340万年前のアフリカ東部の新たな人類種

 エチオピアで発見された340万年前の人類の骨についての研究(Haile-Selassie et al., 2012)が報道されました。この研究で報告されたのは足の骨で、対向可能な母趾を示す証拠が認められました。同時代のアフリカ東部の人類種アウストラロピテクス=アファレンシスは、その形態からほぼ完全な直立二足歩行をしていたと考えられていますが、この新たな人骨には樹上適応形態の保持が認められ、同時代のアファレンシスではなく、400万年以上前に存在したアルディピテクス=ラミダスの方に似ている、とこの研究では指摘されています。

 この発見により、400~300万年前頃のアフリカ東部には歩行様式の異なる複数の人類種が存在した、という可能性が高くなったわけで、人類の進化が単線的なものではなく複雑なものだった可能性の高いことが、改めて確認されたのだと思います。おそらく、この新種の人類は現代人の祖先ではなく、アファレンシスかその近縁種が現代人の祖先だったのでしょう。ラミダスが現代人の祖先か否か、確定したわけではありませんが、現時点では、現代人の祖先の有力候補だと思います。おそらく、アファレンシスもこの新たな人類種もラミダスの子孫で、アファレンシスは直立二足歩行のほうに特化した(派生的特徴を強めた)、ということなのだろうと思います。


参考文献:
Haile-Selassie Y. et al.(2012): A new hominin foot from Ethiopia shows multiple Pliocene bipedal adaptations. Nature, 483, 7391, 565–569.
https://doi.org/10.1038/nature10922

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