大河ドラマ『風と雲と虹と』第28回「坂東震撼す」

 今回は、藤太の館での藤太と武蔵との会話から始まります。将門は自分にとって弟のような者を殺した仇だと言う武蔵にたいして、遺恨か、と藤太は尋ねますが、それ以上話すと自分のことをすべて明かさねばならない、と言って武蔵は答えません。藤太はそれを咎めることなく、そうであったな、あなたという人は、と言って笑います。武蔵は、山道で倒れていた自分を助けてくれて、そのまま館に置いてもらっていることを藤太に感謝しますが、藤太の好意に甘えすぎたと言って、藤太の館を去ろうとします。

 すると藤太は、いつまでもいてもよいのだ、館に若い美しい女性がいるというのはよいものだ、その女性が氏素性を明かさないとなると、なおのこと楽しい、と言います。しかし武蔵は、藤太の心の広さが怖い、と言います。藤太は、逆に冷たいと言われたような気がする、と返します。藤太は、去りたい時にいつでも去ってよいが、良兼・良正と将門との戦が近いので、それが終わってからにせよ、と言います。藤太は、将門がどれだけの兵を動員するのか見ものだ、と言います。この戦で仇である将門が討たれたら困るのだな、と藤太に言われた武蔵は、仇は討ちたいが、好きな人に止められている、と言います。武蔵の秘密を聞きたくなった、と言う藤太にたいして、お別れするときにすべて話す、と武蔵は言います。

 その頃、武蔵の配下の季重は、武蔵を探すために坂東にいました。その道中、盗賊らしき男3人を見かけた季重は、そのうちの1人が、天女のような都の女をいいようにした、と自慢しているのを聞いて、その女性が武蔵ではないかと思い、脅迫して詳しく聞きだします。この男性が仲間とともに襲ったのは、貴子・その乳母・その使用人の3人の女性でした。都の屋敷が失火で焼け、都にはもう頼る人のいなかった貴子一行は、坂東へと向かっていました。もはや頼るべき人のいない貴子一行は、貴子の運命は坂東の男によって開ける、とのかつての火雷天神の宣託にしたがったわけです。そこへ、自分も坂東に向かうのだ、と言う男が現れて、貴子たちと同行することになります。

 しかしこの男こそ、前回
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貴子一行を密かに窺っていた山賊たちの仲間でした。夜、荒れ屋敷に泊まった貴子を盗賊たちは襲い、貴子は強姦され、その乳母は殺されてしまいます。季重が尋問した男は、その後貴子が都に売られたことまでしか知りませんでした。山賊たちが話題にしていた女性が武蔵ではないことに季重は安堵し、去ろうとしたところを襲ってきた盗賊たち3人を殺します。そこに鹿島玄道が現れます。季重が殺した3人の盗賊は玄道の配下でしたが、自分でもこのような腐った人間は斬っただろう、と言います。玄道は季重と同行し、季重が仇としているのが将門であることを知らせます。

 その頃、将門の館では軍議が開かれていました。2000騎以上となった良兼・良正連合軍がまだ攻めてこないことを、一同は不審に思います。藤太が病と称して良兼の使者に会わず、良兼に加勢しなかった、と伊和員経から聞いた将門は、嬉しそうに肯きます。少年時代、民人のために役人を殴り殺した藤太に感銘した将門にとって、農繁期に大軍を動員した良兼・良正連合軍に藤太が加勢しないことは、藤太が昔と変わらず民人のことを大事にしているように思えて、嬉しかったのでしょう。

 将門は、自分が物見に行くと言い出し、弟の将頼や配下の者たちから反対されますが、良兼・良正たちは農繁期に強引に兵を動員しており、厭戦感が出ているのではないかと将門は考え、その様子を直接確認しようとします。将門を慕う民人は将門と同行しようとしますが、将門は物見だと言ってその申し出を断ります。将門は下野との国境近くまで行って民人から話を聞き、さらに小山にいる良兼・良正連合軍の様子を見に行こうとします。

 そのとき、将門に同行していた玄明が、わずかな人間・馬の音から大軍が向かってきていることに気づきます。農繁期に強引に大軍を動員しながら、一ヶ月にも及ぶ在陣となり、兵のなかに不満が高まってきたことから、良兼は将門の本拠地である豊田へと攻め入る決断をくだしたのでした。藤太が加勢してこなかったことを気にする良兼ですが、下野の豪族にも我々の力見せつけることができただろう、と良正は得意そうに語ります。

 大軍が迫ってくるなか、将門は馬から降りてその場で良兼・良正連合軍を迎え撃ち、玄明を豊田へと遣わし、将頼が援軍を率いてくるよう手配します。長期の在陣と暑さで疲労していた良兼・良正連合軍は、だらだらと進んできます。将門は、その横から矢を射掛けようとします。豊田へと急いで向かっていた玄明は、途中で玄道・季重と遭遇します。玄明は玄道から馬を借りて豊田へと向かい、玄道は合戦の様子を見に行きます。

 員経の奇襲により浮き足立った良兼・良正連合軍に将門自身も攻め入り、将門が攻めてきたことに気づいた貞盛は、即座に退却します。元々強引に動員された良兼・良正連合軍の戦意は低く、一気に浮き足立って敗走してしまいます。将頼率いる豊田からの援軍も到着し、良兼・良正は下野国府近くの豪族の館へと逃げ込みます。良兼と良正は味方の不甲斐なさを嘆きますが、その間に将門はその館へと進軍し、館を包囲します。

 しかし、そこで将門は迷ってしまい、良兼・良将を責め亡ぼすのを躊躇います。その様子を見ていた三宅清忠は、国香との戦い・良正との川曲の戦い・今度の戦いと三度も少数ながら多数の敵を破ってきたが、四度目も同様に勝てるとはかぎらない、と言って将門に決断を促します。館に攻め入ろうと促す将頼と員経にたいして、将門は引き上げよう、と言います。将頼は、負けていたら自分たちは死んでいたのだぞ、と言って将門を諌めますが、これ以上一族の間で地を流したくない、と言って将門は決意を変えようとはしません。すると玄明が、命を助けても、良兼も良正も感謝せず、将門をいっそう恨むようになるだろう、と言います。将頼も玄明に同意し、将門の妻の良子が良兼の娘であり、良子が悲しむことを案じているのだろうが、私情を捨ててくれ、と再度諫言します。

 しかし将門は、囲みの一方を解くよう命じます。この様子を見ていた良正は将門の罠だと疑い、良兼も同意しますが、兵たちが勝手に逃げ出し始め、けっきょく良兼も意を決して館から逃げますが、将門軍は将門の命にしたがい、追撃しようとはしませんでした。この様子を見た季重は、将門が自分の想像よりも大きな人物かもしれない、と思い始めます。将門は軍の指揮を将頼に任せ、自身は下野国府に行き、下野国内を騒がしたことを謝罪しようとします。この将門の勝利は、坂東を震撼させることになりました。

 今回は、将門が優れた武者であるとともに、豪族の当主として甘いところのあるところも描かれました。視聴者の側からするともどかしいところですが、こうした甘さというか情の篤さも将門の魅力になっているのでしょう。前回久々に登場した藤太の人物像がより深く描かれたことも、今回の見所の一つです。藤太はかなり懐の深い人物のようで、武蔵との今後の関係も気になります。藤太が良兼に加勢しなかったことを喜ぶ将門の様子は、第1回
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の描写とつながっており、相変わらずよく練られた脚本だな、と感心します。もう一つの大きな動きは貴子の悲惨な運命ですが、ここまで存在感を示してきた貴子の乳母の最期があっさりとしたものだったことは、やや残念でした。

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