ルーマニアの現生人類人骨に見られるネアンデルタール人的特徴

 1942年にルーマニアで氷河期の洞窟熊の骨とともに発見された現生人類の人骨‘Cioclovina 1’は、ネアンデルタール人的特徴を有しており、現生人類とネアンデルタール人との混血を示唆している、とのエリック=トリンカウス教授らの研究が発表され、報道されました。

 この現生人類の人骨は、放射性炭素年代測定により、32500年前ころのものとされました。その現生人類の人骨には、頚筋のすぐ上にある、頭蓋骨の後部の付け根に溝がありますが、これはネアンデルタール人にはよく見られる解剖学的特徴であるいっぽう、現生人類には見られない特徴であると、トリンカウス教授は指摘します。

 しかし、トリンカウス教授の指摘した特徴はネアンデルタール人由来のものではなく、欧州に移住した多様な初期現生人類集団のなかの珍しい特徴だった可能性もある、とエリック=デルソン教授は指摘します。デルソン教授は、1000人の現代人を観察すれば、同じ箇所に隆起や溝や窪みのある人を、一人か二人見つけることができるだろう、とも指摘しています。デルソン教授は、ネアンデルタール人と現生人類との混血を否定するわけではありませんが、これまでの証拠では不充分だと指摘しています。

 トリンカウス教授は、相変わらず精力的に、形態学的側面からネアンデルタール人と現生人類との混血を指摘していますが、デルソン教授の指摘はもっともなところで、まだ混血否定派を納得させるだけの根拠はそろっていない、と言うべきでしょう。ネアンデルタール人と現生人類との混血が低頻度ながらあったのではないか、と私は考えていますので、トリンカウス教授の今後のさらなる研究の進展に期待しています。

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