更新世末期の寒冷化と旱魃

 更新世末期の気候変動と旱魃についての研究(Stager et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、18000~15000年前頃の、大量の氷と融氷水が北大西洋に流入したハインリッヒイベント1における気候変動と、広範な地域における大旱魃との関係が指摘されています。このハインリッヒイベント1は、かなりの地域的寒冷化を惹き起こしましたが、それは北半球の北部のみならず、熱帯地域にも影響を及ぼしたのではないか、とこの研究では指摘されています。

 このハインリッヒイベント1の亜氷期の頂点は17000~16000年前頃なのですが、これは、アフロアジアのモンスーン地域などにおける、過去5万年のうちもっとも極端で広範な大旱魃と同時のことだった、とこの研究では指摘されています。この時期の熱帯地域における乾燥は、一般的に南北両回帰線間の地域の南方への移動の結果と考えられていますが、ハインリッヒイベント1による海面冷却によるものではないか、とこの研究では推測されています。人類社会の一部が定住・農耕を始める前提として、こうした気候変動が大きく影響を及ぼしているのでしょうが、気候変動と人類文化の変化の関係を解明するには、さらなる研究の蓄積が必要となるのでしょう。


参考文献:
Stager JC. et al.(2011): Catastrophic Drought in the Afro-Asian Monsoon Region During Heinrich Event 1. Science, 331, 6022, 1286-1289.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1198322

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