジアにおける中部旧石器文化的石器(追記有)
 これは2月5日分の記事として掲載しておきます。南アジアにおける中部旧石器文化的石器についての研究(Akhilesh et al., 2018)が報道されました。これまで、南アジアにおける下部旧石器時代のアシューリアン(Acheulian)から中部旧石器時代への移行は14万〜9万年前頃に起きたと考えられており、アフリカ起源の現生人類(Homo sapiens)のユーラシアへの早期拡散と関連づけられていました。この研究は、インド南東部のチェンナイ市から60km離れたアッティラムパッカム(Attir... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/02/05 00:00
中石器時代〜青銅器時代の北ヨーロッパの人類の古代DNA解析
 これは2月3日分の記事として掲載しておきます。中石器時代〜青銅器時代の北ヨーロッパの人類のDNA解析に関する研究(Mittnik et al., 2018)が報道されました。この研究は、北ヨーロッパにおける中石器時代〜青銅器時代の人類遺骸のDNAを解析し、バルト海地域における人類集団の移住と継続性について検証しています。対象となるのは、較正年代では紀元前7500〜紀元前500年前頃の106人の人類遺骸です。このうち、41標本のDNAの保存状態は良好で、38標本でゲノム規模の一塩基多型解析データ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/02/03 00:00
現生人類の脳の形状の進化
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の脳の形状の進化に関する研究(Neubauer et al., 2018)が報道されました。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など絶滅した古代型ホモ属と現代人の脳の形状の重要な違いは、現代人の脳の球状性です。現代人の脳は球状というか、高さがあり額が目立つようになっている一方で、古代型ホモ属の脳は前後に長く、平坦というか低い形状になっています。このような違いは胎児期および誕生後初期に... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/31 00:00
古代DNA解析に基づく更新世ユーラシアの現生人類史
 これは1月30日分の記事として掲載しておきます。古代DNA解析に基づき、おもに更新世ユーラシアの現生人類史を検証した研究(Yang, and Fu., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。近年では古代DNAの解析数は着実に増加しており、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など更新世に絶滅した古代型ホモ属とは異なり、完新世も対象になることから、現生人類の古代DNAの解析数は激増していると言えるでしょう(関連記事)。この研究は、おも... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2018/01/30 00:00
森恒二『創世のタイガ』第2巻(講談社)
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。本書は2018年1月に刊行されました。第1巻がたいへん面白かったので、第2巻も楽しみにしていました。第2巻後半では、主人公のタイガとネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との格闘が描かれました。その分、タイガの仲間たちの出番は減り、青春群像劇的な性格は第1巻よりも弱くなっていたのですが、タイガとネアンデルタール人との格闘およびタイガのサバイバルドラマとしての性格が強くなっており、マンモスなどの大型動物はとくにそうですが、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/28 00:00
アフリカ外最古の現生人類化石(追記有)
 これは1月27日分の記事として掲載しておきます。レヴァントの早期現生人類(Homo sapiens)化石に関する研究(Hershkovitz et al., 2018)が報道されました。読売新聞でも報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。現生人類アフリカ単一起源説は、今では通説として認められていますが、現生人類の出アフリカの回数・年代・経路などをめぐっては議論が続いています(関連記事)。これまで、現生人類の出アフリカは12万年前頃までさかのぼる、との見解が有力でし... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/27 00:00
物語を巧みに話せることの効用
 これは1月26日分の記事として掲載しておきます。物語を巧みに話せることの効用に関する研究(Smith et al., 2017)が公表されました。物語を語るという行為は人間社会のどこにでも存在し、貴重な知識の発信方法だと考えられています。しかし、物語を語ることの具体的な効用を明らかにするのは難しい場合があります。この研究は、フィリピンの先住民族であるアイタ(Agta)の社会において物語を語ることが、個人と集団にどのような利益をもたらしているのか、調べました。その結果、昔から語られている物語のテ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/26 00:00
反社会的個体にたいする懲罰感情の起源
 これは1月25日分の記事として掲載しておきます。チンパンジーとヒトの懲罰感情に関する研究(Mendes et al., 2018)が公表されました。過去の研究では、ヒトも一部の動物も、害を被る他者を見ると共感的な苦痛を感じて心配することが報告されています。しかし成人については、罰を受けるに値する者や、反社会的な行動を取った者が害を受けるさいには、喜びの感情を覚えることも分かっています。この研究は新たな実験を考案し、懲罰が行われる状況を子供が見たいという動機を発達させる時期と、同様の動機がヒトに... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/25 00:00
人類史における弔意の起源(橋本琴絵氏公認アカウントのネアンデルタール人論)
 これは1月24日分の記事として掲載しておきます。昨年(2017年)の衆院選で広島県第5区に希望の党から立候補した橋本琴絵氏(得票率21.7%、惜敗率32.4%で落選)の公認らしいTwitterアカウント(以下、橋本氏と省略します)が、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)について色々と呟き(関連記事)、それなりに話題になりました。遺伝子とさまざまな認知能力との関連は、もちろん環境も大きく影響してくるのでたいへん複雑であり、現時点では不透明なところが多分にある、と言わざ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/24 20:00
更科功『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか』
 これは1月21日分の記事として掲載しておきます。NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2018年1月に刊行されました。本書は、ヒト(現代人)の変わった特徴はなぜ進化したのか、人類のなかでなぜヒトだけが生き残ったのか、という観点から人類進化史を検証しています。本書は、初心者向けの人類進化史の概説というよりは、ある程度人類進化について知った一般層が、さらに詳しく知るために読むべき手がかりという位置づけのように思われます。本書は近年までの研究成果を踏まえつつ、興味深い論点を検証しており、人類進化... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/21 00:00
レッテル貼りの作用
 これは1月20日分の記事として掲載しておきます。レッテル貼りの作用に関する研究(Mace et al., 2018)が公表されました。「魔女である」と名指しするといった、個人を仲間外れにするような否定的なレッテルには、人間社会において長く広範囲に及ぶ歴史があるものの、その社会的な機能はよく分かっていません。魔女のレッテルは、レッテルを貼られた者が信用できない人、あるいは協力的でない人であるという印をつけるために使われていると示唆する研究もあれば、そうしたレッテルは、競争相手の意志をくじくように... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/20 00:00
ネアンデルタール人的特徴と祖先的特徴を有する中期更新世のフランスの下顎
 これは1月19日分の記事として掲載しておきます。フランスのオート=ガロンヌ県(Haute Garonne)のモンモラン(Montmaurin)のラニッチェ(La Niche)洞窟(以下、MLNと省略)で1949年に発見された、中期更新世のホモ属下顎についての研究(Vialet et al., 2018)が報道されました。当初、MLNの年代は「ミンデル-リス(Mindel-Riss)」間氷期と推定されました。「ミンデル-リス」間氷期は、海洋酸素同位体ステージ(MIS)11〜9(42万〜30万年前... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/19 00:00
強力な侵略種としての現生人類
 これは1月18日分の記事として掲載しておきます。「史上最強の侵略種ホモ・サピエンス」と題する記事がかつて『日経サイエンス』に掲載されましたが(関連記事)、確かに、現生人類(Homo sapiens)が強力な侵略種であることは否定できないでしょう。その記事では、現生人類の拡散に伴い、(直ちにというわけではないとしても)ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった現生人類と同じくホモ属の種(もしくは分類群)が絶滅し、現生人類... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/18 00:00
初期人類の進化とチンパンジー・ゴリラ
 これは1月15日分の記事として掲載しておきます。現生種で現代人と最近縁なのはチンパンジー属(Pan)で、チンパンジー(Pan troglodytes)とボノボ(Pan paniscus)の2種に区分されています。次に現代人と近縁な現生種はゴリラ属(Gorilla)の各種で、その次に近縁なのはオランウータン属(Pongo)の各種です。現代人・チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの最終共通祖先からまずオランウータン系統が、次に現代人・チンパンジーの共通祖先系統とゴリラの祖先系統が、その次に現代人の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/15 00:00
後藤明『世界神話学入門』
 これは1月14日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社から2017年12月に刊行されました。遺伝学を中心に考古学・言語学などの諸研究成果から、現生人類(Homo sapiens)がアフリカから世界中にどのように拡散したのか、次第に明らかになりつつあります。世界神話学とは、世界の遠く離れた地域同士の神話の類似性(たとえば、日本神話とゲルマン神話)を、現生人類拡散の様相から説明する仮説です。この仮説自体は以前に報道で知りましたが、具体的な内容をほとんど知らなかったので、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/14 00:00
フェニキア人のmtDNA解析
 これは1月13日分の記事として掲載しておきます。フェニキア人のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析についての研究(Matisoo-Smith et al., 2018)が報道されました。フェニキア人は紀元前1800年頃に北部レヴァントに出現し、紀元前9世紀までには地中海全域に拡散していました。しかし、フェニキア人の情報はおもにギリシアとエジプトの記録に依拠しており、そこには偏りが生じているかもしれません。本論文は、サルデーニャ島とレバノンのフェニキア人およびフェニキア人出現前の住民の古代mt... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/13 00:00
スカンジナビア半島の初期人類集団の遺伝的構成
 これは1月12日分の記事として掲載しておきます。スカンジナビア半島の初期人類集団の遺伝的構成に関する研究(Günther et al., 2018)が報道されました。スカンジナビア半島は、ヨーロッパで最後に人類が進出した地域です。27000〜19000年前頃となる最終最大氷期(LGM)の期間で、スカンジナビア半島においては23000年前頃に氷床が後退し始め、植物や動物が再度拡散してきました。スカンジナビア半島では、北部でも南部でも、11700年前頃より人類の居住の痕跡が継続的に確認さ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/12 00:00
「原始社会」母系制論と唯物史観
 これは1月11日分の記事として掲載しておきます。以前にも述べましたが(関連記事)、人類の「原始社会」は母系制だった、という見解は根強いように思います。この見解の根源はモルガンやバッハオーフェンにあるとしても、広範に浸透した直接的契機は、唯物史観というか、エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』にあるのではないか、と思います。もっとも、私はこの問題に関する学説史をほとんど把握していないので、あるいは的外れなことを言っているかもしれませんが、とりあえず、私の認識が大外れではないと仮定して、以下に述... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 4

2018/01/11 00:00
アウストラロピテクス属の出現より前の人類進化についてのまとめ
 これは1月10日分の記事として掲載しておきます。今年(2018年)は、このブログで取り上げてきた古人類学関連の記事を整理していこう、と考えています。人類進化について私見をまとめてからもう10年近く経過しましたから(関連記事)、そろそろ情報を整理し、理解しやすくしよう、というわけです。これまでにも、対象を限定して、そうした目的でいくつかまとめ記事を掲載してきました。いきなり人類進化史全体を見通した情報整理は難しいので、これまでのように対象を限定したまとめ記事を掲載していくつもりです。何とか今年中... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/10 00:00
Adam Rutherford『ゲノムが語る人類全史』
 これは1月7日分の記事として掲載しておきます。アダム=ラザフォード(Adam Rutherford)著、渡会圭子訳、垂水雄二解説で、文藝春秋社より2017年12月に刊行されました。原書の刊行は2016年です。本書は人類進化史をゲノムの観点から概観しています。本書がおもに対象とするのは、現生人類(Homo sapiens)がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と交雑した後期更新世〜現代までとなり、文字記録の残る歴史時代にもかなりの分量を割いているのが特徴です。解説でも... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/07 00:00
更新世末期のアラスカの幼児のゲノム解析
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。更新世末期のアラスカの幼児のゲノム解析に関する研究(Moreno-Mayar et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アメリカ大陸への人類最初の移住はベーリンジア(ベーリング陸橋)経由だった、と現在では広く認められています。しかし、その時期と具体的な過程については、議論が続いています。この研究は、アラスカのアップウォードサン川(Upward Sun River)で発見された、放射性炭素年代測定法によ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2018/01/05 00:00
古人類学の記事のまとめ(33)2017年9月〜2017年12月
 これは1月2日分の記事として掲載しておきます。2017年9月〜2017年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2017年9月〜2017年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2018/01/02 00:00
2017年の古人類学界
 これは12月29日分の記事として掲載しておきます。あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2017年)も古人類学界について振り返っていくことにします。今年の動向を私の関心に沿って整理すると、以下のようになります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/12/29 00:00
川端裕人『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』
 これは12月24日分の記事として掲載しておきます。川端裕人著、海部陽介監修で、講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2017年12月に刊行されました。本書はおもに著者の監修者へのインタビューで構成されています。そのため、本書の見解は基本的に監修者の見解となります。監修者の見解すべてが有力説になっているわけではないので、異論も少なからずあるかもしれませんが、全体的に読みやすく、著者が発掘現場・研究室を訪れて描写しているため臨場感があり、興味深い一般向け書籍になっている、と思います。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/12/24 00:00
頭蓋冠によるフロレシエンシスの系統解析
 これは12月21日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れましたが、インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟で発見された、6万年以上前の人類遺骸の系統解析に関する研究(Zeitoun et al., 2016)が公表されました。リアンブア洞窟で発見された6万年以上前の人類遺骸に関しては、病変の現生人類(Homo sapiens)との主張も一部で依然として根強いのですが、ホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)との分類が今では広... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/12/21 00:00
絶滅人類の歩行の効率性
 これは12月18日分の記事として掲載しておきます。絶滅人類の歩行の効率性に関する研究(Vidal-Cordas et al., 2017)が報道されました。この研究は、現代人の男女46人を被験者として、骨格・体重・歩行運動のエネルギーコストのデータを得て、絶滅したアウストラロピテクス属やホモ属各種の歩行運動のエネルギーコストを推定し、その効率性を評価しました。この研究が計測対象とした骨格は、骨盤の幅と大腿骨の長さ(下肢の長さ)です。これがどのように歩行運動のエネルギーコストに影響を及ぼすのか、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/12/18 00:00
子の新しい遺伝学的変異に影響を及ぼす親の年齢
 これは12月15日分の記事として掲載しておきます。子の新しい遺伝学的変異に影響を及ぼす親の年齢に関する研究(Jónsson et al., 2017)が公表されました。この研究は、親の年齢や性別がヒトのde novo変異(DNM、ある家系に最初に現れる遺伝子変化で、両親のいずれかの卵あるいは精子に生じた1変異が原因)の変化を引き起こす仕組みを理解するために、1万4688人のアイスランド人(両親と子の3人組から構成される1548組で、そのうちの225組については少なくとも1人の孫を含み... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/12/15 00:00
現生人類到達前のアジアの人類史とデニソワ人の見直し
 これは12月13日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)到達前のアジアの人類史に関する研究(Kaifu., 2017)が公表されました。本論文が対象とする地域は、おもに東および東南アジアで、南アジア・オセアニア・アルタイ地域も含まれます。これらの地域では明確にホモ属ではない人類化石は発見されていないので、基本的にはホモ属の進化史として考えられます。現生人類出現前の東・東南アジアのホモ属(古代型ホモ属)進化史は、エレクトス(Homo erectus)が東アジア北部か... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 0

2017/12/13 00:00
尾本恵市、山極寿一『日本の人類学』
 これは12月10日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2017年11月に刊行されました。碩学二人の対談だけに、教えられること、汲み取るべきことは多いと思います。もちろん、二人の見解すべてに同意するわけではありませんが、今後の勉強・思索・行動の指針になるような示唆に富む対談になっていると思います。ただ、対談形式で、体系的な解説にはなっていないので、人類学の教科書として読もうとすると、期待外れになってしまいそうです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/12/10 00:00
見直しが進む現生人類の拡散
 これは12月9日分の記事として掲載しておきます。アジアの学際的な諸記録から、現生人類(Homo sapiens)の拡散の見直しを提言した研究(Bae et al., 2017)が報道されました。現生人類の拡散に関する古典的な仮説では、現生人類はアフリカで出現し、非アフリカ系現代人は6万〜5万年前頃のアフリカからユーラシアへの1回の移住集団にのみ起源があり、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)などユーラシア各地の先住人類と交雑することなく置換していった、とされます。 ... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/12/09 00:00
アウストラロピテクス属化石「リトルフット」の公開
 これは12月8日分の記事として掲載しておきます。南アフリカ共和国のスタークフォンテン(Sterkfontein)洞窟で発見されたアウストラロピテクス(Australopithecus)属化石「リトルフット(StW 573)」が復元され、国内外のメディアに公開された、と報道されました。リトルフットは1994年に発見されましたが、固い角礫岩に埋まっていたので、長い時間をかけて慎重に取り出され、復元されました。人類に限らず哺乳類の化石は脆いので、長期間を経て良好な状態で保存されていることはほとんどな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/12/08 00:00
ネアンデルタール人と現生人類の交雑パターンおよび生殖隔離
 これは12月6日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との交雑パターンおよび生殖隔離の影響に関する研究(Overmann, and Coolidge., 2013)が公表されました。ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、今では広く認められています。しかし、それがどのようなパターンだったのか、詳細は不明です。本論文は、チンパンジー(Pan troglodytes)... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/12/06 00:00
斎藤成也『核DNA解析でたどる日本人の源流』
 これは12月3日分の記事として掲載しておきます。河出書房新社から2017年11月に刊行されました。本書はまず人類進化史と現生人類(Homo sapiens)のアフリカからの拡散を、最新の研究成果に基づいて簡潔に概観した後、日本列島の現代人がどのように形成されてきたのか、おもに核DNAの解析結果に基づいて検証しています。もっとも、本書は、核DNAよりは得られる情報が少なくなるものの、ミトコンドリアDNA(mtDNA)とY染色体DNAについてのこれまでの研究も取り上げています。本書で言及されている... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/12/03 00:00
アフリカにおける後期ホモ属の進化
 これは11月29日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、アフリカにおける後期ホモ属の進化についての研究(Profico et al., 2016)が公表されました。ここでの後期ホモ属とは、脳容量の増大した、中期更新世以降に存在したホモ属を想定しています。この研究は、分類について議論があることも取り上げつつ、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)の共通祖先としてハイデルベルゲンシス(Homo heidelb... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/11/29 00:00
初期人類による屠殺の証拠の見直し
 これは11月24日分の記事として掲載しておきます。初期人類による屠殺の証拠を再検証した研究(Sahlea et al., 2017)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。初期人類がいつから動物を解体して肉や骨髄を食べるようになったのか、という問題は大きな関心を集めてきました。中には、ホモ属と人類の初期石器文化であるオルドワン(Oldowan)の出現以前の340万年前頃に、人類は石器を用いて動物を解体していた、との見解も提示されています(関連記事)。そこまで古くなくとも... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/11/24 00:00
イベリア半島で他地域よりも遅くまで生存していたネアンデルタール人
 これは11月21日分の記事として掲載しておきます。イベリア半島における後期〜末期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の年代に関する研究(Zilhão et al., 2017)が報道されました。イベリア半島はネアンデルタール人終焉の有力候補地で、24000年前頃まで生存していた、との見解(後期絶滅説)も提示されています(関連記事)。イベリア半島は末期ネアンデルタール人にとって待避所になっていたのではないか、というわけです。もっとも、ネアンデルタール人の絶滅... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/11/21 00:00
小林武彦『DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か』
 これは11月19日分の記事として掲載しておきます。講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2017年10月に刊行されました。本書は、ヒトのDNAのうち98%を占めると推定されているタンパク質をコードしていない領域(非コードDNA領域)について解説しています。本文は200ページにも満たない新書サイズですが、遺伝の基礎から非コードDNA領域の役割まで丁寧に解説されており、遺伝に関する一般向けの良書になっていると思います。ただ、たいへん充実した内容なので、私の見識・能力では一度読んだだけでおおむ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/11/19 00:00
地域により異なる新石器時代以降の不平等化の進展(追記有)
 これは11月17日分の記事として掲載しておきます。新石器時代以降の地域間の不平等化の進展に関する研究(Kohler et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、北アメリカ・メソアメリカ・ユーラシアを対象として、考古学的遺跡からジニ係数を推定して富の不平等化の進展の指標とし、新石器時代以降の地域間の不平等化の進展の違いと、その要因を検証しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/11/17 00:00
クロアチアのネアンデルタール人の高品質なゲノム配列と古代の近親交配
 これは11月16日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)では2例目となる高品質のゲノム配列を報告した論文(Prüfer et al., 2017)を、先月(2017年10月)このブログで取り上げました(関連記事)。その後、この論文が『サイエンス』本誌に掲載されたので、以前の記事で触れていなかったことを中心に、より詳しく見ていくことにします。追記で対応しようかとも考えたのですが、人類進化史における近親交配の問題にも触れることにし... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/11/16 00:00
ヨーロッパの初期農耕民と狩猟採集民との関係
 これは11月14日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期農耕民と狩猟採集民との関係についての研究(Lipson et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。古代DNA研究から、ヨーロッパの初期農耕民はアナトリア半島からヨーロッパへと移住してきた、と明らかになっています。しかし、ヨーロッパ新石器時代の農耕民と狩猟採集民との関係については、交雑の程度や時空的な違いなど、明らかになっていないことも少なくありません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/11/14 00:00
長期にわたる人類の身長と体重の進化
 これは11月13日分の記事として掲載しておきます。長期にわたる人類の身長と体重の進化を包括的に検証した研究(Will et al., 2017)が報道されました。この研究は、440万年前から完新世までの311個の人類標本から、254個体の体重と204個体の身長の推移を分析しています。もちろん、440万年にわたる人類の体格の進化を包括的に検証するといっても、現在の標本数は明らかに不足しているわけですが、この問題は半永久的に解決できないでしょうし、ともかくその時点で最善を尽くすしかないわけですから... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/11/13 00:00
アフリカ南部における初期の顔料使用
 これは11月11日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れましたが、アフリカ南部における初期の顔料使用に関する研究(Watts et al., 2016)が公表されました。「現代的行動」は現生人類(Homo sapiens)にのみ見られ、現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など他の人類とを区別する重要な指標とされてきました。「現代的行動」とはいっても曖昧であり、今でも簡潔にして的確な定義はなされていない、と言えるかもしれませんが、最大公約... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/11/11 00:00
初期の石器は文化的伝達の産物なのか
 これは11月9日分の記事として掲載しておきます。初期の石器が文化的伝達の産物なのか、検証した研究(Tennie et al., 2017)が報道されました。人類の初期石器として広く認められているのは、260万年前頃までさかのぼるオルドワン(Oldowan)です。それよりもずっとさかのぼる330万年前頃の石器群をロメクウィアン(Lomekwian)と分類する見解も提示されていますが(関連記事)、まだ定説になっているとは言えないように思います。この研究は、初期の石器としておもにオルドワンを対象とし... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/11/09 00:00
スマトラ島の新種オランウータン
 これは11月7日分の記事として掲載しておきます。スマトラ島の新種オランウータンについての研究(Nater et al., 2017)が報道されました。朝日新聞でも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヒトを除く現生大型類人猿(ヒト科)としては、オランウータン属(Pongo)・ゴリラ属(Gorilla)・パン属(Pan)が知られています。このうち、オランウータンはスマトラ島とボルネオ島、ゴリラは東部と西部、パン属はチンパンジーとボノボに種区分されています。オランウータン... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/11/07 00:00
カナリア諸島先住民のDNA解析
 これは11月3日分の記事として掲載しておきます。カナリア諸島の先住民であるグアンチェ人のDNA解析結果を報告した研究 (Rodríguez-Varela et al., 2017)が 報道されました。木炭・種子・家畜の骨などの放射性炭素年代測定により、人類がカナリア諸島に最初に居住したのは紀元前5世紀と推定されています。その後、グアンチェ人は船と航海の技術を喪失したようで、紀元後15世紀にヨーロッパ人がカナリア諸島に到達して征服した時には、グアンチェ人は新石器時代のような生活を送って... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/11/03 00:00
現生人類の優位性に起因しないかもしれないネアンデルタール人の絶滅
 これは11月2日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅要因に関する研究(Kolodny, and Feldman., 2017)が公表されました。もっとも、ネアンデルタール人の絶滅とはいっても、ネアンデルタール人のDNAは(非アフリカ系)現代人にわずかながら継承されているわけで、より正確には、ネアンデルタール人の形態的・遺伝的特徴を一括して有する集団は現在では存在しない、と言うべきかもしれません。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/11/02 00:00
現代西アジア人におけるネアンデルタール人の遺伝的影響
 これは10月30日分の記事として掲載しておきます。現代西アジア人におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の遺伝的影響に関する研究(Taskent et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との交雑は、今ではほぼ定説になっている、と言えるでしょう。しかし、ネアンデルタール人の遺伝的影響は、サハラ砂漠以南の現代アフリカ人ではほとんどなく、それ以外の地域の現代人では... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/30 00:00
難聴のネアンデルタール人
 これは10月28日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の難聴についての研究(Trinkaus, and Villotte., 2017)が報道されました。更新世人類の障害と社会的支援はこれまでにも注目されてきましたが、障害のなかでも感覚の損失についてはあまり検証されていませんでした。しかし、感覚損失は更新世の環境での生存に重大な脅威になったと考えられます。この研究は、イラクのクルディスタン地域にある有名なシャニダール洞窟(Shanid... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/10/28 00:00
古代ゲノム解析による人類の適応の研究
 これは10月26日分の記事として掲載しておきます。近年における古代ゲノム解析による人類の適応の研究の進展を概観した総説(Marciniak, and Perry., 2017)が公表されました。この総説は、近年の古代人のゲノム解析結果について、参考文献が多数挙げられているとともに、年代・地域ごとにもまとめられており、たいへん有益だと思います。図表を見ると明らかなのですが、古代人のゲノム研究の密度が最も高いのはやはりヨーロッパで、他地域を圧倒しています。気温・湿度などの点で、人類遺骸が残りやすく... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/10/26 00:00
カナダのニューファンドランド島の複数系統の先住民集団
 これは10月23日分の記事として掲載しておきます。カナダの北東端に位置するニューファンドランド島の先住民集団のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析に関する研究(Duggan et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。カナダ東部のニューファンドランド・ラブラドール州は、豊富な天然資源と低い人口密度で知られています。ニューファンドランド・ラブラドール州の陸地は、18000年前の最終最大氷期(LGM)にはローレンタイド(Laurentide)氷床に覆... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/23 00:00
先コロンブス期のイースター島住民と南アメリカ大陸先住民との交雑の検証
 これは10月21日分の記事として掲載しておきます。先コロンブス期のイースター島(Rapa Nui)住民と南アメリカ大陸先住民との交雑の可能性を検証した研究(Fehren-Schmitz et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。先コロンブス期におけるポリネシア人と南アメリカ人との接触は、考古学的証拠により支持されてきました。ペルーでは8000年前頃に南アメリカ大陸原産のサツマイモが栽培化され、... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/10/21 00:00
現代人の肌の色の遺伝的基盤
 これは10月20日分の記事として掲載しておきます。現代人の肌の色の遺伝的基盤に関する研究(Crawford et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代人の肌の色は多様ですが、かつて肌の色は「人種」を区分する最重要な指標とされており、かつて大きな注目を集めた「人種」概念が廃れてしまった感のある現在でも、肌の色は適応と関連していると考えられるだけに、関心は高いように思います。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/20 00:00
絶滅人類種を経由してのチンパンジーの祖先から現代人の祖先へのウイルス感染
 これは10月17日分の記事として掲載しておきます。チンパンジーの祖先から現代人の祖先へのウイルス感染に関する研究(Underdown et al., 2017)が報道されました。この研究は、世界中の現代人で見られる単純ヘルペスウイルス2型(HSV2)がどのように現代人系統に感染したのか、検証しています。多くの霊長類で確認されているアルファヘルペスウイルス亜科のうち、現代人ではHSV2やHSV1などが確認されています。HSV 1はおもに口唇、HSV 2はおもに生殖器で発症します。HSV2は当初、... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/17 00:00
4万年前頃の東アジアの現生人類のゲノム解析
 これは10月16日分の記事として掲載しておきます。4万年前頃の東アジアの現生人類のゲノム解析結果を報告した研究(Yang et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、北京の南西56kmにある田园洞窟(Tianyuan Cave)の男性遺骸のゲノム規模のデータ(平均網羅率は2.98倍)を報告しています。以前の田园男性のゲノム解析では、まず間違いなく現生人類(Homo sapiens)であることと、現代の東アジア... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/16 00:00
中山一大・市石博明編集『つい誰かに教えたくなる人類学63の大疑問』
 これは10月15日分の記事として掲載しておきます。日本人類学会教育普及委員会監修で講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、人類学に関する63の話題を解説するという構成になっています。各解説は、高校教師が各分野の専門家に取材して執筆しており、おおむね最新の研究成果も踏まえた堅実な内容になっています。未解明な点を安易に断定しないよう心がけている編集方針が窺え、良心的な内容になっていると思います。ある程度予備知識が必要かもしれませんが、分かりやすい解説になっていますし、病気・食事・心理・... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/15 00:00
遺伝子発現における多様な人体組織間の差異と個人差
 これは10月14日分の記事として掲載しておきます。遺伝子発現における多様な人体組織間の差異と個人差に関する一連の研究が公表されました。ヒトゲノムには遺伝子発現調節の指令がコードされていますが、遺伝子発現調節は細胞の種類によって異なっており、その結果、それぞれ独自の機能を持つ多様な組織が生じているものの、遺伝子発現調節には個人差もあります。こうした差異を生じさせる遺伝的多様体は、ゲノムの非コード領域内に位置している傾向があり、この非コード領域が遺伝子の発現状態と発現時期を決めている、と考えられて... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/10/14 00:00
不公平にたいする感受性と鬱病の関係
 これは10月13日分の記事として掲載しておきます。不公平にたいする感受性と鬱病の関係についての研究(Tanaka et al., 2017)が公表されました。過去の研究では、富の不平等な分配(経済的不平等)が、うつ病をはじめとする精神疾患の増加に寄与することが示唆されていましたが、その背後にある神経機構は不明でした。この研究は、仮想的なパートナーからバーチャル・マネーを受け取るコンピューターゲーム(最終提案ゲーム)をプレイ中の健常者の脳活動を測定しました。ゲームにおいてパートナーとプレイヤーは... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/10/13 00:00
上部旧石器時代の配偶システム
 これは10月10日分の記事として掲載しておきます。上部旧石器時代の配偶システムに関する研究(Sikora et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代の狩猟採集民は25人程度の小集団で暮らし、より広範な社会的ネットワークとつながって配偶相手を求め、近親婚は回避される傾向にあります。このような社会行動が狩猟採集民集団でいつ進化したのか、まだ不明です。この研究は、装飾品など豪華な副葬品で知られるロシアのスンギール(Sunghir)遺跡で発見された、... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/10 00:00
ネアンデルタール人の高品質なゲノム配列(追記有)
 これは10月9日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の高品質なゲノム配列を報告した研究(Prüfer et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人の高品質なゲノム配列としては、南西シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された女性個体のものが知られています(関連記事)。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/10/09 00:00
現代人の表現型へのネアンデルタール人の影響(追記有)
 これは10月7日分の記事として掲載しておきます。現代人の表現型へのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の影響に関する研究(Dannemann, and Kelso., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は、イギリスのバイオバンクで収集された112000人以上のデータを用いて、ネアンデルタール人の遺伝子が現代人の表現型の多様性に与えた影響を検証しています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/07 00:00
乾燥化による現生人類の出アフリカ
 これは10月6日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の出アフリカ時の気候に関する研究(Tierney et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類の出アフリカに関しては、回数・年代・経路などをめぐって議論が続いています(関連記事)。現在のソマリア全域とエチオピアの一部となる「アフリカの角」は、考古学的にも遺伝学的にも、現生人類の出アフリカの起点の有力候補とされています(南方経路)。アフリカの角からアラビア半島... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/10/06 00:00
クロアチアのネアンデルタール人の年代
 これは10月5日分の記事として掲載しておきます。クロアチアのヴィンディヤ洞窟(Vindija Cave)遺跡のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の年代に関する研究(Devièse et al., 2017)が公表されました。ヴィンディヤ洞窟はネアンデルタール人の遺跡として有名で、ネアンデルタール人のDNAが解析されています(関連記事)。ヴィンディヤ遺跡のネアンデルタール人に関しては、年代が28000年前頃と推定されたこともあり、24000年前頃のイベリア... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/10/05 00:00
左巻健男『暮らしのなかのニセ科学』
 これは10月1日分の記事として掲載しておきます。平凡社新書の一冊として平凡社より2017年6月に刊行されました。現代日本社会(もちろん、日本に限らないのでしょうが)において、ニセ科学と呼ばれるものは多くあり、中にはかなり浸透しているものもありますが、本書は「暮らしのなか」と題しているように、生活、とくに健康と強く直接的に関連したニセ科学を取り上げて検証しています。生活との直接的関わりがさほど強くないニセ科学としては、たとえば相対性理論への「懐疑」や進化学を否定する創造説やその亜流的な説などがあ... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 5

2017/10/01 00:00
アフリカ南部の2300〜300年前頃の人類のゲノム解析
 これは9月30日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部の2300〜300年前頃の人類のゲノム解析に関する研究(Schlebusch et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究に関しては、アフリカ北部の30万年以上前の現生人類(Homo sapiens)的な化石についての研究を取り上げた記事でも少しだけ言及しました(関連記事)。この研究は、南アフリカ共和国のクワズール-ナタール(KwaZulu-Natal)州で発見された7人の人類のゲ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/09/30 00:00
デニソワ人についてのまとめ
 これは9月28日分の記事として掲載しておきます。種区分未定のデニソワ人(Denisovan)については、以前このブログの関連記事をまとめたことがあります(関連記事)。その時は関連記事のリンクを貼っただけでしたが、デニソワ人に関するこのブログの記事がそれなりの本数になったので、一度自分なりにデニソワ人の情報を整理することにしました。デニソワ人は、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された、現生人類(Homo sapiens)ともネアンデルタール人(Homo ... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 5 / コメント 0

2017/09/28 00:00
アフリカ人の古代DNA
 これは9月25日分の記事として掲載しておきます。アフリカ人の古代DNAに関する研究(Skoglund et al., 2017)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。アフリカは、その気候条件のため、ヨーロッパなどと比較して古代DNAの解析が難しく、この分野の研究の遅れている地域と言えるでしょう。この研究は、新たにアフリカの15人の古代DNAを解析し、以前に報告されているエチオピアで発見された4500年前頃の男性の古代DNA(関連記事)を併せて、59集団の584... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/09/25 00:00
現生人類とさほど変わらないネアンデルタール人の成長速度
 これは9月23日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の成長速度に関する研究(Rosas et al., 2017)が報道されました。AFPやナショナルジオグラフィックでも報道されています。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。ネアンデルタール人の成長速度に関しては、おもに歯を対象に分析が進められてきました。現生人類(Homo sapiens)との比較では、ネアンデルタール人と現生人類とで成長速度に違いはない、との見解も... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/09/23 00:00
アメリカ大陸への人類最初の移住に関する近年の研究のまとめ
 これは9月21日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸への人類最初の移住に関しては、現代世界の政治・経済・文化(学術も含めて)の中心と言ってよいだろうアメリカ合衆国においても直接的問題であり、時には激しい政治的論争に発展するためか、アメリカ大陸のみならず他地域でも関心が寄せられているように思われます。このブログでは、2012年(関連記事)と2014年(関連記事)に、この問題に関する研究動向を簡単にまとめた記事を掲載しました。この記事では、その後にこのブログで取り上げた関連研究をざっとまと... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/09/21 00:00
『カラー図解 進化の教科書 第3巻 系統樹や生態から見た進化』
 これは9月17日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2017年8月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。第1巻(関連記事)と第2巻(関連記事)については、すでにこのブログで取り上げています。第3巻は系統樹・遺伝子・種間関係・生態の進化を重点的に解説しており、第9章「系統樹」・第10章「遺伝子の歴史」・第11章「遺... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/09/17 00:00
遺伝的に多様なパプアニューギニア人
 これは9月16日分の記事として掲載しておきます。ニューギニア島の住民の遺伝的多様性に関する研究(Bergström et al., 2017)が報道されました。ニューギニア島の住民は、言語でも遺伝子でも多様性が高いことで知られています。この研究は、パプアニューギニアの85の言語集団の385人からゲノム規模の一塩基多型データを得て、パプアニューギニア人の地理的な遺伝的構造を解明しました。その結果、ニューギニア島では高地集団と低地集団とが2万〜1万年前頃に分岐し、高地集団には非ニューギニ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/09/16 00:00
ドイツ南西部のネアンデルタール人化石のmtDNAについての解説
 これは9月15日分の記事として掲載しておきます。ドイツ南西部のホーレンシュタイン-シュターデル(Hohlenstein–Stadel)洞窟(以下HST洞窟と省略)で発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石のミトコンドリアDNA(mtDNA)を解析した研究については、2ヶ月前(2017年7月)にこのブログで取り上げました(関連記事)。取り上げるのが遅れてしまいましたが、その研究についての解説記事の内容に疑問が残るので、自分の知識をまとめるという意... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2017/09/15 00:00
メソアメリカ最古級の人骨
 これは9月12日分の記事として掲載しておきます。メソアメリカ最古級の人骨に関する研究(Stinnesbeck et al., 2017)が報道されました。この人骨については、7年前にこのブログで取り上げました(関連記事)。この研究が年代を測定したのは、メキシコ合衆国キンタナロー(Quintana Roo)州のトゥルム(Tulum)遺跡近くのチャンホル(Chan Hol)海中洞窟で発見された人骨です。人骨の年代は、骨盤の上の石筍を試料とするウラン-トリウム法では11311±370年前までさかのぼ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/09/12 00:00
後期新石器時代〜初期青銅器時代の中央ヨーロッパにおける配偶形態
 これは9月8日分の記事として掲載しておきます。後期新石器時代〜初期青銅器時代の中央ヨーロッパにおける配偶形態についての研究(Knipper et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、ドイツの南バイエルンのレヒ川(Lech River)渓谷にある後期新石器時代〜初期青銅器時代にかけての7ヶ所の遺跡を調査しました。7ヶ所の遺跡の84点の人類遺骸は放射性炭素年代測定法により年代が推定され、さらには、ミトコンドリアDNA(mtDNA)・酸素安... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/09/08 00:00
マウスの妊娠と子宮年齢
 これは9月7日分の記事として掲載しておきます。マウスの妊娠と子宮年齢に関する研究(Woods et al., 2017)が公表されました。母体の年齢は繁殖の成功に対するリスク因子であると知られており、加齢に伴う卵子の異常は、胎仔の染色体異常を引き起こし、妊娠初期の流産につながることもあります。この研究はマウスを使い、流産や周産期死亡など妊娠中期以降の妊娠合併症の原因となり得るものを明らかにしました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/09/07 00:00
クレタ島の570万年前頃の人類の足跡?
 これは9月4日分の記事として掲載しておきます。クレタ島で発見された人類のものと思われる足跡についての研究(Gierliński et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、クレタ島西部のトラチロス(Trachilos)地域で発見された足跡を分析し、現代人・ホモ属やアウストラロピテクス属の化石人類・チンパンジーやゴリラなどの現生霊長類・クマなどの哺乳類の足跡と比較しています。その結果、この足跡は初期人類系統が残したものだ、という... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/09/04 00:00
ネアンデルタール人の接着技術
 これは9月2日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の接着技術に関する研究(Kozowyk et al., 2017)が報道されました。骨や石に柄をつけて武器や道具を作り出す着柄技術は、ネアンデルタール人と初期現生人類(Homo sapiens)の認知能力と技術力に関する論争の焦点になっています。着柄技術は30万〜20万年前頃より確認されており、50万年前頃までさかのぼる可能性もあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/09/02 00:00
古人類学の記事のまとめ(32)2017年5月〜2017年8月
 2017年5月〜2017年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2017年5月〜2017年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/09/01 00:00
当初の想定より新しいネルハ洞窟の壁画の年代
 これは8月30日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、スペイン南部の海岸に近いネルハ洞窟(Nerja cave)で発見された壁画の年代に関する研究(Sanchidrián et al., 2017)が報道されました。ネルハ洞窟(これまでこのブログではネルジャ洞窟と表記してきましたが、この機会にネルハと訂正します)の壁画については、当初の推定年代が43500〜42300年前頃だったことから、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の所産の可... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/08/30 00:00
森恒二『創世のタイガ』第1巻(講談社)
 これは8月27日分の記事として掲載しておきます。本書は2017年8月に刊行されました。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)について検索していたら、本作にネアンデルタール人も登場すると知ったので、購入してみました。本作は『イブニング』にて連載中ですが、とりあえず単行本で今後追いかけていこう、と考えています。『天智と天武〜新説・日本書紀〜』昨年(2016年)7月に完結(関連記事)してからは、新作漫画では『ヒストリエ』を単行本で読んだくらいだったのですが(関連記事)、本作... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/08/27 00:00
更新世末期のヨーロッパの現生人類の人口史
 これは8月25日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、更新世末期のヨーロッパの現生人類(Homo sapiens)の人口史に関する研究(Tallavaar et al., 2015)が公表されました。この研究は、古気候および民族誌のデータと、現在の気温・降水量などの気候パラメータおよび現在の種分布から現生種の分布面積を推定するモデル(climate envelope modeling approach)を用いて人口較正モデルを構築し、考古学的データと照合し... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/25 00:00
東ティモールの後期更新世の石器とリアンブア洞窟の更新世の石器の類似性
 これは8月22日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、東ティモールのジェリマライ(Jerimalai)遺跡の後期更新世の石器群に関する研究(Marwick et al., 2016)が公表されました。ジェリマライ遺跡では、1万個近い石器・骨製の尖頭器・貝製釣針・貝製ビーズなどが発見されています。ジェリマライ遺跡の年代は、放射性炭素年代測定法により、較正年代で42000年前頃〜完新世となる5000年前頃まで確認されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/22 00:00
他人に与えると気分が良くなる脳内機構
 他人に与えると気分が良くなる脳内機構についての研究(Park et al., 2017)が公表されました。気前の良い行動は、さまざまな社会と文化で高く評価されていますが、この行動は本人の資源を他人の利益のために投資することが関係する傾向があるため、標準的な経済理論で説明することは難しいとされています。この点について、気前の良さに伴って増進される幸福感が気前の良さの動機だとする研究報告がすでに存在します。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/19 00:00
リアンブア洞窟におけるラットの身体サイズの変化
 これは8月16日分の記事として掲載しておきます。2017年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)において、インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡のラットの身体サイズの変化について(Veatch et al., 2017)報告されました。PDFファイルのP393に掲載されています。フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/08/16 00:00
海岸沿いだったアメリカ大陸最初の人類の移住経路
 これは8月14日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸への人類最初の移住経路に関する解説(Wade., 2017)が公表されました。この問題に関する近年の研究成果がまとめられており、有益な解説になっていると思います。アメリカ大陸への人類最初の移住について、20世紀後半には、クローヴィス(Clovis)文化の担い手が最初の移住者だとするクローヴィス最古説が主流でした。しかし20世紀末以降、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/14 00:00
スマトラ島における73000〜63000年前の現生人類の存在(追記有)
 これは8月12日分の記事として掲載しておきます。スマトラ島の現生人類(Homo sapiens)化石の年代に関する研究(Westaway et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類の出アフリカの年代・回数・経路についてはさまざまな見解が提示されており、現生人類は東南アジア島嶼部へ遅くとも7万〜6万年前頃までに進出していた、とする早期拡散説も提唱されていますが、後期拡散説も無視することはとてもできません(関連記事)。早期拡散説の弱点は、確実... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/08/12 00:00
ケニアで発見された中期中新世の類人猿化石(追記有)
 これは8月11日分の記事として掲載しておきます。ケニアで発見された中期中新世の類人猿化石に関する研究(Nengo et al., 2017)が報道されました。2017年8月10日付の読売新聞朝刊でも報道されています。2300万〜530万年前頃となる中新世には30属以上の40種以上の類人猿が存在していました。しかし、完全な頭蓋の証拠から得られた知見はきわめて少なく、顔および口蓋以外の頭蓋要素から知られている種はわずかで、人類および現生類人猿の直接的な近縁種の頭蓋の状態に関する情報は限られています... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/11 00:00
ネアンデルタール人の人口史
 これは8月10日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の人口史に関する研究(Rogers et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、これまでのホモ属の古代DNA解析を再検証することにより、ネアンデルタール人の人口史を推定してます。後期ホモ属の進化に関する現在の有力説では、まず現生人類(Homo sapiens)系統とネアンデルタール人および種区分未定のデニソワ人(Denisov... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

2017/08/10 00:00
クリミア半島の初期現生人類の食性
 これは8月7日分の記事として掲載しておきます。東ヨーロッパでは最古級となる現生人類(Homo sapiens)の食性に関する研究(Drucker et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅要因には高い関心が寄せられてきており、さまざまな仮説が提示されています(関連記事)。そうしたさまざまな仮説においては、食性など行動面において現生人類がネアンデルタール人よりも柔軟だった、と強調される傾向にあります。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

2017/08/07 00:00
乳幼児の社会的視覚関与の遺伝性
 乳幼児の社会的視覚関与の遺伝性に関する研究(Constantino et al., 2017)が公表されました。赤ん坊が手を伸ばしたり、ハイハイしたり、歩行したりする前の段階において情報収集の手段として用いるのが社会的視覚関与という能力です。この研究は、社会的場面を見ることの個人差を評価するために一連の視標追跡実験を実施し、顔と顔に似た視覚刺激に対する注意力や個々の眼球運動のタイミング・方向性と目標設定を調べました。この実験の対象となったのは338人の乳幼児で、そのうち166人が一卵性双生児と... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/05 00:07
青銅器時代のミノア人とミケーネ人のDNA解析(追記有)
 これは8月4日分の記事として掲載しておきます。青銅器時代のミノア人とミケーネ人のDNA解析に関する研究(Lazaridis et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。これまでの古代DNA研究で、初期ヨーロッパ農耕民の主要な祖先は、紀元前7千年紀からギリシアと西部アナトリア半島に居住していた、複数のきわめて類似した新石器時代の集団とされています。それ以降、青銅器時代までのこれらの地域の歴史についてはさほど明確になっておらず、ギリシア本土とクレタ島の... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/04 00:00
音楽にたいする2種類の強烈な情動反応
 これは8月2日分の記事として掲載しておきます。音楽にたいする2種類の強烈な情動反応に関する研究(Mori, and Iwanaga., 2017)が公表されました。人間は時として、芸術作品に対して強烈な情動反応を経験します。これまでの研究から、音楽を聴いたときに喚起される「鳥肌感(chill;鳥肌が立ったり背筋がぞくぞくしたりする感覚)」という強烈な情動反応には、精神生理学的な覚醒や、ある種の報酬効果が関わっていることが明らかになっています。しかし、強烈な情動の多くの側面はまだ解明されていませ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/08/02 00:00
ネアンデルタール人の遺伝的影響を受けている現代人の脳と頭蓋
 これは7月28日分の記事として掲載しておきます。現代人の脳と頭蓋におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の遺伝的影響に関する研究(Gregory et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人の化石記録は4万年前頃までに消滅したとされていますが(関連記事)、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との交雑は、今では広く認められています。この研究は、健康なヨーロッパ系221人の磁気共鳴画像(MRI)検査のデータと、ネアンデルタール人... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/28 00:00
アフリカにおける現生人類と未知の人類との交雑
 これは7月24日分の記事として掲載しておきます。アフリカにおける現生人類(Homo sapiens)と未知の人類との交雑の可能性を指摘した研究(Xu et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、人間の唾液豊富に含まれるタンパク質の一つであるムチン7をコードしている、繰り返し配列のコピー数の違い(5しくは6)が見られるMUC7遺伝子の変異を調べました。MUC7遺伝子は、以前には喘息への抵抗性との関連が指摘されていましたが、この研究ではそれ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/24 00:00
地上生活の始まりと体温調節
 これは7月22日分の記事として掲載しておきます。人類の地上生活の始まりの要因に関する研究(Takemoto., 2017)が報道されました。解説記事もあります。この研究は、チンパンジーとボノボの観察を通して、森林内気温変化とその季節変化が、地上で過ごす時間を増やす要因であるこ、と明らかにしました。チンパンジーとボノボは、気温の低い雨季にはほとんど樹上で生活しているのにたいして、暑い乾季には地上で過ごす時間が大きく増える、というわけです。とくに雨期と乾期がはっきりしているギニアのチンパンジーは、... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/22 00:00
さかのぼるオーストラリアへの人類の移住
 これは7月21日分の記事として掲載しておきます。オーストラリアへの人類最初の移住年代に関する研究(Clarkson et al., 2017)が報道されました。オーストラリア大陸(更新世の寒冷期には、ニューギニア島やタスマニア島とも陸続きとなり、サフルランドを形成していました)への人類最初の移住年代は、現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの回数・時期・経路(関連記事)や、現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)・種区分未定のデニソワ人(Deniso... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/21 00:00
現代のイヌの地理的起源
 これは7月20日分の記事として掲載しておきます。現代のイヌの地理的起源に関する研究(Botigué et al., 2017)が公表されました。イヌの起源に関しては多くの見解が提示されており、最近の研究動向をほとんど追えていないのですが、昨年(2016年)、イヌはユーラシアの東西で農耕開始前に独立して家畜化され、後に東アジアから西ユーラシアへとイヌが人々に連れられて移動し、ヨーロッパでは東アジア系のイヌによる旧石器時代以来の在来イヌの大規模な置換が起きたのではないか、と推測する研究が... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/20 00:00
新たに確認されたデニソワ人
 これは7月19日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で1984年に発見された、右側下顎第二乳臼歯(Denisova 2)のDNA解析に関する研究(Slon et al., 2017B)が公表されました。デニソワ洞窟では、現生人類(Homo sapiens)ともネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とも違うホモ属である、種区分未定のデニソワ人(Denisovan)が確認されていま... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/19 00:00
長谷川眞理子「ヒトの進化と現代社会」
 これは7月18日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、ヒトが生物である以上、進化史を知らずに社会の制度設計を企図しても上手くいかないかもしれない、と指摘しています。人間は(教育も含む)社会によっていかようにも変わり得る、との観念は今でも根強いというか、とくに意識されることもなく(もちろん私も含めて)多くの人々を束縛しているようにも思われるので、本論文の指摘はたいへん重要だと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/18 00:00
序列を維持する心
 序列を維持する心に関する研究(Xie et al., 2017)が公表されました。これまでの研究では、経済ゲームにおいて人は不平等な支払いを拒否することが報告されており、平等を強く望む心は、文化の違いを越えた社会規範であると示唆されていました。しかし、そうした証拠にもかかわらず、所得の不均衡は依然として解消されておらず、他の要因の関与の可能性が疑われていました。この研究は、さまざまな文化を対象に一連の経済ゲームを実施し、序列が2人の人間への支払いを等しくしたいという人々の意欲にどれほど影響を及... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/15 00:00
高畑尚之「進化と人間 その普遍性と個別性」
 『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、生物進化史のなかに人類の進化を位置づけています。当然のことと言えるかもしれませんが、私のような非専門家は、どうしても人間中心主義に陥りやすく、人間の進化を特別なものとして考えがちでしょうから、生物の一種としての人間を強調することは必要だと思います。本論文はこのような観点から、生命の歴史は成功物語というよりは絶滅史だと指摘しており、人類の繁栄と存続が必然とはとても言えないことがよく了解されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/14 00:00
定説よりも早いヒトの免疫系の形成
 これは7月12日分の記事として掲載しておきます。胎児の免疫系の形成に関する研究(McGovern et al., 2017)が公表されました。発生中のヒト胎児は、微生物や食物粒子など、免疫系を活性化させる可能性のある多様な分子にさらされます。この研究は、妊娠中絶が臨床的に必要となった妊娠中期(妊娠14〜22週)の胎児96例の組織を採取して調べ、最も早くて妊娠中期の胎児に免疫学的に活性な細胞が存在していることを明らかにしました。この胎児の樹状細胞は、病原体を感知するとともにT細胞を刺激でき、免疫... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/12 00:00
ジェームズ=ロリンズ『イヴの迷宮』上・下
 これは7月9日分の記事として掲載しておきます。ジェームズ=ロリンズ(James Rollins)著、桑田健訳で、シグマフォースシリーズの一冊として竹書房より2017年7月に刊行されました。シグマフォースシリーズは本書で邦訳が11冊目となる小説で、外伝も邦訳が刊行されており、日本でも根強い人気があるようです。シグマフォースシリーズをこのブログで取り上げるのは初めてですが、外伝も含めてシリーズの邦訳は全巻読んできましたし、何よりも、本書は人類の知能の進化とネアンデルタール人(Homo neande... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/09 00:00
カナダにおける人口増加の要因
 カナダにおける人口増加の要因に関する研究(Pelletier et al., 2017)が公表されました。これまで、進化は時間のかかる過程だと考えられてきました。しかし最近では、進化には生物種の生態学的動態に測定可能な違いを生み出すだけの速さがあり、たとえば人口増加率を高めたり、地理的分布の拡大を加速したりする、という認識が浸透しつつあります。ただ、そうした「急速な進化」の人間集団にとっての重要性はさほど大きなものではない、と考えられていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/07/07 00:00
ドイツ南西部のネアンデルタール人化石のmtDNA
 これは7月6日分の記事として掲載しておきます。ドイツ南西部の人類の大腿骨化石のミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析に関する研究(Posth et al., 2017)が公表されました。この研究が解析したのは、ドイツ南西部のホーレンシュタイン-シュターデル(Hohlenstein–Stadel)洞窟(以下HST洞窟と省略)で発見された人類の大腿骨化石のmtDNAで、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/07/06 00:00
松本直子「人類史における戦争の位置づけ 考古学からの考察」
 『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。戦争は人間の本性なのか、それとも社会的な要因で発生した人類史上で比較的新しい(農耕開始・国家形成移行)現象なのか、という問題は広く関心を持たれているように思います。もちろん、研究者の間ではここまで単純化された議論が展開されているわけではないでしょうが、とりあえずこの記事では、「本性説」と「後天説」と分類しておきます。本論文は、明確に後天説を支持しています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/05 00:00
篠田謙一『ホモ・サピエンスの誕生と拡散』
 これは7月2日分の記事として掲載しておきます。歴史新書の一冊として洋泉社より2017年6月に刊行されました。本書からは、一般向けであることを強く意識し、分かりやすい解説・構成にしようという意図が窺えます。じっさい、本書は目新しい情報を多く掲載しているわけではないものの、最新の研究成果に基づいて人類史を分かりやすく解説しており、なかなか読みやすく理解しやすいと思います。基礎的な解説もあるので、人類進化史に関心を持ち始めた人が読むのに適していると言えるでしょう。著者の専攻が反映され、DNA解析につ... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/07/02 00:00
松本晶子「ヒヒとヒト サバンナの隣人から見える社会性の起源」
 『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、ヒトの社会性の進化に関して、長期間サバンナ環境に適応してきたという共通性から、ヒヒを参照モデルとしています。ヒヒは、ある程度(20kg)以上の体重の霊長類という点でも、ヒトとの比較対象として相応しい、と言えそうです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/06/30 00:00
アリの拡散と人間の行動
 これは6月28日分の記事として掲載しておきます。アリの拡散と人間の行動に関する研究(Bertelsmeier et al., 2017)が公表されました。人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こします。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続ける、と予測されています。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目していますが、外来種全般が類似の定着パターンに従う... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/06/28 00:00
ネコの起源
 これは6月22日分の記事として掲載しておきます。ネコの起源に関する研究(Ottoni et al., 2017)が公表されました。ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた、と考えられています。この研究は、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/06/22 00:00
蔦谷匠「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、現代人の授乳と離乳に見られるミスマッチ(関連記事)について解説しています。大半は狩猟採集社会における進化を通じて獲得されてきたヒトの行動や性質が、近現代の急激な生活環境の変化にあって齟齬をきたす事例が多数見られ、授乳と離乳もその一例になる、というわけです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/06/21 00:00
中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の行動変化
 これは6月16日分の記事として掲載しておきます。中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の人間の行動変化に関する研究(Nejman et al., 2017)が報道されました。この研究が調査対象としたのは、チェコ共和国東部のモラヴィア(Moravia)地方のポドフラデム洞窟(Pod Hradem Cave)遺跡です。ポドフラデム洞窟遺跡では1956〜1958年に発掘調査が行なわれ、石器や骨製ビーズや2万個以上の動物の骨などが発見されており、セレティアン(Szeletian)や... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/06/16 00:00
ヒトノックアウトプロジェクトの第一歩
 ヒトノックアウトプロジェクトに関する研究(Saleheen et al., 2017)が公表されました。遺伝子の機能を解明するための研究はこれまで、モデル動物の重要な遺伝子をノックアウトし、その後の変化を調べるという方法で行なわれていましたが、この研究は逆の手法を採用しました。それは、パキスタン在住の10503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される49138ヶ所の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液試料で測定される201... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/06/15 00:00
イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離
 イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離に関する研究(Gupta et al., 2017)が公表されました。イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていました。これまでの理論は、氷河湖からの溢出がドーバー海峡の開いた原因だと示唆していますが、この仮説を検証するには、推測される分裂地点の高分解能データが不足していました。この研究は、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す、新しい証拠を提示し... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/06/13 00:00
アフリカ北部の30万年以上前の現生人類的な化石(追記有)
 これは6月9日分の記事として掲載しておきます。モロッコのジェベルイルード(Jebel Irhoud)遺跡で新たに発見された人類化石に関する二つの研究が報道されました。日経新聞や朝日新聞やAFPや読売新聞でも報道されており、大きな注目を集めているようですが、確かに、大いに注目すべき研究だと思います。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。一方の研究(Hublin et al., 2017)は、ジェベルイルード遺跡における2004年以降の調査で新たに発見された、少なくとも5個体分とな... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 5 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/06/09 00:00
テロリストの道徳的判断
 これは6月8日分の記事として掲載しておきます。テロリストの道徳的判断に関する研究(Baez et al., 2017)が公表されました。テロは、一般社会から容認されない行為とみなされるのが普通ですが、テロリストは自らの行為を、「目的は手段を正当化する」という論理により正当化します。しかし、テロリストがこのトレードオフをどのようにとらえて道徳的判断を下しているのか、よく分かっていません。典型的な成人の道徳的判断は、人が行為の意図および結果についての情報を表現して統合する能力に基づいています。多く... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/06/08 00:00
攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する乳児
 これは6月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトに見られる、有害な相互作用に対する第三者による保護的介入が始まる時期についての研究(Kanakogi et al., 2017)が公表されました。有害な相互作用に対する第三者による保護的介入は、一般には称賛される行為であり、道徳・正義・英雄的資質といった概念と結びつけられています。じっさい、そうした第三者の介入が絡む物語は、神話・書物・映画などの形で、有史以来の大衆文化のなかに数多く見られます。現代の発達科学では、ヒトはこうした介入を就学前から... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/06/07 00:00
鈴木紀之『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』
 これは6月4日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年5月に刊行されました。本書は、一見すると「不合理」な進化を適応主義的な観点から検証していきます。擬態が不完全だったり、「求愛エラー(繁殖能力のある子孫を残せない近縁種との生殖行動)」を起こしたりするのは、遺伝子など何らかの制約に起因する、といった制約を重視する説にたいして、本書はあくまでも、一見すると「不合理」な進化のなかに、適応主義的な理由があるのではないか、と追及していきます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/06/04 00:00
古代エジプト人のDNA解析
 これは6月2日分の記事として掲載しておきます。古代エジプト人のDNA解析結果を報告した研究(Schuenemann et al., 2017)が報道されました。この研究は、古代エジプト人のDNAを解析し、古代の西アジアやヨーロッパの住民およびエジプトも含む現代の各地域の住民のDNAと比較しています。この研究が解析したのは、カイロよりもナイル川上流に位置するアブシールエルメレク(Abusir-el Meleq)遺跡で発見されたミイラのDNAです。アブシールエルメレク遺跡では、少なくとも紀元前32... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/06/02 00:00
湧水と人類の進化
 これは6月1日分の記事として掲載しておきます。湧水と人類の進化に関する研究(Cuthbert et al., 2017)が報道されました。水は人類にとってきわめて重要な資源です。気候変動が人類の進化において重要な役割を果たした、との見解は一般的でしょうが、そのさいに注目されている生態系の変化を規定する根本的要因の一つが水(利用可能水量)です。しかし、これまで、湧水のような地下水の利用可能量については、あまり注目されてきませんでした。この研究は、アフリカ東部における湧水の分布を同定し、気候変動に... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/06/01 00:00
アファレンシスの脊椎骨
 これは5月28日分の記事として掲載しておきます。330万年前頃の人類の脊椎骨に関する研究(Ward et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。エチオピアのディキカ(Dikika)では330万年前頃の人類の幼児の部分的骨格が発見されており(関連記事)、アウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。この幼児化石(DIK-1-1)は、エチオピアの公用語であるアムハラ語で「平和」を意味す... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/28 00:00
最古の人類系統かもしれないヨーロッパのヒト科化石
 これは5月27日分の記事として掲載しておきます。中新世のヨーロッパのヒト科化石と人類系統との類似性、および当時の環境についての研究が報道されました。AFPでも報道されています。一方の研究(Fuss et al., 2017)は、ギリシア(Pyrgos Vassilissis Amalia)とブルガリア(Azmaka)で発見された既知のグラエコピテクス属化石の歯根を改めて分析し、アウストラロピテクス属・アルディピテクス属など絶滅した人類系統や現代人と比較した結果、グラエコピテクス属はチンパンジー... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/05/27 00:00
白保竿根田原洞穴遺跡についての新たな発表
 これは5月22日分の記事として掲載しておきます。沖縄県石垣市の白保竿根田原洞穴遺跡についての新たな発表が報道されました。読売新聞でも報道されています。白保竿根田原洞穴遺跡では日本列島でも有数の古い人骨が複数発見されており、このブログでも何度か取り上げてきました。 http://sicambre.at.webry.info/201002/article_6.html http://sicambre.at.webry.info/201003/article_13.html http://si... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/22 00:00
現代人の形成に大きな役割を果たした移民
 これは5月20日分の記事として掲載しておきます。現代人の形成に移民が大きな役割を果たした、と指摘する概説(Gibbons., 2017)が公表されました。この概説は、現在、移民が大きな問題となっていることを強く意識した内容になっています。移民排斥の流れは現代世界の大きな動向として注目されており、それがイギリスの国民投票におけるEU離脱や、アメリカ合衆国でのトランプ政権の誕生など、「識者」や既存報道機関にとって意外な、大きな政治的出来事をもたらした、とよく論じられています。また、「識者」や既存報... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/20 00:00
環境変化とホモ属の出現
 これは5月17日分の記事として掲載しておきます。環境変化とホモ属の出現に関する研究(Robinson et al., 2017)が報道されました。アフリカ東部におけるアウストラロピテクス属からホモ属への移行は、鮮新世〜更新世にかけての、湿潤な森林の多い環境から乾燥した草原環境への移行と関連づけられてきました。しかし、鮮新世末期の環境に関するデータは不足しています。この研究は、アワシュ川下流域とトゥルカナ盆地において、350万〜100万年前頃の動物相の土壌炭酸塩安定同位体を分析し、環境変化と食性... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/17 00:00
Alex Mesoudi『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』
 これは5月14日分の記事として掲載しておきます。アレックス=メスーディ(Alex Mesoudi)著、野中香方子訳、竹澤正哲解説で、文藝春秋社より2016年2月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。本書は、文化の変遷を生物進化の概念・数理モデルで把握しようとする文化進化論の立場を解説しています。歴史学や文化人類学など文化を扱う社会科学分野は多数ありますが、その多くが定量的な手法を用いておらず、科学的厳密さに欠けている、と本書は指摘します(心理学や経済学の手法には科学的厳密さがあるものの... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/05/14 00:00
2017年度アメリカ自然人類学会総会(クロアチアの後期更新世〜完新世の遺跡について)
 これは5月13日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、今年(2017年)4月19日〜4月22日にかけて、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ市で第86回アメリカ自然人類学会総会が開催されました。アメリカ自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での各報告の要約はPDFファイルで公表されているのですが、まだいくつかの報告を読んだだけです。とりあえず今回は、とくに興味深いと思った報告(Jankovi&#... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/05/13 00:00
ナレディの新たな化石と年代(追記有)
 これは5月11日分の記事として掲載しておきます。新種のホモ属とされているナレディ(Homo naledi)に関する新たな論文3本が報道されました(報道1および報道2および報道3)。ナレディは南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された年代不明の人骨群(関連記事)で、一般誌でも大きく取り上げられる(関連記事)など話題になりました。ナレディの足と手には現代人的(派生的)特徴と祖先的特徴との混在が指摘... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/05/11 00:00
アシューリアン石器製作の基礎となる脳機能
 これは5月10日分の記事として掲載しておきます。アシューリアン(Acheulian)石器製作の基礎となる脳機能に関する研究(Putt et al., 2017)が報道されました。伝統的な石器製作技術の区分(関連記事)では、小さな礫から2〜3片の剥片をはがす簡単な石器製作技術であるオルドワン(Oldowan)に代表される様式1(Mode 1)から、様式1より周到な計画と調整が必要とされる両面加工握斧(Handaxe)などを製作する様式2(Mode 2)への変化は、画期の一つとされています。現時点... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/10 00:00
Yuval Noah Harari『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』上・下
 これは5月7日分の記事として掲載しておきます。ユヴァル=ノア=ハラリ(Yuval Noah Harari)著、野中香方子訳で、河出書房新社から2016年9月に刊行されました。原書の刊行は2011年です。地上波でも取り上げられ、大型書店でも大きく扱われているなど、本書は評判の一冊になっているようです。私は刊行後間もない時期に購入したのですが、書評を少し読んだ限りでは、あまり新鮮さはなさそうだということで、読むのを先延ばしにしていました。しかし、このまま読まないのはもったいないと思い、読んでみた次... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/07 00:00
アフリカ南部の岩絵の年代
 これは5月5日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部の岩絵の年代に関する研究(Bonneau et al., 2017)が報道(Wild., 2017)されました。この研究で調査対象となったのは、アフリカ南部における初期狩猟採集民の直系子孫とされるサン人の所産と考えられている、南アフリカ共和国・ボツワナ共和国・レソト王国の後期石器時代のものと思われる岩絵です。岩絵は民族誌としても利用でき、農耕集団や牧畜集団との交流の様子が窺えると指摘されていますが、他の人工物が共伴していないので、正確な... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/05/05 00:00
究極の利他的行為の動機
 これは5月4日分の記事として掲載しておきます。究極の利他的行為の動機に関する研究(Vekaria et al., 2017)が公表されました。腎臓を見知らぬ人に提供する行為は、痛みを伴い、犠牲が大きく、標準的ではなくて極めてまれであり、利他主義の典型例とみなすことができます。ヒトの利他主義傾向を高める要因は何なのか、また、その寛大さは他者への純粋な共感から生まれるのか、それとも利己的な動機に由来するのか、といった疑問に対する答えはいまだ得られていません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/05/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(31)2017年1月〜2017年4月
 これは5月1日分の記事として掲載しておきます。2017年1月〜2017年4月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2017年1月〜2017年4月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2017/05/01 00:00
堆積物で確認された更新世人類のDNA
 これは4月29日分の記事として掲載しておきます。堆積物から更新世人類のDNAを解析した研究(Slon et al., 2017)が報道されました。『ネイチャー』のサイト には解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、ベルギー・クロアチア・フランス・ロシア・スペインというユーラシアの広範な地域の55万〜14000年前頃の9ヶ所の遺跡を対象とした堆積物の調査の結果、5ヶ所の遺跡において現生人類(Homo sapiens)ではない更新世人類のミトコンドリア... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/29 00:00
アメリカ大陸における13万年前頃の人類の痕跡?
 これは4月28日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸における人類の痕跡が大きくさかのぼるかもしれないことを報告した研究(Holen et al., 2017)が報道されました。『ネイチャー』のサイト には解説記事が掲載されています。この研究が取り上げたのは、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部のサンディエゴ市近郊のセルティマストドン(Cerutti Mastodon)遺跡です。セルティマストドン遺跡では、単一のマストドン(Mammut americanum)の断片的な遺骸が発見されていま... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/04/28 00:00
デニソワ洞窟で確認された新たなネアンデルタール人の骨
 これは4月26日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、南西シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で確認された新たなネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の骨に関する研究(Brown et al., 2016)が報道されました。デニソワ洞窟では、出土人骨のDNA解析から、ネアンデルタール人や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)の存在が確認されており、高い網羅率の更新世人類のゲノム配列も得られていま... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/26 00:00
フロレシエンシスの祖先はエレクトスではない
 これは4月24日分の記事として掲載しておきます。インドネシア領フローレス島で発見された5万年以上前の更新世人類の起源に関する研究(Argue et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この人類の分類については発見当初、ホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、激論が展開されました。今でも病変現生人類説は一部で根強く主張されていますが、この研究でも病変現生人類... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/24 00:00
長谷川眞理子、 山岸俊男『きずなと思いやりが日本をダメにする 最新進化学が解き明かす「心と社会」』
 これは4月23日分の記事として掲載しておきます。集英社インターナショナルより2016年12月に刊行されました。本書は著者二人の対談で、一般読者層にもたいへん読みやすくなっていると思います。あとがきにあるように、編集者の力量が優れている、ということなのでしょう。さすがに第一人者同士の対談だけあって、じゅうぶん読みごたえがありましたし、教えられるところが多々ありました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/23 00:00
現生人類の起源と拡散
 これは4月20日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、現生人類(Homo sapiens)の起源と拡散についての研究(Nielsen et al., 2017)が公表されました。本論文は、現代と古代の人類のゲノム解析から、現生人類の起源と拡散を概観しています。現時点でこの問題を把握するうえで、本論文はたいへん有益だと思います。この問題に関心のある人にはお勧めの論文です。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 0

2017/04/20 00:00
亀田達也『モラルの起源 実験社会科学からの問い』
 これは4月16日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2017年3月に刊行されました。本書は、人間社会のモラルの基盤を、さまざまな分野の研究成果から検証しています。本書はこれを「実験社会科学」と呼んでいます。実験社会科学とは、経済学・心理学・政治学・生物学など複数の分野の研究者たちが集まり、「実験」という共通の手法を用いて、人間の行動や社会における振る舞いを検討しようとする、新たな学問領域です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/04/16 00:00
更新世において間氷期をもたらす要因
 これは4月14日分の記事として掲載しておきます。更新世において間氷期をもたらす要因についての研究(Tzedakis et al., 2017)が公表されました。全般的に気候が寒冷だった更新世の温暖な期間である間氷期の存在は、さまざまな証拠からよく知られています。日射量の変化のタイミングは、地球と太陽の幾何学的配置の小さな変動によって調節されていますが、間氷期のタイミングや、間氷期の契機となるのに必要な軌道配置の明らかな変化について、明確な説明はまだ困難です。この研究は、夏季の日射量の閾値に基づ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/04/14 00:00
アフリカヌスの踵骨の分析
 取り上げるのが遅れてしまいましたが、アウストラロピテクス属化石の踵骨に関する研究(Zeininger et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、南アフリカ共和国のスタークフォンテン(Sterkfontein)洞窟で発見されたアウストラロピテクス属化石である踵骨「StW 352」です。StW 352はアフリカヌス(Australopithecus africanus)に分類されています。StW 352は、現代人・チンパンジー・ゴリラ・ヒヒと比較されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/04/11 00:00
Jonathan Marks『元サルの物語 科学は人類の進化をいかに考えてきたのか』
 これは4月9日分の記事として掲載しておきます。ジョナサン=マークス(Jonathan Marks)著、長野敬・長野郁訳で、2016年11月に青土社より刊行されました。原書の刊行は2015年です。本書は一般向けながら、たいへん深い内容になっていると思います。だからといって、難解とか、晦渋さを誇示しているとかいうわけではなく、文章自体は比較的平易だと思います(正確には、翻訳文がそうだと言うべきなのでしょうが、おそらく原文も同様なのでしょう)。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/09 00:00
更新世の食人行為の評価(追記有)
 これは4月8日分の記事として掲載しておきます。更新世の食人行為の評価に関する研究(Cole., 2017)が報道されました。食人行為は、その背徳性もあって、一般層の関心もなかなか高く、学界でも食人行為にはずっと一定以上の関心が寄せられているように思います。食人行為の目的に関しては、議論が続けられてきました。大まかには、儀式・(飢餓などによる)栄養摂取・攻撃性の発露(復讐)・薬用などに分類されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/04/08 00:00
ヒトの身長に関連する遺伝子群
 これは4月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトの身長に関連する遺伝子群についての研究(Marouli et al., 2017)が公表されました。ヒトの身長には複数の遺伝子が関与しており、複雑な形質の遺伝的解析のモデルとされてきました。ゲノム規模の関連研究によって、これまでに約700のありふれた多様体が身長と関連づけられていますが、低頻度の多様体や希少な多様体が果たす役割については、系統的な評価が行なわれていませんでした。この研究は、71万1418人のゲノムのコード領域を解析し、身長に関連... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/04/07 00:00
マリタ遺跡の少年のDNA解析について
 これは4月5日分の記事として掲載しておきます。南中央シベリアのマリタ(Mal’ta)遺跡の少年(MA-1)のDNA解析結果について、以前このブログで取り上げました(関連記事)。その後、私も最近投稿したある掲示板で、その記事について、「アンタが出したあのブログが君のかどうかすら、さっぱりわからん!」とか、「私が日本語訳を引用したものをコピペして検索し、あのブログにたどりつき、アンタが勝手に自分のブログにしたのかもしれん」と言い出す人がいたので、その掲示板で「sicambre」として投稿しているの... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/05 00:00
クリミアのネアンデルタール人の象徴的行動の証拠
 これは4月1日分の記事として掲載しておきます。クリミアのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の象徴的行動に関する研究(Majkić et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、クリミアのザスカルナヤ6(Zaskalnaya VI)岩陰遺跡の中部旧石器時代の層で発見された、ワタリガラス(Corvus corax)の橈骨の断片です。ザスカルナヤ6遺跡は1969年に発見され、1969〜1975年・1977〜1978年・1981〜19... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/04/01 00:00
霊長類の脳サイズと食性の関係
 これは3月29日分の記事として掲載しておきます。霊長類の脳サイズと食性の関係についての研究(DeCasien et al., 2017)が公表されました。霊長類の脳サイズの進化に関するこれまでの研究では、種の典型的な集団の平均的な構成個体数と体の大きさに対する脳サイズとの間に相関が見出されています。しかし、種が一夫一妻制かどうかなど、社会的複雑性に関する別の尺度を考えると、結果には一貫性がなく、環境中の他の潜在的推進要因が探られていません。この研究は、非ヒト霊長類の脳サイズに関して、これまでに... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/03/29 00:00
『最古の文字なのか? 氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』
 これは3月26日分の記事として掲載しておきます。ジェネビーブ=ボン=ペッツィンガー(Genevieve von Petzinger)著、櫻井祐子訳で、文藝春秋社より2016年11月に刊行されました。原書の刊行は2016年です。著者の見解は地上波の番組でも取り上げられたことがあり、すでにある程度知られているのではないか、と思います。このブログでも、著者の見解を取り上げたことがあります(関連記事)。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/03/26 00:00
高地に順応する方法を「記憶」している血液細胞
 これは3月23日分の記事として掲載しておきます。赤血球が高地へ順応する仕組みについての研究(Song et al., 2017)が公表されました。ヒトの体は、低酸素状態を生き延びるために適応応答を起こして、体内組織への酸素供給を促進します。そうした適応応答の一つがアデノシンという化学物質の放出で、これにより血管漏出が防止され、炎症が軽減されて、血管が拡張して組織の損傷が減ります。これまでの研究では、高地に繰り返して行くことで低酸素環境への適応が加速されることが明らかになっていましたが、このよう... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/03/23 00:00
『カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論』
 これは3月19日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2017年1月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。第1巻については、すでにこのブログで取り上げています(関連記事)。第2巻はとくに淘汰を重点的に解説しており、第5章「進化のメカニズム─遺伝的浮動と自然淘汰」・第6章「量的遺伝学と表現型の進化」・第7章「自然淘汰... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/03/19 00:00
40万年前頃のポルトガルの人類頭蓋
 これは3月16日分の記事として掲載しておきます。40万年前頃のポルトガルの人類頭蓋に関する研究(Daura et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究が分析したのは、ポルトガルのアロエイラ洞窟(Gruta da Aroeira)で発見された中期更新世のホモ属頭蓋(アロエイラ3)です。アロエイラ洞窟の中期更新世の層では、人類化石とともに、豊富な(人類ではない)動物化石や、石器群が発見されています。この石器群はアシューリアン(Acheulia... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

2017/03/16 00:00
新生児は成人と同様に視覚処理ができる
 これは3月14日分の記事として掲載しておきます。新生児の視覚処理に関する研究(Deen et al., 2017)が公表されました。成人の大脳皮質の視覚野は、顔・物体・風景など目に見えるもの全てをそれぞれ処理する領域に分かれています。ただ、こうした領域が周辺環境にさらされたために形成されたのか、それとも若い頃から存在していたのかは、まだ明らかになっていません。この研究は、9人の乳児(生後4〜6か月)を機能的磁気共鳴画像装置の中に寝かせたままで、さまざまな画像を見せて画像データを取得しました。こ... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/03/14 00:00
急速に拡散した最初期のオーストラリア人(追記有)
 これは3月11日分の記事として掲載しておきます。オーストラリア先住民のミトコンドリアDNA(mtDNA)を解析した研究(Tobler et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、1928年から1970年代にかけてオーストラリア先住民から集められた111点の髪からmtDNAを解析しました。注目されるのは、オーストラリア先住民社会から合意・協力を得て研究が進められ、オーストラリアにおける先住民政策にも活かされていることです。今では、こうした... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/03/11 00:00
歯石から推測されるネアンデルタール人の行動・食性・病気(追記有)
 これは3月10日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の歯石のDNAを分析した研究(Weyrich et al., 2017)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事(Callaway., 2017)が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヒトの歯石には、体内の多数の微生物や食事などで歯に付着した生物のDNAが多数保存されています。この研究は、DNA解析技術の発展により、化石人類の歯石のDNA解析に... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/03/10 00:00
肥満と糖尿病の関係
 肥満と糖尿病の関係についての研究(Wahl et al., 2017)が公表されました。肥満は2型糖尿病や関連する代謝疾患の主要なリスク因子です。遺伝子関連研究により肥満に関連するゲノムの座位が明らかにされており、最近の研究でもDNAメチル化との関連が示唆されています。この研究では、ボディーマス指数(BMI)に関してエピゲノム全体にわたる検証が行なわれ、血液および脂肪組織では187の座位でDNAメチル化との関連が明らかになりました。また、これらのメチル化の変化は肥満の結果として生じ、従来のリス... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/03/08 00:16
『カラー図解 進化の教科書 第1巻 進化の歴史』
 これは3月5日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Robin Dunbar)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2016年11月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。本書は、進化の具体的な過程とともに、進化の基本的な仕組みについての解説にもなっており、進化の入門書としてたいへん優れていると思います。豊富な具体的な事例が本書の特徴で、一般層にも面白く読める構成にしよう、との意... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2017/03/05 00:00
12万〜10万年前頃の「許昌人」の頭蓋
 これは3月4日分の記事として掲載しておきます。中国で発見された上部更新世前期のホモ属頭蓋に関する研究(Li et al., 2017)が報道されました。この研究が分析したのは、中華人民共和国河南省許昌市(Xuchang)霊井(Lingjing)遺跡で発見された、125000〜105000年前頃の頭蓋です。この頭蓋に関しては、9年前(2008年)にこのブログで取り上げ(関連記事)、その後に補足となる追加記事を掲載したことがあります。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/03/04 00:00
ヨーロッパの初期人類の食性
 これは3月2日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期人類の食性に関する研究(Pérez-Pérez et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、スペイン北部のアタプエルカで発見されたホモ属の人骨群(120万〜80万年前頃)です。アタプエルカでは、「象の穴(Sima del Elefante)」遺跡で120万年前頃のホモ属化石(種区分未定)が、グランドリナ(Gran Dolina)遺跡で96万〜80万年前頃のホモ属化石が発見されています... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/03/02 00:00
現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人由来の遺伝子の影響
 これは2月28日分の記事として掲載しておきます。現代人の遺伝子発現におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)由来の遺伝子の影響に関する研究(McCoy et al., 2017)が報道されました。ネアンデルタール人と出アフリカ現生人類(Homo sapiens)集団とが交雑し、非アフリカ系現代人のゲノムにわずかながらネアンデルタール人由来の領域が存在することは、今では広く認められている、と言ってよいでしょう。そうした領域のなかには、たとえば脂質代謝に関わる遺伝子(... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/02/28 00:00
加齢によるリスク選好の変化は脳構造の変化に起因する
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。加齢によるリスク選好の変化に関する研究(Grubb et al., 2016)が公表されました。ヒトがリスク(予測できない結果)を伴う意思決定を行うさいには、右後部頭頂皮質という脳領域が活動しています。これまでの研究では、この領域の灰白質の量が若年成人のリスク選好と相関していることが明らかになっています。ヒトでは、昔から知っていて見慣れたものを選ぶ傾向は、年齢を重ねるにつれて顕著になります。ヒトは年をとるとリスクのある決定をあまりしなくなるわけで... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/02/25 00:00
9世紀〜12世紀にかけての北アメリカ大陸における母系継承の支配層(追記有)
 これは2月24日分の記事として掲載しておきます。9世紀〜12世紀の北アメリカ大陸の支配層と思われる人骨群のDNA解析に関する研究(Kennett et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州にある有名なプエブロボニート(Pueblo Bonito)遺跡の人骨群です。放射性炭素年代測定法により、プエブロボニート遺跡の年代は800〜1130年頃と推定されています。アメリカ合衆国南西部のチャコ渓谷(Chaco Canyon)には、2階以上の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/02/24 00:00
「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。表題の記事がナショナルジオグラフィックに掲載されました。正直なところ、表題を読んだ時には、男女には本質的な違いはないとか、性別を重視すること自体が社会的に構築されたものだとか、性別自体が生物学的に否定されているとかいった言説が展開されるのではないか、とかなり警戒したのですが、以前からの私の見解にひじょうに近いところがあり、かなり同意できる内容でした。もっとも、表題の記事で男女差の事例とされた課題実験も、社会的に構築された性差の構造に起因するものに... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/02/20 00:00
ハインリッヒイベントの要因
 ハインリッヒイベントの要因に関する研究(Bassis et al., 2017)が公表されました。ハインリッヒイベントは、ローレンタイド氷床などの氷床から北大西洋へ多数の氷山が流出する大規模な事象です。しかし、数十年にわたる研究で多数の見解が提示されているにも関わらず、ハインリッヒイベントを起こす機構に関してはまだ激しい議論が続いています。この研究は、新しいモデルによる証拠を提示し、ハインリッヒイベントが驚くほど単純な機構によって起こることを示しています。それは、暖かい海水の流入が氷床の分離面... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/02/18 00:00
不正を続けると不正への脳の感受性が低下する
 不正直な行動と脳の感受性に関する研究(Garrett et al., 2016)が公表されました。この研究は、18〜65歳の80人に参加してもらい、第1被験者に1ペンス銅貨入りのガラス瓶の画像を見せて銅貨の数を見積もらせ、その数を第2被験者に伝えさせる、という実験を行ないました。この研究は、(1)第2被験者が不利益を受けて第1被験者が利益を得る、(2)第1被験者も第2被験者も利益を得る、(3)第1被験者が不利益を受けて第2被験者が利益を得る、(4)第1被験者だけが利益を得て、第2被験者は影響を... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/02/16 00:00
アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源
 アイルランドの移動型民族集団であるアイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関する研究(Gilbert et al., 2017)が公表されました。アイルランド国内のトラヴェラー集団の人口は29000〜40000人と推定されており、アイルランドの総人口の約0.6%に相当します。アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関しては、1845〜1852年にかけてのアイルランドの大飢饉の時期に起源がある、との説も提示されていますが、文書証拠がないために論争が続いています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/02/14 00:00
現代アメリカ合衆国の人口構造
 これは2月11日分の記事として掲載しておきます。現代アメリカ合衆国の人口構造に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。植民地時代以前の北アメリカ大陸の人々については、かなり詳細な研究が行われていますが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航しています。この研究は、アメリカ合衆国生まれの約77万人のDNA解析を行ない、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/02/11 00:00
女性性器切除の文化的進化
 これは2月10日分の記事として掲載しておきます。アフリカの特定の民族集団における女性性器切除(FGC)の文化的進化に関する研究(Howard, and Gibson., 2017)が公表されました。女性性器切除の風習は、とくにアフリカおよび中東各地の多くの民族集団において確認されており、場合によっては、非医学的な理由から女性の性器に各種の有害な改変を加え、産科的・性的・心理的に重大な影響を生じることがあります。したがって、その撲滅は国際社会の優先課題とされています。しかし、この風習に対する組織... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/02/10 00:00
脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構
 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。脳が相互に関連し合った対象を意識的に結びつける機構についての研究(Falco et al., 2016)が公表されました。この研究は、2つの対象物や2人の関連性の強さについて、1対の画像にたいするヒトの神経活動を測定することで、この関連性の程度を予測できることを明らかにしました。この研究は、癲癇治療のため電極を埋め込まれた49人の被験者のニューロンの発火パターンを測定する実験を行ないました。この実験では、被験者に一定数の画像が見せられ、個々のニュー... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/02/09 00:00
社会規範の違反の程度と応答
 これは2月8日分の記事として掲載しておきます。社会規範の違反の程度と応答に関する研究(Balafoutas et al., 2016)が公表されました。この研究は、ドイツの駅で軽微な違反行為(コーヒー用の紙コップのポイ捨て)と重大な違反行為(コーヒー用の紙コップと何かが入っている紙袋のポイ捨て)を演出し、800回以上の試行によって旅行者の反応を記録しました。これらの試行で、違反の大小はポイ捨てをした者が叱責される可能性や叱責の程度に影響を及ぼしませんでした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/02/08 00:00
7700年前頃の東アジア人のDNA
 これは2月3日分の記事として掲載しておきます。7700年前頃の東アジア人のDNAに関する研究(Siska et al., 2017)が報道されました。これまで、西ユーラシアでは多くの旧石器時代・中石器時代・新石器時代・金属器時代以降の人類のDNAが解析されており、農耕の開始にともなう人類集団の遺伝的構成の変遷がしだいに明らかになりつつあります。そこで明らかになってきたのは、ヨーロッパでは旧石器時代から現代にいたるまで、西アジアやユーラシア内陸部から農耕や冶金技術を携えた集団の大規模な移動がたび... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/02/03 00:00
20万年以上前までさかのぼる大量の黒曜石の長距離移動
 これは2月2日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代のアフリカ東部における黒曜石の長距離移動に関する研究(Blegen., 2017)が公表されました。この研究は、一昨年(2015年)4月の古人類学協会の年次総会における報告(関連記事)が元になっています。この研究が分析したのは、ケニアのカプサリン(Kapthurin)層の中期石器時代初期のシビロ学校路遺跡(Sibilo School Road Site)の石器群です。この石器群にはルヴァロワ式尖頭器(Levallois points)な... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2017/02/02 00:00
妊娠により変わる女性の脳の構造
 これは1月31日分の記事として掲載しておきます。妊娠による女性の脳の構造の変化に関する研究(Hoekzema et al., 2017)が公表されました。妊娠すると、ホルモンの濃度が急上昇するため、体に急激な生理的変化と物理的変化が生じます。思春期のホルモン変化といったそれほど急激でないホルモンの変化があっても、脳の構造と機能が変化することが明らかになっていますが、妊娠により女性の脳の構造がどのように変化するのか、まだ解明されていません。この研究は、妊娠・出産を初めて経験した25人の女性を妊娠... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/31 00:00
音楽の普遍的な特徴の変化
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。音楽の普遍的な特徴の変化に関する研究(Ravignani et al., 2016)が公表されました。世界には多種多様なヒトの音楽がありますが、文化圏の違いに関わらず類似性が認められます。また、ヒトの音楽は本質的に構造を持ちますが、そうした構造的規則性が生まれる仕組みは不明です。この研究はそうした現象を調べるために、音楽の進化のシミュレーションを実験室で実施しました。まず、実験参加者の第1グループが、ランダムに作られたドラムの音の連なりを聞き、そ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/01/28 00:00
病原体の毒性の性差
 これは1月26日分の記事として掲載しておきます。病原体の毒性の性差に関する研究(Úbeda, and Jansen., 2016)が公表されました。特定の病原体感染症の重症度に性差が見られるのは、男性より女性の免疫応答の方が強いからだ、と考えられてきました。しかしこの研究は、男性より女性における伝播経路が多い病原体にとっては、感染した女性の症状を軽くするように進化することが有効な進化戦略だ、と指摘しています。女性が集団内の他の構成員に病原体をうつす経路で男性と異なるものとしては、妊娠... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/26 00:00
想定されていたほどには仲間を助ける行動をとらないチンパンジー
 チンパンジーの他者への協力行動に関する研究(Tennie et al., 2016)が公表されました。非ヒト霊長類のさまざまな種を野生状態で観察する研究では、親切な行為・協力的な行為・他者を助ける行為などが観察される、と報告されています。たとえば、互いを毛繕いする行為・戦っている個体に加勢する行為・生息地の境界を監視して群れの成員の安全を図る行為などです。同様の観察結果は訓練されたサルについても得られていますが、こうした行動が他者を助けるために行なわれるのか、こうした行動によって後から生じる恩... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/21 00:00
クラピナ遺跡で発見されたネアンデルタール人の象徴的思考のさらなる証拠
 これは1月19日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の象徴的思考に関する研究(Radovčić et al., 2016)が報道されました。ネアンデルタール人の象徴的思考に関しては、現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」との関連で大いに注目されています。象徴的思考能力が現生人類には存在し、ネアンデルタール人にはなかったことが、「交替劇」の一因になった、との見解は今でも根強く支持されているかもしれません。... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/19 00:00
最終最大氷期におけるベーリンジアでの人類の痕跡
 これは1月18日分の記事として掲載しておきます。最終最大氷期(LGM)におけるベーリンジア(ベーリング陸橋)での人類の痕跡に関する研究(Bourgeon et al., 2017)が報道されました。ベーリンジアは、カナダ北西のマッケンジー川からロシアのレナ川までにわたる広大な領域です。アメリカ大陸への最初の人類の進出には大きな関心が寄せられており、時として政治的問題も絡んできます(関連記事)。近年有力視されているベーリンジア潜伏モデルという見解では、人類はアメリカ大陸に進出する前に、最終最大氷... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/01/18 00:00
アマゾン低地における過去45000年間の水文気候の変化
 アマゾン低地における過去45000年間の水文気候の変化に関する研究(Wang et al., 2017)が公表されました。アマゾンの森林は、気候変動と生物化学的変動の大部分にたいして、年々から1000年の時間スケールで応答するとともに、影響も及ぼしています。しかし、この地域における過去の気候変動の分解能の高い記録を手に入れるのは難しく、最終氷期極大期(LGM)において、アマゾンの森林が湿潤だったのか、それとも乾燥していたのかについてすら、これまでよく分かっていませんでした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/14 00:00
小原嘉明『入門!進化生物学 ダーウィンからDNAが拓く新世界へ』
 これは1月12日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年12月に刊行されました。本書は、現在の進化学の成果とともに学説史を参照し、進化学がどのように成立・展開してきたのか、分かりやすく解説しています。題名に入門とありますが、日本語で読める進化学の最新の入門書としてたいへん優れていると思います。これは、理論的な問題を扱いつつも、本書があくまでも具体的事例を取り上げて解説しようとしているからでもあるのでしょう。近いうちにまた再読したい一冊です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/12 00:00
1万年前頃の植物の加熱調理
 これは1月11日分の記事として掲載しておきます。1万年前頃の植物の加熱調理関する研究(Dunne et al., 2016)が公表されました。土器は東アジアと北アフリカにおいて、1万年以上前に互いに無関係に発明されたと考えられています。その土器について、牛乳などの動物産品の加工に利用されたことを示す証拠は存在しますが関連記事、植物の調理で果たした役割は明らかになっていませんでした。この研究は、リビアのサハラ砂漠のタカルコリ(Takarkori)・ウアンアフダ(Uan Afuda)遺跡から出土し... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/11 00:00
さかのぼるチベット高原高地帯の人間の定住年代
 これは1月7日分の記事として掲載しておきます。チベット高原高地帯の人間の定住年代に関する研究(Meyer et al., 2017)が報道されました。チベット高原高地帯における人間の永続的な定住年代については、農耕の始まった3600年前頃以降(関連記事)ではないか、と考えられてきました。この研究は、1998年にチベット高原中央のチュサン(Chusang)村近くで発見された人間の手形や足跡の年代について報告し、チベット高原高地帯への人間の永続的な居住はじゅうらいの推定よりも少なくとも数千年はさか... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/01/07 00:00
関連していなかった人類の脳と歯の進化
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。人類の脳と歯の進化に関する研究(Gómez-Robles et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代人も含む後期ホモ属の重要な特徴として、犬歯の縮小と脳サイズの増大が挙げられます。人類は、より大きな脳により道具の製作が可能となり、道具の使用により大きな歯を持つ必要性が減少した、というように両者を関連づける見解もありますが、この研究は、各人類系統における犬歯の縮小と脳サイズの増大の速度を定... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2017/01/05 00:00
尾本恵市『ヒトと文明 狩猟採集民から現代を見る』
 これは1月4日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2016年12月に刊行されました。本書は人類史の概説とも言えますが、著者の問題意識は現代社会への強い危機感にあり、現代人への警鐘と受け止めるべきなのかもしれません。ただ、本書は著者の自伝的性格も強いので、人類史の概説にしても、現代社会の危機の指摘にしても、やや雑然としているというか、体系的ではないところがあります。もっとも、著者の少年時代からの話は研究史にもなっているので、興味深く読み進められました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2017/01/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(30)2016年9月〜2016年12月
 これは1月2日分の記事として掲載しておきます。2016年9月〜2016年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2016年9月〜2016年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2017/01/02 00:00
2016年の古人類学界
 これは12月29日分の記事として掲載しておきます。あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2016年)も古人類学界について振り返っていくことにします。今年の動向を私の関心に沿って整理すると、以下のようになります。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/12/29 00:00
絶滅ホモ属から現生人類への適応的遺伝子移入
 これは12月25日分の記事として掲載しておきます。絶滅ホモ属から現生人類(Homo sapiens)への適応的遺伝子移入に関する研究(Racimo et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった絶滅ホモ属との交雑により獲得した遺伝子のなかには適応度を高めるものもあり、現生人類のアフリカからの拡散に寄与したのではないか、との見... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/12/25 00:00
ネアンデルタール人による持続的な土地の利用
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)による持続的な土地の利用に関する研究(Shaw et al., 2016)が報道されました。この研究が検証したのは、多くの石器や動物の骨が発見されている、英仏海峡に位置するチャンネル諸島のジャージー島にあるラコットドサンブリレード(La Cotte de St Brelade)遺跡です。この研究で検証対象となったのは、おもに海洋酸素同位体ステージ(MIS)7〜6の各層で、温暖期から寒冷期へという大きな気候変動がありました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/12/22 00:00
ヨーロッパの初期人類の食性と火の不使用
 これは12月17日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期人類の歯石を分析した研究(Hardy et al., 2017)が報道されました。この研究が分析対象としたのは、スペイン北部のアタプエルカの「象の穴(Sima del Elefante)」遺跡で発見された、120万年前頃の人類の臼歯の歯石です。この人類の種区分は明確になっていませんが、ホモ属であることは間違いないようです。ヨーロッパの初期人類の痕跡としては、140万年前頃の歯(関連記事)や157万年前頃の石器(関連記事)が発見さ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/12/17 00:00
アファレンシスの新たな足跡と社会構造(追記有)
 これは12月16日分の記事として掲載しておきます。タンザニアのラエトリ(Laetoli)で発見された新たな人類の足跡に関する研究(Masao et al., 2016)が報道されました。ラエトリでは366万年前頃のアウストラロピテクス属のものと思われる足跡が発見されており、アファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。この足跡は遺跡Gで発見され、3個体分(G1・G2・G3)が確認されています。この研究は、新たに発見された遺跡Sの人類の足跡について報告... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/12/16 00:00
男女平等と病原体の罹患率の関係
 これは12月14日分の記事として掲載しておきます。男女平等と病原体の罹患率の関係についての研究(Varnum, and Grossmann., 2016)が公表されました。異なる社会間にみられる男女差および社会内にみられる男女差については詳しく調べられているものの、男女平等の程度の変化をもたらす要因については、ほとんど分かっていません。この研究は、米国については1951〜2013年の、英国については1945〜2014年のアーカイブデータを使い、感染症・リソースの不足・戦争・気候ストレスという四... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/12/14 00:00
カナダ先住民の免疫関連遺伝子の進化
 これは12月11日分の記事として掲載しておきます。カナダのファースト・ネーション(先住民の一部)の免疫関連遺伝子の進化に関する研究(Lindo et al., 2016)が公表されました。カナダの一部先住民は、ヨーロッパ系集団との接触後に人口が減少し、その要因が感染症だったとの見解も提示されています。この研究は、ヨーロッパ系集団の到来を境にして、古代と現代の一部先住民のDNAを比較しました。この研究で対象となったのは、現在の行政区分ではブリティッシュコロンビア州の、6000〜1000年前頃の住... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/12/11 00:00
植物を食べていた中期更新世の人類
 これは12月8日分の記事として掲載しておきます。中期更新世初期の人類の食性に関する研究(Melamed et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。初期人類の食性に関する研究は、おもに動物の遺骸に依拠しているので、植物性の食資源については、まだよく明らかになっていないところがりあます。この研究は、イスラエル北部のフラ(Hula)湖畔にある、下部旧石器時代のアシューリアン(Acheulian)遺跡として有名なジスルバノトヤコブ(Gesher Beno... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2016/12/08 00:00
南コーカサスにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行年代
 今年(2016年)9月14日〜18日にかけてマドリードで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第6回総会で、南コーカサスにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行年代に関する研究(Frouina et al., 2016)が報告されました。この研究の要約は、PDFファイルで読めます(P99)。コーカサス地域は、出アフリカ後の現生人類(Homo sapiens)の重要な拡散経路だった、と考えられています。そのため、コーカサス地域における中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行は、ネアンデルタール人... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/12/07 00:00
ネアンデルタール人とされていたイタリアの化石の再検証
 これは12月3日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅れましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とされていた化石を再検証した研究(Talamo et al., 2016)が公表されました。この研究が再検証の対象としたのは、イタリア北部のリパロメツェナ(Riparo Mezzena)遺跡(関連記事)の断片的な骨の化石です。リパロメツェナ遺跡は、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との共存の根拠になるのではないか、ということで注目され... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/12/03 00:00
アファレンシスの樹上生活への適応
 エチオピアで1974年に発見された有名な人類化石「ルーシー(Lucy)」の四肢骨を分析し、現代人やチンパンジーと比較した研究(Ruff et al., 2016)が報道されました。ルーシー(A.L. 288-1)はアウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されており、その年代は318万年前頃と推定されています。アファレンシスの歩行形態が地上での直立二足歩行だったことは確実と考えられているものの、樹上生活にどれだけ適応していたのか、という... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/12/02 00:00
ドマニシ遺跡の初期ホモ属に関する会議
 ジョージア(グルジア)にあるドマニシ遺跡の初期ホモ属(ドマニシ人)に関する会議についての報告(Gibbons., 2017)が公表されました。この会議は、今年(2016年)9月20日〜24日にかけてジョージアのトビリシで開催されました。ドマニシ人については、以前にもこのブログでまとめたことがあります(関連記事)。ドマニシ遺跡においては、185万〜176万年前頃の層で、大量の石器とともに初期ホモ属化石が発見されています。また、剣歯虎・エトルリア狼ハイエナといった動物の骨も発見されています。ドマニ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/26 00:25
クジラを食べていた古代グリーンランド人
 古代グリーンランド人がクジラを食べていた証拠を報告した研究(Seersholm et al., 2016)が公表されました。過去4500年の間に人類は何度もグリーンランドに移動していますが、グリーンランドでクジラの本格的な狩猟・利用を始めたのは、紀元後1200〜1400年頃にグリーンランドに移動したトゥーレ文化のイヌイットだと考えられています。その主な根拠は、これ以前には捕鯨に適した武器を示す証拠が発見されていないことです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/11/24 00:00
鮮新世〜更新世の移行期のアフリカ東部の人類の食性
 これは11月20日分の記事として掲載しておきます。鮮新世〜更新世の移行期のアフリカ東部の人類の食性に関する研究(Martínez et al., 2016)が報道されました。この研究がおもに分析対象としたのは、アウストラロピテクスよりも頑丈な形態のパラントロプス属のエチオピクス(Paranthropus aethiopicus)およびボイセイ(Paranthropus boisei)と、初期ホモ属であるエルガスター(Homo ergaster)です。エルガスターという種区分を認めず、... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/20 00:00
縄文時代の妊娠・出産回数の地域的違い
 これは11月19日分の記事として掲載しておきます。2016年11月16日付読売新聞の朝刊で、縄文時代の妊娠・出産回数の地域的違いに関する研究が取り上げられました。これは、日本大松戸歯学部の五十嵐由里子・専任講師の調査によるもので、まだ予備的段階とのことです。この研究で調査対象となった人骨は、頭蓋・骨盤などから女性と確認できた208体のうち、骨の状態などを考慮して選ばれた、おおむね20歳以上と推定される190体です。その内訳は、北海道では伊達市の黄金貝塚などの12体、岩手県では一関市の蝦島貝塚の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/19 00:00
チンパンジー社会におけるストレスと仲間の関係
 これは11月16日分の記事として掲載しておきます。チンパンジー社会におけるストレスと仲間の関係についての研究(Wittig et al., 2016)が公表されました。肉体的ストレスと心理的ストレスは、身体の多くの生活機能を調節する神経内分泌系の主たる要素の視床下部-下垂体-副腎皮質軸を撹乱することがあります。ヒトの場合、社会的相互作用がストレスの影響を和らげることがありますが、他の動物においてストレスがどのように調節されているのか、それほどよく分かっていませんでした。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/16 00:00
古代型ホモ属との交雑により新たな環境に適応した現生人類
 これは11月13日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった古代型ホモ属との交雑による、現生人類(Homo sapiens)の適応度への影響に関する研究(Gittelman et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類とネアンデルタール人やデニソワ人との交雑はすでに多くの研究で確認されており、現代人に見られる、ネアンデルタール人とデニ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/13 00:00
現生人類においてネアンデルタール人由来の遺伝子が除去された理由
 現生人類(Homo sapiens)においてネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)由来の遺伝子が除去された理由についての研究(Juric et al., 2016)が報道されました。非アフリカ系現代人のゲノムには、わずかながら(常染色体において1.5〜2.1%)ネアンデルタール人由来の領域が確認されています。これは、出アフリカ後の現生人類集団のみがネアンデルタール人と交雑した結果と考えられています。この研究は、非アフリカ系現代人のゲノムに見られるネアンデルタール人由来... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/10 00:00
Robin Dunbar『人類進化の謎を解き明かす』
 ロビン=ダンバー(Robin Dunbar)著、鍛原多惠子訳、真柴隆弘解説で、インターシフトより2016年6月に刊行されました。原書の刊行は2014年です。著者は「ダンバー数」で有名であり、本書でも、時間収支モデルとダンバー数を導く社会脳仮説に基づき、人類の進化を解明していきます。時間収支モデルとは、摂食・移動・休息・社会的関係の形成(社交)といった主要な活動に霊長類がどう時間を配分するのか、その身体的特徴と環境(集団規模といった社会環境も含まれます)から予測する方法です。社会脳仮説では、脳の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/09 00:26
さかのぼるオーストラリア内陸部への人類の移住(追記有)
 これは11月6日分の記事として掲載しておきます。オーストラリア内陸部の乾燥地帯への人類の進出に関する研究(Hamm et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。人類は4万年前頃までにオーストラリア(更新世の寒冷期にはニューギニアやタスマニア島と陸続きでサフルランドを形成していました)へと初めて移住し、オーストラリアに存在した人類は現生人類(Homo sapiens)のみと考えられています。この研究は、オーストラリア内陸部の乾燥地帯に人類が初めて進出... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/11/06 00:00
寒冷な草原地帯におけるネアンデルタール人の食性
 これは11月5日分の記事として掲載しておきます。寒冷な草原地帯におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の食性に関する研究が報道されました。これは、ライデン大学の学位審査でのパワー(Robert Power)氏の報告です。ネアンデルタール人の食性については関心が高く、多くの研究が提示されています。この研究は、クロアチア・イタリア・ロシアの6遺跡からネアンデルタール人の歯を48個集め、歯垢の粒子を分析してネアンデルタール人の食性を推定しました。この研究は、20年以上... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/05 00:00
アフリカ東部における中期更新世の大規模噴火
 これは11月2日分の記事として掲載しておきます。アフリカ東部における中期更新世(781000〜126000年前頃)の大規模噴火に関する研究(Hutchison et al., 2016)が報道されました。中期更新世のアフリカ東部は、現生人類(Homo sapiens)の出現の理解に重要となります。人類の進化や文化変容に環境変動が重要な役割を果たしているだろう、ということは広く認められているでしょうから、古環境の復元は人類進化の研究に必要不可欠と言えるでしょう。近年の研究では、アフリカ東部におけ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/11/02 00:00
チンパンジーとボノボの交雑
 これは10月29日分の記事として掲載しておきます。チンパンジー(Pan troglodytes)とボノボ(Pan paniscus)の交雑に関する研究(Manuel et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。チンパンジーとボノボは現代人にとって最近縁の現生種で、両系統は210万〜166万年前頃に分岐した、と推定されています。かつて、ボノボはチンパンジーの亜種と考えられていましたが、現在では別種とする見解が一般的です。チンパンジーはコンゴ川... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/29 00:00
人類最古の右利きの証拠
 これは10月28日分の記事として掲載しておきます。人類の利き腕についての研究(Frayer et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究は、タンザニアのオルドヴァイ渓谷で発見された180万年前頃の人類化石OH-65の歯を分析し、その利き腕について検証しています。OH-65は、分類に関して異論もあるものの、ホモ属とする見解がまだ優勢な?ハビリス(Homo habilis)に区分されています。現代人の90%は右利きであり、類人猿の右利きと左利... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/28 00:00
現生人類と古代型ホモ属との交雑の見直し
 これは10月26日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)といった他系統のホモ属(古代型ホモ属)との交雑を見直した研究(Bohlender et al., 2016)が報道されました。この研究は今月(2016年10月)18日〜22日にかけて、カナダのブリティッシュコロンビア州のバンクーバー市で開催されたアメリカ人類遺伝学会の年次総会で報告されており、まだ論... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/26 00:00
ネアンデルタール人との交雑に起因する現代人の免疫反応の違い
 これは10月22日分の記事として掲載しておきます。現代人の免疫反応の違いに関する二つの研究が報道されました。一方の研究(Nédélec et al., 2016)は、80人のアフリカ系アメリカ人と95人のヨーロッパ系アメリカ人の血液標本を集め、個々の標本から、マクロファージと呼ばれる免疫細胞のタイプを分離し、2タイプの細菌に感染させ、どのように反応するか、観察しました。その結果、アフリカ系のマクロファージは、ヨーロッパ系の3倍速く細菌を殺し、強い炎症性反応を示しました。免疫... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/22 00:00
ヒゲオマキザルが「作った」石器と類似した剥片(追記有)
 これは10月21日分の記事として掲載しておきます。ブラジルに存在する野生のヒゲオマキザル(Sapajus libidinosus)が「作った」石の剥片に関する研究(Proffitt et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、ヒゲオマキザルが意図的に石を壊し、断片化されて端の鋭い剥片と石核を意図せず繰り返し「作り」、その剥片と石核が意図的に生産された人類の石器に見られる特徴と形態を有... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/21 00:00
ルドルフェンシス化石のより正確な年代
 これは10月20日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、ホモ=ルドルフェンシス(アウストラロピテクス属に分類する見解もあります)と(便宜的に?)分類されている化石のより正確な推定年代についての研究(Joordens et al., 2013)が公表されました。この研究では、初期ホモ属の進化に関して重要となるアフリカ東部に関して、地磁気層序とストロンチウム同位体層序との結合により、ルドルフェンシスと分類されている化石や近年になって発見され、ルドルフェンシ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/10/20 00:00
ネアンデルタール人やデニソワ人から現生人類へと感染した発癌性ウイルス
 現代人の発癌性ウイルスに関する研究(Pimenoff et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現代人は生涯を通じて多くのパピローマウイルス(PVs)に感染しますが、そのほとんどは無症状です。著しい例外はヒトパピローマウイルス16(HPV16)による持続性感染で、発癌性が認められています。HPV16には複数の系統が確認されており、発癌の可能性は均一ではなく、その多様性も各地域で異なります。この研究は、HPV16の多様性と地理的分布を分析し、その進... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/19 00:21
更科功 『爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った』
 新潮新書の一冊として、新潮社から2016年9月に刊行されました。本書は生物の進化におけるさまざまな重要点を取り上げ、進化史を解説しています。新書で短い分量なのですが、生物の進化における要点を一般層にも分かりやすく簡潔に解説できているように思います。一般向け書籍であることを強く意識した構成・文体になっており、一般向けの進化史概説としてなかなか興味深い内容になっています。各分野の専門家からは色々と批判があるのかもしれませんが、なかなか興味深く読み進められました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/10/18 00:00
タンザニアの後期更新世の人間の足跡
 これは10月16日分の記事として掲載しておきます。タンザニアの後期更新世の人間の足跡に関する研究(Liutkus-Pierce et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、タンザニアのエンガレセロ(Engare Sero)村近くのナトロン湖(Lake Natron)の南岸で発見された、400を超える人間の足跡について報告しています。この足跡群については、その近くの活火山であるオルドイニョレンガイ(Oldoinyo L'engai)から噴... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/10/16 00:00
ナレディの進化系統樹における位置づけと推定年代
 これは10月15日分の記事として掲載しておきます。南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群の進化系統樹における位置づけと推定年代についての研究(Dembo et al., 2016)が報道されました。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と分類されましたが、その年代については不明で、鮮新世後期〜更新世初期の、アウストラロピテクス属からホモ属への移行的な種ではないか、... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/10/15 00:00
ネアンデルタール人やチンパンジーよりも劣る現生人類の煙への耐性
 これは10月13日分の記事として掲載しておきます。煙の有毒物質にたいする防御能力と関連する遺伝子についての研究(Aarts et al., 2016)が報道されました。火の使用は人類進化史において画期とされています。火の使用により、寒冷な地域で生活しやすくなりましたし、調理が可能となり、ずっと効率的に栄養を摂取することが可能となりました。また、当初は石器製作、後には金属の加工といったように、技術的にも火の使用は人類に大きな影響力を及ぼしてきました。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/13 00:00
自然信仰
 これは10月9日分の記事として掲載しておきます。現代日本社会において根強く定着している信仰の一つに、自然信仰があると思います。これは、天然信仰とも言い換えられるでしょうし、生得的なものは尊重されねばならない、といった観念とも大いに通ずるところがある、と言えるでしょう。身近な事例では、食品をはじめとして生物由来の商品について、天然ものだから安心だとか美味いだとかいった評価はたいへん根強いものがあると思います。私の見識不足により、他の社会については自信をもって発言することはできませんが、おそらく、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/10/09 00:00
現生人類の拡散と気候変動の関係
 これは10月7日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の拡散と気候変動の関係についての研究(Timmermann, and Friedrich., 2016)が公表されました。アフリカ起源の現生人類の世界への拡散については、回数・年代・経路・要因をめぐって議論が続いています(関連記事)。この研究は、過去125000年間の気候および海水準の変動を考慮して、現生人類のアフリカからの拡散をモデル化しました。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/10/07 00:00
アルゼンチンにおけるクローヴィス文化以前の人類の遺跡
 アルゼンチンの草原地帯にあるアロヨセコ2遺跡(The Arroyo Seco 2 site)の更新世末期の人類の痕跡を報告した研究(Politis et al., 2016)が報道されました。アメリカ大陸への人類最初の移住については、20世紀後半〜近年までクローヴィス(Clovis)文化の担い手が最初の移住者だとするクローヴィス最古説が主流でした。しかし近年になって、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古説を否定する研究者が増えつ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/10/06 00:00
最初のリモートオセアニア人集団の遺伝的構成
 最初のリモートオセアニア人集団の遺伝的構成に関する研究(Skoglund et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、3100〜2700年前頃のバヌアツ人3個体と、2700〜2300年前頃のトンガ人1個体のDNAを解析し、現在の東アジア人およびオセアニア人778個体のDNAとゲノム規模で比較しています。熱帯地域のゲノム規模のデータが得られたのはこの研究が初めてなので、その点でも意義深いのですが、その結論は意外なものであり、この点でも大い... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/10/05 00:00
人間の致死的暴力の起源(追記有)
 これは10月2日分の記事として掲載しておきます。人間の致死的暴力の起源に関する研究(Gómez et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。人間の致死的暴力行為については、「先天的」なのか「後天的」なのか、という議論が通俗的にはよく知られているように思います。じっさいには、そこまで単純化された議論が展開されているわけではないのですが、「先天的」なのか「後天的」なのかという二元論が一般には受け... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/10/02 00:00
ネアンデルタール人と現生人類との耳小骨の形態および聴力の比較
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との耳小骨の形態および聴力を比較した研究(Stoessel et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。中耳小骨(槌骨・砧骨・鐙骨)は聴力において重要な役割を果たしますが、ひじょうに小さい骨格なので、化石哺乳類では稀にしか発見されません。それが、人類の耳小骨の形態や聴力についての研究を妨げていました。この研究は、フランス・ドイツ・クロアチア・イスラ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/09/30 00:00
Ian Tattersall『ヒトの起源を探して 言語能力と認知能力が現代人類を誕生させた』
 イアン=タッターソル(Ian Tattersall)著、河合信和監訳、大槻敦子訳で、原書房より2016年8月に刊行されました。原書の刊行は2012年です。碩学の著作だけあって、たいへん読みごたえがありました。原書の刊行は2012年なので、日進月歩のこの分野としてはやや古くなっていると言えるかもしれませんが、原書刊行後の研究の進展について監訳者の適切な解説があり、配慮が行き届いています。人類進化の全体像についてより詳しく調べようとするならば、本書はじつに有益な一冊になっていると思います。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/09/29 00:00
リアンブア洞窟の後期更新世の現生人類の歯
 これは9月25日分の記事として掲載しておきます。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡で46000年前頃の現生人類(Homo sapiens)の歯が発見された、と報道されました。この研究(Sutikna et al., 2016)は、今月(2016年9月)14日〜18日にかけてマドリードで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第6回総会で報告されており、まだ論文としては刊行されていません。この研究の要約は、PDFファイルで読めます(P232)。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/09/25 00:00
現生人類の出アフリカの回数(追記有)
 これは9月24日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の出アフリカの回数についての二つの研究が相次いで公表されました。この二つの研究はともにオンライン版での先行公開となります。一方の研究(Mallick et al., 2016)と報道 では、142の多様な集団から得られた300人の高精度なゲノム配列に基づく分析が取り上げられています。この研究では、51集団から各2人のゲノムが選択され、次に、ゲノム規模の研究では以前には含まれていなかった、アメリカ大陸先住民・南ア... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 0

2016/09/24 00:00
オーストラリア先住民のゲノム史(追記有)
 これは9月23日分の記事として掲載しておきます。オーストラリア先住民(アボリジニ)のゲノム史に関する研究(Malaspinas et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。これまでのオーストラリア先住民のゲノム史は3人のゲノム解析結果に依拠していましたが、この研究は、現代の83人のオーストラリア先住民とニューギニアの25人のパプア人の高精度のゲノム配列を作成し、他地域の現代人やネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/09/23 00:00
『地球ドラマチック』「洞窟に眠る新種の人類」
 これは9月22日分の記事として掲載しておきます。NHK教育テレビで放送されたので、視聴しました。2013年、南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で大量の人骨が発見されました。この発見は大きく取り上げられ(関連記事)、手と足に関する研究が公表され(関連記事)、『ナショナルジオグラフィック』でも特集が組まれました(関連記事)。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と命名されました。 ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/09/22 00:00
シャテルペロニアンの担い手
 これは9月20日分の記事として掲載しておきます。シャテルペロニアン(Châtelperronian)の担い手に関する研究(Welker et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。シャテルペロニアンは、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)への「交替劇」の解釈の重要な手がかりになりそうな文化だということで、大きな注目を集めてきました。シャテルペロニアンの担... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/09/20 00:00
フロレシエンシスに関する研究の進展
 これは9月16日分の記事として掲載しておきます。今年(2016年)になって、インドネシア領フローレス島の更新世人類についての研究が大きく進展しました。この問題については『ネイチャー』のサイトに解説記事が掲載されていますが、改めてこのブログでもまとめてみます。なお、2年ほど前(2014年8月)にもこの問題についてまとめていますので(関連記事)、基本的にはそれ以降の研究の進展について述べていきます。 ...続きを見る

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 6 / トラックバック 3 / コメント 0

2016/09/16 00:00
島泰三『ヒト―異端のサルの1億年』
 これは9月11日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年8月に刊行されました。霊長類とその下位区分である類人猿の進化史のなかに人類の進化を位置づけているのが本書の特徴で、大規模な環境変動を重視していることとあわせて、広い視野での考察になっていると思います。私は霊長類・類人猿の進化に疎いので、この点では有益でした。しかし、類人猿の起源地はアフリカではない、との本書の見解は一般的ではないと思います。この点については、今後も調べていく必要があります。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/09/11 00:00
6000年間ほとんど遺伝的に変わっていないオオムギ
 オオムギのDNA解析を報告した論文2本が公表されました。一方の研究(Mascher et al., 2016)は、イスラエルの死海近くにある古代の要塞「マサダ」に位置する探査の難しい砂漠の洞窟で6000年前のオオムギ粒を発掘しました。この地域の気候は乾燥しているので、このオオムギのDNA解析に成功しました。もう一方の研究(Russell et al., 2016)は、世界中で260以上のオオムギ種の植物を収集し、そのDNAを解析しました。両者の比較により、6000年前のオオムギ粒と最も近縁で、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/09/09 00:28
縄文時代の人類の核DNA解析
 縄文時代の人類の核DNA解析結果を報告した研究(Kanzawa-Kiriyama et al., 2017)が報道されました。NHKでも報道されています。解説も公表されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、福島県相馬郡新地町の三貫地貝塚の縄文時代(3000年前頃)の人類2人(男性と女性)の歯から核DNAのうち1億1500万塩基対を解析し、現代人や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)も含む他の古代人と比較しています。これは、縄文時代の人類の核DNAの解析とし... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 6 / コメント 0

2016/09/03 00:17
古人類学の記事のまとめ(29)2016年5月〜2016年8月
 2016年5月〜2016年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2016年5月〜2016年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 5 / コメント 0

2016/09/01 00:00
ルーシーの死因(追記有)
 これは8月31日分の記事として掲載しておきます。有名な人類化石「ルーシー(Lucy)」の死因に関する研究(Kappelman et al., 2016)が報道されました。朝日新聞でも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。ルーシー(AL 288-1)はエチオピアで1974年に発見された318万年前頃の人類化石で、アウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)に分類されています。300万年以上前の化石にも関わらず、保存状態が... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/08/31 00:00
アジアモンスーンの64万年間の記録
 アジアモンスーンの64万年間の記録に関する研究(Cheng et al., 2016)が公表されました。この研究は、ウラン・トリウム年代測定法で測定できる最古の年代に近い64万年前頃までさかのぼる洞窟二次生成物の記録を、中国の洞窟の試料から得ました。これにより、10万年の氷期サイクルが歳差周期の整数(4または5)倍に対応し、日射がモンスーン強度の1000年スケールの変動に影響を及ぼしていることが裏づけられた、と指摘されています。気候変動は人類の進化とも大きく関わっているだけに、今後の研究の進展... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/27 00:00
親の社会的つながりを仔が相続する
 親の社会的つながりの仔への相続に関する研究(Ilany, and Akçay., 2016)が公表されました。社会的相互作用の数・相互作用がネットワーク内のサブグループに集中する程度などといった社会的ネットワークの構造は、情報の流れや病気の蔓延など重要な進化過程と生態学的過程に影響を与えることがあります。しかし、動物界での社会的相互作用の構造の根本原因については解明が進んでおらず、社会的ネットワークの形成のモデル化を試みた過去の研究では、その複雑な構造を再現することができていませんで... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/25 00:00
攻撃の報酬性
 これは8月23日分の記事として掲載しておきます。攻撃の報酬性に関する研究(Golden et al., 2016)が公表されました。攻撃行動の開始に関わる脳領域はすでに明らかになっていますが、攻撃の動機づけまたは報酬の要素の成立に関わるシステムについては、ほとんど明らかになっていません。この研究は、前脳基底部から外側手綱核への抑制性投射が、攻撃のこの面を両方向に制御していることを示しました。この結果は、攻撃性と攻撃性に関連した神経精神疾患の治療のための新たな標的特定への道を開く可能性がある、と... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/23 00:00
アイスマンの衣服
 これは8月21日分の記事として掲載しておきます。アイスマンの衣服に関する研究(O’Sullivan et al., 2016)が報道されました。1991年にイタリアのエッツタールアルプスで発見された5300年前頃のミイラは「アイスマン(愛称エッツィ)」と呼ばれています。アイスマンの状態は良好だったので、遺伝学などさまざまな分野の研究が進んでいます。この研究は、アイスマンの衣服と矢筒に由来する9点の皮革断片のミトコンドリアDNAを解析し、どの動物種の皮革断片なのか、明らかにしました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/21 00:00
仲田大人「日本旧石器時代の現代人的行動と交替劇」
 これは8月20日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文は、日本列島における「交替劇」を検証しています。土壌の問題もあり、日本列島では琉球諸島を除いて旧石器時代というか更新世の人骨がほとんど発見されていません。それだけに、旧石器時代の人類の活動とその意義を理解するには、考古学的記録に依拠せざるを得なくなります。本論文は、世界でも有数の高密度となる日本列島における旧石器時代の考古学的記録を用いて... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/20 00:00
父親の養育行動と母親の多産性との関係
 これは8月18日分の記事として掲載しておきます。父親の養育行動と母親の多産性との関係に関する研究(West, and Capellini., 2016)が公表されました。哺乳類のいずれの種でも、雌は大量の資源を仔の養育に投資しますが、雄が雌(母親)に食料を提供することで養育に直接的または間接的に貢献しているのは、哺乳類全種の約10%にすぎません。雄にとって、仔の養育は新たな交尾の機会を諦めることであり、その雄が仔の父親であることの確実性が高まった場合あるいは将来の交尾機会が少ない場合には、雄に... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/18 00:00
統合失調症の起源
 統合失調症の起源に関する研究(Srinivasan et al., 2016)が報道されました。統合失調症は人間の適応度を下げるにも関わらず、現在でも全人口の1%ほどは生涯で統合失調症を患う可能性が指摘されています。統合失調症(の要因となる遺伝子)が人類の進化においていつ出現し、なぜ淘汰されなかったのか、議論が続いています。有力な仮説は、統合失調症は言語・創造的思考・認知能力の副産物である、というものです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/08/17 00:35
新生仔における母親との対面相互作用と後年の社交性との関係
 新生仔における母親との対面相互作用と後年の社交性との関係についての研究(Dettmer et al., 2016)が公表されました。ヒトの幼少期における社会性の発達を支える機構の一つが、介護者と乳児との対面相互作用です。これまでの研究では、アカゲザルの母親と新生仔との対面相互作用が明らかになっていました。この研究は、大きな野外の囲い地で飼育されたアカゲザルの母親と新生仔(10組)を対象として、相互視と断続的な唇鳴らしによって測定される対面相互作用の自然変動を追跡観察しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/16 00:00
社会的評判と社会的協力の関係
 これは8月14日分の記事として掲載しておきます。社会的評判と社会的協力の関係についての研究(Grimalda et al., 2016)が公表されました。人間が社会においてきわだった評判を得たいと望むことは、人間の協力行動の進化的基盤の一例とされています。現時点でこの証拠は、コンピューターシミュレーションなど、人間の社会的イメージを研究室で人工的に作り出すことによって得られています。この研究は、パプアニューギニアのテオプという結束の固い小規模な社会における人間の協力行動を調査しました。テオプの... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/14 00:00
現生人類に特異的な自閉症関連遺伝子
 現生人類(Homo sapiens)に特異的な自閉症関連遺伝子についての研究(Nuttle et al., 2016)が公表されました。この研究は、現生人類・チンパンジー・オランウータンについて、自閉症や発育遅延との関連が指摘されている、染色体16p11.2にある一つのゲノム領域の進化史を再構築しました。その結果、この座位にある遺伝子BOLA2が、現生人類で特異的に重複していることが明らかになりました。この重複が起こったのは28万年前頃で、この重複は現生人類系統の初期にほぼ固定され、新しいイン... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/13 00:11
アメリカ大陸最初の人類の移住経路(追記有)
 これは8月12日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸最初の人類の移住経路に関する研究(Pedersen et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。アメリカ大陸への人類最初の移住については、激しい議論が続いてきました(関連記事)。20世紀後半に有力だとされたのは、アメリカ大陸最初の人類はクローヴィス(Clovis)文化の担い手であり、ベーリンジア(ベーリング陸橋)から15000〜1400... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/12 00:00
人間の判断における偏り
 人間の判断における偏りについての研究(Soltani et al., 2016)が公表されました。人間は通常、複数の証拠を組み合わせて意思決定を行ないますが、各状況下で最大の報酬を伴う選択がどれなのか、という判断が偏ることもあります。こうした意思決定過程に伴う神経機構については、まだよく分かっていませんでした。この研究は、37人の大学生に、異なる結果(報酬)と関連づけられた最大4つの形状の組み合わせを示し、課題を遂行させました。参加者には、形状の組み合わせを次々と示し、報酬の異なる赤・青の2つ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/10 00:00
西アジアの中期更新世の人類の歯
 これは8月7日分の記事として掲載しておきます。西アジアの中期更新世の人類の歯についての研究(Hershkovitz et al., 2011)が報道されました。この研究も、取り上げるのがかなり遅れてしまったというか、メモ帳を整理していて、5年近く前に取り上げようと思って記録しておいたものの、不覚にも最近まで失念していたことに気づきました。今更ではありますが、せっかく気づいたので、取り上げることにします。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/07 00:00
人間社会における正直さと規則違反
 これは8月4日分の記事として掲載しておきます。人間社会における正直さと規則違反についての研究(Gächter, and Schulz., 2016)が公表されました。正直さは全ての人間社会において重要な性格特性の一つです。不正行為や規則違反を抑制する優れた制度は繁栄と発展にきわめて重要ですが、生物界では欺きが多く、人間もその例外ではありません。この研究は、個人レベルでは嘘を検知できないものの、集団レベルでは推測可能な、正直さを調べる行動研究を23ヶ国の若者を対象に行うことにより、規則... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/08/04 00:00
大規模化する社会における宗教の役割
 これは7月31日分の記事として掲載しておきます。大規模化する社会における宗教の役割に関する研究(Purzycki et al., 2016)が公表されました。人間社会は大規模化・複雑化し、血縁関係だけでは成立し得なくなっています。この研究は、経済ゲームおよび民族誌的聞き取りにより、キリスト教・ヒンドゥー教・仏教・アニミズム(精霊崇拝)や祖先崇拝などの地元の伝統を信仰する500人以上を対象に調査を行ないました。その結果、道徳感を課し、懲罰的で、知恵に富む存在と彼らが感じている神を信じる人々は、遠... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/07/31 00:00
現生人類の拡散と多様性
 現生人類(Homo sapiens)の系統地理学的観点からの多様性に関する研究(Harcourt., 2016)が公表されました。参考文献も充実しており、現生人類の出現と各地域への拡散過程について、現時点での諸研究成果の概略を把握するうえでたいへん有益だと思います。現生人類の起源については、考古学・化石・遺伝学の証拠から、アフリカ起源であることが確実だ、と本論文は指摘しています。しかし、現時点では最古の現生人類化石はアフリカ東部のエチオピアで発見されているものの、エチオピアが現生人類の発祥地な... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/07/30 00:00
西アジアの初期農耕民のゲノム解析(追記有)
 西アジアの初期農耕民のゲノム解析結果を報告した研究(Lazaridis et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、気候の問題でヨーロッパよりも古代人のゲノム解析が困難な西アジアの古代人のゲノムを、採取試料の選択と新たな手法により解析しました。まず、他の骨よりずっと多くのDNAを得られる耳骨からDNAが採取されました。また、人間のDNAを増幅する方法と、微生物によるDNA汚染を濾過して取り除く方法が用いられました。これらにより、この研究... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2016/07/29 00:16
中期石器時代の気候変動と初期現生人類の革新的行動の関係
 これは7月28日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代の気候変動と現生人類(Homo sapiens)の革新的行動の関係についての研究(Roberts et al., 2016)が報道されました。本論文が調査対象としたのは、南アフリカ共和国の南沿岸にあるブロンボス洞窟(Blombos Cave)とクリプドリフトシェルター(Klipdrift Shelter)です。ブロンボスでは98000〜73000年前頃、クリプドリフトでは72000〜59000年前頃の中期石器時代の痕跡が確認されていま... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/07/28 00:00
ドイツにおけるネアンデルタール人の人口変動
 これは7月23日分の記事として掲載しておきます。ドイツにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の人口変動に関する研究(Richter., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヨーロッパにおける中部旧石器時代の遺跡は、ネアンデルタール人と関連づけられています。ネアンデルタール人の定義とも関わってくるので、判断の難しいところですが、ヨーロッパの中部旧石器時代の遺跡のなかには、ネアンデルタール人ではない系統の人類が担い手だったもの... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/07/23 00:00
超巨大火山の噴火の仕組み
 これは7月22日分の記事として掲載しておきます。超巨大火山の噴火の仕組みに関する研究(Koulakov et al., 2016)が公表されました。スマトラ島のトバ湖は世界最大のカルデラ湖として知られています。74000年前頃のトバの大噴火は人類史上でも最大級の噴火であり、人類も含めて生物に大きな影響を及ぼしたのではないか、と考えられています。トバ大噴火により、初期現生人類(Homo sapiens)は大きな打撃を受け、遺伝的多様性を失ったのではないか、というわけです。しかし、この仮説には反論... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/07/22 00:00
長沼正樹「考古学から見た人類活動の変化」
 これは7月20日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文は、考古学からの人類活動の変化を概観しています。本論文は、固定的な枠組みで石器文化の変遷を把握する危険性を指摘しています。ある石器文化とある人類種を固定的に結びつけるような見解や、技術・年代などといった点で世界的に同じように石器文化が変化していった、というような見解です。石器文化とその変化は各地で多様だった、と本論文は指摘しています。 ... ...続きを見る

かわいい ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/07/20 00:00
門脇誠二「揺らぐ初期ホモ・サピエンス像 出アフリカ前後のアフリカと西アジアの考古記録から」
 これは7月17日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説が有力説とみなされるようになってから、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)など他系統の人類にたいする現生人類の優位を強調する見解が主流になってきたように思われます。この場合、とくに認知能力において現生人類と他系統の人類との違いが強調される傾向にあり、それ故に技術革... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2016/07/17 00:00
早期新石器時代のザグロス地域の住民のゲノム解析
 早期新石器時代のザグロス地域の住民のゲノム解析結果を報告した研究(Broushaki et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。いわゆる肥沃な三日月地帯は、世界で最初に農耕が始まった可能性が高いとされる地域です。この肥沃な三日月地帯の東端はイランのザグロス地域、西端はレヴァントとなります。この研究は、イランのザグロス地域の早期新石器時代の農耕民のゲノムを解析し、旧石器時代や新石器時代の人々およ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/07/16 00:00
中国での発見が書き換える人類史
 中国を中心にアジアにおいて近年発見された人類化石の意義についての解説(Qiu., 2016)が公表されました。この解説で指摘されているのが、ホモ属の進化の研究において、アジアの東部が軽視されてきた、ということです。確かに、この解説で指摘されているように、人類進化の研究(に限らず近代の学問が全般的にそうなのですが)が西洋の研究者の主導により進められたことは否定できず、そこでは、アジア東部よりもヨーロッパ・アフリカ・西アジアが重視されてきた傾向は否めません。そうした傾向は現在でも解消されたとは言い... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2016/07/15 00:35
150万年前頃の人類の足跡と社会構造
 150万年前頃の人類の足跡に関する研究(Hatala et al., 2016)が報道されました。本論文が取り上げているのは、2009年にケニアのイレレット(Ileret)で発見された150万年前頃の人類の足跡群です。この足跡群についてはすでに、アーチ構造・母趾が他の指と直線を成していること・踵から母指球や母趾へと体重を移動させるさいの歩き方などから、現生人類(Homo sapiens)の歩行形態のあらゆる特徴が現れていた、との見解が提示されています(関連記事)。本論文でも改めて、この足跡群を... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/07/14 00:35
ベルギーで確認されたネアンデルタール人の食人行為
 これは7月8日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人の食人行為に関する研究(Rougier et al., 2016)が報道されました。本論文が分析対象としたのは、マース川沿いにあるベルギー南部のゴイエット(Goyet)の「第三洞窟(Troisième caverne)」遺跡です。第三洞窟遺跡では、中部旧石器時代から上部旧石器時代にかけての豊富な考古学的痕跡が確認されており、さらには、新石器時代やいわゆる有史時代の考古学的痕跡も見られます。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/07/08 00:00
複数の形質に影響する遺伝学的多様体
 これは7月7日分の記事として掲載しておきます。複数の形質に影響する遺伝学的多様体に関する研究(Pickrell et al., 2016)が公表されました。全ゲノム関連解析を実施すると、一つの形質と統計的に関連する遺伝学的多様体、およびその形質をもたらす過程に関係している可能性のある遺伝学的多様体を同定できます。また、複数の形質に関連する多様体は、遺伝子の分子機能と複数の形質間の関係に関して手掛かりをもたらすことがあります。しかし、これまでの複数の形質に関する研究の大部分は、関連のあることがす... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/07/07 00:00
赤澤威、西秋良宏「ネアンデルタール人との交替劇の深層」
 これは7月6日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された対談です。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との「交替劇」は、ヨーロッパや西アジアが主要な舞台だったこともあり、大きな関心を集めてきました。この対談は、「交替劇」の要因が何だったのか、論じられていますが、率直に言って、歯切れが悪いというか、単純明快な説明になっていないことは否めません。しか... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/07/06 00:00
長沼毅「ヒトの体と心のなりたちについて」
 これは7月5日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文の基調は、人類の進化を生物進化の一部として把握していることで、視野の広さと奥行きの深さが窺えます。私は、勉強不足により、生物全体の進化は言うまでもなく、脊椎動物、さらには哺乳類や霊長類の進化についても明らかに知見が不足しているので、本論文は視野の狭い私にとってはたいへん有益でした。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/07/05 00:00
リアンブア洞窟における更新世の現生人類の痕跡
 インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡の堆積層を再検証した研究(Morley et al., 2017)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、リアンブア洞窟の更新世の堆積層の形成過程や続成過程を顕微鏡水準の精密さで再検証しています。この微細構造的分析により、年代も含めて人類の活動が見直されることになり、東南アジアからサフルランド(更新世の寒冷期にはオーストラリア大陸・ニューギニア島・タスマニア島は陸続きでした)の後期更新世にお... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/07/02 00:05
白保竿根田原洞穴遺跡の十数体の人骨
 沖縄県石垣市の白保竿根田原洞穴遺跡で発見された十数体の「旧石器時代」の人骨について報道されました。白保竿根田原洞穴遺跡では日本列島でも有数の古い人骨が複数発見されており、このブログでも何度か取り上げてきました。 http://sicambre.at.webry.info/201002/article_6.html http://sicambre.at.webry.info/201003/article_13.html http://sicambre.at.webry.info/20110... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/07/01 00:00
篠田謙一「ホモ・サピエンスの本質をゲノムで探る」
 これは6月30日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。今では、人類進化の研究でDNA解析は欠かせなくなっています。本論文は、DNA解析の技術の発展やDNA解析に基づく人類進化の研究史にも言及しつつ、DNA解析により明らかになってきた人類の進化について、近年の研究成果を取り上げています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/06/30 00:00
諏訪元、山極寿一「プレ・ヒューマンへの想像力は何をもたらすか」
 これは6月25日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号では「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」と題する特集が組まれています。読みごたえのある論文・対談が掲載されているので、今後このブログで面白いと思ったものを掲載していくことにします。今回は取り上げるのは表題の対談で、対談だけに体系的に整理された解説という観点ではやや雑多なところもあるものの、碩学二人の対談だけに、多岐にわたって興味深い論点が提示されており、たいへん読みごたえがあると思います。それだけに、的確に... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/06/25 00:00
2016年度アメリカ自然人類学会総会(ネアンデルタール人と現生人類の交雑について)
 取り上げるのが遅れましたが、今年(2016年)の4月12日〜4月16日にかけて、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市で第85回アメリカ自然人類学会総会が開催されました。アメリカ自然人類学会総会では、最新の研究成果が多数報告されるだけに、古人類学に関心のある私は大いに注目しています。総会での各報告の要約はPDFファイルで公表されているのですが、まだいくつかの報告を読んだだけです。とりあえず今回は、とくに興味深いと思ったネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/06/23 00:30
古代DNAの解析でより詳細になる人類の進化史
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。近年の古代人類のDNA解析を概観した研究(Slatkin, and Racimo., 2016)が公表されました。古代の現生人類(Homo sapiens)のみならず、すでに絶滅した人類系統であるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)のDNA解析は近年目覚ましい発展を遂げており、私のような非専門家にはその概要を把握するのがなかなか難しくなっています。そうした状況で、近年の研究... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/06/21 00:00
ネアンデルタール人像の見直し
 これは6月19日分の記事として掲載しておきます。近年の諸研究成果に基づきネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)像を見直した研究(Roebroeks, and Soressi., 2016)が公表されました。この研究は、考古学を中心に、形質人類学・遺伝学などにおけるネアンデルタール人についての近年の諸研究を取り上げ、ネアンデルタール人像の見直しを提言しており、最新のネアンデルタール人像を把握するうえでたいへん有益だと思います。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/06/19 00:00
信頼性の印となる第三者による罰
 人間社会における第三者による罰の進化的観点からの研究(Jordan et al., 2016)が公表されました。人間社会では、社会規範を侵害した個人が罰を与えられます。この場合、罰する者が侵害者によって害を被っているわけではないことも、罰を与えることにコストが掛かることもあります。このような行動が進化した理由の説明はこれまで困難でした。この研究は、「第三者による罰」が正直であることを示す信頼のシグナルになり得ることを示すモデルを報告しています。不正を働く者を罰するコストを負担する人は、その集団... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/06/18 00:00
ヨーロッパ勢力侵出前のオーストラリアの人類のミトコンドリアDNA
 これは6月16日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパ勢力侵出前のオーストラリアの人類のミトコンドリアDNAに関する研究(Heupink et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ヨーロッパ勢力侵出前のオーストラリアの人類のミトコンドリアDNAに関しては、以前の研究(Adcock et al., 2001)で報告されており、現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説に疑問を呈する内容だとして、大きな関心を集めました。この研究は、以... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/06/16 00:00
更新世フローレス島の人類はダウン症ではない
 これは6月12日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島の人類はダウン症である、とした見解を検証した研究(Baab et al., 2016)が報道されました。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解が... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/06/12 00:00
中期更新世初期のフローレス島の人類化石(追記有)
 中期更新世初期のフローレス島の人類化石に関する二つの研究が報道されました。BBCでも報道されています。『ネイチャー』のサイトには解説記事と総説が掲載されています。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟遺跡では後期更新世の人骨群が発見されており、発見当初は、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解がおおむね... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/06/10 00:38
中期鮮新世の人類の多様性
 中期鮮新世の人類の多様性に関する研究(Haile-Selassie et al., 2016)が報道されました。本論文は、390万年前以前の初期人類についても概観しつつ、おもに中期鮮新世となる380万〜330万年前頃の人類の多様性を検証しています。この時期の人類としては、タンザニアやエチオピアで発見されたアウストラロピテクス属のアファレンシス(Australopithecus afarensis)がよく知られており、長い間、アファレンシスがこの時期の唯一の人類種だった、と考えられてきました。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/06/09 00:00
ネアンデルタール人との交雑による現生人類の適応度への影響
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との交雑による現生人類(Homo sapiens)の適応度への影響についての研究(Harris, and Nielsen., 2016)が報道されました。各地域集団間で多少の差はあれども、非アフリカ系現代人のゲノムにほぼ同じ割合でネアンデルタール人由来の領域が見られることは、現在では広く認められています。しかし、それは均一的ではなく、たとえば精巣に関連する遺伝子やX染色体など特定の領域では排除されている、ということも知られています... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/06/08 00:14
更新世ヨーロッパの壁画の幾何学的な記号
 これは6月5日分の記事として掲載しておきます。更新世ヨーロッパの壁画の幾何学的な記号に関する見解が報道されました。この見解によると、更新世ヨーロッパの壁画の幾何学的な記号は、約3万年間で32種類が用いられたにすぎない、とのことです。そこから、こうした記号は情報の伝達手段として用いられ、文字発達の長い歴史の原型となったのではないか、と推測されています。こうした記号は、更新世のフランス地域においては、少しずつ増えていったのではなく、その3/4近くが当初から使用されていた、と指摘されています。ヨーロ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/06/05 00:00
複数回起きたかもしれないイヌの家畜化
 これは6月4日分の記事として掲載しておきます。イヌの家畜化についての研究(Frantz et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。『ネイチャー』のサイトにも解説記事が掲載されています。イヌは現在では絶滅したオオカミ集団から家畜化されたと言われていますが、いつどこでイヌの家畜化が始まったのか、議論が続いており、高い関心を集めています。イヌの起源地については、中央アジア・東アジア・ヨーロッパなどが候補として挙げられていますが、いずれにしても、... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/06/04 00:00
David Christian『ビッグヒストリー入門 科学の力で読み解く世界史』
 デビッド=クリスチャン(David Christian)著、渡辺政隆訳で、WAVE出版から2015年10月に刊行されました。原書初版の刊行は2007年で、本書は2015年刊行の第5版の翻訳とのことです。本書の特徴は、宇宙の始まりから叙述を始めていることです。さすがに地球の誕生から生命の誕生、さらには人類の出現までは簡潔な叙述になっていますが、人類の狩猟採集時代は予想以上の分量でした。また、農耕開始から文字の使用が始まる前までの時代にもかなりの分量が割かれていますから、いわゆる先史時代の比重がか... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/28 00:00
ネアンデルタール人による洞窟深部の建造物(追記有)
 176000年前頃の洞窟深部の建造物についての研究(Jaubert et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されており、『サイエンス』のサイトにも解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究が取り上げているのは、南西フランスのブルニケル洞窟(Bruniquel Cave)で発見された、切り取られた石筍で作られた環状の建築物です。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/05/27 00:00
上部旧石器時代初期における西アジアから北アフリカへの移動
 これは5月22日分の記事として掲載しておきます。ヨーロッパの初期現生人類のミトコンドリアDNAを解析した研究(Hervella et al., 2016)が報道されました。この研究は、ルーマニアの「女性の洞窟(Peştera Muierii)」で発見された遺骸(PM1)の歯からミトコンドリアDNAを抽出して解析し、化石人類も含めて他のミトコンドリアDNAと比較しています。PM1は較正年代で35000年前頃と推定されており、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Ho... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/22 00:00
ギリシアの中期更新世の遺跡
 これは5月19日分の記事として掲載しておきます。2013年にギリシアで発見されたマラサウサ1(Marathousa 1)遺跡についての研究(Panagopoulou et al., 2015)が報道されました。マラサウサ1遺跡では、石器とともに、ほぼ完全な古代ヨーロッパのゾウ(Elephas antiquus)の骨格や、齧歯類・鳥類・両生類・爬虫類・軟体動物・昆虫の遺骸が発見されています。年代についてはまだ幅の広い推定しかなされておらず、中期更新世の60万〜30万年前頃とされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/19 00:00
北アメリカ大陸南東部における先クローヴィス期の人類の存在(追記有)
 これは5月18日分の記事として掲載しておきます。北アメリカ大陸南東部において、先クローヴィス期(Pre-Clovis)にすでに人類が存在していたことを報告した研究(Halligan et al., 2016)が報道されました。アメリカ大陸への人類最初の移住については、クローヴィス文化の担い手こそアメリカ大陸最初の移住者だったとする、クローヴィス最古説が長い間有力でした。しかし近年では、クローヴィス文化以前(先クローヴィス期)のアメリカ大陸における人類の痕跡が、この研究でも指摘されているようにま... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/18 00:00
アメリカ大陸におけるサル類の移動
 アメリカ大陸におけるサル類の移動に関する研究(Bloch et al., 2016)が公表されました。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸は約350万年前まで海で隔てられており、パナマ地峡の出現によってつながりました。その後に続いて起きた陸生動物の移動は、「南北アメリカ生物大交換」として知られています。この研究は、パナマ運河の拡張に伴う新たな発掘で、約2100万年前の前期中新世のサル類の化石が発見されたことを報告しています。これは北アメリカ大陸で初めて見つかった化石サル類となります。この発見は、前期... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/14 00:27
気候変動によるネアンデルタール人の絶滅
 気候変動とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅との関係を検証した研究(Hodgkins et al., 2016)が報道されました。ネアンデルタール人の絶滅に関しては複数の要因が提示されています(関連記事)。この研究は、ネアンデルタール人の遺跡から発見された動物の骨を分析し、気候変動説を改めて検証しています。対象となったのは、フランスのペシュドゥラゼ4(Pech de l'Azé IV)遺跡とロックデマルサル(Roc de Marsal)遺跡です。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/13 00:00
顔面と頭部の毛髪に関連する遺伝子
 これは5月10日分の記事として掲載しておきます。顔面と頭部の毛髪に関連する遺伝子についての研究(Adhikari et al., 2016)が公表されました。現代人の顔面と頭部における毛髪の外観と分布は、同じ集団内と異なる集団間で有意差が認められますが、こうした差異の遺伝的基盤については、これまで解明があまり進んでいませんでした。この研究は、ヨーロッパ人とアメリカ先住民とアフリカ人の混血のラテンアメリカ人の全ゲノム関連解析を行ない、白髪など頭髪の特徴である形状と色、脱毛、顔面の毛髪の特徴である... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/10 00:00
藍田人の年代の見直し
 これは5月8日分の記事として掲載しておきます。取り上げるのが遅くなってしまいましたが、藍田人の年代の見直しについての研究(Zhu et al., 2015)が報道されました。藍田人は1964年に中華人民共和国陝西省藍田県(Lantian County)公王嶺(Gongwangling)で発見されました。藍田人はホモ属エレクトス(Homo erectus)と分類されており、その脳容量は800㎤と推定されています。藍田人はハラミヨ(Jaramillo)正磁極亜期(106万〜90万年前... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/05/08 00:00
7000年前頃までのヨーロッパの現生人類の遺伝史(追記有)
 これは5月4日分の記事として掲載しておきます。47000〜7000年前頃の51人のユーラシアの現生人類(Homo sapiens)のゲノムを解析した研究(Fu et al., 2016)が報道されました。BBCでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この分析の結果明らかになったのは、ヨーロッパの最初期の現生人類は、現代ヨーロッパ人の遺伝子プールにはほとんど影響を及ぼしていないようだ、ということです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/05/04 00:00
古人類学の記事のまとめ(28)2016年1月〜2016年4月
 2016年1月〜2016年4月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2016年1月〜2016年4月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 0

2016/05/01 00:00
気候変動にたいするネアンデルタール人と現生人類の食性の違い
 これは4月30日分の記事として掲載しておきます。気候変動にたいするネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との食性の違いを分析した研究(El Zaatari et al., 2016)が報道されました。この研究は、人間の臼歯の微小摩耗構造を分析し、その食性を推測するとともに、環境変動にともない食性がどのように変化したのか、あるいは変わらないのか、ということを検証しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/30 00:00
Y染色体の分析から推測される男性人口の激増
 これは4月27日分の記事として掲載しておきます。現代人のY染色体から男性の人口史を推測した研究(Poznik et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、世界の26集団の1244人のY染色体を分析しました。その結果、6万ヶ所以上の1塩基の置換や、数千ヶ所の複数の塩基置換や、挿入・欠失や、反復配列などが明らかになりました。こうした分析結果に基づき、Y染色体の系統樹が構築され、各地域の男性の人口史が推定されました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/27 00:00
Eugene E. Harris『ゲノム革命 ヒト起源の真実』
 これは4月24日分の記事として掲載しておきます。ユージン=E=ハリス(Eugene E. Harris)著、水谷淳訳で、早川書房より2016年4月に刊行されました。原書の刊行は2015年です。ゲノム解析による現代人の起源・進化の解明という、まさに日進月歩と言うべき分野だけに、原書の刊行が2015年と最近であることは、本書の価値を大いに高めていると思います。もっとも、本書が取り上げている研究はおおむね2013年までのもので、その後も、おそらく著者が予想・期待していたであろうように、ゲノム解析によ... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 4 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/04/24 00:00
人間社会における公平性の発達
 これは4月21日分の記事として掲載しておきます。人間社会における公平性の発達に関する研究(Blake et al., 2015)が公表されました。人間は小児期に公平性の感覚を持つようになる、と明らかにされています。しかし、自分が不公平に扱われることの回避(不利な不公平の回避)と、他者が不公平に扱われているのを見ることの回避(有利な不公平の回避)が、文化によってどのように違っているのかはよく分かっていませんでした。この研究は、7つの文化集団を対象にした実験から、不利な不公平の回避は小児期の初期に... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/21 00:00
社会の階層化を促進する儀式的な人身御供
 儀式的な人身御供と社会の階層化に関する研究(Watts et al., 2016)が報道されました。この研究では、地理的・社会的に多様な、伝統的なオーストロネシア文化93集団が分析されました。この研究は、これら93集団を「平等主義」・「適度に階層化」・「高度に階層化」と三区分し、「平等主義的な」社会では25%、「適度に階層化された」社会では37%、「高度に階層化された」社会では67%で儀式的な人身御供が存在することを確認しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/16 00:27
南アメリカ大陸の初期人口史
 南アメリカ大陸の初期人口史に関する研究(Goldberg et al., 2016)が報道されました。14000年前頃(もっとさかのぼるかもしれませんが)に南アメリカ大陸に人類が移住するようになってからの人口史は、まだよく知られていません。この研究は、1147ヶ所の考古学的遺跡を対象に、放射性炭素年代測定法の較正年代で14000〜2000年前頃となる5464点の結果を検証することで、南アメリカ大陸における初期の人口史を推定しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/15 00:33
人間社会における一夫一妻制の発達(追記有)
 人間社会における一夫一妻制の発達の要因に関する研究(Bauch, and McElreath., 2016)が報道されました。人間社会において、一夫一妻制が社会的規範となっており、その規範を守るために高コストの処罰がなされることに関して、議論が続いてきました。家父長制的な人間社会もありますが、一夫多妻制は(配偶者を複数持てるような社会的に上層の)男性の繁殖成功度を上げるにも関わらず、そうした社会においてさえ一夫一妻制が社会的規範となることもあるのはなぜなのか、説明の難しい問題となっています。 ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/04/14 00:24
現生人類からネアンデルタール人への伝染病の感染
 これは4月13日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)からネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)へと伝染病が感染した可能性を指摘した研究(Houldcroft, and Underdown., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類はネアンデルタール人と交雑し、ネアンデルタール人から免疫関連の遺伝子を受け継いだことが知られています。アフリカ起源の現生人類が、現生人類よりも長くユーラシアに適応して... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/13 00:00
ネアンデルタール人と現生人類のY染色体の違い
 これは4月9日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)のY染色体に関する研究(Mendez et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。これまで、ネアンデルタール人のゲノムは複数の個体で解読されていますが、一定以上の精度で解読された個体は全員女性です。そのため、ネアンデルタール人のY染色体の研究は停滞していました。本論文は、スペイン北部のエルシドロ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/04/09 00:00
先コロンブス期アメリカ大陸の住民のミトコンドリアDNA
 これは4月5日分の記事として掲載しておきます。先コロンブス期のアメリカ大陸の住民のミトコンドリアDNAを解析した研究(Llamas et al., 2016)が報道されました。この研究は、8600〜500年前頃のアメリカ大陸の住民92人のミトコンドリアDNAを解析し、現代人のそれと比較しています。この92人は、おもに南アメリカ大陸で発見されています。この研究は、その解析・比較結果から、アメリカ大陸への人類最初の移住に関して新たな見解を提示しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/04/05 00:00
縄文時代における暴力死亡率
 これは4月2日分の記事として掲載しておきます。縄文時代における暴力死亡率に関する研究(Nakao et al., 2016)が報道されました。日本語の簡易解説記事と詳細な解説記事もあります。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、縄文時代における暴力による死亡率を推定し、他地域と比較しています。暴力による死亡率は、戦争によるものや個別の殺人事件なども含みます。この研究が分析対象としたのは、縄文時代の遺跡242ヶ所の人骨2582点(1275人)です。この研究は、そのうち受傷人骨... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/04/02 00:00
さかのぼるフロレシエンシスの年代(追記有)
 インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟で発見された後期更新世の人骨群の新たな推定年代に関する研究(Sutikna et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。リアンブア洞窟では更新世の人骨群が発見されています。この人骨群をめぐっては当初、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 0

2016/04/01 00:28
ネアンデルタール人の食性と形態の関係
 ネアンデルタール人の食性と形態の関係についての研究(Ben-Dor et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)は多くの点で現生人類(Homo sapiens)と類似した解剖学的特徴を有していますが、相違点も指摘されています。古くから、ネアンデルタール人の釣鐘型の胸郭や広い骨盤は、現生人類との違いとして注目されていました。しかし、その進化的要因についてはよく分かっていませんでした。この... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/03/31 00:19
現代人のゲノムに確認されるデニソワ人およびネアンデルタール人との交雑の痕跡
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のデニソワ人(Denisovan)由来のゲノム領域が、現代人の各地域集団にどのような割合で継承されているのか、世界規模での全体像を検証した研究(Sankararaman et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。今では、現代人のゲノムにデニソワ人およびネアンデルタール人由来の領域が確認されることは広く認められています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/03/30 00:25
大地溝帯の東で発見されたアファレンシス化石
 これは3月27日分の記事として掲載しておきます。ホモ属出現前の人類がアフリカ東部において大地溝帯の東方まで進出していたことを明らかにした研究(Mbua et al., 2016)が報道されました。アウストラロピテクス属をはじめとしてホモ属が出現する前から存在した人類は、アフリカ東部において大地溝帯の東方には進出していなかった、とされています。この研究は、アウストラロピテクス属が大地溝帯の東方にまで進出していた証拠として、ケニアのカンティス(Kantis)遺跡で発見されたアファレンシス(Aust... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/03/27 00:00
長谷川眞理子編『ヒトの心はどこから生まれるのか 生物学からみる心の進化』第3刷
 これは3月24日分の記事として掲載しておきます。 ウェッジ選書の一冊として、ウェッジより2010年1月に刊行されました。第1刷の刊行は2008年10月です。本書の基調は、二項対立的図式の見直しです。本書の議論では、「こころ」と「からだ」、「遺伝」と「環境」、「本能」と「理性」、「本能」と「学習」、「意識」と「無意識」、「動物」と「人間」といった二項対立的図式が対象となります。人間の性質・能力は遺伝と環境のどちらで決まるのか、といった通俗的な問題設定は、氏か育ちか、という言葉で一般でも語られてい... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/03/24 00:00
メラネシア人のゲノムに見られるネアンデルタール人とデニソワ人の痕跡
 メラネシア人のゲノムに見られるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のデニソワ人(Denisovan)の痕跡に関する研究(Vernot et al., 2016)が報道されました。日本語の解説記事も公表されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。非アフリカ系現代人は、ネアンデルタール人由来のゲノム領域を2%程度継承しています。アフリカ系現代人はネアンデルタール人由来のゲノム領域をほとんど継承していないため、現生人類(Homo sapiens... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/03/19 00:40
中期更新世の人骨の核DNA解析(追記有)
 中期更新世の人骨の核DNAの解析結果に関する研究(Meyer et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。この中期更新世の人骨の核DNAの解析結果については、すでに昨年(2015年)9月10日〜12日にかけてロンドンで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第5回総会で報告されており(関連記事)、概要はその報告と基本的に変わりません。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2016/03/17 00:17
後期更新世の北西ヨーロッパのネアンデルタール人の食性
 後期更新世の北西ヨーロッパのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の食性に関する研究(Wißing et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、マース川沿いにあるベルギー南部のゴイエット(Goyet)の「第三洞窟(Troisième caverne)」遺跡で発見されたさまざまな動物の骨のコラーゲンの安定同位体(炭素13および窒素15)を分析し、その食性を推定しています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/03/16 00:21
肉食と食料の加工によるホモ属の進化(追記有)
 肉食および食料の加工とホモ属の進化の関係についての研究(Zink, and Lieberman., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ホモ属の起源に関しては、まだ不明なところが多分にあるものの、それ以前の人類や同時代の他系統の人類と比較して、歯が小さくなり、咀嚼筋が減少して噛む力が弱まり、消化器官が小さくなった一方で、脳と身体は大きくなった、ということは広く認められています。咀嚼や消化の能力は低下した一方で、要求されるエネルギーは増えたわけです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/03/12 00:00
氷期の始まりを判断するための臨界日射量と二酸化炭素の関係
 これは3月9日分の記事として掲載しておきます。氷期の始まりを判断するための臨界日射量と二酸化炭素の関係についての研究(Ganopolski et al., 2016)が公表されました。氷期が始まる条件はまだよく分かっていません。近年の北半球の日射パターンは他の氷期の開始期に伴うことが多かったパターンに似ていたのですが、氷期は始まりませんでした。この研究は、氷床コアの証拠から絞り込まれた中程度に複雑な気候モデルを用い、任意の大気中二酸化炭素濃度について、氷期が始まる契機となるのに必要な日射量を定... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/03/09 00:00
人類の歯の進化
 人類の歯の進化に関する研究(Evans et al., 2016)が公表されました。人類の進化史において、歯のサイズの縮小傾向が見られることは古くから認識されていました。この理由として、食餌の変化や調理技能の獲得など、さまざまな仮説が提示されてきましたが、この傾向の根底にある発生的基盤は不明でした。この研究は、過去700万年にわたる化石人類および大型類人猿の標本で歯のサイズを調べ、哺乳類の相対的な歯のサイズに影響を与える活性化因子–抑制因子機構である「抑制性カスケード」が、下顎の犬... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/03/05 00:27
着火のさいに二酸化マンガンを利用したネアンデルタール人
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)が着火のさいに二酸化マンガンを利用した可能性を指摘した研究(Heyes et al., 2016)が公表されました。フランスでは、中部旧石器時代のムステリアン(Mousterian)遺跡で二酸化マンガンが発見されています。二酸化マンガンは、その着色特性から、人間が身体装飾に利用したと考えられており、象徴的行為の考古学的指標ともされています。本論文は、フランスのペシュドゥラゼ1(Pech-de-l’Azé I)遺跡のアシュ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/03/04 00:16
オーストラリア大陸先住民のY染色体の分析
 オーストラリア大陸先住民(アボリジニー)のY染色体の分析に関する研究(Bergström et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。オーストラリア大陸は、アメリカ大陸と同じく、現生人類(Homo sapiens)ではない系統の人類は存在したことがない、との見解が定説となっています。オーストラリア大陸への現生人類の進出は、アメリカ大陸よりもずっと早かった、と一般には考えられています。オーストラリア大陸への現生人類の進出は、考古学的記録から... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/03/02 00:27
現生人類の移住史におけるアラブ人の位置づけ
 これは2月28日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の移住史におけるアラブ人の位置づけに関する研究(Rodriguez-Flores et al., 2016)が公表されました。今後もさらなる検証が必要でしょうが、なかなか興味深い研究だと思います。現在では、アフリカ起源の現生人類が世界各地へと拡散した、とする現生人類アフリカ単一起源説が広く認められています。もっとも、現生人類はアフリカから世界各地への拡散の過程で、ネアンデルタール人(Homo neanderth... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/02/28 00:00
大型類人猿のY染色体とミトコンドリアの分析
 これは2月27日分の記事として掲載しておきます。大型類人猿のY染色体とミトコンドリアを分析した研究(Hallast et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・オランウータンのY染色体を分析していますが、対象となったのはY染色体の男性特有の領域で、その遺伝的相違とそれに基づく推定分岐年代がミトコンドリアと比較されています。父系のみで継承されるY染色体の男性特有の領域と、母系のみで継承されるミトコンドリアのD... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/02/27 00:00
現代パナマ人に見られるヨーロッパ系の遺伝的痕跡
 これは2月25日分の記事として掲載しておきます。現代パナマ人のY染色体に関する研究(Grugni et al., 2015)が報道されました。15世紀末以降、アメリカ大陸にはヨーロッパから多数の人々が移住してきて、大きな影響を及ぼしました。これがかなりのところ侵略的であり、アメリカ大陸の先住民集団に大打撃を与えたことはよく知られています。パナマも含まれるラテンアメリカにおいては、ヨーロッパ系でもおもにスペイン系が移住してきました。こうしたスペインからの「征服者(コンキスタドール)」は単身の男性... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/25 00:00
海部陽介『日本人はどこから来たのか?』
 これは2月21日分の記事として掲載しておきます。文藝春秋社から2016年2月に刊行されました。本書は、昔から(おそらくは今後も長く)日本社会では関心の高い日本人起源論を取り上げています。本書の特徴は、日本社会ではありふれているとも言える日本人起源論を、現生人類(Homo sapiens)アフリカ単一起源説を前提として、現生人類のアフリカからの拡散という観点から検証していることです。日本列島とその周辺地域だけではなく、広く世界的な視野で考察されている、というわけです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/02/21 00:00
フロレシエンシスの頭蓋の分析
 これは2月20日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島人の頭蓋に関する研究(Balzeau et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。インドネシア領フローレス島のリアンブア洞窟では、更新世の人骨群が発見されています。この人骨群をめぐっては当初、新種なのか、それとも病変の現生人類(Homo sapiens)なのか、という激論が展開されました。しかし現在では、この人骨群をホモ属の新種フロレシエンシス(Homo floresiensis)と区分する見解がおお... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/20 00:00
さかのぼるネアンデルタール人と現生人類との交雑の年代(追記有)
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との早期の交雑に関する研究(Kuhlwilm et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。非アフリカ系現代人のゲノムには、わずかながらネアンデルタール人由来の領域が確認されています。一方、アフリカ系現代人のゲノムには、基本的にネアンデルタール人由来の領域が確認されていません。そのため、出アフリカ後の現生人類はネアンデルタール人と交雑したと考... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/02/19 00:24
ネアンデルタール人の絶滅の理論的検証
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅を理論的に検証した研究(Gilpin et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ざっと一読しただけなので、的確に理解できていないかもしれませんが、とりあえず備忘録として掲載しておきます。ネアンデルタール人の絶滅要因は高い関心を集めてきており、現在にいたるまで活発な議論が続いています。もっとも、ネアンデルタール人は絶滅したとはいっても、非アフリカ系現代人はわずかながらネアンデルタ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/18 00:15
セディバの食べ物を噛む能力
 これは2月14日分の記事として掲載しておきます。ホモ属的特徴を有するとされるアウストラロピテクス属のセディバ(Australopithecus sediba)の食べ物を噛む能力に関する研究(Ledogar et al., 2016)が報道されました。アウストラロピテクス属は、堅い食べ物を噛むことに適した歯や顎の構造を有しています。一方、現代人はそうした構造を有しておらず、食べ物を噛む能力は弱くなっています。現代人も含めてホモ属はアウストラロピテクス属のいずれかの系統から進化したと考えられており... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/14 00:00
ネアンデルタール人に由来する生存の危険性を高める遺伝子
 これは2月13日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に由来する生存の危険性を高める遺伝子についての研究(Simonti et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。現生人類(Homo sapiens)は出アフリカ後にネアンデルタール人と交雑したと推測されており、非アフリカ系現代人のゲノムにはわずかながら(平均して1.5%〜4%)ネアンデルタール人由来の領域が確認されています。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2016/02/13 00:00
ゴリラの祖先候補の新たな年代
 これは2月12日分の記事として掲載しておきます。ゴリラの祖先候補となる化石の新たな年代に関する研究(Katoh et al., 2016)が報道されました。2007年にエチオピアで発見された大型類人猿の化石は、チョローラピテクス=アビシニクス(Chororapithecus abyssinicus)と命名され、その年代は1050万〜1000万年前と推定されました(関連記事)。アビシニクスは、その歯の形態的特徴からゴリラの祖先系統(もしくはゴリラの直接的祖先の近縁系統)と考えられています。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/12 00:00
中期更新世におけるカメの消費
 中期更新世におけるカメの消費についての研究(Blasco et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。本論文が分析対象としているのは、イスラエルにあるケセム洞窟(Qesem Cave)遺跡です。ケセム洞窟はテルアビブから東方へ12kmの場所に位置しています。ケセム洞窟では、下部旧石器時代の人工物が発見されており、それらはすべてアシュールヤブルディアン文化複合(Acheulo-Yabrudian Cultural Complex)に区分されています。ケセム洞窟では、ア... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/07 00:33
Jared Diamond『若い読者のための第三のチンパンジー 人間という動物の進化と未来』
 ジャレド=ダイアモンド(Jared Diamond)著、レベッカ=ステフォフ(Rebecca Stefoff)編著、秋山勝訳、長谷川眞理子解説で、草思社より2015年12月に刊行されました。原書の刊行は2014年です。本書は1993年に新曜社より日本語版が刊行された『人間はどこまでチンパンジーか? 人類進化の栄光と翳り』の圧縮版であり、その後の研究成果が参照された増補改訂版でもあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/02/06 00:30
後期更新世におけるオーストラリアの大型鳥の絶滅
 後期更新世におけるオーストラリアの大型鳥の絶滅に関する研究(Miller et al., 2016)が報道されました。この研究が分析対象としているのは、オーストラリアにかつて生存しており、後期更新世に絶滅した、飛行能力のない大型のカモ目の鳥(Genyornis newtoni)です。この絶滅大型鳥は、体長が約210cm、体重が約220kgでした。本論文は、45kg以上の体重がある動物を大型と分類しています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2016/02/04 00:18
アメリカ大陸における大型動物の絶滅要因
 これは1月28日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸における大型動物の絶滅要因についての研究(Surovell et al., 2016)が公表されました。更新世末期〜完新世初期にかけて、アメリカ大陸では多くの大型動物が絶滅しました。アメリカ大陸のように、現生人類(Homo sapiens)が更新世後期〜完新世にかけて人類として初めて移住した地域では、他にもオーストラリア大陸やオセアニアのように、多くの大型動物の絶滅が見られます。こうした大型動物の絶滅を人為的要因と考える見解は以前から... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2016/01/28 00:00
ブリテン島の移住史
 これは1月23日分の記事として掲載しておきます。ブリテン島における人間集団の移住に関する二つの研究が公表されました。ナショナルジオグラフィックで報道された一方の研究(Martiniano et al., 2016)は、イギリス北部の9人の遺体のDNAを解析しました。このうち7人はヨークにあるローマ帝国時代の墓地に埋葬されており、残りの2人のうち1人の年代はアングロサクソン時代で、もう1人の年代はローマ帝国時代よりも前の鉄器時代です。これら9人のDNA解析の結果、ローマ帝国時代の7人のゲノムは全... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/01/23 00:00
1万年前頃の狩猟採集民集団間の暴力
 これは1月22日分の記事として掲載しておきます。1万年前頃の狩猟採集民集団間の暴力に関する研究(Lahr et al., 2016)が報道されました。この研究は、ケニアのトゥルカナ湖西方で2012年に発見されたナタルク(Nataruk)遺跡について報告しています。ナタルク遺跡は現在のトゥルカナ湖畔から30km離れた場所に位置しています。ナタルク遺跡では27個体分の遺骸が発見されており、そのうち21人は成人で、男性8人・女性8人・性別不明5人という構成でした。6人の未成年のうち5人は6歳以下で、... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/01/22 00:00
非アフリカ系現代人集団で増加する有害な遺伝的変異
 非アフリカ系現代人集団で有害な遺伝的変異が増加することを明らかにした研究(Henn et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アフリカ起源の現生人類(Homo sapiens)の拡散は連続した創始者効果を伴うものだった、と考えられています。小集団では大集団よりも有害な遺伝的変異が効率的に除去されないため、非アフリカ系集団ではアフリカ系集団よりも有害な遺伝的変異が増加しているのはでないか、と集団遺伝学の理論では予測されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/01/21 00:00
45000年前頃に北極圏に進出していた人類
 これは1月16日分の記事として掲載しておきます。人類が45000年前頃に北極圏に進出していたことを明らかにした研究(Pitulko et al., 2016)が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は、2012年8月に北極圏シベリアで発見されたマンモスの遺骸について報告しています。このマンモスの眼窩・肋骨・顎には、槍による明らかな損傷が確認され、そうした損傷は生前および死後のものでした。こうした損傷パターンは他の遺跡でも確認されているので、人類がマンモス... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/01/16 00:00
スラウェシ島の10万年以上前の石器
 これは1月15日分の記事として掲載しておきます。スラウェシ島で発見された10万年以上前の石器についての研究(Bergh et al., 2015)が報道されました(日本語版)。読売新聞でも報道されています。この研究は、スラウェシ島南西部の町であるマロス(Maros)北東のウァラナエ盆地(Walanae Basin)にあるタレプ(Talepu)遺跡で、2007年〜2012年にかけての発掘で発見された石器群について報告しています。マロス近郊の洞窟群では4万年前頃までさかのぼる壁画が発見されており、... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 4 / トラックバック 2 / コメント 0

2016/01/15 00:00
前近代に変化していた生態学的群集の共在構造
 これは1月14日分の記事として掲載しておきます。生態学的群集の共在構造の変化に人類が影響を与えていたことを示した研究(Lyons et al., 2016)が公表されました。生態学的群集はランダムに構成されているわけではなく、一部の種は偶然による予測値よりも高頻度もしくは低頻度で他の種と共存しています。この研究は、過去3億年の間に存在した80の集合体に含まれる動植物種のペア30万組以上の共存パターンを調べました。その結果、有意に近接または分離している種ペアの相対的比率は3億年にわたって安定して... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2016/01/14 00:00
ネアンデルタール人とデニソワ人に由来する免疫に関連する遺伝子
 これは1月9日分の記事として掲載しておきます。ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人からもたらされた免疫に関連する遺伝子についての二つの研究が報道されました。一方の研究(Dannemann et al., 2016)は、先天性免疫に関わるToll様受容体のうちの三つ(TLR6・TLR1・TLR10)を分析対象としています。先天性免疫に関わるToll様受容体は、バクテリア・菌類・寄生虫に対する防御の役割を果たしていることになり、人間の生存に重要です。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/01/09 00:00
西サハラの砂漠にかつて存在した川
 これは1月5日分の記事として掲載しておきます。西サハラの砂漠にかつて広大な河川網が存在したことを明らかにした研究(Skonieczny et al., 2015)が公表されました。現在の西サハラには主要な河川系はなく、絶えず移動する砂丘しかありません。しかし近年、西サハラ沖では、深海で河川によって運ばれた微細粒が、大陸棚では大規模な海底谷が発見されたことで、西アフリカにはかつて主要な河川系が存在していた、と考えられています。しかし、これまで陸上においてそうした広大な河川網の直接的証拠は得られて... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2016/01/05 00:00
古人類学の記事のまとめ(27)2015年9月〜2015年12月
 2015年9月〜2015年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2015年9月〜2015年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 7 / コメント 0

2016/01/02 18:24
2015年の古人類学界
 これは12月29日分の記事として掲載しておきます。あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年も古人類学界について振り返っていくことにします。今年の動向を私の関心に沿って整理すると、以下のようになります。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2015/12/29 00:00
農耕の開始により変化した人間のゲノム
 これは12月27日分の記事として掲載しておきます。農耕の開始に伴う人間のゲノムの変化に関する研究(Mathieson et al., 2015)が報道されました。この研究は、古代西ユーラシアの230人の高精度のゲノム解析を報告しています。この230人の年代は紀元前6500〜紀元前300年にわたっており、この研究で新たに報告されたデータも含まれています。アナトリアの新石器時代農耕民のゲノム規模の解析はこの研究が初めてのことだ、とその意義が指摘されています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/12/27 00:00
ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先の復元図
 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との最終共通祖先の復元図についての研究が報道されました。この研究は『人間進化誌』に掲載されるとのことですが、検索したところ、まだオンライン版でも公開されていませんでした。この研究は、3D技術を用いてネアンデルタール人と現生人類の最終共通祖先の頭蓋を仮想復元しています。この復元にさいしては、200万年にわたるホモ属化石の頭蓋が用いられ、797点の指標が定められました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/12/22 00:15
馬鹿洞人の大腿骨
 これは12月20日分の記事として掲載しておきます。中華人民共和国雲南省の馬鹿洞(Maludong)で発見されたホモ属の大腿骨に関する研究(Curnoe et al., 2016)が報道されました。AFPでも報道されています。馬鹿洞人に関しては、未知のホモ属系統との見解が提示されていますが(関連記事)、放射性炭素年代測定法による較正年代では14310±340〜13590±160年前となることもあって、現生人類(Homo sapiens)の多様性を過小評価して馬鹿洞人の祖先的特徴を過大評価している... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/12/20 00:00
頭蓋の分析による現生人類出アフリカ説の検証
 頭蓋の分析から現生人類(Homo sapiens)による出アフリカを検証した研究(Reyes-Centeno et al., 2015)を読みました。現生人類の出アフリカに関しては、回数・年代・経路などをめぐって議論が続いています(関連記事)。本論文は、更新世のアフリカおよびレヴァントの現生人類化石と、完新世のアジアの現生人類の膨大な頭蓋データを用いて、現生人類の出アフリカについて検証しています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/12/19 00:27
Pat Shipman『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』
 これは12月13日分の記事として掲載しておきます。パット=シップマン(Pat Shipman)著、河合信和監修・訳、柴田譲治訳で原書房より2015年12月に刊行されました。原書の刊行は2015年です。本書は、現生人類(Homo sapiens)を侵略種と把握し、その拡散が生態系に大きな影響を及ぼした、との認識を前提とし、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の絶滅を検証しています。主要な検証対象地域はヨーロッパです。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/12/13 00:00
現生人類とは異なるネアンデルタール人の顔面成長パターン
 これは12月10日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の顔面成長パターンに関する研究(Lacruz et al., 2015)が報道されました。骨格の形成は、骨の沈着と破壊吸収により行なわれます。本論文は、現生人類とネアンデルタール人の顔面においてそれがどのようなパターンを示すのか、検証しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/12/10 00:00
川合伸幸『ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか』
 これは12月5日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、ヒトの本性、さらには、ヒトの本性は残酷であるという今でもわりと根強いだろう観念の検証が主題となっています。率直に言って、本書はこの主題に捕われすぎており、やや偏向しているのではないか、と思います。漢字文化圏でなじみ深い、性善説対性悪説という二項対立的な把握を意識しすぎているのではないか、と思えました。もっとも、某東洋史研究者によると、いわゆる諸子百家の時代の性善説と性... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/12/05 00:00
Curtis William Marean「史上最強の侵略種ホモ・サピエンス」
 これは12月4日分の記事として掲載しておきます。『日経サイエンス』2016年1月号の記事です。本論考は、それまでの人類とは異なり世界中へと拡散した現生人類(Homo sapiens)を「史上最強の侵略種」と把握しています。この認識自体は、妥当なところが多分にあると思います。現生人類がアフリカから拡散を始めた時には、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)やデニソワ人(種区分未定)やホモ属の新種とされる更新世フローレス島人(Homo floresiensis)など複数の先... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/12/04 00:00
感情が促進した現生人類の拡散
 これは12月3日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の拡散と感情との関係について検証した研究(Spikins., 2015)が報道されました。本論文が前提としているのは、人類の拡散は10万年前以降に大きく変わった、という認識です。現生人類の10万年前以降の拡散は、じゅうらいよりずっと速くなり、範囲も広がった、というわけです。アウストラロピテクス属やパラントロプス属の生息範囲は、アフリカの森林や森林と草原の混在するような環境に限定されており、初期ホモ属でも、ハビリ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/12/03 00:00
農耕開始期までさかのぼるミツバチの利用
 これは11月29日分の記事として掲載しておきます。人間によるミツバチの利用に関する研究(Roffet-Salque et al., 2015)が報道されました。エジプトなどにおける考古学的証拠から、人間はミツバチを古くから利用してきたことが知られていますが、それがいつのことからなのかは、明確ではありませんでした。この研究は、ヨーロッパ・西アジア・北アフリカの遺跡で発見された6000以上の陶器の破片の脂質残渣から得られた、蜜蝋の存在を示すガスクロマトグラフィーの測定結果を用いて、蜜蝋の利用地点を... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/11/29 00:00
インド・ヨーロッパ語族の形成におけるコーカサスの狩猟採集民の遺伝的影響
 これは11月27日分の記事として掲載しておきます。現代のユーラシアの人類集団にコーカサスの狩猟採集民の遺伝的影響があることを明らかにした研究(Jones et al., 2015)が報道されました。この研究は、コーカサス地域の上部旧石器時代後期(13000年前頃)と中石器時代(9700年前頃)の人間のゲノム、およびスイスの上部旧石器時代後期(13700年前頃)の人間のゲノムを解析しました。現代ヨーロッパ人の形成には、ヨーロッパ西部の狩猟採集民、西アジアからの農耕民、西ヨーロッパに牧畜および冶金... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/11/27 00:00
さかのぼる南アメリカ大陸における人類の痕跡
 これは11月22日分の記事として掲載しておきます。南アメリカ大陸における人類の痕跡についての研究(Dillehay et al., 2015)が公表されました。アメリカ大陸への人類最初の移住については、20世紀後半〜近年までクローヴィス(Clovis)文化の担い手が最初の移住者だとするクローヴィス最古説が主流でした。しかし近年になって、アメリカ大陸におけるクローヴィス文化以前の人類の痕跡が相次いで報告されていることから、クローヴィス最古説を否定する研究者が増えつつあり、クローヴィス最古説はもは... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/11/22 00:00
フロレシエンシスの歯の分析
 これは11月20日分の記事として掲載しておきます。更新世フローレス島人の歯を分析した研究(Kaifu et al., 2015)が報道されました。インドネシア領フローレス島のリアンブア(Liang Bua)洞窟の更新世後期の堆積層からは、人骨と石器が発見されています。この更新世フローレス島人の分類と起源をめぐり、発表以来10年以上、激論が続いてきました(関連記事)。更新世フローレス島人は病変の現生人類(Homo sapiens)である、との見解も当初より提示されており、現在でも一部で主張され続... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/11/20 00:00
デニソワ人の臼歯の形態およびDNA解析
 これは11月19日分の記事として掲載しておきます。デニソワ人(種区分未定)の臼歯の形態およびそのDNA解析についての研究(Sawyer et al., 2015)が報道(日本語版)されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。デニソワ人は、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とも現生人類(Homo sapiens)とも異なる系統の人類です。これまで、デニソワ人は3個体分発見... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 4

2015/11/19 00:00
インカ帝国の子供のミイラのミトコンドリアゲノム
 これは11月15日分の記事として掲載しておきます。インカ帝国の子供のミイラのミトコンドリアゲノムに関する研究(Gómez-Carballa et al., 2015)が公表されました。1985年にアルゼンチンの山中で500年前頃のインカ帝国時代の凍結した子供のミイラが発見されました。この子供は、インカ帝国で行われていた「カパコチャ」と呼ばれる生贄の儀式で犠牲となった7歳の男児である、と明らかになりました。この研究は、その7歳男児のミイラからミトコンドリアDNAを抽出・解析し、比較して... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/11/15 00:00
更新世末のアラスカの幼児のミトコンドリアDNA
 これは11月12日分の記事として掲載しておきます。更新世末のアラスカの幼児のミトコンドリアDNAを解析した研究(Tackney et al., 2015)が報道されました。この研究は、中央アラスカのアップウォードサン川遺跡(the Upward Sun River Site)で発見された幼児2個体(USR1およびUSR2)のミトコンドリアDNAの解析に成功しました。アップウォードサン川遺跡では火葬された推定年齢3歳の子供が発見されており(関連記事)、その後の追加発掘で共に埋葬された幼児2個体が... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/11/12 00:00
ボノボの起源
 これは11月6日分の記事として掲載しておきます。ボノボ(Pan paniscus)の起源に関する研究(Takemoto et al., 2015)が報道されました。解説記事も公開されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。現在、チンパンジー(Pan troglodytes)はコンゴ川の北側に、ボノボはコンゴ川の南側に生息しています。ボノボとチンパンジーの分岐年代は、遺伝学的研究では210万〜80万年前頃と推定されています。じゅうらい、コンゴ川の形成年代もその頃と推定されており、... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2015/11/06 00:00
レヴァントにおけるネアンデルタール人の狩猟戦略
 レヴァントにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の狩猟戦略についての研究(Hartman et al., 2015)が報道されました。本論文は、イスラエル北部に位置するアムッド洞窟(Amud Cave)のネアンデルタール人と関連した層を検証しています。アムッド洞窟は、ネアンデルタール人の生息範囲としてはほぼ南限となります。アムッド洞窟のネアンデルタール人と関連した層は、前期のB4層と後期のB2・B1層です。両層は考古学的痕跡の確認されていないB3層により隔てら... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2015/10/31 00:46
Daniel E. Lieberman『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』上・下
 ダニエル=リーバーマン(Daniel E. Lieberman)著、塩原通緒訳で、早川書房より2015年9月に刊行されました。原書の刊行は2013年です。人類は現在の主要な環境にじゅうぶん適応していたわけではなく(ミスマッチ)、それが腰痛や糖尿病など以前にはあまり(もしくはほとんど)見られなかった現代人のさまざまな健康問題を惹起している、というのが本書の基本的な視点です。交通機関の発達・椅子に長時間座ること・糖分などの過剰摂取(栄養過多)といった、多くの現代人にとっての環境は、人類史のうえでご... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/10/28 00:26
ブタの家畜化の過程
 ブタの家畜化の過程に関する遺伝学的研究(Frantz et al., 2015)が公表されました。現在家畜となっている動物のうち、ブタはかなり早い時期に家畜化された動物で、まず西アジアで家畜化され(明確な家畜化は11000〜10000年前頃)、東アジアでの家畜化(明確な家畜化は9000〜8000年前頃)も早かったようです(関連記事)。ブタに限らず、こうした家畜化の過程は、比較的少ない数の個体を野生集団から持続的に隔離することで進行した、と考えられてきました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/10/24 00:44
東アジア最古の現生人類化石をめぐる認識
 東アジアというか、アラビア半島以東では最古となる明確な現生人類(Homo sapiens)化石が報告されたことは、先日このブログで取り上げました(関連記事)。この研究について、あるブログ記事がツイッターで取り上げられるなど話題になっているようですが、率直に言って、かなり疑問の残る認識となっています。まず、「しかしなんでこれほど驚くほどの発見が我が国のニュースに全く流れていないのだろう、、、不思議だ」とのことですが、日本語でも一応報道されています(翻訳記事ですが)。もっとも、これは大したことでは... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 2

2015/10/21 00:22
東アジア最古の現生人類化石?(追記有)
 東アジア最古の現生人類(Homo sapiens)の証拠を報告した研究(Liu et al., 2015)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文が検証したのは、中華人民共和国湖南省永州市(Yongzhou)道県(Daoxian)の福岩洞窟(Fuyan Cave)で発見された47個の人間の歯です。この人間の歯には、5種の絶滅大型哺乳類を含む38種の動物化石が共伴しており、そのほとんどは歯でした。石器は共伴してい... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 2 / コメント 0

2015/10/16 00:28
篠田謙一『DNAで語る日本人起源論』
 岩波現代全書の一冊として、岩波書店より2015年9月に刊行されました。本書は遺伝学の研究成果に基づく日本人形成論です。本書の特徴は、一般読者を想定した丁寧な解説です。遺伝学に基づく人類進化の研究に関する基本的な事柄が丁寧に解説されていますし、現時点での研究成果の限界も言及されているので、良心的だと思います。この点は、8年前の著者の一般向け著書(関連記事)と同様です。本書は、その後大きく進展した人類進化に関する遺伝学的な諸研究成果を取り入れ、体系的に読める遺伝学的な日本人形成論としては最新のもの... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/10/13 00:00
古代エチオピア人のゲノム解析
 古代エチオピア人のゲノム解析についての研究(Llorente et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、エチオピア高地のモタ(Mota)と呼ばれる洞窟で発見された4500年前頃の男性のゲノムの解析に成功しました。この男性はうつ伏せで埋葬されていたそうです。アフリカにおける古代ゲノムの解析としては最初の成功例となり、高地のため涼しく乾燥した気候だったことが幸いしたようです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/10/10 00:55
チンパンジーと人間の直立歩行の類似性
 チンパンジーと人間の直立歩行の類似性についての研究(Thompson et al., 2015)が公表されました。人間が大股で歩く際には、臀部と上半身が相反する方向に動いて歩幅を広げて、腕の振りを利用して骨盤の回転を相殺しています。一方、人間より腹部(腰部)がかなり短いチンパンジーは、二足歩行時に胴体(骨盤・腰部・胸部を含めた領域)を動かさないという仮説が提唱されていました。この研究は、二足歩行をするように訓練されたチンパンジーの臀部・腰部・胸部のそれぞれの動きを追跡した結果、人間とチンパンジ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/10/09 00:24
ナレディの足と手の特徴(追記有)
 ホモ属の新種として大きく取り上げられた(関連記事)ナレディ(Homo naledi)の足についての研究(Harcourt-Smith et al., 2015)が報道されました。この研究では1個のほぼ完全な成人の足を含む107個の足の骨が分析され、アウストラロピテクス属のセディバ(Australopithecus sediba) などを含む化石人類や現生類人猿のチンパンジー(Pan troglodytes)や現代人などと比較されました。内転した親指や細長い足根骨や派生的な足関節および踵骨立方骨... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2015/10/08 00:06
『ナショナルジオグラフィック』2015年10月号「眠りから覚めた謎の人類」
 南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群についての特集です。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と命名され、大きく報道されました(関連記事)。本特集では、ナレディについてそれらの報道よりも詳しく取り上げられています。とくに、ナレディ発見の経緯はかなり詳しく解説されています。『ナショナルジオグラフィック』らしい美麗な写真も魅力で、洞窟や復元像には迫力があります。 ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/10/04 00:27
アフリカヌスとロブストスの聴覚能力
 アフリカ南部の初期人類である、アウストラロピテクス属のアフリカヌス(Australopithecus africanus)とパラントロプス属のロブストス(Paranthropus robustus)の聴覚能力に関する研究(Quam et al., 2015)が報道されました。この研究チームはこれまでに人類の聴覚能力の進化を検証してきており、アフリカヌスとロブストスの耳の構造には現生人類(Homo sapiens)と類似しているところがあるものの、現生大型類人猿の方に似ているところが多い、という... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/10/02 00:00
中期石器時代のアフリカ東部における環境と生物の拡散
 これは9月30日分の記事として掲載しておきます。中期石器時代のアフリカ東部における環境と生物の拡散に関する研究(Faith et al., 2015)を読みました。本論文は、ケニアのヴィクトリア湖沿岸のカルング(Karungu)地域と、その北方数十kmにある、ヴィクトリア湖のルシンガ島(Rusinga Island)およびムファンガノ(Mfangano)島の後期更新世の環境・考古学的記録を検証しています。本論文が検証の対象としているのは、考古学的な時代区分でいうと中期石器時代となります。カルン... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/09/30 00:00
大塚柳太郎『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』
 これは9月28日分の記事として掲載しておきます。新潮選書の一冊として、新潮社から2015年7月に刊行されました。本書は、この20万年間の人口史を検証しています。人口とはいっても、対象となる人類は基本的に現生人類(Homo sapiens)のみです。本書はこの20万年間を4段階に区分しています。第1段階は、人類がまだ起源地のアフリカに留まっていた期間です。第2段階は、人類がアフリカから世界へと拡散していった期間です。125000年前頃のレヴァントへの進出にも言及されていますが、本格的な世界への拡... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/09/28 00:00
最古の人為的な重金属汚染の証拠(追記有)
 人為的な重金属汚染の証拠に関する研究(Monge et al., 2015)が報道されました。本論文は、イベリア半島の4ヶ所の洞窟遺跡において、人為的な重金属汚染の証拠を検証しています。検証対象となった4遺跡は、北部のグランドリナ(Gran Dolina)・南部のエルピルレホ(El Pirulejo)・ジブラルタルのヴァンガード洞窟(Vanguard Cave)およびゴーラム洞窟(Gorham's Cave)です。ゴーラム洞窟はネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)終... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/09/23 00:00
チンパンジーによる顔の効率的な探索
 これは9月20日分の記事として掲載しておきます。チンパンジー(Pan troglodytes)による顔の効率的な探索に関する研究(Tomonaga, and Imura., 2015)が公表されました。顔は社会生活を送る霊長類にとって、きわめて重要な視覚刺激の一つです。近年の比較認知研究の進展により、チンパンジーと人間は全体もしくは目・鼻・口などのパーツの空間的配置で顔の情報を捉える、という特別なやり方で処理していることが明らかになっています。チンパンジーも人間も、顔を倒立画像で提示すると知覚... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/09/20 00:00
50万年以上前の待ち伏せ狩猟
 更新世下部〜中部にかけての景観の復元と、それと関連しての人類の狩猟についての研究(Kübler et al., 2015)が報道されました。本論文が取り上げているのは、ケニアの地溝帯にあるオローゲサイリエ(Olorgesailie)遺跡です。ここでは120万〜50万年前頃にかけての豊富な石器・大型動物の骨が発見されています。石器はおもにアシューリアン(Acheulean)であり、ホモ属の頭蓋も1個発見されています。大型動物の骨が解体されていたことから、当時の人類は熟練の狩猟者だったと... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/09/17 00:00
43万年前頃の人骨の核DNA分析
 43万年前頃の人骨の核DNA分析を報告した研究(Meyer et al., 2015)が報道されました。これは、解析された人間の核DNAとしては最古となります。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究は今月(2015年9月)10日〜12日にかけてロンドンで開催された人間進化研究ヨーロッパ協会の第5回総会で報告されており、まだ論文としては刊行されていません。この研究の要約は、PDFファイルで読めます(P162)。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/09/15 00:04
ホモ属の新種ナレディ(追記有)
 新種のホモ属化石に関する研究が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されており、『ネイチャー』や『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。この新種化石群については、すでに昨年の段階で報道されていました(関連記事)。この研究は、南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群を、形態学の観点(Berger et al., 2015)と化石成因論の観点(Dirks et a... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 5 / コメント 0

2015/09/12 00:00
イベリア半島の初期農耕民のゲノム解析
 イベリア半島の初期農耕民のゲノム解析に関する研究(Günther et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、イベリア半島北部のエルポータロン洞窟(the El Portalón cave)で発見された、5500〜3500年前(考古学的な時代区分では、金石併用時代〜青銅器時代)の初期農耕民である8人(遺伝的に男性4人・女性4人と推定されています)のゲノムを解析し、ヨーロッパの他地域の同時代や前後の時代の農耕民および狩猟... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/09/10 00:00
現生人類の出アフリカの検証
 現生人類(Homo sapiens)の出アフリカを検証した研究(Groucutt et al., 2015)を読みました。現生人類の起源に関しては、今ではアフリカ単一起源説が通説になったと言ってよいでしょう。現生人類の出現年代については、本論文でも指摘されているように20万〜15万年前頃と考えるのが有力な見解となっています。もっとも、進化は連続的なのでどの時点から現生人類と認めるのかという問題もありますが、この年代はもう少しさかのぼる可能性が高いのではないか、と個人的には考えています。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

2015/09/06 00:00
中期更新世のホモ属の形態的特徴
 中期更新世のホモ属の形態的特徴に関する研究(Arsuaga et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。中期更新世のホモ属化石は断片的なものが多く、地理的・年代的に分散しています。そのため、中期更新世におけるホモ属各集団の形態の推定は難しくなっています。少なく断片的な化石を根拠とすることで、偏りが生じている可能性が高い、というわけです。中期更新世のホモ属の形態の推定は、かなりのところ「トゥルカナボーイ」とも呼ばれる前期更新世の「KNM WT-150... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/09/03 00:00
古人類学の記事のまとめ(26)2015年5月〜2015年8月
 2015年5月〜2015年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2015年5月〜2015年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、このブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものですので、今後もこのような自分だけのための記事が増えていくと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 8 / コメント 0

2015/09/01 00:00
中央ヨーロッパにおける新石器時代の暴力
 中央ヨーロッパにおける新石器時代の暴に関する研究(Meyer et al., 2015)が報道されました。AFPでも報道されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、線形陶器文化(Linearbandkeramik Culture)に属するドイツの「Schöneck-Kilianstädten」遺跡(7000年前頃)の集団墓地で発見された少なくとも26個体分の人骨を調査し、前期新石器時代(紀元前5600〜紀元前4900年)の中央ヨーロッパにおける暴力... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/08/29 00:00
フローレス島における更新世〜完新世にかけての石器技術の連続性
 『人間進化誌』第57巻5号で更新世のフローレス人についての特集が組まれたことを、以前このブログで取り上げました(関連記事)。その時、「この特集号の諸論文については、何回かにわたってこのブログで取り上げる予定です」と述べたのですが、まだわずかしか取り上げていないので、今さらではあるものの、インドネシア領フローレス島の更新世の石器技術についての研究(Moore et al., 2009)を取り上げることにします。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/08/22 00:00
184万年以上前の現生人類のような手
 184万年以上前の人類の手の基節骨についての研究(Domínguez-Rodrigo et al., 2015)が報道されました。「OH 86」と命名されたこの基節骨(左手の小指と推定されています)は、タンザニアのオルドヴァイ渓谷(Olduvai Gorge)にあるフィリップ・トビアス・コロンゴ(Philip Tobias Korongo)遺跡(以下、PTK遺跡と省略)で2014年に発見されました(PTK遺跡の発見は2012年)。OH86の年代は184万年以上前で、多くの様式1(Mo... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/20 00:00
アナトリア最古の石器?
 取り上げるのが遅くなってしまいましたが、アナトリアにおける人類の痕跡の年代に関する研究(Maddy et al., 2015)が報道されました。アナトリアは前期更新世においてもアジアからヨーロッパへの人類拡散の経路として注目されていますが、下部旧石器時代のアナトリアに関しては、確実な年代の遺跡が稀であり、詳しいことが分かっていません。本論文は、旧石器の発見されたアナトリア西部のゲディズ川(Gediz River)の古流路の堆積物から、アルゴン-アルゴン法と古地磁気法により得られた年代測定結果を... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/17 00:00
初期ホモ属の体格の多様性
 取り上げるのが遅れましたが、初期ホモ属の体格の多様性に関する研究(Will, and Stock., 2015)が報道されました。本論文は、初期ホモ属(240万〜150万年前頃)の体格を再検証しています。じゅうらいの研究では、人類の身長や体重の推定にさいして、股関節や脚といった特定の部位の骨が必要だったため、保存状態のよい人骨しか推定に使えず、少ない標本数から体格を推定していたのにたいして、この研究では、断片的な人類化石をも対象とすることで標本数を大きく増やし、時間的・地理的に広範な初期ホモ属... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/15 00:00
門脇誠二「交替劇と学習仮説に関わるアフリカと西アジアの考古学研究:総括と展望」
 本論文は、文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)2010-2014「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化にもとづく実証的研究」(領域番号1201「交替劇」)研究項目A01「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究」の2014年度研究報告書(研究項目A01研究報告書No.5)に所収されています。公式サイトにて本論文をPDFファイルで読めます(P12-22)。この他にも興味深そうな報告があるので、今後読んでいくつもりです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/12 00:00
西秋良宏「旧人・新人交替劇と両者の学習行動の違いに関わる考古学的研究― 2014年度の取り組み ―」
 本論文は、文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)2010-2014「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化にもとづく実証的研究」(領域番号1201「交替劇」)研究項目A01「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究」の2014年度研究報告書(研究項目A01研究報告書No.5)に所収されています。公式サイトにて本論文をPDFファイルで読めます(P80-89)。この他にも興味深そうな報告があるので、今後読んでいくつもりです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/09 00:00
人類の身体サイズの進化
 人類の身体サイズの進化についての研究(Grabowski et al., 2015)が報道されました。この研究は、現代人と化石人類との包括的な比較から、人類の身体サイズの進化を検証しています。この研究に関わった研究者たちは、包括的な調査であることなどから、この研究が今後当分は人類の身体サイズの進化について基準になるのではないか、と自負しているようです。近年の研究成果を総合した包括的な研究ということで、たいへん意義が大きいと言えそうです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/06 00:00
乳児期に決まる低身長
 「ピグミー」とも呼ばれるアフリカ西部のバカ(Baka)語系集団の低身長が幼児期に決まることを解明した研究(Rozzi et al., 2015)が報道されました。AFPAFPやナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究は、バカ語系集団とフランス人集団とを比較し、前者の生後2年間の成長速度が後者のそれよりも著しく低下することを明らかにしました。しかし、思春期以降の成長速度に関しては、両者に大きな違いがないことも明らかにされています。この研究は、生後2年間の成長速度の鈍化がバカ語系集... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/08/02 01:06
ヨルダンの早期上部旧石器時代の年代
 ヨルダンにある「Mughr el-Hamamah」遺跡(以下、MHM遺跡と省略)の早期上部旧石器時代のより精確な年代を報告し、レヴァントにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期について考察した研究(Stutz et al., 2015)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。「Mughr el-Hamamah」とは、「鳩の洞窟群」という意味だそうです。MHM遺跡は5ヶ所の洞窟から成り、海抜約80mに位置しています。5ヶ所の洞窟のうち洞窟2が最も大きく、カルスト空洞... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/07/29 00:00
両親の血縁度と子供の身長・知性との関係
 両親の血縁度と子供の身長・知性との関係についての研究(Joshi et al., 2015)が公表されました。この研究は、35万人以上を対象にゲノムのホモ接合連続領域(全長にわたってホモ接合であると考えられる領域)を調べることで、ホモ接合性が人々の健康にとって重要な形質に与える影響を検証しました。健康に関わる16の量的形質に着目した解析から、ホモ接合連続領域の総和と4つの複合形質との間に統計的に有意な関連があることが明らかになりました。4つの複合形質とは、身長・1秒量(努力肺活量測定の最初の1... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2015/07/27 00:00
23000年前頃の穀物の耕作
 23000年前頃に人間が穀物を耕作していた可能性を指摘した研究(Snir et al., 2015)が報道されました。本論文が検証したのは、イスラエルのガリラヤ湖の南西岸に位置するオハロ2(Ohalo II)遺跡です。その年代は23000年前以前で、1989年に旱魃で水位が低下した時に発見されました。オハロ2遺跡ではこれまでに、6軒の藁小屋と複数の囲炉裏の痕跡と成人男性の墓1基、さらには15万点の植物資料や石器や動物の遺骸(魚類・哺乳類・爬虫類・鳥類・軟体動物など)が確認されています。低酸素状... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/07/24 00:00
アメリカ大陸先住民とオーストラレシア人との遺伝的関係
 アメリカ大陸先住民とオーストラレシア人との遺伝的関係に関する研究が相次いで公表されました。いずれもオンライン版での先行公開となります。『サイエンス』の研究(Raghavan et al., 2015)と報道によると、アメリカ大陸先住民・シベリア人・オセアニア人の現代人31人と、6000〜200年前のアメリカ大陸先住民23人のゲノムが比較され、アメリカ大陸先住民の祖先集団は23000年前以降にアメリカ大陸に到達し、13000年前頃(14500〜11500年前頃)に大きく2系統に分岐したという結果... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 3 / コメント 0

2015/07/23 00:00
ネアンデルタール人の幼児の中耳アブミ骨
 取り上げるのが遅れましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の幼児の中耳アブミ骨に関する研究(Gómez-Olivencia et al., 2015)が報道されました。本論文は、フランスのドルドーニュ県(Dordogne)のラフェラシー(La Ferrassie)遺跡で発見された、推定年齢2歳のネアンデルタール人の幼児の骨「ラフェラシー8(La Ferrassie 8)」を取り上げています。ラフェラシーはネアンデルタール人の骨が発見されていることで有... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2015/07/22 00:00

トップへ | みんなの「古人類学」ブログ

雑記帳 古人類学のテーマ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる