政治投票行動における自覚と無自覚の問題

 選挙などの政治投票行動において、どの候補者(案)に投票するか、1週間くらい前まで未定と答える人の割合がかなり多いことは、日本のマスコミでも度々報道されていますが、実は無意識のレベルでは、そのうちの多くの人がどの候補者(案)に投票するか決定しているかもしれない、とする研究(Galdi et al., 2008)が公表されました。日本語記事を参照すると、この研究は以下のようなものです。

 この研究では、イタリアのビチェンツァ市民を対象に、現地の米軍基地拡張計画に関する一連の簡単な質問と課題が課され、調査が実施されました。ここでの課題は、米軍基地拡張に関するボランティア被験者らの賛否(本人の意識下にある意見)と、本人が意識していない連想(特定の単語と写真を熟考によらず直感的に結びつけます)を検討するものでした。

 1週間後に被験者らは再びその課題に取り組みました。拡張計画について賛否は未定だと最初に回答した被験者の場合はおおむね、後に下した決定と本人が最初に無意識に回答した連想とが一致していました。これは、被験者らがすでに決定を下していても、その自覚がなかったことを示唆しています。

 それとは反対に、拡張問題について明確な意見を持って課題に着手した被験者では、無意識に回答した連想が、課題に取り組むうちに首尾一貫したものになっていきました。これは、意識下にある意見は、その意見と一致する非意識的な連想を増強する可能性があることを示唆しています。この研究結果は、自覚していない認知と自覚している認知の相互関係が、双方向のプロセスであるという事実を強調しています。

 この研究については、日本語のブログ記事にてやや詳しい解説がなされています。この研究の問題点も指摘されていますので、大いに参考になります。次期総選挙が近いとも噂されるなか、おそらく、自民党と民主党、さらにはマスコミ関係者も注目している研究だと思います。


参考文献:
Galdi S. et al.(2008): Automatic Mental Associations Predict Future Choices of Undecided Decision-Makers. Science, 321, 5892, 1100-1102.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1160769

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