海と現生人類の拡散

 現生人類のアフリカからの拡散において、じゅうらい考えられていたよりも、海が重要な役割を果たしていたのではないか、との見解をジョン=アーランドソン教授が述べた、との報道がありました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5398850.stm
 アーランドソン教授によると、考古学者は、証拠の不足から、人類の海洋資源の開発を文明の発展と関連させるといったように、わりと新しい時代のことだと考えてきましたが、自分は1万年前のカリフォルニアに洗練された海洋民がいた証拠を発見した、とのことです。
 また、初期現生人類が、アジア南部の海岸を経由し、アフリカからオーストラリアへ進出したことを示唆する遺伝学的研究成果もあり、海洋資源の豊富さの見直しもあって、現生人類の拡散と海に密接な関連があることが、次第に明らかになってきています。

 アーランドソン教授は、カリフォルニアの沖合にあるサンミゲル島で大規模な発掘を行いましたが、そこには遅くとも13000年前には人が住んでいて、10万頭のアザラシや6種のアシカがいるなど、海洋資源の豊富な島で、じっさい、島内のデイジー洞窟では、多数の釣り針と3万以上もの魚の骨が出土しています。これらの釣り針は、9600~8600年前頃のもので、アメリカ大陸最古の釣り針でもあります。
 他の島内の遺跡では、ラッコのような海洋哺乳類を狩るためのものと推測される石器(ポイント)、貝殻製のビーズ、籠細工などが発見されています。

 こうした発掘成果は、洗練された海洋民の存在を示唆するもので、アジアからアメリカ大陸への移住が、海岸沿いに行なわれていた、との仮説を補強するものとなるかもしれません。
 アーランドソン教授は、日本からシベリアとアラスカを経由して北米太平洋岸まで続く、大型の褐色の海藻の繁茂する「海藻森林」に沿って現生人類が移動したのではないか、との説を提示しています。
 海藻森林は、海藻のみならず、ラッコや貝などの海洋生物も養うことのできる豊かな海洋資源なので、洗練された海洋民がこれに沿って移動した可能性は高いのではないか、というわけです。

 現生人類の海岸沿いの移動が、現生人類の拡散において重要だったのではないか、と考えている人は、私も含めて少なからずいるでしょうし、私も4年以上前に、少し触れたことがあります(下記リンク先を参照してください)。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/history088.htm
 しかし、アーランドソン教授の指摘にもあるように、海面変化のため、その証拠をなかなか見つけられないので、どれだけ重要だったか、評価するのは難しいところですが、発掘・分析技術の向上により、少しでも多くの証拠が発見されるようになることを願っています。

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