大河ドラマ『風と雲と虹と』第44回「玄明慟哭」

 宴会の席に経基は戻って来ません。経基は、かねてより興世王と将門が親しいことから、疑念を募らせます。経基は、公の権威が板東の力に屈したとして、これは反逆だと叫びます。将門・武芝・興世王の三人は楽しく酒を飲んでいます。将門は、経基が戻ってこないことを心配して、興世王とともに経基の陣を訪ねます。興世王は、経基の陣に近づくと、慎重に声をかけます。経基が、ある線を越えて陣に近づいた者には矢を放つよう命じていることを、興世王は知っていました。経基は、気分がすぐれないとして座に戻ることを拒否します。しかし今度は、将門たちを怒らせてしまっただろうか、と経基は怯えて、いっそう警戒を強めます。

 笛を吹く玄明に武芝が近づきます。武芝に年齢を尋ねられた玄明は、傀儡に年齢はない、との螻蛄婆の言葉で答え、都で螻蛄婆の仲間になったことを伝えます。武芝は、傀儡の奏でる調べには都も板東もないようだ、と言います。武芝は、姉と弟という自分の子二人を産んだ傀儡の娘もこの音を奏でていた、と語ります。その子たちはどうしたのだ、と玄明が尋ねると、神隠しにあった、ふいと母子三人は消えてしまったのだ、姉が6歳・弟が3歳の時のことだった、と武芝は答えます。武芝が武蔵の国造の家から正妻を迎えることになり、武芝は傀儡の娘を追い出すつもりはなかったのだが、居づらかったのだろうから、自分の罪かもしれない、と武芝は言います。行方を探さなかったのか、と玄明が尋ねると、板東で身寄りのない者が頼るとすれば、自分の友の鹿島玄茂のところだろうと思って問い合わせたが、玄茂のところにもいなかった、と武芝は答えます。新たに迎えた正妻との間に子供はできず、その正妻も2年前に亡くなり、やはり自分は寂しいのだろう、近頃その傀儡の娘と子供たちのことがしきりに思い出される、と武芝は言って寂しく笑います。玄明は笛を吹き、武芝はその音色に昔を思い出し、感傷的になって涙を流します。

 武芝が酒宴の座に戻ろうとしたところ、自分にも姉がいたそうだ、と玄明は語り、自分の笛を見せようとしますが、そこに武芝の郎党が現れ、将門と興世王が戻ったことを伝え、後ほど話そう、と言って武芝は座に戻ります。経基戻りませんでしたが、興世王は楽観的です。将門は、和解の印として、両者の郎党も共に酒宴に加わるよう提案し、興世王と武芝も同意します。興世王は、自分たちがいては気詰まりだろう、と言って将門と武芝を誘って元の座に戻ります。将門・興世王・武芝がいなくなった後、興世王と武芝の郎党はすっかり寛いで打ち解けます。いつも郎党のような者たちと混じって酒を飲むのか、と興世王に問われた将門は肯き、父の良将もそうだった、と答えます。すると興世王は、板東一の男として自らを高く持さないといけない、と言いますが、自分は自分だ、と将門は笑って言います。興世王は、これからは将門がますます大物になるよう、私が策を授けよう、私は将門のことが好きなのだから、と言います。

 玄明は、武芝の語った子供たちのことが脳裏から離れませんでした。いつしか眠りについた玄明は、夢の中で姉と弟の子供二人を連れた母親を見て、その弟が自分だと確信します。夢の中で、その母親は刺されてしまいます。すっかり酔って打ち解けた興世王と武芝の郎党たちは、経基の郎党たちも誘おうとして、経基の陣に近づきますが、経基の郎党は経基の指示通り、近づいてきた興世王と武芝の郎党に矢を放ち、騒動となってしまいます。興世王と武芝の郎党に矢を放って追い払ったが、彼らが戻ってくるのは間違いない、との報告を郎党から受けた経基はすっかり怯えてしまい、将門の指図で興世王と武芝が攻めてきたと疑念を募らせて慌てふためき、撃退するよう郎党に命じましたが、すぐに思い直し、都に帰ることにします。

 将門は騒ぐ兵たちを収めようとしますが、玄明からすでに矢戦がはじまっていると報告を受けた将門は、兵たちを説得すべく経基の陣へと向かい、武芝と興世王も経基の陣へと向かいます。将門の指示により先回りして経基の陣へと向かった玄明ですが、経基はすでに逃げ出した後でした。武芝は停戦を呼びかけますが、経基の郎党は武芝に向けて矢を放ちます。将門が停戦を呼びかけると、矢を下ろす郎党もいましたが、依然としてはきますか、弓を引き絞る郎党もいます。将門は、興世王と武芝の郎党は懇親を求めて来たのだ、と経基の郎党たちを説得しますが、経基の郎党のなかには、依然として弓を引き絞った者がいます。玄明がその者に石を投げつけると、矢が放たれて武芝を貫いてしまいます。倒れた武芝に玄明が自分の笛を見せると、武芝は微笑み、その直後に亡くなります。

 玄明が武芝の墓の前で笛を吹いているところに螻蛄婆が現れ、伊予に使いを出した、と言います。伊予に行くのか、と玄明に問われた螻蛄婆は、我々は板東にいよう、答えます。螻蛄婆の手紙は伊予国大津に届き、将門と武芝らが組んで自分を襲撃するはずだと経基が報告するだろう、との情報を純友は得ます。純友は、いよいよ時が来た、と語ります。武蔵は、自分が行かねばならない、と言います。その夜、武蔵は純友の子の重太丸の寝室を訪れ、眠っている重太丸の手を愛おしそうに握り、純友は物陰からその様子を見ていました。

 経基は帰京すると藤原忠平に注進し、公卿たちは対策を練ります。将門の謀反は明らかだと言う者もいましたが、将門は根の素直な男だ、と忠平は言います。忠平は、板東の国司に貢物を厳しく取り立てるよう命じよ、と指示しますがことようにします。忠平は、将門に下総守を与えようとしますが、無位無冠に等しい将門をいきなり下総守に任じることにはさすがに異論が出ます。忠平は、もうよいと言って会議を打ち切ります。

 板東では貢物の取り立てと徴兵が厳しく行われるようになり、常陸国府では、最高責任者の藤原惟幾の気が弱いということもあり、とくに厳しく取り立てが行われ、浮かれ人が厳しく罰されていました。そのような状況の板東に武蔵と季重が玄道に案内されてやって来て、玄明と再会します。板東が不穏な情勢を迎えた天慶2年(939年)の夏、将門はまだ妻子や員経と穏やかに過ごしていましたが、しだいに将門の領内にも増えていく浮かれ人をどうするのか、と員経に問われた将門は、見捨てるわけにはいかない、と答えます。天慶2年の夏は将門にとって最後の夏であった、との語りが入るところで、今回は終了です。

 今回は、いよいよ板東が大きく動き出すというところで終了し、次回以降の展開が楽しみです。今回は、武芝が玄明と武蔵の父親であるらしいことが明かされましたが、武芝がそのような重要人物であれば、もっと前から登場場面を用意してもよかったのではないか、と改めてと思います。武芝は前回と今回の2回だけの登場でしたが、板東者の誇りを演じる宮口精二氏がよく表現できていて、存在感がありました。経基はひたすらに情けないだけの人物で、今後多少は見せ場をつくってもらいたいものだな、と願っています。登場場面はわずかでしたが、武蔵が情の深い人物であることを示す描写はなかなかよい、と思います。

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