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zoom RSS アルディピテクス=ラミダスの全身骨格

<<   作成日時 : 2009/10/03 00:00   >>

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 『サイエンス』の今週号では、アルディピテクス=ラミダスのほぼ全身の骨格の発掘の成功と、その骨格の分析が特集されています。先週は『米国科学アカデミー紀要』で現生人類の起源について特集が組まれ、今週はラミダスについて『サイエンス』で特集が組まれたわけで、2週続けて代表的な総合科学誌で古人類学関連の特集が組まれたことになります。私のような古人類学に関心のある人にとっては、じつに楽しい2週間になったでしょう。来週は『ネイチャー』でネアンデルタール人やフロレシエンシスの特集が組まれると、本当に楽しいのですが。これらの諸研究は『ナショナルジオグラフィック』でも、大々的に報道されており、関心の高さがうかがえます。

 初期人類を古生物学的視点からとらえた総説的論文(White et al., 2009A)、ラミダスを取り囲む生物的環境についての論文(WoldeGabriel et al., 2009)、化石成因論からの共伴動物群の分析によるラミダスの生息環境の推定(Louchart et al., 2009)、共伴大型動物骨の分析からラミダスの生息環境を森林と推定した論文(White et al., 2009B)、ラミダスの頭骨の分析と他の人類骨との比較から人類の起源を追求した論文(Suwa et al., 2009A)、ラミダスの歯の分析(Suwa et al., 2009B)、ラミダスの手や手首が現存類人猿のような派生的なものではなく原始的であることを指摘した論文(Lovejoy et al., 2009A)、ラミダスの骨盤と大腿骨から直立歩行の出現を追求した論文(Lovejoy et al., 2009B)、ラミダスの足についての分析(Lovejoy et al., 2009C)、ラミダスの分析から現存類人猿がそれぞれ独自に現在の類似した特徴を派生させた可能性を指摘した論文(Lovejoy et al., 2009D)、ラミダスの分析から人類進化を再考したまとめ的な論文(Lovejoy., 2009E)など、面白そうな論文が多数掲載されています。とくに、Lovejoy et al., 2009Dと、Lovejoy., 2009Eは、かなり重要な提言を含む注目すべき見解ではなかろうか、と思います。

 『ナショナルジオグラフィック』では、ラミダスの復元図や、『サイエンス』の表紙についての記事や、全身骨格図や、歯の特徴についての記事や、ラミダスの発見された場所・環境についての記事や、ラミダスの配偶関係についての記事など、多数の記事が掲載されています。ほぼ全身の骨格がそろった人類骨としては最古になるということと、人類進化史について根本的なところから再考を迫る見解が提示されているということもあって、このような大きな扱いとなったのでしょう。



参考文献:
Louchart A. et al.(2009): Taphonomic, Avian, and Small-Vertebrate Indicators of Ardipithecus ramidus Habitat. Science, 326, 5949, pp.66, 66e1-66e4.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175823

Lovejoy CO. et al.(2009A): Careful Climbing in the Miocene: The Forelimbs of Ardipithecus ramidus and Humans Are Primitive. Science, 326, 5949, pp.70, 70e1-70e8.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175827

Lovejoy CO. et al.(2009B): Careful Climbing in the Miocene: The Forelimbs of Ardipithecus ramidus and Humans Are Primitive. Science, 326, 5949, pp.70, 70e1-70e8.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175827

Lovejoy CO. et al.(2009C): Combining Prehension and Propulsion: The Foot of Ardipithecus ramidus. Science, 326, 5949, pp.72, 72e1-72e8.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175832

Lovejoy CO. et al.(2009D): The Great Divides: Ardipithecus ramidus Reveals the Postcrania of Our Last Common Ancestors with African Apes. Science, 326, 5949, pp.73, 100-106.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175833

Lovejoy CO.(2009E): Reexamining Human Origins in Light of Ardipithecus ramidus. Science, 326, 5949, pp.74, 74e1-74e8.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175834

Suwa G. et al.(2009A): The Ardipithecus ramidus Skull and Its Implications for Hominid Origins. Science, 326, 5949, pp.68, 68e1-68e7.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175825

Suwa G. et al.(2009B): Paleobiological Implications of the Ardipithecus ramidus Dentition. Science, 326, 5949, pp.69, 94-99.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175824

White TD. et al.(2009A): Ardipithecus ramidus and the Paleobiology of Early Hominids. Science, 326, 5949, pp.64, 75-86.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175802

White TD. et al.(2009B): Macrovertebrate Paleontology and the Pliocene Habitat of Ardipithecus ramidus. Science, 326, 5949, pp.67, 87-93.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175822

WoldeGabriel G. et al.(2009): The Geological, Isotopic, Botanical, Invertebrate, and Lower Vertebrate Surroundings of Ardipithecus ramidus. Science, 326, 5949, pp.65, 65e1-65e5.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175817

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2009年のブレークスルートップ10の1位はアルディピテクス=ラミダスの研究
 2009年度の『サイエンス』の科学的ブレークスルートップ10の1位は、アルディピテクス=ラミダスの研究だ、と報道されました。 http://www.sciencemag.jp/breakthrough/2009/index.html http://www.eurekalert.org/pub_releases/translations/BOY2009jp.pdf ...続きを見る
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