人類最古のビーズ

 国際的な調査団により、人類最古のビーズが認定されたとの報道がありました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5099104.stm
 一つはイスラエルのもので10万年前、もう一つはアルジェリアのもので9万年前とのことで、南アフリカのブロンボス洞窟の75000年前をさらに2万年以上さかのぼるものとなります。両者とも新たに発見されたわけではなく、以前に発見されていたものを再度調べて判明したとのことです。イスラエルのものは、古人類学ではたいへん有名なスフール洞窟から出土したものとのことです。
 ビーズのような工芸品は、人類の象徴的思考・現代的行動を証明するものとして、古人類学ではひじょうに重視されます。今回、それが中部旧石器時代である10万年前までさかのぼることがほぼ確実になったことで(「先進的」なハウイソンズ=プールト文化層からの出土ではなく、典型的な中部旧石器と共伴しています)、神経系に関係する遺伝子の5万年前の突然変異と、それにともなう象徴的思考能力の獲得・上部旧石器時代の開始、というクライン氏らの「神経系突然変異仮説」はますます苦しくなったといえるでしょう。

 まだ不確実性があるとはいえ、現生人類のオモ1号の年代が20万年前近くまでさかのぼったことで、解剖学的現代人と現代的行動の開始との年代差をどう解釈するのかということが、古人類学界での重要な問題の一つとなっています。そこで、最近では現生人類を、解剖学的現代人と、現代に生きる我々と本質的には変わらない行動学的現代人とに分類するようになってきたのですが、今回の発表により、その時間差は多少うめられたと言えるでしょう。
 不確実性の高い古人類学界ですから、今後のことは安易に予測はできませんが、この年代の差は、もっと縮まる可能性が高いのではないか、と思います。じっさい、もっと古い、象徴的行動を示唆する遺物もあるのですが、出土状況の曖昧さなどから、年代が確実とはいえませんので、さらなる確実な証拠の積み重ねを期待しています。

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