オモの新たな人骨とオモ1号の分析

 エチオピア南西部のオモ川下流沿いのキビシュ層群では、現生人類の起源をめぐる議論で言及されることの多い人骨(オモ1号・オモ2号)が出土していますが、そのキビシュ層群での新たな人骨の発見と、オモ1号の再分析結果について論じた研究(Pearson et al., 2008A、Pearson et al., 2008B)が報道されました。新たに発見された人骨は2つの遺跡から出土したもので、一方はオモ1号やオモ2号の年代(195000年前頃)とほぼ同じとされており、もう一方は104000~86000年前とされています。

 オモ1号は現代的、オモ2号は原始的とされており、この研究でもじゅうらいの見解が支持されましたが、オモ1号には原始的特徴が認められることも指摘されています。そうした原始的特徴は、ネアンデルタール人・スフールとカフゼーの初期現生人類・ヨーロッパのグラヴェティアン(上部旧石器時代のグラヴェット文化)人の中の何人かと共有されるものであり、アフリカの共通祖先から継承された可能性が高いとされます。

 オモ1号の推定身長は178~182cmで、ほっそりとした体型だったと推測されています。オモ1号の性別は明確ではなく、部分的に男性的な特徴も女性的な特徴も見せています。オモ1号の死亡時の年齢は若かったと推測されます。一方オモ2号は、その頭蓋の特徴が原始的で、現生人類よりもエレクトスのほうとより多くの特徴を共有している、とされます。

 現生人類の起源地がアフリカであることはほぼ確実と言えますが、ほぼ現代的と言える人類が登場した時点では、原始的な特徴の強い人類もいたことになります。オモ1号以降のエチオピアのヘルト人(ホモ=サピエンス=イダルツ、160000~154000年前頃)もやや原始的であることから、ほぼ現代的な特徴の人類が、ただちにアフリカを席巻したわけではなさそうです。今後は、さらなる人類化石の発見と分析により、オモ1号・オモ2号・ヘルト人は、それぞれ異なる集団に属していたのか、それとも同一集団内の多様性の反映と解釈できるのか、という問題についての研究の進展を期待しています。


参考文献:
Pearson OM. et al.(2008A): Further new hominin fossils from the Kibish Formation, southwestern Ethiopia. Journal of Human Evolution, 55, 3, 444-447.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.05.013

Pearson OM. et al.(2008B): A description of the Omo I postcranial skeleton, including newly discovered fossils. Journal of Human Evolution, 55, 3, 421-437.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.05.018

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