さかのぼる旧石器時代のイベリア半島の洞窟壁画

 本日付の『サイエンス』に、スペインの旧石器時代の洞窟壁画の年代が、じゅうらいの推定よりも古くなることを明らかにした研究が発表される、と報道されました。
http://www.asahi.com/national/update/0614/TKY201206140432.html

 上記報道によると、スペイン北西部にある有名なアルタミラ洞窟などを含む11ケ所の洞窟壁画の絵の表面に石灰石ができた年代を、石に含まれる放射性元素の割合から測定したところ、最古となるエルカスティーヨ洞窟の壁画では、赤い点状の絵が41000年前で手形が37000年前になることが判明したそうです。研究チームのリーダーであるアリスター=パイク博士は、「現代人がネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)との競争で文化を発展させたのかもしれない」と説明しつつ、「もしネアンデルタール人の手形だったら、ファンタスティックな発見だ」と述べたそうです。

 『サイエンス』の論文がサイトで読めるようになったら、要約だけでも読もうと思いますが、今年の二月にこのブログで取り上げた、
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_9.html
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_10.html
http://sicambre.at.webry.info/201202/article_17.html
スペイン南部のマラガの東方約56kmにあるネルジャ洞窟については、上記報道では触れられていません。較正年代なのか否か不明なので、安易な比較はできませんが、報道されている年代を比較すると、ネルジャ洞窟のほうが古くなるので、ネルジャ洞窟はこの研究では調査対象外なのかもしれません。

 エルカスティーヨ洞窟にある壁画の赤い点状の絵の41000年前という年代が、較正年代なのか否か不明ですが、近年ではヨーロッパの旧石器時代の年代の見直しが進んでおり、じゅうらいの年代観よりも古くなる傾向がありますから、エルカスティーヨ洞窟の壁画が、ヨーロッパの最初期の現生人類(ホモ=サピエンス)の所産である可能性もじゅうぶん考えられます。しかし、上記のブログの記事でも述べましたが、こうした壁画がネアンデルタール人の所産だとすると、古人類学の長年の常識を覆すという意味でたいへん興奮しますので、アリスター=パイク博士が述べているように、まさに「ファンタスティックな発見」になると思います。今後の研究の進展に大いに期待しています。

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  • イベリア半島にある旧石器時代の洞窟壁画の年代の見直し

    Excerpt:  昨日、このブログにて、スペインにある旧石器時代の洞窟壁画の年代が、じゅうらいの推定よりも古くなることを明らかにした研究が報道されたことを取り上げましたが、『サイエンス』に掲載された、その研究(Pik.. Weblog: 雑記帳 racked: 2012-06-16 00:00
  • ネアンデルタール人の壁画に関する報道

    Excerpt:  今年になって、旧石器時代のイベリア半島の洞窟壁画の一部はネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の所産ではないか、との研究が報道され、私は大いに注目しています。一つは、スペイン南部のマラガ.. Weblog: 雑記帳 racked: 2012-07-25 00:00