足の分析から支持されるフロレシエンシス新種説

 インドネシア領フローレス島で発見された更新世の人骨群が、人類の新種ホモ=フロレシエンシス(正基準標本はLB1)なのか、それとも病変の現生人類なのかという議論は古人類学界で高い関心を集めており、このブログでもたびたび取り上げてきました。そうしたなか、今月7~13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、LB1の足骨とその機能を分析した報告(Jungers et al., 2008)が報道されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P127)。

 LB1の左足はほぼ完全に残っていましたが、それは106cmという身長のわりには大きいものでした。報告者の一人であるビル=ユンガー博士によると、LB1は歩いたり走ったりするために現代人よりもさらに膝を曲げなければならないので、現代人と比較して、歩いたり走ったりするときの速度と歩行距離が制限されただろう、と述べています。また、LB1の足の親指は他の足の指と比較してかなり短く、この点ではアウストラロピテクス属のような初期人類と似ていました。しかし足の指の形状は現代人と似ており、LB1には現代人と類人猿の両方の特徴の混在が見られます。ユンガー博士らは、こうした特徴はLB1が現生人類ではないことを支持する、と述べています。

 この報告を聞いたヘンリー=マッケンリー博士も、LB1が病変の現生人類ではないとする見解に同意しています。しかしマッケンリー博士は、フロレシエンシスの起源がどの集団にあるのかという問題について、この報告で解決されるわけではない、とも述べています。現時点では、フロレシエンシスはエレクトスもしくはエレクトスとハビリスの中間的な集団の子孫と考えるのがよさそうで、現在知られている化石人骨のなかでは、グルジアの180~170万年前頃の集団が、フロレシエンシスの祖先にもっとも近いように思われます。


参考文献:
Jungers WL. et al.(2008): Hobbit bipedalism: functional anatomy of the foot of Homo floresiensis. The 77th Annual Meeting of the AAPA.

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