元木泰雄『河内源氏』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2011年9月に刊行されました。著者は武士見直し論の代表的な研究者の一人です。河内源氏の動向について、10世紀半ば~12世紀半ばの平治の乱までが扱われていますが、武士見直し論の代表的な研究者の一人だけあって、鎌倉幕府の成立からの逆算的な河内源氏論ではなく、当時の文脈を踏まえたものであろうとする意識が強く窺えます。もちろん、こうした姿勢は当然のことと言えるでしょうが、研究者といえども、結果論的解釈を突き放すことはそれほど容易ではないだろう、とも思います。

 本書を読むと、初期の武士の粗暴さが強く印象に残ります。その粗暴さゆえに、河内源氏の有力者たちが中央権門から退けられたこともありましたが、それくらいでなければ、初期の武士は勢力を拡大していけなかったのではないか、とも思います。多くの人に恐れられるような武力を誇示しつつ、中央権門との関係をいかに維持して発展させていくのか、ということが初期の武士にとって重要だったのでしょう。本書の見解は、基本的には著者が過去に主張してきたものであり、目新しさはそれほどありませんが、河内源氏の通史の把握として適切だと思います。

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