コーカサス山脈北部の後期ネアンデルタール人の年代

 コーカサス山脈北部における後期ネアンデルタール人の年代についての研究(Pinhasi et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、コーカサス山脈北部のメズマイスカヤ(Mezmaiskaya)洞窟の後期中部旧石器層で発見されたネアンデルタール人骨の年代が、放射性炭素14年代法で直接測定され、39700±1100年前という結果が得られました。さらにこの研究では、後期中部旧石器層から得られた、限外濾過された骨のコラーゲンの放射性年代を通じて、この地域からネアンデルタール人がいなくなった年代が絞り込まれています。

 これらの結果から高い確率で推定されるのは、較正年代で39000年前よりも後には、ネアンデルタール人はメズマイスカヤ洞窟では生存していなかっただろう、ということです。これまで、39000年前以降もコーカサス山脈北部には後期ネアンデルタール人がいたと考えられてきたので、この研究はその見直しを提言するものとなります。さらにこの研究では、人骨の直接的放射性年代測定と、考古層序年代学の進展に依拠し、他の遺跡の年代などから、コーカサス山脈を含むユーラシア西部のどの地域においても、較正年代で40000年前よりも新しい、信頼できる年代測定されたネアンデルタール人化石は欠如している、と主張されています。この主張の当否について論じられるだけの見識は私にはとうていありませんが、旧石器時代の人骨・遺跡の年代については今後も見直しが続きそうで、注意していかねばならないでしょう。


参考文献:
Pinhasi R. et al.(2011): Revised age of late Neanderthal occupation and the end of the Middle Paleolithic in the northern Caucasus. PNAS, 108, 25, 10087-10091.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1018938108

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