エレクトスの骨盤の大きさの見直し

 エチオピアのゴナで新たに発見された、120万年前頃のホモ=エレクトスのほぼ完全な成人女性骨盤の分析から、エレクトスの骨盤はじゅうらい考えられていたよりも30%以上も大きく、エレクトスの成長速度も見直す必要があるのではないか、と論じた研究(Simpson et al., 2008)が公表されました。

 じゅうらい、エレクトスの骨格の推定の根拠は、150万年前頃の少年人骨(KNM-WT 15000、トゥルカナボーイ)にあったのですが、この研究では成人女性のほぼ完全な骨盤が分析されており、エレクトスの女性の骨盤の大きさや、出産時の制限といったことについて、以前よりもはるかに妥当性の高い推定がなされている、と言えるでしょう。

 じゅうらいの推定値より30%以上も骨盤が大きいことから、エレクトスの新生児の脳容量もじゅうらい考えられていたよりも大きく、エレクトスの脳は、誕生後に現代人のように急激に成長するのではなく、現代人とチンパンジーの中間ていどの速度で成長したのではないか、とこの研究では指摘されています。

 こうしたことからこの研究では、エレクトスの骨盤の進化における選択要因として、じゅうらい想定されていた熱帯環境と長距離移動への適応ではなく、大きな脳をもつ子の出産のほうが重要だったのではないか、と推測されています。ひじょうに貴重な発見に基づく、たいへん興味深い研究だと思います。


参考文献:
Simpson SW. et al.(2008): A Female Homo erectus Pelvis from Gona, Ethiopia. Science, 322, 5904, 1089-1092.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1163592

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