テシク=タシュとスタローゼリーの子供の人骨の分析

 今月7~13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、テシク=タシュとスタローゼリーの子供の人骨の分析(Bulygina et al., 2008)が報告されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P74)。

 ウズベキスタンのテシク=タシュでは1930年代に、クリミアのスタローゼリーでは1950年代に、ソ連の考古学者たちによって少年人骨が発見されました。両者はともにムステリアン(ムスティエ文化、中部旧石器時代の代表的文化)遺物と共伴し、一般的には、テシク=タシュ人はネアンデルタール人、スタローゼリー人は現生人類と考えられています。

 しかし、スタローゼリー人は中世の遺体の嵌入ではないか、テシク=タシュ人はレヴァントのスフールやカフゼーの早期現生人類(10万年前頃)と似ている、との指摘もあります。この研究では、3Dの幾何学的形態測定学による分析がなされ、この二つの人骨が、最近の現生人類9集団・ネアンデルタール人・上部旧石器時代の現生人類・西アジアとアフリカの中期~後期更新世の人類と比較されました。

 その結果、スタローゼリー人については最近の現生人類集団の子供との類似性が明確に示され、後世の現生人類遺体の嵌入という説が支持されることになりました。テシク=タシュ人については、その前頭骨の形態が古典的ネアンデルタール人と初期現生人類との中間に位置することが示されました。この結果が示しているのは、テシク=タシュ人は「東方的」・「非古典的」ネアンデルタール人かもしれず、アムッドやシャニダールで発見されたネアンデルタールと類似している、ということです。ネアンデルタール人の地域差とその系統関係を考察するうえで、重要な研究成果と言えそうです。


参考文献:
Bulygina E, and Gunz P.(2008): Mousterian children from Teshik-Tash and Staroselie: a 3D geometric morphometric analysis. The 77th Annual Meeting of the AAPA.

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