東アジアの初期ホモ属

 東アジアの初期ホモ属の年代を推定した研究(Zhu et al., 2008)が公表されました。中国雲南省元謀で発見された人骨の年代をめぐっては、170万年前説と60~50万年前説とが対立していますが、この研究では、古地磁気層序学を用いて、かなり正確な年代測定がなされた結果、元謀の人類骨と石器の年代は、170万年前頃と推測される、と主張されています。

 この推定年代が妥当だとすると、エレクトスに類似した元謀の人類骨は、北東アジアにおける最古の考古学的証拠に先行し、ジャワのホモ=エレクトスとおよそ同じということになります。これは、初期ホモ属はアフリカより南方経路で急速に東アジアへ進出した、という見解と整合的です。

 元謀遺跡の動物化石と花粉の分析から、当時の元謀は、湖か湿地帯に近い沖積扇状地の上にあり、低木林地と森林のまだら状態をともなう開けた土地だったと推測され、これは人類の故郷であるアフリカでも珍しくない景観でしょう。

 元謀人がエレクトスだとすると、初期エレクトスが故地と類似した土地に急速に進出したとしても不思議ではなく、その意味で、170万年前頃という元謀人の年代の根拠の一つにもなるでしょう。おそらく初期エレクトスは、ユーラシア南部の海岸沿いの、故地と類似した環境の土地を経由して、ジャワや元謀にまで進出したのでしょう。


参考文献:
Zhu RX. et al.(2008): Early evidence of the genus Homo in East Asia. Journal of Human Evolution, 55, 6, 1075-1085.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.08.005

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